フォーカスチャーティングは、看護記録の手法のひとつで、「注目すべき出来事(フォーカス)」を中心に記録するのが特徴です。頭文字をとってFDAR方式(Focus・Data・Action・Response)とも呼ばれます。この記事では、看護記録での書き方(DAR/FDAR)とSOAPとの違い、そのまま使える例文を解説します。
フォーカスチャーティングとは
患者のフォーカス(注目点:症状・出来事・ケアのテーマ)を明確にし、それに対する情報・実施・反応をDARで整理する記録法です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| D(Data) | フォーカスに関する主観的・客観的情報 |
| A(Action) | 実施したケア・対応 |
| R(Response) | それに対する患者の反応・結果 |
「FDAR」との関係:フォーカスチャーティングはFDARとも表記されます。先頭のF(Focus=注目点)を立て、その中身をD・A・Rで書く――という構造なので、F+DAR=FDARで同じ記録法を指します。「fdar 看護記録」「dar 看護」と検索されるのはこのためです。
SOAPとの違い
SOAPが「問題志向」で評価(A)を重視するのに対し、フォーカスチャーティングは「出来事志向」で、実施と反応(A・R)を追いやすいのが特徴です。ケアの流れが時系列で見えやすい利点があります。SOAPは介護記録の書き方で解説しています。
看護記録でどちらを使うかは、記録の目的で選びます。継続的な問題の評価・計画修正が中心ならSOAP、その日の出来事・実施したケアと反応を時系列で残すならフォーカスチャーティング(FDAR)が向いています。
| 観点 | SOAP | フォーカスチャーティング(FDAR) |
|---|---|---|
| 発想 | 問題志向(Problem) | 出来事・注目点志向(Focus) |
| 構成 | S・O・A・P | F+D・A・R |
| 得意 | アセスメント・計画の明確化 | 実施したケアと反応を時系列で追う |
| 看護記録での場面 | 問題ごとの経過・評価 | 発熱・転倒・急変など個別の出来事 |
フォーカス(注目点)の立て方
フォーカスチャーティングの質は「何をフォーカスにするか」で決まります。フォーカスは次の3種類から、その記録で一番伝えたい注目点を1つ選びます(原則1記録1フォーカス)。
- 症状・徴候――発熱、疼痛、呼吸苦、浮腫、血糖値の変動など
- 出来事・変化――転倒、急変、拒否、せん妄、退院直後の状態変化など
- ケアのテーマ――清潔(入浴)、排泄、服薬、リハビリ、看取りなど継続的な焦点
「特変なし」で終わらせず、その日に注目したことを言葉にするのがコツです。複数の出来事があれば、フォーカスを分けてそれぞれDARで記録します。
DARの書き方(各要素に何を書くか)
R(反応)がその場で分からないときは無理に書かず、経過観察とし、次の記録で同じフォーカスの続き(継続DAR)として反応を追記します。これがケアの流れを時系列で追える利点につながります。
場面別の記入例(DAR)
看護・介護の現場でよくある場面ごとに、フォーカスとDARの記入例をまとめました。そのまま下書きに使えます(表の右上ボタンからExcel/CSVにコピーできます)。状態にあわせて数値や対応を調整してください。
| フォーカス | D(情報) | A(実施・対応) | R(反応・結果) |
|---|---|---|---|
| 発熱 | 体温38.5℃、悪寒あり。「寒気がする」と訴え。 | 主治医へ報告し指示にて解熱剤使用。水分摂取を促し掛物を調整。 | 1時間後に37.6℃へ低下。「楽になった」と発言、悪寒消失。 |
| 転倒 | 居室で床に座り込んでいるところを発見。頭部・四肢に外傷なし。「立とうとしてふらついた」と話す。 | バイタル測定し主治医へ報告。打撲・意識レベルを観察。ベッド周囲を整理し見守り強化。 | バイタル安定、意識清明。以降ふらつきの訴えなく経過。翌朝まで異常なし。 |
| 疼痛 | 「腰が痛くて眠れない」と訴え。NRS 7。表情険しく寝返り困難。 | 指示のとおり鎮痛剤を使用。安楽な体位を調整し温罨法を実施。 | 30分後にNRS 3へ軽減。「だいぶ楽」と発言し入眠。 |
| 皮膚トラブル(褥瘡) | 仙骨部に発赤2cm、圧迫で消退せず。DESIGN-R評価d1。 | 除圧のため体位変換の間隔を2時間に変更。エアマットを導入し保湿ケアを実施。 | 翌日、発赤範囲は不変も拡大なし。継続観察とし看護計画を見直し。 |
| 不眠 | 23時以降も入眠できず、たびたびナースコール。「目がさえて眠れない」と話す。 | 室温・照明を調整し、温かい飲み物を提供。訴えを傾聴し不安を確認。 | 1時頃に入眠。以降は朝まで良眠。日中の傾眠なし。 |
| 服薬拒否 | 朝の内服を「飲みたくない」と拒否。理由を尋ねると「量が多い」と話す。 | 主治医・薬剤師へ相談し一包化を提案。服薬の必要性を本人へ説明。 | 昼から一包化で服薬再開。「これなら飲める」と発言。飲み忘れなし。 |
| 家族の不安 | 面会時、家族より「自宅で看られるか不安」との相談。 | 在宅サービスの選択肢を説明し、担当ケアマネへ連携。次回面談を調整。 | 家族「相談できて少し安心した」と表情和らぐ。退院前カンファレンスの予定を共有。 |
フォーカス(注目点)に使える言葉90
フォーカスが思いつかないときは、この一覧からその記録で一番伝えたいものを1つ選びます。原則は1記録1フォーカス。複数あれば分けて書きます。
| 領域 | フォーカスに使える言葉 |
|---|---|
| 呼吸 | 呼吸苦/喘鳴/喀痰/咳嗽/SpO2の低下/酸素療法/努力呼吸/吸引/誤嚥/息切れ |
| 循環 | 血圧の変動/浮腫/脈の不整/胸痛/動悸/体重増加/末梢冷感/起立性の症状 |
| 疼痛・苦痛 | 疼痛/疼痛の増強/レスキュー薬の使用/倦怠感/掻痒感/しびれ/悪心 |
| 体温・感染 | 発熱/解熱/悪寒/感染徴候/創部の熱感/尿混濁/感染対策 |
| 消化・栄養 | 食欲低下/摂取量の減少/嚥下困難/むせ/体重減少/脱水/経管栄養/嘔吐/口腔内の汚染 |
| 排泄 | 便秘/下痢/排尿困難/尿閉/失禁/血尿/カテーテル管理/ストーマ管理/残尿感 |
| 皮膚・創傷 | 発赤/表皮剥離/褥瘡/創部の滲出/浸軟/乾燥/掻破痕/スキンテア |
| 安全 | 転倒/転落/ふらつき/離床センサーの作動/自己抜去/誤薬/ヒヤリハット/行動制限の検討 |
| 認知・精神 | せん妄/見当識の低下/興奮/帰宅願望/不安の訴え/抑うつ/幻覚の訴え/拒否/独語 |
| 睡眠・生活 | 不眠/中途覚醒/昼夜逆転/日中の傾眠/活動量の低下/生活リズムの乱れ |
| 治療・処置 | 服薬/服薬拒否/点滴管理/インスリン/創部の処置/検査前の説明/検査後の観察 |
| リハビリ・ADL | 歩行/移乗/立位保持/関節可動域/自主訓練/更衣/入浴/整容/清潔ケア |
| 意思・意向 | 本人の希望/退院への意向/看取りの意向/意思決定の支援/サービスへの希望 |
| 家族・支援 | 家族の不安/介護負担/家族への指導/面会/家族間の意見の相違/キーパーソンの変更 |
| 連携・移行 | 退院支援/退院前カンファレンス/サービス調整/主治医への報告/情報提供/受診同行 |
DARの記入例50場面
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の患者・利用者ではありません。数値・薬剤・処置内容は、実際の指示と記録に置き換えてご使用ください。
呼吸・循環(10場面)
| フォーカス | D(情報) | A(実施・対応) | R(反応・結果) |
|---|---|---|---|
| 呼吸苦 | 「息が苦しい」と訴え。呼吸数26回/分、SpO2 91%(室内気)。起座位を好む | 指示の酸素1L/分を開始。ファウラー位に調整し、口すぼめ呼吸を促した。主治医へ報告 | 15分後にSpO2 95%、呼吸数20回/分。「さっきより楽」と発言 |
| 喘鳴 | 夜間より喘鳴あり。副雑音を両肺野で聴取。咳嗽で喀出困難 | 体位ドレナージを実施し、指示の吸入を施行。水分摂取を促した | 喀痰の喀出があり喘鳴軽減。呼吸音の副雑音は減弱 |
| 喀痰 | 粘稠な黄色痰。自己喀出が困難で、咳嗽時に努力様 | 吸引を実施(口腔内・鼻腔内)。性状と量を主治医へ報告 | 吸引後、呼吸音清明化。SpO2 96%へ改善。「すっきりした」と発言 |
| SpO2の低下 | 訪室時SpO2 88%。チアノーゼなし。会話は可能 | 酸素の流量と接続を確認。プローブの装着位置を変更して再測定。主治医へ報告 | 再測定で94%。プローブの装着不良によるものと判断。以降は安定 |
| 酸素療法 | 在宅酸素の使用時間が指示より短い。「つけていると動きにくい」との訴え | 労作時の使用の必要性を説明。延長チューブの調整を提案した | 「これなら動ける」と発言。翌日以降、指示どおりの使用を確認 |
| 血圧の変動 | 収縮期血圧が朝158、夕124と変動。めまいの訴えなし | 測定時刻と体位を統一して再測定。服薬時刻を確認し主治医へ報告 | 指示により降圧薬の内服時刻を変更。以降、朝の値が138前後で安定 |
| 浮腫 | 両下腿に圧痕性の浮腫。前日より体重1.2kg増加 | 下肢挙上を実施し、塩分・水分の摂取状況を確認。主治医へ報告 | 利尿薬の調整後、翌々日に体重0.8kg減少。圧痕が浅くなった |
| 脈の不整 | 検脈で不整を触知。脈拍数58〜92回/分。動悸の自覚なし | 血圧測定と全身状態を観察。主治医へ報告し心電図の指示を受けた | 検査の結果を受け内服が追加。以降、自覚症状の訴えなく経過 |
| 胸痛 | 「胸が締めつけられる」と訴え。持続約2分で消失。冷汗なし | 安静を保ち、バイタルを測定。直ちに主治医へ報告した | 指示により受診。検査後、内服が調整された。以降、同様の訴えなし |
| 体重増加 | 1週間で1.8kg増加。下腿浮腫と労作時の息切れを併発 | 毎日の体重測定を継続。食事内容を確認し、主治医へ報告 | 内服調整により1週間で1.5kg減少。息切れの訴えも軽減 |
疼痛・体温・感染(8場面)
| フォーカス | D(情報) | A(実施・対応) | R(反応・結果) |
|---|---|---|---|
| 疼痛の増強 | 安静時にもNRS 6の疼痛。前日までは3で経過していた | 疼痛の性状と部位を確認。主治医へ報告し、指示によりレスキュー薬を使用 | 40分後にNRS 3へ軽減。翌日、定時薬の増量が指示された |
| レスキュー薬の使用 | 当日3回目の使用。前日は1回。使用間隔が短くなっている | 使用時刻と誘因を記録し、主治医へ報告した | 定時薬の見直しが行われ、以降のレスキュー使用は1日1回へ減少 |
| 倦怠感 | 「体がだるくて起きられない」と訴え。日中の臥床時間が延長 | 訴えを傾聴し、活動と休息の配分を一緒に検討。バイタルを測定 | 短時間の離床を提案したところ実施でき、「少し気分が変わった」と発言 |
| 掻痒感 | 前腕から体幹に掻痒の訴え。掻破痕あり。皮膚は乾燥 | 保湿剤を塗布し、爪を整えた。寝衣と寝具の素材を確認 | 翌日、掻破痕の新規なし。「かゆみが減った」と発言 |
| 解熱 | 前日38.6℃であった体温が36.8℃へ。悪寒消失、食事摂取量も回復 | バイタルを継続測定し、水分摂取を促した | 以降37℃台へ上昇せず経過。食事は全量摂取 |
| 感染徴候 | 創部周囲に発赤と熱感。滲出液が増加し、においを伴う | 創部の状態を写真と記載で残し、直ちに主治医へ報告 | 指示により抗菌薬が開始。3日後に発赤範囲が縮小 |
| 尿混濁 | 尿の混濁と浮遊物を確認。発熱なし。排尿時痛の訴えなし | 水分摂取を促し、性状を記録して主治医へ報告 | 翌日、混濁は軽減。検査の指示を受け実施した |
| 感染対策 | 同室者に感染性胃腸炎の疑い。本人に症状はない | 手指衛生と個人防護具の使用を徹底。排泄物の取り扱いを確認した | 観察期間中に症状の出現なく経過 |
消化・栄養・排泄(10場面)
| フォーカス | D(情報) | A(実施・対応) | R(反応・結果) |
|---|---|---|---|
| 食欲低下 | 3日連続で摂取量が5割以下。「食べたい気がしない」との訴え | 好みと食べやすい形態を確認。少量頻回への変更を提案し、主治医へ報告 | 翌日より7割摂取。「これなら食べられる」と発言 |
