糖尿病の方のケアプランは、食事・服薬の管理と合併症の予防が中心になります。生活のなかで無理なく続けられる支援を、文例とともに整理します。
ケアの視点
血糖の管理を生活に組み込み、合併症を防ぎながら、本人らしい生活を続けられるよう支えます。フットケアや低血糖への注意も大切です。
ケアプランの文例
ニーズ:体調を保ち、合併症を防ぎながら暮らしたい。
長期目標:食事と服薬を続けられ、安定した体調で生活できる。
短期目標:声かけと確認のもとで、毎日の服薬と食事管理ができる。
サービス内容:訪問介護による服薬・食事の確認、主治医・管理栄養士との連携、フットケアの見守り。
書き方のポイント
- 食事・服薬・運動の具体的な支援内容を書く
- 低血糖・合併症など注意点を留意事項に入れる
- 本人が自分で行うこと(セルフケア)も明記する
糖尿病の計画づくりで、実際に迷うところ
① 「食事制限」を課題に書かない
高齢者の糖尿病では、厳しすぎる食事制限が低栄養やフレイルを招くことがあります。血糖の管理と、食べる楽しみ・栄養の確保を両立させる書き方にします。目標値は主治医が決めるもので、支援者が独自に設定しません。
② いちばん怖いのは低血糖
高血糖より、低血糖のほうが急を要します。冷や汗、ふるえ、意識のもうろうといった症状と、そのときの対応(ブドウ糖の場所、連絡先)を計画と記録の両方に書いておきます。
③ 足を見る人を決める
神経障害があると傷に気づきにくく、放置すると重くなります。誰が、どの頻度で足を見るかを計画で決めておかないと、誰も見ないまま進みます。
長期目標・短期目標の立て方
| 避けたい書き方 | 扱いやすい書き方 | |
|---|---|---|
| 長期目標 | 血糖値を正常にする | 主治医の指示に沿った生活を続け、合併症を防ぐ |
| 短期目標 | 間食をやめる | 間食の内容と時間を、支援者と一緒に確認できる |
| 短期目標 | 毎日運動する | 天気のよい日に、近所を歩く習慣を続けられる |
サービス種別ごとの位置づけ例
| サービス | 位置づけの例 | 記録で見るところ |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 食事の準備、生活リズムの支援、足の観察 | 食事内容、間食、足の傷の有無 |
| 訪問看護 | 血糖・服薬・インスリンの管理、フットケア | 血糖値、服薬状況、足の皮膚 |
| 通所介護 | 運動の機会、食事の観察 | 参加した運動、食事量 |
| 薬局・主治医 | 処方の調整、療養指導 | 受診の継続、検査結果 |
第1表・第2表の文例
第1表:利用者及び家族の生活に対する意向
- 本人「甘いものが好きだが、やめろと言われてつらい」
- 長女「低血糖で倒れたことがあり、日中ひとりにするのが不安」
第1表:総合的な援助の方針
主治医の指示に沿った生活を、無理なく続けられるよう支援します。食事は制限一辺倒ではなく、必要な栄養がとれることを併せて見ます。低血糖の兆候と対応を関係者全員で共有し、足の状態を定期的に確認する体制を整えます。
第2表:ニーズ・目標・サービス内容
| 生活全般の解決すべき課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 血糖の管理が難しく、体調に波がある | 主治医の指示に沿った生活を続けられる | 服薬・インスリンの自己中断がない状態が続く | 訪問看護:週2回の状態確認と服薬管理 |
| 低血糖への不安から、日中ひとりで過ごすのが心配 | 低血糖に早く気づき、対応できる | 低血糖時の対応を本人・家族が説明できる | 訪問看護:指導/全事業所:連絡体制の共有 |
| 足の傷に気づきにくい | 足の皮膚を健康に保てる | 足の観察が週2回以上行われている | 訪問看護:フットケア/訪問介護:入浴時の観察 |
| 活動量が少なく、体力が落ちている | 無理のない範囲で活動を続けられる | 週2回、通所で運動に参加できる | 通所介護:週2回 |
モニタリングで見る、変化のサイン
- 低血糖の兆候——冷や汗、ふるえ、動悸、集中できない、いつもと違う言動
- 足——傷、水疱、爪の変形、白癬、しびれの訴え
- 食事——量だけでなく、間食の内容と時間
- 体重——増減どちらも意味があります
- 服薬・インスリン——自己判断での中断や量の変更
- 受診——検査の間隔が空いていないか
