訪問介護の「通院等乗降介助」は、通院などのための乗り降りや移動を介助するサービスです。身体介護との違いや算定の考え方を整理します。
記録の実務は訪問介護のサービス提供記録(実施記録)の書き方にまとめています。
訪問介護で算定できる加算は、訪問介護(ホームヘルプ)の加算一覧で28件の要件・単位数をまとめています。
通院等乗降介助とは
通院等乗降介助は、ヘルパーが運転する車両への乗車・降車の介助や、乗車前後の屋内外での移動・通院先での受診手続きなどを介助するサービスです。通院や、日常生活上必要な外出(一定の買い物など)が対象になります。
身体介護・生活援助との違い
- 通院等乗降介助――乗降と前後の移動が中心。
- 身体介護――乗降前後に長時間の介助が必要な場合などは身体介護として扱われることがあります。
算定のポイント
- ケアプランに位置づけられていること
- 乗降介助が中心であること(移動中の運転そのものは介護報酬の対象外)
- 院内の介助は原則として対象外(一定の場合を除く)
取扱いは保険者によって判断が分かれることがあるため、事前に確認してください。
記録での書き方
乗降・移動の介助内容や所要時間、利用者の状態を記録します。身体介護との区分を明確にしておくことが大切です。
算定時の注意点
- 院内での介助は原則として対象外(一定の例外を除く)
- 運転(移送)そのものは介護報酬の対象外
- 乗降介助が中心であること、ケアプランに位置づけられていること
実務で迷いやすい場面と、考え方の軸
通院等乗降介助か、身体介護か。判断が割れるのは「乗り降りの前後にどれだけ介助が要ったか」を、どう評価するかの部分です。
| 場面 | 論点 | 考え方の軸 |
|---|---|---|
| 自宅から車まで長い距離を介助した | 移動の介助が主なのか、乗降が主なのか | 乗降そのものだけでなく、前後の介助に要した時間と内容を記録に残す |
| 受診の待ち時間に付き添った | 待機は何にあたるか | 待機の扱いは保険者で運用が分かれます。事前に確認しておく |
| 複数の医療機関をはしごした | 1回か2回か | 医療機関ごとの乗降の回数と時刻を残す |
| 帰りに買い物へ寄った | 通院等の範囲か | ケアプランに位置づけがあるか。無い立ち寄りは対象外の扱いになります |
| 家族が同乗した | 介助の必要性 | 家族が介助できる状況だったかを記録で示せるようにする |
院内介助の扱い
病院内での付き添いは、原則として医療機関のスタッフが対応するものという整理がされています。そのうえで、利用者の状態や医療機関の体制によっては例外的な取り扱いが認められる場合があり、その判断は保険者に委ねられています。
- 「院内は算定できない」と一律に決めつけず、保険者の運用を文書で確認しておく
- 例外的な取り扱いを前提にする場合は、その必要性がケアプランと記録の両方に書かれていること
- 必要性の根拠は「認知症で一人では待てない」「移動に常時介助が要る」など、状態から書く
- 医療機関側が対応できない事情がある場合は、それも記録に残す
記録に何を残すか
通院等乗降介助は、あとから「本当にその介助があったのか」を問われやすい部分です。次の項目が揃っていると説明できます。
- 出発・到着の時刻(自宅/医療機関それぞれ)
- 行き先の医療機関名と、受診の目的
- 乗車・降車それぞれで、どんな介助をしたか(支えた、車いすを移乗した、シートベルトを留めた等)
- 乗降の前後に行った介助(着替え、施錠、屋内での移動介助など)とその所要時間
- 当日の本人の状態(ふらつき、痛み、体調の変化)
運営指導で指摘されやすいところ
- ケアプランに通院の位置づけがないまま算定していた
- 記録が「通院介助」の一語だけで、乗降の介助内容が書かれていない
- 実際は身体介護に近い介助をしていたのに、区分の見直しをしていない
- 同一日に複数回の算定があるが、回数の根拠が記録から追えない
- 事業所の車両ではない移動について、取り扱いが整理されていない
※本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。区分の判断や算定の可否は保険者(市区町村)によって運用が異なります。最新の告示・通知と、保険者の解釈をご確認ください。
乗降介助の記録 記入例
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 出発(自宅) | 9:15 声かけ・上着の着用を一部介助。玄関の上がりかまちで右手を支え、屋外へ移動(約20m、途中1回休憩) |
| 乗車 | 9:25 車両右後部座席へ。左手で車体を支えていただき、腰を支えて着座を介助。シートベルトを装着 |
| 降車 | 9:45 ○○クリニック到着。降車時に両手を支え、ふらつきあり。院内の受付まで同行(医療機関の職員へ引き継ぎ) |
| 帰りの乗車 | 11:10 受付前で合流。歩行時のふらつきは往路より強い。両脇を支えて乗車を介助 |