| 嚥下困難 | 食事中に湿性咳嗽が3回。飲水時に特に強い | とろみの使用を開始し、食事形態と姿勢を調整。主治医へ報告 | むせの回数が1回へ減少。摂取に要する時間も短縮 |
| むせ | 汁物でむせが続く。食後に声のかすれあり | 汁物にとろみを付与し、一口量を減らすよう声かけした | むせなく摂取できた。食後の声のかすれも認めず |
| 体重減少 | 1か月で1.5kg減少。摂取量は変わらないとの訴え | 食事内容を詳細に確認し、間食を提案。主治医へ報告した | 栄養評価の指示を受け実施。補助食品の追加が決定した |
| 脱水 | 口腔内乾燥、皮膚のツルゴール低下。1日の飲水量が500mL程度 | 飲水の時間を決めて促し、摂取量を記録。主治医へ報告 | 飲水量が1,000mLへ増加。口腔内の乾燥が改善 |
| 経管栄養 | 注入中に嘔気の訴え。注入速度は指示どおり | 注入を一時中断し、上体を挙上して様子を観察。主治医へ報告 | 速度を落として再開したところ嘔気なく完了 |
| 便秘 | 4日間排便なし。腹部膨満と食欲低下を伴う | 腹部を触診し、指示に基づき緩下剤を使用。水分と活動を促した | 翌朝に普通便を多量に排出。腹部膨満は消失 |
| 下痢 | 水様便が1日5回。腹痛の訴えあり。発熱なし | 脱水の徴候を観察し、水分摂取を促した。性状を記録し主治医へ報告 | 翌日、回数が2回へ減少。便性状は泥状へ改善 |
| カテーテル管理 | 膀胱留置カテーテルからの尿流出が少ない。腹部緊満あり | 屈曲と閉塞の有無を確認し、体位を調整。主治医へ報告 | 屈曲を解除したところ流出再開。腹部緊満は消失 |
| 失禁 | 夜間の失禁が3日続いている。「間に合わなかった」との訴え | 排尿の時間を記録し、就寝前の誘導を追加。パッドの種類を見直した | 誘導開始後、夜間の失禁が1回へ減少 |
皮膚・安全(7場面)
| フォーカス | D(情報) | A(実施・対応) | R(反応・結果) |
|---|---|---|---|
| 発赤 | 右踵部に発赤。圧迫を解除しても消退せず | 除圧のためクッションを使用し、体位変換の間隔を短縮。主治医へ報告 | 3日後に発赤が消退。皮膚損傷への進行はなし |
| スキンテア | 移乗時に前腕の表皮が剥離。出血は少量 | 生理食塩水で洗浄し、指示に基づき被覆。発生状況を記録した | 翌日、出血なく上皮化が進行。移乗方法を見直した |
| 創部の滲出 | 被覆材からの漏れあり。滲出液が前日より増加 | 被覆材を交換し、創部の状態を観察。主治医へ報告した | 指示により被覆材を変更。翌日以降、漏れは生じていない |
| 転落 | ベッドサイドで発見。柵は下がっていた。外傷なし | バイタルと意識レベルを確認し、主治医へ報告。柵の位置と離床センサーを見直した | 異常所見なく経過。以降、同様の事象なし |
| ふらつき | 立位時にふらつきあり。「頭がふらっとする」と訴え。起立時血圧の低下を確認 | ゆっくり起き上がるよう説明し、動作を見守った。主治医へ報告 | 段階的な起き上がりでふらつき軽減。転倒なく経過 |
| 自己抜去 | 点滴のルートが抜けているのを発見。刺入部から少量の出血 | 止血を確認し、主治医へ報告。指示により再挿入。抜去に至った状況を確認した | 再挿入後は自己抜去なし。日中の見守りを強化した |
| 離床センサーの作動 | 夜間2時にセンサーが作動。ベッド端に座っていた | 訪室し用件を確認、トイレへ誘導した。動線の障害物を除いた | 安全に排泄でき転倒なし。以降、同様の対応で経過 |
認知・精神・睡眠(8場面)
| フォーカス | D(情報) | A(実施・対応) | R(反応・結果) |
|---|---|---|---|
| せん妄 | 夜間に落ち着きなく、話のつじつまが合わない。日中は疎通良好 | 照明と音を調整し、時計とカレンダーを見える位置に置いた。主治医へ報告 | 環境調整後、夜間の起き上がりが減少。日中の傾眠なし |
| 見当識の低下 | 「ここはどこ」と繰り返し尋ねられる。日付の回答に誤りあり | そのつど場所と日付を伝え、否定しない関わりを行った | 説明後は落ち着かれる。表情の硬さも和らいだ |
| 興奮 | 大きな声を出され、椅子を叩く動作あり。直前に処置を実施 | いったん距離をとり、落ち着かれてから理由を尋ねた。処置の説明を再度行った | 「痛いのが嫌だった」と話され、以降は落ち着いて処置を受けられた |
| 帰宅願望 | 夕方に「家に帰る」と玄関へ向かわれる。1日2回 | 否定せず思いを傾聴し、一緒に座って話を伺った。ご家族へ状況を共有 | 会話の後は落ち着かれる。ご家族の面会後は訴えが減少 |
| 不安の訴え | 「この先どうなるのか」と繰り返し話される。夜間に多い | 時間をとって傾聴し、今後の見通しについて分かる範囲で説明した | 「聞いてもらえてよかった」と発言。当夜は入眠できた |
| 拒否 | 入浴を「今日はいい」と拒否。理由を尋ねると「疲れている」との返答 | 無理に勧めず、清拭へ切り替えた。翌日の希望時間を一緒に決めた | 翌日、希望された時間に入浴された。「気持ちよかった」と発言 |
| 中途覚醒 | 2時と4時に覚醒。日中の傾眠が増えている | 日中の活動を増やし、就寝前の環境を調整した | 3日後、覚醒が1回へ減少。日中の傾眠も軽減 |
| 昼夜逆転 | 日中は臥床、夜間に活動される状態が続いている | 朝に日光を浴びる時間を設け、日中の活動を提案した | 1週間後、日中の離床時間が2時間延長。夜間の睡眠も確保された |
治療・リハビリ・連携(7場面)
| フォーカス | D(情報) | A(実施・対応) | R(反応・結果) |
|---|---|---|---|
| インスリン | 自己注射の手技で、注入後すぐに針を抜いている | 手技を一緒に確認し、注入後の待機時間を説明。実施を見守った | 手技が修正され、以降は正しく実施できている |
| 点滴管理 | 刺入部に発赤と腫脹。疼痛の訴えあり | 直ちに抜針し、主治医へ報告。刺入部を観察し冷罨法を実施 | 翌日、発赤と腫脹が軽減。疼痛の訴えは消失 |
| 検査前の説明 | 翌日の検査について「何をするか分からない」との訴え | 検査の流れと当日の注意点を説明し、質問に答えた | 「これなら大丈夫」と発言。当日は落ち着いて受けられた |
| 歩行 | 四点杖での歩行距離が15m。ふらつきは軽度 | 歩行訓練を実施し、休憩を挟みながら距離を延ばした | 20mまで延長。「前より歩ける」と発言 |
| 移乗 | 移乗時に膝折れがみられ、介助量が増えている | 手すりの位置を調整し、立ち上がりの声かけの方法を統一した | 膝折れの頻度が減少。一部介助で安定して移乗できている |
| 退院支援 | 退院後の生活について、本人とご家族の希望に違いがある | それぞれの思いを個別に伺い、退院前カンファレンスでの共有を提案した | カンファレンスで方針を確認。双方が納得して退院日が決定した |
| 主治医への報告 | 浮腫の増強と体重増加を確認。前回報告から1週間 | 数値の推移をまとめ、14時20分に電話で報告した | 同日に往診。内服が調整され、翌週には体重が減少した |
同じフォーカスを追う「継続DAR」の書き方
その場でR(反応)が分からないときは、無理に書かず次の記録で同じフォーカスの続きとして追記します。これがフォーカスチャーティングの最大の利点です。
| 日時 | フォーカス | 記載 |
|---|---|---|
| 1日目 10:00 | 褥瘡 | D:仙骨部に発赤3cm。圧迫を解除しても消退せず。A:体位変換の間隔を2時間に変更し、除圧用具を導入。主治医へ報告。R:(経過観察とし、次回評価) |
| 2日目 10:00 | 褥瘡(継続) | D:発赤は3cmで不変。表皮の破綻なし。A:体位変換を継続し、実施状況をご家族と確認。R:拡大なし。除圧は継続できている |
| 5日目 10:00 | 褥瘡(継続) | D:発赤は1.5cmへ縮小。周囲の熱感なし。A:現在の除圧を継続。ご家族へ経過を説明。R:縮小傾向。ご家族「続けます」と発言 |
| 9日目 10:00 | 褥瘡(終了) | D:発赤消退。皮膚の損傷なし。A:除圧を継続しつつ、観察頻度を通常へ戻した。R:治癒を確認。以降、新規の発生なし |
フォーカス名をそろえることが継続DARの条件です。同じ問題を「褥瘡」「発赤」「皮膚トラブル」とばらばらに書くと、経過が追えなくなります。事業所内でフォーカスの言葉をそろえておくと、この利点が生きます。
SOAPからDARへ|書き換え対照表15例
SOAPで書いてきた記録は、次の対応で置き換えられます。S(主観)とO(客観)はDにまとめ、P(計画)のうち実施したことがA、その結果がRです。
| SOAPの要素 | DARでは | 書き換えの例 |
|---|---|---|
| S(主観的情報) | Dに含める | S「息が苦しい」→ D:「息が苦しい」と訴え |
| O(客観的情報) | Dに含める | O SpO2 91% → D:SpO2 91%(室内気)、呼吸数26回/分 |
| A(アセスメント) | フォーカスの選び方に反映。DARには独立した欄がない | A「低酸素血症の疑い」→ フォーカスを「呼吸苦」とする |
| P(計画)のうち実施したこと | A(Action) | P 酸素投与 → A:指示の酸素1L/分を開始 |
| P(計画)のうち今後の予定 | Rの末尾か、次回のDへ | P 経過観察 → R:(経過観察とし、次回評価) |
| 実施後の変化 | R(Response)。SOAPで最も抜けやすい | → R:15分後にSpO2 95%。「楽になった」と発言 |
| SOAPの記載(例) | DARへの書き換え(例) |
|---|---|
| S:「腰が痛い」 O: NRS 7、寝返り困難 A: 疼痛コントロール不良 P: 鎮痛剤使用 | F: 疼痛/D:「腰が痛い」と訴え、NRS 7。寝返り困難/A: 指示の鎮痛剤を使用し、体位を調整/R: 30分後にNRS 3。「楽になった」と発言し入眠 |
| S:「食べたくない」 O: 摂取5割 A: 食欲低下 P: 形態変更を検討 | F: 食欲低下/D:「食べたくない」との訴え。摂取量5割/A: 好みと形態を確認し、少量頻回を提案/R: 翌日7割摂取。「これなら食べられる」と発言 |
| S: なし O: 仙骨部発赤2cm A: 褥瘡リスク P: 除圧 | F: 発赤/D: 仙骨部に発赤2cm。圧迫を解除しても消退せず/A: 体位変換を2時間ごとへ変更し除圧用具を導入/R:(経過観察とし、次回評価) |
| S:「眠れない」 O: 23時以降覚醒 A: 不眠 P: 環境調整 | F: 不眠/D:「眠れない」と訴え。23時以降も覚醒/A: 室温と照明を調整し、温かい飲み物を提供/R: 1時頃に入眠。以降は朝まで良眠 |
| S:「家に帰りたい」 O: 夕方に玄関へ A: 帰宅願望 P: 傾聴 | F: 帰宅願望/D: 夕方に「家に帰る」と玄関へ向かわれる/A: 否定せず、一緒に座って思いを伺った/R: 会話の後は落ち着かれ、以降の訴えなし |
訪問看護でフォーカスチャーティングを使うとき
訪問看護では、訪問看護記録書Ⅱの経過欄にDARの形で書く運用もあります。訪問は1回ごとに間隔が空くため、継続DARとの相性がよいのが特徴です。
| 病棟 | 訪問看護 | |
|---|---|---|
| 1日の記録回数 | 複数回。勤務帯ごと | 訪問1回につき1件 |
| Rを書くタイミング | 同じ日のうちに書けることが多い | 次の訪問日に継続DARとして書くことが多い |
| フォーカスの立て方 | その勤務帯で注目したこと | 計画書の目標に対応させると、報告書へつなげやすい |
| 読み手 | 次の勤務者、多職種 | 他の訪問スタッフ、主治医、担当介護支援専門員 |
記録書Ⅱの様式そのものの書き方は訪問看護記録書Ⅱの書き方|SOAP文例、月次の報告書は訪問看護報告書の書き方で解説しています。
なお、フォーカスを立てずに「特変なし」だけで終わらせないのは、書式にかかわらず共通です。松山市の運営指導での主な指摘事項に関する資料では、提供したサービスの内容だけでなく利用者の心身の状況についても記録することとされ、「特変なし」等しか書かれていない記録が見受けられると示されています。取り扱いは保険者により異なります。
良い例・悪い例で分かるDARのコツ
フォーカスチャーティングのメリット・デメリット
メリット:出来事ごとにケアの流れ(実施と反応)が時系列で見え、多職種で状況を追いやすい点です。
