あわせて、訪問看護(介護保険)の加算一覧で単位数と算定要件の対照表をまとめています。
機能強化型訪問看護とは(医療保険の上位区分)
機能強化型訪問看護ステーションは、24時間対応・ターミナルケア・重症児(者)への対応など、手厚い体制を備えたステーションを医療保険で評価する上位区分です。医療保険の訪問看護では、訪問ごとの「訪問看護基本療養費」に加え、月単位で「訪問看護管理療養費」を算定します。この管理療養費に、体制に応じた上位区分として機能強化型訪問看護管理療養費1・2・3が設けられており、令和8年度改定では新たに機能強化型4が加わりました。
要件を満たして届け出た場合、訪問看護管理療養費が高く設定され、収益性が上がります。あわせて24時間対応やターミナルケアの体制が整い、地域の医療機関からの信頼・紹介にもつながります。算定の枠組みは、「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第67号)と、その一部改正に伴う留意事項通知(保医発)に定められています。
前提整理:医療保険の訪問看護と介護保険の訪問看護の境界
機能強化型「管理療養費」は医療保険の枠組みです。まず、どの利用者が医療保険の訪問看護になるかを押さえます。原則として介護保険が医療保険に優先し、要支援・要介護の認定を受けた方は介護保険の訪問看護が基本です。ただし、次の場合は医療保険の訪問看護になります。
| 医療保険の訪問看護になる主な場合 | 介護保険の訪問看護になる場合 |
|---|---|
| ・要支援・要介護の認定がない方 ・「厚生労働大臣が定める疾病等」(別表7)に該当する方 ・特別訪問看護指示書が交付された期間(急性増悪・退院直後・終末期など) ・精神科訪問看護(認知症を除く精神疾患) | ・要支援・要介護の認定を受け、上記に当てはまらない方(原則こちら) |
この区分は「厚生労働大臣が定める疾病等」(別表7)や、医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項通知に基づきます。要介護認定の有無や指示書の内容で保険が切り替わるため、算定の前に確認します。
機能強化型1・2・3の主な違い(届出要件の比較)
各区分の「主な違い」は、①人員(常勤看護職員の数)②実績(ターミナルケア件数や重症度の高い利用者の受入)③地域連携・人材育成 の3点です。対照できるよう表にまとめます。点数は改定で変わるため下表は目安です。最新の正確な数値は必ず原典(告示・通知)でご確認ください。
| 区分 | 人員(常勤看護職員) | 実績要件の中心 | 連携・育成 | 管理療養費(月の初日)の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 機能強化型1 | 常勤換算7人以上(うち常勤6人以上) | ターミナルケア件数が最多(目安20件以上等)/重症児等の受入 | 人材育成研修・居宅介護支援事業所の設置とケアプラン作成 等 | 13,760円 |
| 機能強化型2 | 常勤換算5人以上(うち常勤4人以上) | ターミナルケア件数(目安15件以上等)/重症者の受入 | 型1に準じる | 10,460円 |
| 機能強化型3 | 常勤4人以上 | 重症度の高い利用者(別表7・8等)の受入実績 | 地域の医療機関との連携・退院時共同指導・人材育成 を重視 | 9,030円 |
| 機能強化型4 (令和8年度新設) | 常勤4人以上 | 精神科訪問看護での重症者受入 等 | 地域連携体制を評価 | 9,030円 |
いずれの区分も、24時間対応体制加算の届出と、休日・祝日を含む計画的な訪問看護の実施が前提です。ターミナルケア件数や別表7・8対象者数などの具体的なしきい値は改定で変わるため、正確な数値は下記の一次資料でご確認ください。
令和8年度改定のポイント(目安)
令和8年度(2026年)診療報酬改定では、訪問看護管理療養費が全体に見直され、精神科訪問看護と地域連携を評価する機能強化型4が新設されました(月の初日の訪問で9,030円が目安)。機能強化型1の月の初日の訪問も引き上げられています(改定前13,230円→13,760円が目安)。月の2日目以降の管理療養費についても評価区分の整理が行われています。改定内容は厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 説明資料(訪問看護)」で確認できます。金額は改定・区分で変動するため、必ず最新の告示・通知でご確認ください。
届出の進め方と「対照表」での体制点検
届出は、別紙様式6「機能強化型訪問看護管理療養費に係る届出書(届出・変更・取消し)」を用い、事業所を所管する地方厚生(支)局へ提出します。算定を始める月の前月末日(または月初の開庁日)までに提出するのが基本で、改定年は受付期間が別途案内されます(例:令和6年度は5月上旬〜6月上旬の受付でした)。要件は記録・書類で証明する必要があり、ターミナルケアの件数、24時間対応の実績、研修・連携の記録などを整えておきます。
下表は、告示の定めと自ステーションの体制を突き合わせるための対照表です(記入欄は例です/実在の利用者・職員ではありません)。ここでは判定は行いません。定めと自事業所の状況を並べ、要件に当てはまるかは届出前にご確認ください。
| 確認項目 | 告示の定め(型1の例) | 自ステーションの記入欄(例) |
|---|---|---|
| 常勤看護職員 | 常勤換算7人以上(うち常勤6人以上) | (例)常勤7名・常勤換算7.6 → ご確認ください |
| ターミナルケアの実績 | 一定件数以上(目安20件以上等) | (例)前年度○件 → ご確認ください |
| 24時間対応体制 | 24時間対応体制加算の届出 | (例)届出済/未 → ご確認ください |
| 地域連携・人材育成 | 研修の実施・連携の実績 | (例)年○回実施 → ご確認ください |
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よくある質問(FAQ)
