誤嚥性肺炎を繰り返す方のケアプランは、嚥下機能に配慮し、口腔ケアと食事の工夫で肺炎の再発を防ぐことが大切です。文例とともに整理します。
ケアの視点
むせや発熱などの誤嚥のサインに注意し、口腔ケア・食事形態・姿勢を整えます。「口から食べる楽しみ」を保ちながら、肺炎を繰り返さないことが目標です。
ケアプランの文例
ニーズ:食べる楽しみを続けながら、肺炎を繰り返さず暮らしたい。
長期目標:誤嚥性肺炎を再発させず、口から食べることを続けられる。
短期目標:安全な姿勢と食事形態で、むせ込みなく食事ができる。
サービス内容:訪問看護による嚥下状態・呼吸状態の観察、口腔ケア、食事形態と姿勢の助言、栄養・水分管理、発熱時の早期対応。
書き方のポイント
- むせ・発熱・痰の状態を具体的に書く
- 口腔ケアと食事形態(とろみ等)の工夫を留意事項に
- 誤嚥の兆候がみられたときの連絡体制を明記
誤嚥性肺炎の予防の計画づくりで、実際に迷うところ
① 「食べない」で解決しない
誤嚥を恐れて食事の形態を落とし続けると、栄養状態が悪くなり、かえって体力と嚥下の力が落ちます。安全と栄養の両方を目標に置くことが要点です。
② 起きているのは食事中とは限らない
唾液や胃の内容物による誤嚥は、睡眠中にも起こります。食事場面だけを見た計画では足りません。口腔ケアと体位が計画に入っているかを確認します。
③ 熱が出ない場合がある
高齢者では、はっきりした発熱や咳が出ないまま進むことがあります。「なんとなく元気がない」「食が進まない」といった変化を、関係者が共有できる体制を計画に書いておきます。
長期目標・短期目標の立て方
| 避けたい書き方 | 扱いやすい書き方 | |
|---|---|---|
| 長期目標 | 誤嚥性肺炎を起こさない | 安全に食事を続け、必要な栄養がとれる |
| 短期目標 | とろみをつけた食事にする | むせずに食事を終えられる日が続く |
| 短期目標 | 口腔ケアを毎食後行う | 就寝前の口腔ケアを毎日続けられる |
サービス種別ごとの位置づけ例
| サービス | 位置づけの例 | 記録で見るところ |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 食事の準備と姿勢の調整、食後の口腔ケア | 摂取量、むせの有無、食事の姿勢 |
| 訪問看護 | 嚥下の状態と全身状態の観察、主治医への報告 | 体温、呼吸音、痰の量と性状 |
| 通所介護 | 食事場面の観察と口腔体操 | 他者と食べる場面での様子 |
| 歯科・言語聴覚士 | 口腔内の評価、嚥下訓練 | 口腔内の状態、訓練の反応 |
第1表・第2表の文例
第1表:利用者及び家族の生活に対する意向
- 本人「むせるのが怖いが、好きなものは食べたい」
- 長女「食事のたびに心配。何に気をつければよいか知りたい」
第1表:総合的な援助の方針
安全に食べ続けられることと、必要な栄養がとれることの両方を目指します。食事の姿勢と形態を関係者で統一し、食後と就寝前の口腔ケアを続けます。体調の小さな変化を早めに共有できるよう、連絡の経路を明確にします。
第2表:ニーズ・目標・サービス内容
| 生活全般の解決すべき課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| むせることが増え、食事量が減っている | 安全に食事を続け、体重が維持できる | むせずに食事を終えられる日が週5日以上になる | 訪問介護:姿勢の調整と見守り/訪問看護:嚥下状態の観察 |
| 口腔内の汚れが残りやすい | 口腔内を清潔に保てる | 就寝前の口腔ケアを毎日続けられる | 訪問介護:食後の口腔ケア/歯科:定期的な口腔管理 |
| 体調の変化に気づくのが遅れやすい | 変化に早く気づき、対応できる | いつもと違う様子を家族が共有できる | 全事業所:申し送りの共有/訪問看護:週2回の状態確認 |
モニタリングで見る、変化のサイン
- 食事——所要時間が延びていないか、途中で疲れていないか
- 声——食後に声がかすれる(湿性嗄声)のは誤嚥のサインとされます
- 体温——微熱が続いていないか
- 痰——量と色。増加 があれば共有します
- 体重——2週間で1kg以上の減少は要注意です
- 活気——「なんとなく元気がない」は、家族がいちばん早く気づきます
計画づくりでよくある疑問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| とろみは濃いほど安全か | 濃すぎると飲み込みにくくなり、水分不足にもつながります。濃度は専門職と決めます |
| 好きなものを食べさせたい | 危険と楽しみのどちらを取るかではなく、条件(姿勢、量、見守り)を決めて計画に書きます |
| 胃ろうにすれば誤嚥しないか | 唾液の誤嚥は残ります。口腔ケアは同じように必要です |
| 食事の見守りは身体介護か | 状態に応じた介助が伴えば身体介護に寄ります。記録に介助の内容を残します |
| 家族が形態を守ってくれない | 危険を伝えるだけでなく、作りやすい方法を一緒に考えると続きます |
※本記事は計画作成の一般的な考え方を整理したものです。医学的な判断は主治医の指示によります。給付や算定の可否は保険者(市区町村)にご確認ください。
