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訪問介護の緊急時・事故対応|手順と記録のポイント

訪問介護は職員が一人で利用者宅を訪問する場面が多く、転倒・誤嚥・急変などが起きたとき、その場の判断と初動が問われます。あわてず動くには、緊急時・事故対応の手順と、後から事実を再現できる記録を、平時から整えておくことが欠かせません。本記事では、初動の流れ、市町村への報告義務の法令根拠、事故報告書の記載項目と記入例までを整理します。

要点(3行)

  • 訪問介護の事故発生時の対応は、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第37条に、連絡・必要な措置・記録・損害賠償が定められています。
  • このページでは、事故時の4ステップ、事故報告書の欄別記入例、訪問先31場面の観察と連絡の順序、記録の完成文20場面、言い換え30組、マニュアル等の記入欄46項目を、表20本で掲載しています。
  • 確認の要点は、市町村へ報告する事故の範囲・期限・様式を所在地の市町村の取扱要領で事前に確かめ、事故の状況と採った処置を時系列で記録に残すことです。別添1の確認項目と公表事例22件も対照しています。

訪問介護で算定できる加算は、訪問介護(ホームヘルプ)の加算一覧で28件の要件・単位数をまとめています。

緊急時に備える(平時の準備)

事故が起きてから連絡先を探すのでは間に合いません。次の準備を事業所とサービス提供責任者で共有しておきます。

  • 緊急連絡体制:主治医・利用者家族・居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)・サービス提供責任者・事業所の連絡先を一覧化し、訪問時に携行する。
  • 対応手順のルール化:救急要請(119番)の判断目安、主治医への連絡順、家族への説明担当を事前に決めておく。
  • 利用者ごとの情報:既往歴・服薬・かかりつけ医・急変時の希望などをアセスメントに記載し、訪問者が確認できるようにする。
  • 記録・観察の備品:記録用紙・筆記具・体温計など、状態観察と記録に必要なものを準備する。

指定基準の解釈通知(老企第25号)でも、事故が生じた場合の対応方法をあらかじめ定めておくこと、損害賠償を速やかに行えるよう損害賠償保険に加入しておくこと等が望ましいとされています。

事故が起きたときの対応(4ステップ)

初動は「安全確保 → 連絡 → 記録 → 再発防止」の順で進めます。

  1. ①安全確保・状態観察:利用者の安全確保を最優先に、意識・呼吸・出血・痛みなどを観察する。急を要する場合は迷わず119番。
  2. ②関係者へ連絡:主治医、家族、ケアマネジャー、事業所へ連絡する。市町村への報告が必要な事故は保険者へ報告する(後述)。
  3. ③事実を時系列で記録:発生・発見の時刻、状況、とった処置、連絡した相手と時刻を、事実に基づいて記録する。
  4. ④原因分析・再発防止:本人要因・職員要因・環境要因に分けて検討し、実行できる再発防止策を決める。

市町村への報告義務と法令根拠

訪問介護における事故発生時の対応は、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚生省令第37号)第37条に定められています。

第37条(事故発生時の対応)

1 指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。

2 指定訪問介護事業者は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。

3 指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。

市町村へ報告する事故の範囲・期限・様式は、保険者である市町村ごとに要領で定められています。多くの自治体では「死亡に至った事故」「医師の診断により投薬・処置等の治療を要した事故」などを報告対象とし、第一報を事故発生後おおむね5日以内を目安に求めています。なお、介護保険施設・特定施設・認知症対応型共同生活介護等(施設・居住系)については、国が事故の報告様式を標準化した通知(介護保険最新情報Vol.1332/令和6年11月29日)がありますが、訪問介護を含む在宅サービスの様式・提出先・対象範囲・期限は、事業所所在地の市町村の取扱要領で必ず確認してください

事故報告書に書く項目(対照表)

厚生労働省の標準様式は、おおむね次の6区分で構成されています。左に記載区分、右に記入する主な内容を示します。

記載区分 記入する主な内容
①報告の概要 報告日・報告者・第何報か(第一報/続報)
②事業所の概要 事業所名・サービス種別(訪問介護)・所在地・保険者
③対象者の情報 性別・年齢・要介護度・被保険者番号(氏名欄の要否は自治体様式に従う)
④事故の詳細 発生日時・発見日時・発生場所・事故の種類・発生時の状況・とった対応
⑤事故後の状況 受診・治療の状況、利用者・家族への説明、市町村への報告状況
⑥原因分析・再発防止策 本人・職員・環境の各要因の分析と、実行する再発防止策

事故報告書の記入例

以下は書き方の(例)です。実在の利用者ではなく、氏名はA様と伏せています。自事業所の様式・実際の事実に合わせて記載してください。

(例1)居室内での転倒

  • 発生日時/発見日時:令和●年●月●日 10:15 発生(訪問中に職員が目撃)
  • 発生場所・種類:利用者A様宅 居室/転倒
  • 発生時の状況:A様が手すりのないベッド脇で立ち上がろうとして体勢を崩し、右側へ転倒。左膝を床に打った。職員は約1m離れた位置で掃除機を片付けていた。
  • とった対応:直ちに駆け寄り、意識・痛みを確認。左膝に軽度の腫れあり。10:20 主治医へ電話し受診の指示を受ける。10:25 家族(長女)へ連絡。10:40 ケアマネジャーへ報告。
  • 事故後の状況:同日かかりつけ医を受診、レントゲンで骨折なし、湿布処置で経過観察となった。
  • 原因分析・再発防止策:本人要因=立ち上がり時のふらつき/環境要因=ベッド脇に手すりなし/職員要因=離れた位置にいた。→ 福祉用具貸与で手すり設置を検討、立ち上がり時は側方で見守ることをサービス提供責任者と共有。

(例2)食事介助中の誤嚥(ヒヤリハットを含む)

  • 発生時の状況:昼食介助中、A様が白米を続けて口に運びむせ込んだ。早食いの傾向がある。
  • とった対応:介助を中止して前傾姿勢を促し、咳を促した。数回の咳で喀出でき、呼吸・顔色に異常なし。むせ込み後、主治医へ状況を報告。
  • 再発防止策:一口量を減らし、嚥下を確認してから次の一口を促す。とろみ調整をケアマネジャー・家族と相談する。

事故報告書のポイント

  • 事実と推測を分ける:職員が目撃していない場合は「本人の話では」「発見時は」と区別し、推測は断定しない。
  • 発生時刻と発見時刻を分ける:時間差があるときは、その理由もあわせて記す。
  • 5W1Hと時系列:いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように。連絡した相手と時刻も残す。
  • 評価より記録:良し悪しの評価語ではなく、観察した事実と数値(体温・血圧など)を優先する。見取り図や写真を別紙で添えると状況が伝わりやすい。

ヒヤリハットの活用

けがに至らなかった「ヒヤリ」「ハッと」した出来事も、事故の芽です。軽微でも記録して事業所内で共有し、対応手順やケア方法の見直しにつなげます。責めるための記録ではなく、次を防ぐための記録として運用することが、定着のポイントです。

運営指導で実際に公表されている指摘|出典つき

事故対応は「起きたあと」だけでなく、報告の範囲を把握しているかまで確認されます。

公表されている指摘 公表元
過去約2年間で骨折等の事故(2件)が発生しているが、市への報告をしていない報告が必要となる事故の程度を把握していない 仙台市の集団指導資料
報告が必要な事案として、事業所側の過失の有無にかかわらず、(1) サービス提供中(送迎・通院間も含む)の怪我または死亡事故(怪我は医師の診断を受け投薬・処置等何らかの治療が必要となったもの。死亡診断書で老衰・病死等の主に加齢を原因とする死因が記載されている事案は報告不要)、(2) 無断外出(警察・消防等が関わったもの)、(3) 誤薬・与薬漏れ等が示されている 仙台市の同資料
誤薬の案件で事故報告書が提出されていない事例、事故報告書を提出すべき案件についてヒヤリハットで処理している事例。誤薬(他人の薬を飲む、飲み忘れ、落薬など)についても事故報告の対象であることが示されている 津山市の集団指導資料(令和5年度)
利用者家族や介護支援専門員等に連絡した記録が残されていない。また、事故の再発防止のための検討がされていない、検討内容が具体的に記録されていない。「よく注意する」等、職員に対応を任せるのではなく原因を分析するよう求められている 公表資料の主な指摘事項
事故発生の防止のための委員会や研修を行っていない指針を整備していない事例(「事故発生の防止等の取組が不十分」20件・13.8%) 長野県の令和6年度有料老人ホーム一般検査結果

緊急時対応のフローチャート|発見から報告までの流れ

訪問先で利用者の急変・事故を発見したときの一般的な流れです。実際の対応は、事業所の緊急時対応マニュアルと管理者・サービス提供責任者の指示に従ってください。研修資料やマニュアルの下敷きとしてそのまま使えます。

