訪問看護ステーションの廃止・休止理由の上位は「利用者が少ない」です。利用者獲得は経営の生命線。この記事では、営業先の考え方と、ケアマネ・医療機関に「選ばれる」ための連携のコツを整理します。経営全体は訪問看護の経営へ。
退院時の医療機関との連携は加算の対象にもなります。退院・退所加算の要件を確認できます。
なぜ利用者が集まらないのか
訪問看護は、利用者が自分で探して来るサービスではありません。ケアマネジャーや医療機関からの「紹介」で利用者が決まります。つまり、利用者獲得=紹介元との関係づくりです。
営業先=紹介元はどこか
- 居宅介護支援事業所(ケアマネ)――介護保険の訪問看護の主な紹介元。
- 病院の退院支援・地域連携室――退院時に在宅移行する患者の紹介。
- クリニック・主治医――指示書を出す医師との関係。
- 地域包括支援センター――地域の相談窓口。
「選ばれる」訪問看護になる3つのポイント
1. 迅速で質の高い報告・連携
紹介元が一番見ているのは「安心して任せられるか」。状態変化や対応を、分かりやすく・早く共有できるステーションは、繰り返し紹介されます。報告書の質とスピードが、次の紹介を生みます。
2. 断らない対応力(医療ニーズ・24時間)
医療ニーズの高い利用者やターミナルに対応できると、紹介元にとって頼れる存在になります(→機能強化型)。
3. 1人目を丁寧に支える
最初の利用者・家族の満足が、口コミと次の紹介につながります。
報告の「質×スピード」を、記録AIで底上げ
紹介を増やす鍵は、主治医・ケアマネへの報告の質とスピード。「訪問看護アプリ「訪問看護マナ」」は、記録書Ⅱ・報告書・計画書を話すだけで作成し、質の高い報告を素早く出せます。記録に追われず、連携と関係づくりに時間を使えます。利用者3名まで無期限無料。定着の話はこちら。
まとめ
- 利用者獲得=ケアマネ・医療機関との関係づくり(紹介)。
- 選ばれる決め手は「迅速で質の高い報告・連携」と「断らない対応力」。
- 報告の質×スピードを上げれば、紹介が増える。
ケアマネジャー・医療機関との連携で伝えること
利用者の紹介は、「この事業所なら任せられる」と判断してもらえる情報があるかで決まります。
| 連携先 | 関心が高いこと | 伝え方 |
|---|---|---|
| 居宅介護支援(ケアマネジャー) | 急な依頼に対応できるか。報告が早いか | 対応可能な曜日・時間帯、緊急時の連絡方法を1枚にまとめて渡す |
| 病院の地域連携室 | 退院日に合わせて入れるか。医療処置に対応できるか | 対応できる医療処置の一覧と、受け入れまでの日数を示す |
| クリニック(主治医) | 報告書が読みやすいか。指示への対応が確実か | 報告書の様式見本を持参し、記載の粒度を確認する |
| 地域包括支援センター | 困難事例に関われるか | 受け入れ実績のある状態像を具体的に伝える |
依頼が続く事業所がしていること
- 返答が早い——受けられるかどうかを、その日のうちに返す
- 受けられない理由を伝える——断る場合も理由と、いつなら可能かを伝える
- 報告書が読みやすい——主治医・ケアマネジャーが知りたいことが先に書かれている
- 変化をすぐ共有する——状態が変わったときに、こちらから連絡する
自事業所の情報が見つかる状態にする
