直行直帰が中心の訪問看護では、記録の負担とタイムリーな情報共有が大きな課題です。紙からシステムへ切り替える事業所も増えています。本記事では、訪問看護の記録システムを選ぶときのポイントを整理します。
あわせて、訪問看護の加算一覧で単位数と算定要件の対照表をまとめています。
あわせて、訪問看護AIとは?できること・汎用AIとの違いもご覧ください。
訪問看護に記録システムが必要な理由
- 直行直帰が多く、事業所に戻ってからまとめて記録すると負担が大きい
- 記録書Ⅱや報告書など、作成する書類が多い
- 多職種・主治医との情報共有を、早く正確に行う必要がある
記録システムの選び方
訪問看護のシステム選びで迷うのは、機能の多さではなく「どこまでを1つでまかなうか」です。次の5つの軸で自事業所の条件を先に決めると、比較が早く終わります。
| 選ぶ軸 | 確認すること |
|---|---|
| 対応範囲 | 記録だけか、請求まで含めるか。既存の請求ソフトを残すかどうか |
| 訪問先での使いやすさ | スマートフォンで入力できるか。電波が弱い場所で使えるか |
| 様式への対応 | 記録書Ⅱ・計画書・報告書など、必要な様式が揃っているか |
| 二重入力の有無 | 記録したものが請求へ流れるか。転記が発生しないか |
| 移行のしやすさ | 今の記録を移せるか。乗り換え時に止まる期間があるか |
訪問看護の記録・請求システムの主な種類
ひとくちに「システム」といっても、対応範囲にはいくつかの型があります。自事業所の運用に合わせて、どこまでを1つのシステムでカバーしたいかを整理すると選びやすくなります。
- 記録特化型――訪問看護記録書Ⅱや報告書、計画書など記録・書類作成が中心。既存の請求ソフトと併用する運用が想定されます。
- 記録+請求一体型――記録から国保連への請求業務まで、一つのシステムで完結する設計とされています。導入時に既存の請求フローの見直しが必要になる場合があります。
- 多機能・電子カルテ連携型――訪問診療や他事業所とのカルテ共有まで視野に入れた、より広い機能を備えたタイプです。
| 比較の観点 | 記録特化型 | 記録+請求一体型 | 多機能・電子カルテ連携型 |
|---|---|---|---|
| 主な範囲 | 記録・書類作成が中心 | 記録から請求まで一体 | 記録・請求に加え多職種連携も視野 |
| 請求(国保連)との関係 | 既存の請求ソフトと併用が前提 | システム内で完結する設計とされています | 製品により対応範囲は異なります |
| 向いている事業所の例 | 今の請求ソフトを変えたくない事業所 | 請求業務も含めて見直したい事業所 | 訪問診療・他事業所との連携を重視する事業所 |
※どの型が合うかは事業所の規模や運用によって異なります。「おすすめ」や「人気」だけでなく、対応帳票・請求連携・サポート体制といった観点で比較検討することが大切です。詳しくは訪問看護ソフトの選び方もご覧ください。
- モバイル対応――訪問先のスマートフォンやタブレットで、その場で記録できるか。
- 帳票への対応――訪問看護記録書Ⅱや報告書、計画書の作成に対応しているか。
- 音声入力・AIの有無――話すだけで記録の下書きができると、移動中でも記録が進みます。
- 既存業務との連携――今の運用に無理なく組み込めるか。
導入前チェックリスト
- スマホ・タブレットで訪問先からそのまま記録・送信できるか
- 訪問看護記録書Ⅱ・報告書・計画書の帳票に対応しているか
- 音声入力・AIで記録の下書きが作れるか(移動中でも進む)
- 多職種・主治医とリアルタイムで共有できるか
- 今使っているカイポケ等の請求フローを変えずに併用できるか
- 無料プラン・無料トライアルで実際に試せるか
クラウド・AIで変わること
クラウド型なら、訪問先で記録した内容がその場で共有され、事業所に戻って書き直す手間がなくなります。さらにAIによる音声入力を使えば、観察した内容を話すだけで記録の下書きが整い、記録時間を大きく減らせます。
クラウド型と従来型(紙・Excel)の比較
| 比較項目 | クラウド型(訪問看護マナ など) | 従来型(紙・Excel・オンプレ) |
|---|---|---|
| 記録する場所 | 訪問先・移動中・自宅、どこでもその場で | 事業所に戻ってからまとめて |
| 情報共有 | 多職種・主治医とリアルタイムに共有 | 持ち帰り・FAX・口頭で時間差 |
| 記録書Ⅱ・報告書 | テンプレとAIで下書きを自動作成 | 手書き・手入力で作成 |
| 音声入力・AI | 話すだけでSOAPの下書きが整う | 基本なし |
| バックアップ・BCP | クラウドに自動保全。災害時も安心 | 紛失・破損・消失のリスク |
| 初期費用・更新 | 低めで自動更新 | 端末・サーバ費用や手動更新が必要な場合も |
※製品により対応範囲は異なります。導入前に無料トライアルで自事業所の運用に合うか確認するのがおすすめです。
ここからは、ソフト・アプリという切り口での選び方を補足します(2026年7月に「訪問看護ソフトの選び方」「訪問看護アプリの選び方」の2記事を本ページへ統合しました)。
訪問看護ソフトでできること
- 訪問看護記録書(Ⅰ・Ⅱ)や報告書の作成
- 訪問看護計画書の作成
- 医療保険・介護保険の請求
- 指示書・スケジュールの管理
記録特化ツールと請求一体型ソフトの比較
| 比較項目 | 記録特化ツール(アドオン型) | 請求一体型ソフト |
|---|---|---|
| カバー範囲 | 記録書Ⅱ・報告書などの作成に特化 | 記録から国保連請求まで一括 |
| 今のソフトとの関係 | 今のソフトに足すだけ(乗り換え不要) | 基本は乗り換え・全面移行 |
| 導入のしやすさ | すぐ試せる。習熟コスト低め | 移行・習熟に時間がかかりがち |
| 費用 | 低め | 中〜高 |
| 音声入力・AI記録 | あり(話すだけで下書き) | 製品による |
| 向いている事業所 | 記録の負担だけを今すぐ減らしたい | 請求まで1本化したい |
※請求ソフトはそのまま使いながら、いちばん時間のかかる記録工程だけをアドオンで効率化する選び方もできます。
訪問看護アプリの主なタイプ
訪問看護で使われるアプリ・ソフトは、大きく次の4タイプに分かれます。
- 記録特化アプリ――訪問先での記録に特化。スマホ入力や音声入力で、その場で記録を完了できる。請求は別ソフトと連携することが多い。
- 請求一体型ソフト――記録から国保連請求までを1つでカバー。機能が広い分、費用や習熟のコストは高めになりがち。
- クラウド型システム――事業所内で情報を共有。外出先や在宅からも記録を確認・入力できる。
- AI記録アプリ――音声やメモからAIが記録・報告書の下書きを自動作成。記録時間の削減に強い。
「記録のしやすさ」を重視するなら記録システムの選び方、「請求や計画書まで含めた全体」で選ぶなら訪問看護ソフトの選び方もあわせてご覧ください。
タイプ別の比較表
| タイプ | 得意なこと | 請求対応 | 向いている事業所 |
|---|---|---|---|
| 記録特化アプリ | 訪問先でのスマホ・音声入力 | 別ソフトと連携 | 記録の手間を減らしたい |
| 請求一体型ソフト | 記録から国保連請求まで1本化 | 対応 | 請求までまとめたい |
| クラウド型システム | 事業所内でリアルタイム共有 | 製品による | 多拠点・情報共有を重視 |
| AI記録アプリ | 音声・メモからAIが下書きを自動作成 | 別途・連携 | 記録時間を最優先で削減 |
※1製品が複数タイプを兼ねることもあります。まず無料トライアルで自事業所の運用に合うか試すのがおすすめです。
「無料」で使える訪問看護アプリはある?