① 発見——まず自分と利用者の安全を確保する(火気・ガス・転倒物の除去)

② 観察——意識・呼吸・出血・痛みの訴え・顔色を確認し、時刻をメモする

③ 分岐——意識がない・呼吸がおかしい・大量出血→ためらわず119番。あわせて事業所(サービス提供責任者)へ連絡/意識があり緊急性の判断に迷う→事業所へ連絡し指示を受ける(利用者宅の連絡票・お薬手帳を手元に)

④ 連絡——家族→ケアマネジャーの順に、事業所と分担して一報を入れる(救急搬送時は搬送先も伝える)

⑤ 記録——時刻・観察した事実・行った対応・連絡した相手を、その日のうちに記録する(書き方は下の完成文を参照)

⑥ 報告——事故に該当する場合は、市町村への報告の要否を管理者が判断する(本文「市町村への報告義務と法令根拠」を参照)

③の分岐で迷ったら「迷った時点で事業所へ連絡」と覚えておきます。ひとりで判断せず、連絡した事実そのものが適切な対応の記録になります。

急変・事故が起きたときの手順

「連絡した記録がない」ことが公表資料で指摘されています。連絡は行為だけでなく、時刻と相手まで残します。

やること 記録に残すこと
1 利用者の安全を確保し、状態を観察する 発生・発見の時刻、そのときの状況
2 急を要する場合は119番。それ以外は主治医へ連絡 連絡した時刻・相手・伝えた内容・受けた指示
3 応急の対応を行う 実施した処置と、その後の状態
4 ご家族へ連絡する 連絡した時刻・相手・伝えた内容・反応
5 担当介護支援専門員へ連絡する 連絡した時刻・相手・伝えた内容
6 事業所(管理者・サービス提供責任者)へ報告する 報告した時刻・相手
7 保険者への報告の要否を判断する 判断の根拠(報告基準のどれに当たるか)
8 報告が必要なら、期限内に事故報告書を提出する 提出日・提出先・控えの保管
9 再発防止を検討する 原因の分析と、具体的な対策。誰がいつまでに何をするか
10 検討結果を職員へ周知する 周知した日・方法・対象者

報告が必要か迷う場面

場面 考え方 記録に残すこと
転倒したが外傷がない 医師の診断を受け治療が必要になったかで分かれる。判断に迷う場合は保険者へ確認する 発見の状況、外傷の有無、受診の有無と結果
本人が「大丈夫」と言っている 本人の申告だけで判断しない 訴えの内容と、観察した所見の両方
翌日になって痛みが出た 発生日にさかのぼって扱う いつの出来事か、いつ症状が出たか
誤薬に気づいた 誤薬は事故報告の対象とされている。ヒヤリハットで処理しない 誤った内容(他人の薬・飲み忘れ・落薬)、気づいた時刻、対応
与薬を忘れた 同上 忘れた薬、気づいた時刻、主治医への確認
送迎中の出来事 送迎・通院間もサービス提供中に含まれるとされている 発生場所と時刻、同乗者
無断で外出した 警察・消防等が関わったものは報告対象とされている いつ・どこから・どのように確認したか
家族が発見した 事業所が関与していなくても、把握したら記録する 家族からの連絡の時刻と内容
他の利用者との接触 双方の状況を記録する 関わった状況。他の利用者は実名を書かない
老衰・病死 死亡診断書の死因によっては報告不要とされる場合がある 診断書の内容と、判断の経緯

事故報告書の書き方|欄別の記入例

「よく注意する」で終わらせないことが求められています。原因の分析と、誰がいつまでに何をするかを書きます。

記入例
発生日時 令和◯年7月18日 10:30(発見時刻)
発生場所 利用者宅 居室(ベッド脇)
発生時の状況 訪問時、ベッド脇の床に座り込んでいるところを発見。「立とうとしてふらついた」と話される
利用者の状態 意識清明。頭部・四肢に外傷なし。バイタルは血圧132/78、脈拍78、体温36.5℃
実施した対応 10:35 主治医へ電話報告。10:50 ご家族(長女)へ連絡。11:00 打撲の有無を再確認
受けた指示 主治医より、当日中の受診は不要。翌日まで様子を見て、痛みが出れば連絡するよう指示
連絡した相手と時刻 主治医 10:35/長女 10:50/担当介護支援専門員 11:10
その後の経過 翌19日の訪問時も痛みの訴えなし。歩行状態に変化なし
原因の分析 ベッド脇に新聞紙が積まれており、足元が不安定だった。夜間の照明が届いていない
再発防止策 ベッド脇の物品を移動(7/18実施)。足元灯の設置をご家族へ依頼(7/20依頼済み)。次回訪問時に設置を確認する
検討した日と参加者 7月19日 サービス提供責任者・訪問介護員2名で検討
職員への周知 7月20日の朝礼で共有。動線の確認を全利用者宅で行うこととした

日々の記録は訪問介護の実施記録の書き方、ヒヤリハットはヒヤリハットの書き方をご覧ください。報告の範囲・期限・様式は保険者により異なります。詳細は監査対策ナビと各自治体の公表資料をご確認ください。

訪問先の場面別|観察・連絡の順序・記録に残す項目(31場面)

訪問介護の緊急時対応が施設と違うのは、その場に判断を相談できる同僚がいないことです。だからこそ「何を見るか」「誰に、どの順で連絡するか」「何を書き残すか」を、場面ごとにあらかじめ決めておく必要があります。以下は訪問先で実際に起こる場面を、体調の変化・介助中の事故・訪問できない状況の3つに分け、その場の3列(観察・連絡・記録)で並べたものです。連絡の順序は事業所の緊急時対応マニュアルによって異なりますので、下表を土台にして自事業所の順序に書き換えてご使用ください。

なお、いずれの場面も、救命に関わると判断した時点で119番通報を行い、通信指令員から受けた指示にしたがって対応した事実と時刻を記録に残す、という形で書きます。処置の内容そのものを職員が判断して記録に書くのではなく、誰の指示で何を行ったかを残すことが、後から事実を再現できる記録になります。

体調の急変・症状の変化(10場面)

訪問先で起きたこと その場で観察する事実 連絡する相手の順序(例) 記録に残す項目
呼びかけへの反応が弱い 開眼するか、返事があるか、名前を呼んだときの反応、いつもとの違い、最後に会話が成立した時刻 ①119番(判断に迷う場合を含む)②事業所(サービス提供責任者)③家族 ④担当介護支援専門員 訪問した時刻、声をかけた時刻、そのときの反応の様子(見たままの言葉で)、通報した時刻、通信指令員から受けた指示、救急隊の到着時刻、搬送先
呼吸の様子がふだんと違う 肩で息をしているか、話せるか、顔色、口唇の色、横になっているか座っているか、いつから続いているか ①119番または主治医(事業所のマニュアルの基準による)②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 気づいた時刻、呼吸の様子を見たままに、本人の訴え、姿勢を変えた場合はその時刻、連絡した相手と時刻、受けた指示、その後の変化
顔色が悪く冷や汗をかいている 顔色、皮膚の湿り、手のふるえ、受け答えの様子、直近の食事の時刻と量、いつもの服薬状況 ①主治医 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 気づいた時刻、観察した事実、本人の言葉、直近の食事時刻と摂取量、主治医へ連絡した時刻と受けた指示、訪問終了時の状態
体温がふだんより高い 体温計の値、測定した部位と時刻、悪寒の有無、咳・鼻水の有無、食事と水分の摂取量、いつもの平熱 ①主治医 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 ⑤同一利用者に入る他事業所 測定した時刻と値、平熱との差、随伴する症状、主治医へ連絡した時刻と受けた指示、次回訪問予定者への申し送りの内容
血圧の値がふだんと大きく違う 測定値、測定した時刻と体位、再測定の値、頭痛やふらつきの訴え、当日の服薬の有無 ①主治医 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 1回目と2回目の値と時刻、体位、本人の訴え、当日の服薬状況の確認結果、主治医へ連絡した時刻と受けた指示
食事介助中にむせこんだ 咳が出ているか、声が出るか、顔色、むせた食品の形状、そのときの姿勢、水分にとろみを使っているか ①事業所 ②主治医または訪問看護 ③家族 ④担当介護支援専門員 むせた時刻、食品名と形状、そのときの姿勢、咳の様子、落ち着くまでの時間、連絡した相手と時刻、次回訪問者への申し送り
食べ物をのどに詰まらせた様子がある 声が出るか、咳ができているか、顔色、口の中に見えるものがあるか、いつから変化したか ①119番 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 気づいた時刻、通報した時刻、通信指令員の指示を受けながら対応した事実、呼吸が戻った時刻または救急隊到着の時刻、搬送先
ろれつや手足の動きがふだんと違う 言葉の出にくさ、左右差の有無、握力の左右差、口元の様子、いつから気づいたか、最後にふだんどおりだった時刻 ①119番 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 気づいた時刻、最後にふだんどおりだった時刻、観察した左右差を見たままに、通報時刻、受けた指示、救急隊到着時刻
強い痛みを訴える 痛む場所を本人が指した位置、痛みの表現(本人の言葉のまま)、体位を変えられるか、腫れや変形の有無、いつからか ①主治医 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 訴えのあった時刻、本人の言葉、痛む部位、外見の所見、主治医へ連絡した時刻と受けた指示、受診の有無、退室時の状態
嘔吐や下痢が続いている 回数と時刻、性状、食事・水分の摂取量、腹痛の訴え、同居家族に同じ症状があるか ①主治医 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 ⑤同一利用者に入る他事業所 時刻ごとの回数と性状、摂取できた水分量、同居家族の状況、主治医へ連絡した時刻と受けた指示、汚物の処理方法、申し送りの内容

