
地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムとは、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に確保する体制をいいます。法律上は「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(医療介護総合確保促進法)」第2条第1項で、次のように定義されています。
地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防(要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減・悪化の防止)、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制(医療介護総合確保促進法 第2条第1項)
厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年(令和7年)を目途に、この体制を全国の市町村で構築することを掲げてきました。また介護保険法第5条第3項でも、国および地方公共団体は、被保険者が住み慣れた地域で自立した生活を営めるよう、保健医療・福祉・介護予防・生活支援の施策を、医療および居住に関する施策と有機的に連携させて包括的に推進するよう努める、と定めています。理念にとどまらず、法律に根拠を置いた仕組みだという点が出発点です。
地域包括ケアシステムの5つの構成要素
地域包括ケアシステムは、次の5つの要素で構成されます。「住まい」を土台に、その上で医療・介護・予防・生活支援が組み合わさる、と整理すると理解しやすくなります。
| 構成要素 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 住まい | 生活の基盤となる住まいの確保 | 自宅、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、グループホーム 等 |
| 医療 | 日常の健康管理から急変時までの医療 | かかりつけ医、訪問診療、訪問看護、急性期・回復期の病院 等 |
| 介護 | 状態に応じた介護サービス | 訪問介護、通所介護、看護小規模多機能型居宅介護、施設サービス 等 |
| 予防(介護予防) | 要介護状態になること・悪化することの予防 | 介護予防・日常生活支援総合事業、通いの場、リハビリ 等 |
| 生活支援 | 日常生活を支える多様な支え合い | 配食、見守り、外出支援、ボランティア、自治会 等 |
これらは「おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)」を単位として想定されています。全国一律ではなく、地域の実情に応じて市町村・都道府県が主体となって作り上げる点が特徴です。
「自助・互助・共助・公助」という考え方
地域包括ケアを支える力は、公的な制度だけではありません。地域包括ケア研究会報告書(平成25年3月・厚生労働省)では、支え合いの担い手を次の4つに整理しています。
| 区分 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 自助 | 自らの健康管理や、市場サービスの購入で自分を支える | 介護予防への取り組み、民間サービスの利用 |
| 互助 | 費用負担が制度的に裏付けられていない相互扶助 | 近隣の助け合い、ボランティア、住民同士の支え合い |
| 共助 | 制度化された相互扶助 | 介護保険、医療保険などの社会保険 |
| 公助 | 税を財源とする公的な支援 | 生活保護、権利擁護、行政サービス |
地域包括支援センターの役割
地域包括ケアの中核を担う機関が地域包括支援センターです。介護保険法第115条の46に基づき市町村が設置し、全国で5,000か所を超えて置かれています(厚生労働省公表)。原則として、担当区域の第1号被保険者おおむね3,000人以上6,000人未満ごとに、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員(またはこれらに準ずる者)を配置することとされています。主な機能は次の4つです。
- 総合相談支援:高齢者や家族からの相談を受け止め、適切なサービスや機関につなぐ
- 権利擁護:高齢者虐待への対応、成年後見制度の活用支援、消費者被害の防止
- 包括的・継続的ケアマネジメント支援:地域のケアマネジャーへの助言、支援困難事例への対応
- 介護予防ケアマネジメント:要支援者等の介護予防を支援
2025年・2040年問題との関係
地域包括ケアシステムが急がれる背景には、人口構造の変化があります。
- 2025年問題:団塊の世代(1947〜1949年生まれ)が全員75歳以上の後期高齢者となり、医療・介護の需要が大きく高まる局面。
- 2040年問題:団塊ジュニア世代が高齢期に入り、高齢者人口がピークに近づく一方で、支え手である現役世代(生産年齢人口)が急速に減少する局面。
限られた人材と財源で需要を支えるには、施設中心ではなく、在宅と地域の資源を組み合わせて支える仕組みが欠かせません。ここに、地域包括ケアが「理念」ではなく「実務」として重みを持つ理由があります。
【事業者向け】地域包括ケアの中で事業所は何をするか
制度の解説にとどまらず、現場の事業所が日々の業務でどう関わるのかを整理します。鍵となるのは多職種連携・情報共有・記録の3つです。
多職種連携の具体的な場面
| 場面 | 主に連携する相手 | 使う会議・書類・記録(例) |
|---|---|---|
| 利用開始・変更時 | 介護支援専門員、家族、各サービス事業者 | サービス担当者会議、居宅サービス計画、個別援助計画 |
| 入退院・入退所時 | 病院の医療ソーシャルワーカー・看護師、施設 | 退院・退所時カンファレンス、情報提供書、連携シート |
| 状態変化・急変時 | 主治医、訪問看護、地域包括支援センター | 経過記録、連絡票、緊急時対応の記録 |
| 地域課題の検討 | 地域包括支援センター、行政、多職種 | 地域ケア会議(介護保険法第115条の48) |
在宅医療・介護連携の推進や地域ケア会議は、介護保険法第115条の45に基づく地域支援事業(在宅医療・介護連携推進事業など)として、市町村が主体となって進めています。地域ケア会議は同法第115条の48に位置づけられ、個別事例の検討を通じて地域の課題を見つけ、政策につなげる場です。事業所は、こうした会議や連携事業の「参加者」であると同時に、現場の情報を持ち寄る「担い手」でもあります。
情報共有と記録が連携の質を決める
多職種連携は、掛け声だけでは機能しません。誰が・いつ・何を把握しているかを揃える情報共有と、その根拠を残す記録が土台になります。
- 会議の記録:サービス担当者会議や退院時カンファレンスの検討内容・決定事項を残し、関係者で共有する
- 連携ツールの活用:連携シート、情報提供書、ICTの情報共有基盤などで、書式と経路を標準化する
- 経過の記録:状態変化や急変時の対応を時系列で残し、次の支援者に引き継げるようにする
なお、医療機関との連携や情報共有を評価する加算が各サービスの介護報酬に設けられていますが、その要件は厚生労働大臣が定める告示および解釈通知に規定されています。個別の要件は、各サービスの報酬告示・留意事項通知をご確認ください(当メディアでは可否の判定は行いません)。
体制づくりの財源(目安)
在宅医療・介護連携やICT導入といった体制整備の財源として、都道府県には消費税財源を活用した「地域医療介護総合確保基金」が置かれています。対象となる事業・補助額・募集時期は年度や自治体によって変わるため、断定はできません。最新の情報は各自治体の公募要領などの公式情報や、補助金ナビ等でご確認ください。人材確保に関わる助成金(キャリアアップ・業務改善等)の活用可否は、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
地域の窓口一覧|28の相手先に「いつ・何のために連絡するか」
事業所から見た地域包括ケアシステムは、理念ではなく連絡先の集まりです。困りごとが起きてから「どこへ言えばいいのか」を探し始めると、その日のうちに動けません。あらかじめ相手先を並べ、どんなときに連絡するか/連絡したあとに何が起きるか/自事業所に何を残すかの3つを決めておくと、初動が一日早くなります。
以下の名称・設置の有無・受付時間・様式は、市町村や日常生活圏域によって大きく異なります。名称が違うだけで同じ機能を持つ窓口もあれば、設置されていない地域もあります。自事業所の所在市町村の一覧に置き換えて使ってください。
