訪問件数が多い日ほど、記録は後回しになりがちです。「観察したことは覚えているのに、文章にする時間がない」「直行直帰の合間に、声で記録できたら」――そんな現場の声に応えるのが、音声入力による記録です。この記事では、訪問看護記録書Ⅱを音声入力で作成し、SOAP形式まで自動で整える方法を、具体的な記入例つきで解説します。
訪問看護記録書Ⅱが音声入力と相性のよい理由
記録書Ⅱは、1回ごとの訪問で「観察した状態・実施したケア・その評価」を記す日々の記録です。バイタル、全身状態、本人や家族の訴え、次回への申し送り――これらは訪問を終えた直後の頭の中に、いちばん鮮明に残っています。記憶が新しいうちに話し言葉で口に出し、それを整理する流れは、音声入力と非常に相性のよい作業です。
さらに記録書ⅡはSOAP形式と親和性が高く、話した内容をS・O・A・Pへ振り分けやすいという特長があります。
SOAPとは(記録書Ⅱでの使い方)
- S(主観的情報)――本人や家族の訴え、自覚症状。「眠れない」「痛みが楽になった」など。
- O(客観的情報)――バイタルや観察した事実。数値と所見で書きます。
- A(評価)――SとOを踏まえた、看護師としての判断。
- P(計画)――次回訪問への申し送り、継続または変更するケア。
音声入力で記録書Ⅱを作る4ステップ
- 訪問直後に話す――訪問を終えた直後、車内などで観察した内容をそのまま声に出します。きれいな文章にする必要はありません。
- 文字起こし――話した内容を自動でテキスト化します。
- SOAPへ自動整理――文字起こしをS・O・A・Pへ振り分け、記録書Ⅱの体裁に整えます。
- 確認して送信――内容を確認し、必要なら手直しして保存・送信します。
音声入力の記入例(話し言葉からSOAPへ)
訪問直後に話した内容(そのままの話し言葉)
「今日の利用者さん、体温36度8分、血圧138の82、脈は78で整、SpO2は97パーセント。ご本人は昨夜あまり眠れなかったと話していて、日中も少しだるそうだった。下腿の浮腫は前回より軽くなっている。内服は自己管理できている。次回も浮腫と睡眠の様子を見ていく。」
整理後の記録書Ⅱ(SOAP)
S:昨夜はあまり眠れなかった。日中の倦怠感あり。
O:体温36.8度、血圧138/82mmHg、脈拍78回/分・整、SpO2 97%。下腿浮腫は前回訪問より軽減。内服は自己管理できている。
A:浮腫は改善傾向。睡眠不足による日中の倦怠感がみられ、経過観察が必要。
P:次回訪問でも下腿浮腫と睡眠状況を継続して観察する。
話し言葉のままでも、数値・所見・評価・計画が自然に整理されます。書き起こしと整理を手作業で行う負担が、大きく減ります。
精度を上げるコツと、よくある失敗
- 数値は声に出して言う――体温・血圧・SpO2などは曖昧にせず数値で話すと、Oが正確になります。
- SとOを分けて話す――「本人は〜と話していた」「観察では〜だった」と主語を意識すると、振り分けの精度が上がります。
- 固有名詞・専門用語は確認前提で――薬剤名や略語は変換が揺れることがあるため、確認の一手間を残します。
- 1訪問ぶんで区切る――長く話しすぎず利用者さまごとに区切ると、整理が安定します。
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