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脳梗塞の看護計画|時期別・後遺症別に書く訪問看護計画書 短期目標・長期目標とO-P/T-P/E-P記載例220例

脳梗塞で入院し、右の手足に麻痺が残ったまま家に戻ってきた方、言葉が思うように出ず、うなずきと首振りで返事をする方、食事の途中で左側のおかずだけが残る方、退院から半年がたち、通所リハビリに通いながら「もう一度倒れたらどうしよう」と話す方――このような、脳梗塞(脳出血の後遺症のある方も含みます)の後の暮らしを家で続ける方の在宅の訪問看護計画書について、看護・リハビリテーションの目標、療養上の課題・支援内容(O-P・T-P・E-P)、評価をどう書くかを、記載例でまとめた記事です。読み手は訪問看護ステーションの看護師・保健師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理者を想定しています。

病院の看護計画や看護学生の看護過程では、発症してからの急な時期に、意識の状態・神経の症状の変化・治療の管理を中心に看護問題を立てることが多くあります。在宅の訪問看護計画書が向き合うのは、その後の長い時間です。退院直後の数か月、暮らしが落ち着いた時期、再発を防ぎながら過ごす長い時期で、計画書の重心は少しずつ移ります。この記事では、時期ごとの書き分け、麻痺・失語・高次脳機能障害・嚥下など後遺症の種類ごとの観察と援助、再発のサインに家族が気づいたときの伝え方、言葉が出にくい方への声かけと記録、通所・訪問リハ・ケアマネジャーとの分担を、それぞれ表にしています。

以下の記載例は、すべて架空の利用者を想定して当社が作成した記載のイメージです。血圧や検査値の目標と区切り、薬の名前と量、評価尺度の点数とその区切り、発症からの時間の目安など、数値と医学的な判断にあたる内容は、この記事には書いていません。これらは主治医の指示書や処方、退院時の情報、リハビリ職の評価から示された内容を、示されたとおりに計画書へ写すものとして「主治医の指示書の範囲で」「主治医に報告する」の形で書いています。介護支援専門員(ケアマネジャー)が作るケアプランの側の文例は、別の記事「脳血管疾患(脳梗塞・脳出血後遺症)の方のケアプラン文例」で扱っています。片麻痺のある方の転倒予防は「転倒予防の看護計画」の記事で詳しく扱っているため、この記事では短く触れるだけにしています(どちらも関連記事を参照)。

計画書の欄と通知の原文|脳梗塞の後遺症のある方の計画書で、欄ごとに何を書くか(欄別対照表2つ)

医療保険の訪問看護の計画書の各欄に何を書くかは、「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日 保医発0327第10号)の第一の2(1)に、介護保険の訪問看護については「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日 老企第55号)に示されています。計画書の様式には「後遺症」や「再発予防」という名前の欄はありません。麻痺や言葉の出にくさに合わせた援助、再発のサインに気づいたときの連絡、リハビリ職との分担は、目標・療養上の課題・支援内容・訪問予定の職種・備考の各欄に分けて書き込みます。下の表の左から2列目は保医発0327第10号の原文、右の2列は脳梗塞の後遺症のある方の計画書で書く中身と、貴事業所の運用を書き込む欄です。

欄 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(1)) 脳梗塞の後遺症のある方の計画書で書く中身 貴事業所の記入欄
利用者氏名・生年月日・要介護認定の状況・住所 ①「必要な事項を記入すること」 退院の直後は要介護認定の申請中や区分の変更を申請中のことがある。申請の状況を備考に書き、結果が出たら計画書を見直す日を決めておく。麻痺のある側、利き手、言葉の出にくさの有無は記録書Ⅰに残す 認定の状況の確認先:(    )
看護・リハビリテーションの目標 ②「主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて看護及びリハビリテーションの目標を設定し、記入すること」 「再発を予防する」「ADLの拡大」で止めず、ご本人が取り戻したい暮らし(自分で着替える、妻と散歩する、孫と電話で話す等)と、そのために家で続ける行動(再発予防の薬を決まった時刻に飲む、気になる様子を家族が書き留める、練習を続ける)を主語にする 目標の主語の決まり:(    )
年月日 ③「計画書の作成年月日及び計画の見直しを行った年月日を記入すること」 退院した日、介護保険の区分が変わった日、通所リハや訪問リハが始まった・終わった日、再入院から戻った日、処方が変わった日など、時期が移ったきっかけの日を残す 見直しのきっかけの一覧:(    )
療養上の課題・支援内容 ④「看護及びリハビリテーションの目標を踏まえ、指定訪問看護を行う上での療養上の課題及び支援内容並びに評価を具体的に記入すること」 課題の文には、後遺症の種類(麻痺・感覚・言葉・注意・飲み込み等)と、それが家のどの場面に出ているかを、根拠になる事実(ご本人・ご家族の言葉、訪問時に見た動作)とあわせて書く。支援内容はO-P・T-P・E-Pに分け、練習の内容と量は「リハビリ職の評価に基づき」、測る値の目安は「指示書に記載の」の形で書く 課題の根拠の書き方:(    )
評価 ④(同上)。介護保険の老企第55号の記載要領では、評価の欄について「初回の訪問看護サービス開始時においては、空欄であっても差し支えない」とされています 目標ごとに、記録書Ⅱとご家族のメモに残した事実(自分でできた動作、伝わった言葉、食事の様子、気になる様子に家族が気づいて連絡できたか)で書く。「著変なし」「維持」の一語で終わらせない 評価を書く時期:(    )
衛生材料等が必要な処置の有無・処置の内容・衛生材料等・必要量 ⑤「衛生材料等が必要になる処置の有無について○をつけること」「『処置の内容』及び『衛生材料等』について具体的に記入し、『必要量』については1ヶ月間に必要となる量を記入すること」 胃ろうや尿道カテーテル、床ずれの処置を続けている方では、指示書のとおりに処置の内容・種類とサイズ・1か月の必要量を写す。処置がなければ「無」とする。装具や自助具など処置に使わない物はこの欄に書かない 衛生材料の確認先:(    )
訪問予定の職種 ⑥「訪問予定の職種及びその訪問日について、利用者に分かるように記載すること」。看護職員のみによる訪問の場合には記載しなくても差し支えないとされています 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問する方では、職種と曜日を書き、看護師とリハビリ職が何を受け持つかがご本人に分かるようにする。言葉が出にくい方には、カレンダーに職種の印をつけて見せる 職種ごとの受け持ちの伝え方:(    )
備考 ⑦「利用者に対する訪問の計画、特別な管理を要する内容、他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況、その他留意すべき事項等を記入すること」 通所リハ・訪問リハ・通所介護・ヘルパーの曜日、退院時に示された動作や食事の注意、言葉が出にくい方の「はい・いいえ」の伝え方、再発のサインに気づいたときの連絡の順番(主治医の指示による)など 備考に書く項目:(    )

※上記は厚生労働省の通知(保医発0327第10号・老企第55号)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。様式と記載の取扱いは保険者(指定権者)や審査支払機関によって異なる場合があります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

リハビリ職が訪問する方の計画書と報告書|作成者①②・訪問予定の職種・報告書の印と別添を通知の原文で確かめる

脳梗塞の後遺症のある方は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問看護の一環として訪問することの多い方です。看護師とリハビリ職が一つの計画書をどう分けて書くか、報告書のどこに何を残すかを、手元の通知の原文から並べました。

確かめる点 通知の原文 脳梗塞の後遺症のある方で確かめること 貴事業所の記入欄
計画書の作り方の基本(介護保険) 老企第55号 1(1)「訪問看護計画書は、主治の医師の指示、利用者の希望や心身の状況等を踏まえ、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載して作成すること」 ご本人の「もう一度自分で字を書きたい」「畑に出たい」などの希望が、目標と支援内容に入っているか。言葉が出にくい方の希望を、どの方法で確かめたかが記録にあるか 希望を確かめた日と方法:(    )
居宅サービス計画との関係(介護保険) 老企第55号 1(1)「既に居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成するものであること」 ケアプランに書かれた通所リハ・訪問リハ・通所介護・福祉用具の分担と、計画書のリハビリの受け持ちがそろっているか ケアプランの受け取り日:(    )
作成者の欄(介護保険) 老企第55号の記載要領 2(2)⑦「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による指定訪問看護を提供する場合には、『作成者①②』の両方に記入すること」 リハビリ職が訪問する方で、看護師(作成者①)とリハビリ職(作成者②)の両方の氏名と職種が書かれているか。課題と支援内容のうち、どれをどちらが受け持つかが読み取れるか 作成者②の記入の確認:(    )
訪問予定の職種(医療保険) 保医発0327第10号 第一の2(1)⑥。記載例として「看護職員:週に2回、月・金曜日に訪問」「理学療法士:週に1回、木曜日に訪問」が示され、訪問予定の職種と実際に訪問する職種が異なっても差し支えないが「利用者への十分な説明に努めること」とされています 看護師とリハビリ職の曜日を、ご本人とご家族が見て分かる形で書いているか。担当の変更をご本人に伝えた記録があるか 曜日と職種の書き方:(    )
報告書の訪問日の印(医療保険) 保医発0327第10号 第一の2(2)②ロ。看護師等の訪問日を○で、「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士」による訪問日を◇で囲むこととされています 月の報告書で、看護師とリハビリ職の訪問日が印で分けて示されているか 印のつけ方の確認:(    )
報告書の別添(介護保険) 老企第55号の記載要領 2(3)⑪ロ。別添の欄には「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行った指定訪問看護、家族等への指導、リスク管理等の内容について具体的に記入すること」とされています リハビリ職が行った練習、家族に伝えた介助のしかた、練習のときに気をつけたことが、看護師の報告とつながる言葉で書かれているか 別添を書く担当:(    )
記録書Ⅰに書く項目(介護保険) 老企第55号の記載要領 2(4)②。記録書Ⅰには「訪問看護の依頼目的、初回訪問年月日、主たる傷病名、現病歴、既往歴、療養状況、介護状況、生活歴、主治医等の情報、家族等の緊急時の連絡先、担当の介護支援専門員名、指定居宅介護支援事業所等の連絡先、その他関係機関との連絡事項等を記入すること」 発症前の暮らしと役割(生活歴)、麻痺のある側と利き手、退院時に示された注意、通所リハ・訪問リハの事業所の連絡先を初回に残す 生活歴の聞き取り日:(    )
評価と見直し 保医発0327第10号 第一の2(3)③「目標達成の程度及びその効果等について評価を行うとともに、評価に関する内容を訪問看護記録書に記録すること」「必要に応じて訪問看護計画書の見直しを行い、指定訪問看護の改善を図る等に努めなければならないものであること」 時期が移ったとき(退院直後から暮らしが落ち着いた時期へ等)、通所リハの開始や終了、再入院から戻ったときに、評価と見直しを行い、その内容を記録書に残しているか 見直しの記録の担当:(    )
管理者の確認 保医発0327第10号 第一の1(3)。管理者は、指示書、「計画書及び報告書並びに記録書の内容について、助言、指導、確認等十分な管理を行い、指定訪問看護の提供等に遺漏のないよう努めること」 看護師とリハビリ職の記録が別々に止まらず、計画書の評価と報告書に一つの流れとしてまとまっているかを管理者が確かめているか 確認の担当者:(    )