デメリット:フォーカスの立て方が人によってばらつくと、記録の質に差が出ます。何に注目するかの共通認識が大切です。
まとめ
フォーカスチャーティングは「注目点→情報→実施→反応」で、ケアの流れを追いやすい記録法。SOAPと使い分けると記録の幅が広がります。
疾患・状態別のDAR記録例72|心不全・COPD・脳梗塞後から終末期まで
症状ごとの文例は前半にまとめましたが、実際の記録は「同じ方を、同じ疾患・状態のまま何か月も追う」形になります。ここでは疾患・状態ごとに、フォーカスの立て方とDARの並びを6例ずつ並べました。表はすべて「フォーカス/D(データ)/A(アクション)/R(レスポンス)」の4列で揃えているので、表計算ソフトに貼り付けて自事業所の文例集の下敷きにできます。
書き方の前提として、記録に残すのは観察した事実・実施したこと・その結果です。診断や治療方針の判断は主治医が行うため、記録では「◯◯と判断した」ではなく「◯◯を報告した/指示を受けて実施した」と書き分けます。以下はすべて記録の書き方を示すための一般化した例文であり、実在の利用者・患者の記録ではありません。
心不全の経過を追うDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 体重の増加 | 起床後の体重が3日で1.8kg増加。両下腿に圧痕性の浮腫、靴下の跡が夕方まで残る。息切れの訴えはなし。 | 体重と浮腫の推移を一覧にして主治医へ報告。食事の塩分・水分の摂り方をご本人と確認し、毎朝同じ条件での体重測定を依頼。 | 主治医より指示を受け内容を記録。ご本人は「汁物を1日2回飲んでいた」と話され、1回に減らすことに同意。次回訪問時に体重と浮腫を再評価する。 |
| 労作時の息切れ | トイレまでの歩行(約10m)でSpO2 96%→92%、呼吸数24回/分。休息2分でSpO2 96%へ回復。「前は平気だった」との訴え。 | 動作を区切って行う方法を説明し、途中で座って休む位置を一緒に決めた。歩行前後のSpO2測定を継続し、数値を主治医へ報告。 | 区切って移動した同日の再測定ではSpO2 95%以上を保てた。ご本人「休みながらなら行ける」と話される。次回も同条件で測定する。 |
| 夜間の呼吸苦 | 「夜中に息が苦しくて起き上がった」との訴え。枕を2つ重ねて寝ているとご家族より情報。夜間の咳あり。日中のSpO2は96%。 | 上体を起こしやすい寝具の工夫を提案。症状が出た時刻と持続時間を記録用紙に記入いただくよう依頼し、主治医へ報告。 | ご家族が記録用紙への記入に同意。次回訪問時に夜間症状の記録を確認し、主治医へ提供することとした。 |
| 服薬に伴う困りごと | 「利尿薬を飲むとトイレが近くて外出できない」との訴え。薬カレンダーに昼分の残薬が2日分。 | 残薬の状況と本人の困りごとをそのまま主治医・薬剤師へ伝達。自己判断で中止しないことをお伝えし、受診時に相談する内容を一緒にメモした。 | ご本人「勝手にやめないで相談する」と返答。次回訪問時に残薬数を再確認することとした。 |
| 塩分の摂り方 | 食事内容を聞き取り。漬物と干物が毎食にあり、ご家族は「本人が好きなので出している」と話される。 | 献立を否定せず、量と頻度を1週間記録していただくよう依頼。栄養に関する相談先(主治医・管理栄養士)をお伝えした。 | ご家族「回数を数えてみます」と同意。次回、記録をもとに主治医・ケアマネジャーへ情報提供する。 |
| 息切れの経過(継続) | 前回みられた労作時の息切れについて、本日は同じ距離の歩行でSpO2 96%を維持、呼吸数18回/分。体重は前回比0.6kg減。 | 前回からの数値の変化を一覧で提示してご本人と共有。歩行前後の測定を継続し、主治医へ報告。 | ご本人「今日はしんどくない」と話される。同じフォーカスで経過観察を継続し、次回も同条件で測定する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
COPD・慢性呼吸不全のDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 呼吸困難感 | 起床時から「息が吸いにくい」との訴え。呼吸数26回/分、SpO2 90%、口すぼめ呼吸あり。呼吸音を聴取し記録。 | 上体を起こした姿勢に整え、酸素は指示流量から変更せず。口すぼめ呼吸を一緒に実施し、数値を主治医へ報告。 | 15分後にSpO2 93%、呼吸数20回/分。「さっきより楽」と話される。指示を受けた内容を記録し、朝のSpO2測定を継続する。 |
| 痰の性状の変化 | 痰の色が白色から黄色へ変化。粘稠で自己喀出に時間がかかる。体温37.4℃。 | 痰の色・量・喀出のしやすさを記録して主治医へ報告。水分摂取量と吸入の使用状況を確認。 | 主治医より指示を受け内容を記録。ご家族へ痰の色の変化を伝え、次回訪問まで気づいた点をメモしていただくよう依頼した。 |
| 在宅酸素の取り扱い | 酸素濃縮器の設定が2L/分。指示は1L/分。ご本人「苦しいので自分で上げた」と話される。 | 設定を自己判断で変更しない理由と、苦しいときの連絡先を紙に書いて掲示。経緯をそのまま主治医へ報告。 | ご本人「次からは電話する」と返答。ご家族にも同じ内容を説明。主治医より指示を受け記録した。 |
| 入浴時の呼吸苦 | 入浴前後でSpO2 95%→88%、回復に5分。洗髪時がもっとも苦しいとの訴え。 | 動作の順番と休憩を入れる位置を一緒に見直し、洗髪は座位で行う方法を実施。前後の数値を記録。 | 次回の入浴では最低SpO2 92%、回復2分。ご本人「休みを入れると違う」と話される。同じ手順を継続する。 |
| 吸入手技 | 吸入器の残量カウンターが想定より多く残る。手技を確認したところ、吸入後の息止めが行われていなかった。 | 手順を一つずつ一緒に確認して実施していただき、手順表を吸入器の保管場所に貼付。 | 息止めを含めた手技を実施できた。ご本人「教わったとおりにやってみる」と話される。次回、残量と手技を再確認する。 |
| 連絡の目安の理解(継続) | 前回説明した「連絡する目安」を確認。ご家族は連絡先を答えられたが、目安は「苦しそうなとき」と曖昧。 | 普段と比べた呼吸数・SpO2・話しづらさ・食事量という具体的な目安を書面にし、目につく場所へ掲示。 | ご家族「これなら分かる」と話される。次回訪問時に掲示物を見ながら再確認することとした。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
脳梗塞後(片麻痺・嚥下・コミュニケーション)のDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 麻痺側の管理 | 左上肢の肩関節に軽度の下垂と、可動時の痛みの訴え。臥床時に麻痺側が体幹の下敷きになっていた。 | ポジショニングを実施し、クッションでの支持位置をご家族へ実演。痛みの有無と時間帯の記録を依頼。 | 実施直後に「今は痛くない」と話される。ご家族が同じ位置に整えることができた。次回、痛みの記録を確認する。 |
| 嚥下(むせ込み) | 昼食時にお茶でむせ込みが2回。とろみの濃度が前回と異なることをご家族と確認した。 | とろみの計量方法を一緒に確認して計量スプーンの使用を実演。食事姿勢を整えて摂取を再開。 | 調整後の摂取ではむせ込みなし。ご家族「目分量でやっていた」と話される。次回、計量の実施状況を確認する。 |
| 移乗動作 | ベッドから車椅子への移乗で麻痺側への傾きあり。介助量は前回と同程度(軽介助)。 | 手すりの位置と足の位置を見直して実施。ご家族にも介助時の立ち位置を説明。 | 傾きが減り、ご本人・ご家族ともに「やりやすい」と話される。同じ手順で継続し、次回介助量を再評価する。 |
| コミュニケーション | 単語での発話は可能だが、文になると言葉が出にくい。ご家族が代弁する場面が多い。 | 選択肢を2つ示して答えていただく方法を実施し、ご家族にも共有。答えを待つ時間を確保するようお願いした。 | ご本人が自分で選んで答える場面が増えた。ご家族「先回りしていた」と話される。次回も同じ方法を続ける。 |
| 服薬の自己管理 | 朝分の薬が2日分残っている。ご本人「飲んだつもりだった」と話される。 | 薬カレンダーの設置場所を食卓へ変更し、日付の目印を貼付。残薬数を記録して主治医・薬剤師へ情報提供。 | 次回訪問時、朝分の残薬なし。ご本人「目に入るから忘れない」と話される。残薬数の確認を継続する。 |
| 再発への不安(継続) | 前回に続き「また倒れるのが怖い」との訴え。自宅測定の血圧は128〜142/70〜86mmHgで推移。 | 測定値を時系列で一緒に確認し、受診時に相談したい内容を一緒にメモにまとめた。 | ご本人「聞くことが決まって少し楽になった」と話される。次回、受診の結果を確認する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
糖尿病・血糖管理のDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 血糖値の変動 | 起床時血糖78mg/dL。「朝方に汗をかいて目が覚めた」との訴え。前日の夕食量は普段の半分。 | 数値・自覚症状・食事量をあわせて主治医へ報告。低血糖時の対応方法と補食の置き場所をご家族と確認。 | 主治医より指示を受け記録。ご家族が補食を手の届く場所に準備。起床時血糖と症状の記録を継続する。 |
| 自己注射の部位 | 注射部位が同一箇所に集中し、硬結を触知。手技そのものは手順どおり実施できている。 | 部位のローテーション表を作成し、実施した部位を記入いただくことにした。硬結の部位と大きさを記録。 | ご本人「同じところが打ちやすかった」と話される。表への記入に同意。次回、部位と硬結を再確認する。 |
| 足の観察 | 右第1趾の爪の肥厚と足底の角質肥厚あり。発赤・腫脹・傷はなし。靴下の内側に硬い縫い目。 | 足の状態を記録して主治医へ報告。毎日の観察方法をご本人・ご家族へ説明し、その場で一緒に実施。 | ご家族「毎日は見ていなかった」と話される。観察を日課に組み込むことに同意。次回、実施状況を確認する。 |
| 食事内容の把握 | 「甘い物は食べていない」との申告。台所に清涼飲料水の空容器が複数あり、ご家族より「毎日飲んでいる」と情報。 | 否定せず、飲み物の種類と本数を1週間記録していただくよう依頼。記録用紙を渡して記入方法を説明。 | ご本人「書くだけならやってみる」と同意。次回、記録をもとに主治医・管理栄養士へ情報提供する。 |
| 体調不良時の対応 | 体温37.8℃、食事摂取は普段の3割。内服とインスリンの取り扱いについてご家族から質問あり。 | 自己判断で中止・変更しないことをお伝えし、その場で主治医へ連絡。指示内容をご家族と一緒に確認して記録。 | ご家族「電話してよかった」と話される。指示内容を紙に書いて掲示し、翌日に電話で状況を確認することとした。 |
| 血糖自己測定の手技(継続) | 前回説明した測定手技を確認。穿刺前の手洗いが省略されていた。測定値の記録は続けられている。 | 手洗いを含む手順を一緒に実施し、手順表を測定器のケースに入れた。 | 手洗いを含めて実施できた。ご本人「順番が書いてあると分かる」と話される。次回も手技を確認する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
がんの疼痛緩和・症状マネジメントのDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 疼痛 | 「腰から足にかけて重い痛み」との訴え。NRS 7/10、体動時に増強し安静時は4/10。前回の記録では安静時2/10。 | 痛みの部位・強さ・出現する時間帯を記録して主治医へ報告。指示されているレスキュー薬の使用状況を確認。 | 主治医より指示を受け記録。ご本人は「我慢してから使っていた」と話され、使用のタイミングを一緒に整理した。 |
| レスキュー薬の使用状況 | 24時間で3回使用。使用前NRS 8/10、使用1時間後3/10。使用のたびに記録用紙へ記入できている。 | 使用回数と使用後の変化を一覧にして主治医へ提供。眠気・便秘などの様子もあわせて記録。 | ご本人「効いているのが分かる」と話される。記録の継続を依頼し、次回も同じ形で確認する。 |
| 便秘 | 最終排便から4日。腹部膨満感の訴えあり、腸蠕動音は聴取可。食事量は普段の7割。 | 排便日と性状の記録を確認して主治医へ報告。水分摂取と腹部の保温について説明し実施。 | 主治医より指示を受け記録。翌日ご家族より排便ありの連絡。次回訪問で腹部症状を再確認する。 |
