高血圧症の方のケアプランは、血圧を安定させ、脳卒中や心疾患などの合併症を防ぐことが大切です。服薬と生活習慣の管理を中心に、文例とともに整理します。
ケアの視点
毎日の血圧測定と服薬を続け、減塩や体重管理など生活習慣を整えます。血圧の変動や体調の変化に早く気づくことが大切です。
ケアプランの文例
ニーズ:血圧を安定させ、合併症を防いで暮らしたい。
長期目標:血圧が安定し、合併症を起こさず生活できる。
短期目標:毎日の血圧測定と服薬を続けられる。
サービス内容:訪問看護による血圧・服薬の管理、減塩などの食事助言、体重管理、受診の支援。
書き方のポイント
- 血圧の測定値・変動を具体的に書く
- 服薬の飲み忘れ対策を留意事項に
- 減塩・生活習慣の工夫を盛り込む
計画に落とし込むときに迷うところ——高血圧症の場合
① 自覚症状がないから、続かない
高血圧は症状が出ません。だから服薬も減塩も途切れます。「なぜ続けるのか」を本人の言葉で確認するところから始めます。
② 下げすぎも問題になる
高齢者では、血圧が下がりすぎるとふらつきや転倒につながります。目標値は主治医が決めるもので、支援者が「低いほどよい」と考えないことが要点です。
③ 家庭血圧は「測り方」で変わる
測る時間、姿勢、直前の行動で値が変わります。測定の条件を揃えないと、記録が判断に使えません。
長期目標・短期目標の立て方
| 避けたい書き方 | 扱いやすい書き方 | |
|---|---|---|
| 長期目標 | 血圧を正常値にする | 主治医の指示に沿った生活を続け、合併症を防ぐ |
| 短期目標 | 減塩する | 味噌汁を1日1杯にするなど、続けられる形で塩分を減らせる |
| 短期目標 | 毎日運動する | 天気のよい日に、近所を歩く習慣を続けられる |
サービス種別ごとの位置づけ例
| サービス | 位置づけの例 | 記録で見るところ |
|---|---|---|
| 訪問看護 | 血圧の測定と評価、服薬管理 | 朝晩の血圧、服薬状況、ふらつき |
| 訪問介護 | 食事の準備、生活リズムの支援 | 食事内容、塩分の使い方 |
| 通所介護 | 運動の機会と血圧測定 | 参加状況、測定値 |
| 家族 | 日々の測定と記録 | 測定の条件が揃っているか |
第1表・第2表の文例
第1表:利用者及び家族の生活に対する意向
- 本人「症状がないので、薬が本当に必要なのか分からない」
- 長女「塩辛いものが好きで、なかなか変えられない」
第1表:総合的な援助の方針
自覚症状がないなかで治療を続けていただけるよう、なぜ続けるのかを一緒に確認しながら支援します。血圧の測定条件を揃え、記録が判断に使える形にします。下がりすぎによるふらつきにも注意し、変化があれば主治医へつなげます。
第2表:ニーズ・目標・サービス内容
| 生活全般の解決すべき課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自覚症状がなく、服薬が途切れやすい | 服薬を継続できる | 飲み忘れが月1回以内になる | 訪問看護:週1回の確認/薬局:一包化とカレンダー |
| 塩分の多い食事が続いている | 塩分を控えた食事を続けられる | 味噌汁を1日1杯にできる | 訪問介護:調理支援/管理栄養士:指導 |
| 血圧の記録が判断に使えていない | 測定条件が揃った記録が続けられる | 朝晩、決まった条件で測定できる | 訪問看護:測定方法の指導/家族:記録 |
| 薬の影響でふらつくことがある | 安全に移動できる | 立ち上がり時のふらつきに対処できる | 訪問看護:観察と主治医への報告/福祉用具:手すり |
モニタリングで見る、変化のサイン
- 血圧——朝晩の値、変動の幅、いつもと違う日
- ふらつき——特に起き上がりや立ち上がりのとき
- 服薬——飲み忘れ、自己判断での中止
- 食事——塩分だけでなく、食事量そのもの
- 体重——急な増加はむくみのことがあります
- 頭痛・めまい——受診につなげる基準を決めておきます
計画づくりでよくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 目標の血圧値を計画に書くか | 数値目標は主治医が決めます。支援者は生活面の目標を書きます |
| 測る時間はいつがよいか | 起床後1時間以内、排尿後、朝食前、服薬前が一般的とされます。主治医の指示に沿います |
