現場の声を形にし、利用者に向き合う時間を増やすために ── 沖縄4・広島1の訪問看護ステーションで、指示書から計画書・看護記録・報告書までを一本につなぐ
沖縄で訪問看護リハビリステーション walkers base・SORA・MAO と訪問リハビリテーション FUKUROU、広島で訪問看護リハビリステーション JA-KEY+ に関わる MAO GROUP。2026年6月の改定を踏まえた訪問看護の運用と、医療保険・介護保険それぞれの制度に沿った書類づくりを求めて、神マナの導入に取り組みました。その経緯と手応えを、川上喜広氏ご本人に綴っていただきました。
MAO GROUP
訪問看護リハビリステーション walkers base 川上 喜広
神マナを知ったきっかけ
今回、私たちが導入に取り組んだのは、株式会社ライフシフトが提供する「神マナ」です。
私が神マナを知ったきっかけは、以前、合同会社まおのてにご担当者の方がいらっしゃったと、会長からお話を伺ったことでした。そのお話に興味を持ち、まずは自分で神マナについて検索し、どのようなアプリなのか、訪問看護の現場でどのように活用できるのかを調べ始めました。
当時、7月頃に訪問看護向けの機能がリリースされる予定だと伺い、調べていくうちに、「まずは直接お話を聞いてみたい」と思うようになりました。そこで、株式会社ライフシフトの皆さまとお会いし、私たちが現場で感じている課題や、アプリに期待していることをお伝えしました。
特にお聞きしたかったのは、2026年6月の改定を踏まえた訪問看護の運用に対応できるのかという点です。単に記録を早く作成できるだけではなく、厚生労働省の資料を踏まえ、医療保険・介護保険それぞれの制度に沿った書類作成や運用につなげられるかを重視していました。
その相談に対して「対応できる」とのお返事をいただき、神マナさんとも具体的なお話を重ねながら、まずは打ち合わせと試用を進めていくことになりました。
私たちが解決したかった、記録と書類作成の課題
それまでも、私たちはカイポケを使用しながら、記録業務の負担を軽減できるアプリや、AIを活用した仕組みをいろいろと模索していました。
しかし、私たちが試した範囲では、看護記録の内容をまとめて計画書や報告書にすることはできても、それだけでは十分ではないと感じていました。
私たちが求めていたのは、主治医の指示書、ご本人・ご家族の思い、心身機能や生活状況を踏まえ、個別性のある目標と課題を設定し、日々の看護記録から評価までを一貫してつなげられる仕組みです。
例えば、「体調を維持する」「安心して生活できるよう支援する」といった表現だけでは、具体的に何を目指し、何を観察し、どのような変化をもって評価するのかが分かりにくくなります。ご本人がどのような生活を望んでいるのか、そのために何が課題となっているのか、看護として何を支援するのかを、より具体的に示したいと考えていました。
また、数値で評価できる項目については、実際の観察結果や測定値をもとに、目標や変化を分かりやすく示すことも大切にしていました。一方で、ご本人の思いや生活上の困りごとなど、数値だけでは表せない部分も、きちんと計画に反映させたいと思っていました。
現場の要望に対する、対応の早さに驚きました
実際に使い始めると、書類作成だけではなく、日々の情報入力にも多くの時間がかかっていることを改めて感じました。
例えば、訪問看護指示書の内容や、自立支援医療に関する公費情報などは、必要な情報を確認しながら入力するため、どうしても手間がかかります。そこで、「こうした情報を、写真を撮って読み取る形で入力できないか」と提案しました。
その相談にも「できます」と対応していただき、試しながら改善を進める中で、その日のうちに入力できるようになったこともありました。
約1か月半のトライアルを通じて、私が特に驚いたのは、この対応の早さです。要望を伝えた当日に機能が改善されたり、3日以内に変更が反映されたりすることもありました。
もちろん、すべての要望が同じようにすぐ実現するということではありません。それでも、こちらが伝えた現場の課題を受け止め、具体的な改善につなげようとしてくださる姿勢に、大きな安心感を持ちました。
医療保険・介護保険それぞれの運用や、厚生労働省の資料を踏まえた書類のあり方についても相談を重ね、そのたびに、私たちが求める内容へ少しずつ近づいていきました。
単に完成したアプリを使わせてもらうというよりも、現場で必要なものを一緒に考え、実際の業務で使える形にしていく。その過程に、とても感動しました。
── 川上 喜広
現場の声を伝え続けることで、使いやすさが変わってきました
2026年9月からは、実際に現場のスタッフにも使用してもらい、日々の業務の中で感じた課題や問題点を、神マナのグループLINEで共有するようになりました。
管理する側が使いやすいと感じることと、訪問先で記録を入力する看護師が使いやすいと感じることは、必ずしも同じではありません。だからこそ、実際に使うスタッフの声を、その都度伝えることが大切だと考えました。
使ってみて初めて気づくことや、業務の流れの中で改善してほしいと感じる部分を共有し、その内容をもとに何度もバージョンアップを重ねていただきました。
その結果、今では現場から「とても使いやすい」という声が上がるようになっています。
私にとってうれしいのは、アプリの機能が増えたことだけではありません。スタッフが自分たちの困りごとを伝え、それが改善につながるという経験を重ねられたことです。
導入して終わりではなく、実際に使いながら課題を見つけ、改善し、また使って確かめていく。この積み重ねが、現場に合った仕組みをつくるうえで大切だと感じています。
沖縄と広島、法人の異なるステーションも把握しやすくなりました
私たちが関わる訪問看護事業には、沖縄に4ステーション、広島に1ステーションがあります。地域が離れていることに加え、運営する法人が異なるステーションもあるため、全体をどのように把握するかが大きな課題でした。
