通院介助の記録は、訪問介護のヘルパーが利用者の通院に付き添った際に、その内容を残すサービス提供記録です。「院内の待ち時間はどう書けばいいの」「所要時間の数え方が分からない」「記載が足りず運営指導で指摘された」——通院介助は院内・院外の扱いや時間の考え方が複雑で、記録の書き方に迷いやすい帳票です。この記事では、訪問介護の通院介助の記録と、居宅介護支援の通院時情報連携加算で確認される書類を、記入例つきでやさしく整理します。

訪問介護で算定できる加算は、訪問介護(ホームヘルプ)の加算一覧で28件の要件・単位数をまとめています。
通院介助の記録とは|様式・根拠
通院介助の記録は、訪問介護のサービス提供記録の一部です。利用者の通院に同行した際に、開始・終了時刻と、内容(院内介助の可否・待ち時間の扱い等)を記録します。決まった省令様式が定められているわけではなく、事業所様式やサービス提供記録の様式に沿って記載するのが一般的です(様式が保険者・自治体により指定される場合があります)。
あわせて居宅介護支援には通院時情報連携加算があります。これは、利用者の通院に同行し医師等に情報提供した内容を、居宅介護支援経過(第5表)等に記録するものです。加算の要件や可否については、告示の定めと貴事業所の状況をご確認ください。
書き方のポイント
- サービス提供日と開始・終了時刻…自宅出発からサービス終了(帰宅)までの時刻を明確に書きます。
- 院内介助の有無・内容…院内での介助を行ったか、待ち時間中にどう対応したかを事実として記録します。
- 移動の経路・手段…どこへ、どのような手段で同行したかを残します。
- 提供の間隔と所要時間の扱い…提供の間隔が概ね2時間未満のときの所要時間の考え方は、基準や自治体の取扱いにより異なる場合があるため、保険者にご確認のうえ記載します。
- 利用者の心身の状況・特記事項…体調変化や介助上の留意点を記録します。
- 居宅サービス計画との整合…通院介助が居宅サービス計画(第2表・第3表)に位置づけられているかを確認します。
- (通院時情報連携加算の場合)情報提供の内容…同行して医師等へ提供した情報を、居宅介護支援経過(第5表)等に記録します。
記入例・文例
以下はいずれも書き方を示すための記入例(例)で、実在の利用者ではありません。氏名はA様・B様等の伏字にしています。
(例1)通院介助・院内介助あり
利用者:A様/日付:〇月〇日
開始 9:30(自宅出発)〜終了 11:15(帰宅)
内容:自宅より〇〇クリニックへ同行。車いす移乗・院内の移動介助・受付・診察室への誘導を実施。待ち時間は院内で見守り。会計後、帰宅まで付き添い。歩行はふらつきがあり終始介助。特記:発熱なし、体調変化なし。
(例2)往路・復路に間隔がある場合
利用者:B様/日付:〇月〇日
往路 8:45〜9:20/院内介助・診察付き添い/復路 10:50〜11:20
内容:〇〇病院受診に同行。往路・復路と院内の対応を分けて記録。待ち時間の扱いおよび所要時間の考え方は、事業所の運用と自治体の取扱いに従い、保険者に確認のうえ記載。
(例3)通院時情報連携加算・居宅介護支援経過(第5表)
〇月〇日、A様の〇〇病院受診に同行。主治医〇〇医師に対し、在宅での服薬状況・食事量・ADLの変化を口頭および書面で情報提供。医師より、次回受診まで自宅での見守りを強化する旨の助言あり。ケアプランへの反映を検討。
作成頻度・タイミング
- サービス提供記録…通院介助を提供するたびに、その都度作成します。
- 実績記録票…提供実績として反映します。
- 通院時情報連携加算の記録…通院に同行し医師等へ情報提供を行った都度、居宅介護支援経過(第5表)等に記録します。
運営指導(実地指導)で確認される書類・よくある指摘
運営指導では、記録・計画・請求の整合が確認されます。次の書類がそろっているかを、日頃から見直しておくと安心です。
- サービス提供記録(開始・終了時刻)
- 実績記録票
- 居宅サービス計画(第2表・第3表)
- 居宅介護支援経過(第5表)
- 同行・情報提供の記録
- 請求
指摘されやすいポイント(中立に)
- 通院への同行が居宅サービス計画で確認できない
- 通院介助を家族対応としている
- 提供の間隔が概ね2時間未満なのに所要時間を合算していない
いずれも「実際の提供内容が記録・計画・請求で一致しているか」を見るものです。断定ではなく、事実をそのまま残すことがそのまま備えになります。
通院介助の記録でよくある不足
| 不足 | なぜ問題か | 書き足すこと |
|---|---|---|
| 時刻が「午前」 | 算定の根拠が示せない | 出発・到着・帰宅の時刻 |
| 行き先が書かれていない | 通院かどうかが分からない | 医療機関名と受診の目的 |
| 介助の内容が「介助した」だけ | 区分の判断ができない | 乗降時に何をどう支えたか |
| 当日の状態がない | 必要性が示せない | ふらつき、痛み、体調の変化 |
| 院内の扱いが曖昧 | 取り扱いが説明できない | 医療機関の職員へ引き継いだ時刻など |
通院介助についてよくある質問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 家族の車で行く場合 | 事業所の車両でない移動の取り扱いは保険者で異なります。事前にご確認ください |
