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高齢者の脱水症の方のケアプラン文例|水分管理と予防

高齢者は口の渇きを感じにくく、脱水を起こしやすい傾向があります。ケアプランでは、こまめな水分補給と観察で脱水を防ぐことが大切です。文例とともに整理します。

ケアの視点

のどの渇きを感じにくいことをふまえ、時間を決めた声かけで水分を促します。皮膚の乾燥・尿量・意識の変化など、脱水のサインを観察します。

ケアプランの文例

ニーズ:脱水を起こさず、体調よく過ごしたい。
長期目標:こまめな水分補給を習慣にし、脱水を防げる。
短期目標:1日の目安量の水分を、声かけのもとで摂れる。
サービス内容:訪問看護による水分摂取量と全身状態の観察、こまめな水分補給の声かけ、暑熱環境の調整、発熱・下痢時の対応。

看護計画(OP・TP・EP)として整理する場合

訪問看護の現場では、ケアプランとは別に「看護計画」として、看護問題を起点にOP(観察計画)・TP(ケア計画)・EP(教育計画)に分けて記録を整理することもあるとされています。脱水の看護計画で使われることが多い項目を整理すると、次のようになります。

区分脱水における記載例
看護問題体液量が不足しやすい状態にある
看護目標脱水の徴候が早期に発見され、重症化せず経過できる
OP(観察計画)水分摂取量・尿量・皮膚や口腔の乾燥・体温・意識レベルの変化
TP(ケア計画)時間を決めた水分補給の声かけ、室温・環境の調整、体調悪化時の連絡
EP(教育計画)本人・家族への脱水のサインと水分補給の必要性についての説明

介護保険のケアプランは生活課題(ニーズ)を起点に組み立てるのに対し、看護計画は看護問題を起点に組み立てる点が異なるとされています。どちらの様式で整理するかは、事業所や記録の運用ルールに沿ってご確認ください。

  • 水分摂取量・尿量・皮膚の乾燥を具体的に書く
  • 口渇を感じにくい点をふまえた声かけを留意事項に
  • 暑い時期や発熱・下痢時の注意を盛り込む

脱水の計画づくりで、実際に迷うところ

① 高齢者は「のどが渇いた」と感じにくい

加齢により口渇を感じにくくなり、体内の水分量そのものも減っています。本人の訴えを待っていると遅れます。計画には「勧める仕組み」を書きます。

② 飲まない理由がある

「トイレが近くなるから」「むせるから」「立ち上がるのが大変だから」——飲まないのには理由があります。理由を外さずに手を打つことが要点です。

③ 症状が別の形で出る

脱水は、ぼんやりする・元気がない・転倒が増えるといった形で現れることがあります。「認知症が進んだ」と誤解されることも少なくありません。

長期目標・短期目標の立て方

避けたい書き方扱いやすい書き方
長期目標1日1.5リットル飲む必要な水分がとれ、体調を崩さずに過ごせる
短期目標水分を意識して摂る食事以外に、1日5回の水分をとる機会がある
短期目標脱水にならない夏場も体調を崩さずに過ごせる

サービス種別ごとの位置づけ例

サービス位置づけの例記録で見るところ
訪問介護水分を勧める、手の届く場所に置く、記録する飲んだ量、勧めたときの反応
訪問看護脱水兆候の観察、主治医への報告皮膚の張り、口の中の乾き、尿量、体重
通所介護日中の水分摂取の機会提供量と摂取量
家族起床時・就寝前の声かけ夜間の水分、トイレの回数

第1表・第2表の文例

第1表:利用者及び家族の生活に対する意向

  • 本人「トイレが近くなるから、あまり飲みたくない」
  • 長女「夏に一度ぐったりして、救急にかかったことがある」

第1表:総合的な援助の方針

のどの渇きを感じにくくなっていることを前提に、水分をとる機会を1日の中に組み込みます。飲みたくない理由(トイレ、むせ、移動の負担)に対して、環境と支援の両面から手を打ちます。脱水の兆候を関係者で共有し、早めに対応できるようにします。

