心不全など心疾患のある方のケアプランは、体調のわずかな変化に早く気づき、無理のない活動量を保ちながら、再入院・再発を防ぐことが軸になります。心不全は「増悪(悪化)と軽快をくり返しながら進む」という経過をたどりやすく、退院後の再入院が起こりやすい疾患です。だからこそ、日々のセルフモニタリング(体重・むくみ・息切れ)と、変化があったときの受診連携をケアプランにどう落とし込むかが要になります。この記事では、心疾患特有の視点と、そのまま土台に使える文例を(例)付きで整理します。
この記事でわかること
- 心疾患のケアで押さえる視点(再発予防・受診連携)
- ケアプランの文例(第2表・記入例/コピペ可)
- 心不全特有の「悪化のサイン」と対照でわかる観察項目
- 書き方のポイントとよくあるご質問
- 文例を土台に、作成はAIで

ケアの視点
心不全のケアで中心になるのは、①セルフモニタリングによる早期発見、②水分・塩分・活動量の生活管理、③悪化の兆しがあったときにためらわず受診につなぐ連携体制の3つです。特に、退院直後は生活が元に戻る過程で再入院のリスクが上がりやすいため、退院時の主治医・病院からの指示(活動制限、内服、体重の目安など)をケアプランへ具体的に引き継ぐことが大切です。
「無理をさせない」ことと「動かなさすぎない」ことの両立も心疾患ならではの論点です。安静にしすぎると身体機能が落ち、かえって心臓への負担が増えることもあるため、活動量は主治医の指示のもとで調整します。判断に迷う数値や制限は、必ず主治医・訪問看護に確認する前提で計画します。
心不全で見逃したくない「悪化のサイン」
心不全の増悪は、急に起こるより数日かけて表れることが多いとされます。次のような変化を、ご本人・ご家族・サービス提供者が「共通のことば」で観察・共有できるよう、留意点に書き込んでおくと連絡がスムーズです。
| 観察する項目 | こんな変化に注意 | 計画への落とし込み(例) |
|---|---|---|
| 体重 | 短期間での急な増加(体内に水分がたまるサイン) | 毎朝・同じ条件で測定し記録。増加の目安は主治医に確認し、超えたら連絡 |
| むくみ(浮腫) | 下肢・足首・靴下の跡が残る、まぶたのむくみ | 訪問時に下肢を確認し左右差・程度を記録。悪化時は主治医へ報告 |
| 息切れ・呼吸 | 動いたときの息切れ、夜間に横になると苦しい | 夜間の呼吸苦の有無を家族が確認。強い息苦しさは緊急連絡の対象に |
| 服薬 | 飲み忘れ・自己中断(利尿薬・心不全治療薬など) | 服薬確認・お薬カレンダー。飲み方の疑問は主治医・薬剤師へ |
※上記は一般的な観察の目安です。個々の悪化のサインや基準値・活動制限は病状により異なるため、主治医・訪問看護の指示に基づいて設定してください。
ケアプランの文例(第2表・記入例/コピペ可)
心不全(心疾患)の方の第2表では、体重・浮腫の観察、塩分・水分の管理、活動量の調整、そして悪化時の受診連携を柱に組み立てます。以下は記入例です。氏名は伏字(A様)にしています。実際の作成では、ご本人の状態・主治医の指示に合わせて数値や表現を調整してください。
(例)A様(80代・慢性心不全。退院後、在宅で生活を続けたい)
ニーズ:心臓に負担をかけず、また入院することなく、住み慣れた自宅で暮らし続けたい。
長期目標:体調の変化に早く気づき、急な悪化・再入院なく在宅生活を続けられる。
短期目標:毎日の体重・むくみの確認が習慣になり、変化があれば早期に相談できる。
サービス内容:訪問看護による症状観察(体重・浮腫・呼吸・血圧)と服薬確認、活動量の助言、主治医との情報共有。ご家族による毎朝の体重測定の支援。
(例)B様(70代・虚血性心疾患。食事管理に不安がある)
ニーズ:食事に気をつけて、体調を保ちながら過ごしたい。
長期目標:塩分・水分の管理が生活に定着し、体調が安定する。
短期目標:主治医の指示に沿った減塩の食事を無理なく続けられる。
サービス内容:管理栄養士等による減塩の助言、配食サービスの利用、ご家族の調理協力、訪問時の食事内容の聞き取り。
(例)C様(80代・心不全+独居。緊急時の対応に不安がある)
ニーズ:具合が悪くなったとき、ひとりでも早く助けを呼べるようにしたい。
長期目標:異変時にためらわず連絡でき、必要な受診につながる。
短期目標:連絡先と受診の目安を紙で手元に置き、いつでも確認できる。
サービス内容:緊急連絡先一覧の作成と居室への掲示、訪問看護・主治医・家族の連絡体制の整理、必要に応じた緊急通報装置の検討。
第2表の一覧としてまとめると、次のようになります。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| 再入院せず、無理なく在宅生活を続けたい | (長期)急な悪化・再入院なく在宅生活を続けられる/(短期)活動量を調整し息切れが減る | 訪問看護の体重・浮腫・呼吸の観察、服薬確認、主治医の指示に沿った活動の助言 |
| 食事に気をつけて体調を保ちたい | (長期)塩分・水分が管理され体調が安定する/(短期)減塩の食事を続けられる | 管理栄養士の減塩助言、配食、家族の協力、食事内容の聞き取り |
| 体調変化に早く気づき、早く相談したい | (長期)異変時に早く受診につながる/(短期)体重・むくみを毎日確認できる | 訪問看護・家族による観察、体重測定、主治医への連絡体制・緊急連絡先の整理 |
