脊柱管狭窄症の方のケアプランは、歩くと足腰に痛み・しびれが出て、前かがみで休むと和らぐ「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」に配慮し、活動と休息のバランスを保つことが大切です。ここでは、抽象的になりがちな文例を、続けて歩ける距離・休憩の入れ方・リハビリ内容まで具体的に書けるよう整理し、そのまま土台に使える記入例(伏字)とあわせて紹介します。

ケアの視点
脊柱管狭窄症では、立って歩き続けると痛み・しびれやだるさが強まり、少し前かがみで座って休むと再び歩けるようになる、という波が出やすいとされます。ケアプランでは、この波を前提に「どこまで歩けるか」「どのタイミングで休むか」「どんな姿勢・福祉用具だと楽か」を具体的に書き、無理のない範囲で生活範囲を保つことを目標にします。医療面の判断(手術の要否・運動の可否・服薬など)は主治医の領域ですので、リハビリの内容や運動量は主治医・理学療法士など専門職の助言に沿って設定します。
脊柱管狭窄症のケアプランで押さえる3つの実務ポイント
「痛みに配慮する」だけでは記入例として使いにくいため、次の3点は数字や場面で具体的に書くと、サービス担当者にも伝わりやすくなります。
- 続けて歩ける距離(間欠性跛行の程度)
(例)「連続歩行は約50m。それ以降は下肢のしびれが強まり、前かがみで1〜2分休むと再び歩ける」——距離と休息後の回復まで書くと、外出計画やサービスの組み立てがしやすくなります。 - 休憩の入れ方・頻度
(例)「買い物は途中のベンチやシルバーカーの座面で2〜3回休憩を挟む」「屋内はこまめに椅子で座位休息をとる」——休む場所と回数まで書くのがコツです。 - 楽になる姿勢と福祉用具
(例)「前傾姿勢を保てるシルバーカー(歩行車)を使うと歩行距離が延びる」「重い荷物は分けて持ち、腰を反らさない」——脊柱管狭窄症は前かがみで症状が和らぐ方が多いとされるため、姿勢と用具を留意点に残します。
ケアプランの文例
下の文は居宅サービス計画書(2)(第2表)の記入を想定した土台です。ご本人(下記はA様と伏字)の実際の距離・回数に置き換えてお使いください。
ニーズ:痛みやしびれと付き合いながら、休みながらでも自分で買い物や散歩を続けたい。
長期目標:痛みを管理し、休憩をはさみながら近所(約●●m圏)の外出を続けられる。
短期目標:50mごとに休憩をとり、シルバーカーを使って屋外を移動できる。
サービス内容:訪問看護・訪問リハビリによる痛みとしびれの観察、体幹・下肢の運動、前かがみで楽になる姿勢・歩き方の助言、シルバーカーの選定と活用、休息を組み込んだ外出の練習。
(例)A様:連続歩行50m・前傾1〜2分休息で回復/通院と週2回の買い物を続けたい意向。上記の「●●m」「50m」をA様の距離に置き換えて記入します。
リハビリ・サービス内容の具体例
「リハビリを行う」だけでなく、頻度と内容を具体的に書くと計画が動きます。頻度・強度は主治医や理学療法士の指示・助言に沿って設定してください。
- (例)訪問リハビリ 週●回:体幹・下肢の筋力運動、前傾姿勢を保つ歩行訓練、日常動作(立ち上がり・段差)の練習。
- (例)訪問看護 週●回:痛み・しびれの範囲や強さ、歩行距離の変化を観察し、悪化時は主治医へ連絡。
- (例)福祉用具貸与:シルバーカー(歩行車)・必要に応じて手すり。前傾姿勢を保ちやすい高さに調整。
- (例)訪問介護:腰に負担の少ない姿勢での家事支援、重い物の運搬・買い物の同行。
書き方のポイント
- 続けて歩ける距離(間欠性跛行)を「約50m」のように具体的に書く
- 休憩の場所・回数、楽になる姿勢・歩行補助具の工夫を留意点に残す
- 活動と休息のバランス、悪化時の連絡先(主治医・訪問看護)を盛り込む
- ニーズ・長期/短期目標・サービス内容は第2表(居宅サービス計画書(2))へ。アセスメントは厚生労働省が示す課題分析標準項目(令和5年10月16日改正・全23項目=基本情報9項目+課題分析14項目)に沿って把握すると、必要な視点の抜けを防げます(通知の詳細は記事末の出典をご確認ください)。
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。※利用実績に基づく目安であり、環境・使い方により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
ケアプラン文例(記入例・コピペ可)
脊柱管狭窄症の方のケアプランでは、痛み・しびれへの配慮、間欠性跛行に応じた歩行支援、姿勢の工夫が柱です。下表はA様(伏字)を想定した記入例です。距離・回数はご本人の状態に置き換えてください。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| (例)痛みやしびれと付き合って、休みながら買い物を続けたい | (長期)休憩をはさみながら近所の外出を続けられる/(短期)50mごとに休憩をとり外出できる | 訪問・通所リハビリ、福祉用具(シルバーカー・杖)、ベンチ等での休憩の工夫。前傾姿勢で楽になる特徴に配慮 |
