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廃用症候群の方のケアプラン文例|離床と活動量の維持

廃用症候群の方のケアプランは、安静や活動量の低下による心身機能の低下を防ぐことが中心になります。離床と活動を保つ視点で、文例とともに整理します。

ケアの視点

日中の離床時間と活動量を確保し、関節の動きや筋力の低下を防ぎます。役割や趣味を通じて意欲を引き出すことも大切です。

ケアプランの文例

ニーズ:体を動かす機会を保ち、できることを減らさず暮らしたい。
長期目標:日中の活動と離床を保ち、生活機能の低下を防げる。
短期目標:毎日決まった時間に座位や歩行などの活動ができる。
サービス内容:訪問リハビリ・通所での運動、離床と活動量の確保、関節可動域訓練、役割・趣味活動の支援。

書き方のポイント

  • 離床時間・活動量を具体的な数値で書く
  • 筋力・関節など廃用の兆候を観察項目に
  • 意欲を引き出す関わり(役割・趣味)を盛り込む

廃用症候群の計画づくりで、実際に迷うところ

① 原因を外さないと、リハビリだけでは戻らない

廃用症候群は「動かないこと」の結果です。なぜ動かなくなったのか——入院、骨折、痛み、意欲の低下、閉じこもり——を外さないと、リハビリを入れても元に戻ります。

② 起きるのは筋力だけではない

関節が固まる、骨がもろくなる、飲み込みが弱くなる、便秘になる、気分が落ち込む——全身に及びます。計画をリハビリだけにしないことが要点です。

③ 進むのは速く、戻すのは遅い

動かない期間が続くと、元の状態に戻るまでに時間がかかることがあります。「少しだけでも毎日」を、生活の中に置く設計にします。

長期目標・短期目標の立て方

避けたい書き方 扱いやすい書き方
長期目標 元のように歩けるようになる 生活の中で自分でしている動作が、(記入欄)から(記入欄)に増える
短期目標 毎日リハビリをする 起きて過ごす時間が、1日(記入欄)時間になる
短期目標 歩行器で50m歩く トイレまで自分で行ける日が、週(記入欄)日になる

サービス種別ごとの位置づけ例

サービス 位置づけの例 記録で見るところ
訪問介護 生活動作の中で体を使う場面をつくる 本人が自分で行った動作、離床の時間
通所介護・通所リハ 活動と運動、他者との交流 参加した活動、実施後の様子
訪問リハビリ 動作の再獲得、住環境に合わせた練習 可動域、動作の変化
福祉用具 移動と立ち座りを支える用具 用具の使用状況、適合

第1表・第2表の文例

第1表:利用者及び家族の生活に対する意向

  • 本人「入院してから、立つのがこわくなった。もう歩けないと思う」
  • 長女「本人がやる気にならず、一日中横になっている」

第1表:総合的な援助の方針

「動かない」状態から抜け出すために、リハビリの時間だけでなく、日々の生活の中で体を使う機会をつくります。できないことを数えるのではなく、できたことを積み上げていきます。ご本人が「またできた」と感じられる場面を、関係者で意識して増やします。

第2表:ニーズ・目標・サービス内容

生活全般の解決すべき課題 長期目標 短期目標 サービス内容
入院後、体力が落ちて起き上がる機会が減っている 起きて過ごす時間を保ち、体力を戻せる 日中に起きて過ごす時間が、1日(記入欄)時間になる 訪問介護:離床の声かけと見守り/通所介護:週2回
立ち上がりに不安があり、トイレに行くのをためらう 安全にトイレまで移動できる 手すりを使ってトイレまで自分で行ける 福祉用具:手すりの貸与/訪問リハ:週1回
意欲が低下し、何もする気になれない 生活に張りと役割を持てる 週1回、楽しみにしている活動に参加できる 通所介護:趣味活動への参加
関節が固くなり、着替えがしにくい 関節の動きを保てる 上着の着脱が自分でできる 訪問リハ:可動域訓練/訪問介護:一緒に行う更衣

モニタリングで見る、変化のサイン

  • 離床の時間——1日に何時間、起きて過ごしているか
  • 移動——距離ではなく「どこまで行けるか」(トイレ、玄関、庭)
  • 立ち座り——手をつく回数、かかる時間
  • 食事——姿勢、量、むせ
  • 関節——動かせる範囲が狭くなっていないか
  • 発語と表情——いつもと違うと感じたときは、そのまま記録に残します
  • 排便——回数と間隔を記録し、変化に気づいたら看護職員へ伝えます

計画づくりでよくある疑問

よくある疑問 考え方
本人がリハビリを嫌がる 「リハビリ」と呼ばずに、生活の中の動作(洗濯物をたたむ、庭に出る)に置き換えると受け入れられることがあります
どこまでやらせてよいか 主治医・リハビリ職と中止の基準を決めておきます。判断を現場任せにしません
家族が先回りしてやってしまう 悪意ではなく心配からです。「待つこと」も支援だと具体的な場面で共有します
転倒が心配で動かせない 動くかどうかの判断は理学療法士等にご相談ください。環境を整えたうえで、どこまで動けるかを一緒に決めます
どのくらいで戻るか 個人差が大きく、断定できません。期間より「今日できたこと」を積む形にします

※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。

文例を土台に、作成はAIで

文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正して仕上げます。ケアプラン(居宅サービス計画書 第1・2・3・6表)の原案作成では、実証で平均125.5分が37.6分になりました(2024年2月、ケアマネジャー10名・10件の計測。業務内容・運用により異なり、効果を保証するものではありません。詳しくは効果に関する実測データ)。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。

ケアプラン文例(記入例・コピペ可)

廃用症候群の方のケアプランでは、離床と活動量の確保、生活動作の再獲得、悪循環の予防が柱です。

生活課題(ニーズ) 長期・短期目標 サービス内容・留意点
また自分で動けるようになりたい (長期)生活動作を再獲得し活動を続けられる/(短期)離床の時間が増える 訪問・通所リハビリ、機能訓練、離床の支援
体力と筋力を取り戻したい (長期)筋力・体力が回復する/(短期)週2回の運動に参加できる 通所介護での運動、自宅での自主訓練、栄養の支援
日中を活動的に過ごしたい (長期)生活リズムが整い活動的に過ごせる/(短期)日中の活動・交流が増える 通所介護での活動・交流、家族の関わり

廃用症候群|第2表の通し文例

以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
寝ている時間が長くなったが、また起きて過ごしたい 日中の活動が増え、生活の範囲が広がる(1年) 日中に起きて過ごす時間が、1日(記入欄)時間になる(3か月) 通所介護(週2)/訪問リハビリテーション:離床の援助
座っているのがつらい 座って過ごせる時間が増える(6か月) 座位を30分保持できる(2か月) 訪問リハビリテーション:座位訓練/福祉用具:クッション
足の力が落ちて立てなくなってきた 移乗が安全にできる状態を保てる(1年) 手すりを使って、5回続けて立ち上がれる(3か月) 訪問リハビリテーション:起立訓練/福祉用具:手すり
関節が固くなってきた 関節の動きを保ち、介助しやすい状態を保てる(1年) 痛みなく、更衣の動作ができる(3か月) 訪問リハビリテーション:可動域訓練/訪問介護:更衣の介助
食事をベッドの上でとっている 起きて食事ができるようになる(6か月) 食事は椅子に座ってとることができる(2か月) 訪問介護:離床の介助/福祉用具:食事用テーブル
何もすることがなく、一日が長い 生活に張りが出て、意欲が保たれる(1年) 好きな活動に週2回参加できる(3か月) 通所介護:本人の希望に沿った活動/家族:役割づくり
お風呂に入れず、清潔が保てない 清潔が保たれ、皮膚のトラブルがない(6か月) 週2回の入浴または清拭ができる(1か月) 通所介護:入浴(週2)/訪問介護:清拭
便秘がちで、お腹が張る 規則的な排便がある(6か月) 2〜3日に1回、自然な排便がある(3か月) 訪問看護:腹部の観察/訪問介護:水分と活動の援助
床ずれができないか心配だ 皮膚のトラブルなく過ごせる(1年) 毎日、危険な部位の観察が行われる(1か月) 訪問看護:皮膚の観察/福祉用具:体圧分散マットレス
家族が介助で腰を痛めている 家族が体を痛めずに介助を続けられる(1年) 移乗の負担が減り、腰痛が悪化しない(3か月) 福祉用具貸与:スライディングボード/訪問リハビリテーション:介助方法の指導