| 倦怠感と生活の希望 | 「午後になると起きていられない」との訴え。午前中はテレビを見て過ごせている。「風呂に入りたい」との希望あり。 | 体調の良い時間帯に合わせて入浴時間を調整する案をご家族・ケアマネジャーと共有。実施の可否は当日判断とした。 | ご本人「午前中なら入れそう」と話される。次回訪問を午前に変更し、当日の状態で可否を確認することとした。 |
| 家族の不安 | 主介護者より「痛がっているのに何もできない」と涙ぐんで話される。介護は連日で、睡眠は4時間程度。 | 訴えを傾聴し、実際に行われている対応を具体的に言葉にして返した。相談窓口と休息の選択肢をケアマネジャーへ連絡。 | ご家族「話せて少し楽になった」と話される。ケアマネジャーより後日連絡が入る予定。次回も睡眠時間を確認する。 |
| 疼痛の推移(継続) | 前回のNRS 7/10から、本日は安静時3/10・体動時5/10。夜間の中途覚醒は2回から1回へ。 | 前回からの推移を一覧で共有し、主治医へ報告。記録用紙の記入を継続していただく。 | ご本人「前より眠れる」と話される。同じ尺度・同じフォーカスで経過を追うこととした。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
褥瘡・創傷処置のDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 仙骨部の発赤 | 仙骨部に直径約2cmの発赤。指で押しても白く消退せず、表皮剥離はなし。同一体位が3時間続いていた。 | 部位と大きさを記録し、同意を得て撮影。除圧を実施し、体位変換の間隔をご家族と確認して主治医へ報告。 | 主治医より指示を受け記録。ご家族が2時間ごとの体位変換に同意。次回、同じ方法で計測する。 |
| 創部の処置 | 右腸骨部の創、長径3.0×短径2.2cm。浸出液は少量・淡黄色。周囲皮膚に浸軟なし。疼痛の訴えなし。 | 指示された内容で洗浄と保護を実施。サイズと浸出液の量を前回と比較して記録。 | 処置中の表情は穏やかで苦痛の訴えなし。前回(3.4×2.6cm)より縮小。次回も同じ方法で計測・記録する。 |
| 体圧分散用具の設定 | エアマットの設定が「硬め」に変更されていた。ご家族「動きにくそうなので変えた」と話される。踵部に軽度の発赤。 | 変更の理由を伺い、設定と体格の関係を説明。指示された設定に戻し、踵部の除圧用具を追加。関係者へ連絡。 | ご家族「戻すことに納得した」と話される。踵部の発赤は次回訪問時に再確認することとした。 |
| 栄養状態と創傷 | 食事摂取量が普段の5割の日が3日続く。体重は1か月で1.2kg減。創の浸出液は前回と同程度。 | 摂取量・体重・創の状態をまとめて主治医とケアマネジャーへ情報提供。食べられている物の内容を確認。 | 主治医より指示を受け記録。ご家族が食事内容の記録に同意。次回、摂取量と体重を再確認する。 |
| 皮膚裂傷(スキンテア) | 左前腕に長径4cmの皮膚裂傷。移乗時に柵へ接触したとご家族より情報。出血は止血済みで皮弁あり。 | 洗浄後に皮弁を戻して保護。発生の状況を記録して主治医へ報告し、柵へのカバー装着と長袖の着用を提案。 | 主治医より指示を受け記録。ご家族がカバーの設置に同意。次回、創部と再発の有無を確認する。 |
| 創部の経過(継続) | 前回3.0×2.2cmから2.6×1.8cmへ縮小。浸出液は少量のまま、発赤は辺縁のみ。 | 計測値を時系列で並べて記録し、主治医へ提供。処置内容は指示どおり継続。 | ご家族へ経過を数値で共有し「小さくなっているのが分かる」と話される。同じフォーカスで継続する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
認知症の行動・心理症状に向き合うDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 帰宅を訴える行動 | 夕方16時ごろから「家に帰る」と玄関へ向かう行動。ここ1週間は毎日、同じ時間帯に出現。日中の臥床時間が長い。 | 出現の時刻と直前の状況を記録。否定せずに同行しながら話を伺い、日中の過ごし方をご家族・ケアマネジャーと相談。 | 同行して話を伺ううちに表情が和らぎ、居間へ戻られた。記録を続けて時間帯の傾向を確認することとした。 |
| ケアへの抵抗 | 入浴の声かけに「今はいい」と拒否。手を払う動作あり。前日は同じ声かけで入浴できていた。 | 時間を空けて再度声かけし、脱衣所の室温を上げて準備。理由を問い詰めず「今・あとで」の選べる形で伺った。 | 30分後に「じゃあ入る」と話され入浴を実施。実施できた条件(時間帯・室温・声かけの形)を記録して共有した。 |
| 物が見当たらないという訴え | 「財布を盗られた」との訴え。ご家族と一緒に探し、ご本人の引き出しから発見。同様の訴えは今月3回目。 | 訴えを否定せず一緒に探す対応を実施。ご家族へも同じ対応方法を説明し、訴えの回数と状況を記録。 | 発見後は落ち着かれ、その後の訴えなし。ご家族「言い返さないほうがいいと分かった」と話される。 |
| 昼夜のリズム | 夜間2〜4時に室内を歩く。日中は14〜16時に臥床。夜間の水分摂取が多いとご家族より情報。 | 起床・就寝・臥床の時刻を24時間の記録用紙に記入いただくよう依頼。日中の活動と日光を浴びる時間を提案。 | ご家族が記録に同意。次回、1週間分の記録をもとに生活リズムを一緒に確認することとした。 |
| 食事に手をつけない | 昼食に手をつけず、食器を見つめている時間が長い。品数は5品で、大皿にまとめて提供されていた。 | 品数を減らして1品ずつ提供する方法を実施。声かけは短い言葉に統一した。 | 1品ずつの提供で7割摂取。ご家族「一度に出しすぎていたかも」と話される。次回も同じ方法を試すこととした。 |
| 介護者の疲労(継続) | 主介護者より「夜中に起こされて眠れない」との訴え。前回聴取時より睡眠時間が短縮(4時間→3時間)。 | 訴えを傾聴し、睡眠時間と夜間対応の回数を記録。ケアマネジャーへ状況を連絡し、サービス調整の検討を依頼。 | ご家族「限界だと言えてよかった」と話される。ケアマネジャーより翌日連絡の予定。次回も睡眠時間を確認する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
嚥下機能の低下・誤嚥が心配される状態のDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 発熱と痰の増加 | 体温37.9℃、SpO2 93%、湿性の咳と痰の増加。前日の昼食時にむせ込みあり。食事摂取は3割。 | バイタル・食事時の様子・むせ込みの有無をまとめて主治医へ報告。水分と体位を調整し、1時間ごとに観察。 | 主治医の指示により受診となり、結果を記録に追記。ご家族へ受診時に伝える内容をメモにして渡した。 |
| 食事中のむせ込み | 汁物で毎回むせ込み。固形物ではむせ込みなし。食事中の姿勢は頸部が後ろへ反った状態。 | 姿勢を調整(顎を引く・足底を床につける)し、汁物にとろみを使用して再開。食品ごとにむせ込みの有無を記録。 | 姿勢調整後は汁物でのむせ込みなし。ご家族へ姿勢の作り方を実演し、次回も同じ確認を行うこととした。 |
| 口腔内の状態 | 舌苔が厚く、義歯の内面に食べ物の残りあり。口臭あり。口腔ケアは「本人がやっている」とのこと。 | 実際のケアの様子を確認し、届いていない部位を一緒に磨いた。義歯の洗浄方法を説明。 | ケア後に残渣は除去された。ご家族が夜のみ介助することに同意。次回、同じ観点で口腔内を確認する。 |
| 食事形態と食事時間 | 常食を摂取中だが咀嚼に時間がかかり、口腔内に残留あり。食事時間が45分に延長している。 | 残留の状況と食事時間を記録して主治医・ケアマネジャー・管理栄養士へ情報提供。一口量を小さくする方法を実施。 | 一口量の調整で食事時間は35分。ご本人「これくらいなら食べやすい」と話される。形態の変更は関係職種と検討する。 |
| 夜間の咳 | ご家族より「夜中に咳き込む」と情報。就寝時は平らな姿勢。夕食から就寝までが30分。 | 就寝までの時間と上体の角度について説明し、クッションで調整を実施。夜間の咳の回数の記録を依頼。 | ご家族が記録に同意。次回、咳の回数と就寝時刻の記録を確認し、主治医へ情報提供することとした。 |
| 発熱後の経過(継続) | 前回37.9℃から本日36.8℃。SpO2 97%。食事摂取は7割まで回復。むせ込みは汁物で1回。 | 経過を数値で並べて記録し、主治医へ報告。食事時の姿勢調整は継続。 | ご本人「だいぶ楽」と話される。同じフォーカスで経過観察を継続し、次回も食事場面を確認する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
骨折後・術後リハビリ期のDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 術後創部の観察 | 右大腿部の創部に発赤・腫脹・熱感なし。滲出液なし。抜鉤部に痂皮あり。疼痛はNRS 2/10。 | 創部の状態を記録し、入浴・清拭時の取り扱いをご本人・ご家族へ説明。異常時の連絡先を確認。 | ご本人「濡らしていいか迷っていた」と話される。取り扱いを確認でき、次回も同じ観点で観察する。 |
| 荷重制限の理解 | 「半分くらいまで体重をかけてよい」と説明を受けたとご本人。実際の歩行では患側に体重が乗り切っている。 | 退院時の資料で指示内容を確認し、体重計を使って荷重の感覚を一緒に確認。理学療法士へ情報共有。 | ご本人「思ったより乗せていた」と話される。次回、同じ方法で確認することとした。 |
| 疼痛と活動量 | 歩行練習後に患側の疼痛NRS 5/10、30分の安静で2/10へ。腫脹は軽度、熱感なし。 | 痛みの出るタイミングと回復までの時間を記録して主治医・理学療法士へ報告し、練習量の調整を相談。 | 指示・助言の内容を記録。ご本人「痛みが引くなら続けたい」と話される。次回も同じ指標で確認する。 |
| 転倒への不安 | 「また転ぶのが怖い」と外出を控えている。屋内歩行は歩行器で自立。玄関に段差があり手すりはない。 | 不安の内容を具体的に伺い、住環境の状況をケアマネジャー・福祉用具担当へ情報提供。玄関での動作を一緒に確認。 | ご本人「手すりがあれば出られるかも」と話される。福祉用具担当が訪問予定。次回、外出の状況を確認する。 |
| 弾性ストッキングの着用 | 日中のみ着用し夜間は外している。ご家族「本人が嫌がる」と話される。下腿の腫脹・左右差はなし。 | 着用状況をそのまま記録して主治医へ報告。圧迫感やしわの有無を確認し、履き方を実演。 | 主治医より指示を受け記録。ご本人「しわが痛かった」と話される。次回、着用状況を再確認する。 |
| 歩行距離の経過(継続) | 前回は歩行器で10m、本日は同じ歩行器で25mを休憩なしで歩行。歩行後の疼痛はNRS 2/10で前回と同じ。 | 距離と疼痛を一覧で記録し、理学療法士・主治医へ共有。自主練習の内容と回数を確認。 | ご本人「距離が伸びたのが数字で分かる」と話される。次回も同じ条件で測定する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
腎不全・透析を受けている方のDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 透析後の状態 | 透析後の訪問。血圧98/58mmHg(普段は130台)。「ふらつく」との訴え。除水量は普段より多いとご本人。 | 臥床していただき経時的に血圧を測定。透析施設からの連絡票を確認し、数値と症状を主治医・透析施設へ報告。 | 30分後に血圧112/66mmHg、ふらつき軽減。起き上がりは段階的に行うことを説明し、次回も透析後の血圧を確認する。 |
| シャントの管理 | 左前腕シャント部のスリル触知可、血管雑音聴取可。発赤・腫脹なし。ご本人「重い物を持つことがある」と話される。 | シャント側での重量物の保持や圧迫を避ける理由を説明。毎日のスリル確認の方法を一緒に実施。 | ご本人が自分でスリルを確認できた。「毎朝みてみる」と話される。次回、確認の実施状況を伺う。 |