※上記は厚生労働省の通知(保医発0327第10号・老企第55号)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。老企第55号の記載要領の文言は、令和6年の改正(介護保険最新情報Vol.1213 別紙17)で変更のない箇所を、自治体が掲載している通知の写しから引いています。様式と記載の取扱いは保険者(指定権者)や審査支払機関によって異なる場合があります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

発症からの時期で書き分ける|退院直後の数か月・暮らしが落ち着いた時期・再発を防ぐ長い時期(3つの時期の比較表)

脳梗塞の後の訪問看護は、同じ方でも時期によって計画書の重心が変わります。退院直後は、病院と家の違いに戸惑いながら暮らしを組み立て直す時期です。数か月がたつと、通所リハやヘルパーとの曜日が決まり、できることとできないことがはっきりしてきます。その後は、再発を防ぎながら、役割や楽しみを取り戻していく長い時期が続きます。時期の区切りは人によって違うため、何か月で移るかを決めるのではなく、下の表の「暮らしの様子」を見て、どの時期の書き方が合うかを判断します。

観点 退院直後の数か月 暮らしが落ち着いた時期 再発を防ぐ長い時期
暮らしの様子 病院でできた動作が家ではできないことがある。家族も介助に慣れていない。通所やヘルパーの曜日がまだ固まっていない 一日の流れと週の予定が決まり、家での動き方に慣れてくる。できないことへの気持ちの揺れが表に出やすい 暮らしの形がほぼ定まる。通院と薬が日常の一部になり、受診や薬が途切れやすくなる
計画書の重心 家の中で毎日くり返す動作(起きる・トイレ・食事・着替え)を安全に続けること、退院時の注意を家族と共有すること できる動作を増やし、役割(家事・趣味・外出)を少しずつ取り戻すこと 再発の備え(薬・通院・暮らしの習慣・サインに気づいたときの連絡)と、楽しみや人とのつながりを保つこと
目標の主語 「家での動き方を家族と一緒に決め、毎日続けられる」 「自分で〇〇ができる」「〇〇に出かけられる」 「薬と通院を自分の習慣として続けられる」「気になる様子を家族と分け合える」
O-Pの重心 退院時の情報と家での動作の違い、食事と飲み込み、排泄、夜の眠り、家族の介助のしかた できる動作の広がり、練習の続き具合、気分の落ち込み、外出の回数 薬の飲み方、通院の予定、指示書に記載の値の記録の続き具合、生活習慣、言葉や動きの小さな変化
T-Pの重心 動作の手順の確認、皮膚・排泄・食事のケア、家族への介助の実演 リハビリ職と同じやり方で練習を確かめる、役割を担う場面をつくる 薬と記録の仕組みづくり、変化をまとめて主治医に伝える
E-Pの重心 退院時の注意の言い換え、困ったときの連絡先と順番 練習を続けるための工夫、家族の手の貸し方と見守り方の違い 再発のサインの伝え方と、主治医の指示による連絡の順番の確認、受診と薬を途切れさせない工夫
連携の相手 退院元の病院(退院時の情報)、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員 通所リハ・訪問リハ・通所介護、ヘルパー 主治医、薬局、ケアマネジャー、地域の集まりの担い手
見直しのきっかけ 介護保険の区分が出た、通所やヘルパーの曜日が決まった、家族の介助の分担が変わった リハビリの頻度が変わった、通所リハが終わった、できる動作が増えた・減った 処方が変わった、受診が途切れた、言葉や動きの変化があった、再入院から戻った
評価で見る事実 決めた手順で毎日の動作ができた日、家族が介助の手順を言えるか、困ったときに連絡できたか 自分でできた動作の数と場面、外出した日、本人の言葉の変化 薬の飲み忘れの数、受診の予定どおりの通院、気になる様子に家族が気づいて連絡した場面
起きやすい書き方のずれ 病院の看護計画をそのまま写し、家の場面が書かれていない 「ADLの拡大」の一語で、何を取り戻すのかが書かれていない 「再発予防」の一語で、誰が何を続けるのかが書かれていない

※上記は当社が作成した記載のイメージです。時期の区切りと計画の内容は、主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

退院直後の数か月|最初の訪問から確かめる12項目と、記録書Ⅰ・計画書への残し方

退院直後は、病院から届いた情報と家での実際の様子の違いを埋める時期です。最初の数回の訪問で確かめておくと、その後の計画書の課題がはっきりします。内容の元は退院時の情報と指示書です。数値や薬の名前は、元の書類のとおりに写します。

確かめる項目 確かめ方 残す場所 計画書への書き方の例
退院時に示された動作の注意 退院時の情報や看護サマリーの写しを、ご本人・ご家族と一緒に読み合わせる 記録書Ⅰ(その他関係機関との連絡事項) 備考:退院時に示された動作の注意(写しのとおり)を家族とヘルパーに共有する
麻痺のある側・利き手・感覚の鈍さ ご本人に聞き、着替え・食事の場面で見る 記録書Ⅰ(療養状況) 課題:左手に力が入りにくく感覚も鈍いため、熱い湯のみを左手で持つ場面がある
言葉の出にくさ・理解のしかた 話しかけたときの返事、紙に書いた質問への反応を見る。言語聴覚士の評価があれば写しを受け取る 記録書Ⅰ(療養状況) 備考:はい・いいえは、うなずきと首振りで確かめる
食事の形と飲み込み 退院時に示された食事の形と、家で実際に出ている食事を見比べる 記録書Ⅰ・記録書Ⅱ 課題:退院時に示された食事の形と、家で出ている食事の形が違う日がある
排泄の方法と夜のトイレ 昼と夜の排泄の方法、夜に起きる回数をご家族に聞く 記録書Ⅱ O-P:夜に起きた回数と、ポータブルトイレを使えたかを家族のメモで確かめる
家の中の動き方 寝室・トイレ・食卓までを一緒に動いてみる(転倒の観点は転倒予防の記事を参照) 記録書Ⅱ T-P:寝室からトイレまでの動き方を、リハビリ職と決めた手順で一緒に確かめる
薬の受け取りと飲み方 薬剤情報提供書と手元の薬、飲み方(一包化・お薬カレンダー等)を見る 記録書Ⅰ(既往歴・療養状況) T-P:薬の名前と量は薬剤情報提供書のとおりとし、飲み方の仕組みを家族と決める
指示書に記載の測定と連絡の目安 指示書を読み、測る値と測る時刻、主治医へ連絡する目安を確かめる 計画書(O-P)・記録書Ⅱ O-P:指示書に記載の方法で測り、指示書に記載の連絡の目安のときは主治医に報告する
皮膚の状態 麻痺側のかかと・お尻・肩の下など、圧がかかる所を見る 記録書Ⅱ O-P:麻痺側のかかと・仙骨部の皮膚の色を訪問のたびに見る
気持ちの揺れ 「家に帰れてうれしい」「前と同じにできない」など、ご本人の言葉をそのまま聞く 記録書Ⅱ(本人の言葉) O-P:できないことについての本人の言葉と、表情、食欲や眠りの変化を聞く
家族の介助と疲れ 介助の担い手、夜の付き添い、家族自身の体調を聞く 記録書Ⅰ(介護状況) E-P:家族の疲れをケアマネジャーに伝え、休める日の工夫を相談する
再発のサインに気づいたときの連絡 主治医の指示と事業所の手順で決まっている連絡の順番を、ご家族と確かめる 記録書Ⅰ(緊急時の連絡先) E-P:主治医の指示による連絡の順番を紙に書いて電話の横に貼る

※上記は当社が作成した記載のイメージです。退院時の情報・指示書・処方の内容は元の書類のとおりに写し、実際の記載は事業所の様式に従ってください。

時期が移ったときの書き直し|同じ欄を3つの時期でどう書き換えるか(8組)

時期が移っても計画書を書き換えないままにすると、退院直後の注意だけが残り、今の暮らしと合わなくなります。同じ欄を3つの時期でどう書き換えるかの例です。

欄 退院直後の数か月 暮らしが落ち着いた時期 再発を防ぐ長い時期
長期目標 家族と決めた手順で、トイレと食事を家で続けられる 自分で着替えて、週に何日か通所リハに出かけられる 薬と通院を続けながら、妻と近所の公園まで散歩する日を持てる
短期目標 退院時に示された注意を、家族とヘルパーが同じ言葉で言える 前開きの上着を、作業療法士と決めた順番で自分で着られる お薬カレンダーを使い、飲み忘れに本人が自分で気づける
課題(食事) 退院時に示された食事の形と、家で出ている食事の形が違う日がある 食事に時間がかかり、途中で疲れて食べる量が減る日がある 家族と同じ食事を食べたい気持ちが強く、塩気の多いおかずを選びがちである
課題(動作) 病院で練習した立ち上がりが、家の低いベッドではできない 右手を使う場面が少なく、左手だけで家事をこなそうとして疲れる 以前と比べて歩く速さが落ちたと本人が話し、外出を控えている
O-P 退院時の情報と家での動作の違い、食事・排泄・夜の眠りを訪問のたびに見る 練習を続けた日、できるようになった動作、気分の落ち込みを聞く 薬の残り、通院の予定と実際、指示書に記載の値の記録、言葉や動きの小さな変化を聞く
T-P 立ち上がりとトイレの手順を、リハビリ職と決めたとおりに一緒に行う 作業療法士の示した順番で着替えを一緒に確かめ、できた所を本人と確認する 薬の飲み方と記録の仕組みを本人・家族と見直し、変化をまとめて主治医に伝える
E-P 困ったときの連絡先と順番を、紙に書いて電話の横に貼る 手を貸す場面と見守る場面の違いを、家族に場面で伝える 再発のサインと主治医の指示による連絡の順番を、家族と年に何回か確かめ直す
備考 退院時の注意の写しの保管場所、ヘルパー・福祉用具の事業所 通所リハ・訪問リハの曜日と受け持ち 通院先と次の受診日、薬局、地域の集まりの曜日

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

後遺症の種類別の観察と援助|麻痺・感覚・失語・構音・高次脳機能・嚥下・肩の痛み・排尿・気分の変化など10種

脳梗塞の後遺症は、どこに起きたかによって人ごとに組み合わせが違います。同じ「右片麻痺」でも、言葉の出にくさがある方とない方、注意が片側に向きにくい方とそうでない方では、計画書の課題も家族への伝え方も変わります。下の表は、後遺症の種類ごとに、暮らしのどの場面に出やすいか、何を観察し、どう援助と説明を書くかをまとめたものです。後遺症の種類と程度は、退院時の情報やリハビリ職の評価から写し、看護師が判断して名前をつけることはしません。

