廃用症候群の方のケアプランは、安静や活動量の低下による心身機能の低下を防ぐことが中心になります。離床と活動を保つ視点で、文例とともに整理します。
ケアの視点
日中の離床時間と活動量を確保し、関節の動きや筋力の低下を防ぎます。役割や趣味を通じて意欲を引き出すことも大切です。
ケアプランの文例
ニーズ:体を動かす機会を保ち、できることを減らさず暮らしたい。
長期目標:日中の活動と離床を保ち、生活機能の低下を防げる。
短期目標:毎日決まった時間に座位や歩行などの活動ができる。
サービス内容:訪問リハビリ・通所での運動、離床と活動量の確保、関節可動域訓練、役割・趣味活動の支援。
書き方のポイント
- 離床時間・活動量を具体的な数値で書く
- 筋力・関節など廃用の兆候を観察項目に
- 意欲を引き出す関わり(役割・趣味)を盛り込む
廃用症候群の計画づくりで、実際に迷うところ
① 原因を外さないと、リハビリだけでは戻らない
廃用症候群は「動かないこと」の結果です。なぜ動かなくなったのか——入院、骨折、痛み、意欲の低下、閉じこもり——を外さないと、リハビリを入れても元に戻ります。
② 起きるのは筋力だけではない
関節が固まる、骨がもろくなる、飲み込みが弱くなる、便秘になる、気分が落ち込む——全身に及びます。計画をリハビリだけにしないことが要点です。
③ 進むのは速く、戻すのは遅い
安静が続くと筋力は短期間で低下する一方、取り戻すにはその何倍もの時間がかかるとされます。「少しだけでも毎日」を、生活の中に置く設計にします。
長期目標・短期目標の立て方
| 避けたい書き方 | 扱いやすい書き方 | |
|---|---|---|
| 長期目標 | 元のように歩けるようになる | 生活の中で体を使う機会を保ち、できることを増やす |
| 短期目標 | 毎日リハビリをする | 起きて過ごす時間を1日3時間以上にできる |
| 短期目標 | 歩行器で50m歩く | トイレまで自分で行ける日が増える |
サービス種別ごとの位置づけ例
| サービス | 位置づけの例 | 記録で見るところ |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 生活動作の中で体を使う場面をつくる | 本人が自分で行った動作、離床の時間 |
| 通所介護・通所リハ | 活動と運動、他者との交流 | 参加した活動、実施後の様子 |
| 訪問リハビリ | 動作の再獲得、住環境に合わせた練習 | 可動域、動作の変化 |
| 福祉用具 | 移動と立ち座りを支える用具 | 用具の使用状況、適合 |
第1表・第2表の文例
第1表:利用者及び家族の生活に対する意向
- 本人「入院してから、立つのがこわくなった。もう歩けないと思う」
- 長女「本人がやる気にならず、一日中横になっている」
第1表:総合的な援助の方針
「動かない」状態から抜け出すために、リハビリの時間だけでなく、日々の生活の中で体を使う機会をつくります。できないことを数えるのではなく、できたことを積み上げていきます。ご本人が「またできた」と感じられる場面を、関係者で意識して増やします。
第2表:ニーズ・目標・サービス内容
| 生活全般の解決すべき課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 入院後、体力が落ちて起き上がる機会が減っている | 起きて過ごす時間を保ち、体力を戻せる | 日中に起きて過ごす時間が1日3時間以上になる | 訪問介護:離床の声かけと見守り/通所介護:週2回 |
| 立ち上がりに不安があり、トイレに行くのをためらう | 安全にトイレまで移動できる | 手すりを使ってトイレまで自分で行ける | 福祉用具:手すりの貸与/訪問リハ:週1回 |
| 意欲が低下し、何もする気になれない | 生活に張りと役割を持てる | 週1回、楽しみにしている活動に参加できる | 通所介護:趣味活動への参加 |
| 関節が固くなり、着替えがしにくい | 関節の動きを保てる | 上着の着脱が自分でできる | 訪問リハ:可動域訓練/訪問介護:一緒に行う更衣 |
モニタリングで見る、変化のサイン
- 離床の時間——1日に何時間、起きて過ごしているか
- 移動——距離ではなく「どこまで行けるか」(トイレ、玄関、庭)
- 立ち座り——手をつく回数、かかる時間
- 食事——姿勢、量、むせ