※上記は記入例です。ケアプラン(居宅サービス計画書)は、厚生労働省が「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号、その後改正)で標準様式を示していますが、これは標準例であり様式の使用を拘束する趣旨ではないとされています。自治体・所属法人の様式・記載要領に合わせてご記入ください。
書き方のポイント
- 体重・むくみ・息切れなどの観察項目を、「いつ・誰が・どう記録するか」まで具体的に書く
- 水分・塩分・活動量の配慮は、主治医の指示(制限の内容)に沿って記載する(自己判断の数値を断定しない)
- 「悪化のサインが出たら、どこへ・どのタイミングで連絡するか」を留意事項に明記する
- 退院直後は、病院・主治医からの指示(活動制限・内服・体重の目安)を計画へ引き継ぐ
- ご本人・ご家族が続けられる無理のない内容にし、できていることは目標として肯定的に書く
記録をAIに渡すときの個人情報の扱い
本記事の記入例は、氏名をA様・B様などの伏字にしています。ケアプランや記録の下書きをAI等のツールに入力する際は、氏名・被保険者番号・住所などの個人情報の取り扱いについて、所属事業所・院内のルールをあらかじめご確認ください。必要に応じて氏名を伏字にする、個人が特定できる情報を外すといった配慮をおすすめします。
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
心不全|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| むくみが出やすいが、入院せずに家で過ごしたい | 心不全の増悪を起こさず、在宅生活を続けられる(1年) | 毎日体重を測り、記録をつけられる(2か月) | 訪問看護:体重・浮腫・呼吸の観察(週2)/本人:毎朝の体重測定 |
| 味の濃いものが好きだが、体調は崩したくない | 塩分の管理ができ、体調が安定する(6か月) | 1日の塩分の目安を意識した食事がとれる(3か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士の助言/訪問介護:調理/配食(保険外) |
| 少し動くと息が切れる | 息切れが軽くなり、身の回りのことを続けられる(6か月) | 休憩をはさみながら、屋内の移動ができる(3か月) | 訪問リハビリテーション:動作の指導/福祉用具:手すり |
| 薬が多くて飲み忘れる | 服薬が続き、症状が安定した状態を保てる(1年) | 服薬カレンダーで飲み忘れが週1回以下になる(2か月) | 訪問看護:服薬の確認/居宅療養管理指導:薬剤師による一包化の相談 |
| 夜中に息苦しくて目が覚める | 夜間の睡眠が確保できる(6か月) | 起座呼吸で目が覚める日がなくなる(3か月) | 訪問看護:夜間症状の確認と主治医への報告/福祉用具:ギャッチベッド |
| 入浴で心臓に負担がかからないか不安だ | 安全に入浴を続けられる(1年) | 入浴前後の体調確認が習慣になる(2か月) | 訪問看護:入浴前後の観察/訪問介護:入浴の見守り |
| 何度も入院していて、また戻るのが怖い | 再入院せずに、自宅での生活を続けられる(1年) | 悪化のサインに気づき、連絡できる(3か月) | 訪問看護:週2回の観察/本人・家族:受診の目安の共有 |
| 外出の機会が減り、気持ちが沈む | 活動と休息のバランスを保ち、生活に張りが出る(1年) | 週1回、負担のない範囲で外出できる(3か月) | 通所介護(週1)/訪問リハビリテーション:活動量の助言 |
| 一人暮らしで、急に悪くなったときが心配だ | 急変時にも連絡がつく体制のもとで生活できる(1年) | 緊急時の連絡手順を自分で実行できる(1か月) | 緊急通報装置/訪問看護:24時間対応体制/地域:見守り |
| 家族が食事の管理に自信を持てない | 家族が無理なく食事の支援を続けられる(6か月) | 家族が減塩の調理方法を実践できる(3か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士/訪問介護:調理の同行 |
| 通院の付き添いが家族の負担になっている | 受診が途切れず、家族の負担も減る(1年) | 月1回の受診に支援を受けて通える(2か月) | 訪問介護:通院等乗降介助/家族:役割の分担 |
| 体力が落ちて、家事ができなくなってきた | 必要な家事が確保され、生活が維持できる(6か月) | 週2回の生活援助で、住まいの清潔が保たれる(2か月) | 訪問介護:生活援助(週2)/家族:買い物の支援 |
心不全|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 体重 | 毎日同じ条件で測り、短期間での増加がないか | 増加時の連絡の目安を計画に明記する |
| 血圧・脈拍 | 変動の幅、脈の不整の有無 | 測定の頻度と記録の担当を書く |
| 浮腫 | 下腿・足背・まぶた。靴下の跡が残るか | 観察の担当と報告先を明記する |
| 呼吸 | 労作時の息切れ、夜間の起座呼吸、咳 | 訪問回数の見直しを検討する |
| 尿量 | 日中と夜間の回数、量の減少 | 利尿薬の服用時間について主治医へ相談する |
