福祉用具は貸与して終わりではなく、定期的に「ちゃんと役立っているか」を確認するモニタリングが必要です。書き方と頻度、その根拠となる基準省令の定めを整理します。

福祉用具のモニタリングとは
貸与した福祉用具について、利用状況や目標の達成度、不具合の有無などを定期的に確認することです。福祉用具専門相談員が実施し、結果を記録してケアマネジャー(介護支援専門員)へ報告します。令和6年度介護報酬改定にともなう基準省令の改正で、モニタリングの実施と記録・報告の取り扱いが明確化されました。次章で根拠とあわせて整理します。
モニタリングの頻度と根拠(基準省令)
頻度は「何となく半年ごと」ではなく、基準省令に定めがあります。以下は、基準省令(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準・平成11年厚生省令第37号)第199条の2で確認できる定めと、貴事業所での運用を突き合わせるための対照表です。実際の運用は、最新の基準・お住まいの自治体の取り扱いをご確認ください。
| 基準省令の定め(第199条の2) | 貴事業所の運用(ご記入・ご確認欄) |
|---|---|
| 対象福祉用具に係る指定福祉用具貸与の提供にあたっては、福祉用具貸与計画に基づくサービス提供の開始時から「六月以内に少なくとも一回」モニタリングを行い、継続の必要性を検討する(第5項)。 | 開始日:__/初回モニタリング予定日:__(6月以内に収まっているかご確認ください) |
| モニタリングの結果を記録し、居宅サービス計画を作成した指定居宅介護支援事業者に報告する(第6項)。 | 記録の保管場所:__/ケアマネへの交付日:__ |
| モニタリングの結果を踏まえ、必要に応じて福祉用具貸与計画を変更する(第7項)。 | 計画変更の要否:要 ・ 不要/変更日:__ |
※「六月以内に少なくとも一回」は初回の下限であり、これ以降の実施時期は福祉用具貸与計画に記載した時期や利用者の状態に応じて定めます。実施時期は計画へ記載することが求められています。判定は自動では決まりません。開始日・計画の内容と突き合わせてご確認ください。改定で取り扱いが変わる場合があるため、数値・時期は目安として最新の原典をご確認ください。
確認する主な内容
- 計画書の目標が達成できているか
- 用具を安全・適切に使えているか
- 不具合や故障、サイズ・高さの不適合はないか
- 追加・変更・返却の必要はないか
記録のポイント
- 確認日と、確認した内容を具体的に書く
- 利用者・家族の声(使い勝手・困りごと)を残す
- 見直しが必要な点と、その対応を書く
- ケアマネへ交付した日付を残す(報告の記録)
記入例
単一の型に頼ると「継続」ばかりが並びがちです。場面別に複数の(例)を用意しました。氏名は伏字(A様など)にしています。
(例1:継続の場合/歩行器)
「貸与中の歩行器について確認。屋内移動が安定し、転倒なく経過。A様より『買い物に行きやすくなった』との声。ブレーキの効きを点検し問題なし。当面は継続とし、次回も歩行状態を確認する。」
(例2:見直し・変更の場合/特殊寝台)
「特殊寝台を確認。B様は下肢筋力が低下し、現在の高さでは立ち上がりに時間を要する。ご家族より『起き上がりで手すりを探している』との声。高さ調整と付属品(サイドレール)の追加を検討し、ケアマネへ報告のうえ計画変更を提案する。」
(例3:返却・終了の場合/車いす)
「車いすを確認。C様はリハビリで歩行が安定し、屋内は独歩で移動可能となった。外出頻度も減少。本人・ご家族と相談し、次回訪問時に返却の方向で調整。ケアマネへ状況を報告する。」
福祉用具のモニタリングの記入例(確認項目の対照)
福祉用具貸与では、定期的にモニタリングを行い、用具が合っているかを確認します。確認項目ごとの記入例をまとめました。
| 確認項目 | 記入例 |
|---|---|
| 利用状況 | 手すりを使い移動が安定。毎日使用している。 |
| 適合 | 体格・状態に合っている。不具合なし。 |
| 目標の達成 | 見守りで移動できる目標はおおむね達成。 |
| 今後 | 現状の用具を継続。状態変化があれば見直す。 |
記録をAI・デジタルツールに渡すときの注意
モニタリング記録を効率化する際、利用者の氏名・被保険者番号などの個人情報の取り扱いには注意が必要です。外部ツールへ入力・共有する場合は、氏名を伏字(A様など)にする、事業所内・法人内のルールや同意の範囲を事前に確認する、といった配慮をおすすめします。
モニタリングの頻度に定めはあるのか
福祉用具貸与では、福祉用具貸与計画に記載した目標の達成状況を確認することが求められ、その結果を記録してケアマネジャーへ報告する流れになっています。頻度については基準省令で定めがあり、事業所の裁量で「気づいたときに」とすることはできません。
- 計画に書いた目標に対して、達成できているかを見る(用具が使われているか、だけではありません)
- 記録を作成し、居宅介護支援事業所へ交付する
- 状態の変化や、用具が合っていない兆候があれば、頻度を待たずに見直す
選択制の導入で、販売にもモニタリングが要るようになった
2024年度から一部品目に貸与・販売の選択制が入ったことで、販売を選んだ場合にも一定期間後の使用状況の確認が求められるようになりました。貸与のように定期の訪問機会がないため、確認の時期を最初に決めておかないと抜けます。
- 販売時に、いつ確認するかを本人・家族と共有しておく
- 確認の方法(訪問/電話)を事業所内で決めておく
- 使われていない場合は、その理由まで聞き取る(合わない、こわい、家族が止めた など)
「使えている」を、どう記録に落とすか