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

転倒・けが・薬に関する場面(10場面)

訪問先で起きたこと その場で観察する事実 連絡する相手の順序(例) 記録に残す項目
目の前で転倒した 倒れた向き、床に着いた部位、頭を打っているか、痛みの訴え、そのとき職員がいた位置と行っていた介助 ①事業所 ②主治医 ③家族 ④担当介護支援専門員 転倒した時刻、職員がいた位置、直前に行っていた介助、倒れ方、打った部位、外見の所見、連絡した相手と時刻、受診の有無と結果
床に座り込んでいるところを発見した 発見した場所、体の向き、周囲の状況(濡れ・障害物)、外傷の有無、本人が話す経緯 ①事業所 ②主治医 ③家族 ④担当介護支援専門員 発見した時刻、発見時の姿勢と場所、周囲の状況、本人の言葉(かぎかっこで)、いつから床にいたかの手がかり、連絡した相手と時刻
ベッドから滑り落ちていた 床に接している部位、ベッド柵の状態、寝具の位置、体温の低下がないか、本人の受け答え ①事業所 ②主治医 ③家族 ④担当介護支援専門員 発見時刻、発見時の姿勢、柵と寝具の状態、外見の所見、室温、連絡した相手と時刻、受けた指示、その後の経過
浴室・脱衣所で足を滑らせた 床の濡れ、マットの有無、手すりの位置、そのとき職員が支えていたか、打った部位 ①事業所 ②主治医 ③家族 ④担当介護支援専門員 時刻、そのとき行っていた介助、床とマットの状態、支えた位置、打った部位、外見の所見、連絡した相手と時刻
皮膚が裂けて出血した 部位、傷の長さと形、出血の量(ガーゼの汚れ方などで)、原因になった動作や物、内服に血をさらさらにする薬があるか ①主治医または訪問看護 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 時刻、部位と傷の状態、直前の動作、出血が止まるまでの経過、連絡した相手と時刻、受けた指示、受診の有無と診断名
熱い湯や食べ物が皮膚にかかった かかった部位と広さ、皮膚の色、水疱の有無、痛みの訴え、かかったものの温度の目安 ①主治医 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 時刻、かかったものと部位、皮膚の状態を見たままに、冷却した時刻と時間、主治医へ連絡した時刻と受けた指示、受診の有無
別の人の薬を渡しそうになった・渡した 取り違えた薬の袋の記載、渡す前か後か、本人が口に入れたか、袋の保管場所、同姓や似た名前があるか ①主治医または薬局 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 ⑤保険者への報告の要否を管理者が判断 気づいた時刻、取り違えた薬の内容、渡す前か後か、口に入れた時刻、薬剤師・主治医へ相談した時刻と受けた指示、その後の状態観察の記録
服薬の飲み忘れ・残薬に気づいた 残っている薬の袋の日付と時間帯、何日分たまっているか、保管場所、本人の記憶、家族の関与の有無 ①主治医または薬局 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 気づいた時刻、残っていた薬の日付と数、たまっていた期間、相談した相手と時刻、受けた指示、次回訪問時の確認事項
一包化の袋が破れ、錠剤が床に落ちていた 落ちていた錠剤の数と場所、袋の日付、本人が拾って口に入れた可能性、ペットの有無 ①主治医または薬局 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 発見時刻、落ちていた場所と数、袋の日付、口に入った可能性の有無とその根拠、相談した相手と時刻、受けた指示
同じ薬を二重に飲んだ可能性がある 空になっている袋の数と日付、本人や家族の話、服薬カレンダーの状態、飲んだと考えられる時刻 ①主治医または薬局 ②事業所 ③家族 ④担当介護支援専門員 気づいた時刻、根拠になった事実(空袋の日付など)、飲んだと考えられる時刻、相談した相手と時刻、受けた指示、観察を続けた時間と所見

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

訪問できない・環境・職員側の出来事(11場面)

訪問先で起きたこと その場で観察する事実 連絡する相手の順序(例) 記録に残す項目
呼んでも応答がない チャイムと呼びかけを何回、何分行ったか、室内の物音、明かり、施錠の状態、新聞や郵便物のたまり方、洗濯物の状態 ①事業所 ②家族 ③担当介護支援専門員 ④(事業所の判断で)119番・警察 到着時刻、呼びかけの回数と時間、外から確認できた状況を見たままに、連絡した相手と時刻、その後どうしたか、入室できた時刻と室内の状況
鍵が開かず室内に入れない 預かり鍵の番号と実際の鍵の合致、キーボックスの状態、内側から施錠されている様子、窓の施錠 ①事業所 ②家族 ③担当介護支援専門員 到着時刻、鍵が開かなかった状況、キーボックスの状態、連絡した相手と時刻、指示の内容、入室できたかどうかとその時刻、サービスを実施できなかった場合はその旨
利用者が不在で所在が分からない 玄関の施錠、履物の有無、上着や杖の有無、置き手紙、直近に会った人の情報、行き先の心当たり ①事業所 ②家族 ③担当介護支援専門員 ④(家族・事業所の判断で)警察 訪問時刻、不在と判断した根拠、室内で確認できた事実、連絡した相手と時刻、捜索を行った範囲と時間、発見した時刻と場所、発見時の様子
家族と連絡がつかない かけた番号と回数、時刻、留守番電話の有無、緊急連絡先一覧の第2連絡先、勤務先の記載があるか ①事業所 ②第2連絡先 ③担当介護支援専門員 かけた時刻と回数、つながらなかった事実、第2連絡先へかけた時刻と結果、事業所へ報告した時刻、最終的に誰に何を伝えられたか
利用者・家族から暴力や迷惑行為を受けた 言われた言葉や行為をそのまま、時刻、その場にいた人、けがの有無、直前のやりとり ①事業所(ハラスメント相談担当者)②担当介護支援専門員 ③(必要に応じて)警察 日時、場所、言われた言葉と行為を見聞きしたまま、けがの有無、その場での対応、報告した時刻と相手、その後の訪問体制の変更
飼い犬・飼い猫にかまれた、ひっかかれた 受傷した部位と傷の状態、動物の種類、そのときの状況、動物の管理の状態 ①事業所 ②家族 ③担当介護支援専門員 時刻、状況、受傷部位と処置、受診の有無と診断、事業所へ報告した時刻、家族と話し合った内容、次回以降の動物の管理の取り決め
訪問中に停電・断水が起きた 停電・断水の範囲(近隣も含むか)、医療機器の使用の有無とその状態、室温、水の備えの有無 ①事業所 ②家族 ③担当介護支援専門員 ④(機器がある場合)供給元と訪問看護 発生時刻、影響を受けた設備、医療機器の状態、行った対応、連絡した相手と時刻、退室時の状況、復旧の確認の有無
訪問中に地震・強風などが起きた 揺れの体感、室内の転倒物、本人のけがの有無、避難経路の状況、テレビやラジオで確認できた情報 ①事業所 ②家族 ③担当介護支援専門員 発生時刻、そのとき行っていた介助、本人と職員の安否、室内の状況、事業所へ報告した時刻、業務継続計画にもとづいて行った判断と行動
訪問中に職員自身の体調が悪くなった 症状と始まった時刻、介助を続けられるか、利用者の安全を確保できるか ①事業所 ②担当介護支援専門員 ③家族 症状が出た時刻、そのとき提供していたサービスの範囲、利用者の安全を確保した方法、事業所へ連絡した時刻、代替訪問の手配、実施できなかったサービスの内容
移動中に自転車・自動車で事故に遭った 発生時刻と場所、相手の有無、けがの有無、車両の状態、次の訪問予定の時刻 ①警察 ②事業所 ③次の訪問先の利用者・家族 ④担当介護支援専門員 発生時刻と場所、警察へ届け出た時刻、事業所へ連絡した時刻、次の訪問の変更の可否と連絡した時刻、保険会社への連絡、労災に関する手続き
記録用紙・端末・預かり鍵を紛失した 最後に手にした時刻と場所、含まれていた情報の範囲、鍵の場合は住所が特定できる情報が一緒にあったか ①事業所(管理者)②担当介護支援専門員 ③利用者・家族 ④(鍵の場合)警察 紛失に気づいた時刻、最後に確認した時刻と場所、含まれていた情報の範囲、管理者へ報告した時刻、捜索した範囲、利用者・家族へ説明した日時と内容、再発防止として変えたこと