行政・公的な窓口|15の相手先
| 窓口 | どんなときに連絡するか | 連絡したあとに起きること(一般的な流れ) | 自事業所に残す記録 |
|---|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 独居・認知症の進行・家族の介護力の低下など、担当の介護支援専門員と自事業所だけでは抱えきれない相談が出たとき | 相談内容が記録され、必要に応じて職員の同行訪問、関係機関への照会、地域ケア会議への事例提出が検討されます | 相談日時・受けた職員名・伝えた事実・受けた助言・次に誰が何をするか |
| 基幹型地域包括支援センター(設置している市町村) | 複数の圏域にまたがる事例、権利擁護で対応が難航している事例 | 圏域の包括への後方支援、市町村の担当課との調整が行われることがあります | どの包括を経由したか・助言の内容・役割分担 |
| 市町村の介護保険担当課(保険者) | 事故の報告、運営上の取扱いの確認、変更の届出の要否の確認 | 受理の記録が残り、追加資料を求められることや、集団指導・運営指導の場で取扱いが示されることがあります | 提出日・様式名・提出の控え・担当者名・受けた回答 |
| 市町村の高齢福祉担当課 | 虐待が疑われるとき、緊急通報装置・配食・寝具乾燥など市町村独自の事業を使いたいとき | 通報は受理され、事実確認の調査(訪問・関係者への聞き取り)が行われることがあります | 通報日時・通報した職員・伝えた「観察した事実」・その後の連絡の有無 |
| 地域ケア会議 | 個別の支援が行き詰まったとき、地域に足りない資源が見えたとき | 多職種の助言が得られ、個別事例の背景にある地域課題として市町村の上位の会議へ引き上げられることがあります | 提出資料の写し・出席者・受けた助言・持ち帰り事項と期限 |
| 在宅医療・介護連携支援センター(名称は地域により異なる) | 医療側との連絡の取り方が分からない、主治医や病院との調整が進まない | 地域で決めた連絡ルールや共通様式の案内、医療機関との橋渡しが行われることがあります | 相談日・案内された様式や連絡先・実際に使ってどうなったか |
| 認知症初期集中支援チーム | 医療にも介護にもつながっていない認知症の疑いの方、受診を強く拒んでいる方 | 訪問による観察とアセスメントを経て、受診やサービス利用につなぐ支援が一定期間行われます | つないだ日・チームの初回訪問日・自事業所の同席の有無・その後の受診状況 |
| 認知症地域支援推進員 | 認知症カフェ・家族会・チームオレンジなど、地域の受け皿を知りたいとき | 地域資源の紹介、事業所内研修への協力、本人・家族の集まりの案内が得られることがあります | 紹介された資源名・本人と家族へ伝えた日・利用に至ったか |
| 保健所 | 嘔吐・下痢・発熱が複数名に出ているとき、難病や精神保健に関する相談 | 発生状況の聞き取りののち、指示・助言や、必要に応じて調査が行われることがあります | 連絡日時・発症者数と発症時刻・症状の内容・受けた指示・その後の経過 |
| 権利擁護センター/成年後見の中核機関 | 判断能力の低下により契約・金銭管理・入院手続が難しくなったとき | 制度の説明、申立てに向けた相談、専門職相談会の案内などが行われることがあります | 相談日・案内された手続の流れ・家族へ伝えた内容と家族の反応 |
| 市町村の消費生活センター | 高額な契約書が見つかった、訪問販売の被害が疑われるとき | 聞き取りののち、契約の取扱いに関する助言や事業者への対応が行われることがあります | 見つけた書面の名称と日付・本人の説明・つないだ日 |
| 消防(救急) | 意識障害・呼吸状態の悪化など、その場で救急対応を要する状態のとき | 救急隊が到着し、状況の聴取と搬送先の調整が行われます | 通報時刻・観察した所見・伝えた既往と服薬・搬送先・同乗した職員 |
| 警察 | 所在が分からなくなったとき、身体的な危険が差し迫っているとき | 行方不明の届出の受理、地域の見守りネットワークへの手配が行われることがあります | 通報時刻・最後に姿を確認した時刻と服装・家族への連絡時刻 |
| 生活困窮者の自立相談支援機関 | 家賃や公共料金の滞納、食べるものがない、失業して収入が途絶えたとき | 面談を経て支援プランが作られ、各種の制度や貸付の案内が行われることがあります | 気づいた事実(滞納の督促状・冷蔵庫の状況など)・つないだ日・同行の有無 |
| 社会福祉協議会 | 金銭管理に不安がある、ボランティアを紹介してほしい、サロンの情報を知りたいとき | 日常生活自立支援事業の相談、地域活動やボランティアの紹介が行われることがあります | 相談日・紹介された内容・利用に至ったか・その後の本人の変化 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
地域の担い手・民間の相手先|13の関わり先
| 相手先 | どんなときに関わるか | 関わったあとに起きること(一般的な流れ) | 自事業所に残す記録 |
|---|---|---|---|
| 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員) | 制度のサービスでは埋まらない生活の困りごと(買い物・ごみ出し・電球交換・外出)が続くとき | 地域にある支え合いの活動の紹介や、活動の担い手との引き合わせが行われることがあります | 相談した困りごとの内容・紹介された活動名・つながったか |
| 協議体(第1層・第2層) | 同じ困りごとが複数の利用者で繰り返し起きていると気づいたとき | 地域の関係者の話し合いの議題として取り上げられ、新しい活動の検討につながることがあります | 提供した情報(件数・時期・具体の困りごと)・話し合いの結果 |
| 民生委員・児童委員 | 独居や日中独居で、訪問のない曜日に安否が確認できないとき | 日常の見守りや声かけが行われ、異変時に事業所や包括へ連絡が入る経路ができることがあります | 依頼した日・依頼の範囲(何を見てもらうか)・本人と家族の同意・連絡の実績 |
| 自治会・町内会 | 災害時の安否確認、地域の行事への参加、近隣への説明が要るとき | 名簿への登載や、行事への参加の調整が行われることがあります | 相談日・説明した内容・同意の範囲・登載の有無 |
| 老人クラブ・サロン・通いの場 | 閉じこもりが強く、サービス以外の外出先を増やしたいとき | 見学や体験参加の調整が行われ、送り出しの役割分担が決まることがあります | 紹介した日・見学日・参加後の本人の言葉・継続しているか |
| シルバー人材センター | 庭木・草取り・簡単な修繕など、介護保険の枠に入らない作業が必要なとき | 作業内容と料金の見積り、日程の調整が行われます | 紹介した日・本人と家族への説明・費用負担の合意・実施日 |
| ボランティアセンター/個人のボランティア | 傾聴・話し相手・行事の手伝いなど、人手のある関わりを増やしたいとき | 登録者の紹介、活動内容と保険の確認が行われます | 受入日・活動内容・活動中の事故に備えた保険の確認・本人の反応 |
| 住民主体の訪問型・通所型サービス | 専門職でなくても支えられる家事や通いの場が必要なとき | 担当者との顔合わせや、利用の手続の案内が行われます | 紹介した日・つないだ先・開始日・介護支援専門員への報告 |
| 配食事業者 | 調理が難しくなった、食事量が落ちている、安否確認も兼ねたいとき | 配達時の手渡しによる安否確認と、異変時の連絡が行われることがあります | 開始日・週何回か・手渡しか置き配か・異変時の連絡先の共有 |
| 見守り協定を結ぶ民間事業者(新聞・宅配・電気・ガス等) | 新聞がたまる、郵便物があふれるなど、生活の停滞が外から見えるとき | 異変に気づいた事業者から市町村や包括へ連絡が入る仕組みが働きます | 気づきの連絡を受けた日時・連絡元・確認した内容・その後の対応 |
| 認知症サポーター・チームオレンジ | 徘徊のおそれがある、地域の理解を広げたいとき | 声かけの協力や、見守り訓練への参加の調整が行われることがあります | 依頼した内容・協力の範囲・本人と家族の同意・実際の声かけの記録 |
| 家族会・認知症カフェ | 介護する家族の疲弊が強い、同じ立場の人と話す場が要るとき | 開催日の案内、初回の付き添いや紹介が行われることがあります | 案内した日・家族の反応・参加の有無・参加後の家族の言葉 |