「無料」には2種類あります。ずっと無料で使えるプランと、一定期間だけの無料トライアルです。少人数・低コストで始めたいなら無料プラン、機能をしっかり試したいなら無料トライアルが向いています。いずれも、無料の範囲(利用者数や機能の制限)と、有料に切り替わる条件を必ず確認しましょう。
「訪問看護マナ」で記録を効率化する
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」の訪問看護向け機能(訪問看護マナ)は、訪問時の音声から記録書Ⅱや報告書の下書きを自動で作成します。移動の合間に話すだけで記録が進み、記録にかかる時間を大きく減らせます。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
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訪問看護のシステムで特に確認したい軸
訪問看護は医療保険と介護保険の両方があり、様式も決まっています。汎用の介護ソフトでは足りない部分が出ます。
| 軸 | 見るところ | 自事業所で決めておくこと |
|---|---|---|
| 対応する様式 | 記録書Ⅰ・Ⅱ、計画書、報告書、指示書の管理 | 使っている様式の一覧 |
| 医療保険と介護保険 | 両方の請求に対応しているか | 保険別の利用者の割合 |
| SOAPでの入力 | 経過記録をSOAPで書けるか、テンプレートがあるか | 記録の書式(SOAP/叙述/DAR) |
| 訪問先での入力 | スマートフォンで立ったまま入力できるか | 入力する端末 |
| オフライン動作 | 電波が弱い場所で入力でき、あとで同期できるか | 訪問エリアの電波状況 |
| 写真の添付 | 創部やスキンテアの写真を記録に残せるか | 記録に写真が要る利用者の有無 |
| 指示期間の管理 | 指示書の有効期間を管理し、切れる前に知らせるか | 管理している指示書の枚数 |
| 加算の管理 | 緊急時訪問看護加算・特別管理加算の要件と記録が結びつくか | 算定している加算の一覧 |
| オンコールの記録 | 受電と緊急時訪問を、通常の訪問と区別して記録できるか | オンコールの体制 |
| 報告書の作成 | 日々の記録から月次の報告書へ流れるか | 報告書の作成にかかっている時間 |
| 多職種との共有 | 主治医・ケアマネへの情報提供が出せるか | 連携している相手 |
| 請求との接続 | 記録から国保連への請求へ流れるか | いま使っている請求ソフト |
タイプ別の向き・不向き
| タイプ | 向く事業所 | 注意すること |
|---|---|---|
| 記録特化型 | 既存の請求ソフトを残したい | 記録と請求で二重入力が残らないか |
| 記録+請求一体型 | 転記をなくしたい | いまの請求ソフトからの移行に手間がかかる |
| 医療機関向けの電子カルテ連携型 | みなし指定で医療機関が運営 | 訪問看護の様式に対応しているか |
| 汎用の介護ソフト | 複数種別を運営している | 記録書Ⅱや報告書の様式に対応しているか |
| スマートフォン特化型 | 直行直帰が中心 | パソコンでの一覧管理ができるか |
| 音声入力を備えたもの | 記録の作成時間を減らしたい | そのまま提出せず、必ず確認して直す運用にする |
乗り換えるときに決めておくこと
| 項目 | 決めておくこと |
|---|---|
| 移行するデータ | 利用者情報・記録・計画書のどこまでを移すか |
| 移行の時期 | 請求の繁忙期を避ける |
| 並行運用の期間 | 旧システムをいつまで残すか |
| 過去記録の扱い | 保存期間を満たすため、どこに残すか |
| 職員への説明 | いつ・誰が・どう教えるか |
| 試用 | 本番に近い形で、現場の看護師が触れるか |
| 費用 | 1年目と3年目の総額。移行の費用も含める |
| 中止の判断 | 合わなかった場合に、いつまでに戻せるか |
記録書Ⅱの書き方は訪問看護記録書Ⅱ、報告書は訪問看護報告書、指示書の管理は訪問看護指示書をご覧ください。
訪問看護の記録で、システムに任せられるところ/任せられないところ
導入しても減らないものがあります。何が減って何が残るかを先に見ておくと、期待とのずれが起きません。
| 作業 | システムで減らせるか | 残るもの |
|---|---|---|
| バイタルの入力 | 減らせる(機器連携・選択式) | 測ること自体 |
| 経過記録の文章化 | 減らせる(定型文・音声入力) | 観察して判断することと、内容の確認 |
| 月次報告書の作成 | 減らせる(日々の記録から集約) | 1か月の経過をどうまとめるかの判断 |
| 計画書の更新 | 一部減らせる(前回からの複製) | 目標の見直しと、同意を得ること |
| 指示期間の管理 | 減らせる(期限のアラート) | 主治医への依頼と受領 |
| 請求への転記 | 大きく減らせる(記録から連動) | 実績の確認 |
| 加算の要件確認 | 一部減らせる(チェック機能) | 要件に当たるかの判断と、根拠の記録 |
| 主治医への報告 | 一部減らせる(様式の出力) | 何を報告するかの判断と、到達の確認 |
| 多職種との連携 | 一部減らせる(共有機能) | 電話や会議での調整 |
選定の観点33項目|自事業所の状況を書き込む比較表(記入欄つき)
訪問看護の記録システムを検討するとき、多くの事業所が最初に作るのは「製品名を横に並べた比較表」です。ところがこの形の表は、作った翌月には使えなくなります。各社の機能や画面は継続的に更新されるため、外部の記事に書かれた仕様は、貴事業所が契約する時点の仕様と一致しているとは限らないからです。ここでは製品名を並べる代わりに、左に「観点」、中央に「提供元にそのまま送れる確認文」、右に「貴事業所の状況を書き込む記入欄」を置いた表を用意しました。各社の仕様は、この確認文をそのままメール本文に貼って、提供元にご確認ください。
訪問看護の記録は、他の介護サービスと比べて条件が特殊です。記録が発生する場所が事業所ではなく利用者宅であること、介護保険と医療保険が同じ利用者の中で切り替わること、主治医の指示書という外部文書に有効期間があること、この3つが同時に効いてきます。そのため「介護記録ソフト全般」の選び方をそのまま当てはめると、契約後に足りないものが見つかります。以下の表は、この3つの特殊性から逆算して観点を並べたものです。
訪問先での動きに関する観点(9項目)
最初に確認するのは、事業所の机の上ではなく利用者宅の玄関先・居室・車内で成立するかです。デモンストレーションは事業所の会議室で行われることが多く、そこでは通信も電源も安定しています。実際に記録が発生する場所の条件を、先に文章にしておいてください。
| 観点 | 何が問題になりやすいか | 提供元への確認文(そのまま送れる形) | 貴事業所の状況(記入欄) | 優先度(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 電波が届かない場所での入力 | 山間部・集合住宅の内階段・地下の駐車場など、訪問先の一部で通信が切れる。切れた時に入力中の内容がどうなるかで運用が変わる | 「通信が切断された状態で入力を続けた場合、入力内容は端末側に保持されますか。保持される場合、通信が回復した時点でどのような操作をすると反映されますか」 | ||
| 通信が回復した時の反映のされ方 | 自動で送られるのか、職員が操作するのか。職員操作が必要な場合、忘れた分が翌日以降まで残る | 「通信回復時の反映は自動ですか、職員の操作が必要ですか。未反映の記録が残っている場合、それを一覧で確認する画面はありますか」 | ||
| 訪問先でのオフレコ入力(下書き) | 利用者・家族の前で画面を長く見ていられない。玄関を出てから車内で仕上げる運用が現実的なことが多い | 「訪問中に途中まで入力し、後から続きを書く運用は想定されていますか。下書き状態の記録は他の職員から見えますか」 | ||
| 音声入力の使いどころ | 訪問直後の車内で話した内容を文章にする用途か、訪問中にその場で話す用途かで求める精度が違う | 「音声入力は、利用者宅内での使用と車内での使用のどちらを想定して設計されていますか。周囲の生活音がある環境での動作について、注意点があれば教えてください」 | ||
| 訪問先の生活音・放送音の混入 | テレビ・ラジオが付いたままの居室では、人の声が背景に流れ続ける。単純な雑音とは扱いが異なる | 「テレビやラジオの音声が背景に入る環境での使用について、推奨される使い方はありますか」 | ||
| 端末の種類と持ち方 | スマートフォン1台で完結するのか、タブレットや事業所のパソコンが前提かで、購入する台数が変わる | 「訪問時に使用する端末として想定されているものを教えてください。事業所のパソコンでしかできない操作があれば、その一覧をいただけますか」 | ||
| 端末を紛失した場合の扱い | 訪問先や移動中の紛失は起こり得る。端末に記録が残る設計か、都度取り寄せる設計かで対応が変わる | 「端末を紛失した場合、その端末からの接続を止める手順を教えてください。端末内に利用者情報が残る設計かどうかも併せて教えてください」 | ||
