紙の記録から介護記録アプリへ切り替える事業所が増えています。ただ種類が多く、選び方に迷う方も少なくありません。本記事では、介護記録アプリを選ぶときに見るべきポイントを、比較表と記入例つきで整理します。

なぜ介護記録アプリなのか
アプリで記録すれば、その場で入力・共有でき、事業所に戻って書き直す手間を減らせます。検索もしやすく、紙の保管スペースも不要です。記録は法令で一定期間の保存が求められるため(後述)、探しやすさ・保存のしやすさは実務上の負担に直結します。
「アプリ」「電子化」「自動化」はどう違う?
言葉が近く混同されがちですが、指すものが少しずつ違います。自分の事業所の課題がどれに当たるかを先に見極めると、選び方の軸がぶれません。
| 言葉 | 指している範囲 |
|---|---|
| 記録の電子化 | 紙をやめて端末上で記録・保存・検索できるようにすること。まず「紙をなくす」段階。 |
| 記録の自動化 | 音声入力やAIで「入力する手数」を減らすこと。電子化の先にある効率化の段階。介護記録を自動化する方法で詳しく解説しています。 |
| 介護記録アプリ | 上記を現場で使える形にした道具。電子化だけのものも、自動化まで踏み込んだものもあり、幅があります。 |
| 介護ソフト | 請求・計画・記録などを一体で扱う基幹システム。記録機能を内蔵するものもあります。選び方は介護ソフトの選び方を参照。 |
「紙をなくしたい」なら電子化、「入力の手数を減らしたい」なら自動化に強いアプリ、というように、課題からさかのぼって選ぶと迷いにくくなります。
選び方の7つのポイント
現場・請求・管理のそれぞれで確認したい観点を、7つに整理しました。
| ポイント | 確認すること | なぜ大切か |
|---|---|---|
| 入力方法 | 音声入力・写真記録・手入力のどれに対応するか。立ったまま、ケアの合間に入力できるか | 入力の負担が続けやすさを左右する |
| 介護ソフトとの連携 | お使いのソフト(例:カイポケ等)へ転記できるか。二重入力が起きないか。連携の可否・料金体系は各社で変動するため要確認 | 二重入力は現場の不満の原因になりやすい |
| 情報共有 | 多職種・多拠点でリアルタイムに共有できるか。申し送りに使えるか | 情報の抜けはケアの質に直結する |
| 操作のしやすさ | ITが得意でない職員も使えるシンプルさか。無料期間に実際に触れて確かめられるか | 使われないアプリは定着しない |
| オフライン対応 | 電波の弱い居宅・施設内でも入力でき、あとで同期できるか | 訪問系では通信環境が安定しない場面がある |
| 保存・セキュリティ | 記録の保存期間(省令で完結の日から2年間。自治体により延長される場合あり)に対応するか。個人情報の管理・バックアップの仕組み | 記録は法令で保存が求められる書類 |
| 料金・無料試用 | 事業所の規模に合う料金か。まず無料で試せるか。料金体系は各社で変動するため公式で確認 | 導入前に現場で試すと失敗が減る |
入力方法の比較(音声・写真・手入力)
「入力方法」は現場の負担を最も左右する観点です。それぞれの向き・不向きを整理します。
| 入力方法 | 向いている場面 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 音声入力 | 手が離せない介助中、移動の合間。長めの経過記録 | 周囲の音・専門用語の変換精度。生成後の確認は必要 |
| 写真記録 | 薬情・書類の取り込み、状態の記録の補助 | 保管・共有時の個人情報の扱いに配慮 |
| 手入力 | 短い定型項目、数値の確定入力 | 件数が多いと負担が残りやすい |
(例)音声入力から記録の下書きができるまで
話した内容(例):「A様、10時、体温36度8分。朝食は主食全量、副食8割。歩行時に少しふらつきがあり、見守りで居室へお戻りいただいた。」
↓
作成される記録の下書き(例):
バイタル:体温36.8℃/食事:主食10割・副食8割
様子:歩行時にふらつきあり。見守りにて居室へ移動。
※氏名は伏字(A様)で示しています。実際に記録をAIに渡すときは、氏名や被保険者番号などは伏せる、事業所(施設)の個人情報の取り扱いルールを確認するなど、扱いにご注意ください。
タイプ別の比較
記録の道具は大きく4タイプに分けられます。優劣ではなく、事業所の状況に合うかで選びます。
| タイプ | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 紙の記録 | 導入の手間が少ない一方、検索・共有・保存に手間がかかる | 記録量が少なく、当面電子化の予定がない場合 |
| 記録特化アプリ(音声・写真) | 現場での入力に強い。既存の介護ソフトとの連携可否は要確認 | 入力の負担を先に軽くしたい場合 |
| 介護ソフト内蔵の記録機能 | 請求・計画と一体で扱える。入力方法はソフトに依存する | 請求まで一括で運用したい場合 |