- 関節——動かせる範囲が狭くなっていないか
- 発語と表情——数が減るのは意欲低下のサインです
- 排便——動かないと便秘が進みます
計画づくりでよくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 本人がリハビリを嫌がる | 「リハビリ」と呼ばずに、生活の中の動作(洗濯物をたたむ、庭に出る)に置き換えると受け入れられることがあります |
| どこまでやらせてよいか | 主治医・リハビリ職と中止の基準を決めておきます。判断を現場任せにしません |
| 家族が先回りしてやってしまう | 悪意ではなく心配からです。「待つこと」も支援だと具体的な場面で共有します |
| 転倒が心配で動かせない | 動かさないほうが最終的な転倒リスクは上がります。環境を整えたうえで動く方向で組み立てます |
| どのくらいで戻るか | 個人差が大きく、断定できません。期間より「今日できたこと」を積む形にします |
※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
ケアプラン文例(記入例・コピペ可)
廃用症候群の方のケアプランでは、離床と活動量の確保、生活動作の再獲得、悪循環の予防が柱です。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| また自分で動けるようになりたい | (長期)生活動作を再獲得し活動を続けられる/(短期)離床の時間が増える | 訪問・通所リハビリ、機能訓練、離床の支援 |
| 体力と筋力を取り戻したい | (長期)筋力・体力が回復する/(短期)週2回の運動に参加できる | 通所介護での運動、自宅での自主訓練、栄養の支援 |
| 日中を活動的に過ごしたい | (長期)生活リズムが整い活動的に過ごせる/(短期)日中の活動・交流が増える | 通所介護での活動・交流、家族の関わり |
廃用症候群|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 寝ている時間が長くなったが、また起きて過ごしたい | 日中の活動が増え、生活の範囲が広がる(1年) | 日中の離床時間が1日3時間以上になる(3か月) | 通所介護(週2)/訪問リハビリテーション:離床の援助 |
| 座っているのがつらい | 座って過ごせる時間が増える(6か月) | 座位を30分保持できる(2か月) | 訪問リハビリテーション:座位訓練/福祉用具:クッション |
| 足の力が落ちて立てなくなってきた | 移乗が安全にできる状態を保てる(1年) | 手すりを使って、5回続けて立ち上がれる(3か月) | 訪問リハビリテーション:起立訓練/福祉用具:手すり |
| 関節が固くなってきた | 関節の動きを保ち、介助しやすい状態を保てる(1年) | 痛みなく、更衣の動作ができる(3か月) | 訪問リハビリテーション:可動域訓練/訪問介護:更衣の介助 |
| 食事をベッドの上でとっている | 起きて食事ができるようになる(6か月) | 食事は椅子に座ってとることができる(2か月) | 訪問介護:離床の介助/福祉用具:食事用テーブル |
| 何もすることがなく、一日が長い | 生活に張りが出て、意欲が保たれる(1年) | 好きな活動に週2回参加できる(3か月) | 通所介護:本人の希望に沿った活動/家族:役割づくり |
| お風呂に入れず、清潔が保てない | 清潔が保たれ、皮膚のトラブルがない(6か月) | 週2回の入浴または清拭ができる(1か月) | 通所介護:入浴(週2)/訪問介護:清拭 |
| 便秘がちで、お腹が張る | 規則的な排便がある(6か月) | 2〜3日に1回、自然な排便がある(3か月) | 訪問看護:腹部の観察/訪問介護:水分と活動の援助 |
| 床ずれができないか心配だ | 皮膚のトラブルなく過ごせる(1年) | 毎日、危険な部位の観察が行われる(1か月) | 訪問看護:皮膚の観察/福祉用具:体圧分散マットレス |
| 家族が介助で腰を痛めている | 家族が体を痛めずに介助を続けられる(1年) | 移乗の負担が減り、腰痛が悪化しない(3か月) | 福祉用具貸与:スライディングボード/訪問リハビリテーション:介助方法の指導 |