| 薬局・商店など日常の立ち寄り先 | 残薬が多い、同じ物を大量に買っている、支払いでつまずいているとき | 気づきの共有や、来店時の様子の連絡が入る関係ができることがあります | 共有した日・共有の範囲(本人の同意の範囲内)・受けた情報の内容 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
連絡する前に手元にそろえる7点
相手先が決まっても、手元に材料がないと電話が「相談」になりません。次の7点をそろえてから連絡すると、一度のやり取りで次の一手まで決まります。
| そろえるもの | 中身(この粒度で) | そろえずに連絡すると起きること |
|---|---|---|
| 観察した事実(評価ではなく) | 「8月3日14時、玄関に未開封の郵便物が15通たまっていた」のように、日付・時刻・見たものを数で書く | 「様子がおかしい」だけでは、相手が動く根拠にならず、まず確認から始まって数日が過ぎる |
| いつからか(起点) | 前回の訪問では起きていなかったか、何か月続いているか | 緊急度の判断がつかず、優先順位が下がる |
| 本人が言った言葉 | 要約せず、言われたとおりに引用する | 本人の意向が支援者の解釈にすり替わり、後で方針が揺れる |
| 家族・関係者の関与 | 誰が・どのくらいの頻度で・何をしているか。連絡がつく時間帯 | 同じ人に何度も別々の機関から連絡が入り、関係が悪くなる |
| すでに試したことと結果 | 「7月に配食を提案したが、費用を理由に断られた」まで書く | すでに断られた案を再提案され、時間だけが過ぎる |
| 本人・家族の同意の範囲 | 誰に・何を・どこまで伝えてよいかを確認した日付 | 同意のない情報共有になり、その後の関係が続かなくなる |
| こちらが聞きたいこと(1〜3点) | 「同行訪問をお願いできるか」「使える市の事業があるか」など、答えられる形にする | 相談が長くなるだけで、誰が次に動くのかが決まらない |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
困りごとから引く|18場面の初動・つなぎ先・その日に残す一文
現場で先に来るのは機関名ではなく場面です。「独居で認知症が疑われる」「金銭管理が難しくなった」から引けるように並べ替えます。その日のうちに残す一文は、そのまま支援経過や連絡票に貼れる完成文にしてあります。日付・時刻・氏名は自事業所のものに置き換えてください。
本人の状態から引く|9場面
| 場面 | つなぐ先(順序) | その日のうちの初動 | 記録に残す一文(完成文) |
|---|---|---|---|
| 独居で認知症が疑われる(受診歴なし) | 地域包括支援センター → 認知症初期集中支援チーム → 認知症地域支援推進員 | 火の元・服薬・食事・金銭の4点について、今日見たものを数で記録する。緊急性がなければ受診の可否を本人に確認しない(拒否を先に固定しない) | 8月3日10時20分、訪問時に台所のガスコンロに空鍋が置かれ、鍋底が黒く変色していた。冷蔵庫内に消費期限が7月中旬の惣菜が4パック。ご本人は「昨日食べた」とお話しされた。10時50分、地域包括支援センター◯◯の◯◯氏へ電話し、状況を報告。8月6日に包括と同行訪問することとした。 |
| 金銭管理が難しくなった | 地域包括支援センター → 社会福祉協議会(日常生活自立支援事業) → 権利擁護センター | 督促状・未開封の請求書・通帳の有無を「見た事実」として記録する。財布や通帳には触れない | 8月5日14時、居間のテーブルに同一事業者からの督促状が3通、未開封のまま置かれていた。ご本人に伺うと「払ったかどうか分からない」とのお話。14時40分、社会福祉協議会◯◯へ電話し、日常生活自立支援事業についてご相談。8月9日に担当者が訪問する予定となった。ご本人には「お金の管理を一緒に見てくれる方に来ていただく」と説明し、了解を得た。 |
| 判断能力の低下で契約・更新ができない | 権利擁護センター/成年後見の中核機関 → 地域包括支援センター → 家族 | 誰が契約者で、誰が支払っているかを整理する。急ぐ手続の期限を書き出す | 8月7日、契約更新の書面をお渡ししたところ、ご本人は署名の途中で「これは何の紙か」と3回お尋ねになった。同日15時、権利擁護センター◯◯へ電話し、手続の進め方についてご相談。長男(別居・週1回来訪)へ同日18時に電話し、8月20日の面談に同席いただくこととした。 |
| サービスを拒否している | 担当の介護支援専門員 → 地域包括支援センター → 民生委員(見守りのみ) | 断られた言葉をそのまま記録し、「何を嫌がっているのか」を分解する(人・時間・費用・入られること) | 8月2日11時、入浴の提案に対しご本人は「人に体を見られるのが嫌だ」とお話しされた。費用については「それは構わない」とのこと。同日13時、担当介護支援専門員へ電話で共有し、清拭と足浴から始める方向で検討することとした。地域包括支援センターへは、見守りの継続について8月4日に情報提供した。 |
| 医療につながっていない(未受診・治療の中断) | 在宅医療・介護連携支援センター → 地域包括支援センター → 薬局 | 最後に受診した時期と、中断の理由(費用・移動・不信)を本人の言葉で確認する | 8月8日、服薬状況を確認したところ、6月分の降圧薬が未開封のまま30日分残っていた。ご本人は「病院が遠くて行けない」とお話し。同日16時、在宅医療・介護連携の相談窓口へ電話し、訪問診療を行う医療機関の情報提供を受けた。ご家族へ8月9日に連絡し、受診の同行について相談した。 |
| 看取りを在宅で希望している | 主治医 → 訪問看護 → 地域包括支援センター(家族支援) | 誰が最期の場面で駆けつけるか、夜間の連絡先はどこかを一枚にまとめる | 8月10日、ご本人から「最期は家にいたい」とのお話があり、長女も同席の上で確認した。同日17時、主治医◯◯へ電話で報告し、急変時の連絡先と夜間の対応について指示を受けた。訪問看護ステーション◯◯へ同日18時に共有。夜間の第一連絡先を長女(携帯)、第二を訪問看護とすることを、居宅サービス計画へ反映するよう介護支援専門員へ依頼した。 |
| 若年性認知症の方 | 認知症地域支援推進員 → 若年性認知症支援コーディネーター(設置している都道府県) → 就労先・障害福祉の相談支援 | 就労・収入・子の就学など、高齢者の枠に入らない論点を先に書き出す | 8月12日、ご家族から「休職中で復職の見込みが立たない」とのお話があった。同日15時、認知症地域支援推進員◯◯へ電話し、若年性認知症の相談窓口の情報提供を受けた。ご家族には8月13日に窓口の連絡先をお渡しし、8月19日に面談の予約が取れた旨の連絡を受けた。 |
| 精神疾患が疑われる・受診が中断している | 保健所(精神保健の相談) → 地域包括支援センター → 主治医 | 幻覚・妄想の内容を評価せず、聞こえた言葉のまま記録する。危険が及ぶ言動の有無を分けて書く | 8月14日9時40分、訪問時にご本人が「壁の中から声がする」と繰り返しお話しされた。ご自身や他者を傷つける言動はみられなかった。同日11時、保健所◯◯の相談窓口へ電話し、経過を報告。まずは主治医への情報提供を行い、必要に応じて保健師の訪問を検討するとの助言を受けた。 |
| 救急要請が繰り返されている | 主治医 → 訪問看護 → 消防(事前の情報提供) → 地域包括支援センター | 直近3か月の要請日と、そのときの症状・搬送の有無を一覧にする | 8月15日、直近3か月で救急要請が5回(6月2回・7月2回・8月1回)あり、うち搬送は2回であることを確認した。同日14時、主治医へ一覧をお持ちして報告し、夜間の対応方針について指示を受けた。訪問看護ステーション◯◯と、夜間の連絡順序を8月16日に取り決めた。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
暮らし・家族・お金から引く|9場面
| 場面 | つなぐ先(順序) | その日のうちの初動 | 記録に残す一文(完成文) |
|---|---|---|---|
| 家族から虐待が疑われる | 市町村の高齢福祉担当課 → 地域包括支援センター | 判断はしない。見た傷・聞いた言葉・言った人を、そのまま時刻付きで残す。事業所内で管理者へ即時に報告する | 8月4日10時、更衣の介助時にご本人の右上腕外側に直径約3センチの内出血を2か所確認した。ご本人は「ぶつけた」とお話しされたが、居室内にぶつかる位置の家具はなかった。同日10時30分、管理者へ報告。11時、市の高齢福祉担当課へ電話し、確認した事実のみを報告した。当日中に地域包括支援センターへも情報提供を行った。 |