| 透析間の体重増加 | 透析間の体重増加が4.2kg。前回は2.8kg。「のどが渇いて我慢できない」との訴え。 | 体重の推移と飲水量を記録して主治医・透析施設へ報告。渇きへの対処法(うがい・氷片など)を一緒に確認。 | ご本人「氷なら試せる」と話される。次回、体重の推移と対処法の実施状況を確認する。 |
| 皮膚の掻痒感 | 全身の掻痒感の訴え。前腕・背部に掻破痕あり。皮膚の乾燥が強く鱗屑あり。 | 掻破痕の部位を記録して主治医へ報告。保湿剤の塗布方法と爪の手入れを一緒に実施。 | 主治医より指示を受け記録。ご本人「かかずに済む方法があるなら」と話される。次回、掻破痕の増減を確認する。 |
| 食事内容の把握 | ご家族より「果物を毎日食べている」と情報。摂取量は不明。ご本人「体にいいと思っていた」と話される。 | 種類と量を1週間記録していただくよう依頼。食事の可否の判断は求めず、事実を主治医・管理栄養士へ情報提供。 | ご家族が記録に同意。次回、記録をもとに関係職種へ情報提供することとした。 |
| 透析後のふらつき(継続) | 前回のふらつきについて、本日は透析後30分で血圧118/70mmHg、ふらつきの訴えなし。 | 前回からの数値を並べて記録し、透析施設へ情報提供。起き上がりの手順は継続。 | ご本人「今日は大丈夫」と話される。同じフォーカスで次回も透析後の状態を確認する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
パーキンソン病・神経難病のDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 時間帯による動作の変動 | 午前10時は歩行器で移動可、午後14時は立ち上がりに介助を要する。内服時刻は8時・12時・16時。 | 時間帯ごとの動作の状態と内服時刻を24時間の記録用紙に整理し、主治医へ報告。 | 主治医より指示を受け記録。ご家族「時間で違うのは気のせいだと思っていた」と話される。記録を継続する。 |
| 足が出にくくなる場面 | 玄関の敷居の前で足が出なくなる場面を確認。方向転換時にも同様。転倒には至っていない。 | 起こる場所と状況を記録。声かけのリズムや床の目印を使う方法を一緒に試し、理学療法士へ情報共有。 | 目印を用いた場面では足が出た。ご家族「引っ張っていた」と話される。次回、同じ場所での様子を確認する。 |
| 会話と食事のしにくさ | 会話の声量が低下し聞き返しが増える。食事中に口腔内の残留あり。体重は1か月で0.8kg減。 | 声量・残留・体重をまとめて記録し、主治医・言語聴覚士・管理栄養士へ情報提供。食事姿勢を調整。 | 姿勢調整後は残留が減少。ご本人「食べやすい」と話される。次回、体重と食事場面を再確認する。 |
| 便秘 | 最終排便から5日。腹部膨満あり、腸蠕動音は減弱。水分摂取は1日500mL程度。 | 排便日誌の記入を依頼し、腹部の状態を記録して主治医へ報告。水分摂取のタイミングを一緒に決めた。 | 主治医より指示を受け記録。翌日ご家族より排便ありの連絡。次回、排便日誌を確認する。 |
| 立ち上がり時のふらつき | 臥位134/78mmHg、立位98/60mmHg。立ち上がり直後に「くらっとする」との訴え。 | 臥位・座位・立位の血圧を測定して記録し、主治医へ報告。段階的な起き上がりの手順を一緒に実施。 | 段階的な手順ではふらつきの訴えなし。ご本人「ゆっくり起きればいい」と話される。次回も同じ手順を確認する。 |
| 内服時刻の管理(継続) | 前回は内服時刻が30分〜1時間ずれていた。本日はタイマーを使用し、指示どおりの時刻に内服できている。 | 内服時刻と動作の状態を並べて記録し、主治医へ提供。タイマーの設定を一緒に再確認。 | ご家族「時間を守ると動きが違う」と話される。同じフォーカスで経過を追うこととした。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
終末期・看取り期のDAR(6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 苦痛の緩和 | 表情のしかめと体動時のうめき声あり。言葉での訴えは困難。前日より体動時の反応が強い。 | 表情・体動・呼吸の様子を観察項目として記録。指示されている対応を実施し、体位を調整して主治医へ報告。 | 体位調整後は表情のしかめが減り、呼吸は落ち着かれた。同じ観察項目で継続して記録する。 |
| 呼吸の変化 | 下顎を動かすような呼吸が出現。呼吸数10回/分、四肢末梢に冷感とチアノーゼ。 | 観察内容を主治医へ報告。ご家族へは、あらかじめ共有されている説明の範囲で現在の状態をお伝えした。 | ご家族「そばにいます」と話される。主治医より指示を受け記録。訪問頻度と連絡方法を再確認した。 |
| 口腔内の乾燥 | 口唇の乾燥と痂皮あり。飲水はスプーン1〜2杯程度。ご家族より「水を飲ませたほうがよいのか」と質問。 | 口腔内の保湿ケアを実施し、方法をご家族へ実演。無理に飲ませない場合の考え方と代わりにできるケアを説明。 | ご家族が保湿ケアを実施できた。「これならできる」と話される。次回も口腔内の状態を確認する。 |
| ご家族の意向の確認 | ご家族より「このまま家で過ごさせたいが、急に苦しんだらどうすればよいか」との質問。 | 事前に共有されている方針と緊急時の連絡手順を書面で確認し、掲示場所を一緒に決めた。発言はそのまま記録。 | ご家族「連絡先が分かるところにあると安心」と話される。確認した内容は主治医・ケアマネジャーへ共有した。 |
| ケアへの家族の参加 | ご家族が「何もしてあげられない」と話される。手浴・清拭はこれまで看護師のみで実施していた。 | 手浴と口腔ケアを一緒に実施していただく方法を提案し、その場で一緒に実施。 | ご家族「触れることができてよかった」と話される。次回以降も一緒に実施することとした。 |
| お看取りの場面 | 訪問時、呼吸と脈拍が触れないことを確認。ご家族が在室。到着時刻と確認した状況を記録。 | 事前に取り決められた手順に沿って主治医へ連絡。ご家族に付き添い、到着までの間の対応を行った。 | 主治医の到着まで同室で待機。ご家族の言葉と様子、連絡した時刻をそのまま記録に残した。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。看取りに関する対応の手順は、あらかじめ主治医・ご家族と取り決められた方針に従ってください。
勤務帯別|同じ出来事を日勤・夜勤・訪問でどう書き分けるか(30例)
同じ「38.2℃の発熱」でも、書ける情報の量も、その記録を次に読む人も、勤務帯によって違います。だからDARの中身も変わります。
- 日勤……その場に多職種がいる。読み手は次の勤務者と多職種。Aに「誰へ何を伝えたか」が入り、Rは同じ日のうちに書ける。
- 夜勤……人手が限られ、確認できる情報も限られる。読み手は朝の申し送りと医師。Dに「何時に、どうやって気づいたか」を必ず入れ、Rには朝までの経過を書く。
- 訪問……次の訪問まで日が空く。読み手はご家族・他事業所・主治医。Rが「次回までに誰が何を見るか」になる。
下の表は、同じ出来事を3つの勤務帯で書き分けた例です。1つの出来事につき3行が1組になっています。
バイタル・症状の変化(4場面×3勤務帯=12例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 発熱(日勤) | 10時の検温で38.2℃(平熱36.5℃)。悪寒なし、水分摂取可、SpO2 96%。 | 医師へ報告し指示を受けて実施。2時間ごとの検温とし、当日の入浴・リハビリの中止を多職種へ連絡。 | 14時に37.4℃。「さっきより楽」と話される。検温の間隔と観察点を次の勤務帯へ申し送った。 |
| 発熱(夜勤) | 2時の巡回時に38.2℃。発汗で寝衣が湿潤。訴えはなく入眠中。SpO2 95%、脈拍92回/分。 | 当直医へ報告し指示を受けて実施。寝衣交換と掛け物の調整、水分をコップ半分介助。以後1時間ごとに観察。 | 4時に37.6℃、入眠は継続。朝の申し送りで日勤へ経過と指示内容を引き継いだ。 |
| 発熱(訪問) | 訪問時38.2℃。ご家族より「昨夜から食欲がない」と情報。食事量は3割、飲水は少量ずつ可。SpO2 96%。 | 主治医へ電話報告し指示を受けて記録。次回訪問までの観察点(検温の時刻・食事量・排尿回数)と連絡の目安を紙に書いて掲示。 | ご家族「これを見て連絡します」と話される。翌日に電話で状況を確認することとした。 |
| 血圧の上昇(日勤) | 朝の測定で178/96mmHg(普段は140/80台)。頭痛・嘔気なし、意識清明。 | 5分の安静後に再測定して記録。医師へ報告し指示を受けて実施。日中の活動予定を調整。 | 再測定で164/90mmHg。「変わりない」と話される。測定時刻と数値の推移を次の勤務帯へ申し送った。 |
| 血圧の上昇(夜勤) | 0時の測定で178/96mmHg。入眠中に覚醒しての測定。訴えなし、四肢の動きに左右差なし。 | 当直医へ報告し指示を受けて実施。以後2時間ごとに測定し、覚醒時の様子を観察。 | 4時に152/88mmHg。朝まで新たな訴えなし。推移と指示内容を日勤へ申し送った。 |
| 血圧の上昇(訪問) | 訪問時178/96mmHg。自宅の血圧手帳では1週間前から160台が続く。内服は薬カレンダーどおり。 | 手帳の数値を書き写して主治医へ報告。測定条件(時刻・食後か・排尿の有無)を統一する方法を説明。 | 主治医より指示を受け記録。ご本人「測る時間がばらばらだった」と話される。次回、手帳を確認する。 |
| SpO2の低下(日勤) | 昼食後にSpO2 89%(普段は95%前後)。呼吸数24回/分、湿性の咳あり。会話は可能。 | 体位を整えて測定を繰り返し、医師へ報告し指示を受けて実施。食事内容と食後の経過時間を記録。 | 30分後にSpO2 94%。食後の測定を継続するよう次の勤務帯へ申し送った。 |
| SpO2の低下(夜勤) | 3時の巡回でSpO2 89%。仰臥位で入眠中、いびき様の呼吸音あり。呼吸数20回/分。 | 体位を側臥位へ変更して再測定。当直医へ報告し指示を受けて実施。以後1時間ごとに測定。 | 側臥位でSpO2 94%。朝まで90%以上を維持。体位と数値の関係を日勤へ申し送った。 |
| SpO2の低下(訪問) | 訪問時SpO2 89%。ご家族「昨日から動くと苦しそう」と話される。安静時の呼吸数22回/分、下腿に浮腫あり。 | 安静時と労作後の数値を測定して主治医へ報告。連絡の目安(数値・話しづらさ)を書面で共有。 | 主治医より指示を受け記録。ご家族が測定と記入に同意。翌日に電話で確認することとした。 |
| 疼痛の訴え(日勤) | 10時に「腰が痛い」との訴え。NRS 6/10。座位保持が10分程度で辛くなる。前日は訴えなし。 | 部位・強さ・動作との関係を記録して医師へ報告。指示された対応を実施し、リハビリ担当と姿勢を検討。 | 13時にNRS 3/10。痛みの出る動作と時間帯を次の勤務帯へ申し送った。 |
| 疼痛の訴え(夜勤) | 1時にナースコール。「腰が痛くて眠れない」NRS 6/10。仰臥位のまま3時間経過していた。 | 体位変換とクッションでの支持を実施。当直医へ報告し指示を受けて実施し、以後の睡眠状況を観察。 | 2時に入眠、以後の覚醒なし。夜間の訴えと実施内容を日勤へ申し送った。 |
| 疼痛の訴え(訪問) | 訪問時「3日前から腰が痛い」NRS 6/10。前回訪問時は訴えなし。動作時に増強し、夜間の中途覚醒が2回。 | 痛みの記録用紙を渡し、時間帯と強さの記入を依頼。前回からの経過を主治医へ報告。 | 主治医より指示を受け記録。ご本人が記入に同意。次回、記録をもとに推移を確認する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
生活・行動の変化(4場面×3勤務帯=12例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 睡眠(日勤) | ご本人「昨夜眠れなかった」との訴え。日中に30分以上の傾眠が3回。夜勤帯の記録では覚醒4回。 | 日中の活動を促し、離床していた時間を記録。夜勤帯の記録とあわせて24時間の睡眠パターンを整理。 | 午後の傾眠は1回に減少。日中の離床時間と本人の訴えを次の勤務帯へ申し送った。 |
| 睡眠(夜勤) | 23時〜3時の間に4回離床。「トイレに行きたい」との訴えが2回、うち排尿は1回。表情は険しい。 | 訴えのたびにトイレへ誘導し、その都度の時刻と排尿の有無を記録。室温と照明を調整。 | 3時30分に入眠、以後6時まで覚醒なし。離床の時刻と排尿の有無を日勤へ申し送った。 |