廃用症候群|観察項目とモニタリングの視点

短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。

観察する項目 変化のサイン 計画への反映
離床時間 1日のうち起きている時間 活動の目標を現実的な時間に置き直す
座位保持 保持できる時間、姿勢の崩れ クッションと訓練内容を見直す
立ち上がり 回数、介助量 訓練の頻度と福祉用具を調整する
関節可動域 届く範囲、更衣時の動かしにくさ 可動域訓練を計画に明記する
皮膚 発赤の有無、危険部位 除圧と観察の担当を書く
食事 ベッド上か離床してか、摂取量 離床しての食事を短期目標に置く
排便 回数、腹部の張り 水分・活動の支援を加える
意欲 活動への参加、表情 本人が選んだ活動を計画に入れる

廃用症候群|避けたい書き方と言い換え

姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。

避けたい書き方 理由 言い換えの例
廃用を進行させない 起きなかったことは確認しにくい 日中の活動が増え、生活の範囲が広がる
離床を促す 支援者側の行為であり、目標ではない 日中に起きて過ごす時間が、1日(記入欄)時間になる
リハビリを実施する 手段が目標になっている 手すりを使って、5回続けて立ち上がれる
拘縮を予防する 専門用語で、達成の確認ができない 痛みなく、更衣の動作ができる
意欲を向上させる 評価の基準がない 好きな活動に週2回参加できる
清潔を保つ 量が示されていない 週2回の入浴または清拭ができる
家族が介助する 家族頼みの計画になっている 移乗の負担が減り、腰痛が悪化しない

第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。

一日のどこで、動く機会が消えたのか

この状態は、体のどこかが壊れて起きたものではありません。動かなかったという事実の積み重ねが、そのまま状態になったものです。だとすれば、最初に探すべきは「体のどこが弱ったか」ではなく、一日のどの場面で「自分でやる」が消えたのかです。

消え方には特徴があります。ある日いっぺんに消えるのではなく、場面ごとに、一つずつ、静かに消えます。しかも消えた瞬間には誰も気づきません。気づくのは、たいてい何か月もあとで、「そういえば最近まったく歩かなくなった」という形でです。だから、探し方のほうを決めておく必要があります。

以下は、朝目が覚めてから夜寝るまでの十の場面について、以前はどうしていたか/今はどうなっているか/いま誰が代わりにやっているかを並べたものです。そのまま聞き取り用紙として使えます。三つ目の欄が埋まる場面が、機会が移った場所です。三つ目が空欄のまま「今はしていない」だけが残る場面は、誰も代わりにやっていない=その用事ごと暮らしから消えた場面で、いちばん見落とされます。

使い方は単純です。ご本人とご家族に、場面ごとに「前はどうしていましたか」と聞くだけです。聞く順番を体の話から始めないでください。体の話から入ると、答えは「足が弱った」に集約されてしまい、どの場面で何が起きたのかが出てきません。場面から入ると、「入院して帰ってきてから、台所には一度も立っていない」「去年の暮れまでは郵便を取りに出ていた」という形で、日付と場面が一緒に出てきます。消えた時期が分かる場面ほど、戻せる見込みが立てやすくなります。

もう一つ、聞き取りのときに大切なことがあります。できなくなった理由を、その場で決めないことです。台所に立たなくなった理由は、足の力とは限りません。調理器具の置き場所が変わった、家族が先に作るようになった、以前に鍋を焦がして自信をなくした——どれも同じ「台所に立たない」に見えます。理由が違えば、戻し方も違います。理由を確かめないまま計画に書くと、実際には何も変わらないまま期間だけが過ぎます。

起床——目が覚めてからベッドを出るまで

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
目が覚めてから体を起こすまで 目が覚めたら自分で掛け布団をはいで起き上がっていた 誰かが声をかけるまで、横になったまま待っている (記入欄)
ベッドの端に座るまで 手すりをつかんで、時間をかけて自分で端に座っていた 体を起こすところから介助で行っている (記入欄)
履き物をはくまで 足元を見て、自分でスリッパに足を入れていた 足元まで運んでもらい、はかせてもらっている (記入欄)
カーテンや窓を開けるまで 起きたらまずカーテンを開けるのが習慣だった 訪問した人が開けている。開かないまま一日が過ぎる日もある (記入欄)
寝間着から日中の服に切り替えるまで 起きたら着替えるものだと決まっていた 寝間着のまま日中を過ごす日がある (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

整容——顔・歯・髪・つめ

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
顔を洗う場所まで行く 洗面所まで自分で歩いて行っていた ベッドの上で拭いてもらっている (記入欄)
蛇口をひねる・湯の温度を確かめる 自分で湯の温度を確かめてから使っていた 用意された湯とタオルを受け取るだけになった (記入欄)
歯をみがく 洗面台の前に立ってみがいていた 座ったままみがき、仕上げは代わりにしてもらっている (記入欄)
髪をとかす・ひげをそる 鏡を見ながら自分で整えていた 「鏡がよく見えないから」と代わりにやってもらっている (記入欄)
つめや耳のまわりの手入れ 気づいたときに自分で切っていた 気づく人がいないまま伸びていることがある (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

移動——部屋から部屋へ

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
居室から居間まで行く 家具や壁に手をつきながら、自分で移動していた 車いすに乗せて運んでもらっている (記入欄)
立ち上がるとき 手すりや机に手をついて、自分の力で立っていた 両脇を支えて引き上げてもらって立っている (記入欄)
体の向きを変えるとき 足を踏みかえて自分で向きを変えていた 体ごと支えて、向きを変えてもらっている (記入欄)
物を取りに行くとき 必要な物は自分で取りに行っていた 「そこにあるから」と手元まで届けてもらっている (記入欄)
段差や敷居をまたぐとき 手すりを使って、自分でまたいでいた 段差のある部屋には行かなくなった (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

トイレ——気づいてから戻るまで

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
行きたいと伝える 自分から「トイレに行きたい」と言っていた 決まった時間に誘われるのを待つだけになった (記入欄)
トイレまで行く 壁づたいに、時間をかけて自分で行っていた 居室にポータブルトイレを置き、トイレまで行かなくなった (記入欄)
下の衣類の上げ下ろし 立って自分で下ろしていた 立つことに不安があるため、介助で行っている (記入欄)
拭き取り・水を流す 自分で行っていた 手が届きにくいため、代わりに行っている (記入欄)
手を洗う 洗面台まで行って洗っていた おしぼりを渡している (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