後遺症の種類 暮らしで出やすい場面 O-Pで見ること T-P・E-Pの書き方 主な連携先
手足の麻痺(片麻痺) 立ち上がり、トイレ、着替え、食事で片手しか使えない 麻痺側の手足の動き、動作の手順、疲れが出る時間帯、装具のあたる所の皮膚 リハビリ職が示した手順で動作を一緒に確かめ、家族とヘルパーに同じ言葉で伝える 理学療法士・作業療法士、通所リハ、福祉用具専門相談員
感覚の鈍さ・しびれ 熱い物・冷たい物に気づきにくい、麻痺側の手を挟んでも気づかない 麻痺側の皮膚の傷・やけど・あざ、本人のしびれの訴え 湯たんぽや熱い器を麻痺側に置かない工夫を本人・家族と決める 作業療法士、家族、ヘルパー
失語(言葉が出にくい・分かりにくい) 言いたいことが言葉にならない、話しかけの理解に時間がかかる 伝わる方法(うなずき・指さし・書字・絵)、伝わらないときの表情と様子 伝わる方法を言語聴覚士と確かめ、家族とヘルパーで同じ方法を使う 言語聴覚士、家族
構音障害(ろれつが回りにくい) 言葉は分かっているが聞き取りにくい、電話で伝わりにくい 聞き取りにくさの変化、疲れたときや食後の違い ゆっくり話してもらい、聞き返すときは聞き取れた所まで繰り返す 言語聴覚士、家族
注意が片側に向きにくい(半側空間無視) 片側のおかずを残す、片側の物にぶつかる、片側から話しかけても気づかない 見落とす側の物、ぶつかる場所、気づいたときの本人の反応 よく使う物の置き場所と話しかける側を家族と決める 作業療法士、家族
注意・記憶・段取りの難しさ(高次脳機能障害) 手順の多い家事が途中で止まる、薬を飲んだか忘れる、疲れやすい 止まる手順、忘れやすいこと、疲れが出る時刻、本人の困りごとの言葉 手順を紙に書いて目につく所に貼る、薬の確かめ方の仕組みを家族と決める 作業療法士、言語聴覚士、家族、ケアマネジャー
飲み込みにくさ(嚥下障害) 食事中のむせ、口の中にためる、麻痺側の頬に食べ物が残る むせる場面、口の中の残り、食後の声の変化、食べる量と時間 食事の姿勢と形を退院時の情報と言語聴覚士の助言のとおりに整える 言語聴覚士、歯科、家族、ヘルパー
麻痺側の肩の痛み 着替えや寝返りで肩が痛む、腕がぶら下がった姿勢が続く 痛む動作と時刻、本人の痛みの言葉、腕の置き方 着替えの袖を通す順番と腕の置き方を、リハビリ職の示したとおりに家族と確かめる 理学療法士・作業療法士、主治医
排尿・排便の変化 トイレまで間に合わない、夜のトイレが多い、便秘 トイレの回数と時刻、間に合わなかった場面、便の回数と性状 トイレまでの動線とポータブルトイレの置き場所を決め、変化を主治医に伝える 主治医、ケアマネジャー、家族
気分の落ち込み・感情の揺れ 「前と同じにできない」と話す、涙もろくなる、外に出たがらない 本人の言葉、表情、食欲と眠り、外出や練習への気持ちの変化 気持ちを否定せずに聞き、続くときは主治医に伝える。家族にも伝え方を共有する 主治医、ケアマネジャー、家族

※上記は当社が作成した記載のイメージです。後遺症の種類と程度は退院時の情報とリハビリ職の評価に、援助の内容は主治医の指示書とリハビリ職の評価に従ってください。

片麻痺の看護計画|短期目標と長期目標の記載例(8つの場面・16例)

片麻痺のある方の短期目標は、「麻痺の改善」のような体の機能だけで書かず、家のどの場面で、どの手順で、何ができるようになるかを書きます。麻痺のある側に合わせて動作の左右が入れ替わる点は、ケアプランの側の記事(脳血管疾患の方のケアプラン文例)で場面ごとに詳しく扱っています。転倒の観点(装具・杖・夕方の疲れ・つまずき)は、転倒予防の看護計画の記事を参照してください。

場面 長期目標の記載例 短期目標の記載例 評価のときに見る事実
起き上がり・立ち上がり(右片麻痺) ベッドから起きて、居間で家族と朝ごはんを食べる暮らしを続けられる 理学療法士と決めた手順で、手すりを左手でつかんでベッドから立ち上がれる 訪問時に見た立ち上がりの手順、家族のメモにある朝の様子
トイレ(左片麻痺) 昼も夜も、自分でトイレに行って用を足せる トイレの中で、右手で手すりをつかんでから向きを変える順番を守れる トイレで見た動作、夜のトイレの様子についての家族の話
着替え(右片麻痺) 外出の日に、自分で選んだ服を着て出かけられる 前開きの上着を、麻痺側の右腕から袖を通す順番で自分で着られる 着替えにかかった様子、手伝いが要った所
食事(右片麻痺・利き手が右) 家族と同じ食卓で、自分の手で食事を続けられる 作業療法士と選んだ食器と道具を使い、左手で主食とおかずを口に運べる 食事の様子、残した物、本人の言葉
入浴(左片麻痺) 家の風呂で、湯船につかる楽しみを続けられる 訪問看護の入浴の場面で、決めた手順で洗い場から浴槽への移動を一緒に行える 入浴の手順のうち自分でできた所、入浴後の疲れ
家事(右片麻痺・調理を担ってきた) 夫の好きな料理を、自分で作れる日を持てる 作業療法士と決めた片手で使える道具で、野菜を切る場面を週に何回か持てる 台所に立った日、使えた道具、本人の表情と言葉
外出(左片麻痺・注意が左に向きにくい) 家族と一緒に、月に何回か近所の店まで買い物に行ける 家の前の道を家族と歩き、左側の電柱や自転車に気づいて声に出せる 一緒に歩いた日、気づけた場面と気づけなかった場面
麻痺側の手の使い方(右片麻痺・回復の途中) 右手も使って、身の回りのことを続けられる 作業療法士の示した練習を、訪問のない日も朝食後に自分で続けられる 練習を書いたカレンダーの印、手の使い方についての本人の話

※上記は当社が作成した記載のイメージです。動作の手順と練習の内容・量は、リハビリ職の評価と主治医の指示書に従ってください。

注意・記憶・段取りの難しさ(高次脳機能障害)|見える様子を課題の文と家族への言い換えに直す(8例)

高次脳機能障害は外から見えにくく、ご家族が「わがままになった」「怠けている」と受け取ってしまうことがあります。計画書には評価の言葉ではなく見えた様子を書き、ご家族には責める形にならない言い方で伝えます。名前のつけ方と程度は、退院時の情報やリハビリ職の評価に従います。

見える様子 計画書の課題の文 ご家族への伝え方
左側のおかずだけを毎回残す 食事のとき、左側に置いたおかずに気づかず残すことが続いている 見えていないのではなく、左側に気持ちが向きにくいことがあります。お皿を右側に寄せるか、途中で「左にもありますよ」と声をかけてみてください
台所で煮物を作り始めて、途中で止まってしまう 手順の多い家事で、次に何をするかが分からなくなり途中で止まる場面がある 手順を一つずつ紙に書いて台所に貼ると、続けやすくなることがあります。止まったときは次の一つだけを伝えてください
薬を飲んだかどうかを覚えていない 朝の薬を飲んだかどうかを本人が思い出せず、二度飲みしそうになったことがある 覚えておくことに頼らず、飲んだらカレンダーの袋を空にする形にしましょう。空かどうかで確かめられます
昼過ぎになると急に返事が少なくなる 昼過ぎに疲れが出やすく、話しかけへの反応が遅くなる 疲れやすさも後遺症の一つです。大事な話や練習は午前中にして、昼過ぎは休む時間にしてみてください
同じことを何度も聞く 次の受診日を一日に何度も家族に確かめる 不安から聞いていることもあります。カレンダーの見える所に書いて、聞かれたら一緒に見てください
急に怒り出したり、涙ぐんだりする ささいなきっかけで気持ちが大きく揺れ、本人もそのことに戸惑っている 気持ちの揺れも後遺症として起きることがあります。その場で理由を問いただすより、少し間を置いてから話しかけてください
一人でできると言って手助けを断るが、途中で危ない場面がある 自分でできる範囲を本人が多めに見積もり、手助けを断る場面がある できる気持ちは大切にしながら、危ない場面だけはそばで見守る、と決めておきましょう。どの場面かを一緒に書き出します
テレビの音があると話が続かない 周りに音や動きがあると、話や作業に集中しにくい 大事な話のときはテレビを消して、一つずつ話すと伝わりやすくなります

※上記は当社が作成した記載のイメージです。後遺症の名前と程度は退院時の情報とリハビリ職の評価に従い、看護師が診断にあたる判断を書かないようにしてください。

嚥下障害の看護計画|脳梗塞の後のむせ・口の中の残り・食事の時間(5課題の目標と支援内容)

脳梗塞の後の飲み込みにくさは、麻痺側の頬に食べ物が残る、注意が片側に向きにくくて口に運ぶ量が多くなる、疲れて途中から姿勢が崩れる、など後遺症の組み合わせで現れ方が変わります。食事の形・とろみ・姿勢は、退院時の情報と言語聴覚士の助言のとおりに写します。肺炎を起こした後の計画は、誤嚥性肺炎の看護計画の記事で詳しく扱っています。

療養上の課題 短期目標 O-P(観察) T-P(ケア) E-P(説明・相談)
右の頬の内側に食べ物が残ったまま、次のひと口を入れることがある ひと口ごとに飲み込んだのを確かめてから、次のひと口を入れられる 食後の口の中の残り、麻痺側の頬の内側、食後の声の変化を見る 食後に口の中を一緒に見て、残った物を取り除き、口腔ケアを行う ひと口ごとに飲み込みを確かめる声かけを、言語聴覚士と同じ言葉で家族に伝える
食事の後半になると姿勢が左に傾き、むせが増える 食事の終わりまで、決めた姿勢で食べられる 食べ始めと終わりの姿勢、むせが増える時点、食事にかかる時間を見る 言語聴覚士の助言のとおりにクッションの位置を整え、途中で姿勢を直す 疲れたら途中で休んでよいこと、量より安全を優先することを家族と話す
家族と同じ食事を食べたい気持ちが強く、示された食事の形と違う物を食べる日がある 示された食事の形の中から、食べたい物を本人が選べる 実際に出ている食事の形、むせた食べ物、本人の言葉を聞く 家族と一緒に、示された形のまま作れる献立を考える 食事の形を変えたいときは、自己判断ではなく言語聴覚士と主治医に相談することを伝える
水やお茶でむせることがあり、飲む量が減っている 示されたとろみの形で、一日の飲み物を自分で飲める 飲み物でむせる場面、一日に飲んだ量(家族のメモ)、尿の回数と口の渇きを見る 示されたとろみのつけ方を家族と一緒に作って確かめる 飲む量が減ったときの連絡の目安は指示書に記載のとおりとし、家族と確かめる
右手で入れ歯を外しにくく、口腔ケアが朝だけになっている 家族の手を借りて、毎食後に入れ歯を外して口の中をきれいにできる 口の中の汚れ、入れ歯のあたる所、口腔ケアの回数を見る 片手で使える道具を作業療法士・歯科と相談し、手順を一緒に確かめる 口の中をきれいに保つことが食べることを続ける助けになることを、本人・家族に伝える