第2表:ニーズ・目標・サービス内容

生活全般の解決すべき課題長期目標短期目標サービス内容
のどの渇きを感じにくく、水分摂取が不足しがち必要な水分がとれる食事以外に1日5回、水分をとる機会がある訪問介護:訪問時の声かけと記録/通所介護:日中の提供
トイレを気にして水分を控えている安心して水分をとれる夜間もトイレへ安全に行ける福祉用具:ポータブルトイレ・手すり/訪問看護:排泄状況の確認
むせやすく、水分をとるのがこわい安全に水分がとれるとろみをつけた水分を、むせずにとれる訪問看護:嚥下状態の確認/訪問介護:とろみの調整
夏場に体調を崩したことがある夏を安全に過ごせる室温と水分の管理ができている全事業所:訪問時の室温確認/家族:エアコンの使用

モニタリングで見る、変化のサイン

  • 皮膚——手の甲をつまんで戻りが遅い
  • 口の中——舌や口唇の乾き、唾液のねばり
  • 尿——量が減っていないか、色が濃くないか
  • 体重——数日で1〜2kg減っていないか
  • 意識——ぼんやりする、受け答えが遅い
  • 血圧——立ち上がったときのふらつき
  • 環境——室温、エアコンを使っているか。「まだ大丈夫」と我慢される方が多くいます

計画づくりでよくある疑問

よくある疑問考え方
1日にどれだけ飲めばよいか疾患によって制限がある場合があります(心不全、腎不全など)。主治医の指示によります
お茶やコーヒーでもよいか種類より、飲める形であることが優先されます。詳細は主治医・管理栄養士に確認します
本人が飲んでくれない量を減らして回数を増やす、好みの飲み物にする、器を変えるなど、方法を変えます
食事から水分はとれるか汁物やゼリーも水分になります。食事量が落ちると水分も落ちる点に注意します
脱水と認知症の区別がつかない急にぼんやりし始めた場合は、脱水や感染を疑って受診につなげます

※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。

計画に落とし込むときに迷うところ——脱水の場合

① 高齢者は「のどが渇いた」と感じにくい

加齢により口渇を感じにくくなり、体内の水分量そのものも減っています。本人の訴えを待っていると遅れます。計画には「勧める仕組み」を書きます。

② 飲まない理由がある

「トイレが近くなるから」「むせるから」「立ち上がるのが大変だから」——飲まないのには理由があります。理由を外さずに手を打つことが要点です。

③ 症状が別の形で出る

脱水は、ぼんやりする・元気がない・転倒が増えるといった形で現れることがあります。「認知症が進んだ」と誤解されることも少なくありません。

文例を土台に、作成はAIで

文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。

ケアプラン文例(記入例・コピペ可)

高齢者の脱水症の方のケアプランでは、こまめな水分補給、脱水サインの早期発見、環境調整が柱です。

生活課題(ニーズ)長期・短期目標サービス内容・留意点
脱水を防いで元気に過ごしたい(長期)脱水をくり返さず在宅生活を続けられる/(短期)1日に必要な水分をとれる訪問介護の水分補給の声かけ、飲みやすい工夫、記録の共有
体調の変化に早く気づきたい(長期)異変時に早く対応できる/(短期)脱水のサインを家族・多職種で共有できる訪問看護の健康観察、家族への観察指導、主治医への連絡体制
暑い時期も安全に過ごしたい(長期)夏場も体調を保てる/(短期)室温・水分の管理ができる環境調整(室温・エアコン)、こまめな水分、通所での見守り

脱水|第2表の通し文例

以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)長期目標短期目標サービス内容
のどの渇きを感じにくいが、体調を崩したくない脱水を起こさず、季節を通じて体調を保てる(1年)1日1,000mLを目安に水分をとれる(2か月)訪問介護:水分の声かけと記録(週3)/本人:時間を決めて飲む
トイレが近くなるのがいやで、水を控えてしまう必要な水分をとりながら、排泄の不安も減る(1年)日中にこまめに水分をとれる(2か月)訪問看護:排泄と水分の相談/福祉用具:ポータブルトイレ
夏になると体調を崩しやすい夏場も体調を保てる(6か月)室温を28℃以下に保つ工夫ができる(1か月)訪問介護:室温の確認と声かけ/家族:冷房の設定
食事の量が減って、水分もとれていない食事から水分もとれるようになる(6か月)汁物を1日2回とれる(2か月)訪問介護:調理/配食サービス(保険外)
薬の影響で水分が出やすいと言われた薬を続けながら、脱水を起こさない(1年)毎日、体重を測って記録できる(2か月)訪問看護:体重と服薬の確認/主治医との連携
自分では気づかないうちに具合が悪くなる早いうちに気づいて対応できる(1年)家族が脱水のサインを説明できる(1か月)訪問看護:家族への指導/訪問介護:状態の観察
一人暮らしで、日中は誰も来ない日中も見守りのある状態で生活できる(1年)平日3回の訪問で、水分と体調が確認される(1か月)訪問介護:安否確認と水分の声かけ(週3)/緊急通報装置
入浴の後にふらつくことがある入浴の前後も体調を保てる(1年)入浴前後に水分をとる習慣ができる(2か月)訪問介護:入浴前後の水分の声かけ/訪問看護:観察
下痢をしたときにどうすればよいか分からない体調を崩したときも、適切に対応できる(1年)対応の手順を紙で持っている(1か月)訪問看護:手順の説明と書面の作成
飲み物の好みがあり、水は飲みたくない無理なく水分をとれるようになる(6か月)好みの飲み物で1日800mL以上とれる(2か月)訪問介護:好みの把握と準備/家族:買い置きの協力