食事——席につくところから片づけまで

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
食卓まで移動する 食卓まで歩いて行き、椅子に座って食べていた ベッドの上で食べる日が続いている (記入欄)
配膳する 自分の分は自分で運んでいた すべて運んでもらっている (記入欄)
ふたを開ける・箸を持つ 包装やふたは自分で開けていた 開けた状態で目の前に出されている (記入欄)
食べる姿勢を整える 自分で椅子を引き、座り直していた 姿勢を直してもらうのを待っている (記入欄)
食べ終わったあとの片づけ 自分の食器を流しまで運んでいた 下げてもらうのを待っている (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

着替え——選ぶところから

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
何を着るか選ぶ たんすを開けて、その日の服を自分で選んでいた 用意された服を着るだけになった (記入欄)
上着に袖を通す 片方ずつ、自分で通していた 両袖とも通してもらっている (記入欄)
ボタン・ファスナーをとめる 時間はかかるが、自分でとめていた 時間がかかるため、代わりにとめている (記入欄)
靴下・履き物をはく 前かがみになって、自分ではいていた 毎回はかせてもらっている (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

入浴——脱ぐ・洗う・またぐ

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
浴室まで行く 脱衣所まで自分で歩いて行っていた 車いすで運ばれている (記入欄)
服を脱ぐ・着る 脱衣所で自分で行っていた 脱ぐところから着るところまで介助になった (記入欄)
体を洗う 手の届く範囲は自分で洗っていた 全身を洗ってもらっている (記入欄)
浴槽をまたぐ 手すりを使ってまたいで入っていた 浴槽には入らず、シャワーだけになった (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

家事——台所・洗濯・掃除

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
台所に立つ 湯をわかす、皿を出す程度は自分でしていた 台所に入らなくなった (記入欄)
洗濯物を干す・たたむ 干すこともたたむことも自分でしていた 家族がすべて行っている (記入欄)
自分の部屋を片づける 自分の部屋は自分で片づけていた 危ないからと、物の場所を動かさないようにしている (記入欄)
ごみ出し・買う物を決める 買う物を自分でメモして渡していた 何を買うかも家族が決めている (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

外出——玄関の外に出る用事

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
玄関を出る 郵便物を取りに、毎日外へ出ていた 玄関まで行かなくなった (記入欄)
通院する 自分で歩いて受付まで行き、話をしていた 車いすで送迎され、受付も説明も家族が行っている (記入欄)
買い物に行く 近所の店まで歩いて行っていた 頼んで買ってきてもらっている (記入欄)
季節の用事に出る(庭・行事・墓参り) 庭に出る、行事に出かける習慣があった 誘われることがなくなった (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

人と会う——話す相手がいる時間

細かい場面 以前はどうしていたか(例) 今はどうなっているか(例) いま誰が代わりにやっているか(記入欄)
家族との会話 台所や居間で、用事がなくても話していた 用件を伝えるときだけになった (記入欄)
近所の人・友人と会う 訪ねてくる人と玄関先で立ち話をしていた 訪ねてくる人がいなくなった (記入欄)
電話・手紙のやりとり 自分でかけ、自分で書いていた 家族が代わりに応対している (記入欄)
行きつけの場所に行く 決まって出かける先があった 行かなくなった理由が、まだ誰にも確かめられていない (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

十の場面を埋め終えたら、いったん体の話から離れて、埋まった紙そのものを見てください。三列目に人の名前や職種が並んでいる場面は、機会が「移った」場面です。移った先が分かっているので、戻す相談ができます。難しいのは、三列目が空欄なのに二列目に「していない」と書かれている場面です。誰も代わりにやっていないということは、その用事が暮らしから丸ごと消えたということで、消えたことに誰も気づいていません。外出、人と会う、家事の欄で起きやすく、そのまま何年も続きます。

そして、埋め終えた紙を見て最初に思うのは、たいてい「自分がやっていた」です。それは正しい気づきですが、そこで終わらせないでください。なぜそのとき手を出したのかを思い出すほうが、はるかに役に立ちます。次の節は、そのためのものです。

良かれと思って、機会を引き取ってしまう場面

機会が消えるのは、手を抜いた場面ではありません。むしろ、ていねいに関わろうとした場面です。転ばせたくない、時間内に終えたい、本人の気持ちを尊重したい、家族を安心させたい——どれも、その場では正しい判断です。だから、あとから見ても誰も間違っていません。それでも、機会だけは確かに移っています。

以下の表は、現場の判断を責めるためのものではありません。理由の側には、いつも正当性があるという前提で並べています。目的は一つで、次に同じ場面が来たときに、別の手も選べる状態にしておくことです。三列目は事業所として先に決めておく欄です。その場に立った職員が一人で決めることになっている限り、判断はいつも安全側に倒れ、機会は静かに減り続けます。

「転ぶと危ないから」と判断した場面

場面 そう判断した理由 ほかに取れた手 事業所として決めておくこと(記入欄)
立ち上がろうとしたので、座っていてもらった 目の前で転倒すれば、けがも責任も重い 立つこと自体を止めるのではなく、支えのある場所へ移ってから立ってもらう (記入欄)
歩行器を片づけ、移動を車いすに切り替えた 移動が速く安全になり、ひやりとする場面が減る 移動の全部ではなく、区間を決めて(居室からトイレまで等)歩く場面を残す (記入欄)
夜間はベッドから出ないようにお願いした 夜間の転倒は発見が遅れやすい 夜に起きる用事そのもの(トイレ・水分)をどう満たすかを先に決める (記入欄)
居室にポータブルトイレを置いた 移動の距離が短くなり、危険が減る 日中はトイレまで、夜間はポータブル、という場面分けにする (記入欄)
玄関に段差があるので、外出をやめた 段差でつまずけば大けがになりかねない 段差の解消と手すりについて、福祉用具・住宅改修の担当へ相談する場を作る (記入欄)
浴槽をまたぐのをやめ、シャワーだけにした 浴槽の中で転ぶことは避けたい 浴槽の出入りをどこまで自分で行うかを、主治医・看護職員・理学療法士等から示されている内容(記入欄)に沿って決める (記入欄)
台所に立つのをやめてもらった 火と水のある場所で転ぶのは危険だと考えた 座って行える工程(皮をむく、盛りつける、味を見る)だけを残す (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

「時間がないから」と判断した場面

場面 そう判断した理由 ほかに取れた手 事業所として決めておくこと(記入欄)
袖を通すのを待たずに、こちらで通した 次の訪問の時刻が迫っていた 上着だけは本人、下の衣類は介助、と場面を割る (記入欄)
歩いてもらわず、車いすで運んだ 歩くと予定の時間に収まらない 週のうち、時間に余裕のある訪問日を「歩く日」と決めておく (記入欄)
配膳から片づけまで、すべて職員が行った 片づけまで含めて時間内に終える必要がある 下げるところだけは本人が行い、職員は横で待つ (記入欄)
トイレへの誘導をやめ、その場で交換した 誘導すると滞在の時間を超えてしまう 誘導する時間帯を、ほかの業務が薄い時間に移す (記入欄)
髪を整えるのを代わりに行った 本人が行うと、かかる時間が読めない 鏡と櫛を手元に置き、職員は次の準備をしながら待つ (記入欄)
靴下をはかせた 前かがみになる動作に時間がかかる 履き口の広い履き物に変え、本人が行える形にする (記入欄)
記録を書く時間を作るため、声かけを省いた 記録が終わらないと退勤できない 記録の様式と入力の手段を見直し、待つための時間を先に確保する (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