| 受診が長引いて予定を超えた | 実際の時刻を記録します。頻繁に起きる場合は計画を見直します |
| 本人が「ついでに」と買い物を希望した | 計画に位置づけのない立ち寄りは対象外です。事前に説明しておきます |
| 同じ日に2か所を受診した | 医療機関ごとの乗降の時刻と回数を残し、算定の考え方を保険者に確認します |
| 待ち時間の扱いは | 保険者で運用が分かれます。実際にかかった時間は記録に残します |
※本記事は一般的な考え方を整理したものです。算定の可否や要件は、最新の告示・通知および保険者(市区町村)の運用をご確認ください。
記録の保存と提示
- 保存期間は原則、完結の日から2年間(都道府県の条例で5年とされる場合があります)
- 運営指導では、計画・記録・実績記録票の3つの整合が見られます
- 記載者と記載日時が特定できることが前提です
- 訂正は二重線と訂正印。修正液は使いません
通院介助の記録|場面別の記入例
通院介助は、移動の介助と、受診先でのやり取りの両方を残します。以下は記載のイメージを示す(例)です。
| 場面 | 記入例 |
|---|---|
| 出発前 | 9:50 訪問。体温36.5℃、血圧128/76。「今日は調子がいい」と話される。保険証・診察券・お薬手帳を確認 |
| 自宅を出るとき | 10:00 自宅発。玄関の段差は手すりを使い、見守りで昇降 |
| 移動中(公共交通機関) | 10:05 バス停まで徒歩150m、途中1回休憩。10:15のバスに乗車。乗降は一部介助 |
| 移動中(自家用車) | 10:00 自宅発、10:20 医療機関着(車での移動時間20分) |
| 医療機関に着いたとき | 10:20 ◯◯病院着。受付を代行。待合での見守り |
| 院内での対応 | 10:45 診察室へ同行。医師へ自宅での血圧の推移を伝えた |
| 医師から伝えられたこと | 利尿薬を1剤追加。1週間後に再診。体重が3日で2kg増えたら連絡するよう指示 |
| 会計・薬局 | 11:20 会計を代行(預り金5,000円、支払い1,830円、おつり3,170円を返却)。11:35 薬局で処方薬を受け取り |
| 帰宅時 | 12:00 自宅着。お薬手帳と領収書を本人へ手渡し、内容を説明 |
| 帰宅後 | 12:10 服薬の変更点を服薬カレンダーへ反映。ご家族へ連絡帳で共有 |
| 算定した区分 | 身体介護(通院・外出介助)/通院等乗降介助のいずれか。当日の実態に応じて記録 |
| 連絡した相手 | 12:20 担当介護支援専門員へ、処方の変更を電話で連絡 |
記録で押さえる時刻と数値
| 項目 | 書き方 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 自宅発の時刻 | 10:00 | 所要時間の起点になる |
| 医療機関着の時刻 | 10:20 | 移動にかかった時間が分かる |
| 医療機関発の時刻 | 11:35 | 院内での時間が分かる |
| 自宅着の時刻 | 12:00 | 全体の所要時間が確定する |
| 移動の手段 | 自家用車/公共交通機関/徒歩 | 運転の行為は訪問介護サービスに含まれないとされている |
| 院内での対応の有無と理由 | 待合での見守り、診察室への同行、その理由 | 院内介助は算定の扱いが分かれる |
| 算定した区分 | 身体介護/通院等乗降介助 | 実態と区分が一致しているか |
| 金銭の取り扱い | 預り金・支払額・おつり・領収書 | 公表資料で預り金の記載不備が指摘されている |
| 本人の状態の変化 | 移動中・待合中の様子 | 疲労や体調の変化を残す |
| 医療機関から伝えられた内容 | 処方の変更、次回の受診日、注意点 | ケアマネジャー・家族への共有の根拠になる |
運営指導で公表されている、関連する指摘
| 公表されている指摘 | 公表元 |
|---|---|
| 身体介護(外出介助)について、居宅サービス計画に「身体4(90分以上120分未満)」として位置付けられていたが、車での移動時間を除いたサービス提供時間が90分未満となっていた。車両の運転手が訪問介護員である場合、運転の行為は訪問介護サービスに含まれないことから、運転中の時間は介護報酬の算定対象とならない。計画と実績が継続して乖離している場合は計画変更を行い算定区分を改める必要がある | 仙台市が令和6年度集団指導資料で公表した令和5年度運営指導の指摘事項 |
| サービス提供の記録には実際に行った時間を記録することとされ、訪問介護計画に位置付けられた時間を機械的に記録しているケースが多数見受けられた | 松山市の運営指導での主な指摘事項に関する資料 |
| 買い物代行について預り金やおつり・購入品等が正確に記載されていない(金銭を扱う記録の例) | 堺市の集団指導資料 |
| (グループホーム)「入居者を医療機関への通院に家族対応としていた」 | 神戸市資料 |
実施記録全般は訪問介護の実施記録の書き方、訪問介護計画書は訪問介護計画書をご覧ください。算定区分の取り扱いは保険者により異なります。詳細は監査対策ナビと各自治体の公表資料をご確認ください。
