サービス提供記録は、訪問介護などで実際に行ったサービスを記録する基本の書類です。書き方の基本を、ポイントと例文とともに整理します。
サービス提供記録とは
サービス提供記録は、いつ・誰が・どんなサービスを提供したかを残す記録です。利用者さま・家族への報告や、適正なサービス提供の証として重要です。
記載する項目
- 提供した日時・担当者
- 提供したサービスの内容
- 利用者さまの様子・変化
- 特記事項(気づき・連絡事項)
書き方のポイント
- 計画書(訪問介護計画書)に沿った内容を書く
- 事実を客観的に、具体的に残す
- いつもと違う様子は必ず記録する
例文
10時〜10時45分、身体介護を実施。入浴介助を行い、背部を介助、その他は見守り。皮膚トラブルなし。「さっぱりした」と笑顔あり。普段より食欲がやや低下しており、家族へ伝達。
サービス提供記録・訪問介護計画書・実績記録票の関係
似た書類が3つあるため混同されがちですが、役割が違います。運営指導ではこの3つの整合が見られます。
| 書類 | 何のための書類か | 作る頻度 |
|---|---|---|
| 訪問介護計画書 | 何を、いつ、どれだけ提供するかの計画 | 作成時と、変更のたび |
| サービス提供記録 | 実際に提供した内容の記録 | 訪問のたび |
| サービス提供実績記録票 | 提供実績を集計し、請求の根拠にする | 月ごと |
計画にない内容が記録にある、記録にない訪問が実績にある——この食い違いが指摘の典型です。
利用者への交付
サービス提供の記録は、利用者からの求めに応じて提供できるようにしておくことが求められています。実務では訪問のたびに複写を手元に残す運用が一般的です。
- 複写式の帳票を使い、1枚を本人宅に置く
- 電子化している場合は、求めがあれば出力できる状態にしておく
- 本人・家族が読む前提の文章で書く(略語や内輪の表現を避ける)
書き方の型——時系列で、事実と判断を分ける
| 項目 | 書き方 | 避けたい書き方 |
|---|---|---|
| 開始・終了時刻 | 9:00〜9:45(実際の時刻) | 「約1時間」 |
| 提供内容 | 排泄介助、着替えの一部介助、朝食の準備 | 「身体介護」だけ |
| 本人の状態 | 起床時に「腰が痛い」と訴え。歩行時に右手で壁を支える | 「変わりなし」 |
| 本人ができたこと | ズボンの上げ下ろしは自分で行えた | (記載なし) |
| 申し送り | 痛みが続くようなら受診をケアマネへ相談 | (記載なし) |
運営指導で見られやすいところ
- 計画書に位置づけのない内容を提供していないか
- 時刻が実態と合っているか(毎回きっちり同じ時刻になっていないか)
- 記載者が特定できるか
- 訂正が二重線と訂正印で行われているか
- 保存期間を満たしているか(原則、完結の日から2年間。都道府県の条例で5年とされる場合があります)
※本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。区分の判断や算定の可否は保険者(市区町村)によって運用が異なります。最新の告示・通知と、保険者の解釈をご確認ください。
訪問1回分の記載を、項目ごとに埋めてみる
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 日時 | 令和8年7月15日(火)9:00〜9:45 |
| サービス区分 | 身体介護(自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助を含む) |
| 提供内容 | 起床時の声かけ、トイレへの移動見守り、更衣の一部介助(ズボンの上げ下ろしはご本人)、朝食の準備をご本人と一緒に実施、服薬の確認 |
| 本人の状態 | 起床時に「腰が重い」との訴えあり。歩行時、廊下で右手を壁につく場面が2回。食欲は普段どおりでパンと牛乳を全量 |
| 本人ができたこと | 上着の着脱は自分で完了。卵を割る作業をご本人が実施 |
| 申し送り・連絡事項 | 腰の訴えが3日続いている。受診の要否について担当ケアマネジャーへ連絡(9:50、電話) |
| 記載者 | ○○ ○○(訪問介護員) |
提供記録について現場から多い質問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 毎回同じ内容になってしまう | その日の差分を1行だけでも入れます。天気、会話、体調、環境の変化など |
| 予定より早く終わった | 実際の時刻を書きます。計画との差が続く場合は計画の見直しにつなげます |