文例を土台に、作成はAIで
文例はあくまで土台です。介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の居宅向け機能(居宅マナ)は、アセスメントからケアプランの原案を自動で作成します。確認・修正するだけで仕上がり、実証では作成時間が平均125.5分から37.6分に短縮しました(約70%短縮)。※所要時間は利用者さまの状態・記載量・事業所の運用により異なります。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
誤嚥性肺炎の記入例(コピペ可)
誤嚥性肺炎のある方のケアプラン記入例です(表の右上ボタンからExcel/CSVにコピーできます)。嚥下・口腔ケア・栄養・早期発見の視点で、主治医・言語聴覚士の指示をふまえて記載します。
| ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス・留意点 |
|---|---|---|---|
| 誤嚥予防 | 誤嚥性肺炎をくり返さず在宅生活を続けられる | 安全な姿勢と食形態で食事ができる | 言語聴覚士の嚥下評価、食形態の調整、食事姿勢の指導 |
| 口腔ケア | 口腔内を清潔に保ち肺炎のリスクを下げられる | 毎食後の口腔ケアが習慣になる | 訪問歯科・口腔ケア、訪問介護による口腔ケア支援 |
| 栄養・水分 | 必要な栄養と水分をとり体力を保てる | むせずに1日3食と水分をとれる | 管理栄養士の助言、とろみ調整、配食サービス |
| 早期発見 | 発熱や体調変化に早く気づき対応できる | 家族と多職種でバイタルを共有できる | 訪問看護の健康観察、家族への観察ポイント指導 |
誤嚥性肺炎|第2表の通し文例
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。アセスメント結果とご本人の意向に合わせて必ず書き換えてください。岡山市の資料では「複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である」ことが不適切事例として挙げられています。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| むせることが増えたが、口から食べ続けたい | 誤嚥性肺炎を再発せず、食事を楽しめる(1年) | むせずに食事を終えられる日が週5日以上になる(3か月) | 訪問看護:嚥下と呼吸状態の観察/訪問介護:食事の姿勢の調整と見守り |
| 食後に痰がからむが、苦しくならずに過ごしたい | 呼吸状態が安定した状態を保てる(6か月) | 食後の排痰が自分でできる(2か月) | 訪問看護:呼吸音の聴取と排痰の援助/本人:食後30分は座位を保つ |
| 歯みがきが行き届かず、口の中が気になる | 口腔内を清潔に保ち、肺炎のリスクを下げられる(1年) | 毎食後の口腔ケアが習慣になる(2か月) | 訪問歯科:定期的な口腔管理/訪問介護:食後の口腔ケアの援助 |
| 入れ歯が合わず、噛みにくい | 自分の口で無理なく噛んで食べられる(6か月) | 調整した義歯で、主食を残さず食べられる(2か月) | 訪問歯科:義歯の調整/訪問介護:食事形態の確認 |
| 食事に時間がかかり、途中で疲れてしまう | 必要な栄養がとれ、体重を維持できる(6か月) | 1食を30分以内に、8割以上食べられる(3か月) | 言語聴覚療法:摂食の評価/訪問介護:一口量の調整と声かけ |
| 水分でむせるので、飲むのを控えてしまう | 脱水を起こさず、必要な水分がとれる(6か月) | とろみをつけた水分を1日800mL以上とれる(2か月) | 訪問看護:水分量の確認/家族:とろみの濃度を一定にする |
| 発熱をくり返し、その都度体力が落ちる | 発熱をくり返さず、活動量を保てる(1年) | 3か月間、発熱による受診がない(3か月) | 訪問看護:週2回の全身状態の観察/主治医:状態変化時の速やかな連携 |
| 寝たきりの時間が長く、体力が落ちてきた | 日中の離床時間が増え、体力を保てる(1年) | 食事は起きてとることができる(2か月) | 訪問リハビリテーション:離床と姿勢保持の訓練/家族:食事時の声かけ |
| 家族が食事介助の方法に自信を持てない | 家族が安心して食事の介助を続けられる(6か月) | 家族が姿勢と一口量の調整を実施できる(2か月) | 訪問看護:家族への介助方法の指導/言語聴覚療法:助言 |
| 退院したばかりで、また肺炎になるのが不安だ | 再入院せず、自宅での生活を続けられる(1年) | 退院時の食形態と姿勢が家庭でも守られる(1か月) | 訪問看護:週2回の観察/訪問介護:食事の準備と見守り |
誤嚥性肺炎|観察項目とモニタリングの視点
短期目標の期間が終わる前に、次の項目を確認して評価します。公表資料では、実施状況の把握を行わずに一律に短期目標の期間を延長していた事例が指摘されています。
| 観察する項目 | 変化のサイン | 計画への反映 |
|---|---|---|