「本人が嫌がるから」と判断した場面

場面 そう判断した理由 ほかに取れた手 事業所として決めておくこと(記入欄)
「今日はいい」と言われたので中止した 本人の意思を尊重したかった 断られた理由(痛み・不安・気分・相手・時間帯)を記録に残し、次に条件を変える (記入欄)
体を動かす時間に参加されなかった 無理強いはできない 体を動かす時間としてではなく、本人が続けてきた用事(洗濯物・庭)として誘う (記入欄)
入浴を断られたので、清拭に切り替えた 説得すると関係が悪くなると考えた 断られた曜日・時間帯・担当を並べ、条件を変えて誘い直す (記入欄)
外出に誘っても出たがらない 本人なりの不安があるのだろうと受けとめた 行き先を近くにし、戻る時刻を先に伝えてから誘う (記入欄)
食堂に出るのを嫌がる 人前が苦手なのだろうと考えた 席の位置と、同じ席になる相手を変えてみる (記入欄)
「もう歳だから」と言われる 本人の受けとめを否定できない やめたことではなく、まだ続けていることを一緒に数える (記入欄)
「リハビリ」という言葉に反応が硬い 過去につらい思いをしたのかもしれない 呼び名を変え、暮らしの中の用事として誘う (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

「家族が心配するから」と判断した場面

場面 そう判断した理由 ほかに取れた手 事業所として決めておくこと(記入欄)
「危ないから座らせておいて」と言われた 家族は実際にひやりとする場面を見ているのかもしれない 家族が心配している場面を具体的に聞き取り、その場面にだけ手を出す形にする (記入欄)
訪問すると、家族が先に着替えを済ませていた 待っていると家族の予定が崩れる 家族が急がなくてよい時間帯を「本人が行う時間」として決める (記入欄)
家族が食事をすべて運んでいた こぼされると片づけが増える こぼれても困らない場所と食器に変えてから、本人に運んでもらう (記入欄)
家族が「歩かせないでほしい」と言う 以前に転んだ経験がある 主治医・看護職員・理学療法士等から示されている内容(記入欄)を、家族と一緒に確認する場を作る (記入欄)
家族が外出を止める 外で何かあったとき、家族が対応できない 送り迎えと連絡の手順を先に決め、家族の負担のほうを減らす (記入欄)
家族が「本人がかわいそう」と言う やってもらうほうが本人は楽に見える 本人が「またできた」と口にした場面を、そのまま家族に伝える (記入欄)
家族が用具を入れることに反対する 見た目の抵抗感と、費用の負担感がある 用具の担当者と本人・家族が同席し、実際に触って確かめる機会を作る (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

「職員が替わったから」起きた場面

場面 そう判断した理由 ほかに取れた手 事業所として決めておくこと(記入欄)
新しい担当が、はじめから全部介助した どこまで自分でできる人か分からなかった 待つ範囲を計画と手順書の同じ欄に書き、引き継ぎで読み合わせる (記入欄)
前の担当の「ここは待つ」が伝わっていなかった 口頭でしか共有されていなかった 待った範囲を記録の定型文にして、毎回残す (記入欄)
応援の職員が入った日だけ、介助の量が増える 慣れない相手だと時間が読めない 応援の日でも変えない場面を、一つだけ決めておく (記入欄)
事業所が替わり、やり方が元に戻った 引き継ぎ書に動作の範囲まで書かれていなかった 引き継ぎ書に「どの場面を、誰が、どこまで待つか」の欄を設ける (記入欄)
担当の介護支援専門員が替わった その場面を残してきた理由が引き継がれない なぜその場面を本人に残したのか、理由ごと計画の欄に書く (記入欄)
夜勤と日勤で対応が違う 夜間は人手が少なく、待つ余裕がない 夜間に限って手を出す範囲を、あらかじめ分けて書いておく (記入欄)
実習生・新人が入った日 見守るより手伝うほうが安心だと感じる 見守る立ち位置と声のかけ方を、場面ごとに書いて渡す (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

五つの理由を並べてみると、共通点があります。どの理由も、その場面を切り取れば正しいということです。転倒させないほうがよいのは確かですし、次の訪問に遅れないほうがよいのも確かです。問題は判断の中身ではなく、同じ判断が毎日繰り返され、誰も数えていないことのほうにあります。一度手を出したことは記録に残りません。残らないので、半年後に「いつからやってあげるようになったのか」を誰も答えられません。

だから、三列目を埋める意味があります。事業所として先に決めてしまえば、その場に立つ職員は判断を背負わずに済みます。「待つ」は現場の善意に頼る話ではなく、先に決めておけば実行できる手順です。決めていないことだけが、忙しい日から順に消えていきます。

戻せる機会を、計画の言葉にする

ここまでで、機会が消えた場所と、消えた理由が見えているはずです。計画に書くのは、その先です。どの場面の、どの動作を、誰が待つのか。これが読み取れない計画は、読んだ人が「では手伝おう」と判断してしまい、機会はまた消えます。

サービス内容の欄に、体の動かし方そのものは書きません。動かし方は主治医・看護職員・理学療法士等から受け取るものです。計画に書けるのは、受け取った内容を暮らしのどの場面に置くかと、その場面で職員がどこまで待つかです。回数や時間の目安は、示されている内容とご本人の希望に合わせて記入欄に入れてください。

以下はすべて記載のイメージを示すための例で、実在の方ではありません。Aさんという表記は仮のものです。

朝と身の回りの場面から戻す

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容(誰が、どの場面で、どこまで待つか)
朝、起きるきっかけがなく、声をかけられるまで横になっている 一日の始まりを自分で決められる暮らしに戻る 朝、自分で体を起こしてベッドの端に座る日がある 訪問介護:到着してすぐに手を出さず、体を起こすところまで横で見守る。手を出す合図は(記入欄)。体の動かし方は主治医・看護職員・理学療法士等から示されている内容(記入欄)による
寝間着のまま一日を過ごす日があり、朝と夜の区切りがなくなっている 朝と夜の区切りのある暮らしに戻る 朝、日中の服に着替えてから居間に出る日がある 訪問介護:服は本人が選び、職員は選び終わるまで待つ。袖を通す場面のうち本人が行う側は(記入欄)
カーテンが開かないまま一日が過ぎる日がある 朝、外の明るさを自分で入れられる 起きたあと、自分でカーテンを開ける日がある 訪問介護:カーテンに手が届く位置まで一緒に移動し、開ける動作は本人が行う。届く位置の調整は(記入欄)
洗面所まで行かず、ベッドの上で顔を拭いてもらっている 顔を洗う場所まで自分で行ける暮らしに戻る 洗面所まで行って顔を洗う日がある 訪問介護:洗面所までの経路を一緒に確認し、移動は本人が行う。支えが必要な区間は(記入欄)
歯みがきの仕上げをいつも代わりにしてもらっている 口の中の手入れを自分の手で続けられる 歯みがきを最後まで自分で行う日がある 訪問介護:先に手を出さず、届きにくい場所だけを最後に手伝う。手を出す範囲は(記入欄)
鏡を見なくなり、髪やひげを整えなくなった 人に会える身なりを、自分で整えられる 出かける日に、自分で髪を整える 訪問介護:鏡と道具を手の届く位置に置き、整え終わるまで待つ。置く位置は(記入欄)
ボタンをとめるのに時間がかかるため、いつも代わりにとめてもらっている 時間がかかっても、自分の服を自分で着られる 上着のボタンを最後まで自分でとめる日がある 訪問介護:とめ終わるまで別の作業をしながら待つ。待つ時間の上限は(記入欄)
靴下をはくのに前かがみになれず、毎回はかせてもらっている 履き物を自分ではける暮らしに戻る 座って靴下に足を入れるところまで自分で行える 福祉用具:はきやすい履き物の相談(記入欄)/訪問介護:足を入れる場面は本人が行い、引き上げのみ手伝う
つめや耳のまわりの手入れに、誰も気づかないまま伸びている 身の回りの変化に、本人と職員の双方が気づける 手入れの必要に本人が気づき、自分から伝えられる 訪問介護:手入れの場所を本人と一緒に確認する。気づきを伝える相手と方法は(記入欄)
朝の支度を家族が先に済ませており、本人が行う場面が残っていない 家族が急がずに済み、本人の場面も残る朝になる 家族が急がなくてよい時間帯に、本人が支度を行う 家族:待てる時間帯の共有(記入欄)/訪問介護:その時間帯に訪問を合わせ、支度は本人が行う