| ごみが室内にたまり、衛生が保てない | 地域包括支援センター → 市町村の高齢福祉担当課/環境担当 → 社会福祉協議会・ボランティア | 片付けを先に始めない。所有物であることを前提に、本人の困り感を確認する | 8月6日11時、居間から玄関にかけて食品の空容器が床面の約半分を占め、通路の幅が約40センチとなっていた。ご本人は「捨て方が分からない」とお話しされた。同日14時、地域包括支援センター◯◯へ電話し、市のごみ出し支援と片付けの支援について相談。8月13日に包括と市の担当者が同行訪問することとなった。 |
| 近隣とのトラブル・苦情 | 自治会・町内会 → 地域包括支援センター → 市町村の担当課 | 苦情の内容と、言った人・言われた事実を分けて記録する。近隣へ状態を説明する前に、本人と家族の同意を取る | 8月7日16時、隣家の方から「夜中に玄関の戸を何度も開け閉めする音がする」とのお話を伺った。ご本人・長男に確認し、同意を得たうえで、8月8日に自治会長◯◯氏へ「夜間に不安が強くなることがある」旨をお伝えした。同日、地域包括支援センターへも共有し、夜間の対応について助言を受けた。 |
| 災害時の避難が難しい | 市町村の防災・高齢福祉担当課 → 自治会・民生委員 → 地域包括支援センター | 避難行動要支援者名簿への登載の有無と、誰が声をかけるかを確認する | 8月9日、ハザードマップでご自宅が浸水想定区域に含まれることを確認した。ご本人は階段の昇降が困難で、2階への垂直避難は難しい状況。同日15時、市の担当課へ電話し、避難行動要支援者名簿への登載状況を確認した。8月12日、民生委員◯◯氏と、警報発表時に声かけを行う手順を確認した。 |
| 身寄りがない(緊急連絡先・入院時の対応) | 地域包括支援センター → 権利擁護センター/成年後見の中核機関 → 市町村の担当課 | 親族の有無を「いない」で終わらせず、疎遠を含めて確認した範囲を書く | 8月11日、緊急連絡先の確認を行った。ご本人からは「きょうだいはいるが20年以上連絡していない」とのお話。同日16時、地域包括支援センター◯◯へ相談し、入院時の対応と、判断能力が低下した場合の備えについて助言を受けた。8月18日に権利擁護の相談窓口の面談を予約した。 |
| ヤングケアラーがいる | 地域包括支援センター → 市町村の子ども・子育て担当課/学校 → 生活支援コーディネーター | 子どもが担っている家事・介護の内容と時間帯を具体に記録する。子ども本人を責める表現を使わない | 8月13日16時、訪問時に高校2年の孫が入浴介助を行っていた。ご家族に伺うと、平日は下校後に食事の準備と排泄の介助を行い、週4日程度とのこと。同日17時、地域包括支援センター◯◯へ電話し、市の相談窓口と、支援の入れ方について相談した。8月20日にサービス担当者会議で検討することとした。 |
| 生活が困窮している | 生活困窮者の自立相談支援機関 → 市町村の生活支援担当課 → 社会福祉協議会 | 滞納・欠食・光熱の停止など、確認できた事実だけを書く。金銭の立替えはしない | 8月14日11時、居間に電気料金の停止予告通知が1通あり、冷蔵庫内に食品がない状態を確認した。ご本人は「年金までまだ日がある」とお話し。同日13時、自立相談支援機関◯◯へ電話し、8月15日に相談員が訪問することとなった。ご本人には「生活のことを一緒に考えてくれる窓口」と説明し、同意を得た。 |
| 日本語でのやり取りが難しい | 市町村の多文化共生・国際交流の窓口 → 地域包括支援センター → 家族・通訳の協力者 | 誰が通訳しているか(家族か・第三者か)を記録する。重要事項の説明は通訳の同席日を残す | 8月16日、契約に関する説明の際、ご本人が理解された内容にずれがあることを確認した。同日15時、市の多文化共生の窓口へ電話し、通訳の派遣について相談。8月22日に通訳者の同席のうえで重要事項の説明を再度行い、ご本人の署名をいただいた。 |
| 介護する家族が限界に近い | 家族会・認知症カフェ → 地域包括支援センター → 担当の介護支援専門員 | 家族の睡眠時間・就労状況・離職の検討を確認する。家族の言葉をそのまま残す | 8月17日、同居の長女から「夜中に3回起こされて、仕事を辞めようか迷っている」とのお話があった。同日14時、地域包括支援センター◯◯へ電話し、家族会の開催日と、短期入所の活用について助言を受けた。長女へは同日中に家族会の案内をお渡しし、担当介護支援専門員へ8月18日に共有した。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
地域ケア会議に出るとき|持ち物7点・そのまま言える10文・持ち帰り5項目
地域ケア会議は、個別の事例を多職種で検討し、そこから地域に足りないものを見つける場です。呼ばれた事業所の役割は「うまく説明すること」ではなく、現場でしか分からない事実を出し、持ち帰る宿題を確定させることです。準備と持ち帰りを型にしておくと、参加が業務として回り始めます。
持ち物7点|何を、どの粒度で持って行くか
| 持ち物 | 中身(この粒度で) | 用意のしかた |
|---|---|---|
| 事例の概要(1枚) | 年齢層・世帯構成・要介護度・主な疾患・利用中のサービス・住まいの形態 | 氏名は伏せ、イニシャルや記号にする。会議の資料は回収の要否を主催者に確認する |
| 直近3か月の経過(抜粋) | 状態の変化を日付順に並べ、変化のあった日だけを抜く | 全文を持って行かない。会議で読み上げる時間は数分しかない |
| 本人と家族の言葉 | 意向を要約せず、言われたとおりに引用する(「家にいたい」「もう限界」) | 言った日と場面を添える。要約すると助言がずれる |
| これまで試したことと結果 | 提案した支援・断られた理由・続かなかった理由 | 「断られた」で止めず、断られた言葉まで書く |
| 住まいと周辺の状況 | 段差・トイレまでの距離・買い物先までの距離・近隣との関係・交通手段 | 間取りの略図や、徒歩何分かの実測が役に立つ |
| 同意の状況 | 誰に・何を・どこまで伝えてよいか、確認した日 | 会議で共有する範囲を、事前に本人・家族と確認しておく |
| 聞きたいこと(1〜3点) | 答えられる形の問い(「地域に見守りの担い手はあるか」など) | 問いを持たずに出ると、助言を聞いて終わる会議になる |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
そのまま言える10文|場面別の発言の型
| 場面 | そのまま言える一文(完成文) |
|---|---|
| 冒頭の名乗り | ◯◯事業所の◯◯です。当事業所は週3回、火・木・土の午前に訪問しています。今日は、独居で買い物が難しくなってきた方について、地域の支え合いの活用をご相談したく参りました。 |
| 事例の要約(30秒) | 80代の女性、要介護2、独居です。5月頃から買い物の帰りに休憩が必要になり、7月からは自力での買い物ができていません。ご本人は「人に頼むのは気が引ける」とお話しされています。 |
| 困っている点の絞り込み | 困っているのは食事の確保そのものではなく、他人に頼むことへの抵抗です。同じ地域で、頼みやすい形の支援があればご教示ください。 |
| 試したことと結果 | 7月10日に配食を提案しましたが、「毎日届くのは重い」とのことで見送りました。7月24日にご近所の方へ依頼することを提案しましたが、「迷惑をかけたくない」とのお話でした。 |
| 地域資源についての質問 | この圏域で、週1回程度から使える買い物の同行や移動の支援があればお教えください。費用の目安と、申込みの窓口も併せて伺えますか。 |
| 他職種への質問 | 薬局の◯◯さんに伺います。ご本人が来店された際の歩行の様子で、気づかれた点はありますか。 |
| 助言を受けたときの応答 | ありがとうございます。ご提案いただいたサロンについて、当事業所から見学のお声かけをします。実施の可否は、次回にご報告します。 |
| 持ち帰り事項の確認 | 確認させてください。当事業所が見学の調整、包括が民生委員への連絡、市が移動支援の情報提供、という分担でよろしいでしょうか。期限は9月末でいかがでしょうか。 |
| 終了時のまとめ | 本日は、買い物の支援について3つのご提案をいただきました。当事業所は見学の調整を9月20日までに行い、結果を次回の会議でご報告します。 |
| 個人情報の取扱いの確認 | 本日お配りした資料の取扱いについて確認させてください。回収でしょうか、各自で廃棄でしょうか。会議録に載る範囲も併せてご教示ください。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