計画づくりでよくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 目標の血糖値を計画に書くか | 数値目標は主治医が決めます。支援者は生活面の目標を書きます |
| 間食を全部やめさせるべきか | 急にやめると生活の張りが失われます。時間と量を決める方向で調整します |
| 家族が甘いものを持ってくる | 責めずに、いつ・どれくらいなら差し支えないかを主治医に確認して共有します |
| インスリン注射を介護職が手伝えるか | 医行為に当たる行為は行えません。訪問看護や家族の対応を計画に位置づけます |
| 低栄養が心配になってきた | 制限を続けるかは主治医の判断です。体重減少があれば速やかに相談します |
※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
ケアプラン文例(記入例・コピペ可)
糖尿病の方のケアプランでは、食事・服薬管理、低血糖・シックデイ対応、フットケアが重要です。文例をまとめました。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| 血糖を安定させて重症化を防ぎたい | (長期)低血糖や重症化なく在宅生活を続けられる/(短期)食事療法と服薬を続けられる | 管理栄養士の食事指導、訪問看護の服薬・血糖確認、シックデイ時の対応を共有 |
| 足のトラブルを防ぎたい | (長期)足の傷や壊疽を防げる/(短期)毎日足を観察できる | 訪問看護のフットケア・爪切り、家族への観察指導 |
| 受診を続けて体調を保ちたい | (長期)定期受診と自己管理を続けられる/(短期)受診と血糖測定ができる | 受診同行、血糖自己測定の支援、主治医と連携 |
糖尿病|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 血糖の変動が心配だが、好きなものも食べたい | 血糖値が安定し、合併症を起こさずに生活できる(1年) | 食事の内容を記録し、振り返ることができる(3か月) | 訪問看護:血糖と食事の確認/居宅療養管理指導:管理栄養士 |
| インスリンの注射に不安がある | 自己注射を安全に続けられる(1年) | 手順どおりに自己注射を実施できる(3か月) | 訪問看護:手技の確認(週1)/家族:見守り |
| 低血糖になったときの対処が分からない | 低血糖を起こしても、自分で対処できる(1年) | 低血糖症状と補食の方法を説明できる(2か月) | 訪問看護:低血糖時の指導/本人:補食を手の届く場所に置く |
| 足の傷に気づかず、悪化させたことがある | 足のトラブルを早期に見つけ、悪化させない(1年) | 毎日、自分で足を観察できる(2か月) | 訪問看護:足部の観察(週1)/訪問介護:入浴時の観察 |
| 目が見えにくくなってきた | 見え方の変化に合わせて、安全に生活できる(1年) | 動線の物を片づけ、つまずかずに移動できる(3か月) | 訪問介護:環境整備/住宅改修:照明の改善 |
| 薬の種類が多くて管理が難しい | 服薬が続き、血糖が安定した状態を保てる(1年) | 服薬カレンダーで飲み忘れがなくなる(2か月) | 訪問看護:服薬の確認/居宅療養管理指導:薬剤師 |
| 外食が多く、食事に気をつけられない | 食事の内容が整い、体調を保てる(6か月) | 1日2回は自宅で食事をとれる(3か月) | 配食サービス(保険外)/訪問介護:調理 |
| 運動をしたいが、何をすればよいか分からない | 無理のない運動が続き、体調を保てる(1年) | 週3回、15分の歩行を続けられる(3か月) | 訪問リハビリテーション:運動の助言/通所介護(週1) |
| シックデイのときにどうすればよいか不安だ | 体調を崩したときも、適切に対応できる(1年) | シックデイの対応手順を紙で持っている(1か月) | 訪問看護:手順の説明と書面の作成/主治医との共有 |
| 腎臓が悪くならないか心配だ | 腎機能の低下をゆるやかにできる(1年) | 塩分とたんぱく質の目安を意識できる(3か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士/訪問看護:体重・血圧の確認 |
糖尿病|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 血糖値 | 測定値の変動、低血糖症状の有無 | 測定の頻度と記録の担当を計画に書く |
