自宅で最期まで過ごすことを望む方の訪問看護計画書に、看護・リハビリテーションの目標、療養上の課題・支援内容(O-P・T-P・E-P)、評価をどう書くかを、記載例中心にまとめた記事です。読み手は訪問看護ステーションの看護師・管理者を想定しています。病院の看護過程や学生の実習記録とは目的が違うため、ここでは「主治医の指示書を受けて、ご本人の苦痛を和らげ、ご家族が自宅で看取りを迎えられるように、看護師がいない時間も含めた支え方を決める」ための計画書に絞っています。
看取り期の訪問看護の流れ全体は当サイトの「訪問看護のターミナルケア」で、ターミナルケア加算の要件は「訪問看護のターミナルケア加算の要件」で、亡くなる前後の記録の書き方は「看取り期・死亡時の記録の書き方」で扱っています。この記事ではそれらを繰り返さず、計画書の欄に何を書くかと、時期ごとの書き換え方、評価から報告書へのつなぎ方に絞りました。
以下の記載例は、すべて架空の利用者を想定して当社が作成した記載のイメージです。薬の種類・量、酸素の流量、点滴の量、血圧・脈拍・酸素飽和度などの数値の基準は、この記事には書いていません。看取り期の薬や処置の内容は一人ひとり主治医が決めるものなので、計画書には「主治医の指示書に記載の内容」「指示書の値を転記」の形で書き、実際の内容は指示書と処方から写してください。
様式の欄ごとに書くこと|記載要領の定めと在宅の看取りでの書き方(欄別対照表3つ)
訪問看護計画書の各欄に何を書くかは、医療保険の訪問看護については「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日 保医発0327第10号)の第一の2(1)に、介護保険の訪問看護については「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日 老企第55号)の2に定められています。看取り期の方は、介護保険の訪問看護を受けている方もいれば、医療保険の訪問看護を受けている方もいます。下の表の左から2列目は保医発0327第10号の原文で、右の2列が看取り期の計画書で書く中身と、貴事業所の様式・運用を書き込む欄です。
| 欄 | 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(1)) | 在宅の看取りの計画書で書く中身 | 貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 看護・リハビリテーションの目標 | ②「主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて看護及びリハビリテーションの目標を設定し、記入すること」 | 病気を治す目標ではなく、ご本人の苦痛が和らぐこと、ご本人が望む過ごし方ができること、ご家族が迷わず連絡でき、自宅で看取りを迎えられることを目標にする。時期が進むたびに書き換える | 目標を書き換える時期の決まり:( ) |
| 年月日 | ③「計画書の作成年月日及び計画の見直しを行った年月日を記入すること」 | 退院して自宅に戻った日、主治医から看取り期であるとの説明があった日、食事がとれなくなった日、ご本人・ご家族の意向が変わった日など、見直しのきっかけになった日を書き足す | 見直しのきっかけの一覧:( ) |
| 療養上の課題・支援内容 | ④「看護及びリハビリテーションの目標を踏まえ、指定訪問看護を行う上での療養上の課題及び支援内容並びに評価を具体的に記入すること」 | 苦痛・呼吸・口腔・排泄・皮膚・食事と水分・家族の不安・意思決定・連絡体制などの課題ごとに、観察(O-P)・ケア(T-P)・ご本人とご家族への説明と指導(E-P)を分けて書く | O-P・T-P・E-Pの表記:( ) |
| 評価 | ④(同上)。介護保険の老企第55号の記載要領では、評価の欄について「初回の訪問看護サービス開始時においては、空欄であっても差し支えない」とされています | 目標ごとに、記録書Ⅱから拾った事実(苦痛の訴えの変化、夜間の電話の有無と内容、ご家族の言葉)で書く。状態の変化が早い時期は、評価と見直しの間隔を短くする | 評価を書く間隔:( ) |
| 衛生材料等が必要な処置の有無・処置の内容・衛生材料等・必要量 | ⑤「衛生材料等が必要になる処置の有無について○をつけること」「『必要量』については1ヶ月間に必要となる量を記入すること」 | 褥瘡の処置、点滴や皮下からの持続注入、吸引、尿道カテーテルなどがある場合に、処置の内容と衛生材料を具体的に書く。看取り期は処置が増えたり減ったりするので、変わった時点で書き直す | 衛生材料の担当者:( ) |
| 訪問予定の職種 | ⑥「訪問予定の職種及びその訪問日について、利用者に分かるように記載すること」。看護職員のみの訪問の場合は記載しなくても差し支えないとされています | 理学療法士等が体位の工夫やベッド上での楽な姿勢の調整で訪問する場合に、職種と曜日を書く | リハ職の訪問の有無:( ) |
| 備考 | ⑦「利用者に対する訪問の計画、特別な管理を要する内容、他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況、その他留意すべき事項等を記入すること」 | 夜間・休日の連絡の順番、呼吸が止まったときに最初に電話する先、主治医と決めた方針(話し合いの日付)、訪問介護・訪問入浴・福祉用具の利用状況など | 備考に書く項目:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
介護保険と医療保険で、看取り期の計画書・報告書の根拠を確かめる
看取り期は、状態の変化に合わせて訪問の回数が増えたり、主治医から特別訪問看護指示書が出たりして、計画書と報告書に書くことが増える時期です。どちらの通知を見て書いているかを、事業所の中でそろえておくと迷いが減ります。
| 確かめる点 | 介護保険(老企第55号) | 医療保険(保医発0327第10号) | 貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 計画書を作るときの前提 | 1(1)「主治の医師の指示、利用者の希望や心身の状況等を踏まえ、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載して作成すること」 | 第一の1(1)「別紙様式1及び2を標準として作成するものであること」 | 使っている様式:( ) |