※上記は当社が作成した記載のイメージです。食事の形・とろみ・姿勢・連絡の目安は、退院時の情報、言語聴覚士の助言、主治医の指示書に従ってください。

背景と暮らし別|脳梗塞の看護目標の記載例(12の背景・長期と短期あわせて24例)

目標は、看護師が行うこと(「再発予防の指導を行う」)でも、病気の状態(「麻痺の改善」)でもなく、ご本人がどんな暮らしを取り戻し、続けるか、そのために家で何をするかを主語にします。短期目標は、次の評価の時期までに記録書Ⅱやご家族のメモで確かめられる姿にしておくと、評価で迷いません。

背景 長期目標の記載例 短期目標の記載例 評価のときに見る事実
退院直後・妻と二人暮らし・右片麻痺 妻の介助を受けながら、家での毎日の暮らしを続けられる 退院時に示されたトイレの手順を、本人と妻が同じ順番で言えて、その手順で行える 妻のメモにあるトイレの様子、訪問時に見た手順
退院直後・日中は一人・左片麻痺 家族が仕事のあいだも、家で落ち着いて過ごし続けられる 昼食・水分・トイレを、ヘルパーと決めた時刻と手順で済ませられる ヘルパーの記録、昼の様子についての本人の話
言葉が出にくい・夫婦で暮らす 伝えたいことを家族に伝えながら、夫婦の暮らしを続けられる 言語聴覚士と作った絵と文字のカードで、「トイレ」「痛い」「寒い」を夫に伝えられる カードを使えた場面、夫の話
ろれつが回りにくい・電話で友人と話すのが楽しみ 友人との電話を、自分の楽しみとして続けられる 言語聴覚士の示した練習を朝に続け、家族と短い会話を電話で試せる 練習を続けた日、電話を試した日と本人の感想
注意が左に向きにくい・一人で歩きたい 家の中を自分で動き、居間と寝室を行き来できる よく使う物を右側に置き直した後、左側の家具にぶつかる場面が減る 家族の記録にある「ぶつかった」場面の数と場所
段取りが難しい・料理を担ってきた 家族のために、簡単な料理を自分で作れる日を持てる 手順を書いた紙を見ながら、味噌汁を一人で最後まで作れる 台所に立った日、紙を見て続けられた手順
飲み込みにくい・家族と食卓を囲みたい 家族と同じ食卓で、むせずに食事を楽しめる 示された姿勢と食事の形で、食事の終わりまで食べられる 食事の様子、むせた場面、食べた量
気分が落ち込んでいる・外に出なくなった 以前の趣味の集まりに、また顔を出せる 家の前の庭に出る時間を、週に何日か持てる 庭に出た日、本人の言葉の変化
通所リハに通っている・落ち着いた時期 自分でできることを保ちながら、通所リハに通い続けられる 通所リハで練習した着替えの手順を、家でも同じように行える 通所リハの記録と家での様子の突き合わせ
再発を防ぐ長い時期・薬を飲み忘れる 薬と通院を自分の習慣として続け、今の暮らしを保てる お薬カレンダーを使い、飲み忘れたときは本人が自分で気づいて家族に伝えられる カレンダーの残りの数、本人の言葉
再発を防ぐ長い時期・家族が様子の変化に気づけるか不安 家族が様子の変化に気づいたときに、迷わず連絡できる体制で暮らしを続けられる 主治医の指示による連絡の順番を書いた紙を見て、家族がその順番を言える 家族が順番を言えたか、変化に気づいたときの連絡の記録
2回目の脳梗塞の後・寝て過ごす時間が長い 本人が望む過ごし方を、家族と支援者が同じ理解で支え続けられる ベッドの上で過ごす時間と起きて過ごす時間の一日の流れを、本人・家族と話し合って決められる 話し合った日と内容、本人・家族の言葉

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

脳梗塞の看護計画の短期目標を書くときの決まり(8項目)

短期目標は、長期目標に向かう途中の一歩です。脳梗塞の後の短期目標でつまずきやすい点を、決まりの形でまとめました。期間の決め方は事業所の運用と居宅サービス計画の期間に合わせます。

決まり 避けたい書き方 直した書き方
主語は本人(または家族)にする 「着替えの介助を行う」 前開きの上着を、作業療法士と決めた順番で自分で着られる
体の機能ではなく、暮らしの場面で書く 「右上肢の筋力が向上する」 右手でコップを支え、左手でお茶を注げる
確かめる方法が決まっている 「言葉が出るようになる」 絵と文字のカードで、「トイレ」「痛い」「寒い」を家族に伝えられる
長期目標とつながっている 長期目標が「散歩」なのに短期目標が「食事の自立」 家の前の道を家族と一緒に、決めた所まで歩ける
評価の時期までに届く大きさにする 「一人で買い物に行ける」(退院直後の短期目標として) 家の中で、寝室から居間まで決めた道すじを歩ける
練習の内容と量はリハビリ職の評価に従う 「毎日歩行練習を行う」(回数を看護師が決めて書く) 理学療法士の示した練習を、訪問のない日も自分で続けられる
家族の目標を本人の目標と分ける 「家族が介護できる」 妻が、立ち上がりのときに手を添える場所と声のかけ方を言える
再発予防は、本人の行動で書く 「再発しない」 朝と夕の薬を決まった時刻に飲み、飲んだらカレンダーの袋を空にできる

※上記は当社が作成した記載のイメージです。目標の期間と内容は、主治医の指示書と利用者の状態、居宅サービス計画、事業所の様式に従ってください。

ご本人・ご家族の言葉を目標の文に置き換える(「もう一度台所に立ちたい」「迷惑をかけたくない」など8例)

聞き取った言葉 言葉の奥にある願い 目標の文(記載例)
「もう一度台所に立ちたい」(本人) 家の中の役割を取り戻したい 片手で使える道具を使って、簡単な料理を自分で作れる日を持てる
「家族に迷惑をかけたくない」(本人) 自分でできることを自分でしたい トイレと着替えを、決めた手順で自分で行える
「何を言っているのか分かってもらえない」(本人・身振りで) 気持ちを分かってもらいたい カードと身振りで、困ったことと欲しい物を家族に伝えられる
「また倒れたらどうしよう」(本人) 再発への不安を軽くしたい 薬と通院を続け、気になる様子のときの連絡のしかたを本人と家族が分かって暮らせる
「孫の運動会を見に行きたい」(本人) 家族の行事に参加したい 車いすで家族と出かけ、外で過ごす時間を持てる
「夜中に何度も起こされて眠れない」(妻) 夜に眠りたい 夜のトイレの動線を整え、本人と妻がともに夜に眠れる暮らしを続けられる
「どこまで手伝えばいいのか分からない」(娘) 手の貸し方を知りたい 娘が、手を貸す場面と見守る場面の違いを、紙を見て言える
「前の父と違ってしまった」(息子) 変わったことを受け止めたい 息子が、後遺症による変化と、本人ができることを、看護師と一緒に確かめられる

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

「身体可動性障害」「言語的コミュニケーション障害」などの看護診断名を、在宅の課題欄の一文に直す(8例)

病院や看護過程で使う看護診断名は、在宅の計画書では課題の見出しにはなっても、そのままでは何が起きているかが伝わりません。家の場面と根拠になる事実を入れた一文に直します。

看護診断名・病院の看護問題 在宅の課題欄の一文(記載例)
身体可動性障害 右片麻痺があり、低いベッドから立ち上がるときに妻の介助が要り、妻の腰の痛みが強くなっている
言語的コミュニケーション障害 言いたい言葉が出にくく、伝わらないときに黙り込んでしまい、トイレを伝えるのが遅れることがある
嚥下障害 右の頬の内側に食べ物が残ったまま次のひと口を入れることがあり、食事の後半にむせが増える
セルフケア不足(更衣) 左手だけで着替えようとして、上着の右の袖を通すのに時間がかかり、外出をやめる日がある
片側無視 食事のとき左側のおかずを残し、家の中では左側の戸口の柱に肩をぶつけることがある
非効果的健康管理 朝の薬を飲んだかどうかを思い出せず、飲み忘れと二度飲みしそうになる日がある
自己概念の混乱・不安 「前と同じにできない」と話し、通所リハの日に行きたくないと言うことが増えている
介護者役割緊張 娘が仕事と夜の付き添いを続け、「このままでは続かない」と話している

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

評価尺度を計画書でどう扱うか|尺度の名前と記録の決まり(6項目)

脳梗塞の後の方では、病院や通所リハ・リハビリ職から、日常生活の動作や飲み込みの評価の結果が届くことがあります。点数の区切りやその意味は、評価した職種の説明と元の書類に従い、この記事では書いていません。計画書では、結果を写すときの決まりを事業所で決めておきます。

扱う場面 尺度・評価の名前の例 計画書・記録での扱いの決まり
日常生活の動作の評価が退院時の情報に書かれている Barthel Index(バーセルインデックス)、FIM(機能的自立度評価法) 評価した日と評価者、結果を元の書類のとおり写す。点数だけでなく、家で見た動作の様子を並べて書く
介護保険の書類に使う自立度 障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度 判定した日と判定者を残す。報告書の別添の欄に書く方では、欄の決まりに合わせる
飲み込みの評価が言語聴覚士や病院から届く 改訂水飲みテスト、反復唾液嚥下テスト 結果と、それに基づいて示された食事の形・とろみ・姿勢を、元の書類のとおり写す。看護師が独自に評価を変えない
病院での神経の症状の評価が書かれている NIHSS など病院で使う尺度 退院時の情報として記録書Ⅰに写すにとどめ、在宅での評価は家での動作と本人の言葉で書く
同じ尺度で前回と比べる リハビリ職が定期に使う尺度 比べるときは、評価者と評価の場(家・通所リハ等)が同じかを書き添える
尺度の結果を家族に伝える 上記の尺度全般 点数ではなく、家でできることとできないことの言葉で伝える

※上記は当社が作成した記載のイメージです。尺度の使い方と結果の解釈は、評価した職種と主治医の判断に従ってください。

療養上の課題・支援内容|脳梗塞のO-P・T-P・E-P記載例(12課題・36例)

