パーキンソン病の方のケアプランは、転倒予防と、薬の効果に合わせた生活支援が大切です。薬が効いている時間帯(オン)を活かし、動きにくい時間帯(オフ)に無理をさせない――この「時間の設計」が、他疾患のケアプランとは異なるパーキンソン病ならではの視点です。文例と、薬効に合わせた生活支援・服薬管理の書き方を整理します。

ケアの視点
すくみ足や小刻み歩行、動作の遅さ(無動)を踏まえて転倒を防ぎながら、薬が効いている時間帯を活かして活動できるよう支えます。パーキンソン病では、症状が一日の中で大きく変動するのが特徴で、次のような点に配慮します。
- 薬効の波(オン・オフ現象、ウェアリング・オフ):服薬から時間が経つと効果が切れて動きにくくなる。効いている時間に活動を配置する
- すくみ足・突進歩行・方向転換時の転倒:狭い場所や戸口で足が止まりやすい。環境整備と声かけ・視覚的な手がかりで補う
- 嚥下障害・誤嚥:食事形態や姿勢、食事の時間帯(オンの時間に食べる)への配慮
- 自律神経症状(便秘・起立性低血圧):立ち上がり時のふらつき、排便コントロール
- 構音障害・小声:会話・意思疎通のしづらさへの配慮
- 進行性である点:症状は少しずつ進むため、定期的な見直し(モニタリング)を前提に書く
パーキンソン病と介護保険(特定疾病)
パーキンソン病は、40〜64歳の第2号被保険者が介護保険サービスを利用できる「特定疾病」の一つとして、告示(政令)に定められています。ケアプランの前提として押さえておきたい点なので、対照の形で示します。
| 告示(政令)の定め | 確認のしかた |
|---|---|
| 介護保険法施行令 第2条 第7号に「進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病」が特定疾病として掲げられている | 第2号被保険者の受給資格や要介護度は個別の要介護認定で決まります。実際の該当可否は、認定結果・主治医意見書でご確認ください |
※特定疾病に該当するかどうか、介護保険の対象となるかどうかは、市区町村の要介護認定で判断されます。本ページは制度の定めを整理したもので、個別の判定を示すものではありません。原典をご確認ください。
ケアプランの文例
ニーズ:転倒の不安なく、できることを続けて暮らしたい。
長期目標:転倒なく、見守りのもとで身の回りのことを続けられる。
短期目標:手すりや見守りを使い、安全に屋内を移動できる。
サービス内容:理学療法士によるリハビリ、福祉用具・住宅改修、服薬時間に合わせた支援、嚥下への配慮。
薬効に合わせた生活支援の書き方
パーキンソン病のケアプランで差がつくのは、「薬が効いている時間帯(オン)」を軸に生活を組み立てる視点です。同じ入浴・リハビリ・外出でも、いつ行うかで安全性と自立度が変わります。
- オンの時間に活動を寄せる:リハビリ・入浴・通所・外出は、薬が効いて動きやすい時間帯に配置する
- オフ/ウェアリング・オフの時間は無理をさせない:動きにくい時間帯の転倒リスクを見込み、見守り・介助を厚くする
- ジスキネジア(不随意運動):薬が効きすぎる時間帯の症状にも触れ、主治医への相談を留意点に書く
- 「時間帯」を記録に残す:いつ動きやすく、いつ動きにくいかを訪問時に記録し、モニタリングで支援時間を調整する
※服薬内容・タイミングの調整は医師・薬剤師の領域です。ケアプランには「主治医・薬剤師と連携して服薬時間に合わせて支援する」といった連携の形で記載し、薬の増減や中止をケアプランで指示しないようにします。
服薬管理の掘り下げ
パーキンソン病は服薬のタイミングで症状が大きく変わるため、服薬管理を明確にケアプランへ位置づけます。書き方の例を挙げます。
- 服薬時間の厳守:レボドパ等は決められた時間の服薬が症状の安定につながる。時間どおりの服薬を支援目標に置く
- 飲み忘れ・過量の防止:服薬カレンダー・一包化・お薬ボックスの活用、訪問時の残薬確認
- 訪問看護・訪問介護での服薬確認:誰が・いつ・どう確認するかを役割分担で明記
- 主治医・薬剤師との連携:症状の変動や副作用を情報共有し、処方調整につなげる導線を書く