持ち帰る5項目|会議室を出る前に確定させる
| 持ち帰る項目 | 会議室を出る前に確定させること | 確定していないと起きること |
|---|---|---|
| 役割分担 | 誰が・何を・いつまでに行うか。自事業所の分は必ずメモに残す | 「みんなで見守る」で終わり、次回に何も進んでいない |
| 紹介された地域資源 | 名称・連絡先・申込みの窓口・費用の目安・受付時間 | 名前だけ覚えて帰り、探す手間で1週間が過ぎる |
| 本人・家族への伝え方 | 誰が・いつ・どこまで伝えるか。会議で出た内容のうち伏せる部分 | 複数の機関から別々の説明が届き、本人が混乱する |
| 計画への反映 | 居宅サービス計画・個別援助計画のどこに、どう書き足すか | 会議の結果が計画に残らず、担当が替わると消える |
| 次に報告する時期 | 次回の開催日、または報告の期限と方法 | 報告が途切れ、事例が「終わったこと」になる |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
会議のあとに残す6つの記録(完成文)
| 残す先 | そのまま貼れる完成文 |
|---|---|
| 支援経過(参加の記録) | 8月21日14時〜15時30分、◯◯地域包括支援センターにて地域ケア会議に出席(当事業所からサービス提供責任者◯◯)。出席者は包括2名、市担当課1名、薬局1名、民生委員1名、担当介護支援専門員1名。◯◯様の買い物支援について検討した。 |
| 支援経過(助言の記録) | 会議では、圏域内の住民主体の移動支援(週1回・実費のみ)と、第2層の生活支援コーディネーターへの相談が提案された。ご本人が「頼むのが気が引ける」とお話しされている点について、まず見学から入る方法が助言された。 |
| 支援経過(分担の記録) | 役割分担は、当事業所が見学の調整(9月20日まで)、包括が民生委員への連絡、市が移動支援の情報提供とし、次回9月25日の会議で報告することとした。 |
| 本人・家族への説明 | 8月22日11時、ご本人へ「近所の方が運転してくださる送迎があり、まず見学だけ行ってみませんか」とお伝えしたところ、「見るだけなら」とお話しされた。長女へは同日18時に電話で報告し、了解を得た。 |
| 介護支援専門員への共有 | 8月22日15時、担当介護支援専門員◯◯氏へ電話で会議の結果を共有した。居宅サービス計画の第2表に、地域の移動支援の活用を位置づける方向で検討することとなった。 |
| 実施後の結果 | 9月12日10時、◯◯(移動支援の実施団体)へ同行し見学した。ご本人は「思ったより気楽だった」とお話しされ、9月26日から週1回の利用を開始することとなった。9月25日の地域ケア会議で報告した。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
「地域と連携した」を記録に変える|言い換え34組
地域との関わりは、記録に残っていなければ「無かったこと」と同じ扱いになります。残っていない記録には共通の型があり、相手・日時と手段・その後どうなったかのどれかが抜けています。左の列は書いてはいけない例として引用したもので、すべて「」で囲んでいます。右の列は、そのままコピーして日付と固有名詞を差し替えれば使える完成文です。
相手が書けていない|12組
| 悪い例(引用・そのまま書かない書き方) | 良い例(そのまま使える完成文) |
|---|---|
| 「地域と連携している」 | 8月4日14時、◯◯地域包括支援センターの社会福祉士◯◯氏へ電話し、独居のご本人の見守りについて相談した。 |
| 「包括に相談済み」 | 8月5日10時、◯◯地域包括支援センター(担当:主任介護支援専門員◯◯氏)へ来所し、金銭管理の不安について相談。日常生活自立支援事業の利用を検討することとなった。 |
| 「関係機関と情報共有した」 | 8月6日、担当介護支援専門員◯◯氏、訪問看護ステーション◯◯の◯◯氏、薬局◯◯の薬剤師◯◯氏の3者へ、残薬の状況を電話で共有した。 |
| 「行政に確認した」 | 8月7日13時、◯◯市介護保険担当課の◯◯氏へ電話し、事故報告の様式と提出期限について確認した。 |
| 「民生委員に依頼した」 | 8月8日15時、担当地区の民生委員◯◯氏へ、週2回の声かけをお願いし、了承を得た。異変時の連絡先は当事業所(日中)と包括(夜間)とすることを確認した。 |
| 「地域の資源を活用した」 | 8月11日、◯◯地区の住民主体の通いの場「◯◯サロン」(第2・第4木曜、公民館)へ見学の調整を行った。 |
| 「主治医に報告した」 | 8月12日16時、◯◯クリニックの◯◯医師へ電話し、直近1か月で体重が1.2キログラム減少していることを報告。次回受診時に血液検査を行う指示を受けた。 |
| 「病院と連携した」 | 8月13日11時、◯◯病院地域連携室の医療ソーシャルワーカー◯◯氏へ、退院前カンファレンスの日程調整を依頼した。 |
| 「ボランティアが来た」 | 8月14日13時〜15時、◯◯ボランティアグループ3名が来所し、傾聴と園芸活動を実施。参加された利用者は8名。活動中の保険加入を事前に確認した。 |
| 「自治会と調整した」 | 8月15日10時、◯◯町内会長◯◯氏と面談し、防災訓練への当事業所の参加について協議した。9月1日の訓練に職員2名が参加することとなった。 |
| 「家族と話した」 | 8月18日19時、同居の長女◯◯様へ電話し、夜間の対応と短期入所の利用について説明。8月25日から2泊3日で利用する方向で調整することとなった。 |
| 「関係者に周知した」 | 8月19日の申し送りで、常勤3名・非常勤4名の計7名へ夜間の連絡順序を説明。欠勤の1名へは8月20日に個別に伝達し、記録に署名を得た。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
いつ・何をしたかが書けていない|12組
| 悪い例(引用・そのまま書かない書き方) | 良い例(そのまま使える完成文) |
|---|---|
| 「随時連携」 | 8月は、担当介護支援専門員へ3回(1日・12日・26日)、訪問看護へ2回(5日・20日)、電話で状況を報告した。 |
| 「必要時に連絡する」 | 体温37.5度以上、収縮期血圧180以上、または食事量が2食続けて半分以下となった場合は、その日のうちに主治医と担当介護支援専門員へ電話することを、8月2日に事業所内で取り決めた。 |
| 「適宜情報提供している」 | 毎月1日と15日に、サービス提供の状況を担当介護支援専門員へ書面で提出している。8月1日・8月15日ともに提出済み(控えを保管)。 |
| 「見守りを強化した」 | 8月5日より、これまでの週2回の訪問に加え、水曜日の朝に安否確認の電話を追加した(所要3分程度)。8月7日・14日・21日に実施。 |
| 「連絡した」 | 8月9日14時20分、◯◯地域包括支援センターへ電話(通話約8分、応対:◯◯氏)。同日14時40分に折返しの連絡を受けた。 |
| 「FAXを送った」 | 8月10日11時、担当介護支援専門員あてに状況報告書をファクシミリで送信(2枚)。同日11時20分に電話で到達を確認し、応対された◯◯氏の氏名を記録した。 |
| 「地域ケア会議に参加」 | 8月21日14時〜15時30分、◯◯地域包括支援センターで開催された地域ケア会議に、当事業所から◯◯(サービス提供責任者)が出席した。 |
| 「研修に参加した」 | 8月23日18時〜19時30分、◯◯市主催の認知症サポーター養成講座に職員4名が参加。受講記録と資料を事業所内で回覧した。 |
| 「訓練を実施した」 | 9月1日10時〜11時、地震を想定した避難訓練を実施。参加は職員6名・利用者12名。避難完了までに要した時間は8分。通報訓練を併せて行った。 |
| 「同意を得た」 | 8月3日、ご本人と長女◯◯様に対し、地域包括支援センター・民生委員・薬局へ生活状況を共有することについて説明し、同日、書面で同意を得た(同意書を保管)。 |
| 「引き継いだ」 | 8月26日16時、担当職員の交替に伴い、後任の◯◯へ、直近3か月の経過・本人の意向・連絡先の一覧を口頭と書面で引き継いだ。書面には両者が署名した。 |
| 「様子を見ている」 | 8月27日から9月3日まで、毎回の訪問時に歩行の状態(ふらつきの有無・伝い歩きの距離)を記録する。9月4日に担当介護支援専門員へまとめて報告する。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
その後どうなったかが書けていない|10組