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

家の中の移動と、暮らしの用事から戻す

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容(誰が、どの場面で、どこまで待つか)
居室から居間まで運ばれており、自分で移動する場面が消えた 家の中を自分の足で行き来できる暮らしに戻る 居室から居間までの区間を、自分で移動する日がある 訪問介護:移動する区間を決めて見守る。区間と支えの範囲は(記入欄)。動作の方法は主治医・看護職員・理学療法士等から示されている内容(記入欄)による
立ち上がるときに毎回引き上げてもらっており、自分の力で立つ場面がない 支えを使って自分の力で立てる状態を保つ 手すりを使い、自分の力で立ち上がる場面がある 訪問介護:合図があるまで引き上げない。手を出す合図は(記入欄)
必要な物をすべて手元に届けてもらっており、取りに行く用事が消えた 自分の物は自分で取りに行ける暮らしに戻る よく使う物を自分で取りに行く場面がある 訪問介護:よく使う物の置き場所を、あえて手の届かない安全な位置に相談のうえ決める。置き場所は(記入欄)
居室にポータブルトイレを置き、トイレまで行かなくなった 日中はトイレまで行ける暮らしに戻る 日中、トイレまで行って用を足す日がある 訪問介護:日中はトイレまで同行し、移動は本人が行う。夜間の扱いは(記入欄)
行きたいと自分から言わなくなり、決まった時間に誘われるのを待っている 自分の感覚で行動を決められる暮らしに戻る 自分から「行きたい」と伝える場面がある 訪問介護:時間で誘う前に、本人に確認する言い方に変える。声のかけ方は(記入欄)
ベッドの上で食事をとる日が続き、食卓に着く場面が消えた 席に着いて食事をとる暮らしに戻る 食卓まで移動して食事をとる日がある 訪問介護:食卓までの移動は本人が行い、支えは(記入欄)の区間のみ。姿勢の整え方は主治医・看護職員・理学療法士等から示されている内容(記入欄)による
食器の上げ下げをすべて職員が行っており、片づけの場面が消えた 食事の前後の用事を自分でこなせる 自分の食器を流しまで運ぶ日がある 訪問介護:下げる場面は本人が行い、職員は運ぶ経路を確保して待つ。運ぶ距離は(記入欄)
台所に入らなくなり、料理に関わる場面がなくなった 台所での役割を、無理のない形で取り戻す 座って行える工程を、週のうちに行う日がある 訪問介護:座って行える工程(皮をむく、盛りつける、味を見る)を一緒に行う。担当する工程は(記入欄)
洗濯物を家族がすべて行っており、手を動かす用事が残っていない 家の中で自分の受け持ちがある暮らしに戻る 洗濯物をたたむ用事を自分の受け持ちとして行う 家族:たたむ分を残しておく(記入欄)/訪問介護:たたみ終えるまで待ち、量の調整は本人と決める
浴槽に入らずシャワーだけになり、またぐ場面が消えた 入浴の場面で、自分で行える範囲を保つ 体を洗う場面のうち、手の届く範囲を自分で洗う 通所介護:洗う範囲は本人が行い、職員は届かない場所のみ。浴槽の出入りの可否は主治医・看護職員・理学療法士等から示されている内容(記入欄)による

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

人と会う場面・外に出る場面から戻す

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容(誰が、どの場面で、どこまで待つか)
玄関まで行かなくなり、外の空気に触れる場面が消えた 用事があれば玄関の外に出られる暮らしに戻る 郵便物を取りに玄関まで行く日がある 訪問介護:玄関までの経路を一緒に確認し、移動は本人が行う。同行の範囲は(記入欄)
通院の受付も説明も家族が行い、自分で伝える場面が消えた 自分のことを自分の言葉で伝えられる 受診のとき、伝えたいことを自分で話す 家族:先に答えず待つ(記入欄)/訪問介護:伝えたいことを事前に本人と一緒に書き出す
買い物に行かなくなり、何を買うかも決めなくなった 暮らしに必要な物を自分で選べる 買う物を自分で決めて伝える日がある 訪問介護:買う物を本人が決めるまで待つ。書き出す方法は(記入欄)
訪ねてくる人がいなくなり、家族以外と話す機会が消えた 家族以外と話す機会のある暮らしに戻る 家族以外の人と話す機会が、週のうちにある 通所介護:本人が話しやすい相手と席を近くする(記入欄)/訪問介護:来客の予定を本人と確認する
電話に家族が代わりに出るようになり、自分でやりとりしなくなった 自分で連絡を取れる状態を保つ 自分で電話をかける場面がある 家族:先に受話器を取らない(記入欄)/訪問介護:連絡先を見やすい形にまとめる
行きつけの場所に行かなくなったが、理由が確かめられていない 行かなくなった理由を取り除き、行き先を取り戻す 行かなくなった理由を本人と一緒に確かめられている 訪問介護:理由の聞き取り(移動・トイレ・費用・人間関係のどれか)を行う。確かめた理由は(記入欄)
庭に出る習慣がなくなり、季節に触れる場面が消えた 季節の用事に関わる暮らしに戻る 庭に出て、季節の用事に関わる日がある 訪問介護:出入り口の段差の確認(記入欄)/福祉用具:出入りを支える用具の相談
行事や集まりに誘われなくなった 誘われる側であり続けられる 誘いを受けて、参加するかどうかを自分で決める 通所介護:行事の予定を本人に直接伝え、返事を待つ。伝える方法は(記入欄)
用件のときしか家族と話さなくなった 用事がなくても言葉を交わす時間がある 家族と、用件以外の話をする時間が一日のうちにある 家族:同じ部屋で過ごす時間の確保(記入欄)/訪問介護:話題になる出来事を記録から家族へ渡す
外出のたびに車いすで運ばれ、歩く場面が外では消えた 外でも自分の足で歩く場面を保つ 外出先で、決めた区間を自分で歩く日がある 通所介護:送迎の乗り降りから玄関までを歩く区間とする。区間と支えは(記入欄)。歩き方は主治医・看護職員・理学療法士等から示されている内容(記入欄)による