| 写真・画像の扱い | 褥瘡・創部・住環境の記録に写真を使う場合、どこに保存されるかと、記録書とどう紐づくか | 「撮影した画像は、どの記録に紐づいて保存されますか。画像だけを後から探す方法はありますか」 | ||
| 1日の訪問件数が多い日の操作数 | 1件あたりの操作が数回増えるだけで、1日6〜7件回る職員には積み上がる | 「1件の訪問を記録し終えるまでに必要な画面遷移の回数を、標準的な流れで教えてください」 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
様式と保険の切り分けに関する観点(10項目)
訪問看護の記録は、日々の記録(訪問看護記録書Ⅱ)だけでは完結しません。初回の基本情報(訪問看護記録書Ⅰ)、訪問看護計画書、訪問看護報告書、主治医の指示書という4つが常に周辺にあり、この4つは互いに内容が一致していることを前提に見られます。長野県健康福祉部地域福祉課福祉監査担当が公表している「令和6年度運営指導結果の概要(訪問看護)」では、訪問看護の指摘37件のうち「訪問看護計画の作成等の不備」が11件で最も多く、居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない事例、計画に対する利用者の同意を得たことが確認できない事例、具体的なサービス内容を記載していない事例が挙げられています。様式が揃っているかどうかではなく、様式どうしがつながっているかが見られているという点を、選定の段階で押さえておいてください。
| 観点 | 確認したい具体物 | 提供元への確認文(そのまま送れる形) | 貴事業所の状況(記入欄) | 優先度(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 訪問看護記録書Ⅰの様式 | 初回訪問時の基本情報。主たる傷病名・現病歴・療養状況・家族構成・主治医・緊急連絡先など、後から何度も参照される欄がそろっているか | 「訪問看護記録書Ⅰに相当する画面で入力できる項目の一覧をいただけますか。事業所独自の項目を追加できるかどうかも教えてください」 | ||
| 訪問看護記録書Ⅱの記載形式 | 経時記録・SOAP・項目チェックのどれを前提にしているか。ステーションの書き方と合わないと、結局は自由記述欄だけを使うことになる | 「訪問看護記録書Ⅱの記載形式として、SOAP形式と経時記録形式のどちらに対応していますか。両方を利用者ごとに選べますか」 | ||
| 訪問看護計画書の作成 | 居宅サービス計画・主治医の指示書の内容を引いてこられるか。看護目標と具体的なサービス内容、提供期間の欄があるか | 「訪問看護計画書を作成する際、居宅サービス計画や指示書の内容を画面上で参照できますか。提供期間と同意欄は様式に含まれていますか」 | ||
| 訪問看護報告書の作成 | 月々の記録から療養状況の要約を組み立てられるか。手作業で全員分を書き起こしている事業所が多い部分 | 「訪問看護報告書は、当月の訪問記録から内容を引いて作成できますか。引いてこられる欄と、手入力になる欄を分けて教えてください」 | ||
| 計画書・報告書の様式の版 | 様式は改定で変わる。改定時に誰がどのくらいの期間で反映するかは、契約前に文章で確認しておく項目 | 「制度改定で様式が変更された場合、システム上の様式はどのような手順・期間で更新されますか。過去の改定時の実績があれば教えてください」 | ||
| 介護保険と医療保険の切り分け | 同じ利用者が月の途中で切り替わる場合がある。記録の様式と請求先が同時に変わる | 「同一の利用者について、介護保険と医療保険の訪問が混在する月の記録と請求は、どのように分けて管理されますか」 | ||
| 公費の扱い | 公費の種類ごとに券面の情報が異なる。券の呼び名と番号の入力欄がどう用意されているか | 「公費負担医療の情報は、どの画面のどの項目に登録しますか。複数の公費が併用される利用者にも対応していますか」 | ||
| 自費・保険外サービスの扱い | 保険給付の対象と対象外を、記録の上で区分しておく必要がある。和歌山市の集団指導資料でも、保険給付対象サービスとそれ以外は内容・所要時間の区分を明確に記録するよう示されている | 「保険外のサービスを提供した場合、その記録は保険給付の記録と区分して残せますか。区分の方法を教えてください」 | ||
| レセプトへのつながり方 | 記録システムと請求ソフトが別の場合、どこまでが自動で、どこからが手入力かを先に把握する | 「記録した内容のうち、請求データに引き継がれる項目と、請求側で改めて入力する項目を分けて教えてください」 | ||
| 他事業所・他機関への提供物 | 居宅介護支援事業所や主治医に渡す書類の出力形式。紙で渡すのか、データで渡すのか | 「計画書・報告書を外部に渡す際の出力形式を教えてください。控えの保管はシステム側に残りますか」 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
運用・管理・体制に関する観点(14項目)
ここから先は、現場の職員には見えにくく、管理者・開設者だけが判断できる観点です。デモンストレーションでは説明されないことが多いので、こちらから聞く形になります。とくに指示書の期限管理とスケジュールと実績の突合は、記録システムの機能というより「運営の穴が塞がるかどうか」に直結します。神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月)の訪問看護の欄には、主治医の訪問看護指示書が確認できない・受領が遅い、訪問看護指示書の有効期限が切れているといった指摘が挙げられています。東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護)にも、サービス提供開始後に指示書の交付を受けていた、文書による指示なく訪問していた、訪問内容が指示書と相違しているといった指摘が示されています。
| 観点 | 確認したい具体物 | 提供元への確認文(そのまま送れる形) | 貴事業所の状況(記入欄) | 優先度(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 指示書の有効期間の管理 | 利用者ごとの指示期間を一覧で見られるか。期限が近い利用者を抽出できるか | 「訪問看護指示書の有効期間を登録し、期限が近い利用者を一覧で抽出する機能はありますか。抽出の条件は変更できますか」 | ||
| 特別訪問看護指示書の管理 | 通常の指示書とは別に期間を持つ。東京都の資料には、特別訪問看護指示書の有効期間は交付日から14日間である旨が示されている | 「特別訪問看護指示書を通常の指示書と分けて登録できますか。期間の管理方法を教えてください」 | ||
| 指示内容と訪問内容の照合 | 指示書に書かれた内容と、実際に行った内容が違っていないかを見る仕組みがあるか | 「指示書に登録した内容を、記録の入力画面から参照できますか。参照できる場合、どの項目が表示されますか」 | ||
| スケジュールと実績の突合 | 予定を入れたが訪問しなかった日、予定外に訪問した日が、記録と請求の両方で追えるか | 「予定と実績が一致しない日を一覧で確認する画面はありますか。予定外の訪問を後から追加する手順も教えてください」 | ||
| 中止・キャンセルの記録 | 訪問が中止になった日の扱い。仙台市の資料では、予定していたサービス内容を一切実施しなかったにもかかわらず基本報酬を算定していた事例が挙げられている | 「訪問が中止になった日を、記録の上でどのように残しますか。中止の記録が請求データにどう影響するかも教えてください」 | ||
| 実際の開始・終了時刻の記録 | 横浜市の資料には、サービス提供の記録の開始・終了時間に計画上の標準的な時間が記載されていた事例と、実際の時間を記載するようにという改善指示が示されている | 「訪問の開始時刻・終了時刻は、どのように記録されますか。計画上の時間が初期値として入る仕様かどうかを教えてください」 | ||
| 複数ステーションの管理 | 本部と複数事業所を1つの契約で運用できるか。職員が複数事業所を兼務する場合の切り替え | 「複数の事業所を1つの契約で管理できますか。1人の職員が複数事業所に所属する場合、画面上でどのように切り替えますか」 | ||
| 権限とアクセス制御 | 誰がどの利用者の記録を見られるか。管理者・看護職員・事務職員・リハビリ職種で分けられるか | 「職種や役割ごとに閲覧・編集できる範囲を設定できますか。設定できる単位(利用者単位・機能単位)を教えてください」 | ||
| 操作の履歴 | 誰がいつ何を書き換えたかが残るか。記録の信頼性を説明する際の裏づけになる | 「記録の作成者・更新者・更新日時は保存されますか。過去の内容を確認できる機能はありますか」 | ||
| バックアップと事業継続 | データがどこに保存され、障害時にどうなるか。業務継続計画との関係で説明を求められる部分 | 「データの保存場所とバックアップの頻度を教えてください。システムが利用できない時間が発生した場合の代替手順について、案内はありますか」 | ||