| (例)転ばず安全に暮らしたい | (長期)転倒なく在宅生活を続けられる/(短期)住まいと動作の安全が保たれる | 住宅改修(手すり・段差解消)、環境整備、立ち座り動作の指導 |
| (例)自分でできる家事を続けたい | (長期)生活動作を保てる/(短期)姿勢を工夫して家事ができる | 訪問介護の家事支援、腰を反らさない動作・重い物を分けて持つ助言 |
| (例)しびれを悪化させず体力を保ちたい | (長期)歩行距離を維持できる/(短期)週●回の運動を続けられる | 訪問リハ週●回(体幹・下肢の運動、歩行訓練)、訪問看護による痛み・しびれの観察と主治医連絡。頻度・強度は専門職の指示に沿う |
記録や文例をAIに渡すときの個人情報の扱い
文例に実際の記録を貼り付ける、または生成AIに下書きさせる場合は、氏名を「A様」などの伏字に置き換え、被保険者番号・住所・電話番号などの識別情報は外してからにしてください。個人情報を外部サービスへ入力する際の可否・手順は、事業所(院内)のルールをご確認のうえで運用してください。
脊柱管狭窄症|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 少し歩くと足がしびれるが、外出はあきらめたくない | 休みながらでも、行きたい場所へ行ける(1年) | 途中で休憩をとりながら、300m歩ける(3か月) | 訪問リハビリテーション/福祉用具貸与:シルバーカー |
| 立っているだけで腰が痛くなる | 痛みを抑えて、家事を続けられる(1年) | 座って行える方法で、調理ができる(3か月) | 作業療法:動作の工夫/福祉用具:作業用いす |
| 前かがみだと楽なので、姿勢が悪くなった | 姿勢の崩れを抑え、動きやすさを保てる(1年) | 1日2回、姿勢を整える体操ができる(2か月) | 訪問リハビリテーション:姿勢と体幹の訓練 |
| 買い物のときに何度も休んでしまう | 買い物を自分で続けられる(1年) | シルバーカーを使って、店内を一周できる(3か月) | 福祉用具貸与:シルバーカー/訪問介護:買い物の同行 |
| 夜、足のしびれで目が覚める | 夜間の睡眠が確保できる(6か月) | しびれで目が覚める日が週2回以下になる(3か月) | 訪問看護:症状の記録と主治医への報告/安楽な姿勢の工夫 |
| 痛み止めが効きにくくなってきた | 痛みへの対応が続き、生活を保てる(1年) | 痛みの程度を記録し、受診時に伝えられる(2か月) | 訪問看護:疼痛の記録/主治医との連携 |
| 手術をすべきか迷っている | 納得して治療の方針を決められる(6か月) | 主治医に聞きたいことを整理して受診できる(1か月) | 訪問看護:情報の整理/介護支援専門員:受診の調整 |
| 階段が怖くて2階に上がれない | 自宅内で安全に移動できる(1年) | 手すりを使って、階段を安全に上り下りできる(3か月) | 住宅改修:手すりの設置/訪問リハビリテーション |
| お風呂の立ち座りがつらい | 安全に入浴を続けられる(1年) | シャワーチェアを使って、座って洗身できる(2か月) | 福祉用具:シャワーチェア・手すり/訪問介護:入浴の見守り |
| 外出が減って、人と会わなくなった | 人との関わりを保ち、生活に張りが出る(1年) | 週1回、通所の場に参加できる(3か月) | 通所リハビリテーション(週1) |
| 掃除で腰をかがめるのがつらい | 必要な家事が確保され、生活が維持できる(6か月) | 週2回の生活援助で、住まいの清潔が保たれる(1か月) | 訪問介護:生活援助(週2)/福祉用具:長柄の掃除用具 |
| このまま歩けなくなるのが不安だ | いまの歩行能力を保てる(1年) | 週3回、自主的な運動を続けられる(3か月) | 訪問リハビリテーション:自主訓練の指導 |
脊柱管狭窄症|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| しびれ | 部位、出る距離、休むと軽くなるか | 歩行の目標を現実的な距離に置き直す |
| 間欠跛行 | 連続して歩ける距離と時間 | 休憩を前提にした計画に書き換える |
| 疼痛 | 腰・臀部・下肢の痛み、姿勢との関係 | 疼痛の評価方法を計画に書く |
| 姿勢 | 前傾の程度、立位保持の時間 | 姿勢の訓練を計画に加える |
| 筋力 | 立ち上がり、階段の昇降 | 訓練の頻度を調整する |
| 排尿 | 尿の出にくさ、残尿感 | 速やかに主治医へ報告する目安を書く |
| 活動量 | 外出の回数、買い物の実施 | 無理のない回数へ調整する |
| 住環境 | 階段、段差、浴室の手すり | 住宅改修の検討を計画に位置づける |
| 服薬 | 鎮痛薬の使用回数、効き方 | 主治医への相談を計画に入れる |
| 気分 | 外出の回避、意欲の低下 | したいことを短期目標に置く |
脊柱管狭窄症|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| しびれをなくす | 症状の消失を目標にすると達成できないことが多い | 休みながらでも、行きたい場所へ行ける |