介護サービス情報公表システムは、ケアマネジャーが事業所を探すときに使われます。当社の集計では、訪問看護でホームページのURLが公表システムに掲載されているのは69.0%でした。掲載していない場合は、登録の見直しを検討する価値があります。
詳しくは訪問看護ステーションの運営構造を公表データ17,959件で集計をご覧ください。
紹介元をつくる——誰に、何を持っていくか
| 紹介元 | 関心があること | 持っていくもの |
|---|---|---|
| 病院の地域連携室 | 退院日までに受け入れられるか、医療処置に対応できるか | 対応可能な処置の一覧、受け入れ可能な曜日・時間、連絡がつく電話番号 |
| 居宅介護支援事業所 | 急な依頼に応えられるか、報告が早いか | 空き状況、緊急時の対応体制、報告書の見本 |
| クリニック・訪問診療 | 指示への対応と、報告の質 | 報告書の見本、連絡の取り方 |
| 地域包括支援センター | 困難事例に対応できるか | 対応できる範囲と、できない範囲の明示 |
| 同業の訪問看護 | 断らざるを得ない依頼の受け皿 | 専門領域と、対応地域 |
営業で効くのは「断らないこと」より「早く返すこと」
受けられるかどうかより、問い合わせに何分で返答があるかが紹介の量を左右します。ケアマネジャーも連携室も、次の候補に電話をかけながら待っています。
- 問い合わせを受ける窓口を一本化し、不在時の折り返し時間を決める
- 受けられない場合も、その日のうちに理由を添えて返す
- 受けられない依頼こそ、代わりの事業所を紹介すると次につながります
- 断った件も記録に残す——何が理由で断っているかが、体制の課題を教えます
数字で見る
- 問い合わせ件数(紹介元別)
- そのうち受けられた件数と、断った理由の内訳
- 初回問い合わせから初回訪問までの日数
- 紹介元ごとの継続率
- ⚠件数だけを追うと、対応できない依頼まで受けて現場が壊れます。受けられる上限を先に決めてから動きます
紹介が来ない時期にやること
- 断った件の理由を数える——体制の課題が見えます
- 報告書の質を上げる——ケアマネジャーが次に選ぶ理由になります
- 対応できる範囲を明文化して配る——「何ができるか」が伝わっていないことが多くあります
- 既存の利用者の満足度を確かめる——紹介はここから広がります
よくある質問
Q. 訪問看護の利用者はどう増やしますか?
居宅介護支援事業所(ケアマネ)・病院の退院支援・クリニック・地域包括支援センターへの営業(関係づくり)が基本です。紹介元との信頼関係が利用者数を左右します。
Q. ケアマネに選ばれるには?
迅速で質の高い報告・連携が決め手です。状態変化や対応を、分かりやすく早く共有できるステーションは、次も紹介されます。
Q. 開業直後で利用者がいません。何から?
まず退院支援部門・近隣のケアマネへ挨拶回りと情報提供から。1人目の利用者を丁寧に支え、その実績と報告の質を次の紹介につなげます。
訪問看護の利用者獲得のコツ
訪問看護ステーションの利用者獲得には、ケアマネや医療機関との連携が重要です。コツを整理しました。
- ケアマネとの関係――丁寧な報告と迅速な対応で信頼を築く
- 医療機関との連携――退院時の連携や主治医との情報共有
- 強みの発信――対応できる疾患やオンコール体制を伝える
- 質の高いケア――満足が次の紹介につながる
よくある質問(FAQ)
訪問看護の利用者はどう増やしますか?
営業のポイントは?