| 居宅サービス計画との関係 | 1(1)「既に居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成するものであること」 | (記載要領の中に同旨の定めは見当たりません) | ケアプランの受け取り日:( ) |
| 主治医への提出 | 1(2)「定期的に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出しなければならない」 | 第一の1(3)で、管理者が指示書・計画書・報告書・記録書の内容について「助言、指導、確認等十分な管理を行」うこととされています | 看取り期の提出の取り決め:( ) |
| 作成者の欄 | 令和6年改正後の別紙様式1に「作成者①」(看護師・保健師)と「作成者②」(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)の欄があります | 別紙様式1には作成者の欄はなく、事業所名と管理者氏名の欄があります | 作成者の書き方:( ) |
| 報告書の訪問日の印 | (現行の報告書様式は保険者の示す様式をご確認ください) | 第一の2(2)②ロ 特別訪問看護指示書に基づく訪問看護を実施した日を「△で囲むこと」、1日に2回以上訪問した日を「◎で」囲むこと | 印の付け方の確認者:( ) |
| 訪問が多くなった月の報告 | (同上) | 第一の2(2)⑨「頻回に訪問看護を行った場合、提供した訪問看護の内容についても記入すること」。別紙様式2の欄名は「特記すべき事項(頻回に訪問看護が必要な理由を含む)」 | 頻回の理由の書き手:( ) |
| 緊急時の連絡先の記録 | 2の記録書Ⅰの項目に「緊急時の主治医・家族等連絡先」があります(制定時の本文の2(4)) | 第一の2(3)② 記録書Ⅰに「緊急時の主治医・家族等の連絡先」を記入すること | 連絡先の更新日:( ) |
| 保険が途中で変わった月 | 制定時の本文の3(1)に、途中で医療保険給付の訪問看護を受けた場合は「それが明確になるように罫線で囲む等を行うこと」とあります(現行の取り扱いは保険者にご確認ください) | (同上の考え方で、どの期間がどちらの保険かを計画書・記録で区別しておく) | 区別の付け方:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
主治医の指示書・退院時の情報から計画書へ写す項目(薬と処置は指示書のとおり転記)
看取り期の計画書でいちばん崩れやすいのは、苦痛が強くなったときの薬の使い方や、呼吸が止まったときの連絡の手順が、指示書や退院時の話し合いには書かれているのに、計画書のどこにも写されていないことです。次の表は、指示書や話し合いの記録を計画書のどの欄に、どんな形で写すかの型です。「(指示書の内容)」の部分には、指示書・処方に書かれた内容をそのまま写してください。
| 指示書・話し合いの記録にあること | 写す先の欄 | 計画書の書き方の型 | 貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 痛みが強いときの薬(頓用)の使い方 | T-P・E-P・備考 | 「痛みが強いときの薬は主治医の指示書・処方の内容(指示書の内容)に従う。ご家族が使った場合は、時刻と使った後の様子をノートに書いてもらい、訪問時に確かめる」 | 指示書の日付:( ) |
| 息苦しさがあるときの指示(酸素・姿勢・薬) | O-P・T-P | 「息苦しさがあるときは、指示書に記載の内容(指示書の内容)で酸素と薬を使い、ベッドの背の上げ方と枕の位置を一緒に整える」 | 酸素の業者の連絡先:( ) |
| 点滴・皮下からの持続注入の指示 | T-P・衛生材料等 | 「点滴・持続注入は指示書に記載の内容(指示書の内容)で行い、刺している場所の赤み・腫れ・漏れを訪問ごとに見る。中止・変更は主治医の指示による」 | 機器の担当者:( ) |
| 吸引の指示 | T-P・E-P | 「吸引の要否と方法は指示書の内容(指示書の内容)に従う。ご家族が行う場合は、手順を訪問時に一緒に確かめる」 | ご家族への説明日:( ) |
| 尿道カテーテル・ストーマなどの管理 | T-P・衛生材料等 | 「カテーテルの交換時期と方法は指示書の内容(指示書の内容)に従い、尿の色・量の変化と漏れの有無を見る」 | 交換予定日の管理表:( ) |
| 主治医と決めた療養の方針(自宅で看取る方針) | 目標・備考 | 「(日付)の主治医・ご本人・ご家族の話し合いで、自宅で最期まで過ごす方針を確認した。方針が変わった場合は計画書を見直す」 | 話し合いの記録の保管先:( ) |
| 急な変化があったときの連絡先と順番 | 備考 | 「苦しそう・痛がる・様子がいつもと違うときの連絡の順番:(1)当ステーションの24時間の電話(2)主治医。ご家族が迷ったら(1)へ」 | 夜間の電話番号の掲示場所:( ) |
| 呼吸が止まったときの連絡の手順 | 備考・E-P | 「呼吸が止まったと思ったときは、主治医と決めた手順(指示書・話し合いの記録の内容)に沿って、当ステーションまたは主治医へ電話する。手順は電話の横に貼る」 | 手順書の版:( ) |
| 指示の期間・特別訪問看護指示書の期間 | 年月日・管理表 | 「訪問看護指示書の指示期間と、特別訪問看護指示書が出た場合はその期間(指示書の期間)を、計画書の見直し日と並べて管理する」 | 期限の管理表:( ) |
| 退院時の情報(病状の説明の内容・本人への伝え方) | 課題・E-P | 「退院時に主治医からご本人・ご家族へ説明された内容と、ご本人がどこまで知っているかを課題の根拠として書く。説明の内容を超えたことは伝えない」 | 退院時の情報の受け取り日:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
時期別|在宅の看取りの看護目標の記載例(3つの時期・長期と短期あわせて28例)
看取り期の目標は、「安らかな最期を迎えられる」「苦痛なく過ごせる」の一文で止まりやすい欄です。こうした文は願いとしては正しいのですが、評価の時に何を見ればよいかが決まらず、時期が進んでも同じ文のまま残りがちです。下の表では、看取り期に入った頃/臨死期/死亡直前・当日の3つの時期に分け、長期目標と短期目標、評価の時に記録書Ⅱのどの事実を見るかを並べました。時期の区切りは事業所や主治医によって呼び方が違うので、貴事業所の言葉に置き換えてください。
