☰ 目次宇宙一カンタンなスローDX・AXの教科書
SLOW DX ・ AX
宇宙一カンタンな
スローDX・AXの
教科書
成長進化する介護施設をつくる、
たった1つの考え方
1日1つ。そこから始める、介護のDXとAX
著者 嶺井 政哉
株式会社ライフシフト
はじめに

ちょっとだけ、読んでみてください

1分だけ、我慢していただけませんか

正直に申し上げます。

この本は、あなたに読んでほしくて書きました。
でも、忙しいですよね。私も現場を見てきたので、それはよく分かっています。

だからお願いは、ひとつだけです。

「はじめに」と、第1章だけ。1分だけ、我慢して読んでみてください。

その1分で何が書いてあるか、先にお伝えします。

赤字だった介護事業所が、5年で売上3億円になるまでに何をしたのか。

売上が増えた、という話ではありません。
赤字を抜けて利益の出る体質に変わり、その原資で働く人の給与を上げてきました
スタッフの定着率も、資格を取る人の割合も、ケアの質も、満床率も上がりました。
銀行からの格付けは、次の段階へ上げることを経営目標に置いています。
伸びたのは売上ではなく、経営の体力です。

良くなったのは、会社の数字だけでもありません。
利用者さんに向き合える時間。ご家族の安心。地域の受け皿。
私たちはこれを八方よしと呼んでいます。

そして今、5年後に11億円という売上計画を立てるまでになりました。
勢いで掲げた数字ではなく、続けられる体制をつくったうえでの計画です。

さらにこの本には、そこまでの道のりだけでなく、
これから私たちがどこへ向かうのか——その先の地図も書いてあります。
道具をデジタルに置き換える「DX」の、次。
AIが記録や書類を下書きし、実行するところまで引き受ける「AX」の話です。

特別な才能の話では、ありません

むしろ逆です。

ITが苦手な70代のスタッフがいて、書類の山に埋もれていて、
「新しいことを始める余裕なんてない」という、ごく普通の介護事業所の話です。

やったことは、たったひとつ。

1日1つ。
それだけです。

読んでみて「うちには関係ないな」と思われたら、そこでやめてください。
それでも、1分は無駄になりません。たぶん、何かひとつは持ち帰れます。

では、始めます。

赤字からの、黒字転換

はじめまして。嶺井 政哉と申します

いきなり「DX」や「AX」の話から始めても、たぶん、読む気にはなれないと思います。

なので、その話は後回しにします。
先に、私の話をさせてください。

5年前、私は、潰れかけた介護事業所の中にいました。

義母から渡された、赤字の会社

2018年、29歳のとき、妻と結婚しました。妻の家族は、介護事業を営む会社「陽気」を長年経営しており、義母が代表を務めていました。結婚を機に、私もその世界に足を踏み入れることになります。