| サポート体制 | 受付時間・受付方法・訪問中の時間帯に連絡が取れるか。土日祝と夜間の扱い | 「サポートの受付時間・受付方法を教えてください。土日祝日および夜間の対応の有無も併せて教えてください」 | ||
| 導入時のデータ移行 | 現在使っている記録・利用者情報をどこまで持ち込めるか。移行の作業を誰が行うか | 「現在の記録や利用者情報を移行できますか。移行できる項目と、事業所側で行う作業の範囲を教えてください」 | ||
| 解約時のデータの持ち出し | 契約を終えるときに、記録を手元に残せるか。記録の整備と保存の義務は事業所側に残る | 「契約終了時に、これまでの記録を出力して手元に残すことはできますか。出力できる形式と、出力できない情報があれば教えてください」 | ||
| 教育・研修の資材 | 新人が入るたびに管理者が教える形だと続かない。手順書や動画が提供されるか | 「新しく入職した職員向けの操作手順書や研修用の資材はありますか。事業所側で内容を編集できますか」 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
料金の考え方|金額ではなく「何が増えると増えるか」を先に決める
料金は各社・各プランで異なり、改定もあるため、ここでは金額を書きません。代わりに、見積書を読むときに確認する「増え方の単位」を並べます。訪問看護ステーションは、利用者数と職員数が同時に動く事業なので、何を単位に費用が増えるかを先に把握しておかないと、増員した月に想定外の請求が来ることになります。下の表の右側に、見積書に書かれていた条件を書き写してから比較してください。
| 費用が動く単位 | なぜ確認するのか | 見積書で確認する記載(記入欄) | 1年後に想定される状態(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 職員数(アカウント数) | 採用のたびに増える。非常勤・登録看護師の扱いが含まれるかで差が出る | ||
| 利用者数 | 事業が伸びるほど増える。休止中・終了した利用者を数に含めるかで変わる | ||
| 端末数 | 1人1台か、共有端末かで台数が変わる。同時に接続できる台数の上限があるか | ||
| 事業所数 | ステーションを増やす計画がある場合、2か所目以降の条件が変わることがある | ||
| 機能の追加(オプション) | 請求・スケジュール・音声入力などが別区分になっている場合がある | ||
| 初期費用と設定作業 | 導入時のみ発生するもの。データ移行や初期設定が含まれるかどうか | ||
| サポートの範囲 | 基本の範囲に含まれる問い合わせと、別扱いになる作業の線引き | ||
| 契約期間と更新の条件 | 最低利用期間、更新のタイミング、解約を申し出る期限 | ||
| 解約後のデータ保持 | 契約終了後にデータが参照できる期間。記録の保存は事業所側の責任として残る | ||
| 制度改定時の対応 | 様式変更・報酬改定への対応が、基本の範囲に含まれるかどうか |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
業務の流れ8場面|システムで変わること・変わらないことの対照表
記録システムの検討が長引く事業所には、共通した状態があります。「導入したら何が楽になるのか」が、場面ごとに分解されていないことです。分解されていないと、期待が大きくなりすぎて導入後に落胆するか、逆に「どうせ大して変わらない」と判断が止まります。ここでは訪問看護の1か月を8つの場面に分け、それぞれについて「システムが引き受けられる部分」と「引き受けられない部分」を並べました。変わらないものも、はっきり変わらないと書いています。
訪問前・訪問中・訪問後(3場面)
| 場面 | 具体的な作業 | システム側が引き受けられること | 人の側に残ること | 貴事業所の現状(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 訪問前 | その日の訪問先と順番の確認 | 訪問予定を端末で表示する。担当者ごとに絞り込む | 当日の急な変更を判断し、誰がどこへ行くかを決めること | |
| 訪問前 | 前回の訪問内容の確認 | 直近の記録を利用者ごとに表示する | 前回からの変化のうち、何に注目して観察するかを決めること | |
| 訪問前 | 指示書の内容の確認 | 登録済みの指示内容を訪問前に表示する | 指示内容と当日の状態が合っているかを判断すること | |
| 訪問前 | 持ち物・処置材料の準備 | 前回使用した処置内容を記録から確認する | 物品を数え、車に積むこと | |
| 訪問前 | 初回訪問の情報整理 | 基本情報の入力欄を用意する。居宅介護支援事業所からの情報を登録する | 本人・家族から聞き取ること | |
| 訪問中 | バイタルサインの記録 | 数値の入力欄を用意し、前回値と並べて表示する | 測定すること、数値の意味を読むこと | |
| 訪問中 | 観察した内容のメモ | 下書きとして途中まで保存する | 何を観察し、どう表現するかを決めること | |
| 訪問中 | 本人・家族への説明 | 説明した内容を記録する欄を用意する | 説明そのもの。理解の程度を確かめること | |
| 訪問中 | 処置の実施 | 実施した処置を選ぶ形にして入力の手数を減らす | 処置そのもの。実施中の判断 | |
| 訪問中 | 急変時の連絡 | 連絡先を画面に表示する。連絡した事実を記録する | 主治医への連絡と、その場での判断 | |
| 訪問後 | 訪問看護記録書Ⅱの仕上げ | 下書きを呼び出し、様式の欄に沿って整える | 観察の根拠を書くこと。定型句で済ませないこと | |
| 訪問後 | 音声で話した内容の文章化 | 話した内容を文章の形にする | 出てきた文章が事実と合っているかを確認し、必要な修正を行うこと | |
| 訪問後 | 他の職員への申し送り | 記録を共有し、誰が読んだかを残す | 口頭で補足すべきことを判断すること | |
| 訪問後 | 実績の登録 | 訪問した事実と時刻を記録に残す | 予定と違った点の理由を書くこと | |
| 訪問後 | 次回訪問の調整 | 予定表に反映する | 本人・家族・主治医との調整 | |
| 訪問後 | 保険外で行ったことの区分 | 保険給付の記録と分けて登録する欄を用意する | どこまでが保険給付の範囲かを判断すること | |
| 訪問後 | 写真・画像の保存 | 記録に紐づけて保存する | 撮影の同意を得ること | |
| 訪問後 | 記録の点検 | 未入力・未提出の記録を一覧にする | 内容が具体的かどうかを読んで判断すること |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
月末・請求・指示書の更新・カンファレンス・運営指導の準備(5場面)
月末以降の作業は、1か月分の記録がそろっていることを前提に組み立てられています。日々の記録が薄いと、この段階で書き足す作業が発生し、そこで書かれた内容は後から見たときに実態と離れやすくなります。宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1には、サービス提供の記録が残されていない、記録されたサービス内容と請求内容に齟齬がある、記録に提供した具体的なサービス内容や利用者の心身の状況等の記載がないという指導事例が示されています。月末に困るかどうかは、月初からの記録の書き方で決まります。
| 場面 | 具体的な作業 | システム側が引き受けられること | 人の側に残ること | 貴事業所の現状(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 月末 | 訪問看護報告書の作成 | 当月の訪問日・実施内容を集めて並べる | 療養状況をどう要約するかを決めること | |
| 月末 | 計画書の見直し | 前月の計画と当月の記録を並べて表示する | 目標の達成状況を評価し、次の計画を立てること | |
| 月末 | 居宅介護支援事業所への情報提供 | 提供する書類を出力する | いつ誰に何を渡したかを決め、伝えること | |
| 月末 | 訪問実績の集計 | 訪問回数・時間区分を利用者ごとに集計する | 集計結果と記録が一致しない箇所を調べること | |
| 請求 | 記録と請求内容の突合 | 記録がない日、記録と時間区分が異なる日を抽出する | 差異の理由を確認し、どちらを直すか判断すること | |
| 請求 | 介護保険と医療保険の切り分け | 利用者ごとの保険区分を登録し、記録に反映する | 月の途中で切り替わる場合の判断 | |
| 請求 | 公費・自費の整理 | 公費情報を登録し、自費分を区分して記録する | 券面の内容を確認すること | |
| 請求 | 加算に関する記録の確認 | 加算を算定した月の記録を一覧にする | 要件に対応する記録が残っているかを読んで確かめること | |
| 指示書の更新 | 期限が近い利用者の把握 | 有効期間を登録し、期限が近い順に並べる | 主治医へ依頼し、受け取ること | |
| 指示書の更新 | 受領した指示書の保管 | 利用者ごとに紐づけて保存する | 指示内容が前回から変わった点を読み取ること | |