| 悪い例(引用・そのまま書かない書き方) | 良い例(そのまま使える完成文) |
|---|---|
| 「相談した」 | 8月4日に相談した結果、8月8日に包括の社会福祉士と同行訪問を行い、8月18日から配食(週3回・手渡し)を開始することとなった。 |
| 「紹介した」 | 8月11日に「◯◯サロン」を紹介し、8月25日に見学。ご本人は「思ったより気楽だった」とお話しされ、9月8日から月2回の参加を開始した。 |
| 「サービスを提案した」 | 8月12日に短期入所を提案したが、「知らない場所は不安」とのことで見送りとなった。代わりに9月2日から通所介護を週1回追加することとした。 |
| 「情報提供を行った」 | 8月13日に病院へ情報提供書を提出し、8月20日の退院前カンファレンスで内容が共有された。退院日は8月28日、退院時の介助方法が確認された。 |
| 「見守りをお願いした」 | 8月8日に民生委員へ声かけを依頼し、8月19日に「新聞が2日分たまっている」との連絡を受けた。同日11時に臨時訪問し、体調不良で臥床していることを確認、主治医へ報告した。 |
| 「地域と関係を作っている」 | 4月から8月までに、自治会の清掃(4月)、防災訓練(6月)、夏祭りへの出店(8月)に職員が参加した。8月の夏祭りでは、来場された地域の方4名から介護保険の相談を受けた。 |
| 「課題を検討した」 | 8月21日の地域ケア会議で、圏域に週末の移動手段がないことを課題として提出した。9月25日の会議で、生活支援コーディネーターが担い手の確保を検討する方向で報告を受けた。 |
| 「改善に取り組んでいる」 | 7月に受けた「連絡の到達確認が残っていない」との指摘を受け、8月1日から送信記録簿を作成し、送信後に電話で到達を確認する運用に変更した。8月末までに12件すべてで確認欄が埋まっている。 |
| 「意向を確認した」 | 8月10日にご本人から「最期は家にいたい」とのお話を伺い、8月17日に長女、8月24日に主治医と共有した。9月1日のサービス担当者会議で、急変時の連絡順序を決定した。 |
| 「経過を観察した」 | 8月5日から9月2日まで毎回の訪問で食事量を記録した結果、朝食の摂取量が2分の1以下の日が14日中9日であった。9月3日に主治医へ一覧を提出し、栄養補助食品の使用について指示を受けた。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
事業所から地域へできること13|準備・記録・運営指導で見られるところ
地域包括ケアの中で、事業所は「つなぐ側」だけではありません。場所・人・知識・車両という、地域から見れば数少ない資源を持っています。次の13は、多くの事業所がすでに何かしら行っているものです。行っているのに記録に残っていないと、会議での報告にも自己評価にも使えません。
13の関わり方|相手・事前に決めること・残す記録
| 取組 | 主な相手 | 事前に決めること | 残す記録 |
|---|---|---|---|
| 実習の受入 | 介護福祉士養成校、初任者研修・実務者研修の実施機関 | 受入人数・期間・指導担当者・利用者への説明と同意・秘密保持の取り決め | 受入依頼書、実習計画、指導記録、利用者への説明と同意の記録 |
| 中高生の職場体験・福祉体験 | 中学校・高等学校、教育委員会 | 体験の内容(見学のみか介助補助まで含むか)、事故時の対応、保険の加入 | 依頼文書、当日の実施記録(人数・内容・時間)、生徒の感想と職員の振り返り |
| 研修の開放 | 近隣の事業所、地域住民、家族 | テーマ・定員・参加費の有無・会場の使用範囲 | 開催案内、参加者名簿(所属)、資料、アンケート、開催の写真 |
| 場所の提供 | サロン、認知症カフェ、地域の集まり | 使用できる曜日と時間帯、鍵の管理、設備の使用範囲、費用負担 | 使用の申込みと承諾の記録、使用日ごとの記録(参加人数・内容) |
| 災害時の協力 | 市町村、自治会、近隣の事業所 | 協定の有無、受入の可否と人数、備蓄の共有、連絡手段が途絶えた場合の手順 | 協定書、備蓄の一覧と点検記録、訓練の実施記録、安否確認の手順書 |
| 見守りへの参加 | 市町村、自治会、民生委員、民間事業者 | 異変に気づいたときの連絡先と順序、個人情報の扱い、対応時間帯 | 参加の申込み、連絡を受けた記録(日時・内容・その後の対応) |
| 認知症サポーター養成講座への協力 | 認知症地域支援推進員、キャラバン・メイト、市町村 | 会場・日程・対象(住民か学校か企業か)、講師の役割分担 | 開催記録、受講者数、当日の資料、地域からの反応 |
| 地域の防災訓練への参加 | 自治会、消防、市町村 | 参加する職員数、車椅子利用の方の避難の実演を行うか、当日のサービス提供体制 | 参加記録(日時・参加者・内容)、気づいた課題と、計画への反映 |
| 自治会行事への参加・共催 | 自治会、老人クラブ、商店会 | 出店や催しの内容、利用者の参加の可否と同意、写真の取扱い | 行事の記録、利用者・家族の同意、当日の様子と受けた相談の件数 |
| 出前講座の実施 | 自治会、サロン、公民館、老人クラブ | テーマ(介護保険の使い方・口腔・栄養・転倒予防)、時間、講師、資料の準備 | 依頼文書、実施記録、配布資料、参加者からの質問と回答 |
| ボランティアの受入 | ボランティアセンター、個人、学生団体 | 活動の範囲(介助は行わない等)、保険の加入、秘密保持、当日の担当職員 | 受入の記録、活動日誌、保険加入の確認、利用者の反応 |
| 相談日の開放 | 地域住民、家族、近隣の事業所 | 開催の頻度と時間、担当者、受けた相談の引き継ぎ先 | 相談記録(日時・相談内容の分類・つないだ先)、件数の集計 |
| 移動・買い物への協力 | 自治会、生活支援コーディネーター、住民主体の活動 | 車両の使用範囲、保険、運転者、費用の扱い、サービスとの区別 | 協力の記録(日時・人数・内容)、車両の使用簿、費用の取扱いの取り決め |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
運営指導の「地域との連携等」で見られる会議|11区分の対照表
厚生労働省の運営指導マニュアル別添1では、地域密着型サービス等の「地域との連携等」の欄に、会議の開催に関する確認項目と確認文書が示されています。開催の頻度はサービスによって異なります。次の表は、左に別添1に示された定め、右に貴事業所の記入欄を置いた対照表です。自事業所の直近の状況を書き込み、指定を受けた保険者にご確認ください。
| サービス(別添1の区分) | 別添1に示された定め | 貴事業所の記入欄 | 確認文書 |
|---|---|---|---|
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 介護・医療連携推進会議を概ね6月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/出席者( )/前回からの間隔( か月) | 介護・医療連携推進会議の記録 |
| 認知症対応型通所介護 | 運営推進会議を概ね6月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/出席者( )/前回からの間隔( か月) | 運営推進会議の記録 |
| 地域密着型通所介護 | 運営推進会議を概ね6月に1回以上(療養通所介護は12月に1回以上)開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/療養通所介護に当たるか(はい・いいえ) | 運営推進会議の記録 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 運営推進会議をおおむね2月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/過去1年の開催回数( 回) | 運営推進会議の記録 |
| 認知症対応型共同生活介護 | 運営推進会議をおおむね2月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/過去1年の開催回数( 回) | 運営推進会議の記録 |
| 地域密着型特定施設入居者生活介護 | 運営推進会議をおおむね2月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/過去1年の開催回数( 回) | 運営推進会議の記録 |
