介護保険の事業所には「苦情処理」と「秘密保持等」という、名前だけ見ると無関係に見える2つの決まりがあります。ところが、厚生労働省が示す運営指導の標準確認項目・標準確認文書(別添1)を全38サービス分読むと、この2つは同じ「運営」の欄に、ほとんど隣り合わせで置かれています。訪問介護なら秘密保持等が第33条、広告を1つはさんで苦情処理が第36条。居宅介護支援なら第23条と第26条。同じ距離、同じ並びが38種別すべてで繰り返されます。
並んでいるのは偶然ではありません。どちらも「利用者・家族からの申出と、それに対して事業所がどう動いたかを残す記録」だからです。苦情は「言われたこと」から始まり、個人情報の同意は「使ってよいと言ってもらったこと」から始まる。どちらも起点が利用者・家族の意思表示にあり、どちらも事業所側の動きを書き残さないと記録として成立しません。運営指導で並んで見られるのは、確認する側から見れば同じ形の記録だからです。
この記事が扱うのは、受付から解決までの一連の記録と、掲示・体制・公表の運用です。苦情対応報告書という1枚の様式の欄をどう埋めるかは別の記事にゆずり、ここでは「最初の電話から、事実を確かめて、回答して、その後どうなったかを確認するまで」を通しで書ける状態を作ります。サービス種別で何が変わるかは、記事の中の比較表で示します。
なお、記録の保存年数・報告先・報告の期限は、保険者(指定権者)の条例や運用により異なります。個人情報の取り扱いについても、この記事では法令の解釈を示すことはせず、別添1と各自治体の公表資料で確認できた記載だけを「基準の定め」として置き、自事業所の欄は記入欄にしています。誓約書や同意書の条文案も作りません。書式そのものの作成については、必要に応じて専門家にご相談ください。
苦情処理と秘密保持等が並んで見られる理由——別添1での位置と、2つの記録に共通する形
まず、別添1で2つの確認項目がどう書かれているかを1枚にします。確認項目(何を見るか)と確認文書(何で確かめるか)が、そのまま「揃えておくべき記録の一覧」になっています。
| 別添1の確認項目 | 確認項目として書かれている内容 | 確認文書として挙がっているもの | 記録としての性格 |
|---|---|---|---|
| 秘密保持等 | 個人情報の利用に当たり、利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意を得ているか | 個人情報同意書 | 使ってよいと言ってもらったことの記録。開始時に取り、内容が変わったら取り直す |
| 秘密保持等 | 退職者を含む、従業者が利用者の秘密を保持することを誓約しているか | 従業者の秘密保持誓約書 | 従業者ごとに1枚ずつ積み上がる記録。入職時と退職時の2回が節目になる |
| 苦情処理 | 苦情受付の窓口があるか | 苦情の受付簿 | 体制があることの記録。掲示・重要事項説明書・運営規程の3か所に同じ窓口が書かれている状態を保つ |
| 苦情処理 | 苦情の受付、内容等を記録、保管しているか | 苦情者への対応記録 | 1件ごとに時系列で伸びる記録。受付から回答、その後の確認までが1本につながる |
| 苦情処理 | 苦情の内容を踏まえたサービスの質の向上の取組を行っているか | 苦情対応マニュアル | 個別の1件を、事業所の運用の変更につなげたことの記録 |
| 2つに共通する形 | 申出(言われたこと・同意したこと)→ 事業所の動き → 相手への回答 → その後の確認 | 受付簿・対応記録・同意書・誓約書 | どちらも「相手の意思表示」を起点に、事業所側の動きを時系列で書き足していく記録 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
この表を見ると、苦情処理の確認文書が3つとも「体制」「個別記録」「取組」に分かれていることが分かります。受付簿だけでは足りず、対応記録だけでも足りない。3つが揃って1組です。秘密保持等も同じで、同意書(利用者側)と誓約書(従業者側)の両方が挙がっています。片方だけ整えると、もう片方が空きます。
実際、公表されている指摘もこの構造どおりに分かれています。神戸市の資料では、事故・ヒヤリハット・苦情の記録は分けて保存・整備するよう求められており、苦情の記録を事故報告書やヒヤリ・ハット記録に混ぜて綴じている場合、苦情の記録としては読み取れない状態になります。東京都の資料では、苦情相談窓口を利用者に周知していないことと、守秘義務の取り決め・個人情報同意が不十分であることが、それぞれ別の指摘として挙がっています。
サービス種別38×確認項目の比較表——条番号・同意の相手・書かれ方が種別でどう変わるか
別添1を全38サービス分並べると、確認項目の文言はほぼ同じで、変わるのは3つだけでした。①根拠として書かれている条番号、②同意を得る相手の呼び方(利用者及び家族/入所(入居)者/入院患者)、③苦情処理の確認項目が3つに分かれているか1つにまとまっているか。逆に言えば、それ以外は38種別で同じなので、記録の様式は1つで足ります。
| サービス種別 | 秘密保持等(別添1に書かれた条) | 同意を得る相手として書かれている者 | 誓約の対象として書かれている者 | 苦情処理(別添1に書かれた条) | 苦情処理の確認項目の書かれ方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 訪問入浴介護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 訪問看護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 訪問リハビリテーション | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 居宅療養管理指導 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 通所介護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 通所リハビリテーション | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 短期入所生活介護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 短期入所療養介護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 特定施設入居者生活介護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 入所者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 福祉用具貸与 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 居宅介護支援 | 第23条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第26条 | 窓口と記録・保管が1つの確認項目にまとめて書かれている |