| 帰宅 | 11:35 自宅到着。玄関で靴の脱着を一部介助。居室の椅子まで見守り歩行 |
| 当日の状態 | 「朝から膝が痛む」との訴えあり。往路より復路のふらつきが強く、疲労がうかがえた |
通院の介助について現場から多い質問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 家族の車で行く場合 | 事業所の車両でない移動の取り扱いは保険者によって異なります。事前にご確認ください |
| 同じ日に2か所受診した | 医療機関ごとの乗降の時刻と回数を残し、算定の考え方を保険者に確認します |
| 受付だけして帰った | 行った事実と、そこで何をしたかを記録に残します |
| 本人が「ついでに寄って」と言う | ケアプランに位置づけのない立ち寄りは対象外の扱いになります。断る理由を事前に説明しておきます |
| 待ち時間が2時間かかった | 待機の扱いは保険者で運用が分かれます。実際にかかった時間は記録に残しておきます |
記録を効率化する
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の訪問介護向け機能(訪問介護マナ)は、訪問記録から提供内容の下書きを作成し、区分に沿った記録づくりを助けます。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
訪問介護の通院等乗降介助のポイント
通院等乗降介助は、通院などのための乗車・降車の介助に関するサービスです。身体介護との違いを整理しました。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 内容 | 通院等のための乗車・降車の介助、移動の介助 |
| 身体介護との違い | 外出前後の介助の程度により区分が変わる |
| 記録 | 介助の内容と移動の状況を記録 |
算定要件・単位数・様式は介護報酬改定や自治体により異なります。実際の運用にあたっては最新の告示・通知・条例等でご確認ください。
よくある質問(FAQ)
通院等乗降介助とは?
身体介護との違いは?
算定の注意点は?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
買い物の同行でも使えますか?
身体介護とどちらで算定する?
出典:厚生労働省ウェブサイト/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。加算・単位数・要件は改定される場合があるため、最新の告示・通知でご確認ください。
通院等乗降介助|算定できる場面・できない場面
仙台市の資料では、「車両の運転手が訪問介護員である場合、運転の行為は訪問介護サービスに含まれないことから、運転中の時間は介護報酬の算定対象とならない」とされています。
| 場面 | 取り扱い | 根拠になる記録 |
|---|---|---|
| 自宅から車まで移動を介助した | 乗降介助として算定できる | 介助した内容、時刻 |
| 車から医療機関まで移動を介助した | 同上 | 同上 |
| 運転している時間 | 算定の対象とならない | — |
| 院内での付き添い | 原則として算定できない(院内は病院のスタッフによる対応が原則) | 例外的に必要な場合はその理由 |
| 待ち時間 | 原則として算定できない | — |
| 前後に身体介護を行った | 要件を満たす場合、身体介護として算定できることがある | 行った内容と所要時間 |
| 複数の医療機関をはしごした | 取り扱いは保険者により異なる | 移動の経路と時刻 |
| 日常生活上必要な買い物に立ち寄った | 取り扱いは保険者により異なる | 立ち寄り先と目的 |
| 家族が同乗した | 算定に影響しないことが多い | — |
| 計画に位置づけていない | 算定できない | 訪問介護計画への記載 |
| 通院以外の外出 | 対象は原則として通院等 | 目的 |
| 介護保険の対象外の目的 | 算定できない | — |
記録に残すこと
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 日付 | 年月日 |
| 出発・到着の時刻 | 自宅を出た時刻、医療機関に着いた時刻、帰宅した時刻 |
| 介助した内容 | 乗車の介助、降車の介助、屋内での移動の介助 |
| 運転者 | 氏名 |
| 目的地 | 医療機関名 |
| 目的 | 受診の内容 |
| 前後の身体介護 | 行った場合は内容と所要時間 |
| 計画との対応 | 訪問介護計画のどの項目か |
| 本人の状況 | 移動中の様子、体調 |
| 特記事項 | 予定と変わったこと |
| 家族への連絡 | 伝えたこと |
| 料金 | 保険外の実費があれば |
実施記録は訪問介護の実施記録、通院等乗降介助の記録は通院等乗降介助の記録をご覧ください。取り扱いは保険者により異なります。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
