2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、訪問介護にも複数の見直しが入りました。事業者が押さえておきたいポイントを整理します。
記録面は訪問介護のサービス提供記録(実施記録)の書き方で解説しています。
あわせて読みたい:訪問介護の加算一覧。区分と単位数を令和8年6月改定対応で整理しています。
2024年度改定の概要
訪問介護では、基本報酬の見直し(引き下げ)が行われた一方、処遇改善加算の拡充などで人材確保を図る方針が示されました。報酬全体の方向性とあわせて、加算・減算の要件を確認することが大切です。
事業者が押さえる主なポイント
- 基本報酬の見直し――訪問介護の基本報酬が見直されました。
- 処遇改善加算の一本化――複数あった処遇改善関連の加算が「介護職員等処遇改善加算」へ整理されました。
- 特定事業所加算の見直し――要件や評価の見直しが行われました。
- 同一建物減算の見直し――同一建物等に居住する利用者へのサービスに関する減算が見直されました。
- BCP・虐待防止――業務継続計画や高齢者虐待防止の取り組みが求められます。
単位数や要件の詳細は改定で変わり、取扱いも細かいため、必ず厚生労働省や保険者の最新資料で確認してください。
事業者の対応
算定している加算の要件を再確認し、根拠となる記録・体制を整えることが重要です。
改定後の対応チェック
- 処遇改善加算の新区分への移行手続きは済んでいるか
- 特定事業所加算の要件を満たし続けているか
- 同一建物等に居住する利用者への減算を正しく判定しているか
- BCP・高齢者虐待防止の体制と記録があるか
訪問介護の2024年度改定を、経営の数字として読む
この改定が訪問介護にとって特異だったのは、基本報酬が引き下げられた一方で、処遇改善の枠が拡充されたという組み合わせにあります。つまり「加算を取りにいくかどうか」で、事業所間の差が開く構造になりました。
| 方向 | 経営上の意味 | |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 引き下げ | 何もしなければ、同じ訪問件数でも収入が減る |
| 処遇改善 | 加算率の引き上げと一本化 | 取得の可否と区分で差がつく |
| 特定事業所加算 | 要件の見直し | 体制を整えた事業所に配分が寄る |
| 同一建物減算 | 見直し | 集合住宅中心の事業所は影響が大きい |
処遇改善加算の一本化
従来の処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算が、介護職員等処遇改善加算として整理されました。区分ごとに要件が定められており、上位の区分ほど求められる体制が増えます。
- 月額賃金の改善が要件に含まれる区分があります
- キャリアパス要件(研修、昇給の仕組み、資格取得の支援など)の整備が要ります
- 計画書と実績報告の提出期限が決まっています
- 区分の変更は年度の途中でも可能な場合があります。現在の区分が最適かを毎年見直す事業所が増えています
要件と区分は改定のたびに見直されます。「去年と同じ区分でいい」と決めずに、最新の告示・通知をご確認ください。
人員体制で差がつく——特定事業所加算
特定事業所加算は、体制・人材・重度者対応などの要件を組み合わせて区分が決まります。要件には研修計画の実施、会議の開催、緊急時対応の体制、勤続年数や資格の構成などが含まれます。
- 会議や研修は「開いた記録」がなければ要件を示せません
- 勤続年数や有資格者の割合は、採用と定着の結果として変わります
- 重度者の受け入れ割合は、営業先の選び方で変わります
- いずれも1か月では整いません。取りにいくと決めた時点から逆算して体制を組む必要があります
2026年度の臨時改定との関係
2024年度改定のあと、2026年度には臨時の改定が行われています。訪問介護の経営を見るときは、2024年度の変更点だけでなく、その後の見直しも併せて確認してください。
※本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。区分の判断や算定の可否は保険者(市区町村)によって運用が異なります。最新の告示・通知と、保険者の解釈をご確認ください。
訪問介護の事業所がやることのチェックリスト
| 確認事項 | 状態 |
|---|---|
| 業務継続計画(BCP)を策定し、研修・訓練を実施した記録があるか | □ |
| 高齢者虐待防止の委員会を開催し、指針を整備し、研修を実施した記録があるか | □ |
| 処遇改善加算の区分が、いまの体制で取りうる最上位になっているか | □ |
| 処遇改善の計画書・実績報告を期限内に提出したか | □ |
| 特定事業所加算の要件(会議・研修・重度者割合・勤続年数など)を満たす記録があるか | □ |
| 同一建物等に居住する利用者の割合を把握しているか | □ |
| 運営規程・重要事項説明書を改定内容に合わせて更新したか | □ |
| 利用者・家族へ料金の変更を説明し、同意を得た記録があるか | □ |