| 指示書の更新 | 指示内容と計画の整合 | 指示内容を計画書の作成画面から参照する | 整合していない箇所を直すこと | |
| カンファレンス | 開催の記録 | 日時・出席者・議題の欄を用意する | 誰を呼ぶか決め、進行すること | |
| カンファレンス | 検討内容の記録 | その場で入力し、共有する | 専門的な見地からの意見を述べること | |
| カンファレンス | 決まったことの反映 | 計画書の該当欄へ引き継ぐ | 反映すべき内容を選ぶこと | |
| ステーション会議 | 議事の記録 | 会議録の様式を用意し、保存する | 議論すること | |
| 運営指導の準備 | 提出書類の収集 | 利用者ごとに記録・計画書・報告書を一括で出力する | どの利用者を提示するかを決めること | |
| 運営指導の準備 | 記録の内容の点検 | 記載がない欄、定型句だけの記録を抽出する | 内容が具体的かを読んで判断し、以後の書き方を職員に伝えること | |
| 運営指導の準備 | 規程・マニュアル類の確認 | 保管場所を一元化する | 実態と記載が合っているかを確かめること | |
| 運営指導の準備 | 同意・交付の記録の確認 | 同意日・交付日の欄を設ける | 同意を得る場面そのもの | |
| 運営指導の準備 | 指摘を受けた後の改善 | 改善後の様式を全職員に一斉に反映する | 改善策を考え、続けること |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
システムを入れても変わらないもの(10項目)
検討段階でいちばん誤解が生じやすいのがここです。以下は、どの製品を選んでも事業所の側に残り続けるものです。ここに期待をかけていると、導入後に「思っていたものと違った」という評価になります。逆にここを最初から切り分けておけば、システムに求めることが具体的になります。
| 変わらないもの | なぜ変わらないのか | ではシステムに何を求めるか |
|---|---|---|
| 観察して、判断すること | 記録は判断の結果を残す道具であって、判断そのものではない | 判断した根拠を書き残しやすい欄の構造 |
| 記録の中身が具体的かどうか | 松山市の資料では、サービス提供の記録に「特変なし」等しか書かれていない例が示されている。入力欄があることと、中身が書かれることは別 | 定型句だけの記録を後から抽出できること |
| 主治医から指示書を受け取ること | 外部の医療機関との関係で決まる。依頼と受領は人の側の作業 | 期限が近い利用者を漏れなく拾えること |
| 本人・家族への説明と同意 | 説明する場面そのものは代替できない | 同意した日・交付した日が確実に残る欄 |
| 居宅介護支援事業所との連携 | 相手のある作業。相手方の運用にも左右される | 渡した書類と渡した日付が残ること |
| 加算に関する要件の確認 | 要件は告示等の定めによる。確認は事業所の責任で行う | 要件に対応する記録の有無を一覧で見られること |
| 記録を保存する義務 | 保存の義務は事業者に課されている。保存先がどこであっても義務は残る | 契約終了時にも記録を手元に出せること |
| 職員に書き方を教えること | 入力欄を変えても、書く内容は教育で決まる | 良い記録を例として全職員に配れる仕組み |
| 運営規程・重要事項説明書の整備 | 福井市の資料では、運営規程・重要事項説明書の内容が実態と異なる事例が指摘されている。記録システムとは別の領域 | 該当書類の保管場所が分かること |
| 事故・苦情への対応 | 対応そのものは人が行う | 状況・処置・再発防止の検討を記録する欄 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
導入でつまずく場面7つ|起きていること・確認すること・見る記録
導入がうまくいかなかった事業所の話を聞くと、原因は製品の善し悪しよりも「どこで止まったか」がはっきりしないまま時間が過ぎたことにあります。止まる場所には型があります。以下の7つは、訪問看護ステーションでよく聞く止まり方です。それぞれについて、その時に何を確認すればよいかと、判断の材料になる記録を並べました。
7つの止まり方と、その時に確認すること
| 止まり方 | 実際に起きていること | まず確認すること | 判断の材料になる記録 | 貴事業所の該当(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 現場が入力しない | 訪問先では紙にメモし、事業所に戻ってから入力している。結果として入力が翌日以降になる | 入力していない職員が「いつ」入力しているかを1週間分だけ調べる。入力しない理由は職員ごとに違うため、まとめて聞かない | 記録の作成日時と訪問日の差、未入力の記録の一覧 | |
| 二重入力が残る | 記録はシステム、請求は別のソフト、予定はホワイトボードというように、同じ情報を複数箇所に書いている | 同じ情報を2回以上書いている箇所を全部書き出す。減らせるものと減らせないものを分ける | 1件の訪問について、情報が書かれる場所の一覧 | |
| 紙が併存する | 一部の利用者・一部の様式だけ紙のまま残り、探すときに両方を見ることになる | 紙のまま残っている様式を列挙し、残っている理由を様式ごとに書く | 紙のファイルの目次、様式ごとの保管場所 | |
| 様式が合わない | これまで使っていた様式と画面の欄が違い、書きたいことが書けない・使わない欄が多い | これまでの様式で実際に使っていた欄と、使っていなかった欄を分ける。使っていた欄が画面のどこに対応するかを対照させる | これまでの様式の実物、直近3か月分の記録 | |
| 通信が不安定 | 特定の利用者宅・特定の時間帯で入力が進まない。職員の中で「使えない」という評価が固定する | 止まる場所と時間帯を地図と時刻で特定する。全域の問題か、特定箇所の問題かを分ける | 訪問先ごとの入力完了時刻、職員からの申告記録 | |
| 管理者しか使えない | 設定・出力・点検のすべてが管理者に集中し、管理者の不在時に業務が止まる | 管理者だけが行っている操作を書き出し、他の職員に渡せるものを選ぶ | 操作の権限設定、管理者の業務一覧 | |
| 教育が続かない | 導入時の説明会以降、新しく入った職員には誰も教えていない | 直近に入職した職員が、誰から何分教わったかを確認する | 入職時のオリエンテーション記録、研修の実施記録 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
「現場が入力しない」を8つに分解する
「現場が入力しない」は、原因がひとつではありません。ここをまとめて扱うと、対策が「もっと入力してください」という声かけだけになり、変わりません。以下のように分けると、それぞれ別の手当てになります。
| 実際の理由 | どう見分けるか | 手当ての方向 |
|---|---|---|
| 入力する時間が業務時間の中に無い | 訪問と訪問の間が5〜10分しかない日が続いていないかを予定表で見る | 訪問の組み方を先に直す。記録の時間を予定に入れる |
| 利用者・家族の前で端末を触りにくい | 入力の時刻が、訪問終了時刻より後にまとまっているかを見る | 車内で仕上げる前提の運用に切り替え、下書き機能の使い方を統一する |
| 入力の手数が多い | 1件あたりの操作回数を、実際に管理者が自分でやってみて数える | よく使う項目を初期表示にできるか提供元に相談する |
| 何を書けばよいか分からない | 記録が定型句に寄っている職員がいるかを読んで確かめる | 良い記録の実例を配る。書き方の基準を文章にする |
| 端末の操作に慣れていない | 特定の職員だけ入力が遅れているかを見る | 個別に横について1回一緒に入力する |
| 紙のほうが速いと感じている | 紙のメモが残っているか、メモの内容が記録より詳しいかを見る | 紙のメモの何が速いのかを聞き取り、その部分だけ画面側に合わせる |
| 入力しても誰も読まないと感じている | 記録に対する返信・確認の運用があるかを見る | 管理者が読んだことが分かる形にする |
| 端末や通信の不調が続いた | 不調の申告が特定の時期に集中していないかを見る | 不調の記録を残し、提供元に事象として伝える |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
二重入力が残りやすい8箇所(棚卸し表)
| 同じ情報を書く場所 | 元になる情報 | 減らせる可能性 | 貴事業所の現状(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 訪問予定表と実績表 | 訪問した日・時刻・担当者 | 実績を予定から起こせるかどうかを提供元に確認する | |
| 訪問看護記録書Ⅱと報告書 | 当月の訪問内容と療養状況 | 記録から報告書へ引ける欄があるかを確認する | |
| 記録と請求データ | 訪問日・時間区分・加算の有無 | 引き継がれる項目の一覧を提供元から受け取る | |
| 指示書の内容と計画書 | 主治医の指示内容 | 参照できるかを確認する。転記なら誤記の確認手順を決める | |