| 時期・状態像 | 長期目標の記載例 | 短期目標の記載例 | 評価のときに見る事実 |
|---|---|---|---|
| 看取り期に入った頃(退院して自宅に戻ったばかり・妻と二人暮らし) | 痛みや息苦しさが和らいだ状態で、ご本人が望む自宅の居間のベッドで、妻と過ごす時間を続けられる | 退院後の最初の見直しまでに、痛みが強いときの薬の使い方と、夜間の電話先を妻が説明できる | 妻の説明の様子、頓用の薬を使った時刻と後の様子のノート |
| 看取り期に入った頃(独居・別居の長男が週末に来る) | 訪問看護・訪問介護・長男の来訪を組み合わせ、ご本人が望む自宅での暮らしを最期まで続けられる | 誰が来ない時間帯があるかを一覧にし、その時間の見守りと連絡の担い手が決まる | 一覧の完成、見守りの空白の時間帯、長男との連絡の記録 |
| 看取り期に入った頃(まだ歩いてトイレに行ける) | 自分でトイレに行きたいというご本人の希望を、転ばずにできる範囲で続けられる | ベッドからトイレまでの手すりと休む場所が決まり、夜間はポータブルトイレを使う時間帯を本人と決める | トイレまでの移動の観察、転倒・ふらつきの有無、本人の言葉 |
| 看取り期に入った頃(病状の説明を受け、家族が動揺している) | ご家族が気持ちを言葉にでき、ご本人との残りの時間の過ごし方を自分たちで選べる | 訪問のたびに、ご家族が不安に思っていることを一つ話せ、看護師がそれに答えた内容が記録に残る | ご家族の言葉の記録、質問の内容の変化 |
| 臨死期(食事がほとんどとれなくなった) | 食べられないことによる苦しさや口の渇きが和らぎ、ご本人が楽な姿勢で過ごせる | 口の中を湿らせるケアの方法を長女が覚え、訪問のない日も1日に数回行える | 口の中の乾き・汚れの観察、長女のケアの記録 |
| 臨死期(眠っている時間が長くなった) | 眠っている時間が長くなっても、ご家族が声をかけ、手を握るなどしてそばで過ごせる | 眠っている時間が増えるのは起こりうる変化であることを、ご家族が看護師の説明で知り、慌てずに過ごせる | ご家族の受け止めの言葉、夜間の電話の内容 |
| 臨死期(夜間の電話が増えている) | ご家族が夜も休む時間を確保しながら、自宅での看取りを続けられる | 夜間に電話するときの目安を一覧にし、交代で休む順番を家族の中で決められる | 夜間の電話の回数と内容、ご家族の睡眠の聞き取り |
| 死亡直前・当日(呼吸の様子が変わってきた) | ご家族が見守る中で、ご本人ができるだけ苦痛の少ない状態で最期を迎えられる | 呼吸の変化に気づいたとき、ご家族が電話の横に貼った手順に沿って、当ステーションに電話できる | 電話の時刻と内容、ご家族の行動の聞き取り |
| 死亡直前・当日(遠方の家族が向かっている) | ご本人に会いたい家族が、できる限りそばで過ごせる | 変化があったときに誰が遠方の家族へ連絡するかが決まり、ご家族同士で連絡がとれる | ご家族の中の連絡の担い手、到着までの経過 |
| 死亡直前・当日(亡くなった後のことを心配している) | 亡くなった後も、ご家族が慌てず、決めておいた順番で連絡と準備ができる | 呼吸が止まった後に最初にすること(電話する先・待つ間にしてよいこと)を、ご家族が言える | ご家族の説明の様子、当日の連絡の経過 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
ご本人・ご家族の言葉を目標の文に置き換える8例
老企第55号の1(1)は、計画書を「利用者の希望や心身の状況等を踏まえ」て作成することとしています。看取り期は、ご本人・ご家族の言葉が目標の中心になります。初回訪問や退院前の面談で聞いた言葉を、目標欄に入る形に置き換えた例です。
| 聞き取った言葉 | 目標欄の文 | 課題欄につなぐ視点 |
|---|---|---|
| ご本人「最期は家の畳の部屋で、庭を見ながら過ごしたい」 | 庭が見える部屋にベッドを置き、痛みが和らいだ状態で、ご本人が望む景色の中で過ごせる | ベッドの置き場所と福祉用具の手配、部屋の寒暖 |
| ご本人「痛いのだけは嫌だ」 | 痛みが強くなる前に薬を使えるように、ご本人とご家族が薬の使い方を分かり、痛みの少ない日を過ごせる | 痛みの訴え方、頓用の薬を使う判断をご家族が迷っていないか |
| 妻「夜中に一人で看取ることになったらと思うと怖い」 | 夜間に変化があったときに妻が迷わず電話でき、一人で抱え込まずに過ごせる | 夜間の電話先の掲示、妻の不安の強さ、娘の泊まりの予定 |
| 長女「仕事を休んで看てあげたいが、いつまで休めるか分からない」 | 長女が休める期間と、訪問介護・訪問看護の訪問を組み合わせ、長女が無理なく付き添える | 長女の仕事の状況、介護支援専門員との相談 |
| ご本人「家族に迷惑をかけたくない」 | ご本人が気がかりを言葉にでき、ご家族とお互いの気持ちを話す時間を持てる | ご本人の気がかりの中身、ご家族への伝え方の支援 |
| 夫「もう食べられないなら、点滴だけでもしてほしい」 | 食べられなくなった後の過ごし方について、夫が主治医の説明を聞き、納得して選べる | 夫の気持ちの揺れ、主治医との話し合いの場の設定 |
| ご本人「孫の顔をもう一度見たい」 | 体調のよい時間帯に孫と会う時間を持てる | 会う時間帯と長さ、疲れの出方、ご家族の段取り |
| 長男「最期の瞬間に立ち会えなかったらどうしよう」 | 長男が、最期に立ち会えなくてもそれまでの時間に意味があることを知り、自分にできる関わりを選べる | 長男の来訪の頻度、変化があったときの連絡の担い手 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
療養上の課題・支援内容|看取り期のO-P・T-P・E-P記載例(12課題・48例)
記載要領の④は、療養上の課題と支援内容を「具体的に記入すること」としています。下の表は、在宅の看取り期の方でよく立てる12の課題について、課題欄の文と、観察(O-P)・ケア(T-P)・説明と指導(E-P)の記載例を並べたものです。病院の看護計画のように観察項目を網羅するのではなく、訪問の時間の中で見ること・すること・伝えることと、看護師がいない時間にご家族が見ることに絞って書いています。薬と処置の内容はすべて指示書を参照する形にしています。
| 療養上の課題(課題欄の文) | O-P(観察) | T-P(ケア) | E-P(説明と指導) |
|---|---|---|---|
