公開日 2026年6月27日 最終更新日 2026年7月17日
記録は「観察は覚えているのに、文章にする時間がない」が本音ではないでしょうか。この記事では、訪問看護記録書ⅡのSOAPの書き方を項目ごとにわかりやすく解説し、そのまま使えるSOAP例文を場面別に用意しました。さらに、話すだけでSOAPを整え、カイポケの記録書Ⅱへ自動転記するまでの流れも紹介します。
訪問看護記録書Ⅱとは(なぜSOAPで書くのか)
記録書Ⅱは、1回ごとの訪問で「観察した状態・実施したケア・その評価」を記す日々の記録です。バイタル、全身状態、本人や家族の訴え、次回への申し送り——これらは訪問を終えた直後がいちばん鮮明です。記録書ⅡはSOAP形式と親和性が高く、話した内容をS・O・A・Pへ振り分けやすいのが特長です。
SOAPの書き方|S・O・A・Pを1つずつ
SOAPは、情報を「主観/客観/評価/計画」の4つに分けて整理する書き方です。訪問看護記録書Ⅱでの使い方を、書き方のコツとあわせて見ていきます。
S|主観的情報(本人・家族の訴え)
本人や家族が言った言葉、自覚症状をそのまま書きます。「眠れない」「痛みが楽になった」など。コツ:解釈を加えず、できるだけ発言のまま「」で残すと、後からの評価がぶれません。
O|客観的情報(観察した事実・数値)
バイタル、皮膚や創部の所見、動作、服薬状況など、観察した事実を数値と所見で書きます。コツ:「良好」ではなく「発赤2cm・熱感なし」のように、誰が読んでも同じ像が浮かぶ具体で書きます。
A|評価(看護師としての判断)
SとOを踏まえた専門職としての判断です。コツ:SとOに書いた事実だけを根拠にします。ここに新しい観察事実を混ぜないのが、伝わる記録の分かれ目です。
P|計画(次回への申し送り)
継続・変更するケア、次回訪問での観察ポイント、他職種への連絡を書きます。コツ:「経過観察」で終えず、「次回、創部サイズを再測定」と行動で書くと申し送りが機能します。
記録書Ⅱで押さえたい主な観察項目
SOAPのO(客観的情報)に何を書くか迷ったら、次の項目を基準にすると抜け漏れが減ります。
- バイタルサイン――体温・血圧・脈拍・呼吸・SpO2。前回との変化もあわせて。
- 全身状態――意識、顔色、浮腫、皮膚・創部(褥瘡)の所見。
- 医療処置――服薬、点滴、褥瘡処置、カテーテル・胃ろう・吸引などの管理状況。
- ADL・生活――食事・排泄・睡眠・移動の状況と変化。
- 本人・家族の反応――ケアや指導への反応、介護負担の様子。
そのまま使えるSOAP例文集(記録書Ⅱ・場面別)
訪問看護でよくある場面ごとに、SOAPの記入例を早見表にまとめました(右上ボタンからExcel/CSVにコピー可)。状態にあわせて調整してください。
| 場面 | S(主観) | O(客観) | A(評価) | P(計画) |
|---|---|---|---|---|
| 心不全の観察 | 「少し息が苦しい」 | 下腿浮腫++、体重+1.5kg、SpO2 94%、両下肺にcrackle | 心不全増悪の可能性 | 主治医へ報告。塩分・水分を再指導し、翌日に体重を再確認 |
| 血糖の管理 | 「食事は気をつけている」 | 空腹時血糖180、食事記録に間食あり | 血糖高値、間食の影響 | 間食の工夫を助言。主治医へ報告し次回HbA1cを確認 |
| 褥瘡の処置 | 「痛みは少し楽」 | 仙骨部d2、滲出液減少、発赤が縮小 | 褥瘡は改善傾向 | 現在の処置を継続。除圧と栄養状態を再確認 |
| 服薬の管理 | 「飲み忘れることがある」 | 残薬から週2回の飲み忘れを確認 | 服薬アドヒアランスの低下 | 一包化を主治医・薬剤師へ相談し、お薬カレンダーを導入 |