| 利用者基本情報と請求先情報 | 被保険者番号・保険区分・公費 | 1か所の登録で足りるかを確認する | |
| 紙のメモと画面の記録 | 訪問中に見たこと | 下書きの運用でメモを不要にできるか試す | |
| 申し送りノートと記録 | 次の訪問者に伝えたいこと | 記録の中に申し送り欄を設けられるかを確認する | |
| 勤務実績と訪問実績 | 職員の稼働時間 | 別管理が必要な範囲を確認し、線を引く |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
移行前の棚卸し|引き継ぐ項目と電磁的記録の取り扱い
移行の失敗は、たいてい「移すもの」を決める前に日程を決めたことから始まります。訪問看護の記録は利用者ごとに束になっており、その束の中には、システムに載るもの(日々の記録・計画書・報告書)と、載せにくいもの(受け取った紙の指示書、家族から預かった書類の写し、同意書の署名)が混ざっています。移行日を決める前に、束をほどいて、どれをどこへ置くかを1行ずつ決めてください。
移行時に棚卸しする14領域(記入欄つき)
| 棚卸しする領域 | 確認すること | 新しい置き場所(記入欄) | 移行の担当(記入欄) | 完了日(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 利用者の基本情報 | 氏名・被保険者番号・保険区分・主治医・緊急連絡先が最新か。終了した利用者を含めるか | |||
| 訪問看護記録書Ⅰ | 初回の基本情報がどこにあるか。紙のみの利用者がいないか | |||
| 訪問看護記録書Ⅱ(過去分) | どこまで遡って移すか。移さない分をどこに保管するか | |||
| 訪問看護計画書 | 現に有効な計画がすべてそろっているか。同意日・交付日が分かるか | |||
| 訪問看護報告書 | 直近月分の控えがあるか。渡した先と日付が分かるか | |||
| 訪問看護指示書・特別訪問看護指示書 | 有効期間が一覧になっているか。期限切れの有無を確認できるか | |||
| 居宅サービス計画(受領分) | 最新版が利用者ごとにそろっているか | |||
| 契約書・重要事項説明書・同意書 | 署名済みの現物の所在。個人情報使用同意が本人分と家族分で分かれているか | |||
| 加算に関する説明・同意の記録 | 加算ごとに個別の説明・同意の記録があるか。堺市の資料には、契約時の重要事項説明の中で包括的に同意を得るのではなく個別に十分な説明を行い同意を得ることが示されている | |||
| 事故・ヒヤリハットの記録 | 状況・処置・再発防止の検討まで残っているか | |||
| 苦情の受付簿・対応記録 | 受付から対応までが1件ずつ追えるか | |||
| 研修・会議・訓練の記録 | 実施日・参加者・内容が分かるか。同日に複数の研修を行った場合に内容を区別しているか | |||
| 勤務体制・勤務実績 | 常勤・非常勤の別と実績が整合しているか | |||
| 運営規程・各種マニュアル | 記録の保存に関する記載が、指定を受けた保険者の条例と整合しているか |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
記録の保存と電磁的な取り扱い(10項目・記入欄つき)
ここで保存の年数を書かないのには理由があります。指定基準は都道府県・市町村の条例で定められており、記録の保存に関する年数と起算日の取扱いは保険者(指定権者)によって異なります。金沢市「令和7年度 介護サービス事業者集団指導 資料1」の記録の整備に関する項では、サービス提供に関する記録等の保存年限は市条例に則ることと、運営規程等に保存年限を記載している場合は誤りがないか確認することが示されています。福井市「令和7年度 介護保険制度等に係る集団指導」でも、運営規程・重要事項説明書と実態の差異が多い事項の一つとして記録の保存期間の起算日と年数の記載が挙げられています。東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護)では、指示書・計画書・報告書・提供記録・市町村への通知記録・苦情記録・事故記録の整備と保存が不十分な例が示され、電子化する場合も検索・出力できる状態を保つことが対応として挙げられています。
つまり、記事に書かれた年数を写すこと自体が、運営規程を実態と食い違わせる原因になり得ます。下の表は左に「決めておく事項」だけを置き、右を貴事業所の記入欄にしています。埋める前に、指定を受けた保険者の条例と集団指導資料をご確認ください。
| 決めておく事項 | なぜ決めておくのか | 貴事業所の定め(記入欄) | 根拠にした資料(記入欄) | 責任者(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 保存する記録の種類 | 指示書・計画書・報告書・提供記録・通知記録・苦情記録・事故記録など、種類ごとに扱いが変わる | |||
| 保存の年数 | 保険者の条例により異なる。記事や他事業所の運用を写さない | |||
| 数え始める日(起算日) | 完結の日・サービス提供の日・契約終了の日など、起算日の取扱いも保険者により異なる | |||
| 運営規程への記載 | 規程の記載と実際の運用が食い違っていないか | |||
| 電磁的に保存する範囲 | どの記録を画面上のデータとして保存し、どれを紙で残すか | |||
| 見読性の確保 | 求められたときに、その場で表示・出力できる状態か。契約終了後も出せるか | |||
| 改ざん防止の考え方 | 作成者・更新者・更新日時が残るか。修正した場合に元の内容が分かるか | |||
| 同意の取得方法 | 署名を紙で受けるか、画面上で受けるか。個人情報使用同意は本人分と家族分を区別しているか | |||
| アクセスできる範囲 | 誰がどの記録を見られるか。退職者の権限をいつ止めるか | |||
| 秘密保持の取り決め | 退職後を含めた誓約を取っているか。派遣職員・委託先を含めているか |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
運営指導で記録について確認される点|別添1の確認項目と自治体の公表指摘14件
ここまで機能の話をしてきましたが、運営指導で見られるのは、システムの機能ではなく記録の中身です。厚生労働省の運営指導マニュアル別添1「103 訪問看護」には、確認項目と確認文書が対で示されています。この表の「確認文書」の欄に並んでいるのは、重要事項説明書・利用契約書・サービス担当者会議の記録・居宅サービス計画・サービス提供記録・訪問看護計画・アセスメントシート・モニタリングシート・訪問看護報告書といった書類の名前であって、どの製品を使っているかではありません。
言い換えると、システムの導入は、記録の中身を良くする作業を代わりに行うものではなく、良い記録を書きやすくし、書けていない箇所を見つけやすくするための道具です。この線引きを持ったまま選定に入ると、確認すべき機能がかなり絞られます。「未記入の欄を抽出できるか」「定型句だけの記録を見つけられるか」「同意日・交付日が確実に残るか」「利用者ごとに一括で出力できるか」の4つは、そのまま運営指導の準備に直結します。
別添1(訪問看護)の確認項目と確認文書|システムに載るもの・載らないもの
| 確認項目(別添1・103 訪問看護) | 示されている確認内容の要旨 | 示されている確認文書 | 記録システムに載せられる部分 | 貴事業所の状況(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 内容及び手続の説明及び同意 | 利用申込者又はその家族への説明と同意の手続きを取っているか。重要事項説明書の内容に不備等はないか | 重要事項説明書(同意があったことがわかるもの)、利用契約書 | 同意日の記録、書類の保管場所の一元化 | |
| 心身の状況等の把握 | サービス担当者会議等に参加し、利用者の心身の状況把握に努めているか | サービス担当者会議の記録 | 会議の日時・出席者・内容の記録欄 | |
| 居宅介護支援事業者等との連携 | サービス担当者会議等を通じて介護支援専門員や他サービスと連携しているか | サービス担当者会議の記録 | やり取りの記録、書類の授受の記録 | |
| 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供 | 居宅サービス計画に沿ったサービスが提供されているか | 居宅サービス計画 | 受領した居宅サービス計画の保管と参照 | |
| サービス提供の記録 | 訪問看護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか。日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか | サービス提供記録 | 日々の記録の入力欄、未入力の抽出 | |
