公開日 2026年6月22日 最終更新日 2026年7月17日
在宅での看取りを支えるターミナルケアは、訪問看護の中でも専門性と責任が問われる場面です。この記事では「ターミナルケア加算の算定要件と単位数」「医療保険の療養費との違い」「返還を防ぐために残すべき記録」を、2024年度(令和6年度)改定に沿って整理します。
訪問看護のターミナルケアとは
ターミナルケアは、人生の最終段階にある利用者が、住み慣れた自宅で穏やかに過ごせるよう支える看護です。症状の緩和、本人・家族の意思決定支援(ACP)、そして看取り後の家族へのグリーフケアまでを含みます。医師・ケアマネジャー・薬剤師など多職種と連携しながら、24時間体制で本人と家族を支えます。
看取りまでの流れ
- 意思決定支援(ACP)――本人・家族の希望を繰り返し確認し、療養と看取りの方針を共有します。
- 症状の緩和――痛み・呼吸困難・不安などを、主治医と連携してやわらげます。
- 家族支援――介護の方法や心構え、これから起こる身体の変化を具体的に伝えます。
- 看取り・グリーフケア――最期に寄り添い、看取り後の家族の悲嘆にも寄り添います。
ターミナルケア加算(介護保険)の算定要件と単位数【2024年度改定】
訪問看護ステーションが在宅での看取りを行い、要件を満たすと、介護保険のターミナルケア加算=2,500単位/月(2024年度改定で2,000単位から引き上げ)を算定できます。主な要件は次のとおりです。
- 死亡日および死亡日前14日以内に、2日以上ターミナルケアを実施していること
- 24時間対応体制加算の届出を行っていること
- 本人・家族の意向をふまえた看取りの方針を説明し、同意を得ていること
- ターミナルケアの提供について訪問看護記録書に記録していること
- 主治医や多職種と連携していること
ポイントは、区分支給限度基準額の枠外で算定できること、そして死亡月に訪問がなくても、死亡日前14日以内の要件を満たせば算定できることです。一方で、介護予防訪問看護(要支援の方)は対象外です。単位数・要件は改定で変わるため、必ず最新の告示・通知で確認してください。関連する体制は訪問看護の緊急時対応(オンコール)・24時間体制、その他の加算は訪問看護の加算一覧で解説しています。
医療保険の「訪問看護ターミナルケア療養費」との違い
末期の悪性腫瘍など、医療保険で訪問看護を提供している利用者では、介護保険のターミナルケア加算ではなく「訪問看護ターミナルケア療養費」で評価されます。医療保険と介護保険のどちらが適用されるかは対象者によって決まります。切り分けは訪問看護の医療保険と介護保険の違いをご覧ください(金額・要件は療養費の告示で確認してください)。
「在宅ターミナルケア加算」とは別の制度です
検索でよく混同されますが、「在宅ターミナルケア加算」は医師(医療機関)の在宅患者訪問診療に対する診療報酬の加算で、訪問看護のターミナルケア加算とは制度も算定する職種も異なります。訪問看護ステーションが算定するのは、上記のターミナルケア加算(介護保険)またはターミナルケア療養費(医療保険)です。
算定の可否を分けるのは「記録」
ターミナルケア加算の要件は、そのほとんどが記録に紐づいています。実地指導での返還を防ぐには、次の記録を確実に残すことが欠かせません。
- 本人・家族の意向とその変化(ACPの経過)
- 看取りの方針の説明と同意(日時・説明者・同席者)
- 症状の経過と緩和ケアの内容
- 主治医・多職種との連携(指示・報告・カンファレンス)
- 死亡日前14日以内の訪問日と実施内容(2日以上の実施がわかる記録)
ターミナルケアの記録 例文
訪問看護記録書Ⅱ(SOAP)での記載例です。詳しい書き方は記録書Ⅱ SOAPの書き方と例文集を参照してください。
【意向確認・ACP】
S:「最期まで家にいたい。苦しいのだけは嫌だ」と本人。妻も「本人の希望に沿いたい」
O:意識清明。疼痛NRS3。食事量1/3。主治医と方針を共有済み
A:在宅看取りの意向は安定。疼痛コントロールの継続が必要
P:24時間連絡体制を再説明。疼痛時の頓用を家族へ指導
【看取り前日の訪問】
S:家族「呼吸が変わってきた気がする」
O:下顎呼吸あり。四肢冷感・チアノーゼ。血圧測定困難
A:看取りが近い状態。家族の不安が強い
P:予測される経過を家族へ説明。主治医へ状態報告。訪問頻度を調整し、緊急時の連絡方法を再確認
看取り期の記録負担を、音声AIで軽くする
手厚いケアが必要な看取り期こそ、記録に追われず本人と家族に向き合いたい場面です。訪問看護向けのAI「訪問看護マナ(訪問看護AI)」は、訪問先で話すだけで記録書ⅡのSOAPや報告書の下書きを自動作成し、カイポケへ自動転記します。記録時間を最大85%削減。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
まとめ
- 介護保険のターミナルケア加算は2,500単位/月。死亡日前14日以内に2日以上の実施・24時間対応体制・説明同意・記録が要件。
- 医療保険ではターミナルケア療養費、医師の在宅ターミナルケア加算とは別制度。
- 算定の可否は記録で決まる。音声AIで記録を確実・省力に。
よくある質問
Q. ターミナルケア加算は何単位ですか?
介護保険では2,500単位/月です(2024年度改定)。死亡日および死亡日前14日以内に2日以上のターミナルケアの実施、24時間対応体制、説明と同意、記録などが要件です。
Q. 医療保険と介護保険でどう違いますか?
医療保険で訪問看護を提供している場合は、訪問看護ターミナルケア療養費で評価されます。対象者により医療・介護のどちらかが適用されます。
Q. 「在宅ターミナルケア加算」と同じですか?
別の制度です。在宅ターミナルケア加算は医師の在宅患者訪問診療に対する診療報酬の加算で、訪問看護のターミナルケア加算とは異なります。
Q. 死亡月に訪問がなくても算定できますか?
死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行うなどの要件を満たしていれば算定できます。
よくある質問
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
監修:嶺井 美幸(看護師・訪問看護ステーション「訪問看護ようき」代表・株式会社ライフシフトCSO)
