個別機能訓練加算は、通所介護などで、利用者ごとの個別機能訓練計画に基づき、機能訓練指導員が訓練を提供した場合に算定する加算です。本記事では算定要件と、計画書・記録のポイントを整理します。
加算・減算の全体像は介護報酬の加算・減算とは(まとめ)もあわせてご覧ください。
算定要件の考え方
区分により要件は異なりますが、共通して次のような要素が求められます。
- 機能訓練指導員の配置
- 多職種が共同して作成する個別機能訓練計画
- 計画に基づく訓練の実施と記録、定期的な評価・見直し
- 区分によりLIFEへのデータ提出・活用
区分・単位数・人員要件は最新の告示でご確認ください。
計画書・記録のポイント
算定の根拠は、個別機能訓練計画書と、計画に基づく実施記録です。利用者の目標、訓練内容、評価を具体的に残し、定期的に見直すことが求められます。計画書の作り方は個別機能訓練計画書の書き方もあわせてご覧ください。
対象者と機能訓練指導員
個別機能訓練加算の対象は、個別機能訓練計画に基づく訓練が必要と認められる利用者です。訓練を担う機能訓練指導員には、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師などが該当します(区分により配置の要件が異なります)。生活機能の維持・向上を目的に、利用者の居宅での生活状況を把握したうえで計画を立てることが重要です。単に運動を提供するのではなく、「自宅で入浴したい」「買い物に行きたい」といった生活目標に結びつけると、質・算定根拠の両面で説得力が高まります。
区分ごとの要件の考え方
個別機能訓練加算は区分に分かれており、機能訓練指導員の配置と、データの提出・活用が要件の柱になります。区分と要件は改定で見直されるため、最新の告示・通知でご確認ください。
| 見るところ | 確認する内容 |
|---|---|
| 機能訓練指導員の配置 | 職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師など)と、専従かどうか、配置する時間帯 |
| 計画書 | 多職種が共同して作成しているか。本人・家族への説明と同意の記録があるか |
| 実施 | 計画に沿った訓練が行われ、記録が残っているか |
| 評価と見直し | 定められた頻度で実施状況を確認し、記録しているか |
| データの提出 | 科学的介護情報システム(LIFE)への提出と、フィードバックの活用が要件に含まれる区分があります |
運営指導で指摘されやすいところ
- 計画書はあるが、実施の記録がない——計画と実績が対応していない
- 全員が同じ訓練内容——「個別」の要件を示せません
- 目標が身体機能だけ——生活の中でできるようになることを目標に置きます
- 共同作成の記録がない——誰が関わったかが残っていない
- 同意の記録がない——説明した日付と、同意を得た記録
- 見直しの記録がない——定められた頻度での確認が残っていない
計画書に書くこと(記入例)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 本人の希望 | 「近所のスーパーまで自分で買い物に行きたい」 |
| 長期目標 | 屋外を連続200m歩行し、買い物に行ける |
| 短期目標 | 屋内を手すりなしで20m歩行できる |
| 訓練項目 | 下肢筋力訓練(立ち座り10回×2セット)、平行棒内歩行、屋外歩行 |
| 頻度・時間 | 週2回、1回20分 |
| 担当 | 理学療法士 ○○ |
| 留意事項 | 右膝に疼痛あり。痛みの訴えがあれば中止し、看護師へ報告 |
記録に残すこと
- 実施した日、時間、担当者
- 実施した内容(部位、回数、負荷)
- 実施中と実施後の本人の反応
- 前回からの変化
- 中止の基準に触れた場合は、その判断と対応
※本記事は一般的な考え方を整理したものです。算定の可否や要件は、最新の告示・通知および保険者(市区町村)の運用をご確認ください。
加算について現場から多い質問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 機能訓練指導員が休んだ日は | 配置の要件と、その日の取り扱いを最新の通知でご確認ください |
| 計画書は誰が作るか | 多職種が共同して作成することが求められます。共同した記録を残します |
| 目標はどのくらいの期間で設定するか | 評価と見直しの頻度に合わせます。長すぎると見直しの機会を失います |
| 集団で行う体操は対象になるか | 個別の計画に基づく訓練であることが要点です。内容が全員同じにならないようにします |
| LIFEへの提出が間に合わなかった | 提出の期限と、間に合わなかった場合の取り扱いを保険者にご確認ください |
実地指導で指摘されやすいポイント
個別機能訓練加算は、実地指導で記録の不備を指摘されやすい加算のひとつです。特に次の点に注意しましょう。
- 計画書に利用者ごとの具体的な目標がなく、内容が画一的になっている
- 訓練の実施記録が計画と対応していない/評価・見直しの記録が残っていない
- 多職種が共同で作成した根拠(会議・カンファレンスの記録等)が確認できない
- 区分に応じたLIFEへのデータ提出・フィードバック活用の記録がない
これらは日々の記録を計画・評価と連動させることで防げます。記録があいまいだと、加算の返還につながることもあるため、「計画→実施→評価→見直し」の流れを記録で示すことが加算を守るカギです。
本記事は概要をわかりやすく解説するものです。最新かつ正確な単位数・算定要件は、厚生労働省の告示・通知および保険者(自治体)の案内で必ずご確認ください。
個別機能訓練加算のポイント
個別機能訓練加算は、機能訓練指導員による個別の機能訓練を評価する加算です(通所介護など)。要点を整理しました。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 要件の例 | 機能訓練指導員の配置、個別機能訓練計画書の作成 |
| 実施 | 計画にもとづく訓練の実施と評価 |