| 音声AI記録(アプリ+AI) | 話した内容から下書きを作成。生成後の確認と個人情報の扱いに配慮が必要 | 記録に時間を取られている場合 |
記録の保存と個人情報の扱い
介護記録は、法令で保存が求められる書類です。たとえば訪問介護では、指定基準の省令で、提供に関する記録を「その完結の日から二年間保存しなければならない」と定められています(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第39条第2項)。保存期間は自治体の条例で延長される場合があるため、地域の運営基準もあわせてご確認ください。アプリを選ぶときは、この保存やバックアップに無理なく対応できるかを確認しておくと安心です。
また、音声や写真をAIに渡して記録を作成する場合は、個人情報の取り扱いに注意が必要です。氏名や被保険者番号などは伏せる、事業所(施設)内のルールや利用サービスのプライバシーポリシーを確認する、といった運用を決めておくとよいでしょう。
音声・写真入力という選択肢
話すだけ・撮るだけで記録を残せるアプリなら、手入力の負担を軽くでき、記録の抜け漏れも防ぎやすくなります。移動やケアの合間に記録を進められるのが利点です。生成された下書きは、内容を確認・修正してから確定する運用にしておくと、精度と安心を両立できます。
「施設記録マナ」という選択肢
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」は、音声入力と書類の読み取りに対応し、お使いの介護ソフトへそのまま転記できます。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。まずは現場で触れて、これまでのポイントに沿うかを確かめてみてください。
介護記録アプリを比べる12点
「アプリ」と一口に言っても、記録だけのものから請求まで一体のものまであります。次の12点で自事業所の条件と突き合わせます。
| 確認する項目 | 見るところ |
|---|---|
| 入力の方法 | 文字入力/選択式/音声。現場でどれが速いか |
| オフライン | 電波が弱い場所で入力でき、あとで同期できるか |
| 端末 | スマートフォン/タブレット/パソコンのどれで使うか |
| 写真 | 傷や褥瘡の写真を記録に添えられるか |
| 共有 | 事業所内で誰がいつ見られるか、権限を分けられるか |
| 帳票の出力 | 記録から必要な様式を出せるか |
| 請求との接続 | 記録が請求へ流れるか、転記が残らないか |
| 保存 | どこに保管され、保存期間の管理ができるか |
| 個人情報 | どの国のどのサーバーに保存されるか、同意の取り扱い |
| 料金 | 無料の範囲と、有料になる条件 |
| 移行 | いまの記録を移せるか |
| サポート | 困ったときの連絡先と対応時間 |
種別ごとに特に効くところ
| 種別 | 特に確認したいこと | 理由 |
|---|---|---|
| 訪問介護 | スマートフォンでの入力、オフライン動作 | 訪問先で立ったまま入力するため |
| 訪問看護 | 記録書Ⅱの様式、SOAPの入力、写真の添付 | 様式が決まっており、創部の記録が要るため |
| 通所介護 | 来所時の一括入力、送迎、入浴・機能訓練の記録 | 人数が多く、加算の根拠が要るため |
| 居宅介護支援 | ケアプランの各表、支援経過、給付管理 | 様式が多く、転記が起きやすいため |
| 施設 | 夜勤帯での入力、多職種での共有 | 24時間の記録が続くため |
| 小規模多機能 | 通い・泊まり・訪問の切り替え | 1人の利用者で形態が変わるため |
| 福祉用具 | 契約・モニタリングの管理 | 訪問の機会が少なく、抜けやすいため |
| 障害福祉 | 個別支援計画、モニタリングの様式 | 介護保険と様式が異なるため |
導入で失敗しないための手順
| 順 | やること | 具体的に |
|---|---|---|
| 1 | いま困っている工程を3つ書き出す | 記録の作成/転記/請求の突合 など |
| 2 | 必要な様式を一覧にする | 使っている帳票をすべて挙げる |
| 3 | 入力する人と場所を決める | 誰が・どこで・どの端末で |
| 4 | 候補を3つに絞る | 守備範囲が合うものだけを残す |
| 5 | 無料期間に現場が触る | 管理者だけで判断しない |
| 6 | 移行の条件を確認する | 対象データ・期間・費用 |
| 7 | 1年目と3年目の総額を出す | 初期費用と月額の合計で比べる |
| 8 | 決めたら、切り替えの時期を選ぶ | 請求の繁忙期を避ける |
無料で使える範囲の見方は無料の介護記録アプリ、ソフト全体の比較は介護ソフトの選び方をご覧ください。
よくあるご質問(FAQ)
介護記録アプリのメリットは?
