COPDなど呼吸器疾患の方のケアプランは、息切れに配慮しながら活動を保ち、感染を予防することが大切です。文例とともに整理します。
ケアの視点
息切れの程度に合わせて活動量を調整し、感染予防や在宅酸素の管理を支えます。無理のない範囲で生活範囲を保つことが目標です。
ケアプランの文例
ニーズ:息切れがあっても、できる範囲で自分らしく暮らしたい。
長期目標:息切れに配慮しながら、身の回りのことを続けられる。
短期目標:休憩をはさみながら、屋内の移動と身支度ができる。
サービス内容:訪問看護による呼吸状態の観察、活動量の調整、感染予防の助言、在宅酸素の管理支援。
書き方のポイント
- 息切れの程度(どの動作でつらいか)を具体的に
- 感染予防・在宅酸素など医療的配慮を留意事項に
- 休憩を入れた生活動作の工夫を書く
計画に落とし込むときに迷うところ——COPD(慢性閉塞性肺疾患)の場合
① 息切れを恐れて動かなくなる悪循環
動くと息が切れる→動かない→筋力が落ちる→少し動いただけで息が切れる。この循環が生活を狭めます。「安静にする」を目標にしないことが要点です。
② 呼吸法と動作を、生活の中で組み合わせる
口すぼめ呼吸などの方法を「訓練の時間」だけで行っても定着しません。着替え、入浴、階段など、息が切れる具体的な場面と結びつけて計画に書きます。
③ 増悪(急に悪くなること)の兆候を全員が知っている状態にする
痰の色が変わる、いつもより息苦しい、足がむくむ——こうした変化に早く気づけるかどうかで経過が変わります。誰が、どの頻度で見るかを計画で決めます。
長期目標・短期目標の立て方
| 避けたい書き方 | 扱いやすい書き方 | |
|---|---|---|
| 長期目標 | 息切れがなくなる | 息切れと付き合いながら、したい生活を続けられる |
| 短期目標 | 毎日運動する | 息が切れにくい動き方で、身の回りのことができる |
| 短期目標 | 禁煙する | 禁煙を続け、受診時に主治医へ報告できる |
サービス種別ごとの位置づけ例
| サービス | 位置づけの例 | 記録で見るところ |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 息の切れる動作の支援、環境の調整 | どの動作で息が切れるか、酸素飽和度(測定している場合) |
| 訪問看護 | 呼吸状態と全身状態の観察、増悪の早期発見 | 呼吸数、痰の量と色、浮腫、体重 |
| 通所リハ | 呼吸法と、息を切らさない動作の練習 | 実施内容と、実施中の息切れ |
| 福祉用具 | 移動と入浴の負担軽減(シャワーチェア、歩行器) | 用具の使用状況 |
第1表・第2表の文例
第1表:利用者及び家族の生活に対する意向
- 本人「風呂に入るだけで息が切れる。だんだんできないことが増えていく」
- 妻「発作のようになると、どうしてよいか分からない」
第1表:総合的な援助の方針
息切れの起きる場面を具体的に把握し、動作の工夫と環境の調整で、できることを保ちます。呼吸法を生活の中の動作と結びつけて練習します。増悪の兆候を関係者全員で共有し、早めに主治医へつなげる体制を整えます。
第2表:ニーズ・目標・サービス内容
| 生活全般の解決すべき課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 入浴や着替えで息が切れ、途中で休んでしまう | 息を切らさずに身の回りのことができる | シャワーチェアを使い、休憩を挟んで入浴を終えられる | 訪問介護:入浴介助/福祉用具:シャワーチェア |
| 動くと苦しいため、外出しなくなっている | 活動範囲を保てる | 週2回、通所で体を動かせる | 通所リハ:週2回 |
| 増悪の兆候に気づくのが遅れやすい | 変化に早く気づき、対応できる | 痰の色や息苦しさの変化を家族が伝えられる | 訪問看護:週1回の観察と指導 |
| 在宅酸素の管理に不安がある | 安全に酸素療法を続けられる | 機器の扱いと注意点を本人・家族が説明できる | 訪問看護:指導/業者:定期点検 |
モニタリングで見る、変化のサイン
- 息切れ——どの動作で、どのくらいで切れるか(着替え、トイレ、階段)
- 痰——量、色、粘り。色の変化は感染の兆候とされます
- 呼吸数——安静時に増えていないか
- 浮腫——足のむくみ