| 病気の進行に伴う痛みがあり、日中の過ごし方が狭くなっている(退院時の情報で、腰と背中の痛みが続いている) | 痛みの場所・強さ・続く時間を、ご本人の言葉と表情、事業所で決めた痛みの尺度で確かめる。頓用の薬を使った時刻と、その後の様子をノートで見る | 痛みの薬は主治医の指示書・処方の内容に従って使えているかを確かめ、楽な姿勢をクッションで整える。痛みが続く場合は主治医へ報告する | 痛みが強くなる前に薬を使ってよいこと、使った時刻と様子をノートに書くことを、ご本人とご家族に伝える |
| 息苦しさがあり、横になると苦しく眠りにくい | 話すときの息の切れ方、肩を使った呼吸の有無、眠れた時間、酸素を使っている場面を見る。ご家族が感じた「苦しそうな様子」を聞き取る | ベッドの背の上げ方と枕の位置を整え、部屋の風通しをよくする。酸素と薬は指示書の内容で使えているかを確かめる | 息苦しそうなときにご家族ができること(姿勢を整える、そばにいる、窓を少し開ける)と、電話する目安を伝える |
| 喉の奥に分泌物がたまり、呼吸のたびに音がする | 音の出る時間帯、ご本人が苦しそうにしているか、顔色や表情の変化を見る。ご家族がその音をどう受け止めているかを聞き取る | 顔を横に向ける・体の向きを変えるなどの姿勢の工夫を行う。吸引は指示書の内容に従って行う | 音がしていても、ご本人が苦しんでいるとは限らないことがあると伝え、気になるときは電話してよいことを伝える |
| 口から食べたり飲んだりする量が減り、口の中が乾きやすい | 唇と舌の乾き、口の中の汚れや傷、口を開けにくい様子、口の中のにおいを見る | 口の中を湿らせ、汚れを拭き取り、唇に保湿をする。ご本人が嫌がる場合は回数や方法を変える | ご家族が行える口の中を湿らせるケアの方法を、使う物品と一緒に実際にやって見せる |
| トイレまでの移動が難しくなり、排泄の方法を変える時期にきている | トイレまでの移動のふらつき、夜間の排泄の回数、便の回数と性状、おむつを使うことへのご本人の気持ちを見る | ポータブルトイレ・尿器・おむつのうちご本人が受け入れられる方法を一緒に選び、福祉用具の手配を介護支援専門員と相談する | 排泄の方法を変えることへのご本人の気持ちを大切にしながら、ご家族の介助の負担が少ない方法を伝える |
| 便が出にくく、お腹の張りがある | 最後に便が出た日、お腹の張りと痛み、食事・水分の量、痛みの薬との関係を見る | 便を出しやすくする薬や処置は、主治医の指示書・処方の内容に従って行う。お腹を温める・さするなどの心地よいケアを行う | 便が出た日をノートに書くこと、お腹の張りが強いときは電話することを伝える |
| 寝ている時間が長くなり、皮膚が傷つきやすい | お尻・かかと・背中など圧迫されやすい場所の赤み、皮膚の乾燥やむくみ、エアマットの作動を見る | 体の向きを変える回数は、ご本人の苦痛と休息を優先して決める。皮膚の保湿と、傷がある場合は指示書に沿った処置を行う | 体の向きを変えるときにご家族が無理をしない方法と、赤みや傷を見つけたときに伝えてほしいことを説明する |
| 食べられないことに、ご家族が強い不安を感じている | 食事と水分の量の変化、ご家族が食べさせようとしている様子、ご本人の嫌がる様子を見る | ご本人が好きな物を、食べたいときに少し口にできる工夫を一緒に考える。点滴などの希望があるときは主治医へ伝える | 体が食べ物や水分を受けつけにくくなるのは起こりうる変化であること、無理に食べさせなくてよいことを、主治医の説明に沿って伝える |
| 時間や場所が分からなくなる、つじつまの合わない言動が見られる | 言動の変化が出る時間帯、眠りと目覚めの様子、ご家族がどう受け止めているかを見る | 部屋の明るさと音を整え、ご本人が安心できる声かけを続ける。言動の変化は主治医へ報告する | 言動の変化も起こりうる変化であること、否定せずに穏やかに声をかけることを、ご家族に伝える |
| ご家族が近づく別れに不安と悲しみを抱えている(予期悲嘆) | ご家族の表情、睡眠と食事、「もっと早く気づいていれば」などの自分を責める言葉、家族内の気持ちの違いを見る | 訪問の時間の中で、ご家族が気持ちを話せる時間をつくる。話された内容は記録し、必要に応じて主治医・介護支援専門員と共有する | 悲しみや迷いが出るのは自然なことであると伝え、相談してよい先と時間帯を伝える |
| これからの過ごし方や受けたい医療について、ご本人とご家族の意向をそろえていく必要がある | ご本人が話した希望、ご家族の希望、両者の違い、主治医から受けた説明をどう理解しているかを見る | ご本人の言葉をそのまま記録に残し、主治医・介護支援専門員と話し合いの場を持つ時期を相談する。意向が変わったら計画を見直す | 意向は一度決めた後でも変えてよいこと、迷ったときは話し合いの場をもう一度持てることを伝える |
| 夜間・休日に状態が変わったとき、ご家族が誰に連絡すればよいか迷うおそれがある | ご家族が電話番号の掲示場所と連絡の順番を言えるか、夜間に電話をためらった経験がないかを見る | 連絡の順番と電話番号を大きな字で書き、電話の横と枕元に貼る。記録書Ⅰの緊急時の連絡先を最新にする | 迷ったら電話してよいこと、呼吸が止まったと思ったときの連絡の手順を、ご家族と一緒に読み合わせる |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
時期が進んだときの支援内容の書き換え例(8課題×3つの時期)
看取り期の計画書は、作った時の内容のまま最期まで使えることはほとんどありません。同じ課題でも、時期が進むと見ることと伝えることが変わります。課題ごとに、看取り期に入った頃・臨死期・死亡直前と当日の支援内容を並べた例です。見直した日を「年月日」の欄に書き足して使います。
| 課題 | 看取り期に入った頃 | 臨死期 | 死亡直前・当日 |
|---|---|---|---|
| 痛み | 痛みの場所と強さをご本人の言葉で確かめ、頓用の薬の使い方をご家族と練習する | 言葉で訴えにくくなるため、表情・うめき声・体の動かし方で痛みを見るようにご家族と見方をそろえる | 苦痛の表情が出ていないかを見て、楽な姿勢を保つ。薬の使い方は主治医と決めた内容に従う |
| 呼吸 | 息切れの出る動作を確かめ、動作の順番と休む場所を決める | 息苦しさの出る時間帯と姿勢を見て、ベッドの背の角度と枕の位置を整える | 呼吸の間隔やリズムの変化が起こりうることをご家族に伝え、そばで見守れるよう声をかける |