| 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | 運営推進会議をおおむね2月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/過去1年の開催回数( 回) | 運営推進会議の記録 |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 運営推進会議をおおむね2月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/過去1年の開催回数( 回) | 運営推進会議の記録 |
| 介護予防認知症対応型通所介護 | 運営推進会議を概ね6月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/前回からの間隔( か月) | 運営推進会議の記録 |
| 介護予防小規模多機能型居宅介護 | 運営推進会議をおおむね2月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/過去1年の開催回数( 回) | 運営推進会議の記録 |
| 介護予防認知症対応型共同生活介護 | 運営推進会議をおおむね2月に1回以上開催しているか | 直近の開催日( 年 月 日)/過去1年の開催回数( 回) | 運営推進会議の記録 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
別添1の「地域との連携等」には、開催の頻度のほかに、会議で活動状況の報告を行い評価を受けているか/会議で挙がった要望や助言が記録されているか/会議録が公表されているかという確認項目も並んでいます。開催しているかどうかだけでなく、報告した内容と、返ってきた助言が残っているかが見られる、という構造です。小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護では、通いサービス・宿泊サービスの提供回数等の活動状況の報告についても確認項目に挙げられています。
なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。体制に関する届出の要否や様式については、社会保険労務士または保険者(指定権者)にご確認ください。
自治体が公表している指摘から|9件
地域との関わりにまつわる指摘は、活動そのものではなく記録・公表・報告の抜けに集中しています。以下は自治体が公表している資料に記載された指摘の要旨です。
| 指摘の要旨 | 出典(自治体・資料名) | 確認される書類 | 事業所側の備え |
|---|---|---|---|
| 運営推進会議を開催していない/出席者の構成が適切でない。書面開催の取扱いや、記録の公表方法(掲示、玄関先への備え置き、事業所だよりへの掲載)が示されている | 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護に関する事項)」資料4(公表方法は金沢市 令和7年度集団指導資料1) | 運営推進会議の議事録、出席者名簿、開催通知、公表状況が分かる資料 | 利用者・家族・地域住民の代表・市の職員または地域包括支援センターの職員・知見を有する者が出席できる日程で調整し、案内文と名簿を残す |
| 会議録の内容が不足している/議事録を公表していない。構成員に利用者・家族・地域住民の代表者が参加していない、開催頻度が少ない、市への報告をしていない | 堺市「令和8年度 集団指導 地域密着型編」/神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」 | 運営推進会議の会議録、出席者名簿、公表状況の記録、市への報告書 | 会議録に「報告した事項」と「会議から受けた評価・要望・助言」を分けて書き、公表の方法と公表日を記録する。公表時は氏名の表記に配慮する |
| 骨折等の事故が発生していたが保険者へ報告していない/報告が必要な事故の範囲を把握していない | 仙台市介護事業支援課「令和6年度 運営指導方針・令和5年度 運営指導結果等【居宅サービス指導係 所管サービス】」(令和6年6月 集団指導) | 事故報告書、保険者への提出控え、家族・介護支援専門員への連絡記録、ヒヤリハット記録 | 報告を要する事故の範囲を、所在市町村が公表する基準に沿って事業所内で文書にし、管理者以外の職員も判断できる状態にしておく |
| 避難訓練が同じ災害の想定に偏っている/実施後の記録を残していない | 津山市環境福祉部高齢介護課「令和5年度 津山市 地域密着型サービス事業者 集団指導資料」 | 非常災害に関する具体的計画(消防計画)、避難訓練実施記録(想定災害の別)、消防機関への通報・連携体制の記録 | 想定する災害を年ごとに変え、実施後に日時・想定災害・参加者・内容・課題を記録する |
| 非常災害計画と、水防法等に基づく避難確保計画の認識に誤りがある/非常災害計画が現状に沿っていない | 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1(同旨は金沢市 令和7年度集団指導資料1) | 非常災害計画、避難確保計画、避難訓練記録、ハザードマップの確認資料、周知記録 | 自事業所が浸水想定区域・土砂災害警戒区域に含まれるかを確認し、該当する場合の計画と訓練、報告の流れを整理しておく |
| 防災計画が、他団体のマニュアル等をそのまま活用したものになっている | 金沢市「令和7年度 介護サービス事業者集団指導 資料1」(2 運営に関する基準(事業運営面)(5)非常災害対策に関すること) | 施設防災計画、ハザードマップ確認資料、避難訓練記録、職員への周知記録 | 参考資料を用いること自体は差し支えないとされているが、利用者の特性と周辺地域の環境を踏まえた自事業所の内容を加える |
| 消火訓練・避難訓練の実施回数が不足している/要配慮者利用施設で避難確保計画に基づく避難訓練を実施していない | 長野県健康福祉部地域福祉課福祉監査担当「令和6年度運営指導結果の概要(介護老人福祉施設)」 | 消防計画、消火・避難訓練の実施記録、避難確保計画、市町村長への訓練結果報告書 | 自ら定めた消防計画の回数を下回っていないかを年度の途中で点検し、訓練結果の報告先を確認しておく |
| 虐待防止検討委員会が定期開催されていない/委員会の結果が従業者へ周知されていない/指針の記載項目に漏れがある | 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1 | 虐待防止検討委員会の議事録、虐待防止指針、研修記録(新規採用時を含む)、伝達記録、担当者の指定が分かる文書、運営規程 | 指針に、成年後見制度の利用支援や相談・報告体制など、地域の窓口につながる項目が含まれているかを点検する |
| 委員会が開催されていない/委員会の議事録が作成されていない/指針を整備していない | 姫路市「令和6年度以前実地指導結果(指定基準等)」 | 各委員会の議事録、各指針、研修記録、周知記録、担当者の指名記録 | 議事録に委員会の記録であることを明記し、周知の時期・方法・対象者・内容を書き添える。委員会と研修は区別して記録する |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
地域との関わりを、年1枚に集約する
個々の記録が残っていても、年度末に「地域とどう関わったか」を聞かれたときに集められないと、会議での報告にも自己評価にも使えません。次の5行を1枚にして、月ごとに1行ずつ足していく形にすると、年度末の作業がなくなります。
| 集約する項目 | 書く内容 | そのまま使える書きぶり |
|---|---|---|
| 相手 | 機関名・団体名・担当者の職種 | ◯◯地域包括支援センター(社会福祉士)、◯◯町内会、◯◯小学校 |
| いつ | 年月日、継続しているものは頻度 | 8月21日(単発)/毎月第3木曜(定例) |
| 何を | 会議・相談・受入・貸出・参加のいずれかと、その中身 | 地域ケア会議への事例提出(買い物支援)/防災訓練への参加(職員2名) |
| その後どうなったか | 結果と、次に予定していること | 9月26日から週1回の移動支援の利用を開始。9月25日の会議で報告済み |
| どこに反映したか | 計画・会議への報告・研修・手順書のどれに反映したか | 居宅サービス計画の第2表に反映/9月の運営推進会議で報告/夜間の連絡手順を改訂 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 地域包括ケアシステムの「5つの構成要素」とは何ですか?
