直行直帰が多く、記録や報告に追われがちな訪問介護の現場。AIを使えば、その負担を大きく減らせます。本記事では、訪問介護でのAI活用の方法とメリットを整理します。
訪問介護の現場が抱える記録の負担
- サービス提供のたびに、提供記録を手書き・手入力
- 直行直帰が多く、事業所に戻ってからまとめて記録
- 訪問介護計画書や報告書など、作成する書類が多い
訪問介護でAIにできること
- 音声で記録――訪問先で話すだけで、提供記録の下書きを自動作成
- 書類の下書き――計画書や報告書の原案をAIが用意
- 既存ソフトへ転記――作成した記録を、お使いの介護ソフトへそのまま反映
導入のメリット
記録時間が減り、移動や利用者さまへのケアに時間を回せます。書き手による表現のばらつきも抑えられ、事業所全体の記録の質がそろいます。
導入の進め方
いきなり全業務を変えず、まずは負担の大きい提供記録から小さく始めるのがコツです。無料で試せるものから現場で使い、効果を確かめてから広げましょう。
訪問介護でAIが効くのは、どの工程か
| 工程 | いま起きていること | AIで変わる余地 |
|---|---|---|
| 訪問先での記録 | 紙にメモし、事業所で入力し直す | 話した内容から文章にする |
| サービス提供記録 | 毎回ほぼ同じ文章を書いている | 当日の差分だけを入れて整える |
| 訪問介護計画書 | 記録を見返して手で書き写す | 記録から下書きを作る |
| モニタリング | 記録を読み返す時間が取れない | 傾向や変化の候補を示す |
| 申し送り | 口頭のみで、記録に残らない | 音声から要点を残す |
自事業所で時間がかかっているのがどれかを測らずに導入すると、「便利だが負担は減らない」という結果になります。
導入する前に決めておく4つのこと
- やめる作業を1つ決める——「もう紙のメモは清書しない」など具体的に
- 最初に使う人を1人決める——全員同時は避けます
- 2週間後に見る指標を決める——「記録を書き終わる時刻」が実感しやすい指標です
- 個人情報の扱いを確認する——保存場所、外部送信の有無、閲覧できる範囲
訪問介護ならではの確認事項
- 電波が悪い訪問先で入力できるか——オフラインで入力し、あとから同期されるか
- 移動中に使えるか——次の訪問先へ向かう途中の数分で終わるか
- 手袋のまま操作できるか——画面のボタンの大きさと間隔
- 周囲に聞かれない配慮——音声入力は、利用者宅や集合住宅の廊下では使いにくい場面があります
- 身体介護と生活援助の区分——記録から区分の根拠が読み取れる形になるか
生成された文章をそのまま記録にしない
AIが作った文章は、人が確認してから確定する運用が前提です。事実と違う内容が残ると、記録としての信頼が失われます。
- 固有名詞(人名、薬剤名、地名)は必ず確認する
- 数値(時刻、体温、血圧、摂取量)は入力元と照合する
- 書かれていないことが補われていないか見る
- 評価語(「機嫌が悪い」など)が入っていないか見る
※本記事は一般的な考え方を整理したものです。算定の可否や要件は、最新の告示・通知および保険者(市区町村)の運用をご確認ください。
AIを入れる前に測っておく3つの数字
- 1件の記録にかかる時間——ストップウォッチで5件測ります。体感では判断できません
- 記録を書き終わる時刻——訪問が終わってから、何時に記録が完了しているか
- 月末の帳票作成にかかる時間——計画書・報告書をまとめて作っている時間
この3つを導入前に取っておかないと、あとから「効果があったのか」を判断できません。
訪問介護でのAI活用についてよくある質問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 音声で入力した内容はどこへ行くのか | 保存場所、外部への送信の有無、学習に使われるかを確認します。利用者への説明に関わります |
| 利用者の名前を音声で言ってよいか | 事業所の個人情報の取り扱いに沿って判断します。イニシャルや利用者番号で運用する事業所もあります |
| 方言や専門用語は認識されるか | 事業所でよく使う言い回しで試してから決めます |
| 高齢の職員でも使えるか | 操作の手順が3つを超えると使われなくなる傾向があります |
| サービス提供責任者の仕事は減るか | 記録の確認は残ります。減るのは転記と清書の部分です |
| 紙をやめられるか | やめる時期を決めて始めます。決めないと併用が続き、負担は増えます |
小さく始めるための2週間の進め方
| 時期 | やること |