| 口腔 | 入れ歯の使い方と、食後の口の中の手入れを確かめる | 食べる量が減るので、口の中を湿らせるケアをご家族と一緒に行う | 唇と口の中の乾きを和らげ、ご家族がそばで続けられる方法を伝える |
| 排泄 | トイレまでの移動と手すりの位置を確かめ、夜はポータブルトイレを使う | おむつを使う時期をご本人と相談し、介助の方法をご家族に伝える | 尿の量や回数が減ることも起こりうる変化として伝え、陰部の清潔を保つ |
| 皮膚 | 圧迫されやすい場所の赤みを見て、エアマットの手配を相談する | 体の向きを変える回数は、ご本人の苦痛と休息を優先して決める | 体の向きを変えることよりも、楽な姿勢と穏やかな時間を優先する |
| 食事・水分 | 好きな物を食べやすい形で用意する方法を、ご家族と考える | 無理に食べさせなくてよいことを伝え、口を湿らせるケアに切り替える | 口を湿らせる程度にとどめ、ご家族がそばで声をかける時間を大切にする |
| ご家族の不安 | 病状の説明をどう受け止めたかを聞き、質問を書きとめるノートを渡す | 夜間の不安と疲れを聞き、交代で休む順番を一緒に決める | そばにいること、声をかけることがご本人の支えになると伝える |
| 連絡体制 | 連絡の順番と電話番号を掲示し、ご家族に読み上げてもらう | 夜間の電話の目安を見直し、遠方の家族への連絡の担い手を決める | 呼吸が止まったと思ったときの手順を、もう一度ご家族と確かめる |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
ご家族・主治医・他事業所との分担を書いた支援内容の記載例(9例)
在宅の看取りは、看護師が訪問していない時間のほうがずっと長くなります。支援内容の欄に、誰が何を見て、どこへ伝えるかを書いておくと、計画書がそのまま分担表になります。記載要領の⑦は、備考に「他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況」を記入することとしています。
| 担い手 | 計画書の支援内容に書く文 | 伝え先と記録先 |
|---|---|---|
| 同居の妻(主に介護する方) | 痛みが強いときの薬を使った時刻と、その後の様子をノートに書く。苦しそう・様子がいつもと違うと感じたら、当ステーションの24時間の電話へ連絡する | 当ステーション/ご家族のノート(訪問時に看護師が確認) |
| 別居の長女 | 来訪した日にノートを見て、妻の疲れが強いと感じたら当ステーションへ伝える。遠方の親族への連絡を受け持つ | 当ステーション・親族/ノートの余白 |
| 主治医(訪問診療) | 訪問診療の日に、計画書と直近の記録書Ⅱの内容をもとに、痛み・呼吸・食事の変化を共有する。薬と処置の変更は主治医の指示による | 当ステーション/指示書・訪問診療の記録 |
| 介護支援専門員 | 状態の変化に合わせたサービスの量の見直しと、福祉用具の手配を受け持つ。計画書の見直しの結果を当ステーションから伝える | 当ステーション・各事業所/居宅サービス計画 |
| 訪問介護 | 訪問時におむつ交換・体の向きの調整を行い、痛がる様子や呼吸の変化に気づいたら当ステーションへ電話する。気づいたことを連絡帳に書く | 当ステーション・介護支援専門員/連絡帳 |
| 訪問入浴介護 | 入浴の前に当ステーションと同じ項目で体調を見る。入浴を見合わせた日は、当日中に当ステーションとご家族へ伝える | 当ステーション・ご家族/訪問入浴の記録 |
| 薬局の薬剤師 | 痛み止めなどの薬の受け渡しのときに、使い方の困りごとや残っている薬の数を確かめ、主治医と当ステーションに共有する | 主治医・当ステーション/お薬手帳 |
| 福祉用具の事業所 | エアマット・ベッドの作動の点検と、ご本人の状態に合わせた用具の変更の相談を受け持つ | 介護支援専門員・当ステーション/点検票 |
| 理学療法士等 | ベッド上での楽な姿勢とクッションの置き方を確かめ、ご家族に体の向きの変え方を伝える。訪問の曜日は計画書の「訪問予定の職種」に書く | 看護師・ご家族/訓練記録 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
悪い例と良い例|在宅の看取りの訪問看護計画書でありがちな一行の書き直し(20組)
左はよく見かける一行、中央はそのまま貼れる形に直した文です。良い例に入れた薬と処置の内容は、すべて「指示書に記載の」の形にしています。実際の内容は指示書と処方から写してください。
| 欄 | 悪い例 | 良い例(そのまま使える文) | 直した点 |
|---|---|---|---|
| 目標 | 「安らかな最期を迎えることができる」 | 痛みや息苦しさが和らいだ状態で、ご本人が望む自宅の居間のベッドで、妻と過ごす時間を続けられる | 「安らか」の中身を、苦痛・場所・誰と過ごすかに分けた |
| 目標 | 「苦痛の緩和」 | 痛みが強くなる前に薬を使えるように、ご本人とご家族が薬の使い方を分かり、痛みの少ない日を過ごせる | 看護の目的ではなく、ご本人とご家族ができるようになることにした |
| 目標 | 「家族の不安の軽減」 | 夜間に変化があったときに妻が迷わず電話でき、一人で抱え込まずに過ごせる | 不安が減った状態を、行動の形で書いた |
| 目標 | 「在宅看取りができる」 | 呼吸が止まったと思ったときに、ご家族が電話の横に貼った手順に沿って当ステーションへ電話できる | 評価のときに見られる行動にした |
| 課題 | 「末期がん」 | 病気の進行に伴う痛みがあり、日中の過ごし方が狭くなっている(退院時の情報で、腰と背中の痛みが続いている) | 病名ではなく、療養上の課題とその根拠を書いた |
| 課題 | 「家族の介護力不足」 | 妻が一人で夜間の見守りを続けており、休む時間が少なくなっている | ご家族を評価する言葉を避け、事実を書いた |
| O-P | 「疼痛の観察」 | 痛みの場所・強さ・続く時間を、ご本人の言葉と表情で確かめる。頓用の薬を使った時刻とその後の様子をノートで見る | 何を見て、どこから情報を得るかを書いた |
| O-P | 「呼吸状態の観察」 | 話すときの息の切れ方、肩を使った呼吸の有無、眠れた時間、ご家族が感じた苦しそうな様子を見て、聞き取る | 在宅で見られる場面とご家族の情報に置き換えた |
| O-P | 「全身状態の観察」 | 食事と水分の量、眠っている時間、呼びかけへの反応、尿の回数を、訪問ごとにノートと聞き取りで確かめる | 「全身」を見る項目に分けた |