O-P(観察)・T-P(ケア)・E-P(説明・相談)は、「麻痺の観察」「ADL援助」「再発予防の指導」の一語で止めず、どの場面で・何を・どの方法で・誰に伝えるかまで書きます。練習の内容と量、測る値の目安は、すべて「リハビリ職の評価に基づき」「指示書に記載の」の形にしています。実際の内容は指示書と評価から写してください。

療養上の課題(課題欄の文) O-P(観察) T-P(ケア) E-P(説明・相談)
退院直後で、病院で練習した立ち上がりが家の低いベッドではできず、妻の介助が要っている 立ち上がりの手順、手をつく所、妻の介助のしかたと腰の痛みの訴えを訪問のたびに見る 理学療法士と決めた手順で立ち上がりを一緒に行い、ベッドの高さの相談をケアマネジャーと福祉用具専門相談員につなぐ 妻に、手を添える場所と声をかける順番を、理学療法士と同じ言葉で伝える
右手で食事をとれず、左手でのスプーンの操作に時間がかかり、途中で疲れて食べる量が減っている 食事にかかる時間、こぼす量、疲れが出る時点、食べた量を家族のメモと訪問時の様子で見る 作業療法士と選んだ食器と道具を使う場面を一緒に確かめる 疲れたら途中で休んでよいこと、食べやすい器の並べ方を家族と決める
言いたい言葉が出にくく、伝わらないと黙り込み、トイレを伝えるのが遅れることがある 伝わる方法(うなずき・指さし・カード)、伝わらないときの表情、トイレの間に合わなかった場面を見る 言語聴覚士と作ったカードを使い、はい・いいえで答えられる聞き方で確かめる 家族とヘルパーに、カードの使い方と聞き方を同じ形で伝える
左側のおかずを残し、左側の戸口の柱に肩をぶつけることがある 残すおかずの位置、ぶつかる場所と時刻、気づいたときの本人の反応を見る 器の置き方と、よく使う物の置き場所を家族と決めて整える 左側に気持ちが向きにくいことを家族に伝え、声をかける側と言葉を決める
朝の薬を飲んだかどうか思い出せず、飲み忘れと二度飲みしそうになる日がある お薬カレンダーの残り、飲み忘れの日と時刻、本人と家族の話を見る 薬の名前と量は薬剤情報提供書のとおりとし、一包化やカレンダーなど飲み方の仕組みを薬局と相談して整える 自分の判断で薬をやめたり減らしたりせず、気になるときは当ステーションか薬局に相談するよう伝える
右の頬の内側に食べ物が残り、食事の後半にむせが増える 食後の口の中の残り、むせる時点、食後の声の変化と食べた量を見る 言語聴覚士の助言のとおりに姿勢を整え、食後に口の中を確かめて口腔ケアを行う ひと口ごとに飲み込みを確かめる声かけを家族に伝える
麻痺側の右肩が着替えのたびに痛み、着替えを嫌がるようになっている 痛む動作と時刻、本人の痛みの言葉、座っているときの腕の置き方を見る リハビリ職の示した袖を通す順番と腕の置き方で、着替えを一緒に行う。痛みの変化を主治医に報告する 腕を引っぱらないこと、袖は麻痺側から通すことを家族に実演して伝える
夜のトイレが増え、間に合わずに下着を汚すことがあり、本人が気にしている 夜に起きた回数と時刻、間に合わなかった場面、尿の様子と本人の言葉を見る ポータブルトイレの置き場所と夜の動線を家族と決め、回数の変化を主治医に伝える 汚れたときの片づけを本人が気にしすぎないよう、使いやすい下着や敷物を家族と考える
「前と同じにできない」と話し、通所リハに行きたくないと言うことが増えている 本人の言葉、表情、食欲と眠り、通所を休んだ日を聞く 気持ちを否定せずに聞き、続くときは主治医とケアマネジャーに伝える できるようになったことを本人と一緒に振り返り、通所リハの担当者とも共有する
指示書に記載の値を家で測る指示があるが、測った値の記録が途切れがちである 記録の続き具合、測る時刻、指示書に記載の連絡の目安にあたる値があったかを見る 測る時刻と記録の場所を本人・家族と決め、訪問時に記録を一緒に見る。連絡の目安のときは主治医に報告する 記録の目的と、指示書に記載の連絡の目安を、本人・家族が分かる言葉で伝える
家族と同じ食事を好み、塩気の多いおかずを選びがちで、主治医から食事について説明を受けている 食事の内容、外食や買ってくるおかずの回数、本人の好みと気持ちを聞く 主治医・管理栄養士から示された食事の注意を、家族と一緒に献立で確かめる 好きな物をやめさせる形ではなく、示された注意の範囲で楽しめる工夫を本人と考える
一人の時間に様子の変化があっても、家族への連絡が遅れるかもしれないと家族が心配している 一人の時間帯、電話の位置、緊急通報の機器の有無、家族の不安の言葉を聞く 主治医の指示による連絡の順番を家族と確かめ、紙に書いて電話の横に貼る 気になる様子の伝え方(いつから・どこが・どう変わったか)を家族と一緒に練習する

※上記は当社が作成した記載のイメージです。練習の内容、測る値の目安、連絡の目安、食事の注意は、主治医の指示書とリハビリ職・管理栄養士の評価に従ってください。

再発のサインとご家族が救急を呼ぶ場面の伝え方|様子の言い換え・連絡の順番・電話で伝えること

再発を防ぐ長い時期の計画書で大切なのは、薬と通院を続けることに加えて、様子が変わったときに、ご家族が迷わずに動けることです。看護師が訪問しているのは一週間のうちのわずかな時間で、変化に最初に気づくのはご家族やヘルパーであることがほとんどです。どの様子のときに救急車を呼ぶか、主治医に先に連絡するか、当ステーションへの連絡をどの順番にするかは、主治医の指示と事業所の手順によって決まります。この記事ではその目安を書かず、主治医から示された内容をご家族の言葉に置き換えて紙に写す方法をまとめています。

ご家族が気づく様子(ご家族の言葉への言い換え例) 看護師が日ごろ確かめておくこと 主治医の指示を写す欄
「顔の片側が下がって見える」「口の端からお茶がこぼれる」 ふだんの顔の表情と口の動き(もとの麻痺による違いを家族と確かめておく) 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)
「麻痺のない側の手や足にも力が入らない」「急に箸を落とす」 麻痺のない側のふだんの動き、ふだん持てる物 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)
「急に言葉が出なくなった」「ろれつがいつもより回らない」 ふだんの話し方と言葉の出にくさの程度(もとの後遺症との違い) 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)
「話しかけても、言っていることが通じない」「急に話がかみ合わない」 ふだんの理解のしかた、疲れたときの様子 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)
「物が二重に見えると言う」「片側が見えないと言う」 ふだんの見え方、注意が向きにくい側の有無 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)
「急にふらついて、立てない・歩けない」 ふだんの立ち上がりと歩き方、疲れたときの違い 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)
「今までにないほど頭が痛いと言う」「吐いた」 ふだんの頭痛の有無と様子 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)
「呼んでも反応が鈍い」「いつもより眠り込んでいる」 ふだんの眠りの時間帯と起こしたときの反応 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)
「急に飲み込めなくなった」「水でいつもよりむせる」 ふだんの食事と飲み物の様子 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)
「手足が勝手に震える・つっぱる」 これまでに同じ様子があったか(記録書Ⅰの既往歴・現病歴) 連絡の順番:(主治医の指示のとおり)

※上記は当社が作成した記載のイメージです。どの様子のときにどこへ連絡するか、救急車を呼ぶかどうかの目安は、主治医の指示と事業所の手順に従ってください。様子の言い換えは、もとの後遺症との違いを家族と確かめるための例です。

ご家族と決めておく「様子が変わったときの紙」の項目(10項目)

主治医の指示と事業所の手順をもとに、ご家族と一緒に作る紙の項目です。紙は電話の横や冷蔵庫など、ご家族とヘルパーの目につく所に貼り、計画書の備考に「どこに貼ったか」を書きます。内容が変わったら紙も作り直します。

項目 書き方の例 確かめる相手
連絡の順番 主治医から示された順番をそのまま書く(救急・主治医・当ステーション・家族のどれを先にするか) 主治医、管理者
連絡先の電話番号 主治医、当ステーション(夜間の連絡先を含む)、家族、ケアマネジャー 家族
気づいた時刻を書く欄 「様子が変わったのに気づいた時刻」「最後にいつもどおりだった時刻」を書く欄 家族、ヘルパー
電話で伝えること いつから・どこが・どう変わったか、ふだんとの違い 家族
手元に用意する物 お薬手帳、保険証、退院時の情報の写しの置き場所 家族
ふだんの様子の書き置き 麻痺のある側、ふだんの話し方、ふだん持てる物を短く書く(もとの後遺症との違いを伝えるため) 家族、リハビリ職
ヘルパーや通所の担当者が気づいたとき ヘルパー・通所の担当者が誰に連絡するか(事業所どうしの取り決め) ケアマネジャー、各事業所
本人の希望 運ばれる病院や、延命についての希望を本人・家族と話し合っている場合はその記録の場所 本人、家族、主治医
見直した日 紙を作った日と見直した日 管理者
迷ったときの一言 「迷ったら連絡してください」と書き添え、連絡したことを責めない姿勢を伝える 家族

※上記は当社が作成した記載のイメージです。連絡の順番と目安は主治医の指示と事業所の手順に従い、本人の希望に関わる内容は本人・家族・主治医と話し合った内容を写してください。

再発を防ぐ長い時期の観察と支援|薬・値の記録・食事・活動・受診・暮らしの変化(8項目)

長い時期は、訪問の回数が減ったり、訪問看護が終わったりすることもあります。訪問看護がない時期にも本人と家族が続けられる形を、計画書の支援内容にしておきます。数値の目標と薬の内容は、主治医の指示と処方のとおりです。

観点 O-P(観察) T-P・E-Pの書き方
薬 カレンダーの残り、飲み忘れの日、受診日までの残りの数 薬の名前と量は処方のとおりとし、飲み方の仕組みを本人・家族・薬局と見直す。気になる変化は主治医・薬剤師に伝える
出血のしやすさなど、処方に伴って示された観察 主治医・薬剤師から示された観察の項目(あざ・歯ぐきからの出血など)を訪問のたびに見る 示された観察の項目と連絡の目安を、本人・家族に分かる言葉で伝える
指示書に記載の値の記録 記録の続き具合、測る時刻のずれ 測る時刻と記録の場所を暮らしの流れに組み込み、受診のときに記録を持って行くことを伝える
受診 次の受診日、受診できたか、受診の付き添い 受診の付き添いが難しくなったときは、ケアマネジャーに伝えて相談する
食事 食事の内容と量、好み、示された食事の注意との違い 示された注意の範囲で楽しめる工夫を、家族と献立で考える
体を動かすこと 外出の回数、通所リハ・通所介護の利用、家の中の動き リハビリ職の示した練習と外出の機会を、本人の楽しみと結びつけて続けられる形にする
暑さ・寒さと水分 季節の変わり目の体調、飲み物の量(飲み込みにくい方は示されたとろみの形で) 水分のとり方の注意は指示書に記載のとおりとし、本人・家族と確かめる
言葉や動きの小さな変化 前回の訪問からの話し方・字の書き方・歩き方の違い、家族の気づき 小さな変化もまとめて主治医に報告し、家族には気づいたら伝えてよいことを繰り返し伝える