| 確認する観点 | 弱い記録 | 説明できる記録 |
|---|---|---|
| 使用の頻度 | 使用中 | 1日2回、トイレへの移動時に使用 |
| 適合 | 問題なし | 高さを2cm下げて調整。立ち上がり時のふらつきが減った |
| 目標の達成 | 継続 | 「一人でトイレに行く」の目標に対し、日中は介助なしで到達 |
| 安全性 | 異常なし | ゴム先の摩耗を確認し交換。滑り止めの効き具合を確認 |
| 本人の声 | 満足 | 「重いので玄関までは持って行けない」との訴えあり |
見直しにつなげる——モニタリングが「報告」で終わらないために
- 状態が改善したら、より自立度の高い用具への変更を検討します(上げるだけでなく下げる方向も)
- 使われていない用具は、外すことも選択肢です。使われないまま貸与が続く状態は説明が難しくなります
- 住環境が変わったとき(転居、リフォーム、家族の同居)は、適合をやり直します
- 要介護度が変わったときは、給付の対象範囲が変わる可能性があります
- 見直しの結果は、ケアマネジャーとサービス担当者会議で共有します
※本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。給付や算定の可否は保険者(市区町村)の判断によります。最新の告示・通知と保険者の運用をご確認ください。
モニタリング記録を効率化する
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の福祉用具向け機能(福祉用具マナ)は、モニタリングや計画書の記録づくりを補助し、報告までの手間を軽くします。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
よくあるご質問(FAQ)
福祉用具のモニタリングは何を確認しますか?
頻度に決まりはありますか?
記録はどう扱いますか?
誰が行いますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
品目別|モニタリングで見るところ
モニタリングは「使えているか」だけでなく「状態に合っているか」を見ます。
| 品目 | 見るところ | 記録の文例 |
|---|---|---|
| 特殊寝台 | 高さ、背上げの使用、起き上がりの動作 | 背上げ45度で起き上がれている。高さは40cmで足底が床につく。 |
| 特殊寝台付属品(介助バー) | 固定、すき間、つかまる位置 | ぐらつきなし。左手でつかまり、立ち上がりができている。 |
| 車いす | 座位の姿勢、フットレスト、タイヤ | 座面に前ずれあり。クッションの追加を検討。 |
| 車いす付属品 | クッションの状態 | へたりあり。交換を依頼した。 |
| 床ずれ防止用具 | 送気、体圧、皮膚の状態 | エアマットは正常に作動。仙骨部の発赤は消失。 |
| 体位変換器 | 使用の頻度、ずれ | 夜間のみ使用。介助者の負担が減ったとのこと。 |
| 手すり(置き型) | ぐらつき、設置場所 | トイレ入口に設置。ぐらつきなし。 |
| スロープ | 固定、勾配 | 玄関に設置。車いすでの出入りができている。 |
| 歩行器 | ブレーキ、車輪、高さ | ブレーキの効きが弱い。調整を依頼。 |
| 歩行補助つえ | 先ゴム、長さ | 先ゴムの摩耗あり。交換した。 |
| 認知症老人徘徊感知機器 | 電池、通知 | 玄関に設置。夜間に2回作動し、家族が対応できた。 |
| 移動用リフト | つり具の縫製、ワイヤー | ほつれなし。介助者1名で移乗できている。 |
| 自動排泄処理装置 | におい、皮膚 | 使用中。皮膚トラブルなし。 |
| 排泄予測支援機器 | 装着位置、通知の精度 | 通知に沿ってトイレ誘導し、失禁が減った。 |
記録に残すこと
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 実施日 | 年月日 |
| 実施者 | 福祉用具専門相談員の氏名 |
| 方法 | 訪問・電話・その他 |
| 貸与している品目 | 品目名と、貸与開始日 |
| 利用の状況 | どの場面で、どのくらい使っているか |
| 使い方 | 計画どおりに使えているか |
| 用具の状態 | 破損、汚れ、摩耗 |
| 本人の状態の変化 | 用具が合わなくなっていないか |
| 本人・家族の声 | そのままの言葉で |
| 見直しの要否 | 必要な場合はその理由 |
| ケアマネジャーへの報告 | 報告日と内容 |
| 次回の予定 | 時期 |
貸与計画は福祉用具貸与計画書、品目は福祉用具一覧をご覧ください。モニタリングの頻度は保険者の取り扱いをご確認ください。
見直しにつながるサイン
| サイン | 考えられること |
|---|---|
| 用具を使っていない | 状態に合っていない、置き場所が悪い、使い方が伝わっていない |
| 別のものにつかまっている | 手すりの位置が合っていない |
| 介助者が力を入れている | 用具の高さ・角度の調整不足 |
| 皮膚に発赤ができた | 体圧分散が足りない、ずれが起きている |
| 用具に傷や汚れがある | 使い方が想定と違う |
| 状態が改善した | より軽い用具に変えられる可能性 |
| 状態が低下した | いまの用具では足りない |
| 家族が「重い」と言う | 片づけ・移動の負担 |
| 本人が「恥ずかしい」と言う | 見た目、来客時の置き場所 |
| 住まいが変わった | 設置場所の見直し |
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