よくあるご質問
Q. 院内の待ち時間は記録にどう書けばよいですか?
A. 待ち時間中に見守りや介助を行ったかどうかと、その対応内容を事実として記録します。院内介助の可否や待ち時間の扱いは保険者・自治体により取扱いが異なる場合があるため、ご確認のうえ記載してください。
Q. 通院時情報連携加算では何を記録に残しますか?
A. 利用者の通院に同行し、医師等に提供した情報の内容を居宅介護支援経過(第5表)等に記録します。加算の要件や可否については、告示の定めと貴事業所の状況をご確認ください。
Q. 通院介助を家族が一部対応した場合はどう書きますか?
A. ヘルパーが提供した介助の範囲と、家族が対応した部分を区別して、事実のまま記録します。運営指導では通院介助を家族対応としていないかが確認されることがあるため、実際の提供者と内容を明確にしておくと安心です。
通院介助|計画への位置づけで確認すること
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 居宅サービス計画に通院介助が位置づけられているか | 計画にないサービスは算定の根拠を欠く |
| 訪問介護計画に、所要時間と内容が書かれているか | 実績と計画の対応を確認される |
| 算定する区分が、実態と合っているか | 身体介護と通院等乗降介助で扱いが異なる |
| 運転中の時間を所要時間に含めていないか | 運転の行為は訪問介護サービスに含まれないとされている |
| 院内介助を行う理由が記録されているか | 院内介助の扱いは保険者により異なる |
| 計画と実績が継続して乖離していないか | 乖離が続く場合は計画変更が必要とされている |
| 金銭を預かる場合の手順が決まっているか | 預り金・おつり・領収書の記載不備が指摘されている |
| 受診の結果を関係者へ共有しているか | 処方の変更が計画に反映されないことがある |
関連記事
出典
出典:厚生労働省ウェブサイト/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。
通院介助をはじめ各帳票の様式・書き方は帳票ナビでまとめて確認できます。通院からの帰り道でも、話しかけるだけで記録の下書きができる——音声で記録を作る「神マナ」が、書く時間を現場にお返しします。
場面別|通院等乗降介助の記録の文例
仙台市の資料では、「車両の運転手が訪問介護員である場合、運転の行為は訪問介護サービスに含まれないことから、運転中の時間は介護報酬の算定対象とならない」とされています。記録には介助した内容と時刻を残します。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 出発 | 9時00分、自宅を出発。玄関から車までの移動を軽介助。 |
| 乗車 | 9時03分、乗車を介助。ステップに足をかける際に手を支える。 |
| 走行 | 9時05分から9時20分まで走行。※運転中の時間は算定の対象とならない。 |
| 到着 | 9時20分、◯◯医院に到着。 |
| 降車 | 9時22分、降車を介助。車いすへ移乗。 |
| 院内への移動 | 9時25分、受付まで同行し、病院職員へ引き継ぐ。 |
| 院内の付き添い | 原則として院内は病院職員の対応。やむを得ず付き添った場合は、その必要性と内容を記録する。 |
| 待ち時間 | 10時00分まで待機。※待ち時間は算定の対象とならない。 |
| 診察後 | 10時05分、受付前で合流。会計は本人が行われる。 |
| 帰りの乗車 | 10時15分、乗車を介助。 |
| 帰宅 | 10時35分、自宅に到着。降車を介助。 |
| 屋内への移動 | 10時38分、玄関から居間まで移動を介助。 |
| 着替え | 10時40分、上着を脱ぐ介助。身体介護として別に算定する場合は、その内容と所要時間を記録する。 |
| 本人の様子 | 移動中の体調に変化なし。「疲れた」との訴えあり、臥床して休まれる。 |
| 医師からの伝達 | 受付で「次回は1か月後」との案内を受け、家族へ伝えた。 |
| 家族への報告 | 10時45分、長女へ電話。受診が済んだことと、次回の予定を伝えた。 |
| 薬の受け取り | 帰路に◯◯薬局へ立ち寄り、処方薬を受け取る。本人へ手渡した。 |
| 立ち寄り | 日常生活上必要な買い物への立ち寄りは、保険者により取り扱いが異なる。計画への位置づけを確認する。 |
| 複数の医療機関 | ◯◯医院のあと◯◯眼科を受診。複数のはしごの取り扱いは保険者に確認する。 |
| 計画との対応 | 訪問介護計画に「第2水曜の通院等乗降介助」として位置づけられている。 |
| 中止 | 本人の体調不良により、受診を延期。家族とケアマネジャーへ連絡した。 |
| 特記事項 | 乗降時にふらつきがみられた。次回は2名での対応を検討する。 |
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