※上記は当社が作成した記載のイメージです。数値の目標、薬の内容、観察の項目と連絡の目安は、主治医の指示書と処方、薬剤師の説明に従ってください。

言葉が出にくい方への声かけと記録の書き方|失語・構音障害のある方の意思を計画書に残す

失語のある方は、言葉が出にくくても、考えていることや好き嫌いははっきりしていることが多くあります。声かけのしかたで、伝わる量が大きく変わります。下の表は、訪問の場面ごとの声かけの工夫と、記録に残す形です。どの方法が伝わりやすいかは人によって違うため、言語聴覚士の評価と助言をもとに、その方に合う方法を記録書Ⅰに書いておきます。

場面 避けたい声かけ 伝わりやすい声かけ 記録に残す形
体調を聞く 「今日の体調はどうですか?」(答えの幅が広すぎる) 「痛い所はありますか?」と一つずつ聞き、うなずき・首振りで答えてもらう 何を聞いて、どの方法で、どう答えたかを書く
痛む場所を聞く 「どこが痛いんですか?」と言葉で答えを待つ 体の絵を見せて指さしてもらう。「ここですか?」と触れながら確かめる 指さした場所と、触れたときの表情を書く
希望を聞く 家族にだけ聞いて決める 選択肢を2つ紙に書いて見せ、本人に選んでもらう 示した選択肢と、本人が選んだものを書く
説明をする 早口で長く説明する 短い文で一つずつ話し、要点を紙に書いて渡す 説明した内容と、紙に書いて渡したことを書く
言葉が出ないとき 先回りして言葉を言ってしまう 少し待ち、出てこないときは「〇〇のことですか?」と確かめる 待ったこと、確かめた言葉と本人の反応を書く
聞き取りにくいとき(構音障害) 分かったふりをしてうなずく 聞き取れた所まで繰り返し、続きをもう一度言ってもらう 聞き取れなかった所は「聞き取れず」と書き、推測で埋めない
電話での連絡 本人に電話で長い話をしてもらう 電話では家族に代わってもらうか、訪問時に紙と身振りで確かめる 電話で確かめたことと、訪問で確かめたことを分けて書く
疲れが見えるとき 話を続ける 「休みますか?」と聞き、話を短くして次回に回す 疲れの様子と、話を区切ったことを書く
気持ちが沈んでいるとき 「がんばりましょう」と励ますだけで終わる 「つらいですか?」と聞き、うなずいたら少し一緒にいる 本人の反応と表情をそのまま書く
家族がそばにいるとき 本人ではなく家族に向かって話す 本人の顔を見て話し、補いが必要なときだけ家族に聞く 本人の答えと家族の補いを分けて書く

※上記は当社が作成した記載のイメージです。伝わりやすい方法は人によって違うため、言語聴覚士の評価と助言に従ってください。

記録書Ⅱで本人の意思をどう書くか|悪い例と良い例(10組)

言葉が出にくい方の記録は、「理解あり」「意思疎通困難」の一語になりがちです。何をどう聞き、どう答えたかを書くと、次に訪問する職員も同じ方法で確かめられます。

悪い例 良い例(そのまま使える文) 直した点
「意思疎通困難」 言葉での返事は出にくいが、はい・いいえの質問にはうなずきと首振りで答え、5問のうち5問で家族の話と一致した 伝わる方法と、確かめた結果を書いた
「理解良好」 短い文で一つずつ話すと、次の訪問日を指で示して確かめられた。長い説明の途中では視線がそれた どの話し方で理解できたかを書いた
「疼痛なし」 体の絵を見せて痛む所を聞くと、首を横に振った。右肩に触れたときも表情は変わらなかった どう聞いて、どう答えたかを書いた
「本人の希望あり」 通所リハに行くかを、紙に「行く」「休む」と書いて見せると、「行く」を指さした 選択肢と本人が選んだものを書いた
「家族より、本人は入浴を希望」 妻の話では入浴を楽しみにしている。本人に入浴の絵を見せると笑顔でうなずいた 家族の話と本人の反応を分けた
「発語不明瞭」 朝食後は聞き取れる言葉が多いが、夕方は語尾が聞き取りにくい。聞き取れなかった所は聞き返して確かめた 時間帯の違いと確かめ方を書いた
「拒否あり」 着替えを勧めると首を振り、右肩を左手で押さえた。肩の痛みを絵で聞くとうなずいたため、着替えは次の訪問に回した 「拒否」を、見た行動と理由の確かめ方に置き換えた
「指導した」 薬の飲み方を、カレンダーの袋を指さしながら説明し、本人が朝の袋を自分で開けてみせた 説明の方法と、本人ができたことを書いた
「言語訓練実施」 言語聴覚士の示した練習の紙を一緒に見て、家族の名前を3人分、声に出して読めた 何をして、どこまでできたかを書いた
「精神的に不安定」 テレビで病院の場面が映ると涙ぐんだ。「怖いですか?」と聞くとうなずき、しばらく手を握って過ごすと落ち着いた 評価の言葉を、見た場面と関わりに置き換えた

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は事業所の様式と記録の決まりに従ってください。

言葉が出にくい方に計画書を説明して同意を得るときの進め方(6項目)

項目 進め方 残す記録
説明の場を整える テレビを消し、本人の正面に座る。疲れの少ない時間帯を選ぶ 説明した日時と場所
説明の量 目標と支援内容を一つずつ、短い文で話す。要点を大きな字で紙に書いて示す 示した紙の写し
理解の確かめ方 はい・いいえで答えられる問いで、要点ごとに確かめる 確かめた問いと本人の反応
本人の希望の聞き方 選択肢を紙に書いて選んでもらう 示した選択肢と本人の選択
家族の同席 家族が同席するときも、まず本人に向かって話す 同席した家族の名前と続柄
同意と交付 同意の方法は事業所の手順に従い、署名が難しいときの扱いを決めておく 同意の方法、交付した日と相手

※上記は当社が作成した記載のイメージです。説明・同意・交付の方法は、事業所の手順と保険者(指定権者)の取扱いに従ってください。

分担表|訪問看護・訪問看護のリハビリ職・訪問リハ・通所リハ・通所介護・ケアマネジャー・主治医・薬局・ヘルパー・家族で誰が何を受け持つか(12項目)

脳梗塞の後の方には、リハビリに関わる事業所が複数入ることがよくあります。訪問看護のリハビリ職、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションが同じ方に入るとき、練習の内容や声のかけ方がばらばらだと、ご本人が混乱します。実際の分担は居宅サービス計画とサービス担当者会議で決まります。下の表は、分担を話し合うときの叩き台の例です。

受け持つこと 主に受け持つ人の例 訪問看護の計画書に書くこと
サービス全体の調整と曜日の組み立て ケアマネジャー 訪問看護の曜日と受け持ちを備考に書き、変更があればケアマネジャーに伝える
病状の管理、薬の調整、再発予防の方針 主治医 指示書に記載の内容をO-Pと連絡の目安に写し、変化をまとめて報告する
家での動作の練習(立ち上がり・歩く・トイレ) 訪問看護の理学療法士・作業療法士、または訪問リハ どの事業所が受け持つかを書き、看護師は同じ手順で確かめる
言葉と飲み込みの練習 言語聴覚士(訪問看護・訪問リハ・通所リハのいずれか) 伝わる方法と食事の形の助言を写し、看護師と家族が同じ方法を使う
集団での練習、外に出る機会、入浴 通所リハ・通所介護 通所での練習と家での様子をつなぐため、連絡帳などで様子を受け取る
体調の観察、皮膚・排泄・食事のケア 訪問看護の看護師 O-P・T-Pとして書く
毎日の身の回りの介助(着替え・食事の準備・掃除) ヘルパー、家族 介助の手順を同じ言葉で伝えることをE-Pに書く
福祉用具と住宅改修の選定と手配 ケアマネジャー、福祉用具専門相談員 訪問時に見た使いにくさを伝えて相談することを書く
薬の準備と飲み方の工夫 薬局、家族 飲み方の仕組みを薬局と相談すること、変化を伝えることを書く
様子の変化に最初に気づく役割 家族、ヘルパー、通所の担当者 気づいたときの連絡の順番(主治医の指示による)を伝えることを書く
家族の疲れへの手立て(短期入所・通所の追加等) ケアマネジャー 家族の疲れをケアマネジャーに伝えて相談することを書く
訪問看護が終わった後の見守り ケアマネジャー、主治医、地域の集まりの担い手 終わる前に、続ける習慣と連絡先を本人・家族と確かめることを書く

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の分担は居宅サービス計画とサービス担当者会議で決まります。訪問看護のリハビリ職と訪問リハの役割の違いは、それぞれの指示と計画に従ってください。

ケアマネジャー・リハビリ職・通所・主治医・薬局・家族への連絡文例(10例)

相手 場面 連絡文例
ケアマネジャー 退院直後に、ベッドの高さが合っていない 〇〇様は退院後、ベッドからの立ち上がりで奥様の介助が要り、奥様が腰の痛みを訴えています。ベッドの高さについて、福祉用具専門相談員の方とご相談いただけますでしょうか。
ケアマネジャー 家族の疲れが強い 娘様が夜のトイレの付き添いを続けており、「このままでは続かない」とのお話がありました。夜の手立てや休める日の工夫について、ご相談させてください。
通所リハの担当者 家での着替えの手順をそろえたい 家では前開きの上着を麻痺側の右腕から通す順番で練習しています。通所でも同じ順番で行えているか、様子を教えていただけますか。
訪問リハの担当者 練習の声かけをそろえたい 立ち上がりのときの声かけを、看護師の訪問でもそちらと同じ言葉にしたいと考えています。使っている言葉を教えていただけますか。
言語聴覚士 カードがうまく使えていない トイレのカードを使う場面が少なく、間に合わない日が週に何回かあります。カードの置き場所や見せ方について、助言をいただけますか。
主治医 小さな変化をまとめて報告 ここ2週間で、夕方の言葉の聞き取りにくさが増えたと奥様が話しています。指示書に記載の値の記録を添えて報告いたします。ご指示をお願いいたします。
主治医 気分の落ち込みが続いている 〇〇様は「前と同じにできない」と話すことが増え、通所リハを休む日が続いています。食欲と眠りの変化もあわせてお伝えします。
薬局 飲み忘れが続く 朝の薬の飲み忘れが週に何回かあり、ご本人が飲んだかどうかを思い出せないことがあります。一包化やカレンダーなど、飲み方の工夫についてご相談させてください。
ヘルパー事業所 声をかける側をそろえたい 〇〇様は左側に気持ちが向きにくいため、話しかけるときは右側からお願いします。食事は器を右側に寄せて置いていただけますか。
家族 様子が変わったときの紙を見直す 先日お作りした「様子が変わったときの紙」を、主治医の指示に合わせて見直しました。連絡の順番が変わった所に印をつけていますので、ご確認ください。

