通所介護のアセスメントは、計画書や機能訓練・レクの土台になります。心身の状態だけでなく「本人が何をしたいか」を把握することが質の高い支援につながります。
通所介護のアセスメントとは
利用者の心身の状況・生活環境・意欲などを把握し、課題と目標を明らかにする工程です。ケアプランをふまえ、通所で何を支援するかを具体化します。
興味・関心チェックシートの活用
「したい・してみたい活動」を聞き取るシートを使うと、本人の意欲を引き出せます。把握した希望を、目標・機能訓練・レクの内容に反映します。
アセスメントの主な項目
- 健康状態・既往・服薬
- ADL・IADL(移動・入浴・食事など)
- 認知・コミュニケーション
- 生活環境・家族の状況
- 本人の興味・関心、やりたいこと
計画への活かし方
把握した課題と希望を、通所介護計画書・個別機能訓練計画書の目標に結びつけます。定期的に再アセスメントし、見直します。
把握しておきたい6つの領域
| 領域 | 確認すること |
|---|---|
| 身体 | 移動、食事、排泄、入浴、着替え。どこまで自分でできるか |
| 認知 | 見当識、記憶、判断。困っている場面の具体 |
| 心理 | 意欲、不安、気分の波。通所への気持ち |
| 社会 | 家族関係、友人、地域との関わり、これまでの役割 |
| 環境 | 住まいの構造、段差、手すり、トイレ、入浴 |
| 医療 | 疾患、服薬、受診状況、留意事項 |
「してみたい」を目標にする
| 興味・関心シートの記載 | 目標への書き換え |
|---|---|
| 「また畑に出たい」 | 屋外を200m歩き、畑まで行ける |
| 「孫と出かけたい」 | 1時間程度の外出に耐えられる体力を保てる |
| 「自分でお風呂に入りたい」 | 手すりを使って浴槽をまたげる |
| 「料理をしたい」 | 立位を10分保ち、簡単な調理ができる |
| 「歌を歌いたい」 | 週1回、歌の活動に参加できる |
本人の言葉から出発した目標は、達成したときに本人が実感できます。機能の数値だけの目標は、達成しても喜びにつながりにくくなります。
よくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 本人が「何もない」と言う | 無理に埋めません。生活歴を聞くうちに出てくることがあります |
| 家族と本人の希望が違う | どちらも記録に残します。片方だけを書かないことが大切です |
| 認知症で聞き取りが難しい | 家族や以前の記録から補い、誰の情報かを明記します |
| どのくらいの頻度で見直すか | 計画の見直しに合わせます。状態の変化があれば随時 |
| 様式はどれを使うか | 厚生労働省が様式例を示しています。事業所の実態に合わせて使います |
アセスメントから計画までの流れ
- 情報を集める——本人、家族、ケアマネジャー、他事業所、主治医
- 興味・関心チェックシートを使う——「してみたい」を拾います
- 課題を整理する——多くても3つまでに絞ります
- 目標を立てる——生活動作で書きます
- サービス内容を決める——誰が、何を、どのくらいの頻度で
- 説明し、同意を得る——本人・家族の両方へ
- ケアマネジャーへ共有する
再アセスメントのきっかけ
- 要介護認定の更新・区分変更
- 入退院
- 状態の大きな変化
- 家族の状況が変わったとき
- 本人から希望が出たとき
- 計画の期間が満了したとき
聞き取りのすすめ方
- できることから聞く——できないことから入ると、本人が構えます
- 言い換えずに書く——本人の言葉をそのまま残します
- 沈黙を待つ——考えている時間を、答えられないと判断しません
- 複数回に分ける——1回で全部聞こうとしない
- 環境を整える——他の利用者に聞かれない場所で
情報の出どころを明記する
- 本人から聞いたこと
- 家族から聞いたこと
- ケアマネジャーから提供された情報
- 主治医の意見書
- 他事業所からの情報提供
- 職員が観察したこと
アセスメントについて現場から多い質問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| ケアマネジャーのアセスメントと重複しないか | 視点が違います。通所での過ごし方に焦点を当てます |
| 初回はどのくらい時間をかけるか | 1時間程度が目安ですが、本人の負担を優先します。複数回に分けても構いません |
| 本人が疲れてしまう | 途中で切り上げ、次回に続けます。全部を1回で聞く必要はありません |
| 家族が代わりに答えてしまう | 本人に向けて聞き、待ちます。本人の言葉が最も重要です |
| 以前の事業所の情報はもらえるか | 本人の同意を得たうえで、情報提供を依頼できます |
| 様式が事業所ごとに違う | 記載すべき内容が揃っていれば問題ありません |
よくある質問(FAQ)