| 睡眠(訪問) | ご家族より「夜中に何度も起きる」と相談。就寝21時・起床5時。日中の臥床が4時間以上。 | 24時間の生活リズム表を渡して1週間分の記入を依頼。日中の過ごし方をケアマネジャーへ情報提供。 | ご家族が記入に同意。次回、記録をもとに主治医・ケアマネジャーへ情報提供することとした。 |
| 食事摂取量(日勤) | 昼食は3割。「食欲がない」との訴え。義歯の不具合の訴えはなし。体温36.6℃。 | 摂取量と食べられた品目を記録。管理栄養士へ情報提供し、間食の可否を医師へ確認。 | 15時に間食を5割摂取。食べられた内容と時間帯を次の勤務帯へ申し送った。 |
| 食事摂取量(夜勤) | 夕食は2割。就寝前に「お腹はすいていない」と話される。嘔気・腹痛の訴えなし。 | 摂取量と訴えを記録し、夜間の様子を観察。報告の要否を判断するため経時的にバイタルを測定。 | 夜間の嘔吐・腹痛なし。夕食から朝までの経過を日勤へ申し送った。 |
| 食事摂取量(訪問) | 前回訪問時から体重1.5kg減。ご家族「同じ物ばかり残す」と話される。食事は配食を利用。 | 1週間分の残した内容を記録いただくよう依頼し、体重測定の曜日を固定。主治医・ケアマネジャーへ情報提供。 | ご家族が記録に同意。次回、体重と残した内容を確認することとした。 |
| 排便(日勤) | 最終排便から4日。腹部膨満感の訴えあり、腸蠕動音は聴取可。食事は全量摂取。 | 排便の記録を確認して医師へ報告。指示された対応を実施し、日中の離床と水分摂取を促した。 | 16時に排便あり(普通便・中等量)。性状と量を次の勤務帯へ申し送った。 |
| 排便(夜勤) | 22時に「お腹が張って苦しい」との訴え。最終排便から4日。腹部膨満あり、嘔気なし。 | 腹部の状態を観察して体位を調整。当直医へ報告し指示を受けて実施し、以後の様子を観察。 | 翌1時に排便あり。訴えは軽減し入眠。実施内容と結果を日勤へ申し送った。 |
| 排便(訪問) | 排便日誌より最終排便から5日。ご本人「いつものこと」と話される。腹部膨満あり。 | 日誌の内容を主治医へ報告。次回訪問までの記入方法と、連絡する日数の目安をご家族と確認。 | 主治医より指示を受け記録。ご家族「何日で連絡すればいいか分かった」と話される。 |
| ふらつき(日勤) | 歩行器での移動中に右へふらつき、手すりで支える場面あり。転倒はなし。血圧126/74mmHg。 | 発生の時刻・場所・履物・直前の動作を記録。リハビリ担当と共有し、移動時の見守りの範囲を見直した。 | 見直し後の移動ではふらつきなし。発生場所と見守りの方法を次の勤務帯へ申し送った。 |
| ふらつき(夜勤) | 2時、ベッドサイドで立ち上がった際にふらつき、床頭台に手をついた。照明は消灯、履物はスリッパ。 | 足元灯を点灯し、履物とベッド周囲の環境を調整。報告の要否を判断するため状態を継続観察。 | その後の離床時はふらつきなし。発生時刻・環境の要因・実施した対策を日勤へ申し送った。 |
| ふらつき(訪問) | ご家族より「先週から2回ふらついた」と情報。屋内は伝い歩き。廊下にコード類があり、敷居に段差。 | 発生した場所を一緒に確認して環境の状況を記録。ケアマネジャー・福祉用具担当へ情報提供。 | ご家族が動線の片付けに同意。次回、環境の変化とふらつきの有無を確認することとした。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
医療処置・家族対応(2場面×3勤務帯=6例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 末梢ルートの管理(日勤) | 左前腕の刺入部に2cmの発赤と疼痛の訴えあり。滴下は良好。刺入から2日が経過。 | 刺入部の状態を記録して医師へ報告。指示を受けて対応し、反対側の皮膚も観察。 | 対応後は疼痛の訴えなし。刺入部位と観察の頻度を次の勤務帯へ申し送った。 |
| 膀胱留置カテーテルの管理(夜勤) | 0時の観察で尿の流出が少量。ルートの屈曲を確認、閉塞はなし。下腹部の膨満なし、混濁なし。 | 屈曲を解除し、体位と固定位置を調整。当直医へ報告し指示を受けて実施。以後1時間ごとに流出量を確認。 | 2時までに流出を確認。流出量の推移と固定方法を日勤へ申し送った。 |
| 胃ろうの管理(訪問) | 瘻孔周囲に発赤あり、肉芽の形成はなし。ご家族が毎日のケアを実施。栄養剤の注入速度は指示どおり。 | 瘻孔周囲の状態を記録して主治医へ報告。ご家族のケア手順を一緒に確認し、変化があった際の連絡先を確認。 | 主治医より指示を受け記録。ご家族「見るポイントが分かった」と話される。次回、同じ部位を確認する。 |
| ご家族からの相談(日勤) | 面会に来られたご家族より「元気がないように見える」との相談。日中の食事・離床は普段どおり。 | 当日の食事量・離床時間・会話の様子を具体的にお伝えし、気になった場面を伺って記録。多職種へ共有。 | ご家族「日中の様子が分かって安心した」と話される。相談の内容と回答した事実を次の勤務帯へ申し送った。 |
| ご家族からの電話(夜勤) | 21時にご家族より電話。「夜眠れているか心配」との内容。当日の入眠は20時30分、以後の覚醒なし。 | 電話の時刻・相手・内容・回答した事実を記録。個人情報の取り扱いの手順に沿って、確認できた範囲でお伝えした。 | ご家族「よく眠れているなら安心」と話される。電話の内容と回答を日勤へ申し送った。 |
| 介護者の負担(訪問) | 主介護者より「このまま続けられるか分からない」との訴え。介護は1人で、睡眠は5時間程度。 | 訴えを傾聴し、負担となっている場面(時間帯・内容)を具体的に記録。ケアマネジャーへ連絡して調整の検討を依頼。 | ケアマネジャーより後日連絡の予定。ご家族「相談先があると分かった」と話される。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。夜間の報告先や報告の基準は、あらかじめ定められた手順に従ってください。
判断に迷うときのDAR記録例24|問題が重なる・経過観察だけ・訴えと所見がずれる
文例が使えるのは「1つの出来事に、1つの注目点がはっきりある」ときです。実際には、問題がいくつも重なっている日、何も起きていない日、本人の言うことと見えているものが食い違う日のほうが多く、そこで手が止まります。ここでは、そういう日の書き方を4つに分けて例示します。
問題が同時にいくつもあるとき(6例)
迷ったときは1つにまとめず、フォーカスを分けて並べます。同じ日の記録に複数のDARが並んでかまいません。分けたほうが、後から「どの問題がどう動いたか」を追えます。
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 発熱(同日のDAR①) | 体温38.0℃、SpO2 94%、湿性の咳あり。食事は2割。 | バイタルと呼吸の状態を記録して主治医へ報告し、指示された対応を実施。 | 3時間後に37.4℃、SpO2 96%。食事量については別項目として次回に確認する。 |
| 食事摂取量の低下(同日のDAR②) | 3日間、摂取量が3割前後で推移。体重は1週間で1.0kg減。 | 摂取量と体重の推移をまとめて主治医・管理栄養士へ情報提供。食べられた品目を記録。 | ご家族が品目の記録に同意。発熱とは分けたフォーカスとして経過を追うこととした。 |
| 夜間の疼痛(訴えの奥にある問題) | 「眠れない」との訴えの背景に、夜間の腰痛(NRS 5/10)あり。日中の痛みの訴えはなし。 | 訴えの順序(痛みが先か覚醒が先か)を伺い、時刻とともに記録。フォーカスを「不眠」ではなく夜間の疼痛とした理由も記載。 | 記録を読んだ他職種から「夜間だけの痛みと分かった」との反応。次回も夜間の疼痛として追う。 |
| 転倒(原因が1つに絞れない場面) | 居室で発見。直前の状況は不明。血圧122/70mmHg、履物はスリッパ、床は濡れていた。 | 推測を書かず、確認できた事実のみを列挙して記録。医師・ご家族へ報告し、環境の状況も記録。 | 医師の指示に基づき観察を実施。原因の断定は行わず、確認できた要因を関係職種で共有した。 |
| 皮膚の発赤(要因が重なる場面) | 臀部に発赤。おむつ内は湿潤で交換間隔は4時間。日中の座位時間が長い。 | 発赤の部位と範囲を記録し、湿潤と圧迫それぞれの状況を分けて記載。交換間隔と座位時間を関係職種へ共有。 | 交換間隔の短縮と除圧を実施。次回、発赤の範囲を同じ方法で計測することとした。 |
| 訴えが3つある日のまとめ方 | 1回の訪問で「痛い」「眠れない」「便が出ない」の3つの訴え。いずれも前回からの継続。 | 3件それぞれをフォーカスとして分けて記録し、当日対応した内容と次回に持ち越す内容を明記。 | ご本人へ「今日はここまで、次回はここを見る」とお伝えした。次回、3件の推移を確認する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
経過観察だけで「何も起きていない」日(6例)
変化がない日ほど「特変なし」で終わりがちですが、変化がなかったこともDARで書けます。Dに前回と比べた具体的な数値を置き、Rに「前回から変化がない」と書けば、安定していることの記録になります。
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 血圧の経過観察 | 自宅測定の血圧手帳、1週間分すべて120〜138/70〜84mmHg。自覚症状の訴えなし。 | 手帳の数値を記録に転記し、測定条件(起床後・排尿後)が守られていることを確認。 | 前回からの変動幅は同程度。ご本人「同じくらいで安定している」と話される。次回も手帳を確認する。 |
| 創部の経過観察 | 前回と同じ2.6×1.8cm。浸出液・発赤ともに前回と同程度。疼痛の訴えなし。 | 指示された処置を継続し、計測値を前回と並べて記録。 | 前回から変化なし。悪化を示す所見も確認されず、同じ処置を継続することとした。 |
| 内服の自己管理 | 薬カレンダーに残薬なし。ご本人が服薬の時刻を答えられる。飲みにくさの訴えなし。 | 残薬数を数えて記録し、次回受診日と処方の残数を確認。 | 自己管理を継続できている。次回も残薬数の確認を続けることとした。 |
| 浮腫の経過観察 | 両下腿の圧痕は前回と同程度。周径は左28.0cm・右28.2cmで前回と同値。体重の変動なし。 | 同じ位置・同じ時間帯で周径を測定して記録し、測定した位置を記録に明記。 | 前回から変化なし。同じ測定方法を次回も継続することとした。 |
| 認知機能の経過観察 | 日付と場所の見当識は保たれている。会話の内容に混乱なし。ご家族からも変化の訴えなし。 | 具体的なやり取り(本日の日付を答えられた等)を記録し、ご家族からの情報も併記。 | 前回と同様の状態。変化があった場合の連絡先をご家族と再確認した。 |
| 新しい薬を開始した後の観察 | 開始から1週間。ふらつき・眠気・発疹の訴えなし。血圧・脈拍とも前回と同程度。 | 観察項目を一覧にして、それぞれの有無を記録。主治医へ情報提供。 | 現時点で新たな訴えはない。同じ観察項目で次回も確認することとした。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
本人の訴えと客観的な所見がずれるとき(6例)
どちらかを正しいことにしないのがこつです。訴えも、観察した事実も、どちらもD(データ)に並べて書き、記録の中では判断しません。数値で訴えを否定する書き方(「訴えるが問題なし」など)は避けます。
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 疼痛の訴え | 「ずっと激しく痛い」と訴えられる一方、訪問中はテレビを見て笑う場面あり。表情のしかめは体動時のみ。 | 訴えと観察した場面を、どちらも事実として並べて記録。痛みの強さと時間帯を記録用紙に記入いただくよう依頼。 | 記入に同意。次回、記録をもとに時間帯の傾向を主治医へ情報提供することとした。 |
| 息苦しさの訴え | 「息が苦しい」との訴え。SpO2 97%、呼吸数16回/分、会話は途切れずにできている。 | 数値と訴えを両方記録し、いつ・どんな場面で苦しいかを具体的に伺って主治医へそのまま報告。 | 「夜に横になったときだけ」と話される。夜間の状況を記録いただくこととした。 |