Q. 機能強化型は1・2・3(・4)で何が違いますか?
主に人員と実績要件の違いです。機能強化型1は常勤換算7人以上(うち常勤6人以上)+ターミナルケア等の実績、2は常勤換算5人以上(うち常勤4人以上)+実績、3は常勤4人以上+地域連携・人材育成が中心です。令和8年度改定で、精神科訪問看護と地域連携を評価する機能強化型4が新設されました。
Q. 機能強化型のメリットは?
訪問看護管理療養費が高く設定され、収益性が上がります。24時間対応やターミナルケアの体制が整い、地域・医療機関からの信頼と紹介にもつながります。
Q. 届出はどのように進めますか?
人員・実績・体制の要件を満たしたうえで、別紙様式6により地方厚生(支)局へ届け出ます。ターミナルケア件数や24時間対応の実績など、要件は記録・書類で証明する必要があります。要件に当てはまるかは、届出前に告示・通知でご確認ください。
Q. 医療保険と介護保険のどちらで算定しますか?
機能強化型管理療養費は医療保険の枠組みです。要支援・要介護の方は原則介護保険ですが、別表7の疾病等や特別訪問看護指示書の期間、精神科訪問看護などでは医療保険の訪問看護になります。
Q. 表の点数はそのまま使えますか?
点数は改定で変わるため、本ページの金額は目安です。最新の正確な数値は、厚生労働省の告示・通知(原典)でご確認ください。
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/)/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。
機能強化型訪問看護管理療養費|区分ごとの主な要件
要件・人数・件数は改定により変わります。以下は区分の考え方を整理したもので、算定にあたっては最新の告示・通知および支払基金・保険者の取り扱いをご確認ください。
| 要件の区分 | 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|---|
| 看護職員の人数 | 常勤7人以上 | 常勤5人以上 | 常勤4人以上 |
| 看護職員の割合 | — | — | 所定の割合以上 |
| 24時間対応 | 体制の確保 | 体制の確保 | 体制の確保 |
| 重症度の高い利用者 | 別に定める状態等の利用者数 | 同(1より緩やか) | — |
| ターミナルケア | 所定の件数以上 | 同(1より緩やか) | — |
| 重症児の受け入れ | 所定の人数以上 | 同(1より緩やか) | — |
| 人材育成 | 地域の医療機関等への研修等 | 同 | 同 |
| 地域との連携 | 関係機関との共同、相談対応等 | 同 | より重点 |
| 専門の研修を受けた看護師 | — | — | 配置または連携 |
| 届出 | 体制の届出が必要 | 同 | 同 |
届出の前にそろえる書類
| 書類 | 確認すること |
|---|---|
| 職員名簿・勤務表 | 常勤の人数と、常勤換算の考え方が合っているか |
| 資格証の写し | 看護師・保健師等の資格を確認しているか |
| 24時間対応の体制表 | オンコールの担当と、連絡手段が示されているか |
| 重症度の高い利用者の一覧 | 別に定める状態等に該当することを裏づける書類 |
| ターミナルケアの実績 | 実施した件数と、記録(ア・イ・ウ) |
| 重症児の受け入れ実績 | 対象となる利用者の一覧 |
| 研修の実施記録 | 日時・参加者・内容・使用資料 |
| 地域連携の記録 | 相談対応、共同カンファレンス等の実績 |
| 体制届出書 | 提出日と、受付印のある控え |
運用に乗せるときの注意
| 場面 | 注意すること |
|---|---|
| 人数が変わったとき | 要件を満たさなくなる場合は速やかに届け出る |
| 実績を数えるとき | 対象期間と数え方を、あらかじめ決めておく |
| 記録を残すとき | ターミナルケアの記録は、ア(身体症状の変化と看護)イ(精神的な状態の変化とケアの経過)ウ(看取り)を残す |
| 研修を行ったとき | 実施日時・参加者氏名・内容・資料を残す |
| 地域連携を行ったとき | いつ・誰と・何をしたかを記録する |
| 改定があったとき | 要件の変更を確認し、届出の見直しを検討する |
| 加算との関係 | 緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算の記録が根拠にもなる |
| 自己点検 | 年度ごとに要件の充足を確認し、記録を残す |
ターミナルケアの記録は訪問看護のターミナルケア、特別管理加算は特別管理加算、緊急時訪問看護加算は緊急時訪問看護加算をご覧ください。
よくある誤りと、直し方
| よくある誤り | どうするか |
|---|---|
| 常勤換算の数え方が、届出と実際で違う | 勤務表と就業規則の所定労働時間から、毎月確認する |
| 要件を満たさなくなったのに届け出ていない | 充足を月次で点検し、外れたら速やかに届け出る |
| 実績の数え方が、期間によって変わっている | 数える期間と対象の定義を文書化し、毎回同じ方法で数える |
| ターミナルケアの記録がまとめて1枚だけ | 経過に沿って、状態の変化とケアを日付ごとに残す |
| 研修を行ったが記録がない | 日時・参加者・内容・資料を、実施のたびに残す |
| 地域連携が「行っている」だけで示せない | 相談を受けた日、相手、内容を一覧にしておく |
| 専門の研修を受けた看護師の要件を確認していない | 修了証の写しを保管し、連携の場合は連携先との取り決めを文書にする |
| 改定後も届出内容を見直していない | 改定のたびに要件を突き合わせ、点検の記録を残す |
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
監修:嶺井 美幸(看護師・訪問看護ステーション「訪問看護ようき」代表・株式会社ライフシフトCSO)
