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介護のDXが進まない本当の理由──「最初の一歩」を踏み出すために

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「介護のDXを進めたいのに、なかなか前に進まない」。そう感じている事業所は、決して少なくありません。設備を入れること自体より、それを日々の仕事に定着させることに難しさがあります。実際、公益財団法人介護労働安定センターの「令和6年度介護労働実態調査」では、介護ソフトなどのICTの利用は広がる一方、その効果を実感できている事業所は約半数にとどまっています(昼間の業務負担の軽減で49.4%)。これは「やる気がない」からではなく、現実に真摯に向き合っているからこそ生まれる悩みです。

介護DXの「最初の一歩」を4ステップで示したフロー図。ステップ1 現状を数字で知る:人手が「不足」とした事業所65.2%(前年度64.7%)、悩みは「人手が足りない」49.1%が最多。ステップ2 効果の実感を確かめる:ICT・介護ロボットの導入効果を実感とした事業所は昼間の業務負担軽減49.4%・夜間44.6%(約半数、アンケート回答割合の目安)。ステップ3 いま使っている機能から小さく始める:ケア記録等の入力・保存・転記を日常利用75.4%、訪問系の入力機能利用56.6%。ステップ4 国の支援策を確認する:介護テクノロジー導入支援事業・ICT導入支援が案内、要件は自治体・原典で確認。数値は調査時点の目安。
令和6年度介護労働実態調査などの公表データを手がかりに、介護DXの「最初の一歩」を4つのステップで整理した図(数値はいずれも調査時点の目安)。

段階の違いは介護のDXからAXへでまとめています。

DXが進まない3つの“あるある”

  • 何から手をつければいいか分からない──情報は多いのに、自分たちの最初の一歩が見えない。
  • 詳しい人が社内にいない──旗を振れる人がいないまま、話が立ち消えになる。
  • 現場に余裕がない──日々のケアと書類で手いっぱいで、新しいことを始める時間がない。

この3つは、同じ調査で示された「人手が足りない」(仕事の負担についての悩みで最も多く49.1%)という現場の実感とつながっています。時間がないからDXに手が回らず、DXが進まないからさらに時間が生まれない——この循環を、どこか一点から切ることが出発点になります。

数字で見る「進んでいるところ」と「これからのところ」

「うちだけ遅れているのでは」と感じる必要はありません。公的な調査(令和6年度介護労働実態調査/公益財団法人介護労働安定センター・事業所調査)が示す介護現場のICTの現在地は、次のとおりです。

調査で分かったこと 割合
ケア記録・ケアプラン等の入力・保存・転記の機能を日常的に利用している事業所75.4%
訪問系で利用者情報の入力機能(タブレット・スマホ)を日常的に利用している事業所56.6%
ICT機器等・介護ロボットで「昼間の業務負担の軽減」に効果があるとした事業所49.4%
同じく「夜間の業務負担の軽減」に効果があるとした事業所44.6%
従業員が「不足」と感じている事業所(前年度は64.7%)65.2%

読み解くと、二つのことが見えてきます。一つは、記録の入力・転記という「いちばん重い作業」から着手している事業所が多いこと(75.4%)。もう一つは、導入しても効果の実感は約半数にとどまること。つまり差を生むのは「入れたかどうか」ではなく、「日々の仕事に馴染ませられたかどうか」です。だからこそ、次に述べる「小さく始める」が効いてきます。

※上記の割合は令和6年度時点の調査結果です。調査年度や集計方法により変わります。数値は原典をご確認ください。

突破口は「大きく変える」ではなく「小さく始める」

一気に全部を変えようとすると、現場の負担が増え、かえって続きません。おすすめは逆です。いちばん時間を奪っている作業を1つだけ、無理なく軽くすること。たとえば、何十分もかかる記録や支援経過の入力です。

ここを軽くできれば、生まれた時間を「利用者さんと向き合う時間」に戻せます。その手応えが、次の一歩の原動力になります。調査で効果の実感が約半数にとどまる背景には「入れて終わり」になりがちな現実があり、小さく始めて手応えを確かめる進め方は、その落とし穴を避けるやり方でもあります。