| O-P | 「バイタルサイン測定」 | 訪問時に血圧・脈拍・体温を測り、主治医の指示書に記載の報告の基準を外れた場合は主治医へ報告する。測ることがご本人の負担になる時期は、主治医と測る項目を相談する | 測る理由と、負担への配慮を書いた |
| T-P | 「疼痛コントロール」 | 痛みの薬が主治医の指示書・処方の内容どおりに使えているかを確かめ、楽な姿勢をクッションで整える。痛みが続く場合は主治医へ報告する | 看護師がすることを具体的にした |
| T-P | 「口腔ケア」 | 口の中を湿らせ、汚れを拭き取り、唇に保湿をする。ご本人が嫌がる場合は回数や方法を変える | 方法と、ご本人の気持ちへの配慮を書いた |
| T-P | 「体位変換2時間毎」 | 体の向きを変える回数は、ご本人の苦痛と休息を優先して決める。お尻・かかとの赤みは訪問ごとに見る | 決まった間隔より、看取り期の優先順位を書いた |
| T-P | 「状態に応じて対応」 | 苦しそうなときはベッドの背の上げ方と枕の位置を整え、酸素と薬は指示書に記載の内容で使えているかを確かめる | 「対応」の中身を書いた |
| E-P | 「家族指導」 | ご家族が行える口の中を湿らせるケアの方法を、使う物品と一緒に実際にやって見せる | 指導の中身と方法を書いた |
| E-P | 「死への準備教育」 | 呼吸の間隔があく、手足が冷たくなるなどの変化が起こりうることを、ご家族の受け止めを確かめながら、主治医の説明に沿って伝える | 伝える内容と、伝え方の配慮を書いた |
| E-P | 「異常時は連絡」 | 苦しそう・痛がる・様子がいつもと違うと感じたら、迷っても当ステーションの24時間の電話へ連絡してよいことを伝える | 「異常」の中身と連絡先を決めた |
| 評価 | 「状態変化なし。継続」 | 頓用の薬は訪問の間に2回使われ、使った後は眠れたとノートにある。妻は夜間の電話先を説明できた。目標は継続し、次期は口の中のケアを妻と行う目標を加える | ノートの事実と、次に変えることを書いた |
| 評価 | 「看取りを終えた」 | ご家族は呼吸が止まった後、掲示した手順に沿って当ステーションへ電話した。最期は自宅で妻と長女がそばにいた。主治医と当ステーションへの連絡の経過は記録書Ⅱに記載した | 目標に照らした事実を書いた |
| 備考 | 「緊急時は連絡」 | 連絡の順番:(1)当ステーションの24時間の電話(2)主治医。呼吸が止まったと思ったときは、主治医と決めた手順(電話の横に掲示)に沿う | 場面と順番、手順の置き場所を書いた |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
評価から報告書・ケアプランへ|看取り期の評価文と報告書の欄別記載例
保医発0327第10号の第一の2(3)③は、「目標達成の程度及びその効果等について評価を行うとともに、評価に関する内容を訪問看護記録書に記録すること」とし、必要に応じて計画書を見直すこととしています。看取り期の評価は、数値の良し悪しではなく、苦痛が和らいだか、ご家族が連絡や関わりの行動をとれたか、ご本人の希望がかなったかを書くと、次の計画に何を変えるかが決まりやすくなります。評価欄の詳しい書き方は「訪問看護計画書の評価の書き方と記載例」で扱っているので、ここでは看取り期の場面に絞ります。
| 評価の結論 | 評価欄の記載例 | 次の計画で変える欄 |
|---|---|---|
| 継続(落ち着いている) | 痛みの訴えは朝の着替えの時にあるが、頓用の薬を使った後は眠れているとノートにある。妻は夜間の電話先を説明できた。目標と支援内容は継続とする | 変えない。次の見直し日だけを書き足す |
| 一部達成(ご家族の負担が大きい) | 痛みは和らいでいるが、妻は夜間の見守りで眠れていないと話す。長女が泊まれる日を介護支援専門員と相談し、妻が休む時間をつくる支援内容を加える | 支援内容(担い手の分担)・備考 |
| 未達成(痛みが強くなった) | 夜間に痛みの訴えが増え、ご家族は頓用の薬を使うかを迷って朝まで待っていた。主治医へ報告し、薬の内容の見直しを相談した。薬を使う目安をご家族と作り直す | T-P・E-P |
| 時期の移行(臨死期へ) | 食事はほとんどとれず、眠っている時間が長くなった。主治医の訪問診療で状態の説明があった。目標を口の渇きを和らげることとご家族がそばで過ごすことに改め、訪問の回数を増やす方向で相談した | 目標・課題・訪問の計画 |
| 意向の変化 | ご本人から「やはり最期は病院で」との言葉があった。ご家族の考えも聞いたうえで、主治医・介護支援専門員と話し合いの場を持つ。話し合いの結果に沿って計画を見直す | 目標・備考(方針) |
| 処置の追加 | 主治医の指示で皮下からの持続注入が始まった。指示書の内容を備考とT-Pに写し、衛生材料等の欄に処置の内容と必要量を書き足した | 年月日・T-P・衛生材料等 |
| 目標の達成(ご本人の希望がかなった) | 体調のよい午後に孫と会う時間を持てた。ご本人は「会えてよかった」と話した。疲れは翌朝には戻った。次期は残りの時間の過ごし方をご本人と話す目標にする | 目標 |
| 終了(自宅で亡くなった) | ご家族は呼吸が止まった後、掲示した手順に沿って当ステーションへ電話した。最期は自宅で妻と長女がそばにいた。経過は記録書Ⅱと報告書に記載した | (終了。亡くなった後の記録は事業所の手順に沿う) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
訪問看護報告書の欄に、計画書の評価をどうつなぐか(看取り期の記載例)
計画書で決めた観察とケアの結果は、主治医へ出す訪問看護報告書に書くことになります。左から2列目は保医発0327第10号 第一の2(2)の原文です。亡くなった当日の記録の書き方は「看取り期・死亡時の記録の書き方」で扱っているので、ここでは月ごとの報告書に絞ります。
| 報告書の欄 | 記載要領の定め | 看取り期の記載例 |
|---|---|---|
| 病状の経過 | ③「利用者の病状、日常生活動作(ADL)の状況等について記入すること」 | 月の前半はトイレまで歩いていたが、後半はベッド上で過ごす時間が長くなり、おむつを使い始めた。食事は好きな果物を少し口にする程度になった。痛みは頓用の薬で和らぎ、夜は眠れているとご家族は話す |