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

三十組を書き並べてみると、サービス内容の欄がどれも似た形になっていることに気づきます。「本人が行う場面」と「職員が手を出す境目」と「示されている内容の記入欄」の三つです。この三つが入っていれば、誰が読んでも同じ関わり方に近づきます。逆に、この三つのどれかが抜けている計画は、読んだ人の判断に委ねられ、委ねられた判断はほぼ例外なく「手伝う」に倒れます。書き上げたら、その計画をまだ会ったことのない職員が読む場面を想像して、どの動作で手を止めればよいか読み取れるかどうかを確かめてください。読み取れないなら、抜けているのは情報ではなく、場面の名前です。

短期目標に「日がある」という言い方を多く使っているのは、毎日できることを条件にすると、できなかった日を数えることになるからです。数えるのは、できなかった日ではなく、出番があった日のほうです。回数や時間で管理したい場合は、示されている内容とご本人の希望に沿って記入欄に入れ、計画の本文には場面のほうを残してください。場面は、数字より引き継がれやすいからです。

「待つ」を、職員のあいだでそろえる

計画に「見守る」「待つ」と書いても、それだけでは伝わりません。待つ時間の長さも、手を出す合図も、人によって違うからです。同じ利用者に、朝は待ってもらえて、夕方は待ってもらえない。担当が替わった週から、また全部やってもらうようになる。こうして、いったん戻した機会がもう一度消えます。

職員を集めて「待ちましょう」と伝えても、この食い違いは埋まりません。待つことに反対する人はいないからです。食い違っているのは意識ではなく、待つ範囲と、手を出す合図と、時間が足りない日の優先順位という、書けば決まる三点です。書かれていない限り、その場に立った人が一人で決めることになり、経験の浅い職員ほど安全側に倒れます。それは職員の問題ではなく、決めていない事業所の側の問題です。

そろえるべきは気持ちではなく、決めごとの言葉です。以下は、事業所として先に決めておくと現場が迷わない項目です。空欄のまま運用すると、その場に立った人が一人で決めることになり、判断はいつも安全側に倒れます。

どこまで待つかを決める

決めること 決めていないと起きること 貴事業所の決め(記入欄)
待つ対象の場面を、どこまで具体的に書くか 「見守り」とだけ書かれ、実際には手を出す人が出る (記入欄)
一つの動作を待つ時間の目安 職員ごとに待てる長さが違い、日によって介助量が変わる (記入欄)
途中で止まったときに、どこから手を出すか 止まった瞬間に全部やってしまう (記入欄)
本人が「やって」と言ったときの扱い 言われた時点で全介助になり、場面ごと消える (記入欄)
その日に一つも待てなかったときの扱い 誰にも共有されず、気づかないまま常態になる (記入欄)
待つ場面を減らすときの決め方(誰が決めるか) 現場の判断だけで減り、計画と食い違う (記入欄)
待つ場面を増やすときの決め方 増やす提案が出ても、決める人がいないまま流れる (記入欄)
本人の体調がすぐれない日の扱い その日限りのつもりが、そのまま元に戻らない (記入欄)
体調に関する判断を、誰に確認するか 現場が医療上の判断を抱え込む 主治医・看護職員・理学療法士等(記入欄)
待つ場面を書き留める欄(計画・手順書・記録のどこか) 三つの書類で内容が食い違う (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

手を出す合図を決める

決めること 決めていないと起きること 貴事業所の決め(記入欄)
本人からの合図(言葉・しぐさ)をどう受け取るか 言われる前に手が出る (記入欄)
職員の側から手を出す条件 条件が人によって違い、介助量が安定しない (記入欄)
手を出したあと、どこまでで手を引くか 始めた人が最後まで全部やってしまう (記入欄)
声のかけ方(急かさない言い方の例) 急かす言い方になり、本人がやめてしまう (記入欄)
見守るときの立ち位置 近すぎて手が出る、遠すぎて支えが間に合わない (記入欄)
体調の変化を感じたときの中止の連絡先 現場が一人で判断して抱える 主治医・看護職員・理学療法士等(記入欄)
本人が失敗したときの声のかけ方 次から本人がやりたがらなくなる (記入欄)
家族が同席しているときの合図 家族が先に手を出し、待つ場面が消える (記入欄)
手を出した理由を残す欄 なぜ介助したかが分からず、次の人も同じにする (記入欄)
合図を見直すきっかけと時期 いつまでも初回の設定のままになる (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

時間がないとき・担当が替わるときを決める

決めること 決めていないと起きること 貴事業所の決め(記入欄)
時間が足りない日でも変えない場面(最後の一つ) 忙しい日から順に、待つ場面が消える (記入欄)
時間が足りない日に、先に省いてよい業務 省く判断がその場任せになり、いつも同じ場面が犠牲になる (記入欄)
待つために必要な時間を、訪問の枠にどう組み込むか 枠に入っていないため、待つと必ず遅れる (記入欄)
応援・代替の職員が入る日の扱い その日だけ全介助になり、翌日以降も戻らない (記入欄)
引き継ぎ書に書く「待つ範囲」の欄 口頭でしか伝わらず、担当が替わると消える (記入欄)
新人・実習生が入る日の見守り方 手伝うほうが安心なので、手が出る (記入欄)
夜間に限って手を出す範囲 夜のやり方が日中にも広がる (記入欄)
担当の介護支援専門員が替わるときに渡す内容 その場面を残してきた理由が消える (記入欄)
他の事業所へ引き継ぐときに渡す内容 事業所が替わった週からやり方が戻る (記入欄)
決めごとを読み合わせる場と頻度 書いてあるだけで、誰も読まないまま古くなる (記入欄)

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

待った場面を伝える申し送りの完成文

場面 申し送りの完成文
起き上がり 朝の訪問時、起き上がりは声かけのみで見守りました。ご自分でベッドの端まで座られたので、こちらから手は出していません。次回も同じ範囲で見守ってください。
着替え 上着の袖を通す場面はご自分で行われました。ボタンは途中で止まられたので、下の二つだけ手伝っています。次回も、止まるまでは待ってください。
立ち上がり 手すりに手をかけるところまで待ちました。「よいしょ」と声が出てから立たれたので、支えは腰に軽く添えるだけにしています。
移動 居室から居間までの区間は、ご自分で移動されました。廊下の途中で一度止まられましたが、待つと再び進まれています。
トイレ 日中はトイレまで同行し、移動はご自分で行われました。下の衣類の上げ下ろしのみ手伝っています。
食事 食卓まで移動してから召し上がりました。食器を流しまで運ぶところまで、ご自分で行われています。
入浴 体を洗う場面は、手の届く範囲をご自分で洗われました。背中のみこちらで洗っています。
整容 鏡と櫛を手元に置くと、ご自分で髪を整えられました。仕上げの手伝いは不要でした。
家事 洗濯物をたたむ場面は最後までご自分で行われました。たたむ量は前回と同じにしています。
外出 玄関まで郵便物を取りに行かれました。往路は見守り、復路は手すりに手を添えられています。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

