公開日 2026年7月8日 最終更新日 2026年7月18日
フォーカスチャーティングは、看護記録の手法のひとつで、「注目すべき出来事(フォーカス)」を中心に記録するのが特徴です。頭文字をとってFDAR方式(Focus・Data・Action・Response)とも呼ばれます。この記事では、看護記録での書き方(DAR/FDAR)とSOAPとの違い、そのまま使える例文を解説します。
フォーカスチャーティングとは
患者のフォーカス(注目点:症状・出来事・ケアのテーマ)を明確にし、それに対する情報・実施・反応をDARで整理する記録法です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| D(Data) | フォーカスに関する主観的・客観的情報 |
| A(Action) | 実施したケア・対応 |
| R(Response) | それに対する患者の反応・結果 |
「FDAR」との関係:フォーカスチャーティングはFDARとも表記されます。先頭のF(Focus=注目点)を立て、その中身をD・A・Rで書く――という構造なので、F+DAR=FDARで同じ記録法を指します。「fdar 看護記録」「dar 看護」と検索されるのはこのためです。
SOAPとの違い
SOAPが「問題志向」で評価(A)を重視するのに対し、フォーカスチャーティングは「出来事志向」で、実施と反応(A・R)を追いやすいのが特徴です。ケアの流れが時系列で見えやすい利点があります。SOAPは介護記録の書き方で解説しています。
看護記録でどちらを使うかは、記録の目的で選びます。継続的な問題の評価・計画修正が中心ならSOAP、その日の出来事・実施したケアと反応を時系列で残すならフォーカスチャーティング(FDAR)が向いています。
| 観点 | SOAP | フォーカスチャーティング(FDAR) |
|---|---|---|
| 発想 | 問題志向(Problem) | 出来事・注目点志向(Focus) |
| 構成 | S・O・A・P | F+D・A・R |
| 得意 | アセスメント・計画の明確化 | 実施したケアと反応を時系列で追う |
| 看護記録での場面 | 問題ごとの経過・評価 | 発熱・転倒・急変など個別の出来事 |
例文
フォーカス:発熱
- D:体温38.5℃、悪寒あり。「寒気がする」と訴え。
- A:主治医へ報告し指示にて解熱剤使用。水分摂取を促し、掛物を調整。
- R:1時間後に体温37.6℃へ低下。「楽になった」と発言。悪寒消失。
フォーカス(注目点)の立て方
フォーカスチャーティングの質は「何をフォーカスにするか」で決まります。フォーカスは次の3種類から、その記録で一番伝えたい注目点を1つ選びます(原則1記録1フォーカス)。
- 症状・徴候――発熱、疼痛、呼吸苦、浮腫、血糖値の変動など
- 出来事・変化――転倒、急変、拒否、せん妄、退院直後の状態変化など
- ケアのテーマ――清潔(入浴)、排泄、服薬、リハビリ、看取りなど継続的な焦点
「特変なし」で終わらせず、その日に注目したことを言葉にするのがコツです。複数の出来事があれば、フォーカスを分けてそれぞれDARで記録します。
DARの書き方(各要素に何を書くか)
R(反応)がその場で分からないときは無理に書かず、経過観察とし、次の記録で同じフォーカスの続き(継続DAR)として反応を追記します。これがケアの流れを時系列で追える利点につながります。
場面別の記入例(DAR)
看護・介護の現場でよくある場面ごとに、フォーカスとDARの記入例をまとめました。そのまま下書きに使えます(表の右上ボタンからExcel/CSVにコピーできます)。状態にあわせて数値や対応を調整してください。
| フォーカス | D(情報) | A(実施・対応) | R(反応・結果) |
|---|---|---|---|
| 発熱 | 体温38.5℃、悪寒あり。「寒気がする」と訴え。 | 主治医へ報告し指示にて解熱剤使用。水分摂取を促し掛物を調整。 | 1時間後に37.6℃へ低下。「楽になった」と発言、悪寒消失。 |
| 転倒 | 居室で床に座り込んでいるところを発見。頭部・四肢に外傷なし。「立とうとしてふらついた」と話す。 | バイタル測定し主治医へ報告。打撲・意識レベルを観察。ベッド周囲を整理し見守り強化。 | バイタル安定、意識清明。以降ふらつきの訴えなく経過。翌朝まで異常なし。 |
| 疼痛 | 「腰が痛くて眠れない」と訴え。NRS 7。表情険しく寝返り困難。 | 指示のとおり鎮痛剤を使用。安楽な体位を調整し温罨法を実施。 | 30分後にNRS 3へ軽減。「だいぶ楽」と発言し入眠。 |
| 皮膚トラブル(褥瘡) | 仙骨部に発赤2cm、圧迫で消退せず。DESIGN-R評価d1。 | 除圧のため体位変換の間隔を2時間に変更。エアマットを導入し保湿ケアを実施。 | 翌日、発赤範囲は不変も拡大なし。継続観察とし看護計画を見直し。 |
| 不眠 | 23時以降も入眠できず、たびたびナースコール。「目がさえて眠れない」と話す。 | 室温・照明を調整し、温かい飲み物を提供。訴えを傾聴し不安を確認。 | 1時頃に入眠。以降は朝まで良眠。日中の傾眠なし。 |
| 服薬拒否 | 朝の内服を「飲みたくない」と拒否。理由を尋ねると「量が多い」と話す。 | 主治医・薬剤師へ相談し一包化を提案。服薬の必要性を本人へ説明。 | 昼から一包化で服薬再開。「これなら飲める」と発言。飲み忘れなし。 |
| 家族の不安 | 面会時、家族より「自宅で看られるか不安」との相談。 | 在宅サービスの選択肢を説明し、担当ケアマネへ連携。次回面談を調整。 | 家族「相談できて少し安心した」と表情和らぐ。退院前カンファレンスの予定を共有。 |
良い例・悪い例で分かるDARのコツ
まとめ
フォーカスチャーティングは「注目点→情報→実施→反応」で、ケアの流れを追いやすい記録法。SOAPと使い分けると記録の幅が広がります。
フォーカスチャーティングのメリット・デメリット
メリット:出来事ごとにケアの流れ(実施と反応)が時系列で見え、多職種で状況を追いやすい点です。
デメリット:フォーカスの立て方が人によってばらつくと、記録の質に差が出ます。何に注目するかの共通認識が大切です。
よくある質問(FAQ)
SOAPとフォーカスチャーティング、どちらを使うべき?
フォーカスには何を書けばよいですか?
R(反応)がまだ分からないときは、どう書きますか?
1つの記録に複数のフォーカスを書いてもよいですか?
フォーカスチャーティングは介護記録(施設・訪問)でも使えますか?
訪問看護記録書Ⅱでフォーカスチャーティングは使えますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
訪問看護の記録を、音声AIで効率化
フォーカスチャーティングでもSOAPでも、記録の作成には時間がかかります。訪問看護向けのAI「訪問看護マナ(訪問看護AI)」は、訪問先で話すだけで記録書ⅡのSOAPや報告書の下書きを自動作成し、記録時間を最大85%削減します。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