これまでは、ステーションや法人ごとに確認する必要があり、全体の状況を見渡すために手間がかかる場面もありました。
この点についても相談したところ、法人や地域の違いを踏まえながら、沖縄と広島のステーションをまとめて確認できるように改善していただきました。
必要なステーションの情報を一括して把握できるようになったことで、全体がとても見やすくなったと感じています。
複数のステーションを運営・管理する立場としては、それぞれの現場の状況を大切にしながら、全体にも目を向ける必要があります。地域や法人が異なっていても、状況を把握しやすい仕組みがあることは、私たちにとって大きな意味がありました。
指示書から計画書、看護記録、報告書までがつながることの価値
これまで沖縄では、ステーションごとに訪問看護計画書や報告書を作成していました。
それぞれのスタッフが利用者のことを考えて作成していても、課題の捉え方や目標の表現、評価のまとめ方を、どのようにそろえていくかという難しさがありました。
神マナを活用する中で、主治医の指示書を踏まえて課題や目標を整理し、その課題に沿って日々の看護記録を積み重ね、評価を計画書や報告書に反映していくという流れが、より明確になってきました。
私が大切だと感じているのは、単に文章の形を整えることではありません。
「なぜこの看護が必要なのか」「何を目標に支援しているのか」
「実際にどのような関わりを行い、どのような変化があったのか」
が、書類全体を通して伝わること。
ご本人・ご家族の思いや、その方の心身の状態、生活上の課題を踏まえながら作成することで、同じ病名だから同じ計画になるのではなく、その方に必要な支援を具体的に考えやすくなったと感じています。
また、実際に作成した計画書や報告書については、関係する行政の担当窓口にも内容を確認しました。今回、私たちが相談した書類の範囲では、特に問題はないとの回答をいただき、運用を進めるうえでの安心材料になりました。
ただし、これはアプリそのものや、今後作成するすべての書類について、行政から一律に承認を受けたという意味ではありません。あくまで個々の書類の内容を確認しながら、適切に運用していくことが大切だと考えています。
こうした経験を通じて、「これは私たちの現場で、しっかり活用していく価値がある」と確信するようになりました。
AIを活用する目的は、利用者へのケアに集中できる時間を増やすことです
私が神マナの導入を通じて目指しているのは、単に書類を早く完成させることではありません。
記録や情報整理にかかる負担を軽減し、その分の時間を、ご本人・ご家族へのケアや、看護師同士の連携に使えるようにすることです。
イメージとしては、AIに下書きや情報整理の8割程度を任せ、最後の仕上げとして、看護師が確認・評価・修正を行う形です。
ただし、この「8割・2割」は業務分担のイメージであり、内容の一部だけを確認すればよいということではありません。AIが作成した文章が実際の観察内容と一致しているか、主治医の指示から外れていないか、ご本人・ご家族の思いが正しく反映されているかを、看護師が全体を通して確認することを大切にしたいと考えています。
AIが情報を整理することと、看護師が利用者の状態を理解し、必要な支援を判断することは、役割が異なります。だからこそ、任せられる作業はAIに任せ、看護師は専門職としての判断や、目の前の利用者との関わりに力を注ぎたいと思っています。
そこで生まれた時間を、利用者の小さな変化に気づくための観察、ご本人の気持ちを聴く時間、ご家族への説明、カンファレンスやミーティングなどに充てていきたいです。
また、スタッフ間で利用者の課題や支援方針を共有し、「次の訪問では何を確認するか」「今の支援をどのように見直すか」を話し合う時間も大切にしたいと思っています。
神マナをきっかけに、事業所を越えて学び合っていきたいです
今回の経験を通じて、神マナは、アプリを使うことだけで終わるものではないと感じています。
カイポケを利用している事業所の方はもちろん、ほかの記録ソフトを使っている方とも、勉強会などを通じて、訪問看護の課題や取り組みを共有していきたいと考えています。
それぞれの事業所で抱えている困りごとや、記録の工夫、計画書・報告書の作成方法、制度への対応などを持ち寄ることで、自分たちだけでは気づかなかった視点を学べると思います。
同じ訪問看護に携わる仲間として、地域や法人の枠を越えて切磋琢磨し、知識や技術を高め合っていきたいです。そして、その学びをアプリの改善にも、日々の看護にもつなげていきたいと考えています。
私にとって、神マナ導入の一番の目的は、業務の効率化そのものではありません。
看護師が利用者と向き合う時間を増やし、その方らしい生活を支える看護を、より丁寧に実践できるようにすること。これからも現場の声を伝えながら、神マナをよりよい形で活用し、記録の質、看護師間の連携、そして利用者へのケアの質を高めていきたいと思っています。
── MAO GROUP 訪問看護リハビリステーション walkers base 川上 喜広
※本文は、ご本人に書いていただいた文章を、ご了承のうえ掲載しています(表記の揺れのみ当社で整えました)。記載の内容は各事業所での運用に基づくもので、効果には個人差があります。行政への確認についての記述は、ご本人が相談した書類の範囲に限った内容であり、アプリや書類全般について承認を受けたものではありません。
広島のステーションでの使い方は、訪問看護リハビリステーション JA-KEY+(広島)の導入事例でご紹介しています。
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この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。