手を出した場面を伝える申し送りの完成文

場面 申し送りの完成文
起き上がり 本日は起き上がりを介助しました。ご本人から「今日は手伝って」と申し出があったためです。次回はまず見守りから始めてください。
着替え 本日は袖を通すところから介助しました。次の訪問が迫っていたためで、状態の変化ではありません。次回は待つ形に戻します。
移動 本日は居間まで車いすで移動しました。廊下に洗濯物が置かれており、経路が確保できなかったためです。置き場所をご家族と相談します。
トイレ 本日は居室のポータブルトイレを使用しました。ご本人から間に合わないと申し出があったためです。日中の誘導の時間帯を見直します。
立ち上がり 本日は立ち上がりを介助しました。手すりに手が届く位置に椅子がなかったためです。椅子の位置を元に戻しています。
食事 本日はベッド上で召し上がりました。ご本人から「今日は動きたくない」と申し出があったためです。翌日は食卓へお誘いください。
入浴 本日は全身をこちらで洗いました。ご本人から寒いと申し出があり、時間を短くしたためです。室温の調整を先に行います。
整容 本日は髪を整えるところを代わりに行いました。訪問時間の残りが少なかったためです。次回は道具を先に手元へ置きます。
家事 本日は洗濯物をこちらでたたみました。ご家族がすでにたたみ終えていたためです。残しておく分をご家族と決めます。
外出 本日は玄関まで同行し、扉の開閉をこちらで行いました。扉が重く、ご本人の手では動かなかったためです。扉の調整を相談します。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

機会が消えかけている場面を伝える申し送りの完成文

場面 申し送りの完成文
着替え ここ数回、日中も寝間着のまま過ごされています。着替えの場面が消えかけているので、朝の訪問で服を選ぶところから始めてください。
移動 居間まで車いすで移動する回が続いています。歩く区間が消えかけているため、次回は玄関までの区間だけ歩く形に戻します。
トイレ 日中もポータブルトイレの使用が続いています。トイレまで行く場面が消えかけているので、日中の誘導を再開してください。
食事 ベッド上での食事が続いています。食卓に着く場面が消えかけているため、昼だけでも食卓へお誘いください。
家事 洗濯物がすべてたたまれた状態になっています。受け持ちの用事が消えかけているので、ご家族と残す分を相談します。
外出 玄関まで出る場面が二週続けてありません。外に出る用事が消えかけているため、郵便物を取りに行く形で戻します。
人と会う ご家族以外と話す場面が記録に出てきません。話す相手のいる時間が消えかけているので、通所の予定を本人に直接お伝えください。
整容 鏡の前に立たれる場面が減っています。身なりを整える場面が消えかけているため、道具の置き場所を手の届く位置に戻します。
立ち上がり ご自分の力で立たれる場面が記録から減っています。立つ場面が消えかけているので、手すりの位置と椅子の高さを確認してください。
意思表示 ご自分から希望を口にされる場面が減っています。決める場面が消えかけているため、時間で誘う前に必ず確認する言い方に変えてください。

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担当が替わるときの申し送りの完成文

場面 申し送りの完成文
引き継ぎ全体 この方については、ご自分で行われる場面を残すことを計画に置いています。介助の量ではなく、待つ場面が守られているかで引き継いでください。
起床 朝の起き上がりは、声かけのみで見守る場面です。手を出す合図はご本人の申し出があったときのみとしています。
着替え 着替えは、服を選ぶところと袖を通すところがご本人の場面です。ボタンは止まられたところから手伝ってください。
移動 居室から居間までの区間は、ご本人が移動される場面です。支えは腰に軽く添える範囲までとしています。
トイレ 日中はトイレまで、夜間はポータブルという分け方をしています。日中の分をそのまま夜間のやり方に合わせないでください。
食事 食卓への移動と、食器を下げる場面がご本人の場面です。配膳はこちらで行っています。
入浴 体を洗う場面は、手の届く範囲がご本人です。浴槽の出入りについては、示されている内容を確認したうえで行ってください。
家事 洗濯物をたたむ用事は、ご本人の受け持ちとして残しています。先にたたまないでください。
家族への説明 ご家族には、待つことも支援であるとお伝えしています。急がなくてよい時間帯に訪問を合わせている経緯も引き継いでください。
変更の相談先 待つ場面を減らす判断は、現場だけで行わない取り決めです。変更が必要なときは、担当の介護支援専門員へご相談ください。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

申し送りの完成文をそのまま使うときは、一点だけ気をつけてください。手を出した場面の申し送りには、必ず理由を添えることです。理由のない「介助した」は、次に読む人にとっては「この人は介助する人だ」という情報になります。時間が足りなかったのか、本人の申し出があったのか、環境が変わっていたのか。理由が残っていれば、次の人はその条件だけを直せばよく、待つ場面はそのまま残ります。

そして、機会が消えかけている場面の申し送りは、気づいた人がその場で出してください。消えかけの段階なら、戻すのは一回の訪問で済みます。完全に消えてから気づくと、戻すのは計画の作り直しからになります。

見て分かることだけを、記録に残す

記録が「できた」「できなかった」で埋まっていると、次に入る人は判断ができません。できなかったと書いてあれば、次の人は最初から手を出します。そうして、記録そのものが機会を消す側に回ります。

残すのは三つだけです。どこまで自分で/どのくらいの時間で/どんな手助けで。この三つは、その場にいた人でなくても目で見て確かめられる事実です。時間や回数の実測は記入欄に入れてください。体の状態についての見立ては書かず、気になったことは主治医・看護職員・理学療法士等へ確認した内容として残します。

「手助けをしていない」と書けることには、思っている以上の価値があります。介助をした記録は残りやすい一方で、手を出さずに待った時間は、書かなければどこにも残りません。残らないので、次の担当者にも、家族にも、担当者会議の場にも伝わりません。待ったことを書いておけば、それが次の人にとっての引き継ぎになり、同時に「この場面はまだ本人の出番として残っている」という記録にもなります。

書くときの言葉づかいも、そろえておくと後が楽です。「自立」「一部介助」といった区分だけを書くと、区分の解釈が人によって違うため、あとから読み返しても場面が浮かびません。区分を書くなとは言いませんが、区分の横に「どの動作を、誰が、どこまで」を一文で添えてください。添えた一文のほうが、翌月の見直しでも、担当が替わったときにも、そのまま使えます。

起床と身支度の場面の記録

場面 記録の完成文
起き上がり 訪問時、声かけのみでベッドの端まで自分で座られた。かかった時間は(記入欄)。手は添えていない。
起き上がり(手助けあり) ベッド柵に手をかけるところまで自分で行い、体を起こす場面で腰に手を添えた。添えた時間は(記入欄)。
端に座る 端に座った姿勢を、支えなしで保たれた。保った時間は(記入欄)。姿勢の崩れはなかった。
履き物 スリッパに足を入れるところまで自分で行い、かかとを入れる場面のみ手伝った。
服を選ぶ たんすを開け、自分で上着を選ばれた。選ぶまでにかかった時間は(記入欄)。
袖を通す 上着の袖を両方とも自分で通された。手助けはしていない。
ボタン ボタンは上から順に自分でとめ、いちばん下で止まったため一つだけ手伝った。
洗面 洗面所まで自分で移動し、湯の温度を自分で確かめてから顔を洗われた。
歯みがき 歯みがきは最後まで自分で行われた。仕上げの手伝いはしていない。
整髪 鏡と櫛を手元に置くと、自分で髪を整えられた。整えるまでの時間は(記入欄)。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