廃用症候群|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 離床時間 | 1日のうち起きている時間 | 活動の目標を現実的な時間に置き直す |
| 座位保持 | 保持できる時間、姿勢の崩れ | クッションと訓練内容を見直す |
| 立ち上がり | 回数、介助量 | 訓練の頻度と福祉用具を調整する |
| 関節可動域 | 届く範囲、更衣時の動かしにくさ | 可動域訓練を計画に明記する |
| 皮膚 | 発赤の有無、危険部位 | 除圧と観察の担当を書く |
| 食事 | ベッド上か離床してか、摂取量 | 離床しての食事を短期目標に置く |
| 排便 | 回数、腹部の張り | 水分・活動の支援を加える |
| 意欲 | 活動への参加、表情 | 本人が選んだ活動を計画に入れる |
廃用症候群|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 廃用を進行させない | 起きなかったことは確認しにくい | 日中の活動が増え、生活の範囲が広がる |
| 離床を促す | 支援者側の行為であり、目標ではない | 日中の離床時間が1日3時間以上になる |
| リハビリを実施する | 手段が目標になっている | 手すりを使って、5回続けて立ち上がれる |
| 拘縮を予防する | 専門用語で、達成の確認ができない | 痛みなく、更衣の動作ができる |
| 意欲を向上させる | 評価の基準がない | 好きな活動に週2回参加できる |
| 清潔を保つ | 量が示されていない | 週2回の入浴または清拭ができる |
| 家族が介助する | 家族頼みの計画になっている | 移乗の負担が減り、腰痛が悪化しない |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
廃用症候群のケアプランで重視する点は?
離床はどう位置づけますか?
栄養も関係しますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
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介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
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場面別|廃用症候群の観察と記録の文例
廃用症候群の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 離床 | 9時、車いすへ移乗し居間で過ごされる。座位保持は連続40分。 |
| 臥床時間 | 日中の臥床が前月の6時間から4時間に減った。 |
| 立ち上がり | 手すりを使い、見守りで5回連続して行えた。 |
| 歩行 | 歩行器で10m。前月は5mだった。 |
| 関節可動域 | 両膝の伸展が160度。前月から変化なし。 |
| 筋力 | ベッド上での下肢挙上が10回×2セット行える。 |
| 食事 | 車いすに座って摂取。主食8割・副食7割。 |
| 食事の姿勢 | 足底が床につく高さに調整。前傾が減った。 |
| 排泄 | 日中はトイレへ誘導。ポータブルトイレの使用が減った。 |
| 入浴 | 浴槽の出入りを2名介助から1名介助にできた。 |
| 皮膚 | 仙骨部の発赤なし。離床時間が延びた効果とみられる。 |
| 意欲 | 「起きているほうが気持ちいい」と話される。 |
| 活動 | 午後に洗濯物たたみを15分行われる。 |
| 会話 | 他の利用者と話す場面が1日2回あった。 |
| 睡眠 | 夜間の中途覚醒が2回から1回に減った。 |
| 体重 | 49.2kg。前月比プラス0.5kg。 |
| 注意点 | 起立性低血圧に注意し、段階的に起こす。血圧の低下があれば臥床する。 |
| 連携 | 機能訓練指導員より「下肢筋力に改善」との報告。 |
あわせて確認したい、併存しやすい状態
廃用症候群の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
COPD(呼吸器疾患)/低栄養・フレイル/誤嚥性肺炎/変形性膝関節症/褥瘡(床ずれ)/骨折・転倒後/脳血管疾患/脊柱管狭窄症
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