| 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成 | 居宅サービス計画に基づいて計画が立てられているか。主治の医師の指示及び利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえているか。具体的内容・時間・日程等が明らかか。説明・同意・交付は行われているか。目標の達成状況は記録されているか | 主治の医師の指示及び居宅サービス計画に基づく訪問看護計画(同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、モニタリングシート、訪問看護報告書 | 計画書・報告書の様式、同意日・交付日の欄、達成状況の記録欄 | |
| 受給資格等の確認 | 被保険者資格、要介護認定の有無、要介護認定の有効期限を確認しているか | 介護保険番号、有効期限等を確認している記録等 | 認定有効期間の登録と期限の抽出 | |
| 利用料等の受領 | 利用者からの費用徴収は適切に行われているか。領収書を発行しているか | 請求書、領収書 | 請求・領収の記録の保管 | |
| 緊急時等の対応 | 緊急時対応マニュアル等が整備されているか。緊急事態が発生した場合、速やかに主治の医師に連絡しているか | 緊急時対応マニュアル、サービス提供記録 | 連絡した事実と時刻の記録 | |
| 勤務体制の確保等 | サービス提供は事業所の従業者によって行われているか。資質向上のために研修の機会を確保しているか | 雇用の形態がわかる文書、研修計画・実施記録 | 研修の実施記録の保管 | |
| 秘密保持等 | 個人情報の利用に当たり、利用者及び家族から同意を得ているか。退職者を含む従業者が秘密を保持することを誓約しているか | 個人情報同意書、従業者の秘密保持誓約書 | 同意書の保管、権限の設定と停止 | |
| 苦情処理 | 苦情受付の窓口があるか。受付、内容等を記録、保管しているか | 苦情の受付簿、苦情者への対応記録、苦情対応マニュアル | 受付から対応までの記録欄 | |
| 事故発生時の対応 | 対応方法は定まっているか。市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか。事故状況、対応経過が記録されているか。再発防止のための取組を行っているか | 事故対応マニュアル、報告記録、再発防止策の検討の記録、ヒヤリハットの記録 | 状況・処置・報告先・再発防止の記録欄 | |
| 虐待の防止 | 委員会を定期的に開催し従業者に周知しているか。指針を整備しているか。研修を実施しているか。担当者を設置しているか | 委員会の開催記録、指針、研修計画・実施記録、担当者を設置したことが分かる文書 | 委員会・研修の実施記録の保管 | |
| 業務継続計画の策定等 | 感染症、非常災害発生時の計画の策定及び必要な措置を講じているか。周知、研修及び訓練を実施しているか。計画の見直しを行っているか | 業務継続計画、研修及び訓練計画・実施記録 | 計画・訓練記録の保管、システム停止時の代替手順の明記 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
自治体が公表している記録関係の指摘14件|システム選定への読み替え
以下は、各自治体が公表している集団指導資料・運営指導結果から、記録に関する指摘だけを抜き出したものです。右端の列に、その指摘をシステムを選ぶときの確認事項に読み替えたものを置きました。指摘の内容そのものよりも、「この指摘を防ぐには、どの機能が要るか」という読み方をしてください。
| 公表されている指摘の要旨 | 公表元 | 指摘を防ぐために確認すること | 関係する記録 |
|---|---|---|---|
| 訪問看護計画の作成等の不備が最多。居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない、計画に対する利用者の同意を得たことが確認できない、具体的なサービス内容を記載していない | 長野県健康福祉部地域福祉課福祉監査担当「令和6年度運営指導結果の概要(訪問看護)」 | 計画書の作成画面から居宅サービス計画を参照できるか。同意日・交付日の欄が様式に含まれているか | 訪問看護計画書、居宅サービス計画、説明・同意・交付の記録 |
| 訪問看護指示書が確認できない・受領が遅い、指示書の有効期限が切れている、計画書に具体的なサービスの内容・利用者の希望・主治医の指示・看護目標等を記載していない、計画書に利用者の同意署名がない | 神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月) | 指示書の有効期間を一覧で管理し、期限が近い利用者を抽出できるか。計画書の様式に必要な欄がそろっているか | 訪問看護指示書、特別訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書 |
| サービス提供開始後に指示書の交付を受けていた、文書による指示なく訪問していた、訪問内容が指示書と相違している | 東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) | 指示の受領日を登録できるか。指示内容を記録の入力画面から参照できるか | 訪問看護指示書、訪問看護記録書 |
| 指示書・計画書・報告書・提供記録・市町村への通知記録・苦情記録・事故記録の整備と保存が不十分。電子化する場合も検索・出力できる状態を保つこととされている | 東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) | 利用者ごとに書類一式を検索・出力できるか。契約終了後にも出力できるか | 訪問看護記録書Ⅰ・Ⅱ、計画書、報告書ほか |
| 訪問看護計画書を作成せずにサービスを提供している、計画書が居宅サービス計画の内容と相違している、内容が不十分 | 東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) | 計画書が未作成の利用者を抽出できるか | 訪問看護計画書、居宅サービス計画書(第1〜3表) |
| サービス提供記録が「特変なし」等のみで、利用者の心身の状況が記録されていない | 松山市介護保険課「運営指導での主な指摘事項及び周知事項について」(令和5年度第2回介護保険サービス事業者連絡会資料) | 定型句だけの記録を後から抽出できるか。心身の状況を書く欄が独立しているか | サービス提供記録、業務日誌、個別サービス計画、モニタリング記録 |
| サービス提供の記録の開始・終了時間に、介護サービス計画に位置付けられた標準的な時間が記載されていた。実際の時間を記載するよう改善指示 | 横浜市健康福祉局介護事業指導課「令和7年度 横浜市介護サービス事業者等集団指導講習会資料(各サービス共通編)」 | 開始・終了時刻に計画上の時間が初期値として入る仕様かどうか。実測値を残せるか | サービス提供記録、個別サービス計画書、給付費請求明細 |
| サービス提供時間を、居宅サービス計画に記載された時間のまま記録していた。保険給付対象サービスとそれ以外は内容・所要時間の区分を明確に記録することとされている | 和歌山市 令和3年度 介護保険サービス事業者集団指導資料【Ⅰ共通資料(その1)】 | 保険外のサービスを区分して記録できるか | サービス提供記録、業務日誌、実績記録票、保険外サービスの記録 |
| サービス提供の記録がない、記録されたサービス内容と請求内容に齟齬がある、記録に具体的なサービス内容や利用者の心身の状況等の記載がない | 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1 | 記録がない日を請求前に抽出できるか。記録と請求の突合を行う画面があるか | サービス提供記録・実施記録、介護給付費請求明細書、サービス提供票 |
| サービス提供の記録に作成漏れや記入誤りがある。記録は介護給付費の請求の根拠となるため正しく作成すること | 広島市「令和7年度運営指導の指摘事項等について」(令和7年度広島市介護サービス事業者集団指導) | 未提出・未入力の記録を一覧で確認できるか | サービス提供記録、実績記録票、請求明細書・給付管理票、勤務表 |
| 予定していたサービス内容を一切実施しなかったにもかかわらず基本報酬を算定していた。実施状況を踏まえて適切な報酬の算定を行うこととされている | 仙台市介護事業支援課 令和6年6月集団指導「令和6年度運営指導方針・令和5年度運営指導結果等(居宅サービス指導係所管サービス)」 | 中止・未実施の日を記録に残し、請求データと突合できるか | 訪問看護記録書、訪問予定表、請求明細、主治医の指示書 |
| 理学療法士等による訪問看護について、看護職員の代わりに訪問させるものであること等を口頭で説明しているが、同意を得たことを確認できる記録がない | 静岡市「介護サービス事業者の指導監督((3)運営指導における主な指摘・助言事項等一覧)」(令和8年度集団指導資料) | 説明・同意の記録欄を利用者ごとに設けられるか | 訪問看護計画書、訪問看護記録書、説明・同意の記録、居宅サービス計画書 |