Q. 再アセスメントの頻度は?
A. 状態の変化や計画の見直しに合わせて行います。少なくとも計画の更新時には見直します。
アセスメントで気をつけること
- できることに目を向ける――できないことだけでなく、残っている力や強みを把握する。
- 本人の言葉を残す――「どう過ごしたいか」を本人の表現で記録する。
- 多職種で共有――生活相談員・機能訓練指導員・看護職で情報を持ち寄る。
よくある質問(追加)
Q. 家族からの情報はどう扱う?
A. 本人の意向を最優先にしつつ、家族からの情報は生活背景や在宅での様子を補う材料として記録します。
アセスメント・計画を効率化する
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の通所向け機能(通所介護マナ)は、聞き取りや記録からアセスメント・計画書の下書きを補助します。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
通所介護アセスメントの記入例(コピペ可)
通所介護のアセスメントで把握する項目です(表の右上ボタンからExcel/CSVにコピーできます)。興味関心チェックシートで把握した「したいこと」を、通所介護計画書の目標や活動につなげます。
| 把握する項目 | 確認・記入のポイント |
|---|---|
| 興味・関心(活動・役割) | 興味関心チェックシートを活用。したい活動・してみたい役割を把握 |
| 心身の状態(ADL・認知) | 移動・入浴・食事の自立度、認知機能、意欲や気分 |
| 生活機能・社会参加 | これまでの生活歴、人との交流、外出の状況 |
| 本人の希望・目標 | 「どう過ごしたいか」を本人の言葉で。生活の目標につなげる |
| 家族・環境 | 家族の状況・希望、住環境、送迎の条件 |
よくある質問(記入のポイント)
通所介護のアセスメントでは何を把握しますか?
興味関心チェックシートはどう使いますか?
アセスメントを計画にどう活かしますか?
アセスメントを効率化するには?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
通所介護(デイ)の実務ガイド
通所介護のアセスメントで聞くことと、記録の書き方
| 項目 | 聞くこと | 記録の例 |
|---|---|---|
| 本人の希望 | どうなりたいか | 「また友達とお茶を飲みに行きたい」 |
| 家族の希望 | 困っていること | 長女より「入浴が大変」 |
| 生活歴 | 仕事、趣味、役割 | 元は理容師。手先を使う作業を好まれる |
| 日中の過ごし方 | 起床から就寝まで | 午前はテレビ、午後は横になって過ごす |
| 移動 | 屋内・屋外の方法 | 屋内は伝い歩き、屋外は歩行器 |
| 食事 | 形態、量、姿勢 | 常食、主食8割。前傾姿勢になりやすい |
| 排泄 | 方法、失敗の有無 | 日中はトイレ、夜間はポータブル |
| 入浴 | 方法、頻度 | 週2回。自宅の浴槽はまたぎが高い |
| 認知 | 見当識、判断 | 日付は曖昧。会話は成立 |
| 意欲 | 活動への関わり | 誘えば参加されるが、自分からは動かれない |
| 健康 | 既往、服薬、痛み | 高血圧で内服中。右膝に痛みあり |
| 社会との関わり | 外出、交流 | 近所づきあいは減っている |
| 住環境 | 段差、手すり | 玄関に段差20cm、手すりなし |
| リスク | 転倒、誤嚥、脱水 | 過去1年に転倒2回 |
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
