訪問看護は、医療保険と介護保険のどちらかを使って提供されます。「うちの利用者さんはどっち?」「優先順位は?」と迷う場面は多いものです。対象者・利用回数・優先順位の違いを整理します。
医療保険と介護保険は同時に使えない
訪問看護は公的保険で提供されますが、医療保険と介護保険が同時に適用されることはありません。利用者の年齢・要介護認定の有無・疾患によって、どちらを使うかが決まります。
対象者の違い
- 介護保険――65歳以上で要介護・要支援認定を受けた方、または40〜64歳で特定疾病により認定を受けた方。
- 医療保険――40歳未満の方、要介護認定を受けていない方、または要介護認定があっても厚生労働大臣が定める疾病等に該当する方など。
利用回数・日数の違い
- 介護保険――ケアプランの範囲内で利用し、回数の上限はありません。
- 医療保険――原則として週3回までが上限です。ただし末期の悪性腫瘍など厚生労働大臣が定める疾病等や、特別訪問看護指示書が交付された期間は、週4回以上の訪問が可能です。
どちらが優先されるか
要介護・要支援認定を受けている方は、介護保険が優先されるのが原則です。ただし次の場合は医療保険が優先されます。
- 厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7に該当)の方
- 特別訪問看護指示書が交付されている期間
- 認知症を除く精神疾患で、精神科訪問看護を利用する方
判断の流れ(フローチャート)
(1) 40歳未満 → 医療保険。(2) 40〜64歳で特定疾病による要介護認定あり → 介護保険(別表第7や特別指示書に該当すれば医療保険)。(3) 65歳以上で要介護・要支援認定あり → 介護保険(別表第7・特別指示書・精神科に該当すれば医療保険)。(4) 要介護認定なし → 医療保険。最終的な判断は主治医・ケアマネジャーと確認します。
保険区分に応じた記録・請求の負担を軽くする
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の訪問看護向け機能(訪問看護マナ)は、訪問記録から記録書や報告書の下書きを自動で作成します。保険区分ごとに必要な記録の整理を補助し、書類作成の時間を大きく減らせます。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
特別訪問看護指示書が出たら医療保険へ
介護保険で訪問看護を利用している方でも、急性増悪などで特別訪問看護指示書が交付された期間は、医療保険での訪問看護に切り替わります。あわせて、ターミナルケアなど保険区分で扱いが変わる加算にも注意しましょう。記録・請求は訪問看護マナ(訪問看護AI)で保険区分ごとに整理できます。
どちらの保険が使われるかは、原則が決まっている
訪問看護は、介護保険の対象になる方は介護保険が優先されます。ただし例外があり、その例外が実務では重要になります。
| 状況 | 使われる保険 |
|---|---|
| 要介護認定を受けている | 原則、介護保険 |
| 要介護認定を受けていない | 医療保険 |
| 厚生労働大臣が定める疾病等に該当する | 要介護認定を受けていても医療保険 |
| 特別訪問看護指示書が交付されている | その期間は医療保険 |
| 精神科訪問看護の対象となる | 医療保険 |
切り替えが起きるとき
- 要介護認定を新たに受けた——医療保険から介護保険へ
- 特別訪問看護指示書が出た——一時的に医療保険へ
- 対象疾病の診断がついた——医療保険へ
- 入院・退院——退院直後の取り扱いに注意が要ります
- 認定の更新で非該当になった——医療保険へ
⚠切り替えの日付を記録に残してください。あとから請求内容を確認するときに、どちらの期間かが追えなくなります。
実務で変わること
| 介護保険 | 医療保険 | |
|---|---|---|
| 利用の起点 | ケアプランへの位置づけ+指示書 | 訪問看護指示書 |
| 回数の考え方 | ケアプランと区分支給限度基準額の枠内 | 原則、回数に定めがある(例外あり) |
| 時間 | 時間区分が報酬に直結 | — |
| 請求先 | 国保連 | 審査支払機関 |
| 自己負担 | 原則1割(所得に応じて2〜3割) | 年齢と所得に応じた割合 |
| 計画・報告 | 訪問看護計画書・報告書 | 同左 |
医療保険になる主なケース
- 要介護認定を受けていない——年齢や状態にかかわらず医療保険です
- 厚生労働大臣が定める疾病等に該当する——末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、パーキンソン病関連疾患(一定の状態)など