| 食事についての申告 | ご本人「三食食べている」との申告。台所に未開封の配食が3食分。体重は2週間で1.2kg減。 | 申告と観察した事実を両方記録。否定せず、配食が残る理由を伺い、ケアマネジャーへ情報提供。 | 「量が多くて残してしまう」と話される。量の調整について関係職種で検討することとした。 |
| 眠れないという訴え | ご本人「一睡もしていない」との訴え。夜勤帯の記録では覚醒2回、入眠時間は合計約6時間。 | どちらの情報も記録に残し、眠れないと感じる時間帯を伺った。数値で訴えを否定する対応は行わない。 | 「寝つくまでが長い」と話される。就寝から入眠までの時間を記録することとした。 |
| 本人と家族で説明が異なる場面 | ご本人「転んでいない」、ご家族「昨日尻もちをついた」。臀部に軽度の発赤、疼痛の訴えなし。 | 双方の発言を、誰が話したか分かる形でそのまま記録。観察した身体所見を併記して主治医へ報告。 | 主治医より指示を受け記録。次回、発赤の状態と動作の様子を確認することとした。 |
| 訴えがないのに所見があるとき | ご本人からの訴えはないが、右足背に3cmの水疱と周囲の発赤。靴による圧迫の痕あり。 | 所見を記録し、同意を得て撮影。主治医へ報告し、履物の状況を確認。 | 主治医より指示を受け記録。ご家族へ観察のポイントをお伝えし、次回同じ部位を確認する。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。自施設・自事業所の基準をご確認ください。
ケアを実施できなかった・断られたとき(6例)
実施できなかった日も記録は書けます。Aに「試したこと」、Rに「実施できなかった事実」と「次にどうするか」を書くと、次に入る人が同じところでつまずかずに済みます。
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 入浴を断られた場面 | 声かけに「今日はいい」との返答。理由を伺うと「寒い」と話される。体温36.4℃、皮膚の汚染は軽度。 | 脱衣所を暖めて時間を変えて再度伺い、実施できない場合の代替として部分清拭を提案。 | 部分清拭を実施。次回は時間帯を変えて再度伺うこととし、実施できた条件を記録した。 |
| 処置を断られた場面 | 創部の処置に「痛いから触らないで」と手を払う動作。前回は疼痛の訴えなく実施できていた。 | 中止し、痛みの部位と強さを確認して記録。主治医へ報告し、次回の実施方法を相談。 | 主治医より指示を受け記録。次回訪問時に改めて実施の可否を確認することとした。 |
| 服薬を断られた場面 | 「薬は飲みたくない」と話される。理由を伺うと「飲むと気持ち悪い」。残薬は3日分。 | 無理に勧めず、訴えの内容と残薬数を記録して主治医・薬剤師へそのまま情報提供。 | 主治医より指示を受け記録。ご本人「相談してくれるなら」と話される。次回、残薬を確認する。 |
| 訪問時に不在だった場面 | 予定時刻に訪問したが不在。玄関は施錠されており、事前の連絡はなかった。 | 取り決められた手順に沿って連絡し、連絡した時刻と相手を記録。ご家族へ状況をお伝えした。 | 30分後にご家族より「通院していた」と連絡。次回の訪問日時を再調整し、経緯を記録に残した。 |
| 体位変換ができなかった場面 | 体位変換を試みたが「動かさないで」と強い拒否。同一体位が2時間経過している。 | 除圧用具の位置を調整して皮膚の状態を観察。実施できなかった事実と皮膚所見を記録し、ご家族へ共有。 | 発赤の出現なし。次回、実施できる声かけの方法を検討することとした。 |
| 予定していたケアを変更した場面 | 訪問時に発熱37.9℃。予定していた入浴とリハビリの実施は見合わせた。 | 実施予定の内容と、変更した理由・実際に行った内容を分けて記録。主治医・ケアマネジャーへ変更を連絡。 | 変更の内容を関係職種へ共有済み。次回の実施可否は当日の状態で判断することとした。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。ケアを実施できなかった場合の報告先や記載方法は、自施設の手順に従ってください。
あとから読み返される記録のDAR|急変・転倒・報告・指導(31例)
記録の大半はその日のうちに役目を終えますが、急変・事故・報告・説明の記録だけは、日をおいてから読み返されます。ご家族への説明、事故の振り返り、運営指導での確認など、書いた本人がいない場面で読まれることを前提に書きます。共通するこつは3つです。
- 時刻を書く……気づいた時刻、報告した時刻、指示を受けた時刻、実施した時刻、変化を確認した時刻。
- 事実と推測を混ぜない……「転倒したと思われる」ではなく「床に座り込んでいるところを発見」。原因の断定はしない。
- 誰に何を伝え、何と返ってきたかを書く……報告先・相手の氏名・伝えた内容・受けた指示・復唱したことまで。
急変・緊急対応(8例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 意識レベルの低下 | 14時20分、声かけへの反応が鈍い。呼名で開眼するが会話は成立しない。血圧98/60mmHg、脈拍110回/分、SpO2 93%、体温36.2℃。 | 14時22分に応援要請。バイタル測定を継続し、14時25分に医師へ報告して指示を受け実施。 | 14時40分、呼名で開眼し短い会話が可能となる。医師到着までの経過を時刻とともに記録した。 |
| 呼吸状態の悪化 | 21時10分、呼吸数30回/分、SpO2 88%。上体を起こした姿勢で肩を使った呼吸。会話は単語のみ。 | 21時12分に当直医へ報告し、指示された内容を実施。5分ごとにバイタルを測定し、21時30分にご家族へ連絡。 | 21時40分にSpO2 93%、呼吸数24回/分。実施した内容・時刻・連絡先をすべて記録に残した。 |
| 胸部症状の訴え | 「胸が締めつけられる」との訴え。発症は10時05分ごろとご本人。血圧146/88mmHg、脈拍96回/分、SpO2 96%、冷汗あり。 | 安静を保ち10時08分に医師へ報告。指示を受けて対応し、経時的にバイタルを測定。 | 医師の指示により10時15分に救急要請。搬送までの経過と実施内容を時刻順に記録した。 |
| 意識消失の目撃 | 15時30分、椅子から崩れるように倒れる場面を目撃。目撃時の姿勢、床の状況、反応がなかった時間(約20秒)を確認。 | 応援を要請すると同時に安全を確保してバイタルを測定。15時33分に医師へ報告し、頭部の打撲の有無を確認。 | 15時35分に意識清明、会話可能。目撃者と時刻、確認した事実のみを記録し、原因の推測は記載していない。 |
| 出血 | 19時05分、胃ろう周囲より出血。量はガーゼ1枚が湿る程度。血圧128/76mmHg、脈拍88回/分。 | 圧迫止血を実施し、19時08分に医師へ報告。出血量を具体物にたとえて記録。 | 19時20分に止血を確認。以後の追加出血なし。実施内容と観察の間隔を記録した。 |
| けいれん様の動き | 3時40分、四肢の律動的な動きを確認。持続は約40秒。終了後は反応が鈍い状態が数分間続いた。 | 安全を確保し、開始と終了の時刻・部位・持続時間を記録。3時42分に当直医へ報告し指示を受け実施。 | 4時00分に呼名への反応あり。目撃した動きのみを事実として記録し、名称の判断は記載していない。 |
| 食事中のむせ込みによる状態変化 | 12時15分、食事中に激しくむせ込み顔色不良。SpO2 90%へ低下。発声は可能。 | 食事を中止して体位を整え、背部を叩打。12時17分に医師へ報告し指示を受けて実施。 | 12時25分にSpO2 96%、咳嗽は消失。食事の内容・形態・姿勢と発生時刻をあわせて記録した。 |
| 急変時のご家族への連絡 | 22時00分、状態の変化に伴いご家族へ電話連絡。連絡先は事前に確認していた第1連絡先。 | 連絡した時刻・相手・続柄・伝えた内容・先方の返答をそのまま記録し、来院の意向を確認。 | ご家族「30分で向かいます」と返答。到着時刻と、到着後に説明した内容も記録に残した。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。急変時の報告先・連絡手順は、あらかじめ定められた手順に従ってください。
転倒・事故・ヒヤリハット(7例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 転倒の発見 | 6時45分、居室の床に座り込んでいるところを発見。発見時の姿勢と向き、周囲の物の位置、履物、照明の状態を確認。 | 動かす前に意識・痛み・出血・変形の有無を確認。6時48分に医師へ報告し、指示を受けてから移動した。 | 頭部の外傷は確認されず、疼痛の訴えは右殿部にNRS 3/10。発見時の状況のみを記録し、原因は推測していない。 |
| 転倒後の経過観察 | 転倒から24時間の観察項目(意識・嘔吐・頭痛・麻痺・疼痛)について、2時間ごとに確認。 | 観察項目と確認した時刻を表にして記録。医師の指示による観察期間と頻度を明記。 | 24時間を通じて新たな症状の出現なし。観察終了の時刻と、その時点の状態を記録した。 |
| ベッドからの転落 | 2時10分、物音により訪室。ベッド柵の間から下肢が出た状態で床に臥床。ベッドの高さと柵の設置状況を確認。 | 安全を確保して外傷と疼痛を確認。2時13分に当直医へ報告し、環境の状況をそのまま記録。 | 外傷は確認されず。ベッドの高さと柵の位置を調整し、実施した対策と時刻を記録した。 |
| 転倒に至らなかった場面(ヒヤリハット) | 15時20分、歩行器の使用中にバランスを崩したが手すりで支持。転倒には至らず。床に水滴があった。 | 発生時刻・場所・直前の動作・環境の要因を記録し、床の水滴を除去。多職種へ共有。 | 同じ場所での再発なし。ヒヤリハットとして報告し、対策を実施した日を記録した。 |
| 与薬の手前で気づいた誤り | 10時00分、配薬時に別の方の薬を渡しかけたところで気づき、内服には至らなかった。 | 発生した事実と気づいた経緯を記録し、上長へ報告。配薬時の確認手順を再確認。 | 内服には至っていない。報告書を提出し、確認方法を見直した内容と実施日を記録した。 |
| 医療機器のアラーム対応 | 3時05分、輸液ポンプの閉塞アラームが鳴動。刺入部の腫脹なし、ルートの屈曲を確認。 | 屈曲を解除して滴下と刺入部を確認。当直医へ報告し指示を受けて実施。時刻と対応内容を記録。 | 3時10分に滴下を確認、以後の再鳴なし。1時間ごとに刺入部を観察した。 |
| 事故後のご家族への説明 | 転倒の発生後、ご家族へ経過を説明。説明の日時・場所・同席者・説明した内容を確認。 | 説明した内容と、ご家族からの質問・こちらの返答をそのまま記録。今後の対応と連絡方法を確認。 | ご家族「状況が分かった」と話される。説明内容の記録と、事故報告書の提出日を残した。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。事故・ヒヤリハットの報告様式と提出先は、自施設の手順をご確認ください。
医師・ケアマネジャー・ご家族への報告(8例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 医師への報告 | 報告した内容は、状態の変化・直近のバイタル・これまでの経過・看護師としての提案の4点。報告時刻は11時20分。 | 電話で報告し、受けた指示を復唱して確認。指示内容・指示者・時刻を記録。 | 指示に基づいて対応を実施。実施した時刻と、実施後の状態を記録に残した。 |
| 口頭指示の受領 | 電話での指示。内容・量・時刻・指示者名を復唱して確認した。 | 復唱した事実を記録に明記し、指示簿へ記載。後日の指示書での確認予定を確認。 | 指示内容どおりに実施。実施後の状態と、指示書を受領した日を追記した。 |
| ケアマネジャーへの情報提供 | 直近1か月の変化(体重1.5kg減、歩行距離の低下、夜間の覚醒回数の増加)を整理。 | 提供した日時・方法・相手を記録し、サービス担当者会議での検討を依頼。 | 会議の開催日が決定。提供した情報と会議の予定を記録に残した。 |
| 訪問看護報告書の作成 | 当月の訪問回数、実施した看護の内容、状態の変化、計画の目標に対する達成状況を整理。 | 報告書を作成して提出日を記録。居宅介護支援事業所への提供日もあわせて記録。 | 主治医より指示を受け、次月の計画へ反映した内容を記録に残した。 |