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

時系列でそのまま貼れる|訪問先の出来事を書いた記録の完成文(20場面)

記録は、発見した時刻から順に、行ったことと連絡したことを並べて書きます。訪問介護の場合、職員が一人で判断した経緯が後から問われるため、誰に連絡し、どんな指示を受けて動いたのかまで書いておくと、事実の再現ができる記録になります。以下はそのまま形を借りて使える完成文です。氏名はA様、事業所名・医療機関名は伏せ字にしています。時刻・数値・言葉は、実際に観察した内容に置き換えてご使用ください。

体調の変化・急を要した場面(10文)

場面 記録の完成文(例)
反応が弱い状態を発見 9時05分、訪問。玄関は施錠されておらず、声をかけながら入室。9時07分、居室のベッド上でA様が臥床されているのを確認。名前を呼ぶと開眼されるが返答はなく、いつもの「はい」という返事がない。前回訪問(前日16時)時は会話が成立していた。9時08分、119番通報。通信指令員の指示を受けながら見守りを行う。9時09分、事業所(サービス提供責任者◯◯)へ電話報告。9時12分、長女へ電話し、状況を伝える。9時18分、救急隊到着。9時30分、◯◯病院へ搬送。9時35分、担当介護支援専門員へ電話で報告。本日の生活援助は実施せず、退室時に施錠し鍵は事業所で保管。
呼吸の様子の変化 20時40分、訪問時、A様が「息が苦しい」と話される。肩を上下させる呼吸で、話すと途切れる。座位のままで臥床を希望されない。口唇の色に変化なし。20時42分、事業所へ電話し、マニュアルの基準にもとづき救急要請の判断を確認。20時44分、119番通報。通信指令員の指示を受けながら、本人が楽と話される座位のまま見守る。20時50分、次女へ電話。20時55分、救急隊到着、◯◯病院へ搬送。21時10分、担当介護支援専門員へ電話で報告。
発熱 10時20分、訪問。「今朝から寒気がする」と話される。10時22分、腋窩で体温測定、38.4度(平熱36.4度)。咳・鼻水なし。朝食は半分摂取、水分は起床後にお茶を1杯のみ。10時30分、主治医(◯◯クリニック)へ電話し、看護師より「本日中に受診を」と指示を受ける。10時35分、長男へ電話し、13時に受診に付き添うと返答を得る。10時40分、事業所へ報告。11時、退室時の体温38.2度。同日15時、長男より「肺炎ではなく内服の処方を受けた」と事業所へ連絡あり。11時05分、担当介護支援専門員へ電話で報告。
血圧の値がふだんと違う 14時00分、訪問。頭痛の訴えあり。14時05分、座位で血圧測定、188/98(ふだんは140前後)。脈拍82。5分安静ののち14時12分に再測定、182/96。本日の降圧薬について尋ねると「飲んだかどうか覚えていない」と話される。服薬カレンダーの本日朝分が残っていた。14時15分、主治医へ電話し、看護師より「本日は服用せず、明日の受診時に持参を」と指示を受ける。14時20分、長女へ電話。14時25分、事業所へ報告。14時50分、退室時の血圧176/94、頭痛は「少し楽になった」と話される。15時、担当介護支援専門員へ報告。
冷や汗・受け答えの変化 11時30分、訪問。額に汗をかき、手にふるえがみられる。声かけには応じられるが、言葉が途切れる。前日の夕食は「食べていない」と話され、台所に手つかずの配食が残っていた。11時33分、主治医へ電話し、看護師より「すぐに受診を、家族が難しければ救急要請を」と指示を受ける。11時35分、長女へ電話するが不通。11時36分、第2連絡先の次女へ電話し、来訪までに30分かかると返答を得る。11時38分、指示にもとづき119番通報。11時47分、救急隊到着、◯◯病院へ搬送。11時55分、事業所および担当介護支援専門員へ報告。
食事介助中のむせこみ 12時10分、昼食介助中、みそ汁を一口召し上がった直後にむせこまれる。咳は出ており、声も出ている。顔色は変わらず。介助を中断し、本人が落ち着かれるまで背中に手を添えて見守る。12時13分、咳がおさまり、呼吸は落ち着かれる。以後は汁物にとろみ剤を使用し、一口ずつ飲み込みを確認しながら介助を再開。12時40分、食事終了。むせこみの再発なし。12時45分、事業所へ報告。13時、担当介護支援専門員へ電話し、次回の担当者会議でとろみの使用について相談したい旨を伝える。訪問看護(◯◯ステーション)へも連絡ノートで申し送り。
のどに詰まらせた様子 12時25分、昼食中、A様が急に声を出されなくなり、口元を押さえられる。咳ができておらず、顔色が変わる。12時26分、119番通報。通信指令員の指示を受けながら対応する。12時28分、口から食物の一部が出て、咳が出はじめる。12時31分、救急隊到着。搬送はせず、その場で経過観察の判断となる。12時40分、長男へ電話で報告。12時45分、事業所へ報告。13時00分、担当介護支援専門員へ報告。退室時(13時10分)、呼吸は落ち着かれ、会話も成立。以後の食事形態について、翌日サービス提供責任者が家族・担当介護支援専門員と協議することとした。
ろれつ・手足の左右差 8時50分、訪問。あいさつの返答が聞き取りにくく、右手でコップを持とうとして落とされる。前日の訪問(16時)ではふだんどおりで、家族によれば就寝前も変わりなかったとのこと。左右で握る力に差がみられる。8時52分、119番通報。通信指令員の指示を受け、本人を動かさずに見守る。8時54分、長女へ電話。8時59分、救急隊到着、◯◯病院へ搬送。9時10分、事業所へ報告。9時15分、担当介護支援専門員へ報告。本日の身体介護は実施していない旨をあわせて伝える。
強い痛みの訴え 10時00分、訪問。「昨夜から腰が痛くて起き上がれない」と話される。左腰部を手で押さえられる。腫れ・変形・皮膚の色の変化はみられない。臥位から座位への動作で痛みが強くなり、途中で中止される。10時10分、主治医へ電話し、看護師より「本日受診を、移動が難しければ往診を検討する」と指示を受ける。10時15分、長女へ電話し、14時に受診に付き添うと返答を得る。10時20分、事業所へ報告。本日の入浴介助は本人と相談のうえ中止し、清拭に変更。10時50分、退室。11時、担当介護支援専門員へ電話し、計画の変更について相談する旨を伝える。
嘔吐・下痢が続いている 9時30分、訪問。トイレに嘔吐物があり、「夜中から3回吐いた」と話される。下痢は朝から2回。腹痛の訴えあり。水分はスポーツ飲料を200ミリリットル摂取。同居の長男に同様の症状はなし。9時40分、使い捨て手袋とエプロンを着用して汚物を処理し、次亜塩素酸ナトリウムで清拭。9時50分、主治医へ電話し、看護師より「水分をこまめに、本日中に受診を」と指示を受ける。9時55分、長男へ電話。10時00分、事業所へ報告し、本日午後に訪問予定の同一利用者担当職員へ申し送りを依頼。10時05分、担当介護支援専門員へ報告。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

けが・薬・訪問できない状況(10文)