| 体温 | 37.5℃以上が続く、微熱をくり返す | 受診の目安を計画に明記し、家族と共有する |
| 呼吸 | 呼吸数の増加、痰の量や色の変化、湿った咳 | 訪問看護の回数の見直しを検討する |
| むせ | 水分でのむせが増える、食後に声がかすれる | 食形態ととろみの濃度を再評価する |
| 食事摂取量 | 1食あたりの摂取量が減る、時間がかかる | 一口量と食事時間の目標を短期目標に置き直す |
| 体重 | 1か月で2%以上の減少 | 栄養に関する助言をサービスに加える |
| 口腔内 | 舌苔の増加、義歯の不適合、口臭 | 口腔ケアの回数と担当を計画に明記する |
| 姿勢 | 食事中に体が傾く、頸部が後屈する | 姿勢調整を具体的なサービス内容として書く |
| 活動量 | 日中の臥床時間が増える | 離床の目標を短期目標に加える |
誤嚥性肺炎|避けたい書き方と言い換え
姫路市の資料では、第2表の目標欄に「利用者の目標ではなく、介護者が提供すべきサービス内容が記載されていた」ことが指摘されています。目標は利用者を主語に、達成できたか判断できる形にします。
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 誤嚥性肺炎を起こさない | 起きなかったことを目標にすると、達成の確認ができない | 安全に食事を続け、必要な栄養がとれる |
| とろみをつけた食事にする | 支援者の行為であって、利用者の目標ではない | むせずに食事を終えられる日が続く |
| 口腔ケアを実施する | サービス内容であり、目標ではない | 毎食後の口腔ケアが習慣になる |
| 誤嚥のリスクが高い | 評価であって、目標にならない | 安全な姿勢と食形態で食事ができる |
| 家族が頑張って介助する | 家族の努力に依存した書き方になっている | 家族が姿勢と一口量の調整を実施できる |
| 食事形態を検討する | 検討で終わり、達成が判断できない | 調整した食形態で、主食を残さず食べられる |
| 肺炎に注意する | 誰が何をするか分からない | 週2回の訪問で呼吸状態を観察し、変化時は主治医へ報告する |
第2表そのものの書き方はケアプラン第2表の書き方・文例、他の疾患は疾患別ケアプランの文例をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
誤嚥性肺炎の予防でケアプランに入れるべき視点は?
食形態はケアプランに書きますか?
口腔ケアは誰が行いますか?
誤嚥性肺炎をくり返す場合はどうしますか?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
ケアプラン作成の関連ガイド
無料ではじめる
次の一歩を、どうぞ
介護のDXは、ゆっくりでいい。
まずは無料で、現場で試すところから。
アプリケーションを無料で使ってみる(iPhone / Android)
利用者さま3名まで・期限なく無料/クレジットカード登録不要
場面別|誤嚥性肺炎(既往)の観察と記録の文例
誤嚥性肺炎(既往)の方の記録で、その日の変化が伝わる書き方を場面ごとにまとめました。時刻と数字を入れるのが要点です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 食事前 | いすに深く座り、足底が床につく位置に調整。あご引き位を確認。 |
| 食事中 | 汁物で1回むせ込み。咳で喀出され、経皮的動脈血酸素飽和度は97%を維持。 |
| 食形態 | きざみ食・とろみ中間。本人から「食べにくい」の訴えなし。 |
| 摂取量 | 主食8割・副食7割。所要30分。 |
| 水分 | とろみ付きで1日1,000mL。むせなし。 |
| 食後 | 30分は座位を保つ。臥床は食後1時間以降とした。 |
| 口腔ケア | 毎食後に実施。舌苔あり、スポンジブラシで清拭。 |
| 義歯 | 部分義歯。夜間は外して洗浄している。 |
| 発熱 | 15時、体温37.8度。痰の量が増えている。看護師へ報告。 |
| 痰 | 白色粘稠痰が少量。自力で喀出できている。 |
| 呼吸音 | 両肺野で清明。副雑音なし。 |
| 経皮的動脈血酸素飽和度 | 安静時97%、食事中96%。 |
| 体重 | 48.6kg。前月比マイナス0.3kg。 |
| 服薬 | 嚥下しやすいよう、ゼリーに包んで内服している。 |
| 夜間 | ベッドの頭側を15度挙上して就寝。 |
| 家族への指導 | 食事の姿勢と、食後30分の座位保持を実演して説明した。 |
| 注意点 | 発熱・痰の増加・食事量の低下が重なったときは、早めに受診の判断を行う。 |
| 連携 | 歯科衛生士の口腔ケアを月2回導入。訪問看護と情報を共有している。 |
あわせて確認したい、併存しやすい状態
誤嚥性肺炎の方は、次の状態を併せ持つことがあります。それぞれの文例と、計画に書くときの観点をまとめています。
低栄養・フレイル/廃用症候群/認知症/脳血管疾患/パーキンソン病
27の疾患・状態の一覧は疾患別ケアプランの文例にまとめています。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