| 他事業所からの情報 | 通所サービス利用中の様子について、事業所より「入浴後にふらつきがあった」と情報提供を受けた。 | 情報の入手元・日時・内容を記録。自事業所での観察結果とあわせて主治医・ケアマネジャーへ共有。 | 関係職種で観察のポイントを統一。次回、同じ観点で確認することとした。 |
| ご家族への状態説明 | ご家族より「最近どうなのか知りたい」との要望。直近の測定値と生活の様子を整理。 | 説明した日時・相手・内容と、ご家族からの質問をそのまま記録。専門用語を避けて説明した。 | ご家族「数字で見ると分かりやすい」と話される。次回も同じ形で共有することとした。 |
| 受診結果の共有 | 受診日・診療科・同行者を確認。受診時に伝えた内容と、医師から説明された内容を整理。 | 受診の結果を記録して関係職種へ共有し、次回受診の予定を確認。 | ご家族へ受診結果を共有。指示の変更点は、変更前と変更後が分かる形で記録した。 |
| 緊急連絡先の確認 | 連絡先の情報が半年前のまま。第2連絡先の番号が変更されているとご家族より情報。 | 変更内容をその場で確認し、記録と緊急時の連絡票を更新。更新した日を明記。 | 更新済みの連絡票をご家族と一緒に確認。事業所内の関係者へ変更を共有した。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。口頭指示の取り扱いは、自施設で定められた手順に従ってください。
退院指導・服薬指導・ご家族への指導(8例)
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 退院時に受けた説明の理解 | 退院前カンファレンスで説明された内容について、ご本人・ご家族が自分の言葉で説明できる範囲を確認。 | 理解できている点と確認が必要な点を分けて記録。書面をお渡しし、実際に手順を実施していただいた。 | 実施できた項目と、次回に再確認する項目を明記して記録した。 |
| 退院直後の生活環境 | 退院3日目。生活動線、寝具の位置、トイレまでの距離、夜間の照明を確認。 | 実際の動作を一緒に確認し、危険が想定される箇所をケアマネジャー・福祉用具担当へ情報提供。 | ご本人「夜のトイレが不安だった」と話される。依頼した日と担当者を記録に残した。 |
| 内服の種類が多いとき | 内服が1日4回・計8種類。ご本人「どれをいつ飲むか分からない」と話される。残薬にばらつきあり。 | 残薬数と困っている点を記録し、主治医・薬剤師へ情報提供。判断は求めず事実のみを伝えた。 | 薬剤師より訪問予定の連絡あり。次回、内服の管理方法を再確認することとした。 |
| 服薬管理の分担 | 朝はご本人が自己管理、夕はご家族が管理。夕の飲み忘れが週2回あるとご家族より情報。 | 飲み忘れの時間帯と状況を記録し、管理の分担を一緒に見直した。 | 分担の変更に双方が同意。次回、残薬数で実施状況を確認することとした。 |
| 自己注射の手技指導 | ご家族が手技を実施。空打ち・単位設定・注射部位の順に確認したところ、空打ちが省略されていた。 | 手順を一つずつ一緒に実施し、手順表を保管場所に貼付。できた手順とできなかった手順を分けて記録。 | 手順どおりに実施できた。次回、同じ手順表で再確認することとした。 |
| 吸引手技の指導 | ご家族が吸引を実施。カテーテルを挿入する深さと、1回あたりにかける時間を確認。 | 実施の様子を観察して確認した点をお伝えし、一緒に実施。手順と注意点を書面でお渡しした。 | ご家族「時間を意識していなかった」と話される。次回、実施の様子を再度確認する。 |
| 医療機器の取り扱い | 在宅酸素の機器について、火気との距離、チューブの取り回し、停電時の対応を確認。 | 実際の設置場所を一緒に確認し、注意点と停電時の連絡先を書面にして掲示。 | ご家族「停電のときを知らなかった」と話される。次回、掲示物を見ながら再確認する。 |
| 指導内容の定着(継続) | 前回お伝えした体位変換について、実施の間隔と方法を確認。間隔は2時間、方法は説明どおり。 | 実施状況を記録し、皮膚の状態とあわせて評価。ご家族の負担についても伺った。 | 発赤の出現なし。ご家族「慣れてきた」と話される。同じ項目で次回も確認することとした。 |
※記録の様式・記載のルール・運用は施設・事業所によって異なります。指導の記録に求められる項目は、自施設・自事業所の基準をご確認ください。
ここまでの例文は、いずれも記録の書き方を示すために一般化して作成したもので、実在の利用者・患者の記録ではありません。また、医学的な判断・診断・治療方針の決定は主治医が行うものであり、本記事の例文はそれらを示すものではありません。実際の記載にあたっては、自施設・自事業所で定められた様式と手順に沿ってご対応ください。
よくある質問(FAQ)
SOAPとフォーカスチャーティング、どちらを使うべき?
フォーカスには何を書けばよいですか?
R(反応)がまだ分からないときは、どう書きますか?
1つの記録に複数のフォーカスを書いてもよいですか?
フォーカスチャーティングは介護記録(施設・訪問)でも使えますか?
訪問看護記録書Ⅱでフォーカスチャーティングは使えますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
訪問看護の記録を、音声AIで効率化
フォーカスチャーティングでもSOAPでも、記録の作成には時間がかかります。訪問看護向けのAI「訪問看護マナ(訪問看護AI)」は、訪問先で話すだけで記録書ⅡのSOAPや報告書の下書きを自動作成し、記録にかかる時間を大きく減らします。(※利用実績に基づく目安であり、環境・使い方により異なります)利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
場面別|フォーカスチャーティングの文例(F・D・A・R)
フォーカスチャーティングはF(何について)→D(見たこと・聞いたこと)→A(したこと)→R(その結果)で書きます。Rが空欄になりがちなので、必ず「そのあとどうなったか」まで書くのが要点です。
| フォーカス | D(データ) | A(アクション) | R(レスポンス) |
|---|---|---|---|
| 転倒 | 10時05分、居室内で床に座り込んでいるところを発見。「立とうとしてふらついた」と話される。頭部打撲なし、外傷なし。 | バイタルを測定(体温36.5度、血圧132/78、脈拍80)。看護師へ報告し、経過観察の指示を受ける。 | 30分後、痛みの訴えなし。歩行に変化なし。家族へ電話で報告した。 |
| 発熱 | 15時、顔面紅潮あり。体温37.9度、脈拍98、経皮的動脈血酸素飽和度96%。 | 看護師へ報告。クーリングを実施し、水分200mLを促す。 | 17時、体温37.2度に下降。水分をさらに150mL摂取された。 |
| 食事摂取量の低下 | 昼食が主食2割・副食1割。「においがだめ」と話される。 | 量を半分にし、冷ました状態で再提供。好みのゼリーを追加。 | ゼリーは全量摂取。夕食は主食5割まで戻る。 |
| むせ込み | 昼食のみそ汁で3回むせ込み。咳で喀出され、経皮的動脈血酸素飽和度97%を維持。 | とろみを中間に変更。姿勢をあご引き位に整えた。 | 以後のむせなし。食後30分の座位を保つ。 |
| 痛み | 14時、「腰が痛い」と話される。数字で聞くと10のうち6。 | 臥床して休んでいただき、看護師へ報告。指示により鎮痛薬を使用。 | 15時30分、10のうち3まで軽減。「楽になった」と話される。 |
| 不眠 | 2時に覚醒し、居間へ来られる。「眠れない」と話される。 | 温かい飲み物を用意し、隣に座って10分話を聞く。 | 3時に居室へ戻られ、以後4時・6時の巡回で閉眼していた。 |
| 帰宅願望 | 16時、玄関付近で「家に帰る」と話される。 | お茶に誘い食堂へ。昔の仕事の話を伺う。 | 10分後に落ち着かれ、自室で新聞を読まれる。 |
| 介護への抵抗 | 更衣時に手を払いのけられる。表情が硬い。 | いったん中止し、20分後に別の職員が声をかける。 | 応じられ、上衣は自分で着られた。 |
| 皮膚トラブル | 入浴時、仙骨部に3cmの発赤を発見。押しても消退しない。 | 看護師へ報告。エアマットの圧設定を確認し、体位変換を2時間ごとに変更。 | 翌日、発赤の範囲が縮小。 |
| 便秘 | 4日間排便なし。腹部に張りあり。「お腹が苦しい」と話される。 | 腹部マッサージを5分実施。水分を200mL促し、看護師へ報告。 | 夕方に普通便中等量。張りが軽減した。 |
| 脱水の疑い | 午前中の水分摂取が100mL。口唇の乾燥あり。尿の色が濃い。 | 1時間ごとに声をかけ、好みの温かいお茶を用意。 | 夕方までに合計800mLを摂取。口唇の乾燥が改善。 |
| 呼吸苦 | 安静時に息切れあり。経皮的動脈血酸素飽和度92%。呼吸24回/分。 | 上体を挙上し、酸素の流量を指示の範囲で確認。看護師へ報告。 | 15分後に94%へ改善。呼吸20回/分。 |
| 意識の変化 | 声かけへの反応が乏しい。開眼するが返答なし。 | ただちに看護師へ報告。バイタルを測定(血圧98/60、脈拍92)。 | 医師の指示で救急要請。家族へ連絡した。 |
| 内出血 | 右前腕に3cmの内出血を発見。本人に心当たりなし。 | 看護師へ報告。大きさを記録し、写真を残す。 | 翌日、拡大なし。経過を観察する。 |
| 興奮 | 夕方、大きな声を出され、他の利用者が驚かれる。 | 静かな場所へ誘導し、そばに座る。原因を尋ねる。 | 「トイレに行きたかった」とのこと。誘導後に落ち着かれる。 |
| 入浴拒否 | 「今日はいい」と話される。理由は「寒いから」。 | 脱衣室と浴室を暖め、15時に再度声かけ。 | 応じられ、入浴された。「あたたかくて良かった」と話される。 |
| 誤薬の可能性 | 配薬時、同姓の利用者のケースを手に取る。手渡す前に氏名を照合し気づく。 | 正しい薬に取り替え、内服を確認。ヒヤリハットとして報告。 | 内服には至らず。配薬時の氏名確認の手順を再確認した。 |
| 家族からの相談 | 長女より「夜のトイレ介助で眠れない」と訴えあり。 | 状況を詳しく伺い、ケアマネジャーへ連絡。 | 夜間対応の追加を検討することとなった。 |
| 看取り期 | 呼吸は下顎呼吸。四肢に冷感あり。 | 家族へ連絡し、そばで過ごしていただく。定期的に口腔を湿らせる。 | 家族が手を握って話しかけられている。表情は穏やか。 |
| 新規の受け入れ | 初日。表情が硬く、他の利用者との会話はない。 | 担当職員がそばにつき、施設内を一緒に回る。 | 午後、他の利用者と2回会話される。 |
| リハビリの拒否 | 「今日は疲れた」と話され、運動を希望されない。 | 無理に勧めず、臥床して休んでいただく。 | 夕方に「明日はやる」と話される。 |
| 体重減少 | 月の測定で前月比マイナス1.2kg。食事量に変化なし。 | 看護師へ報告。食事内容と間食の状況を確認。 | 主治医へ報告し、次回受診時に採血の予定となった。 |
| 尿路感染の疑い | 尿の混濁と、いつもと違うにおいあり。体温37.4度。 | 看護師へ報告。水分摂取を促す。 | 受診し、抗菌薬が処方された。 |
| 物盗られ | 「財布を盗られた」と繰り返し話される。 | 否定せず、一緒に居室を探す。 | 引き出しから本人が見つけられ、落ち着かれる。 |
| 外出希望 | 「買い物に行きたい」と話される。 | 家族へ連絡し、次の面会時に同行いただくよう調整。 | 土曜日に長女と外出され、「楽しかった」と話される。 |
Rが書けないときの考え方
| 状況 | どう書くか |
|---|---|
| まだ結果が出ていない | 「経過を観察中。次の巡回で再確認する」と書き、次の記録でつなぐ |
| 変化がなかった | 「30分後、訴えの変化なし」と書く。「変化なし」だけにしない |
| 悪化した | 「1時間後、体温38.2度へ上昇。看護師へ再報告」と数字で書く |
| 本人が答えられない | 表情・姿勢・呼吸など、観察できたことで書く |
| 勤務時間内に結果が出ない | 申し送りに残し、次の勤務者がRを書く |
| 複数の対応をした | どの対応の結果かが分かるように、対応ごとに書く |
| 家族へ連絡した | 連絡した時刻・相手・伝えた内容・返答を書く |
| 医師の指示を受けた | 指示の内容と、実施した結果を書く |
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