| 記録 | 計画・実施・評価の記録の整備 |
算定要件・単位数・様式は介護報酬改定や自治体により異なります。実際の運用にあたっては最新の告示・通知・条例等でご確認ください。
個別機能訓練加算|告示の定めと、貴事業所の状況
左に告示・通知の定め、右に貴事業所の状況を書き込む形にしています。算定の可否を判定するものではありません。要件・運用は保険者により異なりますので、最新の告示・通知および保険者の取り扱いをご確認ください。
| 告示・通知の定め | 貴事業所の状況(記入欄) | 裏づけになる書類 |
|---|---|---|
| 専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士等を配置すること(区分により要件が異なる) | 配置: 名/職種: | 勤務表・資格証の写し |
| 利用者の居宅を訪問し、生活状況を確認したうえで個別機能訓練計画を作成すること | 訪問日: /訪問者: | 居宅訪問の記録 |
| 計画には、目標・訓練項目・実施時間・担当者等を記載すること | 記載項目の確認:済/未 | 個別機能訓練計画書 |
| 計画の内容を利用者又はその家族に説明し、同意を得ること | 説明日: /同意日: | 同意欄のある計画書 |
| 計画に基づき、機能訓練指導員等が訓練を実施すること | 実施日: /実施者: | 実施記録 |
| おおむね3か月ごとに1回以上、居宅を訪問して進捗を確認し、計画を見直すこと | 直近の訪問日: /次回: | 訪問と見直しの記録 |
| 通所介護計画の目標と整合していること | 整合の確認:済/未 | 通所介護計画・個別機能訓練計画 |
| (LIFE関連の区分を算定する場合)情報を提出し、活用すること | 提出日: | 提出データの控え |
個別機能訓練加算|運営指導で公表されている指摘
実際に公表されている内容です。詳細は監査対策ナビと各自治体の公表資料をご確認ください。
| 公表されている指摘 | 公表元 |
|---|---|
| 中重度者ケア体制加算について、歴月ごとに指定基準に規定する看護職員又は介護職員の員数に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していることを確認していない事例(体制要件は月ごとに確認し記録することが求められる例) | 長野県の令和6年度運営指導結果(通所介護) |
| 個別サービス計画の目標は居宅サービス計画の内容をそのまま転記するのではなく、サービスを提供する事業所ごとに作成することとされている | 松山市の運営指導での主な指摘事項に関する資料 |
個別機能訓練加算|記録に残すこと
体制が整っていても、記録がなければ説明できません。以下は記載のイメージを示す(例)です。
| 場面 | 残す記録 | 記載例 |
|---|---|---|
| 居宅を訪問したとき | 訪問日・訪問者の職種・確認した生活動作と環境 | ◯月◯日、機能訓練指導員が訪問。玄関の段差20cm、浴槽のまたぎ40cmを確認 |
| 計画を作成したとき | 作成日・目標・訓練項目・実施時間・担当者 | ◯月◯日作成。目標は「手すりを使って玄関の段差を上がれる」。週2回×20分 |
| 説明・同意を得たとき | 説明日・相手・同意日・交付日 | ◯月◯日、ご本人と長女へ説明。同日に同意を得て交付した |
| 訓練を実施したとき | 実施日・実施者・訓練の内容・本人の反応 | 7月2日 段差昇降訓練10回。手すり使用で自立。「思ったより上がれる」と発言 |
| 進捗を確認したとき | 確認日・目標に対する到達度・数値 | ◯月◯日時点で段差昇降10回が自立。当初の5回から改善 |
| 見直したとき | 見直しの日・変更した内容・理由 | ◯月◯日見直し。段差が自立したため、屋外歩行を新たな目標に加えた |
| 通所介護計画と突き合わせたとき | 整合の確認日・確認者 | ◯月◯日、生活相談員と機能訓練指導員で目標の整合を確認した |
個別機能訓練加算|よくある誤りと直し方
| よくある誤り | なぜ問題か | 直し方 |
|---|---|---|
| 居宅を訪問せずに計画を作っている | 生活状況の確認が前提とされている | 訪問日と確認した内容を記録する |
| 3か月ごとの見直しをしていない | おおむね3か月ごとに1回以上とされている | 訪問と見直しの時期を年間予定に組み込む |
| 計画が全員同じ内容になっている | 個別の計画とはいえない | 居宅の状況と本人の目標に応じて書き分ける |
| 実施記録が「機能訓練」だけ | 何をしたか示せない | 訓練の内容・回数・本人の反応まで書く |
| 通所介護計画の目標と食い違っている | 計画同士の整合が求められる | 両方の目標を並べて確認する |
| 同意日がサービス提供開始日より後になっている | 手順が逆になっている | 説明・同意・交付を提供開始前に済ませる |
他の加算は介護保険の加算・減算まとめ、運営指導で確認される書類は監査対策ナビで確認できます。
よくある質問(FAQ)
個別機能訓練加算とは?
算定に必要なことは?
単位数や区分は?
区分の違いと、見直しの頻度について
Q. 個別機能訓練加算ⅠとⅡの違いは?
A. 人員配置や算定の考え方、LIFEへのデータ提出の要否などが異なります。区分ごとの要件は最新の告示でご確認ください。
Q. 計画はどのくらいの頻度で見直しますか?
A. 定期的な評価・見直しが求められます。実施記録とあわせて、見直しの記録も残しておくことが重要です。
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出典:厚生労働省ウェブサイト/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。加算・単位数・要件は改定される場合があるため、最新の告示・通知でご確認ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