2020年、私は株式会社ライフシフトを立ち上げました。介護の現場をテクノロジーで支えたい。そんな想いからのスタートでした。

ところが、ちょうどその頃です。

陽気は、創業以来29期目にして初めての赤字を出しました。
そこに、コロナが重なった。

介護の世界に入った初年度に、渡されたのが赤字の会社だった、ということです。

正直、強烈な危機感を覚えました。
何が起きているのかも、何から手をつければいいのかも、分かりませんでした。

劇的な収益構造の改善

そこから5年で、何が変わったのか

結論から書きます。

その会社は、いま黒字です。
売上は3億円になり、5年後には11億円の計画を立てるところまで来ました。

魔法のような一手があったわけではありません。
やったことは、地味です。

数字を直視した日に、道が開けた

現実から目をそらさない。
乗り越えられた理由は、突き詰めるとそれだけでした。

どんぶり勘定をやめました。
何にいくらかかっているのか。どの事業所が、どの月に、いくら足りていないのか。
見たくない数字ほど、先に見る。それだけです。

赤字から黒字へ、そして3億円へ

売上 1億円 → 3億円
そして今、5年後に11億円という売上計画を立てるまでになっています。

ただ、私が本当に変わったと思っているのは、売上の桁ではありません。

赤字が黒字になり、利益が残る形になりました。
残った利益で、スタッフの給与を上げられるようになった
すると、人が辞めなくなりました。定着率が上がったのです。

長く働けるから、資格を取る人が増えた
資格を持った人が増えれば、ケアの質が上がる。
ケアの質が上がれば、ご家族やケアマネさんからの信頼が増して、空床が減っていく
そして満床に近づけば、また利益が残る。

ひとつが良くなると、次が良くなる。
数字は、そうやってつながっています。

同じように、借入や設備の計画も、勘ではなく数字で立てられるようになりました。
銀行との対話も、お願いする側から、計画を説明する側に変わりました。

売上は、その結果として付いてきただけです。
先に伸びていたのは、いつも「経営の体力」のほうでした。

そして令和6年、32期目の決算を迎え、妻が代表を引き継ぎました。成長・進化する介護施設を、自分たちの手でつくれている。そう実感できる今があります。

では、その「地味なこと」とは、何だったのか。
その話に入る前に、ひとつだけ、お伝えしておきます。

むずかしいことは、しません

「宇宙一カンタン」は、大げさではありません

デジタル、IT、DX、そしてAX。
言葉はいろいろありますが、思うことは、たぶんひとつだと思います。

「大事なのはわかる。でも——

  • 何から手をつければいいのかわからない。
  • 詳しい人が社内にいない。
  • 導入したところで、現場が使いこなせるか不安
  • そもそも、日々のケアと書類で手いっぱいで、新しいことを始める余裕がない