- 体重——急な増加は心臓への負担のサインになることがあります
- 喫煙——本人だけでなく、同居家族の喫煙も影響します
- 気持ち——息苦しさは強い不安を伴います
計画づくりでよくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 「安静に」と書いてよいか | 動かないと機能が落ちます。息を切らさない動き方を書くほうが実際的です |
| 酸素の量を調整してよいか | 主治医の指示によります。支援者が変えないことを計画にも書きます |
| 禁煙を目標に入れるか | 本人が納得していない目標は達成できません。まず受診時に相談する形から入ります |
| 入浴を控えるべきか | 控えるより、方法を変えます(シャワーチェア、湯温、時間帯) |
| 家族が「頑張れ」と言ってしまう | 息切れは根性で解決しません。動作の工夫という具体策を共有します |
※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
ケアプラン文例(記入例・コピペ可)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の方のケアプランでは、呼吸の管理、息切れとつきあう活動、感染予防、在宅酸素の管理が柱です。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| 息切れとつきあいながら生活したい | (長期)呼吸を整え日常動作を続けられる/(短期)動作を工夫し息切れが減る | 呼吸リハビリ、動作指導、環境整備、訪問看護の観察 |
| 感染を防いで体調を保ちたい | (長期)増悪なく在宅生活を続けられる/(短期)手洗い・うがい・ワクチンで感染を予防できる | 訪問看護の健康観察、感染予防の指導、主治医と連携 |
| 在宅酸素を安全に使いたい | (長期)在宅酸素を安全に継続できる/(短期)機器の管理ができる | 訪問看護の酸素管理、家族への指導、緊急時の連絡体制 |
COPD(慢性閉塞性肺疾患)|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 息切れがあるが、自分のことは自分でしたい | 呼吸苦をやわらげ、身の回りのことを続けられる(1年) | 口すぼめ呼吸を日常の動作で使える(3か月) | 訪問リハビリテーション:呼吸リハ/訪問看護:呼吸状態の観察 |
| 在宅酸素を使うのが煩わしい | 酸素を指示どおりに使い、活動を保てる(1年) | 労作時に酸素を使用できる(2か月) | 訪問看護:使用状況の確認/福祉用具:延長チューブの調整 |
| 入浴すると息が上がる | 安全に入浴を続けられる(1年) | 休憩をはさみながら入浴できる(3か月) | 訪問介護:入浴の見守りと介助/訪問看護:入浴前後の観察 |
| 痰が出しにくい | 呼吸が楽な状態を保てる(6か月) | 食後の排痰が自分でできる(2か月) | 訪問看護:排痰の援助と指導/本人:水分摂取 |
| 風邪をひくと長引いて入院になる | 増悪せずに、在宅生活を続けられる(1年) | 増悪のサインに気づき、連絡できる(3か月) | 訪問看護:週1回の観察/本人・家族:受診の目安の共有 |
| 食事をすると苦しくなる | 必要な栄養がとれ、体重を維持できる(6か月) | 1回量を減らし、1日5回に分けて食べられる(3か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士/訪問介護:食事の準備 |
| たばこをやめたいがやめられない | 禁煙が続き、症状の進行をゆるやかにできる(1年) | 1か月間、禁煙を続けられる(1か月) | 訪問看護:禁煙の支援/主治医との連携 |
| 動くのがこわくて家に閉じこもりがちだ | 活動の範囲を保ち、体力の低下を防げる(1年) | 週2回、屋外へ出られる(3か月) | 通所リハビリテーション(週2)/訪問リハビリテーション |
| 夜、息苦しくて眠れないことがある | 夜間の睡眠が確保できる(6か月) | 安楽な姿勢で入眠できる(2か月) | 福祉用具貸与:ギャッチベッド/訪問看護:夜間症状の確認 |
| 酸素を使いながらの外出が不安だ | 安心して外出を続けられる(1年) | 携帯用酸素を使って、近所への外出ができる(3か月) | 訪問看護:外出時の指導/家族:付き添い |