特定の製品に頼らない「最初の一歩」の打ち手

ツールを入れる前でも、今日から始められることがあります。どの事業所にも当てはまる汎用的な順番として、次の5つを挙げておきます。

  1. 「いちばん時間を奪う作業」を1つだけ選ぶ──記録の二度入力、シフト作成、請求前の突合など。全部ではなく1つに絞ります。
  2. 紙の作業を「電子化」から始める──いきなり高度な仕組みを目指さず、まずは紙・手書き・二重管理をなくすところから。多くの事業所がここを入口にしています。
  3. 今あるソフトの「使っていない機能」を洗い出す──新しく買う前に、既存の介護ソフトの標準機能(記録・帳票の出力など)を使い切れているかを点検します。追加費用ゼロで進むことも珍しくありません。
  4. 「決める人」を一人決める──詳しくなくて構いません。旗を振り、小さく試し、続けるかを判断する役割を明確にします。旗振り役の不在が「立ち消え」の最大の原因です。
  5. 公的な導入支援・補助を確認する──国や自治体には、介護ロボット・ICTの導入を後押しする「介護テクノロジー導入支援事業」やICT導入支援(地域医療介護総合確保基金)などがあります。対象・金額・要件は年度や自治体で変わるため、お住まいの都道府県・厚生労働省の原典をご確認ください。

ここまでは、どのメーカーの製品を選ぶかに関わらず有効な考え方です。そのうえで「記録の二度入力」を軽くしたい場合の一例として、次の方法があります。

記録の“二度入力”をなくすところから

介護記録AI「神マナ」は、録音や写真からアセスメント・支援経過・議事録を自動で下書きし、お使いの「カイポケ」にそのまま転記します。前掲の調査で最も多くの事業所が着手していた「記録の入力・転記」を軽くする一例で、二度入力(転記)がなくなることで、最初の一歩がぐっと軽くなります。まずは利用者さま1人分から、そっとお試しください。

記録をAIに読ませるときの注意:利用者さまの氏名や被保険者番号などの個人情報は、あらかじめ伏字(例:A様)にする、または事業所・法人の運用ルールに沿って扱うことをおすすめします。導入前に、個人情報の取り扱い方針を院内・所内で一度ご確認ください。

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よくあるご質問

Q. DXは何から始めればいいですか?

A. 一気に全部を変えるのではなく、「いちばん時間を奪っている作業」を1つだけ選び、そこから軽くするのがおすすめです。多くの事業所は、記録・帳票の入力や転記など、負担の大きい定型作業から着手しています。

Q. 社内にITに詳しい人がいなくても進められますか?

A. 詳しい知識よりも、「試して続けるかを決める人」を一人決めることのほうが大切です。旗振り役がいないまま話が立ち消えになるのが、最も多い失敗の形です。まずは小さな範囲で試し、手応えを確かめてから広げていきます。

Q. 費用が心配です。補助はありますか?

A. 国や自治体には、介護ロボット・ICTの導入を後押しする支援(介護テクノロジー導入支援事業、ICT導入支援など)があります。対象・金額・要件は年度や自治体で異なるため、お住まいの都道府県や厚生労働省の最新情報をご確認ください。まずは今あるソフトの標準機能を使い切れているか点検すると、追加費用ゼロで進む場合もあります。

Q. 今使っているカイポケを、やめる必要はありますか?

A. いいえ。今の仕組みを土台に、負担の重い作業だけを軽くする進め方があります。詳しくはカイポケをやめなくていいをご覧ください。なお他社サービスの料金体系は変わることがあるため、契約内容は各社の最新情報でご確認ください。

Q. 記録をAIに読ませても大丈夫ですか?

A. 利用者さまの氏名・被保険者番号などの個人情報は、伏字(例:A様)にする、または事業所の運用ルールに沿って扱うことをおすすめします。導入前に、個人情報の取り扱い方針を所内で一度ご確認ください。

あわせて読みたい:全員で進める介護DX月50時間が消えるカイポケをやめなくていい

出典:介護に関する統計は、公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」結果の概要(https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/)によります。介護テクノロジーの導入支援に関する情報は、厚生労働省ウェブサイト「介護テクノロジーの利用促進について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/kaigo_technology.html)/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記の公表資料を当社が編集・加工したものであり、各機関の公式見解ではありません。制度・数値は改定により変わるため、最新の情報は必ず原典をご確認ください。

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