| 食事 | 塩分の摂り方、水分量、食欲 | 栄養に関するサービスを計画に加える |
| 服薬 | 飲み忘れ、自己判断での中断 | 管理方法を見直し、支援の入り方を変える |
| 活動量 | 外出の回数、家事の実施状況 | 活動と休息の配分を短期目標に置き直す |
心不全|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 心不全を悪化させない | 起きなかったことを目標にすると、達成の確認ができない | 心不全の増悪を起こさず、在宅生活を続けられる |
| 塩分を制限する | 支援者側の指示であり、利用者の目標ではない | 1日の塩分の目安を意識した食事がとれる |
| 体重測定を実施する | サービス内容であり、目標ではない | 毎日体重を測り、記録をつけられる |
| 心機能を維持する | 医学的な評価であり、生活の目標になっていない | 休憩をはさみながら、屋内の移動ができる |
| 服薬管理を徹底する | 誰が何をするか分からない | 服薬カレンダーで飲み忘れが週1回以下になる |
| 無理をしないよう指導する | 指導が目標になってしまっている | 活動と休息のバランスを保ち、生活に張りが出る |
| 再入院を防ぐ | 本人が何をできるようになるかが書かれていない | 悪化のサインに気づき、連絡できる |
心不全|日々の記録に残しておく数値
| 項目 | 記録の仕方 | 見直しにつなげるポイント |
|---|---|---|
| 体重 | 毎朝、起床後・排尿後・同じ服装で測る | 前日比・前週比で見る。増えた日の食事と水分を振り返る |
| 血圧 | 朝と夕、座位で1〜2分安静後に測る | 変動が大きい日は服薬時間との関係を確認する |
| 脈拍 | 血圧と同時に測り、不整の有無も書く | 不整が続くときは受診の目安として共有する |
| 浮腫 | 部位と程度(圧痕の深さ・戻る時間)を書く | 左右差があれば別の原因も考え、主治医へ報告する |
| 息切れ | どの動作で・何分で出るかを書く | 同じ動作で早く出るようになったら悪化のサイン |
| 尿量 | 回数と、夜間に増えていないかを書く | 減少が続くときは速やかに報告する |
| 食事 | 塩分の多い食品と、水分の量を書く | 体重の増加と突き合わせて振り返る |
| 睡眠 | 起座呼吸・夜間の咳の有無を書く | 夜間症状は増悪の早いサインになる |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくあるご質問(FAQ)
心不全のケアプランで大切な点は?
体重測定はなぜ重要ですか?
活動はどの程度にすればよいですか?
どんなときに受診・連絡をするよう計画に書けばよいですか?
ケアプランの様式に決まりはありますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。個々の病状・要件は変わりうるため、最新の原典と主治医の指示をご確認ください。
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場面別|心不全の観察と記録の文例
心不全の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。数字と時刻を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 体重 | 毎朝、排尿後に測定。今朝52.8kg。前日比プラス0.3kg。 |
| むくみ | 両下腿に圧痕性浮腫あり。前日より軽度。 |
| 息切れ | トイレまでの移動で息切れあり。休憩1回。安静時はなし。 |
| 呼吸 | 呼吸18回/分。夜間の起座呼吸なし。 |
| 血圧・脈拍 | 血圧118/70、脈拍74(整)。 |
| 経皮的動脈血酸素飽和度 | 室内気で96%。 |
| 水分 | 1日の摂取量900mL。医師の指示(1,000mL以内)の範囲。 |
| 塩分 | 汁物を半量にして提供。本人から不満の訴えなし。 |
| 食事 | 主食8割・副食7割。塩分を調整した食事を継続。 |
| 服薬 | 利尿剤を含め処方どおり内服。 |
| 排尿 | 日中6回、夜間2回。 |
| 活動 | 午前に室内歩行20m。息切れなく行えた。 |
| 睡眠 | 21時就寝、6時起床。夜間の呼吸苦なし。 |
| 入浴 | 入浴前後の血圧を測定。湯温40度、5分以内。 |
| 受診 | 7月10日受診。利尿剤の量は変更なし。 |
| 注意点 | 3日で2kgの体重増加、夜間の息苦しさがあれば受診の目安として家族へ伝えた。 |
| 家族への指導 | 体重の記録用紙を渡し、毎朝の測定を依頼した。 |
| 連携 | 訪問看護より「体重・血圧とも安定」との報告あり。 |
本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。
あわせて確認したい、併存しやすい状態
心不全の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
COPD(呼吸器疾患)/脱水症/慢性腎不全(人工透析)/高血圧症/心房細動
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