COPD(慢性閉塞性肺疾患)|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 呼吸 | 呼吸数、労作時の息切れの程度、喘鳴 | 訪問回数と呼吸リハの内容を見直す |
| 酸素 | 流量、使用時間、機器の作動 | 使用状況の確認をサービス内容に加える |
| 喀痰 | 量・色・粘稠度の変化 | 増悪のサインとして報告の目安を書く |
| 体温 | 発熱、微熱の持続 | 受診の目安を家族と共有する |
| 食事・体重 | 摂取量、体重の減少 | 栄養に関する支援を加える |
| 活動量 | 外出の回数、屋内の移動 | 活動の目標を現実的な回数に置き直す |
| 睡眠 | 夜間の呼吸苦、起座呼吸 | 姿勢の工夫と福祉用具を検討する |
| 喫煙 | 継続の有無 | 禁煙の支援を計画に位置づける |
COPD(慢性閉塞性肺疾患)|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| COPDを悪化させない | 起きなかったことは確認しにくい | 増悪せずに、在宅生活を続けられる |
| 酸素療法を実施する | サービス内容であり、目標ではない | 労作時に酸素を使用できる |
| 呼吸リハビリを行う | 手段が目標になっている | 口すぼめ呼吸を日常の動作で使える |
| 禁煙を指導する | 指導が目標になってしまっている | 1か月間、禁煙を続けられる |
| 息切れを軽減する | 誰が何をするか分からない | 休憩をはさみながら入浴できる |
| 栄養状態を改善する | 何をもって改善とするか分からない | 1回量を減らし、1日5回に分けて食べられる |
| 活動性を維持する | 量が示されていない | 週2回、屋外へ出られる |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
COPDのケアプランで大切な点は?
息切れへの対応はどう書きますか?
感染予防が重要なのはなぜですか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
無料ではじめる
次の一歩を、どうぞ
介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
アプリケーションを無料で使ってみる(iPhone / Android)
利用者さま3名まで・期限なく無料/クレジットカード登録不要
場面別|慢性閉塞性肺疾患の観察と記録の文例
慢性閉塞性肺疾患の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 息切れ | 屋内歩行10mで息切れあり。休憩1回。安静時はなし。 |
| 呼吸 | 安静時18回/分。口すぼめ呼吸を自分で行える。 |
| 経皮的動脈血酸素飽和度 | 安静時95%、労作後92%。 |
| 在宅酸素 | 安静時1L/分、労作時2L/分。1日16時間装着している。 |
| 痰 | 白色痰が少量。自力で喀出できている。 |
| 咳 | 早朝に多い。日中は落ち着いている。 |
| 食事 | 1回量を減らし、1日5回に分けている。主食8割相当。 |
| 体重 | 44.8kg。前月比マイナス0.5kg。 |
| 入浴 | 酸素を装着したまま実施。湯温40度、5分以内。 |
| 更衣 | 前かがみで息切れが出るため、座位で行っている。 |
| 活動 | 午前に室内歩行。息切れの手前で休むよう声かけ。 |
| 感染予防 | 手洗い・うがいを励行。人混みを避けている。 |
| 喫煙 | 禁煙を継続。 |
| 服薬 | 吸入薬を朝夕。手技を毎回確認している。 |
| 環境 | 室温22〜24度、湿度50〜60%を保っている。 |
| 睡眠 | 上体を挙上して就寝。夜間の呼吸苦なし。 |
| 注意点 | 痰が黄色くなる、息切れが強まる、経皮的動脈血酸素飽和度が下がるときは早めに受診する。 |
| 連携 | 訪問看護より「呼吸状態は安定」との報告。 |
あわせて確認したい、併存しやすい状態
COPD(呼吸器疾患)の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