※上記は当社が作成した記載のイメージです。連絡の際は、本人・家族の了解の範囲と事業所の個人情報の取扱いの手順に従ってください。

悪い例と良い例|脳梗塞の訪問看護計画書でありがちな一行の書き直し(20組)

左はよく見かける一行、中央はそのまま貼れる形に直した文です。良い例に入れた練習の内容や測る値の目安は、すべて「リハビリ職の評価に基づき」「指示書に記載の」の形にしています。実際の内容は指示書と評価から写してください。

欄 悪い例 良い例(そのまま使える文) 直した点
目標 「再発しない」 朝と夕の薬を決まった時刻に飲み、受診の日に記録を持って通院を続けられる 起きてほしくないことではなく、本人が続ける行動にした
目標 「麻痺の改善」 前開きの上着を、作業療法士と決めた順番で自分で着られる 体の機能を、暮らしの場面にした
目標 「ADLの拡大」 家族と一緒に、月に何回か近所の店まで買い物に行ける 何を取り戻すのかを書いた
目標 「コミュニケーションがとれる」 絵と文字のカードで、「トイレ」「痛い」「寒い」を家族に伝えられる 伝える方法と伝える中身を決めた
課題 「右片麻痺あり」 右片麻痺があり、低いベッドから立ち上がるときに妻の介助が要り、妻の腰の痛みが強くなっている 麻痺が暮らしのどこに出ているかと、影響を書いた
課題 「失語症あり」 言いたい言葉が出にくく、伝わらないと黙り込み、トイレを伝えるのが遅れることがある 診断名を、家で起きていることに置き換えた
課題 「再発のリスクあり」 朝の薬を飲んだかを思い出せない日があり、この1か月で飲み忘れが3回あった リスクの中身と根拠の事実を書いた
課題 「高次脳機能障害による問題行動」 手順の多い家事で次に何をするかが分からなくなり、煮物を作る途中で止まる場面がある 「問題行動」という評価の言葉を、見た場面に置き換えた
O-P 「麻痺の観察」 立ち上がり・着替え・食事の場面で、麻痺側の手足の使い方と手伝いが要った所を訪問のたびに見る 見る場面と見ることを決めた
O-P 「神経症状の観察」 前回の訪問からの話し方・字の書き方・歩き方の違いを本人と家族に聞き、もとの後遺症との違いを記録する 在宅で見られることと、比べ方を書いた
O-P 「バイタルサインの測定」 指示書に記載の方法で測り、家族の記録とあわせて、指示書に記載の連絡の目安にあたる値がなかったかを見る 何のために測るかと、記録との組み合わせを書いた
O-P 「嚥下状態の観察」 食事の後半のむせ、麻痺側の頬の内側の残り、食後の声の変化を見る 脳梗塞の後に出やすい点を具体にした
T-P 「ADL援助」 理学療法士と決めた手順で、ベッドからの立ち上がりとトイレまでの移動を一緒に行う どの動作を、どの手順で行うかを書いた
T-P 「リハビリの実施」 作業療法士の示した着替えの順番を、看護師の訪問時にも同じ声かけで本人と確かめる リハビリ職との分担と、看護師が受け持つ部分を書いた
T-P 「服薬管理」 薬の名前と量は薬剤情報提供書のとおりとし、カレンダーの残りを訪問のたびに本人と一緒に確かめる 管理の中身と、本人が関わる形を書いた
T-P 「コミュニケーション援助」 言語聴覚士と作ったカードを使い、はい・いいえで答えられる聞き方で体調を確かめる 使う道具と聞き方を書いた
E-P 「再発予防の指導」 主治医の指示による連絡の順番を書いた紙を家族と一緒に作り、電話の横に貼る 指導の中身と、家族が見返せる形を書いた
E-P 「家族指導」 立ち上がりを手伝うときは本人が手すりをつかむまで待ち、腰に手を添えることを、理学療法士と同じ言葉で妻に伝える 家族に何を伝えるかを、場面と言葉で書いた
E-P 「異常時は連絡するよう説明」 様子が変わったと感じたら、気づいた時刻を書き留め、紙に書いた順番で連絡するよう家族に伝え、家族がその順番を言えるかを確かめる 何を・どの順で・どう確かめるかを書いた
評価 「著変なし、継続」 カードで「トイレ」を伝えられた場面が増え、間に合わなかった日がこの1か月で減ったと妻が話した。カードの置き場所を寝室にも広げて継続する 目標に照らした事実と、次の手を書いた

※上記は当社が作成した記載のイメージです。練習の内容、測る値の目安、連絡の目安は、主治医の指示書とリハビリ職の評価に従ってください。

評価の書き方と報告書へのつなぎ方|脳梗塞の評価文(10例)と報告書の欄別記載例

評価は、目標ごとに「何ができたか」「何が変わったか」「次にどうするか」を、記録書Ⅱとご家族のメモに残した事実で書きます。後遺症の回復は人によってゆるやかで、変化が小さい月もあります。その月は、続けられていることを事実で書きます。

目標(要約) 評価文の記載例 次の計画への反映
決めた手順でトイレに行ける(退院直後) 理学療法士と決めた手順で、日中のトイレは一人で行けている。夜は妻の付き添いが要る日が週に何回かあると妻が話した 夜のトイレの動線とポータブルトイレの置き場所を、課題として分けて立てる
前開きの上着を自分で着られる 作業療法士と決めた順番で、ボタン以外は自分で着られるようになった。ボタンは妻が手伝っている ボタンの扱いを作業療法士と相談し、短期目標を書き換える
カードで困りごとを伝えられる 「トイレ」「寒い」のカードは使えている。「痛い」は使った場面がなく、肩の痛みは表情で妻が気づいた 痛みの伝え方を言語聴覚士と相談し、体の絵のカードを加える
左側のおかずに気づいて食べられる 器を右側に寄せた後は残すことが減った。器を左に置いた日は、声をかけると気づいて食べた 器の置き方を家族とヘルパーで統一する。声かけの言葉を紙に書いて共有する
示された姿勢で食事の終わりまで食べられる 食事の前半は姿勢を保てているが、後半に左へ傾き、むせが増える日がある 言語聴覚士にクッションの位置を相談し、途中で休む声かけを家族と決める
薬を決まった時刻に飲める お薬カレンダーを使い始めてから、この1か月の飲み忘れは1回だった。本人が自分で気づいて妻に伝えた 今の仕組みを続ける。受診のときに記録を持って行く習慣を加える
指示書に記載の値を記録できる 朝の記録は続いているが、夕方の記録は週の半分ほど空いている。夕方は通所から帰った後で疲れていると本人が話した 夕方の測る時刻を、本人と相談して夕食後に移す
外に出る時間を持てる(気分の落ち込み) 庭に出た日がこの2週間で3日あった。「花を見ると気が晴れる」と本人が話した 庭に出る時間を週の予定に組み込み、次の目標を家の前の道まで広げる
家族が連絡の順番を言える 娘は紙を見て順番を言えた。日中に来るヘルパーには伝わっていなかった ケアマネジャーを通じて、ヘルパー事業所にも同じ紙を共有する
夫婦ともに夜に眠れる 夜に起きる回数は変わらないが、ポータブルトイレを置いてからは妻が付き添わずに済む日が増えたと妻が話した 妻の睡眠の様子をケアマネジャーに伝え、休める日の工夫を続けて相談する

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

訪問看護報告書の欄に、計画書の評価をどうつなぐか(脳梗塞の記載例6欄)

報告書の欄 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(2)) 脳梗塞の後遺症のある方の記載例
病状の経過 ③「利用者の病状、日常生活動作(ADL)の状況等について記入すること」 右片麻痺は大きな変化なし。日中のトイレは決めた手順で一人で行けている。夕方に言葉の聞き取りにくさが増えると妻が話している。指示書に記載の値の記録を添付する
看護・リハビリテーションの内容 ④「実施した指定訪問看護の内容について具体的に記入すること」 立ち上がりとトイレの手順の確認、食後の口腔ケア、薬のカレンダーの確認を行った。作業療法士が前開きの上着の着替えの練習を行った
家庭での介護の状況 ⑤「利用者の家族等の介護の実施状況、健康状態、療養環境等について必要に応じて記入すること」 妻が日中の介助を担い、夜のトイレの付き添いで眠りが浅いと話している。ポータブルトイレを置いてから付き添う回数が減った
特記すべき事項 ⑨「前記の②から⑧までの各欄の事項以外に主治医に報告する必要のある事項を記入すること」 「前と同じにできない」と話すことが増え、通所リハを休む日が続いている。食欲と眠りの変化もあり、ご判断をお願いしたい
訪問日 ②ロ。看護師等の訪問日を○で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の訪問日を◇で囲む 看護師の訪問日と作業療法士の訪問日を印で分ける
別添(介護保険・リハビリ職の訪問) 老企第55号の記載要領 2(3)⑪ロ。リハビリ職が行った指定訪問看護、家族等への指導、リスク管理等の内容を具体的に記入する 前開きの上着の着替えを、麻痺側から袖を通す順番で練習した。妻に腕を引っぱらない手の添え方を伝えた。右肩の痛みの訴えがあった日は練習の量を減らした

※上記は厚生労働省の通知(保医発0327第10号・老企第55号)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。様式と記載の取扱いは保険者(指定権者)や審査支払機関によって異なる場合があります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

脳梗塞の訪問看護計画書を見直すきっかけ(10)

きっかけ 見直す欄 確かめる相手
退院直後から暮らしが落ち着いた時期に移った 目標・課題・支援内容の重心 本人、家族、ケアマネジャー
介護保険の区分が出た・変わった 備考、訪問の回数 ケアマネジャー
通所リハ・訪問リハが始まった・終わった 訪問予定の職種、支援内容の分担 ケアマネジャー、リハビリ職
再入院から戻った 計画書全体(退院時の情報を写し直す) 主治医、退院元の病院、ケアマネジャー
処方が変わった O-P(処方に伴って示された観察)、E-P 主治医、薬局
言葉・動き・飲み込みに変化があった 課題、O-P、連絡の目安 主治医、リハビリ職
食事の形が変わった 課題、T-P、E-P 言語聴覚士、主治医、家族
転んだ・転びそうになった場面が増えた 課題、T-P(転倒予防の計画を合わせて見直す) リハビリ職、ケアマネジャー
介護を担う家族の状況が変わった 備考、E-P、連絡の順番の紙 家族、ケアマネジャー
本人の望む過ごし方が変わった 目標 本人、家族、主治医