質とのバランスは?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
紹介元別|届け方と、そのとき渡すもの
「あいさつ回り」で終わると回数が続きません。相手が判断に使う情報を、毎回1つ更新して持っていくのが要点です。
| 紹介元 | 届け方 | 渡すもの | 間隔の目安 |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援事業所 | 訪問。担当ケアマネジャーに直接 | パンフレット、実績の一覧、空き状況 | 月1回程度 |
| 病院の地域連携室 | 事前に連絡してから訪問 | 対応できる医療処置の一覧、24時間体制の説明 | 月1回程度 |
| 主治医(診療所) | 訪問。短時間で | 指示書の様式、報告書の見本 | 2〜3か月に1回 |
| 地域包括支援センター | 訪問。相談員へ | 要支援者への対応可否、予防の実績 | 2〜3か月に1回 |
| 他の訪問看護ステーション | 同行や勉強会を通じて | 対応できる疾患・処置の違い | 機会があるとき |
| 薬局 | 訪問 | 服薬管理での連携の実績 | 2〜3か月に1回 |
| 通所・入所の事業所 | 訪問 | 退所後の在宅移行での実績 | 2〜3か月に1回 |
| 市町村の担当課 | 窓口で | 事業所の概要、対応地域 | 年1〜2回 |
| 相談支援事業所(障害) | 訪問 | 医療的ケア児・者への対応可否 | 2〜3か月に1回 |
| 本人・家族(直接) | ウェブサイト、地域の掲示 | 料金の目安、相談の窓口 | 常時 |
紹介元が知りたいことと、答え方
| 相手が知りたいこと | 用意しておく答え |
|---|---|
| どんな医療処置に対応できるか | 対応できる処置の一覧(人工呼吸器、中心静脈栄養、じょくそう処置など) |
| いつから入れるか | 今週の空き、初回訪問までの最短日数 |
| 夜間・休日はどうなるか | 24時間対応の体制、電話を受ける人、実際の出動の目安 |
| ターミナルに対応できるか | 看取りの実績(件数)、医師との連携の方法 |
| 小児・精神に対応できるか | 対応の可否と、担当できる看護師の有無 |
| 料金はいくらか | 医療保険・介護保険それぞれの目安、自己負担の考え方 |
| どの地域まで行けるか | 通常の事業の実施地域と、地域外の取り扱い |
| 報告はどう来るか | 報告書の様式と、送るタイミング |
| 急変時にどう動くか | 連絡の順番、主治医への報告、救急要請の判断 |
| 断ることはあるか | 断る場合の基準と、そのときの代替の案内 |
やりがちなことと、直し方
| やりがちなこと | どうするか |
|---|---|
| パンフレットを置いてくるだけ | 1つだけ新しい情報(空き、実績、対応できるようになった処置)を伝える |
| 訪問の記録を残していない | いつ・どこへ・誰に・何を伝えたかを一覧にする |
| 紹介があったあと、報告していない | 受けた・受けられなかったにかかわらず、結果を返す |
| 断ったあと連絡が途切れる | 断った理由と、いつなら受けられるかを伝える |
| 自事業所の強みを言えない | 対応できる処置と、看護師の経験を、数で言えるようにしておく |
| 報告書が遅い | 送る期日を決め、遅れる場合は先に連絡する |
| 担当者が変わったのに知らせていない | 変更のたびに連絡する |
| ウェブサイトに料金も対応範囲も書いていない | 本人・家族が最初に見る場所に、判断できる情報を置く |
報告書の書き方は訪問看護報告書、計画書は訪問看護計画書をご覧ください。
残しておく記録と、次に生きるところ
| 記録 | 書くこと | 次に生きるところ |
|---|---|---|
| 訪問の履歴 | 日付、訪問先、対応した人、渡したもの | 間隔が空いた先が分かる |
| 紹介の件数 | 紹介元ごとの月別の件数 | どこに時間を使うかの判断 |
| 受けられなかった件 | 理由(地域外、体制、人員) | 体制を変える判断の材料 |
| 相手からの質問 | 聞かれた内容 | 次に持っていく資料 |
| 自事業所の実績 | ターミナル、医療処置、24時間の出動 | 説明のときに数で言える |
| 空き状況 | 週ごとの受け入れ可能数 | いつ動くかの判断 |
| 地域の状況 | 近隣の事業所、病院の退院の傾向 | どこを回るかの判断 |
| 担当者の変更 | 紹介元の担当者と、変更の日 | 連絡が途切れない |
本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。
連携先を考える前提として地域包括ケアシステムとは|仕組みと事業所の関わり方もご覧ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
監修:嶺井 美幸(看護師・訪問看護ステーション「訪問看護ようき」代表・株式会社ライフシフトCSO)