脱水|観察項目とモニタリングの視点

短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。

観察する項目変化のサイン計画への反映
水分摂取量1日の量、時間帯の偏り記録の担当と方法を計画に書く
体重短期間での減少測定の頻度を明記する
口腔・皮膚口腔内の乾燥、皮膚のツルゴール観察の担当を書く
尿回数、量、色の濃さ報告の目安を家族と共有する
食事汁物・果物からの水分食事の支援を加える
室温・湿度冷房の使用、室温の実測環境の確認をサービス内容に入れる
意識・活動ぼんやりする、活気の低下速やかな受診の目安を明記する
服薬利尿薬・下剤の使用主治医への相談を計画に位置づける

脱水|避けたい書き方と言い換え

姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。

避けたい書き方理由言い換えの例
脱水を予防する起きなかったことは確認しにくい1日1,000mLを目安に水分をとれる
水分摂取を促す促すのは支援者の行為である日中にこまめに水分をとれる
室温を管理する誰が何をするか分からない室温を28℃以下に保つ工夫ができる
体調を管理する評価の基準がない毎日、体重を測って記録できる
家族が見守る家族頼みの計画になっている家族が脱水のサインを説明できる
水分を1日1.5L飲む本人の状態や疾患により適量は異なる主治医に確認した目安量を、時間を決めてとれる
訪問して確認するサービス内容であり、目標ではない平日3回の訪問で、水分と体調が確認される

第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

脱水のケアプランで重視する点は?
こまめな水分補給、脱水サイン(口の渇き・元気のなさ等)の早期発見、環境調整です。
水分補給の工夫は?
ゼリーやとろみ、好みの飲み物など飲みやすい工夫を、訪問介護の支援で計画します。
夏場の注意点は?
室温管理とこまめな水分を計画に加え、体調変化の連絡体制を整えます。
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
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場面別|脱水(繰り返す方)の観察と記録の文例

脱水(繰り返す方)の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。

場面記録の文例
水分摂取量1日1,050mL。目標の1,200mLに届いていない。
時間帯別起床時200/午前300/午後350/夕方200mL。
口渇「のどは渇かない」と話される。自覚が乏しい。
口腔内舌の乾燥あり。粘膜はやや乾いている。
尿日中5回、夜間2回。色は濃いめ。
皮膚手背の張りがやや低下している。
体重48.4kg。前日比マイナス0.4kg。
体温36.8度。
血圧立ち上がり時に「くらっとする」と話される。臥位128/76、立位110/68。
食事汁物・果物・ゼリーで水分を補っている。
工夫好みの温かいお茶を用意すると、1回150mL飲まれる。
声かけ1時間ごとに声をかけ、1日8回の摂取機会をつくっている。
室温26度、湿度55%を保っている。
入浴前後各200mLの摂取を習慣にしている。
意識受け答えは明瞭。ぼんやりする場面はない。
記録家族に水分の記録用紙を渡し、夜間分を記入していただいている。
注意点ぼんやりする・尿が減る・体重が急に減るときは、ただちに受診の判断を行う。
連携訪問看護と摂取量の記録を共有している。

本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。

あわせて確認したい、併存しやすい状態

脱水症の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。

便秘・排泄ケア/低栄養・フレイル慢性腎不全(人工透析)認知症心不全

27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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