| 自己注射 | 手技、部位のローテーション、針の廃棄 | 手技確認の頻度を見直す |
| 足部 | 傷・水疱・胼胝・爪の状態、履物 | 観察の担当と頻度を明記する |
| 食事 | 摂取内容、間食、外食の頻度 | 栄養に関するサービスを加える |
| 体重 | 増減の傾向 | 食事・運動の目標を置き直す |
| 服薬 | 飲み忘れ、自己中断 | 管理方法を見直す |
| 視力 | 見えにくさ、転倒の増加 | 環境整備を計画に加える |
| 活動量 | 歩行の距離と頻度 | 無理のない回数へ調整する |
糖尿病|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 血糖値を下げる | 検査値そのものは生活の目標になりにくい | 食事の内容を記録し、振り返ることができる |
| インスリンを打つ | 行為であり、達成の確認ができない | 手順どおりに自己注射を実施できる |
| 低血糖に注意する | 誰が何をするか分からない | 低血糖症状と補食の方法を説明できる |
| フットケアを実施する | サービス内容であり、目標ではない | 毎日、自分で足を観察できる |
| 食事療法を守る | 支援者側の指示になっている | 1日2回は自宅で食事をとれる |
| 合併症を予防する | 起きなかったことは確認しにくい | 足のトラブルを早期に見つけ、悪化させない |
| 運動習慣をつける | 量が示されていない | 週3回、15分の歩行を続けられる |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
糖尿病のケアプランで注意する点は?
低血糖への対応はどう書きますか?
フットケアはなぜ重要ですか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
無料ではじめる
次の一歩を、どうぞ
介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
アプリケーションを無料で使ってみる(iPhone / Android)
利用者さま3名まで・期限なく無料/クレジットカード登録不要
場面別|糖尿病の観察と記録の文例
糖尿病の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。数字と時刻を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 血糖 | 朝食前の自己測定126mg/dL。本人が測定し記録できている。 |
| 低血糖 | 15時に冷や汗と手の震え。ブドウ糖を摂取し10分で改善。看護師へ報告。 |
| 食事 | 主食8割・副食8割。間食は1日1回に減っている。 |
| 間食 | 「甘いものが食べたい」と話される。時間と量を決めて対応。 |
| 服薬 | 経口薬を朝夕、処方どおり内服。飲み忘れなし。 |
| インスリン | 自己注射を朝夕。手技は保たれているが、単位の確認を毎回声かけしている。 |
| 足の観察 | 両足に傷・水疱なし。爪は月1回、長女が切っている。 |
| 皮膚 | 乾燥が強く、保湿剤を塗布している。 |
| 体重 | 58.2kg。前月比マイナス0.4kg。 |
| 運動 | 午前に室内歩行15分。実施後の低血糖症状なし。 |
| 水分 | 1日1,200mL。口渇の訴えなし。 |
| 視力 | 新聞の本文が読みにくいと話される。眼科の定期受診を継続。 |
| しびれ | 両足先のしびれの訴えあり。前月と変わらず。 |
| 受診 | 月1回の受診を継続。次回に採血の予定。 |
| 注意点 | 冷や汗・手の震え・空腹感があれば低血糖を疑い、糖分をとるよう家族へ説明した。 |
| 家族への指導 | 足の傷を毎日確認するよう依頼した。 |
| 意欲 | 「数値が下がると嬉しい」と話され、記録を続けられている。 |
| 連携 | 訪問看護より「自己管理ができている」との報告。 |
本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。
あわせて確認したい、併存しやすい状態
糖尿病の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
慢性腎不全(人工透析)/褥瘡(床ずれ)/高血圧症/視覚障害
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