| 介護老人福祉施設 | 第30条 | 入所(入居)者から同意 | 入所(入居)者 | 第33条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護老人保健施設 | 第32条 | 入所(入居)者から同意 | 入所(入居)者 | 第34条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護療養型医療施設 | 第30条 | 入院患者から同意 | 入院患者 | 第32条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護医療院 | 第36条 | 入所(入居)者から同意 | 入所(入居)者 | 第38条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防訪問入浴介護 | 第53条の5 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第53条の8 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防訪問看護 | 第53条の5 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第53条の8 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防訪問リハビリテーション | 第53条の5 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第53条の8 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防居宅療養管理指導 | 第53条の5 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第53条の8 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防通所リハビリテーション | 第53条の5 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第53条の8 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防短期入所生活介護 | 第53条の5 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第53条の8 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防短期入所療養介護 | 第53条の5 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第53条の8 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防特定施設入居者生活介護 | 第53条の5 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 入所者 | 第53条の8 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防福祉用具貸与 | 第53条の5 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第53条の8 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防支援 | 第22条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第25条 | 窓口と記録・保管が1つの確認項目にまとめて書かれている |
| 定期巡回・臨時対応型訪問介護看護 | 第3条の33 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第3条の36 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 夜間対応型訪問介護 | 第3条の33 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第3条の36 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 認知症対応型通所介護 | 第3条の33 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第3条の36 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 小規模多機能型居宅介護 | 第3条の33 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第3条の36 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 認知症対応型共同生活介護 | 第3条の33 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第3条の36 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 地域密着型特定施設入居者生活介護 | 第3条の33 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 入所者 | 第3条の36 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護 | 第153条 | 入所(入居)者から同意 | 入所(入居)者 | 第3条の36 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 第3条の33 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第3条の36 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 地域密着型通所介護 | 第3条の33 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第3条の36 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防認知症対応型通所介護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防小規模多機能型居宅介護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
| 介護予防認知症対応型共同生活介護 | 第33条 | 利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意 | 利用者 | 第36条 | 窓口/記録・保管/質の向上の3つに分けて書かれている |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
