介護記録では多くの略語・専門用語が使われます。意味を取り違えると事故につながるため、現場でよく使う表記と注意点を整理します。
なぜ略語に注意が必要か
略語は記録を効率化しますが、人によって解釈が違うと誤解のもとになります。事業所内で意味を統一して使うことが大切です。
よく使う略語・用語の例
- ADL……日常生活動作(食事・排泄・入浴など)/IADL……手段的日常生活動作(買い物・調理など)
- BP……血圧/KT・BT……体温/P……脈拍/SpO2……経皮的動脈血酸素飽和度
- Ns……看護師/Dr……医師/CM……ケアマネジャー/PT・OT・ST……理学・作業・言語聴覚療法士
- 移乗……ベッドと車いす等の乗り移り/端座位……ベッドの端に腰かけた姿勢
- 全介助・一部介助・見守り……介助の度合いを表す表記
略語を使うときの注意
- 事業所で使う略語と意味を統一しておく
- 誤解を招きやすい略語は正式名称で書く
- 家族や多職種が読む書類では分かりやすさを優先
分野別の略語一覧
| 分野 | 略語 | 意味 |
|---|---|---|
| バイタル | BT / KT | 体温 |
| BP | 血圧 | |
| P / HR | 脈拍・心拍数 | |
| R / RR | 呼吸数 | |
| SpO2 | 経皮的動脈血酸素飽和度 | |
| ADL | ADL | 日常生活動作 |
| IADL | 手段的日常生活動作 | |
| ROM | 関節可動域 | |
| ケア | P(プラン) | 計画 |
| Ns | 看護師 | |
| PT / OT / ST | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | |
| CM | 介護支援専門員(ケアマネジャー) | |
| SW / MSW | ソーシャルワーカー | |
| 記録 | SOAP | 主観・客観・評価・計画 |
| ケース | 個別の支援経過 | |
| 状態 | DM | 糖尿病 |
| HT | 高血圧 | |
| CVA | 脳血管障害 | |
| Af | 心房細動 |
⚠同じ略語が別の意味を持つことがあります。「P」は計画(Plan)と脈拍(Pulse)の両方に使われます。事業所で用語集を決めることが要点です。
略語を使ってよい場面・避ける場面
| 書類 | 略語 | 理由 |
|---|---|---|
| 事業所内の記録 | 事業所で決めた範囲で可 | 読み手が職員に限られる |
| ケアプラン(第1〜3表) | 避ける | 本人・家族が読みます |
| 家族への連絡帳・報告書 | 避ける | 読み手が専門職ではありません |
| 他事業所への情報提供 | 避ける | 事業所ごとに使う略語が違います |
| 行政への提出書類 | 避ける | 解釈の余地を残さない |
| 申し送り(口頭) | 可 | ただし新人がいる場では言い換えます |
用語集の作り方
- 実際に使われている略語を1週間分の記録から拾い出す
- 意味が2つ以上あるものに印をつける
- 使ってよいもの/使わないものに分ける
- 一覧を印刷し、記録を書く場所に貼る
- 新人研修の資料に入れる
- 半年に1回、増えた略語を追加する
※本記事は一般的な考え方を整理したものです。算定の可否や要件は、最新の告示・通知および保険者(市区町村)の運用をご確認ください。
略語が事故につながった場面
| 場面 | 何が起きたか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 「P」の解釈違い | 計画(Plan)のつもりが、脈拍(Pulse)と読まれた | 数値が続くものは単位を書く |
| 「DM」の見落とし | 糖尿病の略と気づかず、間食を出した | 疾患名は略さず書く |
| 「Vs」の未測定 | バイタルサインを測ったのか、測る予定なのかが不明 | 実施したことは過去形で書く |
| 独自の略語 | その事業所だけの略語を、応援に来た職員が読めなかった | 用語集を作り、記録の場所に貼る |
| 手書きの読み違い | 「7」と「1」、「0」と「6」 | 数値は特に丁寧に。電子化も対策の一つ |
略語を減らすという選択
略語は書く時間を短くしますが、読む人の解釈に幅を残します。音声入力や定型文の仕組みがあれば、略さずに書いても時間はほとんど変わりません。
- よく使う文章を定型文に登録しておく
- 音声で入力し、正式名称で残す
- ドロップダウンで選ぶ形にすれば、表記が揃います
- 手書きの欄を減らす
略語についてよくある質問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| どこまで略してよいか | 事業所で用語集を決めた範囲までです。個人の判断で増やさないことが要点です |
| 他事業所から来た記録が読めない | 推測せずに確認します。誤読のまま引き継ぐほうが危険です |
| 新人が略語を覚えられない | 覚えさせるより、使う略語を減らすほうが早く安全です |
| 英語の略語は使ってよいか | 医療職の間では通用しますが、介護職・家族には伝わりません。読み手で判断します |
| カルテと介護記録で略語が違う | 医療と介護で慣習が違います。連携する書類では正式名称にします |
用語の言い換え早見——家族・他事業所に出す書類で
| 専門的な表現 | 言い換え |
|---|---|
| ADLが低下している | 起き上がり、着替え、トイレなど日常の動作に、以前より手助けが必要になっています |
| ROM制限あり | 関節を動かせる範囲が狭くなっています |
| 嚥下機能の低下 | 飲み込む力が弱くなっており、むせやすくなっています |
| 褥瘡(d2) | お尻の皮膚に、浅い傷(床ずれ)ができています |
| 浮腫(+) | 足にむくみが見られます |
| 独歩可 | 支えなしで歩けます |
| 見守り下でADL自立 | 見ていれば、ご自分でできます |
| 傾眠傾向 | 日中、うとうとされている時間が増えています |
| 食思不振 | 食欲が落ちています |
| BPSD | 認知症に伴い、落ち着かない様子や不安の訴えが見られます |
専門用語をそのまま出すと、家族は「悪くなった」とだけ受け取って不安になります。何が起きているかを日常の言葉で書くと、次に何をすればよいかまで伝わります。
事業所で用語を揃える効果
- 応援や新人が入っても、記録が読める
- 引き継ぎで解釈の食い違いが起きない
- 家族への説明が、担当者によってぶれない
- 運営指導で記録の意味を説明できる
- 記録から情報を拾うときに、検索が効く
記録の標準化を進める
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の記録機能(施設記録マナ)は、記録の表現をそろえやすく、事業所全体の記録の質を均一化できます。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
介護記録でよく使う略語一覧
現場でよく使う略語をまとめました。事業所や職種で意味が異なる場合があるため、記録では誤解のない表記を心がけます。
| 略語 | 読み・意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| ADL | 日常生活動作(食事・排泄・移動など) | 自立度の評価 |
| IADL | 手段的日常生活動作(買い物・調理など) | 在宅生活の評価 |
| 体温(BT/KT) | 体温 | バイタル |
| 血圧(BP) | 血圧 | バイタル |
| 脈拍(P) | 脈拍 | バイタル |
| SpO2 | 経皮的動脈血酸素飽和度 | バイタル |
| 看護師・医師 | ナース・ドクター | 多職種の記録 |
| PT/OT/ST | 理学・作業・言語聴覚療法士 | リハビリ |
| 車いす | 車いす | 移動 |
| 既往(DM/HT) | 糖尿病・高血圧 | 既往歴 |
よくある質問(FAQ)
略語を使うときの注意点は?
公的な提出書類でも略語は使えますか?
略語の統一はどうすればよいですか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