|---|---|
| 開始前 | 記録にかかる時間を5件分、実測して記録に残す |
| 1〜3日目 | 1人の職員が、1人の利用者の記録だけで試す |
| 4〜7日目 | うまくいかなかった場面を書き出す(電波、操作、認識) |
| 2週目 | 対象を3名まで増やす。やめる作業を1つ決めて実行する |
| 2週目の終わり | 同じ方法で測り直し、続けるかどうかを決める |
うまくいかなかった理由が分かる規模で始めることが要点です。全員同時に始めると、「なんとなく合わなかった」で終わります。
効果が出ないときに見るところ
- 紙が残っていないか——残っていれば二重作業のままです
- 入力する時間が勤務の中にあるか——「空いた時間に」では続きません
- 端末が人数分あるか——1台を回すと待ち時間が発生します
- 確認の手間が増えていないか——生成された文章の直しに時間がかかるなら、様式のほうを見直します
- 使っている人が一部に偏っていないか——仕組みではなく分担の問題かもしれません
「訪問介護マナ」で訪問介護の記録を軽く
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訪問介護でのAI活用のポイント
訪問介護でも、AIを使って実施記録や報告の作成を効率化できます。活用のポイントを整理しました。
- 音声で実施記録――訪問後に話すだけで記録の下書き
- 報告の効率化――サービス提供記録の作成を支援
- 用語の補正――介護の文脈で誤変換を補正
- カイポケ連携――記録を転記して二重入力を減らす
よくある質問(FAQ)
訪問介護でAIは使えますか?
記録が楽になりますか?
神マナの特徴は?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
無料ではじめる
次の一歩を、どうぞ
介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
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訪問介護のどこに使えて、どこは人が決めるか
下書きと点検には向き、判断には向きません。
| 場面 | 任せられること | 人が決めること |
|---|---|---|
| 訪問前の確認 | 前回の記録の要約、注意事項の抽出 | 今日どこを見るか |
| サービス提供の記録 | 話した内容から下書きを作る | 特記として何を残すか |
| 訪問介護計画 | アセスメントから素案を作る | 援助の目標 |
| モニタリング | 前回との差分の提示 | 計画を変えるかどうか |
| ケアマネジャーへの報告 | 要点の整理 | 報告するかどうかの判断 |
| サービス提供責任者の確認 | 記録の抜けの表示 | 指導の内容 |
| シフト | 条件からの組み立て | 急な欠員の調整 |
| 請求前の点検 | 算定要件と記録の突合の表示 | 算定の可否 |
| 新人への説明 | 記録の書き方の例 | 指導 |
| ヒヤリハットの集計 | 分類と傾向の提示 | 対策 |
使うときに守ること
| 項目 | 守ること |
|---|---|
| 個人情報 | 利用者の氏名・住所を、そのまま外部のサービスに入れない |
| 同意 | 個人情報の利用目的に、外部サービスの利用が含まれているか確認する |
| 学習への利用 | 入力した内容が学習に使われない設定か確認する |
| 保管場所 | データがどの国に保管されるか確認する |
| 出力の確認 | そのまま提出せず、人が読んで直す |
| 記録の責任 | 作成者は人である |
| 制度の内容 | 告示・通知で確かめる |
| 職員への周知 | 使ってよい場面と、いけない場面を文書にする |
導入の前後で測ること
| 測るもの | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 記録の作成時間 | 1件あたり | 短くなったか |
| 記録を書く場所 | 訪問先か、事務所か | 変わったか |
| 計画・モニタリングの作成時間 | 1件あたり | 短くなったか |
| 記載漏れ | 様式の必須項目の空欄 | 減ったか |
| 残業時間 | 記録に起因するもの | 減ったか |
| 手直しの量 | 出力のうち書き換えた割合 | 下がったか |
実施記録は訪問介護の実施記録、計画書は訪問介護計画書をご覧ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