書き方のポイント
- 薬の効果の波(オン・オフ、ウェアリング・オフ)を踏まえて書く
- 転倒予防の環境整備を具体的に(戸口・段差・動線・手すり・照明)
- 嚥下・便秘・起立性低血圧など合併しやすい課題に留意する
- 進行性であることを前提に、見直しの時期を意識して書く
- 本人の「したい活動」を、動きやすい時間帯にどう実現するかで書く
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
※記録やアセスメントの内容をAIに入力する際は、利用者さまの氏名や被保険者番号などの個人情報は伏字(例:A様)にする、事業所・法人内のルールを確認するなど、個人情報の取り扱いにご配慮ください。
ケアプラン文例(記入例・コピペ可)
パーキンソン病の方のケアプランでは、服薬時間の管理、転倒予防、動きやすい時間の活用、嚥下・自律神経症状への配慮、進行に応じた支援が柱です。生活場面ごとに、ニーズ・目標・サービス内容を対照の形で並べました。実在の方の情報は入れず、記入例は「(例)」で示し、氏名は伏字(A様)にしています。
| 生活課題(ニーズ) | 長期・短期目標 | サービス内容・留意点 |
|---|---|---|
| (例)転ばず自分のペースで動きたい | (長期)転倒なく屋内の移動を続けられる/(短期)動きやすい時間帯に手すりを使って安全に移動できる | 訪問リハビリ、福祉用具(手すり・歩行器)、住宅改修、戸口・段差の環境整備、歩行の見守り |
| (例)薬を効かせて生活のリズムを保ちたい | (長期)服薬が管理され症状が安定する/(短期)決まった時間に服薬できる | 訪問看護・訪問介護での服薬確認、服薬カレンダー・一包化、残薬確認、主治医・薬剤師と連携 |
| (例)動きやすい時間に好きな活動を続けたい | (長期)生活動作と楽しみを保てる/(短期)オンの時間に週2回の機能訓練へ参加できる | 通所リハビリ(オンの時間に設定)、機能訓練、外出・活動の時間帯調整 |
| (例)むせずに安全に食事をとりたい | (長期)誤嚥なく食事を続けられる/(短期)姿勢と食事形態を整えて安全に食べられる | 嚥下への配慮(食事形態・姿勢・オンの時間に食事)、言語聴覚士・歯科・主治医と連携 |
| (例)便秘やふらつきの不安なく過ごしたい | (長期)排便が整い体調が安定する/(短期)水分・運動・排便リズムを保てる | 水分・食事・排便の支援、立ち上がり時のふらつき(起立性低血圧)への見守り、主治医と連携 |
| (例)家族の介護の負担を和らげたい | (長期)家族が無理なく在宅生活を支えられる/(短期)介護方法を共有し休息の時間を確保できる | 通所・短期入所(レスパイト)、家族への介助方法の助言、症状変動の情報共有 |
※上記は書き方の一例です。実際のケアプランは、アセスメント(課題分析標準項目)と本人・家族の意向にもとづき、担当者会議を経て個別に作成します。
パーキンソン病|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| すくみ足で転びそうになるが、自分の足で歩き続けたい | 転倒せずに、屋内での生活動作を続けられる(1年) | 方向転換のときに手すりを使い、ふらつかずに向きを変えられる(3か月) | 訪問リハビリテーション:方向転換の練習/福祉用具:手すり |
| 薬の効き目に波があり、動ける時間が限られる | 動ける時間を活かして、生活を組み立てられる(1年) | 薬の効いている時間帯に入浴と外出ができる(3か月) | 訪問看護:症状の日内変動の記録/訪問介護:時間帯を合わせた支援 |
| 服薬の時間を守るのが難しい | 服薬時間が守られ、症状が安定する(1年) | 決まった時刻に服薬できる日が週6日以上になる(2か月) | 訪問看護:服薬の確認/福祉用具:服薬時計・アラーム |
| 声が小さくなり、話が伝わりにくい | 意思疎通が保たれ、人との関わりを続けられる(1年) | 短い文で、家族に用件を伝えられる(3か月) | 言語聴覚療法:発声の訓練/家族:静かな環境で正面から聞く |