| 看護・リハビリテーションの内容 | ④「実施した指定訪問看護の内容について具体的に記入すること」 | 痛みと呼吸の観察、頓用の薬の使用状況の確認、口の中を湿らせるケア、陰部の清潔、体の向きの調整、ご家族への口腔ケアの方法と夜間の連絡の手順の説明を行った |
| 家庭での介護の状況 | ⑤「利用者の家族等の介護の実施状況、健康状態、療養環境等について必要に応じて記入すること」 | 妻が夜間の見守りを続けており、眠れない日があると話す。長女が週末に泊まり、交代で休んでいる。ベッドは庭の見える部屋に移した |
| 特記すべき事項(頻回に訪問看護が必要な理由を含む) | ⑨「前記の②から⑧までの各欄の事項以外に主治医に報告する必要のある事項を記入すること。また、頻回に訪問看護を行った場合、提供した訪問看護の内容についても記入すること」 | 夜間に痛みの訴えが増え、ご家族が頓用の薬を使うかを迷う場面がありました。薬を使う目安についてご相談させてください。また、月の後半は状態の変化に合わせて訪問の回数を増やし、口腔ケアと体の向きの調整、ご家族への説明を行いました |
| 衛生材料等の使用量および使用状況 | ⑥「処置に使用した衛生材料等の名称、使用及び交換頻度、1ヶ月間における使用量を記入すること」 | 持続注入や褥瘡の処置に使った衛生材料の名称・交換の頻度・その月の使用量を記入する(処置がない月は記入しない) |
| 訪問日 | ②ロ 特別訪問看護指示書に基づく訪問看護を実施した日を「△で囲むこと」、1日に2回以上訪問した日を「◎で」囲むこと | 状態の変化で1日に2回訪問した日と、特別訪問看護指示書の期間の訪問日を、記録書Ⅱの訪問日時と突き合わせて印をつける |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
介護支援専門員のケアプランと合わせる点(看取り期)
介護保険の訪問看護では、老企第55号の1(1)により、居宅サービス計画が作成されている場合は「当該計画の内容に沿って作成する」こととされています。がん末期の方のケアプランの文例は当サイトの「がん(末期)の方のケアプラン文例」で扱っているので、ここでは訪問看護計画書の側で何を合わせるかだけを整理します。看取り期は状態の変化が早いため、ケアプランと計画書の見直しの時期がずれやすくなります。
| ケアプランの側 | 訪問看護計画書の側 | 看取り期の合わせ方 |
|---|---|---|
| 利用者及び家族の生活に対する意向 | 看護・リハビリテーションの目標 | ご本人・ご家族の言葉が両方の計画で同じ意味に受け取れるかを確かめる。意向が変わったら、どちらが先に聞いたかにかかわらず互いに伝える |
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 療養上の課題 | ケアプランのニーズの言葉を受けて、看護の立場からの課題に言い換える |
| 短期目標とその期間 | 短期目標と見直しの年月日 | 看取り期は期間を短くとることが多いので、評価の結果を介護支援専門員へ伝える日を決める |
| サービス内容と頻度 | 支援内容・訪問の計画(備考) | 訪問の回数を増やしたときに、ケアプランの側の見直しが追いついているかを確かめる |
| 他のサービスの位置づけ | 備考(他のサービスの利用状況) | 訪問介護・訪問入浴・福祉用具の曜日と役割を写し、体調の見方を同じ項目にそろえる |
| 緊急時の対応 | 備考(連絡の順番) | 夜間・休日の連絡の順番と、呼吸が止まったときの手順が、ケアプランと計画書で同じになっているかを確かめる |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
運営指導で看取り期の計画書について見られる点と、手元に残す記録の一覧
厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)では、訪問看護の「訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成(第70条)」について次の確認項目が示されています。右の列は、看取り期の計画書で確かめる点の例です。
| 別添1の確認項目(訪問看護・第70条) | 看取り期の計画書で確かめる点 | 貴事業所の確認欄 |
|---|---|---|
| 居宅サービス計画に基づいて訪問看護計画が立てられているか | 訪問の回数を増やしたときに、ケアプランの頻度と計画書の訪問の計画が食い違っていないか | 確認日:( ) |
| 主治の医師の指示及び利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて訪問看護計画が立てられているか | 指示書の薬・処置の内容が計画書に写されているか。ご本人が望む過ごし方と場所が目標に書かれているか | 確認日:( ) |
| サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか | O-P・T-P・E-Pが「疼痛の観察」「家族指導」の一語で止まっていないか。訪問の曜日・職種が分かるか | 確認日:( ) |
| 利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか | ご本人が説明を聞ける状態でない時期に、誰に説明し同意を得たかが記録に残っているか | 確認日:( ) |
| 目標の達成状況は記録されているか | 評価欄と記録書Ⅱに、苦痛の変化やご家族の行動などの事実が書かれているか | 確認日:( ) |
| 達成状況に基づき、新たな訪問看護計画が立てられているか | 時期が進んだとき、処置が始まったとき、意向が変わったときに計画書が見直されているか | 確認日:( ) |
| 訪問看護報告書は作成されているか | 計画書の評価と報告書の病状の経過がつながっているか。訪問が多くなった月に特記すべき事項が書かれているか | 確認日:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
自治体の公表資料にある計画書・看取り期の記録の指摘(5件)
計画書の書き方と、看取り期の説明・記録に関わる公表事例です。千葉市・堺市の2件はターミナルケア加算に関する指摘で、加算の要件そのものは「訪問看護のターミナルケア加算の要件」で扱っています。なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。