| 歩行距離を延ばす | 量が示されていない | 途中で休憩をとりながら、300m歩ける |
| リハビリを継続する | 手段が目標になっている | 週3回、自主的な運動を続けられる |
| 姿勢を改善する | 何をもって改善とするか分からない | 1日2回、姿勢を整える体操ができる |
| 福祉用具を導入する | サービス内容であり、目標ではない | シルバーカーを使って、店内を一周できる |
| 痛みを軽減する | 誰が何をするか分からない | 痛みの程度を記録し、受診時に伝えられる |
| 無理をしない | 生活を狭める書き方になっている | 座って行える方法で、調理ができる |
脊柱管狭窄症|休憩を前提にした外出の組み立て
| 場面 | 起きやすいこと | 計画に書いておくこと |
|---|---|---|
| 自宅から出るまで | 立ち上がりと玄関の段差でつまずく | 手すりの位置と、履物を計画に書く |
| 歩き始め | 数分は歩けるが、その後しびれが出る | 連続歩行の目安時間を記録し、共有する |
| 途中 | 休む場所がないと動けなくなる | 休憩できるベンチの位置を、あらかじめ確認しておく |
| 買い物中 | 立ち止まる時間が長いとつらい | シルバーカーやカートを使い、座れる場所を決めておく |
| 荷物を持つとき | 前かがみになり、負担が増す | 配達の利用や、少量ずつの購入を計画に書く |
| 帰り道 | 疲労で歩行が不安定になる | 帰路の手段(タクシー・送迎)を決めておく |
| 帰宅後 | 痛みが強く出ることがある | 休息の時間を確保し、翌日の予定を詰めない |
| 雨や寒い日 | 症状が強く出やすい | 中止の判断基準を、本人と決めておく |
| 通院 | 待ち時間の立位がつらい | 付き添いと、座って待てる工夫を計画に書く |
| 体調の悪い日 | 無理をして悪化させることがある | 中止しても支障のない予定の組み方にする |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
脊柱管狭窄症のケアプランで重視する点は?
歩行支援や休憩の頻度はどう書きますか?
リハビリの内容や頻度は誰が決めますか?
アセスメントは何に沿って書けばよいですか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
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出典:厚生労働省ウェブサイト(「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日 老企第29号/令和5年10月16日改正))/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。改定により様式・項目は変わる場合があるため、記載にあたっては原典をご確認ください。
場面別|脊柱管狭窄症の観察と記録の文例
脊柱管狭窄症の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 間欠跛行 | 屋外を50m歩くと下肢のしびれが出る。休むと再び歩ける。 |
| 休憩 | 買い物の途中で2回休憩。前かがみになると楽になると話される。 |
| しびれ | 両下肢の外側にしびれ。朝より夕方に強い。 |
| 痛み | 腰部の痛み。数字で聞くと10のうち4。長く立つと増強。 |
| 姿勢 | 前かがみの姿勢で症状が軽減する。シルバーカーの使用を提案した。 |
| 歩行補助具 | シルバーカーで100m歩けるようになった。 |
| 立ち上がり | 手すりを使って自立。動き始めに痛みが出る。 |
| 入浴 | 浴槽のまたぎで痛みが出るため、シャワーチェアを使用。 |
| 排泄 | トイレは自立。長時間の座位で痛みが出る。 |
| 家事 | 立ち仕事が続くと痛むため、座って行う工夫をしている。 |
| 睡眠 | 夜間の痛みで1回覚醒。横向きで膝の間にクッションを入れると楽になる。 |
| 服薬 | 鎮痛薬を朝夕内服。効果はあると話される。 |
| 運動 | 医師の指示で腹筋を意識した体操を毎日10分。 |
| 外出 | 週2回、シルバーカーで近所まで外出できている。 |
| 体重 | 62.8kg。減量が症状の軽減につながると医師より説明あり。 |
| 気持ち | 「歩けるうちは歩きたい」と話される。 |
| 注意点 | しびれの範囲が広がる、排尿しにくくなるときは、早めに受診の判断を行う。 |
| 連携 | 理学療法士より姿勢の助言あり。継続する。 |
あわせて確認したい、併存しやすい状態
脊柱管狭窄症の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
廃用症候群/変形性膝関節症/骨折・転倒後/骨粗鬆症
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