| サービス内容を変更した | 変更した理由と、誰の判断かを残します。計画にない内容が続く場合は計画変更が必要です |
| 本人が不在だった | 訪問した事実、不在だったこと、その後の対応(連絡先への連絡等)を残します |
| 本人・家族から苦情を受けた | その場の記録に事実を残し、別途、苦情処理の記録へ引き継ぎます |
| 複写を本人宅に置き忘れた | 次回に渡します。渡した日付が分かるようにしておきます |
記録の負担を軽くする
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の訪問介護向け機能(訪問介護マナ)は、訪問先の音声から提供記録の下書きを自動で作成します。話すだけで記録が進み、記録時間を大きく減らせます。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
サービス提供記録の記入例(コピペ可)
サービス提供記録票に記載する項目と記入例です(表の右上ボタンからExcel/CSVにコピーできます)。提供記録票は利用者に提示・確認を得る書類のため、誰が読んでも分かるように書きます。
| 記載項目 | 記入例・ポイント |
|---|---|
| 提供年月日・時間帯 | 2026年7月17日 10:00〜10:45(サービスの開始・終了時刻) |
| サービスの種類 | 身体介護(入浴介助)/生活援助(調理)など区分がわかるように |
| 提供した具体的な内容 | 入浴介助(洗身・移乗の見守りと一部介助)、皮膚の観察 |
| 利用者の心身の状況 | 顔色良好、むせなく食事摂取、皮膚に発赤なし など観察した事実 |
| 特記・連絡事項 | 家族への申し送り、次回への引き継ぎ、事故・ヒヤリハット |
| 利用者の確認 | サービス提供記録票への確認(サイン・押印) |
よくある質問(FAQ)
サービス提供記録と実施記録の違いは?
サービス提供記録は利用者に渡しますか?
何を書けば十分ですか?
提供記録の作成を効率化するには?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
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提供記録に必ず入れる項目
記録は計画に沿って提供したことを示すものです。計画と記録が一致していないと指摘されます。
| 項目 | 書くこと | 抜けると |
|---|---|---|
| 提供した日 | 年月日 | いつのサービスか特定できない |
| 開始・終了の時刻 | 分単位で | 所要時間区分の根拠がない |
| 提供した職員 | 氏名(資格も) | 誰が行ったか分からない |
| サービスの種類 | 身体介護・生活援助等 | 算定区分の根拠がない |
| 具体的な内容 | 計画に沿って実施したこと | 計画との一致が確認できない |
| 利用者の状況 | その日の様子、変化 | 状態の変化を追えない |
| 特記事項 | いつもと違ったこと | 引き継げない |
| 連絡・報告 | 家族・ケアマネ・主治医への連絡 | 連携の記録がない |
| 計画にない対応 | 行った場合はその理由 | 計画外の提供に見える |
| 利用者・家族の確認 | 署名または確認の方法 | 交付・確認の記録がない |
| 中止・変更 | その理由 | 実績と合わない |
| 加算に関わる事項 | 2人対応、緊急対応、時間帯 | 算定の根拠がない |
記録の保存と交付
| 項目 | 取り扱い |
|---|---|
| 保存の期間 | 完結の日から2年間が基本。都道府県・市町村の条例で5年とする例がある |
| 保存の方法 | 紙・電子いずれも可。電子の場合は改ざん防止と、必要なときに出せること |
| 保存の場所 | 事業所内。持ち出す場合の取り決めを定める |
| 交付 | 利用者から申出があった場合は、サービス提供の記録を交付する |
| 訂正 | 消さずに、訂正した人・日付が分かる形で |
| 電子署名 | 様式により求められる場合がある |
| バックアップ | 電子の場合、消失に備える |
| 廃棄 | 期間の経過後、復元できない方法で。廃棄の記録を残す |
| 第三者への提供 | あらかじめ同意を得た範囲で |
| 事故・苦情の記録 | 別に保存の期間が定められることがある |
経過を追う記録の型としてはフォーカスチャーティング(DAR)もあります。提供記録と併せてご覧ください。
保存の期間と電子保存の要件は介護記録の保存をご覧ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