移動とトイレの場面の記録

場面 記録の完成文
立ち上がり 手すりに手をかけ、自分の力で立ち上がられた。支えは添えていない。かかった時間は(記入欄)。
立ち上がり(手助けあり) 手すりに手をかけるところまで自分で行い、立ち上がる場面で腰に手を添えた。添えた場面は一度のみ。
向きを変える 足を踏みかえて自分で向きを変えられた。ふらつきの訴えはなかった。
室内の移動 居室から居間までの区間を、見守りのみで自分で移動された。途中で止まった回数は(記入欄)。
移動(休みながら) 廊下の途中で一度止まられたが、待つと自分で再び歩き出された。待った時間は(記入欄)。
段差 敷居を、手すりを使って自分でまたがれた。手助けはしていない。
トイレまで トイレまで自分で移動された。同行はしたが、体には触れていない。
トイレでの動作 下の衣類の上げ下ろしのうち、上げる場面を自分で行われた。下ろす場面のみ手伝った。
意思の表出 誘う前に、自分から「トイレに行きたい」と伝えられた。伝えられた時刻は(記入欄)。
手洗い 洗面台まで移動して自分で手を洗われた。おしぼりは使用していない。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

食事の場面の記録

場面 記録の完成文
席まで移動 食卓まで自分で移動し、椅子に座って召し上がった。移動の手助けはしていない。
姿勢を整える 椅子を自分で引き、座り直してから食事を始められた。姿勢の手直しはしていない。
ふたを開ける 容器のふたを自分で開けられた。開けるまでの時間は(記入欄)。
箸・スプーン 箸を自分で持ち、最後まで持ち替えずに使われた。
配膳 自分の分を食卓まで運ばれた。運んだ物は(記入欄)。
片づけ 食後、自分の食器を流しまで運ばれた。運ぶ場面での手助けはしていない。
ベッド上での食事 本日はベッド上で召し上がった。本人から「今日は動きたくない」と申し出があったため。
水分 コップを自分で持ち、こぼさずに飲まれた。差し出す手助けはしていない。
食事中の様子 食事中、同席した方と会話をされた。会話のあった場面は(記入欄)。
気になったこと 食事の場面で気になった点を看護職員へ伝えた。伝えた内容と返答は(記入欄)。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

入浴と着替えの場面の記録

場面 記録の完成文
浴室まで 脱衣所まで自分で移動された。移動の手助けはしていない。
脱ぐ 上着を自分で脱がれた。下の衣類のみ手伝った。
洗う 手の届く範囲を自分で洗われた。背中のみこちらで洗った。
洗う(道具) 柄の長い道具を使うと、背中まで自分で洗われた。使用した道具は(記入欄)。
浴槽 浴槽の出入りについては、示されている内容(記入欄)に沿って行った。
着る 浴後、上着を自分で着られた。袖を通す手助けはしていない。
拭く 手の届く範囲を自分で拭かれた。背中と足元のみ手伝った。
靴下 座って靴下に足を入れるところまで自分で行い、引き上げる場面のみ手伝った。
時間の記録 脱ぐところから着終わるまでにかかった時間は(記入欄)。前回との差は(記入欄)。
断られたとき 入浴を断られたため清拭とした。断られた理由として述べられた言葉は(記入欄)。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

家事・外出・人と会う場面の記録

場面 記録の完成文
洗濯物 洗濯物をたたむ用事を最後まで自分で行われた。たたんだ量は(記入欄)。
台所 座ったまま、野菜の皮をむく工程を行われた。かかった時間は(記入欄)。
片づけ 自分の身のまわりを片づけられた。片づけた場所は(記入欄)。
買う物を決める 買う物を自分で挙げ、書き留められた。挙げられた品は(記入欄)。
玄関まで 郵便物を取りに玄関まで自分で行かれた。往路は見守りのみ、復路は手すりに手を添えられた。
庭に出て、鉢の様子を見て回られた。外に出ていた時間は(記入欄)。
外出先での移動 送迎の車から玄関までの区間を、自分で歩かれた。支えは添えていない。
会話 他の利用者と会話をされた。話された相手と場面は(記入欄)。
電話 自分で電話をかけられた。かけた相手は(記入欄)。家族の代わりの応対はしていない。
誘いへの返事 行事の予定を直接お伝えしたところ、自分で参加を決められた。返事までにかかった時間は(記入欄)。

※本記事は文例集であり、個別の医療上の判断を示すものではありません。療養上の指示は主治医・看護職員・理学療法士等にご確認ください。介護報酬の算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

この五つの節に共通しているのは、体を評価していないことです。見ているのは、暮らしのどの場面に本人の出番が残っているか、それだけです。動かなかったという事実の積み重ねが状態になったのなら、戻す道もまた、暮らしの場面の側にあります。数えるべきは失われた機能ではなく、まだ残っている出番の数です。

見直しのときも、同じ数え方でかまいません。前の期間と比べて、出番のある場面が増えたのか、減ったのか、移ったのか。減っていたなら、減った場面について「誰が代わりにやるようになったのか」と「そのとき何があったのか」を確かめます。体の状態に理由を求める前に、環境と関わり方の側を先に見る。原因を作った側から探すほうが、直せることが多いからです。療養上の指示や体の状態についての判断は、主治医・看護職員・理学療法士等から示されている内容に沿って、記入欄に受け取ってください。

よくある質問(FAQ)

廃用症候群のケアプランで重視する点は?
離床と活動量の確保、生活動作の再獲得、動かないことによる悪循環の予防です。
離床はどう位置づけますか?
座位・立位・移動の時間を段階的に増やすことを、リハビリと連携して計画します。
栄養も関係しますか?
栄養については主治医・管理栄養士から示される内容があります。示された内容(記入欄)を計画に位置づけます。
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
カイポケをご利用中でなくても、神マナは単体で問題なくご利用いただけます。「マナドライブ」で帳票類の管理・網羅もでき、まず神マナを導入して後からカイポケを連携することも可能です。カイポケの導入をご希望の際は、当社からサポート担当へお繋ぎします。詳しくは「カイポケ導入相談・お見積り」の案内ページをご覧ください。
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場面別|廃用症候群の観察と記録の文例

廃用症候群の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。

場面 記録の文例
離床 9時、車いすへ移乗し居間で過ごされる。座位保持は連続40分。
臥床時間 日中の臥床が前月の6時間から4時間に減った。
立ち上がり 手すりを使い、見守りで5回連続して行えた。
歩行 歩行器で10m。前月は5mだった。
関節可動域 膝の曲げ伸ばしの様子(記入欄)。前月から変化なし。
筋力 理学療法士から示されている内容(記入欄)を、ご自分で行えている。
食事 車いすに座って摂取。主食8割・副食7割。
食事の姿勢 足底が床につく高さに調整。前傾が減った。
排泄 日中はトイレへ誘導。ポータブルトイレの使用が減った。
入浴 浴槽の出入りを2名介助から1名介助にできた。
皮膚 仙骨部の皮膚に赤みなし。起きて過ごした時間は(記入欄)。
意欲 「起きているほうが気持ちいい」と話される。
活動 午後に洗濯物たたみを15分行われる。
会話 他の利用者と話す場面が1日2回あった。
睡眠 夜間の中途覚醒が2回から1回に減った。
体重 49.2kg。前月比プラス0.5kg。
注意点 主治医・看護職員から示されている起こし方(記入欄)に沿う。いつもと違う様子に気づいたら看護職員へ伝える。
連携 機能訓練指導員より「下肢筋力に改善」との報告。

あわせて確認したい、併存しやすい状態

廃用症候群の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。

COPD(呼吸器疾患)低栄養・フレイル誤嚥性肺炎/変形性膝関節症/褥瘡(床ずれ)/骨折・転倒後/脳血管疾患脊柱管狭窄症

27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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