| 食事中にむせることが増えた | 誤嚥性肺炎を起こさず、食事を続けられる(1年) | とろみと姿勢の調整で、むせが週1回以下になる(3か月) | 言語聴覚療法:嚥下の評価/訪問介護:食事の姿勢の調整 |
| 便秘がつらい | 腹部の不快感なく、規則的な排便がある(6か月) | 2〜3日に1回、自然な排便がある(3か月) | 訪問看護:腹部の観察/訪問介護:水分と食物繊維の援助 |
| 着替えに時間がかかる | 身支度を自分のペースで続けられる(1年) | 前開きの衣類で、上着の着脱を自分で行える(3か月) | 作業療法:動作の工夫/福祉用具:着脱しやすい衣類の相談 |
| 立ちくらみがして、朝がつらい | 転倒せずに起床の動作ができる(6か月) | 段階的な起き上がりが習慣になる(2か月) | 訪問看護:起立時の血圧の確認/訪問リハビリテーション:起き上がりの指導 |
| 動きが遅くなり、家族に急かされる | 自分のペースで生活でき、家族も理解して待てる(1年) | 家族が動作にかかる時間を理解し、待つ関わりができる(2か月) | 訪問看護:家族への説明/介護支援専門員:家族との調整 |
| 外出の機会が減って、気持ちが沈む | 人との関わりを保ち、生活に張りが出る(1年) | 週1回、通所の場に参加できる(3か月) | 通所リハビリテーション(週1)/家族:付き添い外出 |
| 夜間にトイレへ行くのが不安だ | 夜間も転倒せずにトイレへ行ける(1年) | ポータブルトイレを安全に使用できる(2か月) | 福祉用具貸与:ポータブルトイレ・手すり/住宅改修:足元灯 |
| この先どうなるのか不安だ | 先の見通しを持ちながら、いまの生活を続けられる(1年) | 不安を相談できる相手が決まっている(1か月) | 訪問看護:傾聴/介護支援専門員:定期的な面談/患者会の情報提供 |
パーキンソン病|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 日内変動 | 薬が効いている時間・効きにくい時間の記録 | 支援の時間帯を効いている時間に合わせる |
| すくみ足 | 出やすい場所と場面(方向転換・狭い場所・戸口) | 環境調整と声かけの方法を計画に書く |
| 姿勢・バランス | 前傾姿勢の進行、突進現象、後方への不安定さ | 訓練内容と福祉用具を見直す |
| 服薬 | 服用時刻のずれ、飲み忘れ | 時刻管理の支援方法を変更する |
| 嚥下 | むせの頻度、食事にかかる時間 | 食形態と姿勢の再評価を行う |
| 排便 | 回数、便の性状、腹部の張り | 水分・食事・運動の支援を加える |
| 起立性の症状 | 起床時・食後のふらつき、血圧の変動 | 起き上がりの手順を具体的に書く |
| 発声・表情 | 声量の低下、表情の乏しさ | 意思疎通の工夫を留意事項に書く |
パーキンソン病|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| パーキンソン病を進行させない | 疾患の経過そのものは目標にできない | 転倒せずに、屋内での生活動作を続けられる |
| 服薬管理を徹底する | 支援者側の行為であり、目標ではない | 決まった時刻に服薬できる日が週6日以上になる |
| すくみ足に注意する | 誰が何をするか分からない | 方向転換のときに手すりを使い、ふらつかずに向きを変えられる |
| リハビリを継続する | 手段が目標になっている | 薬の効いている時間帯に入浴と外出ができる |
| 転倒しないようにする | 評価の基準がない | 夜間もポータブルトイレを安全に使用できる |
| 家族が見守る | 家族頼みの計画になっている | 家族が動作にかかる時間を理解し、待つ関わりができる |
| 嚥下機能を維持する | 専門用語で、達成の確認ができない | とろみと姿勢の調整で、むせが週1回以下になる |
パーキンソン病|薬の効いている時間に合わせた1日の組み立て
| 時間帯 | 状態の目安 | この時間に置きたいこと |