場面 記録の完成文(例)
目の前での転倒 10時15分、居室の掃除機を片付けていたところ、約1メートル離れた位置で、A様がベッド脇から立ち上がろうとして体勢を崩され、右側へ転倒された。左膝を床につかれた。頭部は打っておらず、本人も「頭は打っていない」と話される。10時16分、意識・痛みを確認。左膝にわずかな腫れあり、皮膚の傷はなし。膝を曲げると痛みの訴えあり。10時20分、主治医へ電話、看護師より「本日中に受診を」と指示を受ける。10時25分、長女へ電話。10時40分、事業所(サービス提供責任者◯◯)へ報告。同日14時、長女の付き添いで◯◯整形外科を受診、骨折はなく湿布の処方で経過観察となった旨、16時に長女より事業所へ連絡あり。10時45分、担当介護支援専門員へ報告。
床に座り込んでいるのを発見 9時00分、訪問。玄関のチャイムに応答がなく、預かり鍵で入室。9時02分、居室のベッド脇の床に、A様が右側を下にして座り込んでおられるのを発見。「立とうとしてふらついた。いつからかは分からない」と話される。パジャマのままで、床は冷たく、室温は16度。頭部・四肢に外傷はみられない。9時05分、事業所へ電話報告し、動かさずに待機するよう指示を受ける。9時06分、長男へ電話。9時08分、主治医へ電話し、看護師より「受診を」と指示を受ける。9時20分、長男が到着し、9時35分に長男の車で◯◯クリニックへ受診。9時40分、担当介護支援専門員へ電話で報告。
浴室での転倒 13時40分、入浴介助中、洗い場でA様が右足を滑らせ、浴槽のふちに右肘をぶつけられた。職員は左側から腰を支えており、床に倒れ込むには至らなかった。洗い場のマットが半分めくれていた。13時42分、右肘に発赤あり、腫れ・皮膚の傷はなし。動かすことはでき、痛みは「少ししみる程度」と話される。13時50分、入浴を中止し、身体をふいて着衣を介助。14時00分、事業所へ報告。14時05分、長女へ電話。14時10分、主治医へ電話し、看護師より「腫れや痛みが強くなれば連絡を」と指示を受ける。14時20分、退室。マットのめくれについては、翌日サービス提供責任者が家族へ滑り止めの相談を行うこととした。
皮膚が裂けて出血 11時05分、更衣介助の際、A様の左前腕に長さ3センチメートルの皮膚の裂けと出血を確認。ご本人は「いつ切ったか分からない」と話される。ベッド柵の角に布のカバーがなかった。11時07分、清潔なガーゼで押さえて止血を試みる。11時15分、出血が止まったことを確認。11時17分、訪問看護(◯◯ステーション)へ電話し、本日15時に訪問予定であるため、それまでガーゼで保護しておくよう指示を受ける。11時20分、長女へ電話。11時25分、事業所へ報告。11時30分、担当介護支援専門員へ報告。ベッド柵のカバーについて、家族と福祉用具事業所へ相談することを申し送りとした。
熱いものが皮膚にかかった 12時05分、昼食の配膳中、A様がみそ汁の椀に手が当たり、右大腿にこぼされた。衣類の上からで、範囲は手のひら大。12時06分、衣類を外し、流水で冷却を開始。12時21分、冷却を終了。皮膚は赤くなっているが水疱の形成はなく、「ひりひりする」と話される。12時25分、主治医へ電話し、看護師より「本日中に受診を」と指示を受ける。12時30分、長男へ電話。12時35分、事業所へ報告。同日15時、長男より「軟膏の処方を受け、明日再診」と事業所へ連絡あり。12時40分、担当介護支援専門員へ報告。以後、汁物は食卓の奥に置き、着席後に配膳することとした。
別の人の薬を渡した 8時10分、服薬の見守りの際、服薬カレンダーから取り出した袋をA様に手渡した。8時12分、袋の記載を確認したところ、同居の配偶者の朝食後分であったことに気づく。A様はすでに内服されていた。8時13分、薬局(◯◯薬局)へ電話し、薬剤師より「内容から強い作用は想定しにくいが、主治医に連絡を」と助言を受ける。8時18分、主治医へ電話し、看護師より「本日は経過を観察し、ふらつきや眠気があれば連絡を」と指示を受ける。8時25分、長女へ電話し、経緯を説明。8時30分、事業所(管理者◯◯)へ報告。9時30分の退室時まで、ふらつき・眠気はみられず、血圧138/80、脈拍74。同日、管理者が保険者の事故報告の取扱いを確認したうえで対応することとした。
飲み忘れ・残薬に気づいた 10時30分、服薬カレンダーを確認したところ、5日分の夕食後の袋が残っていることを発見。A様は「夕方は眠くなって忘れてしまう」と話される。残っていたのは◯月◯日から◯月◯日までの夕食後分。10時35分、薬局へ電話し、薬剤師より「主治医に伝え、次回受診時に残薬を持参するよう」助言を受ける。10時40分、主治医へ電話し、看護師より「まとめて飲まず、次回受診で相談を」と指示を受ける。10時45分、長女へ電話。10時50分、事業所へ報告。11時、担当介護支援専門員へ電話し、夕方の見守りの追加について相談したい旨を伝える。
応答がなく入室できなかった 13時00分、訪問。チャイムを5回、玄関と窓から名前を呼びかけを3分間行うが応答なし。玄関は施錠され、預かり鍵はない。郵便受けに前日夕刊がそのまま入っており、窓のカーテンは閉まったまま。13時05分、事業所へ電話報告。13時07分、長男の携帯へ電話するが不通。13時08分、第2連絡先の長女へ電話し、「30分で向かえる」と返答を得る。13時10分、担当介護支援専門員へ電話で報告。13時40分、長女が到着し解錠、A様は室内で臥床されており「よく眠っていて気づかなかった」と話される。外傷・体調の変化なし。13時45分、事業所と担当介護支援専門員へ結果を報告。本日の生活援助は13時45分から14時15分まで短縮して実施した。
利用者が不在で所在不明 15時00分、訪問。玄関は施錠されておらず、室内に不在。杖と靴が1足ずつなく、上着も見当たらない。置き手紙なし。15時05分、事業所へ電話報告。15時07分、長女へ電話。15時10分、自宅周辺と近隣のスーパー、いつも行かれる公園を約20分捜索。15時30分、長女より「本人から電話があり、バス停にいる」と連絡を受ける。15時40分、バス停でA様と合流。外傷なし、受け答えはふだんどおり。「病院に行こうと思ったが道が分からなくなった」と話される。15時45分、事業所と担当介護支援専門員へ報告。16時、自宅へ戻り、施錠を確認して退室。翌日、サービス提供責任者が家族と見守りの体制について相談することとした。
移動中の交通事故 ◯月◯日11時20分、次の訪問先へ向かう途中、◯◯交差点で自転車走行中に停車中の車両と接触。相手方に負傷はなく、当方は左膝に擦り傷。11時23分、110番通報し、11時40分に警察の現場確認を受ける。11時25分、事業所(管理者◯◯)へ電話報告。11時30分、事業所より次の訪問先のB様宅へ、訪問時間を12時30分へ変更する旨の連絡を行う。11時35分、担当介護支援専門員へ、訪問時間の変更を連絡。12時00分、事業所の指示により◯◯整形外科を受診、擦過傷の処置を受ける。同日中に労災の手続きについて管理者へ相談し、保険会社へ連絡した。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

書き直しの対照|緊急時の記録で直したい表現と、そのまま使える言い換え(30組)

緊急時の記録が読み返せないものになる原因は、ほとんどが同じです。主語がない、時刻がない、観察した根拠がない、連絡した相手が書かれていない、そして評価語で片づけている。以下は現場の記録に実際に出てきやすい書き方を左に置き、なぜ足りないのかと、そのまま置き換えられる完成文を並べたものです。良い例の列は、時刻・主語・観察の根拠・連絡先の4つがそろうように書いています。

出来事の書き方(15組)