| 自治体 | 公表されている指摘の内容 | 看取り期の計画書で見直す点 |
|---|---|---|
| 長野県(令和6年度運営指導結果の概要・訪問看護) | 居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない、利用者の同意を得たことが確認できない、具体的なサービス内容を記載していない事例等 | ケアプランとの対応、説明・同意の記録、O-P・T-P・E-Pの具体性 |
| 神戸市(介護保険サービス事業運営上の留意事項・令和7年3月) | 訪問看護指示書の有効期限切れ・受領遅れ、計画書に具体的なサービスの内容・利用者の希望・主治医の指示・看護目標等を記載していない、計画書に利用者の同意署名がない等 | 指示書と特別訪問看護指示書の期間の管理、指示書の内容の転記、ご本人の希望の反映、同意の記録 |
| 東京都(運営指導における主な指摘事項・訪問看護) | 計画書を作成していない、ケアプランの内容と相違している、内容が不十分 | 退院当日・翌日から訪問が始まる場合に、計画書が先にできているか |
| 千葉市(令和7年度の運営指導における主な指導事項について) | 利用者及びその家族等に対し、ターミナルケアに係る計画及び支援体制について説明し、同意を得ていることの確認ができない事例。終末期の身体症状の変化及びこれに対する看護、療養や死別に関する利用者及び家族の精神的な状態の変化及びこれに対するケアの経過等の記録が確認できない事例 | 計画書の課題に、身体の症状とご家族の気持ちの両方が入っているか。説明した相手と日付が残っているか |
| 堺市(令和8年度 集団指導 居宅事業所編) | 緊急時訪問看護加算・ターミナルケア加算は、重要事項説明書の説明の中で包括的に同意を得るのではなく、個別に十分な説明を行い同意を得ること。ターミナルケア加算について、利用者及び家族の精神的な状態の変化とケアの過程の記録が希薄である | 予期悲嘆の課題を計画書に立て、ご家族の言葉と看護師の関わりを記録書Ⅱに残しているか |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
看取り期の計画書について手元に残す記録(記入欄つき)
保存の年限は、介護保険では各自治体の条例で定められているため、ここでは記入欄にしています。
| 記録 | 何のために残すか | 保管場所 | 最終更新日 |
|---|---|---|---|
| 訪問看護指示書・特別訪問看護指示書 | 薬・処置の内容と、指示期間の根拠 | ( ) | ( ) |
| 退院時の情報(看護サマリー等) | 課題欄の根拠、病状の説明の内容 | ( ) | ( ) |
| 主治医・ご本人・ご家族の話し合いの記録 | 療養の方針と、意向が変わった経過 | ( ) | ( ) |
| 居宅サービス計画の写し | 計画書がケアプランに沿っていることの確認 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護計画書(説明・同意・交付の記録つき) | 説明した相手と日付、同意と交付の事実。見直しのたびの版 | ( ) | ( ) |
| ご家族のノート(頓用の薬・排泄・眠り)の写し | 評価欄の根拠 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護記録書Ⅰ(緊急時の連絡先を含む) | 連絡の順番と電話番号の最新の状態 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護記録書Ⅱ | 観察・ケア・説明の実施と、評価の内容 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護報告書(主治医への提出の記録つき) | 評価と病状の経過、頻回の訪問の内容を主治医へ伝えた事実 | ( ) | ( ) |
| 他事業所との連絡帳・共有の記録 | 訪問介護・訪問入浴・薬局との分担の実際 | ( ) | ( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
よくある質問
在宅の看取りの看護計画に、薬の量や酸素の流量を書いてもよいですか?
薬の種類や量、酸素の流量、点滴の内容は、主治医が一人ひとりに合わせて決めるものです。計画書には主治医の指示書・処方に記載された内容を転記し、「指示書に記載の内容」と出どころが分かる形で書くと、指示が変わったときに計画書の見直しにも気づきやすくなります。
病院の終末期の看護計画と、訪問看護計画書の書き方は何が違いますか?
訪問看護計画書は、主治医の指示書と訪問による療養状況を踏まえて目標を設定し、訪問の時間の中で行う観察・ケア・説明を書くものです。看取り期は看護師がいない時間がずっと長いので、ご家族や他の事業所が何を見て、どこへ連絡するかまで書いておくと、在宅での計画として使いやすくなります。
看取り期の訪問看護計画書は、どんなときに見直しますか?
計画書の年月日の欄には、作成年月日と計画の見直しを行った年月日を記入することとされています。看取り期では、食事がとれなくなったとき、眠っている時間が長くなったとき、処置が始まったとき、ご本人・ご家族の意向が変わったときなどが見直しのきっかけになります。
ご本人が説明を聞ける状態でないとき、計画書の説明と同意はどうしますか?
運営指導の確認項目には、利用者又はその家族への説明・同意・交付が行われているかが挙げられています。ご本人が説明を聞ける状態でない時期は、誰に説明し、いつ同意を得たかを記録に残しておくと、後から確かめやすくなります。具体的な取り扱いは保険者にご確認ください。
ターミナルケア加算の要件や、亡くなった当日の記録もこの計画書に書きますか?
この記事では計画書の書き方に絞っています。ターミナルケア加算の要件は「訪問看護のターミナルケア加算の要件」で、亡くなる前後の記録の書き方は「看取り期・死亡時の記録の書き方」で扱っています。計画書には、ご本人とご家族への説明の内容と、支援の体制を書いておくと、記録とのつながりが分かりやすくなります。
出典
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。
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この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