| 精神症状の観察 | 「夜眠れない日がある」 | 表情が硬く発語が少ない、GAF 55 | 不眠と気分の変動 | 傾聴と生活リズムを助言。主治医へ状態を報告 |
よくある場面の記入例です。ご自身の利用者さんの状態に合わせて、言葉を差し替えてお使いください。
音声で話すだけ→SOAPへ自動整理(4ステップ)
- 訪問直後に話す――車内などで、観察した内容をそのまま声に出します。きれいな文章にする必要はありません。
- 文字起こし――話した内容を自動でテキスト化します。
- SOAPへ自動整理――文字起こしをS・O・A・Pへ振り分け、記録書Ⅱの体裁に整えます。
- 確認して保存――内容を確認し、必要なら手直しして保存・送信します。
なぜ音声と相性がいいのか:観察したことは、訪問直後の頭の中がいちばん鮮明です。記憶が新しいうちに話し言葉で出し、それを整理する流れは、あとで机に向かって書き起こすより速く、抜け漏れも減ります。
カイポケの記録書Ⅱへ、自動で転記する
多くの訪問看護ステーションが、記録・請求にカイポケを使っています。ただ「記録書Ⅱの入力そのもの」は、結局スタッフが手で打ち込む負担が残りがちです。
ここを、話すだけ→SOAPへ自動整理→カイポケの記録書Ⅱへ自動転記までつなげると、二重入力がなくなります。カイポケはそのまま使い続けながら、いちばん時間のかかる「記録を作って入力する」工程だけを、音声とAIに任せる形です。
- カイポケの運用・請求フローは変えない(今のまま)
- 記録書Ⅱ・報告書の作成と入力だけを効率化
- SOAPの体裁もそのまま引き継いで転記
よくある失敗と、精度を上げるコツ
- 専門用語・薬剤名は最初に言い切る――固有名詞を先に話すと変換が安定します。
- 数値は単位まで声に出す――「血圧128の74」のように。
- SとOを混ぜない――「本人が言ったこと」と「観察した事実」を分けて話すと、自動整理の精度が上がります。
- 最後に必ず目視確認――AIは下書きまで。判断(A)と計画(P)は看護師が確認して仕上げます。
よくある質問(SOAP・記録書Ⅱ)
Q. SOAPのA(評価)とO(客観的情報)はどう違いますか?
Oは観察した事実、Aはそれを踏まえた看護師の判断です。Aに新しい観察事実を書かず、S・Oに書いた事実だけを根拠にするのがポイントです。
Q. 訪問看護記録書ⅡはSOAPで書かないといけませんか?
様式は事業所により異なりますが、記録書ⅡはSOAP形式と相性がよく、多くの訪問看護ステーションでSOAPが使われています。
Q. SOAPの例文はそのまま使ってよいですか?
構成の参考にしていただけますが、記録は必ず実際の利用者さんの状態に合わせて書き換えてください。
Q. 記録書Ⅱの作成やカイポケ入力の負担を減らすには?
訪問直後に音声で話し、SOAPへ自動整理してカイポケの記録書Ⅱへ自動転記する方法があります。二重入力をなくし、記録時間を大きく減らせます。
まとめ
訪問看護記録書ⅡのSOAPは、S・O・A・Pの役割を押さえ、事実と判断を分けて書くのが基本です。例文を土台にしつつ、いちばん時間のかかる「記録を作る・入力する」工程は、音声とAIに任せられます。カイポケはそのままに、記録の手間だけを軽くする——それが、続けられる効率化です。
訪問看護の記録・書類ガイド
よくある質問
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
監修:嶺井 美幸(看護師・訪問看護ステーション「訪問看護ようき」代表・株式会社ライフシフトCSO)