直したい書き方 何が足りないか 言い換えの完成文(例)
転倒された いつ、どこで、どう倒れたかがなく、後から状況を再現できない 10時15分、ベッド脇から立ち上がろうとされた際に体勢を崩され、右側へ転倒された。左膝を床につかれ、頭部は打っておられない
様子を見た 何を見たのか、どれくらい見たのかが分からない 10時20分から10時50分まで居室で見守り、その間に痛みの訴えと歩行時のふらつきがないことを確認した
特変なし 何を確認して「変わりない」と判断したのかが残らない 体温36.4度、血圧132/78、脈拍76。食事は全量摂取、歩行はふだんどおりで、痛みの訴えなし
元気がなかった 職員の印象であり、観察した事実がない 声かけへの返事が2回のうち1回のみで、いつもの「はい」という返答がなかった。朝食は3分の1の摂取
すぐに対応した 「すぐ」が何分かが分からず、対応の中身もない 10時16分に駆け寄り、意識と痛みを確認。10時20分に主治医へ電話した
家族に連絡した 誰に、何時に、何を伝えたかが分からない 10時25分、長女の携帯へ電話し、転倒の状況と主治医から受診の指示を受けたことを伝えた
ケアマネに報告済み 時刻と内容がなく、報告した事実の裏づけにならない 10時40分、担当介護支援専門員◯◯氏へ電話し、転倒の状況・受診予定・本日の生活援助を中止したことを伝えた
本人は大丈夫と言っていた 本人の申告だけで、職員が確認した所見がない 本人は「どこも痛くない」と話されたが、左前腕に長さ3センチメートルの発赤と、立ち上がり時に左足をかばう動きがみられた
だいぶ前から倒れていたようだ 推測が事実として書かれている 発見時、パジャマのままで室温は16度。前回訪問は前日16時で、そのときは臥床されていなかった
むせこみあり 何を、どんな姿勢で、どれくらいむせたのかがない 12時10分、みそ汁を一口召し上がった直後にむせこまれた。咳と声は出ており、12時13分におさまった。そのときの姿勢は背もたれをやや倒した座位
血圧が高かった 数値と測定条件がない 14時05分、座位で測定し188/98。5分安静ののち14時12分に再測定し182/96。ふだんは140前後
熱があった 測定値・部位・平熱との比較がない 10時22分、腋窩で測定し38.4度。平熱は36.4度。悪寒の訴えあり、咳と鼻水はみられない
出血していたので止血した 部位・大きさ・止血の経過がない 11時05分、左前腕に長さ3センチメートルの皮膚の裂けと出血を確認。清潔なガーゼで押さえ、11時15分に出血が止まったことを確認した
誤薬があった 何を、誰の薬を、いつ、どこまで進んだのかがない 8時10分に手渡した袋が、8時12分の確認で同居の配偶者の朝食後分であることが判明。A様はすでに内服されていた
薬が残っていた いつからの、どの時間帯の薬が、いくつ残っていたのかがない ◯月◯日から◯月◯日までの夕食後分5袋が服薬カレンダーに残っていた。朝食後分に残りはない

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

対応・連絡・その後の書き方(15組)

直したい書き方 何が足りないか 言い換えの完成文(例)
主治医に連絡し指示をもらった 受けた指示の中身がなく、あとで誰の判断だったかをたどれない 10時20分、主治医(◯◯クリニック)へ電話。看護師◯◯氏より「本日中に受診を、痛みが強くなれば再度連絡を」と指示を受けた
救急車を呼んだ 通報時刻・到着時刻・搬送先がない 9時08分に119番通報。通信指令員の指示を受けながら対応し、9時18分に救急隊が到着。9時30分に◯◯病院へ搬送された
応急処置を行った 誰の指示で何をしたかが分からない 12時26分に119番通報し、通信指令員の指示を受けながら対応した。12時28分に呼吸が戻られたことを確認した
事業所に報告した 相手の役職名と時刻がない 10時40分、事業所のサービス提供責任者◯◯へ電話で報告し、本日の生活援助を中止する判断を受けた
連絡がつかなかった 何時に何回かけたのかがなく、努力の記録にならない 13時07分、13時12分、13時18分の3回、長男の携帯へ電話したがいずれも応答がなく、13時20分に第2連絡先の長女へ電話した
受診した 誰が付き添い、どこで、何と言われたかがない 同日14時、長女の付き添いで◯◯整形外科を受診。骨折はなく湿布の処方で経過観察と説明を受けた旨、16時に長女より事業所へ連絡があった
その後問題なし いつ、何を見て問題ないと判断したかがない 翌日9時の訪問時、痛みの訴えなし。歩行器での移動は前日と同様で、左膝の腫れは消えていた
次回から気をつける 誰が何をいつまでに変えるのかがない ベッド脇に置かれていた新聞は同日中に本人の了解を得て移動した。足元灯の設置は◯月◯日に長女へ依頼し、次回訪問時に設置の有無を確認する
見守りを強化する どの場面で、誰が、どのように変えるのかがない 立ち上がりの動作は、職員が左側方1メートル以内で待機してから声をかける手順に変更し、◯月◯日の朝礼で全訪問介護員へ周知した
職員に注意した 個人の注意で終わり、手順が変わっていない 服薬の見守りは、袋の氏名と日付を声に出して読み上げてから手渡す手順に変更した。◯月◯日にサービス提供責任者が全員へ書面で周知した
本人の不注意による 評価であり、原因の分析になっていない 立ち上がりの支えになる手すりが設置されておらず、ベッド脇に新聞が積まれていた。夜間は足元の照明が届いていない
サービスを中止した どこまで実施し、どこからできなかったのかがない 入浴介助は洗い場での転倒により13時50分に中止し、清拭と更衣に変更して14時20分に終了した
ヒヤリハットとして処理 事故として扱う判断の根拠がない。誤薬・転倒を一律にヒヤリハットとする扱いは公表資料で指摘されている 本件は内服に至っているため、事業所の分類基準にもとづき事故として記録した。保険者への報告の取扱いは、管理者が◯月◯日に保険者へ確認した
家族に説明済み いつ、誰に、どこまで説明したかがない ◯月◯日16時、事業所にて管理者から長女へ、発生の経緯・受診の結果・変更した手順を説明した。ご意見として「夜間の照明を検討したい」と伺った
報告書を提出した 提出先・提出日・控えの所在がない ◯月◯日、◯◯市高齢福祉課へ第一報を提出した。控えは事故報告綴りに保管し、続報の予定は◯月◯日とした

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

緊急時対応マニュアル・連絡網・線引きの基準|記入欄つき(46項目)

指定居宅サービス等の人員、設備及び運営に関する基準では、緊急時等の対応(第27条)として緊急時対応マニュアル等の整備が、運営規程(第29条)の記載事項として緊急時等における対応方法が挙げられています。ここでは、マニュアルと連絡網に載せておく項目を記入欄つきで並べます。空欄を埋めるだけで、訪問に携行できる形になります。

緊急時対応マニュアルに載せる項目(20項目)

項目 書いておく内容 貴事業所の記入欄
119番通報の判断の目安 どのような状態を見たときに、職員の判断で通報してよいか。迷った場合に誰へかけるか (          )
通報後にすることの順序 通報のあと、事業所・家族・担当介護支援専門員のどこへ、どの順でかけるか (          )
主治医へ連絡する場面 救急要請に至らない場合に、どの状態で主治医へ連絡するか (          )
夜間・早朝の連絡先 営業時間外に職員がかける事業所の番号と、応答する担当者 (          )
事業所の第2連絡先 管理者が不在・不通のときにかける番号と担当者 (          )
応答がないときの手順 何分呼びかけてから次の行動に移るか、入室の可否を誰が判断するか (          )
預かり鍵の取り扱い 保管場所、持ち出しの記録、紛失時の連絡先と手順 (          )
サービスを中止・変更するときの判断 誰が判断するか、利用者・家族・担当介護支援専門員へ誰がいつ連絡するか (          )
事故発生時の連絡先の一覧 市町村(保険者)の担当課、家族、居宅介護支援事業者、事業所内の報告先 (          )
事故報告書の書式と保管場所 使用する様式、記入する担当者、控えの綴りの置き場所 (          )
保険者へ報告する範囲 所在地の市町村が公表している報告対象の範囲を書き写しておく (          )
報告の期限と提出先 第一報の期限、続報の扱い、提出方法(持参・郵送・電子) (          )
損害賠償の窓口 加入している保険の名称、証券番号の保管場所、連絡する担当者 (          )
ハラスメントを受けたときの相談先 相談に対応する担当者の氏名と連絡先、記録の残し方 (          )
職員が受傷したときの手順 受診先、管理者への報告、労災に関する手続きの担当者 (          )
移動中の事故の手順 警察への届出、事業所への報告、次の訪問先への連絡を誰が行うか (          )
感染症が疑われるときの手順 訪問順の変更、使用する防護具、他事業所への申し送り、業務継続計画との関係 (          )
災害が起きたときの手順 訪問中に発生した場合の行動、安否確認の方法、業務継続計画で定めた優先順位 (          )
個人情報を紛失したときの手順 管理者への報告、利用者・家族への説明、警察への届出の判断 (          )
マニュアルの見直しと周知 見直す時期、周知の方法、周知したことを残す記録 (          )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

利用者ごとの緊急時情報シート(14項目)

訪問先で開いて使うものなので、1人1枚におさめます。個人情報を含むため、持ち出しと保管の方法もあわせて決めておきます。

書いておく内容 記入欄
主治医・医療機関 医療機関名、診療科、電話番号、受付時間、時間外の連絡先 (          )
訪問看護 ステーション名、電話番号、24時間対応の有無、緊急時の連絡方法 (          )
薬局 薬局名、電話番号、担当薬剤師、居宅療養管理指導の有無 (          )
家族の第1連絡先 続柄、氏名、携帯番号、日中の連絡がつく時間帯 (          )
家族の第2連絡先 続柄、氏名、携帯番号、遠方の場合の到着までの目安 (          )
担当介護支援専門員 事業所名、氏名、電話番号、不在時の連絡先 (          )
既往歴と現在の病名 受診中の病名、直近の入院歴とその時期 (          )
服薬の状況 管理の方法(一包化・服薬カレンダー等)、見守りの有無、飲み忘れが起きやすい時間帯 (          )
ふだんの数値 平熱、いつもの血圧のおおよその範囲、いつもの食事量 (          )
医療機器・器具 使用しているもの、供給元の連絡先、停電時に確認すること (          )
入室の方法 鍵の場所、預かり鍵の有無、応答がないときの取り決め (          )
本人・家族の希望 急変時の希望としてあらかじめ伺っている内容、伺った日付と相手 (          )
住まいの注意点 段差、滑りやすい場所、階段、飼っている動物、近隣の見守り者 (          )
災害時の取り決め 個別避難計画の有無、避難先、避難を支援する人 (          )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