選ぶときのポイントは?
「電子化」「自動化」とアプリは何が違う?
記録はどのくらい保存が必要?
音声や写真をAIに渡すとき、個人情報は大丈夫?
神マナの特徴は?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
無料ではじめる
次の一歩を、どうぞ
介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
アプリケーションを無料で使ってみる(iPhone / Android)
利用者さま3名まで・期限なく無料/クレジットカード登録不要
出典:厚生労働省ウェブサイト(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号))/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。制度の詳細や最新の取り扱いは、原典および各自治体の運営基準をご確認ください。
入力方式別|現場での使い分け
1つの方式に寄せず、場面で使い分けるのが現実的です。毎日同じ項目は選択式、その日の出来事は音声か手入力、という組み合わせが多くみられます。
| 入力方式 | 向いている場面 | 向いていない場面 |
|---|---|---|
| 選択式(タップ) | 食事量・排泄・バイタルなど毎日同じ項目 | その日だけの出来事 |
| 定型文の呼び出し | よくある場面の記録 | 個別性の高い状況 |
| 音声入力 | 訪問先で手がふさがっているとき | 周囲に人がいる場所 |
| 音声から文章化 | 会話をそのまま記録に起こしたいとき | 専門用語が多い内容 |
| 手入力 | 特記事項、判断を含む記載 | 時間がないとき |
| 写真 | 褥瘡・傷・環境の記録 | 個人が特定される場面 |
| 機器からの取り込み | 体温計・血圧計の数値 | 機器が対応していない場合 |
| 前回のコピー | 変化がない項目 | 変化があった日 |
| テンプレート | 様式が決まっている帳票 | 様式にない項目 |
現場で定着させるための決めごと
| 決めること | 決めないとどうなるか |
|---|---|
| いつ入力するか | あとでまとめて入力し、記憶で書くことになる |
| どこで入力するか | 事務所に戻ってからになり、二重入力が残る |
| 必須の項目 | 入力量が多すぎて現場が止まる |
| 前回コピーの使い方 | 毎日同じ記録になり、変化が見えなくなる |
| 定型文の追加は誰が | 人によって違う文が増える |
| 写真の扱い | どこまで撮るか、誰が見られるか |
| 修正の手順 | あとから誰でも直せる状態になる |
| 端末の持ち出し | 紛失時の対応が決まっていない |
| 圏外のときの手順 | その日の記録が空欄になる |
| 紙をいつやめるか | 二重入力が固定化する |
| 質問の窓口 | 個人で抱え込み、我流が広がる |
| 操作研修 | 使える人と使えない人に分かれる |
導入の前後で測ること
| 測るもの | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 1件あたりの記録時間 | 数人・数日で測る | 同じ条件で再測定 |
| 入力する場所 | 訪問先か事務所か | 変わったか |
| 転記の回数 | 1日あたり | 減ったか |
| 記載漏れ | 必須項目の空欄の数 | 減ったか |
| 残業時間 | 記録に起因するもの | 減ったか |
| 「特変なし」だけの記録 | 月あたりの件数 | 減ったか |
クラウドに置いた記録の保存年限と個人情報の扱いは介護記録の保存期間と個人情報の扱いにまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