| 1回だけ高い値が出た | 1回で判断しません。続く場合に相談します。記録を残すことが役立ちます |
| 減塩が続かない | 全部変えようとせず、1品だけ変えるところから始めます |
| 薬を飲むと下がりすぎる | 自己判断で調整せず、記録を持って主治医に相談します |
※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。
家庭血圧を「使える記録」にする
- 時間を決める——朝は起床後1時間以内・排尿後・朝食前・服薬前、夜は就寝前が一般的です
- 姿勢を決める——椅子に座り、1〜2分安静にしてから測ります
- カフの位置——上腕を心臓の高さに合わせます
- 直前の行動を避ける——入浴、運動、飲酒、喫煙の直後は測りません
- 同じ機器で測る——機器を変えると値が変わることがあります
- 高い値も低い値も、そのまま記録する——選んで書くと判断に使えなくなります
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
ケアプラン文例(記入例・コピペ可)
高血圧症の方のケアプランでは、服薬・減塩・血圧測定・運動・体調変化の早期発見が柱になります。生活課題ごとの文例です。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| 血圧を安定させて元気に過ごしたい | (長期)血圧が管理され合併症なく在宅生活を続けられる/(短期)減塩と服薬を毎日続けられる | 訪問看護の血圧測定・服薬確認、管理栄養士の減塩指導、主治医と連携 |
| 自分で体調を管理できるようになりたい | (長期)血圧手帳をつけ体調変化に気づける/(短期)毎日の血圧測定が習慣になる | 訪問介護の声かけ・見守り、血圧計の使い方の支援、家族と共有 |
| 適度に体を動かして健康を保ちたい | (長期)無理のない範囲で活動を続けられる/(短期)週2回の運動に参加できる | 通所介護での軽運動、主治医の運動指示に基づく活動、水分補給の配慮 |
高血圧症|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自覚症状はないが、血圧を安定させたい | 血圧が安定した状態で、いまの生活を続けられる(1年) | 朝の血圧を毎日測り、記録できる(2か月) | 訪問看護:月2回の血圧の確認/本人:血圧手帳の記入 |
| 味の濃いものが好きで、なかなか変えられない | 減塩が習慣になり、体調が安定する(1年) | 汁物を1日1回までにできる(3か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士/訪問介護:調理 |
| 薬を飲み忘れることがある | 服薬が続き、血圧が安定した状態を保てる(1年) | 服薬カレンダーで飲み忘れが月1回以下になる(2か月) | 訪問看護:服薬の確認/居宅療養管理指導:薬剤師 |
| 冬になると血圧が上がる | 季節による変動があっても、体調を保てる(1年) | 入浴前後の脱衣所を暖める工夫ができる(3か月) | 訪問看護:季節ごとの助言/住宅改修:暖房の相談 |
| 立ちくらみがすることがある | 転倒せずに、動作を安全に行える(1年) | 段階的な起き上がりが習慣になる(2か月) | 訪問看護:起立時の血圧の確認/訪問リハビリテーション |
| 運動をしたいが、無理をするのが怖い | 無理のない運動が続き、体調を保てる(1年) | 週3回、15分の歩行を続けられる(3か月) | 訪問リハビリテーション:運動の助言/通所介護(週1) |
| お酒とたばこがやめられない | 生活習慣が整い、血圧が安定する(1年) | 飲酒を週2日までにできる(3か月) | 訪問看護:生活習慣の相談/主治医との連携 |
| 体重が増えてきた | 適正な体重に近づける(1年) | 毎週、体重を測って記録できる(2か月) | 居宅療養管理指導:管理栄養士/本人:週1回の測定 |
| 一人暮らしで、急変時が不安だ | 急変時にも連絡がつく体制で生活できる(1年) | 緊急時の連絡手順を自分で実行できる(1か月) | 緊急通報装置/訪問看護:24時間対応/地域:見守り |
| 受診を忘れそうになる | 受診が途切れず、治療を続けられる(1年) | 毎月の受診に、支援を受けて通える(2か月) | 訪問介護:通院等乗降介助/家族:受診日の確認 |