全部、私が思っていたことです。

そして、あなただけの意見でもありません。
中小規模の事業所の取組率は、大企業の半分以下。
多くの介護施設が、同じところで止まっています。

止まっているのは、あなたのせいではありません。
やり方が、難しすぎただけです。

だから、宇宙一カンタンにしました

安心してください。この本に、難しい話は出てきません。

  • 新しい機器に、いちどきに入れ替える必要はありません。
  • 詳しい人を、新しく雇う必要もありません。
  • 今のやり方を、捨てる必要もありません。

私たちがやったのは、今あるものを活かしたまま、足りないところだけを補った。
それだけです。

しかも、一度に全部ではありません。

1日1つ。
それだけです。

「宇宙一カンタン」と書いたのは、大げさに言いたいからではありません。
これ以上カンタンにしようがないところまで削ったものだけを、この本に残したからです。

難しいことは、続きません。
続かなければ、何も変わりません。
続けられたことだけが、5年後の数字になりました。

大丈夫です。1日1つで、届きます

耳慣れない、難しそうな言葉がタイトルにあるのに、あなたは、この本を手に取ってくれました。

日々の業務の中で感じる、ちょっとした違和感。なんとなくの危機感。「このままでいいのだろうか」という小さな声。

その感覚を大切にしてほしいのです。きっと、今が最高のタイミングなのかもしれません。
なぜなら、変化のきっかけは、いつもそこから始まるからです。

ロマンとそろばん

想いを守るために、数字がある

介護事業は、サステナブル(持続可能)でなければなりません。

続けることで、可能性が残る。
続けられなければ、どんなに素晴らしい理念も、届けたい想いも、そこで途絶えてしまう。

だからこそ、「ロマン」と「そろばん」の両方が必要です。

素晴らしい理念を持っている介護施設は、日本中にたくさんあります。

「こういう施設にしたい」
「こういう会社にしたい」

その想いに「そろばん」——つまりDX・AXが加われば、最高の結果になる。

私はそう確信しています。

本書を書いた理由はシンプルです。

1社でも多く
進化・成長する
介護施設を増やしたい。

裏を返せば、

1社でも多く DX・AXで諦めてしまう介護施設を減らしたい。

だから、「宇宙一カンタンな方法」を紹介していきます。

DXの次に来るもの——AX

AIが「実行」まで引き受ける段階へ

この本の初版は『スローDX成功法』という題でした。
第2版から『宇宙一カンタンなスローDX・AXの教科書』に改めています。

AXという言葉を足した理由を、お話しさせてください。

道具は入った。でも、半分の施設は楽になっていない

公益財団法人介護労働安定センターの「令和6年度介護労働実態調査」に、私がずっと引っかかっている数字があります。

75.4%
ケア記録・ケアプラン等の入力・保存・転記の機能を、日常的に利用している事業所

4分の3の事業所が、もうデジタルの道具を使っています。
ところが——

昼間の業務負担の軽減に効果を感じている事業所 49.4%
夜間の業務負担の軽減に効果を感じている事業所 44.6%
(令和6年度介護労働実態調査)

道具は入ったのに、半分の事業所は「楽になった」と言えていない。

なぜでしょうか。

DXは「置き換え」。AXは「実行」

答えは、こういうことだと思っています。

DXは、紙や手作業をデジタルに置き換えることです。
手書きの記録用紙がタブレットになる。ファイルの山がクラウドになる。

でも、よく見てください。
入力する。確認する。転記する。——その実行は、まだ人が担ったままです。

置き換えただけでは、仕事の量は変わりません。書く場所が紙から画面に移っただけです。
だから「使ってはいるけれど、楽になった実感はない」が起きる。

AX——AIトランスフォーメーションは、その先です。

DXがつくったデジタルの土台の上に、
AIが「判断」と「実行」まで担う。

記録・計画・報告といったアウトプットそのものを、AIが下書きし、実行する。
人は、確認と判断に集中する。

DXは、実行を人に残します。
AXは、実行をAIが引き受けます。

置き換えた上に実行が乗るぶん、AXはDXの段階よりも効果を実感しやすい。
半分の事業所が足りていないと感じているのは、まさにこの「実行」の部分なのです。

私たちは、気づけばAXをつくっていた

神マナをつくってきた道のりは、振り返るとそのままAXでした。

訪問先で、いつもどおり話す。
それだけで記録の下書きができていて、カイポケにも入っている。

「入力する」という仕事が、どこにも残っていない。
人がやっているのは、目を通して、これでいいと決めることだけです。

ただ——ここでも、急がなくていい。
AIを入れるからといって、明日から全部を変える必要はありません。

1日1つ。それはDXでもAXでも、まったく同じです。

だからこの本は『宇宙一カンタンなスローDX・AXの教科書』になりました。
やり方は変わっていません。届く場所が、少し遠くなっただけです。

宇宙一カンタンな方法で

最初の一歩を踏みだしましょう。

急がなくて大丈夫です。
ゆっくりでいい。

1つずつ、無理なく、進化・成長する状態をつくっていく。
サステナブルであり続けるために。

あなたが思い描く理想の施設、理想の会社。
その実現に向けて、この本を通して一緒に歩んでいけたら嬉しいです。

さあ、はじめましょう。

まとめ

この「はじめに」でお伝えしたかったこと。

1宇宙一カンタンに、成長・進化する難しいことは続きません。続けられたことだけが、5年後の数字になりました
2危機は「数字を直視する」ことで乗り越えられる実体験から確信しています
3「ロマン」と「そろばん」の両方が必要理念だけでも、数字だけでもダメ
4DXは「置き換え」、AXは「実行」道具が入っても、入力・転記が人に残ったままなら楽になりません
5今が最高のタイミングこの本を手に取ったあなたは、もう変わり始めている
6「1日1つ」で進めるDXでもAXでも、やり方は同じ。ゆっくり、無理なく

次は「なぜ「スロー」が最強なのか」。
その前に──スマホで「神マナ」を無料で試せます。

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