事故とヒヤリハットの線引きを決めておく(12場面)

この線引きは保険者(指定権者)により運用が異なります。ここでは断定せず、事業所内で決めておく視点と、貴事業所の保険者の定めを書き写す欄を並べます。神戸市の資料では、誤薬・転倒等の介護事故として記録すべきものをヒヤリ・ハット事例として記録していた例が挙げられ、事故・ヒヤリハット・苦情の記録を分けて保存・整備するよう示されています。まず自事業所の分類基準を文書にし、そのうえで保険者の報告基準を確認する順序が実務的です。

場面 事業所内で決めておく視点 貴事業所の保険者の定め(記入欄)
転倒したが外傷がない 受診したか、治療を要したかで分けるのか。受診しなかった場合の扱いをどうするか (          )ご確認ください
転倒し、受診して治療を受けた 診断名と治療の内容を報告書に書き写す欄があるか (          )ご確認ください
翌日以降に痛みが出た 発生日をいつと扱うか。訪問記録をさかのぼって確認する担当は誰か (          )ご確認ください
渡す前に誤りに気づいた 内服に至らなかった場合の扱い。記録を残す綴りをどちらにするか (          )ご確認ください
他の人の薬を内服された 健康被害の有無にかかわらず記録を残す運用にするか。津山市の資料では誤薬について事故報告書が提出されていない例が挙げられている (          )ご確認ください
与薬を忘れた・落薬した 飲み忘れ・落薬をどの綴りに残すか。薬剤師・主治医への相談を記録の必須項目にするか (          )ご確認ください
むせこんだが自力でおさまった 食事形態の見直しにつなげる記録として残すか (          )ご確認ください
所在が分からなくなった 警察・消防が関わったかどうかで扱いを分けるか (          )ご確認ください
移動中・送迎中の出来事 サービス提供中の範囲をどこまでと整理しているか (          )ご確認ください
家族が発見して事後に聞いた 事業所が関与していない出来事でも、把握した時点で記録する運用にするか (          )ご確認ください
職員が受傷した 介護事故の記録と、労災の手続きをどう分けて残すか (          )ご確認ください
個人情報の紛失 事故として記録するか、別の様式で管理するか。利用者・家族への説明を記録に残すか (          )ご確認ください

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

運営指導で見られる緊急時・事故の確認項目|別添1の項目と公表事例(22件)

厚生労働省の介護保険施設等運営指導マニュアル別添1(訪問介護)には、緊急時等の対応と事故発生時の対応が、確認項目・確認文書の形で示されています。当日に何を見られるかが分かる形になっているため、自事業所の書類がその文書名で出せる状態かを確認しておくと、当日の受け答えが変わります。

別添1(訪問介護)の確認項目と確認文書(12件)

項目(該当条) 示されている確認項目 示されている確認文書 貴事業所の保管場所(記入欄)
緊急時等の対応(第27条) 緊急時対応マニュアル等が整備されているか 緊急時対応マニュアル (          )
緊急時等の対応(第27条) 緊急事態が発生した場合、速やかに主治の医師に連絡しているか サービス提供記録 (          )
運営規程(第29条) 緊急時等における対応方法が運営規程に定められているか 運営規程 (          )
事故発生時の対応(第37条) 事故が発生した場合の対応方法は定まっているか 事故対応マニュアル (          )
事故発生時の対応(第37条) 市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか 市町村、家族、居宅介護支援事業者等への報告に関する記録 (          )
事故発生時の対応(第37条) 事故状況、対応経過が記録されているか 事故の状況および対応経過の記録 (          )
事故発生時の対応(第37条) 損害賠償すべき事故が発生した場合に、速やかに賠償を行うための対策を講じているか 損害賠償に関する対策が分かる文書 (          )
事故発生時の対応(第37条) 再発防止のための取組を行っているか 再発防止策の検討の記録、ヒヤリハットの記録 (          )
業務継続計画の策定等(第30条の2) 感染症、非常災害発生時のサービスの継続実施および早期の業務再開の計画の策定および必要な措置を講じているか 業務継続計画 (          )
業務継続計画の策定等(第30条の2) 訪問介護員等に対する計画の周知、研修および訓練を実施しているか、計画の見直しを行っているか 研修および訓練計画、実施記録 (          )
衛生管理等(第31条) 感染症および食中毒の予防およびまん延の防止のための対策を検討する委員会を6か月に1回開催しているか 委員会名簿、委員会の記録、予防およびまん延の防止のための指針、研修および訓練の記録 (          )
勤務体制の確保等(第30条) 性的言動、優越的な関係を背景とした言動による就業環境が害されることの防止に向けた方針の明確化等の措置を講じているか 方針、相談記録 (          )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

公表されている指摘と、そこから読み取れる記録の備え(10件)

公表されている指摘 公表元 記録として備えておくこと
利用者家族や介護支援専門員等に連絡した記録が残されていない。事故の再発防止のための検討がされていない、検討内容が具体的に記録されていない。「よく注意する」等、職員に対応を任せるのではなく原因を分析するよう求められている 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1 報告様式の中に、家族・担当介護支援専門員・保険者への連絡欄(相手と時刻)を設ける。再発防止は原因の分析と、誰がいつまでに何を変えたかまで書く
誤薬・転倒等、介護事故として記録すべきものを、ヒヤリ・ハット事例として記録している。再発防止策の検討が不十分なため同様の事故が繰り返し発生している(例:見守り強化のみを対策として挙げている) 神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月) 誤薬・誤飲・転倒等の分類基準を事業所内で文書化し、事故記録とヒヤリ・ハット記録の綴りを分ける。「見守り強化」で終わっていないかを点検する
誤薬の案件で事故報告書が提出されていない。事故報告書を提出すべき案件についてヒヤリハットで処理している。誤薬(他人の薬を飲む、飲み忘れ、落薬など)についても事故報告の対象であることが示されている 津山市環境福祉部高齢介護課「令和5年度 津山市 地域密着型サービス事業者 集団指導資料」 誤薬時は介護職員のみで判断せず、処方した医師や薬剤師に相談した記録を残す。ヒヤリハットとの振り分け基準を事業所内で明確にする
事故の状況および事故に際して採った処置について記録されていない。原因の究明や、再発防止策がとられていない 北海道後志総合振興局「実地指導における主な指摘事項について」(資料3-2) 事故報告書に、状況・処置・原因・再発防止策の4つがそろっているかを、提出前にサービス提供責任者が点検する
事故の状況や講じた処置を記録しておらず詳細・対応・再発防止策が不明確。保険者への事故報告を行っていない 東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) 事故発生時の対応方法をあらかじめ定め、状況と処置を記録して保存する。保険者への報告基準を事業所内で確認しておく
事故発生の防止の観点から、ヒヤリハット事例の報告を増やすこと。運営指導においては介護事故の件数よりヒヤリハット報告の件数の方が少ないといった事例が見受けられる 名古屋市「運営指導に係る主な指摘事項(介護保険施設版)」(令和5年1月5日) ヒヤリハット様式を簡素化し記載例を作る。報告が懲罰目的ではないことを研修で説明する。事故件数とヒヤリハット件数を月ごとに並べて把握する
事故発生の防止のための委員会や研修を行っていない、指針を整備していない事例(「事故発生の防止等の取組が不十分」20件・13.8%) 長野県健康福祉部地域福祉課福祉監査担当「令和6年度有料老人ホーム一般検査結果の概要(サービス付き高齢者向け住宅を含む。)」 事故発生時の対応・報告の方法等を記載した指針を整備し、研修の記録を残す。開催頻度や記録様式の運用は指定権者の資料で確認する
感染症に係る業務継続計画、災害に係る業務継続計画を策定していない、または内容が不十分である。研修および訓練を定期的に実施していない。定期的な計画の見直しや必要に応じた計画の変更が行われていない 大分市「令和7年度指導監査における主な指摘・指導事項(高齢)」 感染症と災害の両方の計画をそろえ、周知・研修・訓練・見直しの記録を残す。研修を他の研修と一体で行う場合も、それぞれの内容を実施したことが分かる記録にする
非常災害計画と水防法等に基づく避難確保計画の認識に誤りがある。非常災害計画が現状に沿った内容となっていない事例、避難訓練を必要な回数実施していない事例 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1 自事業所が浸水想定区域・土砂災害警戒区域に該当するかを確認する。計画は立地条件・避難経路・人員体制を含めて見直し、周知の記録を残す
職場におけるハラスメントの防止に向けた方針の明確化等の措置を講じていない。特に相談に対応する担当者をあらかじめ定めることを講じていないことについて指導を受けた事業所があった 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1 相談窓口の担当者を文書で定めて周知する。訪問先で受けた言動は、見聞きしたままの言葉で記録し、相談担当者へ報告した時刻を残す