|---|---|---|
| 起床直後 | 薬の効果が切れていることが多い | 無理に動かず、段階的な起き上がり。介助を厚めにする |
| 服薬後30分〜 | 動きやすくなってくる | 更衣・整容など、自分で行いたい動作をここに置く |
| 午前の効いている時間 | もっとも動きやすい | 入浴・外出・リハビリテーションを配置する |
| 昼食前後 | 効果が切れ始めることがある | 食事の姿勢を整え、むせに注意する |
| 午後 | 日により変動が大きい | 休息をはさみ、無理な予定を入れない |
| 夕方以降 | 疲労で動きにくくなりやすい | 転倒しやすい時間帯として、移動の見守りを厚くする |
| 就寝前 | 服薬と排泄の確認 | 夜間の動線を整え、足元灯とポータブルトイレを配置する |
| 夜間 | 起き上がり時のふらつきに注意 | 転倒予防の環境を計画に明記する |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
パーキンソン病のケアプランで重視する点は?
転倒予防はどう書きますか?
服薬管理が重要なのはなぜですか?
「オン・オフ」に合わせるとは、具体的にどう書きますか?
40〜64歳でも介護保険を使えますか?
進行に応じてケアプランはどう見直しますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。制度・様式は改定される場合があるため、最新の内容は原典をご確認ください。
無料ではじめる
次の一歩を、どうぞ
介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
アプリケーションを無料で使ってみる(iPhone / Android)
利用者さま3名まで・期限なく無料/クレジットカード登録不要
場面別|パーキンソン病の観察と記録の文例
パーキンソン病の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 動きやすい時間 | 服薬後1時間から3時間が動きやすい。この時間に入浴を組んでいる。 |
| すくみ足 | 歩き始めに足が出にくい。床の目印をまたぐ声かけで踏み出せる。 |
| 小刻み歩行 | 歩幅が狭く前傾になる。「大きく一歩」の声かけで改善する。 |
| 方向転換 | 振り向く動作でふらつく。手すりのある場所で行うよう声かけ。 |
| 転倒 | 7月8日、方向転換時に尻もちをつく。外傷なし。 |
| 振戦 | 安静時に右手の震えあり。動作時は軽減する。 |
| 固縮 | 起き上がりに時間を要する。電動ベッドの背上げを使用。 |
| 食事 | 箸が使いにくく、スプーンに変更。所要35分。 |
| 嚥下 | 食事の後半でむせることがある。ペースを落とすよう声かけ。 |
| よだれ | 日中に流涎あり。こまめに拭き取っている。 |
| 声 | 声が小さく聞き取りにくい。近づいて確認している。 |
| 便秘 | 3日に1回の排便。緩下剤で調整している。 |
| 起立性低血圧 | 起き上がり時に「くらっとする」と話される。段階的に起きるよう声かけ。 |
| 服薬 | 時間どおりの内服を最優先。5分以上ずれないよう管理している。 |
| 入浴 | 薬が効いている時間帯に実施。浴室内は手すりを使用。 |
| 睡眠 | 夜間の寝返りが打ちにくい。介助バーを設置した。 |
| 注意点 | 服薬の時間がずれると動けなくなるため、外出時も持参するよう家族へ伝えた。 |
| 連携 | 理学療法士より歩行の助言あり。床の目印を継続する。 |
本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。
あわせて確認したい、併存しやすい状態
パーキンソン病の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
便秘・排泄ケア/誤嚥性肺炎/骨折・転倒後/うつ病(高齢者)
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