| 訪問介護計画書を、改定後のサービス内容に合わせて見直したか | □ |
改定対応で見落とされやすいこと
- 加算を取ったのに記録がない——要件は「やったこと」ではなく「記録があること」で示します
- 重要事項説明書の更新漏れ——料金が変わったのに旧版のまま渡している事業所があります
- 研修の記録が「実施日」だけ——参加者、内容、資料が揃っていないと実施の証明が弱くなります
- 減算の対象に気づいていない——加算を取りにいく前に、引かれる項目を潰すほうが確実です
- 区分を一度決めて見直していない——処遇改善の区分は毎年見直す前提で考えます
- 訪問件数だけを増やそうとする——基本報酬が下がった分を件数で埋めようとすると、人が先に消耗します
改定対応を記録・加算面から支える
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の訪問介護向け機能(訪問介護マナ)は、訪問記録から計画書や記録の下書きを自動で作成し、加算の根拠となる記録の整備を後押しします。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
訪問介護の報酬改定で押さえるポイント
介護報酬改定では、訪問介護に関わる基本報酬や加算の見直しが行われます。事業者が押さえておきたい視点を整理しました。
- 基本報酬・加算の見直し――区分や算定要件の変更を確認する
- 処遇改善に関する加算――要件と記録の整備を進める
- 記録・体制の整備――算定の根拠となる記録を残す
- 請求ソフトの更新――改定に対応した更新を行う
改定の具体的な単位数・要件は告示・通知で定められます。最新の情報でご確認ください。
よくある質問(FAQ)
報酬改定で事業者が押さえる点は?
加算の算定で注意することは?
最新の内容はどこで確認できますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
基本報酬が下がった分、どう補えばいい?
出典:厚生労働省ウェブサイト/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。加算・単位数・要件は改定される場合があるため、最新の告示・通知でご確認ください。
改定のたびに、訪問介護で書き換わるもの
改定は単位数だけでは終わりません。書き換わるものを並べておくと、施行日に間に合います。
| 対象 | 書き換わるところ | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 基本報酬 | 身体介護・生活援助・通院等乗降介助の単位数 | 告示 |
| 特定事業所加算 | 区分と要件 | 告示・通知 |
| 処遇改善加算 | 区分の統合・要件 | 告示・通知 |
| 同一建物減算 | 減算率、対象の考え方 | 告示 |
| 新設の加算 | 口腔連携強化加算など | 告示 |
| 新設の減算 | 虐待防止措置未実施、業務継続計画未策定 | 告示 |
| 運営基準 | 委員会・指針・研修・訓練の義務 | 省令 |
| 様式 | 各種届出の様式 | 保険者 |
| 運営規程 | 利用料、加算 | 事業所 |
| 重要事項説明書 | 運営規程と同じ内容 | 事業所 |
| 料金表 | 単位数、地域単価 | 事業所 |
| 介護ソフトのマスタ | 単位数、加算コード | 事業所 |
施行までの段取り
| 時期 | やること |
|---|---|
| 告示・通知が出たら | 自事業所に関係する項目を抜き出す |
| 1か月前 | 運営規程・重要事項説明書の案を作る |
| 1か月前 | 体制届の要否を保険者に確認する |
| 3週間前 | 職員へ変更点を周知する |
| 2週間前 | 利用者・家族への説明を始める |
| 2週間前 | 介護ソフトの更新の予定を確認する |
| 1週間前 | 掲示物とウェブサイトを差し替える準備 |
| 施行日 | 料金表・掲示・ウェブサイトを切り替える |
| 施行後 | 請求の1か月目を重点的に点検する |
| 施行後 | 自己点検の様式を新しい要件に合わせる |
改定の仕組みは介護報酬改定とは、訪問介護の加算は訪問介護の加算一覧をご覧ください。単位数・要件は告示でご確認ください。
改定後の請求で、よく出る返戻
| 返戻の理由 | どうするか |
|---|---|
| 加算のコードが古い | 介護ソフトのマスタを更新する |
| 体制届を出していない | 算定の前に届出が必要な加算を確認する |
| 単位数が旧のまま | マスタの反映日を確認する |
| 区分が変わった加算を旧区分で算定 | 新しい区分に読み替える |
| 廃止された加算を算定 | 告示で廃止を確認する |
| 新設の減算が反映されていない | 要件の充足を点検する |
| 地域区分の単価が違う | 市町村ごとの単価を確認する |
| サービスコードの桁が変わった | 伝送前にテストを行う |
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