- 特別訪問看護指示書が交付された——急性増悪等により頻回の訪問が必要な期間
- 精神科訪問看護の対象——精神科訪問看護指示書による訪問
⚠該当する疾病や状態は通知で定められており、見直されることがあります。最新の内容をご確認ください。
請求で間違えやすいところ
- 切り替えの日付があいまいで、どちらの期間か判別できない
- 特別訪問看護指示書の期間中に、介護保険で請求していた
- 要介護認定の申請中に、どちらで請求するか整理できていない
- 同一日に複数回訪問した場合の取り扱い
- 緊急訪問の扱い
よくある質問
Q. 医療保険と介護保険は同時に使えますか?
同時には使えません。年齢・要介護認定の有無・疾患により、どちらかが適用されます。
Q. どちらが優先されますか?
要介護・要支援認定がある方は介護保険が優先です。ただし厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7)、特別訪問看護指示書の期間、精神科訪問看護などは医療保険が優先されます。
Q. 医療保険の訪問看護は週何回まで?
原則週3回までですが、末期の悪性腫瘍など厚生労働大臣が定める疾病等や、特別訪問看護指示書が交付された期間は週4回以上の訪問が可能です。
訪問看護の医療保険と介護保険の違い
訪問看護は、利用者の状態により医療保険か介護保険のいずれかで利用します。違いを整理しました。
| 項目 | 医療保険 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 対象 | 要介護認定がない方、特定の疾病・状態の方など | 要介護・要支援の認定を受けた方(原則) |
| 優先 | 特定の状態では医療保険が優先 | 要介護認定があれば原則介護保険 |
| 回数 | 状態により異なる | ケアプランにもとづく |
算定要件・単位数・様式は介護報酬改定や自治体により異なります。実際の運用にあたっては最新の告示・通知・条例等でご確認ください。
よくある質問(FAQ)
訪問看護は医療保険と介護保険どちらですか?
どう使い分けますか?
回数の制限は?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
出典:厚生労働省ウェブサイト/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。加算・単位数・要件は改定される場合があるため、最新の告示・通知でご確認ください。
どちらの保険になるか|場面別
原則は「要介護認定があれば介護保険」。ただし例外が複数あり、実務ではこの例外の判断が要点になります。
| 場面 | どちらか | 理由 |
|---|---|---|
| 要介護・要支援の認定がない | 医療保険 | 介護保険の給付対象にならない |
| 要介護認定を受けている(通常) | 介護保険 | 介護保険が優先される |
| 40歳未満 | 医療保険 | 介護保険の被保険者でない |
| 40〜64歳で特定疾病に該当しない | 医療保険 | 介護保険の対象外 |
| 厚生労働大臣が定める疾病等に該当 | 医療保険 | 要介護認定があっても医療保険が優先 |
| 特別訪問看護指示書が交付された期間 | 医療保険 | 原則14日間 |
| 精神科訪問看護(認知症を除く) | 医療保険 | 精神科訪問看護基本療養費 |
| 急性増悪で頻回の訪問が必要 | 医療保険 | 特別訪問看護指示書による |
| 末期の悪性腫瘍 | 医療保険 | 厚生労働大臣が定める疾病等 |
| 筋萎縮性側索硬化症など | 医療保険 | 同上 |
| 入院中 | どちらも算定できない | — |
| 短期入所中 | どちらも算定できない(原則) | — |
| 施設入所中 | 原則として算定できない | 施設サービスに含まれる |
制度の違い
| 項目 | 医療保険 | 介護保険 |
|---|---|---|
| 回数 | 原則として週3回まで(例外あり) | ケアプランの範囲内 |
| 時間 | 1回30〜90分程度 | 20分未満〜90分未満の区分 |
| 事業所数 | 原則1か所(例外あり) | 複数可 |
| 利用者負担 | 年齢・所得により1〜3割 | 1〜3割 |
| 限度額 | — | 区分支給限度基準額 |
| 指示書 | 訪問看護指示書 | 同左 |
| 計画・報告 | 計画書・報告書を主治医へ | 同左 |
| 請求先 | 審査支払機関 | 国保連 |
| 加算 | 医療保険の体系 | 介護保険の体系 |
| ケアプラン | 不要 | 必要 |
切り替わるときに、やること
| 場面 | やること |
|---|---|
| 要介護認定が下りた | 医療保険から介護保険へ。認定日を確認する |
| 特別訪問看護指示書が出た | その期間は医療保険。開始日と終了日を記録する |
| 特別訪問看護指示の期間が終わった | 介護保険へ戻す |
| 厚生労働大臣が定める疾病等に該当した | 医療保険へ。診断日を確認する |
| 入院した | 訪問を中止。再開の見込みを確認する |
| 退院した | 指示書の内容を確認し、再開する |
| 区分変更があった | 限度額を確認し、ケアマネジャーと調整する |
| 月の途中で切り替わった | 日付で分けて請求する |
指示書は訪問看護指示書、加算は訪問看護の加算一覧をご覧ください。制度の取り扱いは告示・通知および審査支払機関の判断によります。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
監修:嶺井 美幸(看護師・訪問看護ステーション「訪問看護ようき」代表・株式会社ライフシフトCSO)