※上記は当社が作成した記載のイメージです。見直した日は計画書の年月日の欄に書き、見直した内容は記録書に残してください。

運営指導で脳梗塞の方の計画書について見られる点と、手元に残す記録の一覧

厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)では、訪問看護の「居宅介護支援事業者等との連携(第64条)」「サービス提供の記録(第19条)」「訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成(第70条)」「緊急時等の対応(第72条)」について次の確認項目が示されています。第70条の確認文書としては、主治の医師の指示及び居宅サービス計画に基づく訪問看護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、モニタリングシート、訪問看護報告書が挙げられています。右の列は、脳梗塞の後遺症のある方の計画書で確かめる点の例です。

別添1の確認項目(訪問看護) 脳梗塞の後遺症のある方の計画書で確かめる点 貴事業所の確認欄
(第64条)サービス担当者会議等を通じて介護支援専門員や他サービスと連携しているか 通所リハ・訪問リハ・ヘルパーと、練習の手順や声かけ、連絡の順番を共有した記録があるか 確認日:(    )
(第19条)訪問看護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか 記録書Ⅱに、計画書で決めた観察(動作・言葉・食事)と、行ったケア・練習が書かれているか 確認日:(    )
(第19条)日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか 「意思疎通困難」「著変なし」の一語でなく、確かめた方法と本人の反応で書かれているか 確認日:(    )
(第70条)居宅サービス計画に基づいて訪問看護計画が立てられているか ケアプランのリハビリの分担と、計画書の訪問予定の職種・支援内容が食い違っていないか 確認日:(    )
(第70条)主治の医師の指示及び利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて訪問看護計画が立てられているか 言葉が出にくい方の希望を、どの方法で確かめたかが記録にあるか。指示書の内容がO-Pと連絡の目安に写されているか 確認日:(    )
(第70条)サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか O-P・T-P・E-Pが「ADL援助」「再発予防の指導」の一語で止まっていないか。リハビリ職の曜日と受け持ちが分かるか 確認日:(    )
(第70条)利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか 言葉が出にくい方への説明の方法、同意の方法、交付の記録が残っているか 確認日:(    )
(第70条)目標の達成状況は記録されているか・達成状況に基づき、新たな訪問看護計画が立てられているか 時期が移ったとき、再入院から戻ったとき、リハビリの体制が変わったときに計画書が見直されているか 確認日:(    )
(第70条)訪問看護報告書は作成されているか リハビリ職が訪問する方で、報告書の訪問日の印と別添がそろっているか 確認日:(    )
(第72条)緊急時対応マニュアル等が整備されているか・緊急事態が発生した場合、速やかに主治の医師に連絡しているか 様子が変わったときの連絡の手順が事業所で決まっていて、主治医へ連絡した日時が記録に残っているか 確認日:(    )

※上記は厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

自治体の公表資料にある、訪問看護の計画書・指示書・リハビリ職の訪問に関わる指摘(7件)

脳梗塞の方の計画書に限った指摘ではありませんが、計画書の書き方、指示書の扱い、リハビリ職の訪問の説明と同意で関わりの深い公表事例です。

自治体(資料名) 公表されている指摘の内容 脳梗塞の方の計画書・記録で見直す点
長野県(令和6年度運営指導結果の概要(訪問看護)) 居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない、訪問看護計画に対する利用者の同意を得たことが確認できない、具体的なサービス内容を記載していない事例等 ケアプランのリハビリの分担との対応、言葉が出にくい方の同意の記録、O-P・T-P・E-Pの具体性
東京都(運営指導における主な指摘事項・訪問看護) 計画書を作成していない、計画書がケアプランの内容と相違している、内容が不十分 退院してすぐ訪問を始めたときに、訪問開始前に計画書があるか。ケアプランの分担と食い違っていないか
東京都(運営指導における主な指摘事項・訪問看護) サービス提供開始後に指示書の交付を受けていた、文書による指示なく訪問していた、訪問内容が指示書と相違している等 退院直後の訪問の前に指示書を受け取っているか。リハビリ職の訪問が指示書の内容と合っているか
神戸市(介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)・令和7年3月) 訪問看護計画書に具体的なサービスの内容・利用者の希望・主治医の指示・看護目標等を記載していない、訪問看護指示書の有効期限が切れている、計画書に利用者の同意署名がない等 本人の希望と主治医の指示が計画書に入っているか。指示書の期間を一覧で管理しているか。署名が難しい方の同意の扱いを決めているか
静岡市(運営指導における主な指摘・助言事項等一覧・訪問看護) 理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士による指定訪問看護について、看護職員の代わりに訪問させるものであること等を口頭で説明しているが、同意を得たことを確認できる記録がない リハビリ職が訪問する方で、説明と同意の記録が残っているか
愛知県(主な指摘事項(令和7年度版)) 作業療法士による訪問看護を利用している者について、定期的に看護職員の訪問による評価を実施する必要があることに留意すること(概ね3ヶ月に一度) リハビリ職だけが訪問している方で、看護職員の訪問による評価の日と内容が記録されているか
仙台市(令和6年度運営指導方針・令和5年度運営指導結果等(居宅サービス指導係所管サービス)) 利用者の申し出等により、予定していたサービス内容(理学療法士等によるリハビリテーション)を実施しなかったにもかかわらず、基本報酬を算定していた 疲れや痛みで練習を中止した日の記録に、何を行い何を行わなかったかが書かれているか

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

脳梗塞の方の計画書について手元に残す記録(記入欄つき)

保存の年限は、介護保険では各自治体の条例で定められているため、ここでは記入欄にしています。

記録 何のために残すか 保管場所 最終更新日
訪問看護指示書 測る値の目安、連絡の目安、リハビリ職の訪問の出どころ (    ) (    )
退院時の情報・看護サマリーの写し 後遺症の種類、動作と食事の注意、評価尺度の結果の出どころ (    ) (    )
訪問看護記録書Ⅰ(生活歴・麻痺のある側・伝わる方法・関係機関の連絡先) 課題の根拠と、伝え方の決まり (    ) (    )
リハビリ職の評価と練習の内容(言語聴覚士の助言を含む) 看護師の訪問時に同じやり方で確かめるための元 (    ) (    )
ご家族のメモ(夜のトイレ・食事・指示書に記載の値の記録) 課題と評価の根拠、主治医への報告に添える資料 (    ) (    )
家族と作った「様子が変わったときの紙」 連絡の順番が主治医の指示と同じかの確認 (    ) (    )
居宅サービス計画の写し 計画書がケアプランに沿っていることの確認 (    ) (    )
リハビリ職の訪問についての説明と同意の記録 看護職員の代わりに訪問する旨の説明と同意の事実 (    ) (    )
訪問看護計画書(説明・同意・交付の記録つき) 説明の方法・相手・日付、同意と交付の事実 (    ) (    )
訪問看護記録書Ⅱ・訪問看護報告書(別添と主治医への提出の記録つき) 訪問ごとの観察と、月の経過を主治医へ伝えた事実 (    ) (    )
主治医・ケアマネジャー・通所・薬局への連絡の記録 伝えた日時・相手・内容、本人の了解 (    ) (    )

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

よくある質問

脳梗塞の看護計画の短期目標は、どう書けばよいですか?

短期目標は、「麻痺の改善」のような体の機能ではなく、家のどの場面で、どの手順で、何ができるようになるかを、ご本人を主語にして書きます。例えば「前開きの上着を、作業療法士と決めた順番で自分で着られる」「絵と文字のカードで、トイレを家族に伝えられる」のように、次の評価の時期までに記録書Ⅱやご家族のメモで確かめられる大きさにしておくと、評価で迷いません。練習の内容と量はリハビリ職の評価に従います。

病院の看護計画や看護学生の看護過程と、在宅の訪問看護計画書は、脳梗塞の書き方で何が違いますか?

病院や看護過程では、発症してからの急な時期に、意識の状態や神経の症状の変化、治療の管理を中心に看護問題を立てることが多くあります。在宅の訪問看護計画書は、その後の長い暮らしの中で、退院直後・暮らしが落ち着いた時期・再発を防ぐ長い時期と重心を移しながら、後遺症が家のどの場面に出ているか、家族やほかの事業所とどう分担するか、様子が変わったときに誰へどう知らせるかを書く計画です。課題欄には、診断名ではなく、場面と根拠になる事実を一文で書きます。

脳梗塞の再発に備えて、計画書とご家族への説明には何を書けばよいですか?

計画書には、薬と通院を続ける仕組み、主治医の指示書に記載の観察と連絡の目安、様子が変わったときの連絡の順番をご家族に伝えることを書きます。どの様子のときに救急車を呼ぶか、主治医に先に連絡するかは、主治医の指示と事業所の手順によります。その内容をご家族の言葉に置き換えて紙に書き、電話の横など目につく所に貼り、ご家族がその順番を言えるかを確かめます。紙を貼った場所は計画書の備考に残します。

言葉が出にくい方の計画書は、本人の希望をどう書けばよいですか?

言葉が出にくくても、ご本人の考えや好き嫌いははっきりしていることが多くあります。はい・いいえで答えられる問いや、紙に書いた選択肢、絵のカードなど、言語聴覚士と確かめた伝わる方法で希望を聞き、どう聞いてどう答えたかを記録に残したうえで、目標の文にします。ご家族の話はご本人の答えと分けて書きます。説明と同意の方法も、事業所の手順に沿って記録します。

脳梗塞の方のケアプラン(第2表)の文例とは、どう書き分ければよいですか?

ケアプランの第2表はケアマネジャーが作る計画で、生活全般の解決すべき課題と、通所リハ・訪問リハ・福祉用具などのサービスの位置づけを書きます。訪問看護計画書は、その中で訪問看護が受け持つ観察・ケア・説明を、主治医の指示書をもとにO-P・T-P・E-Pで書く計画です。ケアプランの側の文例は「脳血管疾患(脳梗塞・脳出血後遺症)の方のケアプラン文例」の記事で扱っています。両方の分担がそろっているかを、サービス担当者会議で確かめます。

脳梗塞の訪問看護計画書は、どんなときに見直しますか?

退院直後から暮らしが落ち着いた時期に移ったとき、介護保険の区分が出た・変わったとき、通所リハや訪問リハが始まった・終わったとき、再入院から戻ったとき、処方が変わったとき、言葉・動き・飲み込みに変化があったとき、介護を担う家族の状況が変わったときなどが見直しのきっかけです。見直した日は計画書の年月日の欄に書き、見直した内容は記録書に残します。

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出典

出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)

本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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