高血圧症|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 血圧 | 朝夕の値、季節や時間帯による変動 | 測定の担当と記録の方法を書く |
| 服薬 | 飲み忘れ、自己判断での中断 | 管理方法を見直す |
| 体重 | 増減の傾向 | 食事・運動の目標を置き直す |
| 食事 | 塩分の摂り方、外食の頻度 | 栄養に関する支援を加える |
| 自覚症状 | 頭痛、めまい、立ちくらみ | 受診の目安を家族と共有する |
| 活動量 | 歩行の距離と頻度 | 無理のない回数へ調整する |
| 生活習慣 | 飲酒、喫煙、睡眠 | 支援の入り方を本人と相談する |
| 受診 | 通院の継続、処方の変更 | 通院支援を計画に位置づける |
高血圧症|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 血圧を下げる | 検査値そのものは生活の目標になりにくい | 朝の血圧を毎日測り、記録できる |
| 減塩する | 支援者側の指示であり、目標ではない | 汁物を1日1回までにできる |
| 服薬管理を行う | サービス内容であり、目標ではない | 服薬カレンダーで飲み忘れが月1回以下になる |
| 生活習慣を改善する | 何をもって改善とするか分からない | 飲酒を週2日までにできる |
| 合併症を予防する | 起きなかったことは確認しにくい | 血圧が安定した状態で、いまの生活を続けられる |
| 運動を促す | 促すのは支援者の行為である | 週3回、15分の歩行を続けられる |
| 受診を継続する | 誰が何をするか分からない | 毎月の受診に、支援を受けて通える |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
高血圧のケアプランで重視する点は?
減塩はどのように位置づけますか?
血圧測定は誰が行いますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
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介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
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場面別|高血圧の観察と記録の文例
高血圧の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 測定 | 毎朝、起床後1時間以内・排尿後・座位2分安静で測定している。 |
| 朝の血圧 | 132/78。前週の平均は136/80。 |
| 夜の血圧 | 124/74。 |
| 脈拍 | 68(整)。 |
| 記録 | 本人が手帳に記入できている。受診時に持参している。 |
| 服薬 | 降圧薬を朝1回。飲み忘れは月1回程度。 |
| 飲み忘れ対策 | 服薬カレンダーを導入し、飲み忘れがなくなった。 |
| 食事 | 汁物を半量にし、漬物を減らしている。 |
| 塩分 | 家族の協力で薄味に変更。本人から不満の訴えなし。 |
| 体重 | 64.2kg。前月比マイナス0.6kg。 |
| 運動 | 午前に室内歩行20分。実施後の血圧上昇なし。 |
| 入浴 | 湯温40度、10分以内。入浴前後に血圧を測定している。 |
| 症状 | 頭痛・めまいの訴えなし。 |
| 冬季の注意 | 脱衣所と浴室を暖め、温度差を小さくしている。 |
| 排便 | いきみを避けるため、便通を整えている。 |
| 受診 | 月1回の受診を継続。処方の変更なし。 |
| 注意点 | 収縮期血圧180以上、または強い頭痛・めまいがあるときは受診の判断を行う。 |
| 連携 | 訪問看護より「血圧は安定」との報告。 |
あわせて確認したい、併存しやすい状態
高血圧症の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
慢性腎不全(人工透析)/脳血管疾患/心房細動/心不全/糖尿病
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