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

訪問介護のサービス提供記録については、堺市の資料で、実施時間が一律に記載されておりサービスの実態が反映されていない、実施時間を変更した際に変更した旨とその理由が記録されていない、特記・連絡事項欄に利用者の状況がほとんど記載されていない、といった指摘が挙げられています。松山市の資料でも、訪問介護計画に位置付けられた時間を機械的に記録しているケースが多数見受けられたと示されています。緊急時に訪問の内容や時間が変わった日ほど、変更した事実とその理由を特記欄に残しておくことが、日々の記録と事故報告書のつながりをつくります。

なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。事故報告の様式・提出先・対象範囲・期限は保険者(指定権者)である市町村の定めによりますので、所在地の市町村が公表している要領をご確認ください。

出典:厚生労働省ウェブサイト(介護保険施設等運営指導マニュアル別添1)/各自治体の公表資料(宇都宮市・神戸市・津山市・仙台市・名古屋市・長野県・大分市・東京都・北海道後志総合振興局・堺市・松山市)/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省および各自治体の公式見解ではありません。

よくある質問(FAQ)

Q. 緊急時にまずすることは?
利用者の安全確保と状態観察が最優先です。急を要する場合は119番、その後に主治医・家族・ケアマネジャー・事業所へ連絡します。

Q. 軽微な事故でも報告は必要ですか?
市町村への報告対象かは自治体の要領によります。対象外であっても、事業所内では事故・ヒヤリハットとして記録し共有することが再発防止につながります。

Q. 市町村への報告はいつまでに?
多くの自治体が第一報を数日以内(例:5日以内が目安)としています。範囲・期限・様式は保険者ごとに異なるため、所在地の市町村へご確認ください。

Q. 記録では何を残しますか?
発生・発見の時刻、状況、とった処置、連絡した相手と時刻を、事実に基づいて時系列で残します。

Q. カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
ソフトの利用有無にかかわらず対応できます。自治体様式や自事業所の様式に沿って記録すれば問題ありません。

記録・共有を効率化する

初動対応に集中するほど、記録は後回しになりがちです。訪問介護マナ(訪問介護AI)は、日々の記録づくりを支援し、記録にかかる時間を大きく減らします。まずは3名まで無料でお試しいただけます。

出典:厚生労働省ウェブサイト/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

参照:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第37条/指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(老企第25号)/介護保険施設等における事故の報告様式等について(介護保険最新情報Vol.1332・令和6年11月29日)。報告の範囲・期限・様式は保険者である市町村の定めによります。

場面別|緊急時・事故発生時の記録の文例

緊急時の記録は時刻を分単位で、行った順に書きます。発見→観察→報告→対応→結果→家族への連絡、の流れを崩しません。

場面 記録の文例
転倒(外傷なし) 10時05分、居室内で床に座り込んでいるところを発見。「立とうとしてふらついた」と話される。頭部打撲なし、外傷なし。体温36.5度、血圧132/78、脈拍80。10時10分、看護師へ報告。10時30分、痛みの訴えなし。11時、長女へ電話で報告。
転倒(受傷) 14時20分、廊下で転倒。右手首に腫れと変形あり。痛みの訴え強い。14時25分、看護師へ報告。14時40分、家族へ連絡。15時10分、◯◯整形外科を受診し、右橈骨遠位端骨折と診断。
転落 2時、ベッド横の床で臥床しているところを発見。ベッド柵は装着されていた。外傷なし。看護師へ報告し、経過観察。
誤薬(内服前に発見) 8時、配薬時に同姓の利用者のケースを手に取る。手渡す前に氏名を照合し誤りに気づく。内服には至らず。
誤薬(内服後) 8時10分、他の利用者の朝食後薬を内服されたことが判明。8時12分、看護師へ報告。8時20分、主治医へ連絡し、経過観察の指示。11時、体調の変化なし。
誤嚥(回復) 12時30分、昼食中にむせ込み、顔面が紅潮。前傾姿勢をとり背部を叩打。12時32分、自力で喀出され呼吸が安定。経皮的動脈血酸素飽和度97%。
誤嚥(窒息の疑い) 12時30分、食事中に声が出ず、顔色不良。ただちに背部叩打法を実施。12時31分、異物が喀出され呼吸再開。12時32分、救急要請。
意識障害 9時、声かけへの反応が乏しい。開眼するが返答なし。血圧92/58、脈拍96。9時02分、看護師へ報告。9時05分、救急要請。9時10分、家族へ連絡。
けいれん 15時、全身のけいれんを認める。持続約40秒。ただちに側臥位とし気道を確保。15時02分、看護師へ報告。15時05分、救急要請。
発熱(高熱) 16時、体温38.6度。悪寒あり。16時05分、看護師へ報告。クーリングと水分補給を実施。17時、38.0度。18時、主治医へ連絡し、明朝の往診となる。
呼吸苦 21時、「息が苦しい」と訴えあり。経皮的動脈血酸素飽和度89%、呼吸28回/分。21時02分、看護師へ報告。上体を挙上。21時10分、救急要請。
出血 10時、右前腕から出血。長さ3cmの裂創。ガーゼで圧迫止血。10時05分、看護師へ報告。10時20分、止血を確認。
やけど 13時、お茶をこぼし右大腿に発赤。ただちに流水で15分冷却。水疱形成なし。看護師へ報告。
無断外出 15時30分、居室に不在。館内を捜索し、15時45分に敷地内の駐車場で発見。外傷なし。15時50分、家族へ連絡。
行方不明 16時、所在が確認できず。16時10分、館内・敷地内を捜索。16時30分、家族と警察へ連絡。17時15分、近隣の公園で発見。
食中毒の疑い 複数名に嘔吐・下痢の症状。10時、看護師へ報告。10時30分、保健所へ連絡。提供した食事の検食を保存。
感染症の発生 ◯月◯日、利用者2名にインフルエンザの診断。ただちに感染対策委員会を招集し、ゾーニングと面会制限を実施。
機器の不具合 エアマットの送気が停止していることを発見。電源プラグが抜けていた。皮膚の発赤なし。接続を確認し、以後は巡回時に作動を確認する。
個人情報 FAXの送信先を誤りかけたが、送信前に気づいて中止。宛先の登録名が類似していた。登録名を変更した。
職員のけが 移乗介助中に職員が腰痛を発症。管理者へ報告し、労災の手続きを行う。
送迎中の事故 送迎車の乗降時、ステップで足を滑らせる。運転手が支え、転倒には至らず。
自然災害 ◯月◯日、地震発生(震度4)。全利用者の安否を確認し、負傷者なし。設備の点検を実施。

事故報告書に必ず入れる項目

項目 書くこと
発生日時 年月日と時刻(分まで)
発生場所 居室・廊下・浴室など具体的に
利用者 氏名、年齢、要介護度
発見者 氏名と職種
発生の状況 見たままの事実。推測と分ける
けがの有無 部位、程度、受診の要否
実施した対応 時刻とともに順に
報告した相手 看護師・管理者・主治医・家族・保険者。それぞれの時刻
受診の結果 医療機関名、診断名、指示
原因の分析 なぜ起きたか。人・物・手順の3つで見る
再発防止策 変えたこと。いつから
周知 職員へ共有した日と方法
保険者への報告 報告の要否と、報告日
家族への説明 説明した日時と、伝えた内容

保険者へ報告するかどうかの目安

報告の基準は保険者により異なります。迷ったら報告する、を原則にし、所管の基準を必ず確認してください。

場面 報告の要否の目安
死亡した 報告する
受診し、治療を要した 報告する
骨折した 報告する
入院した 報告する
誤薬で健康被害が生じた 報告する
食中毒・感染症が発生した 報告する
行方不明になった 報告する
外傷がなく受診も要さない 保険者の基準による
ヒヤリハット(至らなかった) 原則として事業所内で管理
職員のけが 介護事故としてではなく、労災として扱う

本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。

事故後の報告文の型は介護の報告書の書き方にまとめています。

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この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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