| ターミナルケアに係る計画及び支援体制について説明し同意を得ていることの確認ができない。終末期の身体症状の変化と看護、療養や死別に関する精神的な状態の変化とケアの経過等を訪問看護記録書に記録することとされているが、当該記録の確認ができない | 千葉市「令和7年度の運営指導における主な指導事項について」(令和7年度千葉市介護保険事業者説明会(集団指導)) | 経時的な変化を追える記録の形になっているか。特定の利用者の記録をまとめて読み返せるか | ターミナルケアに係る計画書、説明・同意の記録、訪問看護記録書、主治医との連携記録 |
| 加算については契約時の重要事項説明書を説明する中で包括的に同意を得るのではなく、利用者又はその家族に対して個別に十分な説明を行い同意を得ること | 堺市「令和8年度 集団指導 居宅事業所編」 | 加算ごとに個別の説明・同意の記録を残せるか | 加算に係る個別説明・同意書、訪問看護記録書、医師の指示書 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
記録システムの検討を、記録の中身の話に戻す
ここまでの表を通して見ると、自治体が公表している指摘の多くは「記録が無い」「記録が具体的でない」「記録どうしが一致していない」「同意を得た記録が無い」のいずれかに整理できます。この4つは、いずれもどの製品を使っていても起こり得るものです。逆に言えば、記録システムに求めるべきことも、この4つから逆算できます。
- 記録が無い状態を早く見つけられること——未入力・未提出を、月末ではなく当日〜翌日に見つけられるか
- 記録が具体的でない状態を見つけられること——定型句だけの記録を抽出し、管理者が読み返せるか
- 記録どうしの不一致を見つけられること——指示書・計画書・記録・請求の間の食い違いが画面上で見えるか
- 同意と交付の事実が確実に残ること——同意日・交付日の欄が様式に組み込まれ、空欄のまま進めない形になっているか
この4点を、前掲の「提供元への確認文」の形にして、検討している各社へ同じ文面で送ってください。同じ質問を同じ文面で送ると、返ってくる答えの粒度の違いがそのまま比較材料になります。返答の内容は、時期によって変わることがありますので、契約前に改めて提供元にご確認ください。
最後に、加算や体制に関する届出まわりについて一点だけ補足します。なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。本記事は、公表されている資料をもとに確認の観点を整理したものであり、個別の事業所についての判断を示すものではありません。加算の要件や算定の可否、届出の要否については、告示等の定めと貴事業所の体制を突き合わせたうえで、指定を受けた保険者(指定権者)にご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 訪問看護のシステムは種類が多くてどう選べばいいか迷います。
A. まずは「記録が中心か」「請求まで一体で行いたいか」など、自事業所がどこまでの機能を求めているかを整理すると選びやすくなります。上記の「記録・請求システムの主な種類」もあわせてご確認ください。
Q. 人気やランキングで選んでも大丈夫ですか?
A. 人気やランキングは一つの目安にはなりますが、使う帳票や運用は事業所ごとに異なります。無料トライアルなどで実際の操作感を確かめたうえで、自事業所の運用に合うかどうかで判断されることをおすすめします。
Q. 訪問看護の記録システムはクラウド型がいいですか?
A. 外出先や在宅から記録を確認・入力でき、スタッフ間でリアルタイムに共有できるため、訪問が中心の事業所ではクラウド型が便利です。
Q. スマホだけで記録できますか?
A. スマホ対応のシステムなら、訪問先での記録から報告書の作成までスマホで完結できます。音声入力やAI補助があると、移動の合間でも記録を進められます。
Q. 無料で使える記録システムはありますか?
A. 無料プランや無料トライアルを用意したサービスがあります。無料の範囲(利用者数・機能制限)と有料に切り替わる条件を確認しましょう。詳しくは訪問看護アプリの選び方もご覧ください。
Q. 記録システムとソフトの違いは?
A. 明確な線引きはありませんが、「記録システム」は記録・情報共有が中心、「ソフト」は記録から国保連請求まで含む広い意味で使われることが多いです。訪問看護ソフトの選び方も参考にしてください。
Q. クラウドの記録システムはセキュリティが不安です。
A. 主要なクラウドサービスは通信の暗号化やアクセス権限管理、自動バックアップを備えています。紙のように紛失・持ち出しで情報が漏れるリスクをむしろ下げられます。事業所ごとの権限設定ができるかを確認しましょう。
Q. カイポケを使っていても記録システムを併用できますか?
A. できます。請求・運用はカイポケのまま、いちばん時間のかかる「記録書Ⅱ・報告書を作って入力する」工程だけを音声・AIに任せる形で併用できます。詳しくは訪問看護記録書Ⅱを音声入力で作る方法もご覧ください。
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場面別|訪問看護の記録で、システムに載せる項目
「システムに載せられること」と「人が判断すること」を分けると、導入後の姿が具体的になります。
| 場面 | システムに載せる項目 | 手作業として残ること |
|---|---|---|
| 訪問前 | 前回の記録の要約、指示書の期限、計画の目標 | 今日どこを見るかの判断 |
| バイタル | 体温・脈拍・血圧・呼吸・経皮的動脈血酸素飽和度の入力と推移のグラフ | 数値の意味づけ |
| 記録書Ⅱ | SOAPの様式、音声からの下書き | 評価と計画 |
| 医療処置 | 処置の内容、使用した材料 | 手技の判断 |
| 褥瘡 | 部位・大きさ・深さ・滲出液の記録と写真 | 評価と処置方針 |
| 服薬 | 処方の一覧、残薬の記録 | 飲み忘れへの対応 |
| 計画書 | 前回の計画からの引き継ぎ | 看護の目標 |
| 報告書 | 1か月の記録からの下書き | 主治医に何を伝えるか |
| 指示書の管理 | 有効期間の一覧と期限の通知 | 依頼の時期の判断 |
| 訪問予定 | スケジュールと担当者の割り当て | 急な変更の調整 |
| 実績 | 訪問の実績と請求への連携 | 算定要件の最終確認 |
| 加算の点検 | 算定した加算と記録の突合の表示 | 算定の可否 |
| カンファレンス | 録音からの要点の抽出 | 結論 |
| 関係機関への連絡 | 連絡の履歴 | 伝え方の判断 |
| オンコール | 出動の記録と、担当ごとの回数 | 振り分けの判断 |
| 統計 | 訪問件数、利用者数、加算の算定率 | 数値の読み取り |
選ぶときに確認すること
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| 記録書Ⅰ・Ⅱ・計画書・報告書の様式があるか | 訪問看護に固有の様式は、汎用のソフトにないことがある |
| 医療保険と介護保険の両方に対応しているか | 切り替えが月の途中で起きる |
| 特別訪問看護指示期間を管理できるか | 14日間の起算を間違えやすい |
| 指示書の期限を通知できるか | 切れたまま訪問することを防ぐ |
| 圏外でも入力できるか | 訪問先で電波が入らないことがある |
| 音声から下書きが作れるか | 訪問先での入力時間を減らせる |
| 写真を記録に添付できるか | 褥瘡の経過に使う |
| 請求へ連携できるか | 転記の回数が減る |
| 複数のステーションで使えるか | 事業所が増えたときに困らない |
| データを取り出せるか | 解約時に持ち出せるか |
| 改定への対応 | 様式・単位数の更新が含まれるか |
| サポートの窓口 | 設定変更や改定時に頼れるか |
導入の前後で測ること
| 測るもの | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 記録の作成時間 | 1件あたりの分数 | 短くなったか |
| 記録を書く場所 | 訪問先か事務所か | 変わったか |
| 計画書・報告書の作成時間 | 1人あたりの月合計 | 短くなったか |
| 転記の回数 | 記録から請求までに何回 | 減ったか |
| 残業時間 | 記録に起因するもの | 減ったか |
| 指示書の期限切れ | 年間の件数 | ゼロになったか |
| 返戻の件数 | 月あたり | 減ったか |
| オンコール後の記録時間 | 1回あたり | 短くなったか |
本ページは令和8年6月改定時点の制度に沿って整理しています。様式・要件・単位数は改定により変わります。最新の内容は、厚生労働省の告示・通知および所管の保険者(自治体)の案内でご確認ください。
既存ソフトとの連携はカイポケコネクトとの連携で、流れる項目と残る手作業を整理しています。
報告書の記載そのものは介護の報告書の書き方で確認できます。
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この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
監修:嶺井 美幸(看護師・訪問看護ステーション「訪問看護ようき」代表・株式会社ライフシフトCSO)