A. 住まい・医療・介護・予防(介護予防)・生活支援の5つです。「住まい」を基盤に、他の4要素が一体的に提供されることを目指します。
Q. 2025年問題とは何ですか?
A. 団塊の世代が全員75歳以上となり、医療・介護の需要が急増する局面を指します。厚生労働省はこの2025年を目途に、地域包括ケアシステムの構築を進めてきました。
Q. 地域包括支援センターは誰が利用できますか?
A. 高齢者本人だけでなく、その家族や地域の関係者も相談できます。介護保険法第115条の46に基づき市町村が設置する、地域の総合相談窓口です。
Q. 介護事業者は具体的に何をすればよいですか?
A. サービス担当者会議や退院時カンファレンスへの参加、連携シート等による情報共有、経過記録の整備など、多職種連携を支える実務が中心になります。地域ケア会議への協力も役割の一つです。
出典
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
- 介護保険法(平成9年法律第123号)e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(医療介護総合確保促進法)第2条 / 地域包括ケア研究会報告書(平成25年3月・厚生労働省)
出典:厚生労働省ウェブサイト/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。
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地域包括ケアシステム|5つの構成要素と、事業所の関わり方
地域包括ケアシステムは「住まい」を基盤に、医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されることを目指す考え方です。
| 構成要素 | 内容 | 事業所が関わる場面 |
|---|---|---|
| 住まい | 高齢者のプライバシーと尊厳が保たれた住まい | 住宅改修・福祉用具による環境整備、住み替えの相談 |
| 医療 | かかりつけ医、急性期・回復期・慢性期の医療 | 退院時カンファレンス、主治医への報告、情報提供 |
| 介護 | 在宅サービス・施設サービス | ケアプランに基づくサービスの提供と記録 |
| 予防 | 介護予防、生活機能の維持 | 総合事業への参加、機能訓練 |
| 生活支援 | 見守り、配食、買い物支援、地域の支え合い | インフォーマルサービスの計画への位置づけ |
関わる機関と、連絡するとき
| 機関 | 役割 | 事業所が連絡する場面 |
|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 総合相談、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメント | 困難事例、虐待の疑い、要支援者のケアマネジメント |
| 居宅介護支援事業所 | 居宅サービス計画の作成と給付管理 | サービスの実施状況の報告、状態の変化 |
| 主治医 | 医学的な管理 | 状態の変化、指示書の依頼、受診の同行 |
| 医療機関(地域連携室) | 入退院の調整 | 入院時の情報提供、退院前カンファレンス |
| 薬局 | 服薬の管理 | 残薬、飲み忘れ、副作用の疑い |
| 歯科 | 口腔の管理 | 義歯の不適合、口腔内の汚れ |
| 市町村(介護保険担当課) | 保険者としての指導・相談 | 事故報告、要件の確認、届出 |
| 民生委員・自治会 | 地域の見守り | 独居の見守り、災害時の支援 |
| 社会福祉協議会 | 日常生活自立支援事業など | 金銭管理に不安がある場合 |
| 権利擁護の窓口 | 成年後見制度の相談 | 判断能力の低下がみられる場合 |
連携の記録に残すこと
横浜市の資料では、FAX等で連携した際に到着確認をしていなかった、またはその記録がなかったことが指摘されています。
| 場面 | 残す記録 |
|---|---|
| 退院前カンファレンス | 開催日時・場所・出席者(所属と職種)・検討内容・結論 |
| 地域ケア会議 | 開催日・検討した事例・出た意見・決まったこと |
| 主治医への報告 | 報告日時・方法・内容・受けた指示 |
| 情報提供(FAX・メール) | 送信日時・宛先・内容・到達の確認 |
| 担当者会議 | 出席者・検討内容・結論・参加できない事業所への照会 |
| 地域の支援者との連携 | いつ・誰と・何を共有したか |
| 権利擁護の相談 | 相談先・相談日・助言の内容 |
| 災害時の備え | 避難行動要支援者名簿への登録の有無、避難先 |
担当者会議の記録はサービス担当者会議の要点、支援経過は支援経過の書き方をご覧ください。
連携でよくある誤りと、直し方
| よくある誤り | どうするか |
|---|---|
| FAXで送っただけで確認していない | 到着の確認を行い、確認した日時と相手を記録に残す |
| 「連絡済み」としか書いていない | 誰に・いつ・どの方法で・何を伝え・どう返ってきたかを書く |
| 担当者会議に参加できない事業所へ照会していない | 照会の文書を出し、回答を記録として保管する |
| 主治医への報告が口頭のみ | 報告の内容と受けた指示を記録に残し、必要に応じて文書化する |
| 地域包括支援センターへの相談を記録していない | 相談日・相談先・助言の内容を支援経過に残す |
| 個人情報の共有について同意を得ていない | 共有する範囲と相手を示して、本人と家族から同意を得る |
| 退院時の情報が担当者間で食い違う | 退院前カンファレンスの結論を、その場で文書にして共有する |
| 災害時の対応を決めていない | 避難行動要支援者名簿への登録の有無と、安否確認の手順を計画に位置づける |
場面別|多職種への連絡の文例
連絡は「誰の・何が・何をお願いしたいか」の3つで足ります。横浜市の資料では、FAX等で連携した際に到着確認をしていなかった、またはその記録がなかったことが指摘されています。
| 場面 | 連絡の文例 |
|---|---|
| 地域包括支援センターへ(困難事例) | ◯◯様について、金銭管理に不安がみられます。日常生活自立支援事業のご利用について、ご相談させてください。 |
| 地域包括支援センターへ(虐待の疑い) | ◯◯様について、ご家族から強い口調がみられる場面がありました。事実として確認できたことをお伝えします。 |
| 居宅介護支援事業所へ(状態の変化) | ◯◯様、歩行時のふらつきが前月の週2回から週4回に増えています。転倒には至っていませんが、ご報告します。 |
| 居宅介護支援事業所へ(計画の相談) | 自宅の浴槽が使えなくなり清拭で対応しています。入浴の方法について、ご相談させてください。 |
| 主治医へ(状態の報告) | ◯◯様、体重が1か月で1.2kg減少しています。食事量に大きな変化はありません。ご確認をお願いいたします。 |
| 主治医へ(指示の確認) | 入浴の可否と、運動の制限についてご指示をいただけますでしょうか。 |
| 医療機関の地域連携室へ(入院時) | ◯◯様が本日入院されました。入院前のご自宅での状況をお伝えしたく、情報提供書をお持ちします。 |
| 医療機関の地域連携室へ(退院時) | 退院前カンファレンスへの参加をお願いできますでしょうか。日程のご都合をお聞かせください。 |
| 薬局へ(残薬) | ◯◯様に残薬が多くみられます。一包化のご検討をお願いできますでしょうか。 |
| 薬局へ(副作用の疑い) | 服薬開始後にふらつきが増えています。ご確認をお願いいたします。 |
| 歯科へ | 義歯が合わず食事量が落ちています。訪問での診察をお願いできますでしょうか。 |
| 市町村の介護保険担当課へ(事故報告) | ◯月◯日に当事業所で発生した事故についてご報告します。 |
| 市町村の介護保険担当課へ(算定の確認) | 算定要件の解釈について確認させていただきたく、ご連絡いたしました。 |
| 民生委員へ | ◯◯様は独居で、日中に一人になる時間があります。週1回の見守りにご協力いただけますでしょうか。 |
| 自治会へ | 災害時の安否確認について、名簿への登録の手続きをご相談させてください。 |
| 社会福祉協議会へ | 金銭管理に不安があるため、日常生活自立支援事業についてご相談させてください。 |
| 権利擁護の窓口へ | 判断能力の低下がみられ、ご家族から成年後見について相談がありました。 |
| 通所介護事業所へ | ◯◯様、ご自宅での歩行が不安定になっています。送迎時の介助をお願いいたします。 |
| 短期入所事業所へ | ◯◯様、服薬に変更がありました。お薬手帳の写しをお渡しします。 |
| 福祉用具事業所へ | 歩行器のブレーキの効きが弱くなっています。調整をお願いいたします。 |
| 相談支援事業所へ(障害) | 医療的ケアが必要な方について、サービス等利用計画との調整をお願いしたくご連絡しました。 |
| 保健所へ | 複数名に嘔吐・下痢の症状が出ています。ご指示をお願いいたします。 |
本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