この表から読み取れる、種別ごとの書き分け
38種別を通して見ると、書き分けが必要になるのは次の4点でした。様式を1つにしたうえで、この4点だけを差し替える運用にすると、事業所が複数種別を運営していても記録が分裂しません。
| 書き分けが必要な点 | どの種別で変わるか | 記録・様式でどう反映するか | 貴事業所の状況(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 同意を得る相手の呼び方 | 居宅・地域密着・予防の各サービスは「利用者及び家族」/介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護は「入所(入居)者」/介護療養型医療施設は「入院患者」 | 同意書の宛名と本文の呼称を種別に合わせる。施設系でも家族の情報を用いる場面(担当者会議・面会の記録等)があるかを確認する | ( ) |
| 誓約の対象として書かれている者 | 多くは「利用者」だが、特定施設入居者生活介護・介護予防特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護は「入所者」、施設系は「入所(入居)者」、介護療養型医療施設は「入院患者」 | 誓約書の対象範囲の記載を、種別の呼称に合わせて確認する | ( ) |
| 根拠として書かれている条番号 | 居宅サービスは秘密保持等が第33条・苦情処理が第36条、居宅介護支援は第23条・第26条、介護予防支援は第22条・第25条、地域密着型は第3条の33・第3条の36、予防サービスは第53条の5・第53条の8、施設系は種別ごとに異なる | 自主点検表や運営規程の根拠欄に、自種別の条番号を書く。複数種別を運営している場合は種別ごとに欄を分ける | ( ) |
| 苦情処理の確認項目の分かれ方 | 居宅介護支援・介護予防支援は「窓口があるか」と「受付・内容等を記録、保管しているか」が1つの項目にまとまっている。他の36種別は3つに分かれている | いずれの書かれ方でも、窓口・記録・質の向上の3つの証拠を用意する運用に揃える | ( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
地域密着型サービスには、これに加えて運営推進会議・介護/医療連携推進会議という外部の目が入る場があります。別添1では地域との連携等の項目として、会議で挙がった要望や助言が記録されているか、会議録が公表されているかが確認項目に置かれています。苦情として受けた内容を会議に報告している場合は、議事録側にも同じ件名が現れるようにしておくと、2つの記録の辻褄が合います。
苦情の受付から解決までの記録——16の欄を、そのまま貼れる完成文で埋める
別添1が挙げているのは「苦情の受付簿」と「苦情者への対応記録」の2つです。受付簿は一覧、対応記録は1件ごとの中身。2つを別々の綴りにすると必ずずれるので、受付簿の1行から対応記録の1枚に飛べる番号を振り、同じ番号で管理するのが最も崩れにくい形です。ここでは対応記録に置く16の欄を順に埋めていきます。
最も落ちやすいのは「申出の内容」の欄です。要約してしまうと、後から読んだ人には何が問題だったのかが分からなくなります。申出者の言葉のまま書く——これが苦情記録の作法です。以下の完成文でも、申出の内容だけは鉤括弧で申出者の発言を残しています。
| 欄 | この欄に書くこと | そのまま貼れる完成文(例) | 落ちやすい点 |
|---|---|---|---|
| 1 受付番号 | 年度と連番。受付簿の行と対応記録の1枚を結ぶ鍵 | 受付番号:R08-苦情-014(受付簿14行目に対応) | 番号を振らずに日付だけで管理し、同じ日に2件あると突き合わせられなくなる |
| 2 受付日時 | 年月日と時刻。時刻まで書く | 受付日時:令和8年6月12日(金)14時20分 | 「6月中旬」「先週」といった書き方で、後の対応の速さが読み取れなくなる |
| 3 受付方法 | 電話・来所・訪問時の口頭・書面・FAX・メール・第三者経由のいずれか | 受付方法:電話(事業所代表番号への入電) | 方法を書かず、後から「口頭で言ったのに記録がない」という食い違いが生じる |
| 4 受付者 | 受けた職員の職名と氏名。管理者以外が受けた場合も必ず実名で | 受付者:サービス提供責任者 ◯◯(管理者へは同日14時40分に報告) | 「職員」とだけ書き、誰が何を聞いたのか辿れない |
| 5 申出者 | 氏名と、利用者との関係。名乗りがない場合はその旨 | 申出者:◯◯様(利用者の長女・同居) | 「ご家族から」とだけ書き、同居か別居か、キーパーソンかどうかが分からない |
| 6 対象の利用者 | 氏名・被保険者番号・要介護度・利用中のサービス(記入欄) | 対象の利用者:◯◯様(被保険者番号 /要介護 /訪問介護 週3回・通所介護 週2回) | 申出者と利用者が同一かどうかが書かれておらず、本人の申出か家族の申出かが読めない |
| 7 申出の内容 | 申出者の言葉のまま。要約せず、言われた順に書く | 申出の内容(申出者の言葉のまま):「今日のヘルパーさんが、いつもの人と違った。変わるなら前もって言ってほしかった。母は人見知りなので、知らない人が来ると混乱する」 | 「ヘルパー交代の連絡について苦情あり」と要約し、何が不満だったのか(交代そのものか、連絡がなかったことか)が消える |
| 8 申出者の求め | 何をしてほしいと言われたか。相手が言っていない場合は「明示なし」と書く | 申出者の求め:「次からは、担当が変わるときは前日までに電話がほしい」 | 求めを書かないまま対応だけ書き、回答が求めに応えているかどうかが判定できない |
| 9 一次対応 | 受けたその場で何を言い、何を約束したか | 一次対応:受付者から「ご連絡ができておらず申し訳ありません。事実を確認のうえ、本日17時までに管理者から折り返しご連絡します」と伝え、了承を得た | その場の謝罪だけが書かれ、いつ何を返すと約束したのかが残っていない |
| 10 事実確認の経過 | 誰に・いつ・何を確認したか。関係者ごとに1行ずつ | 事実確認の経過:6月12日15時、担当ヘルパー◯◯に電話で確認。前任者の急な発熱により当日朝に交代となり、シフト変更の連絡がサービス提供責任者から家族へ行われていなかったことを確認。6月12日15時30分、サービス提供責任者に確認。当日朝の連絡先一覧に長女様の携帯番号が入っていなかったことを確認 | 「確認した」の一言で終わり、誰の話を聞いたのかが残らない |
| 11 原因として考えられること | 個人の不注意ではなく、手順のどこが抜けたかを書く | 原因として考えられること:当日交代が生じた際の家族への連絡が、手順書に定められておらず、担当者の判断に委ねられていた。あわせて、緊急連絡先一覧に同居家族の携帯番号が反映されていなかった | 「担当者の連絡漏れ」で止め、手順の問題に届いていない |
| 12 事業所として行った対応 | 誰が・いつまでに・何をしたか(したことだけを書く) | 事業所として行った対応:6月12日中に緊急連絡先一覧を更新し、長女様の携帯番号を追加。6月13日の朝礼で、当日交代が生じた場合は交代が決まった時点で家族へ電話連絡することを全ヘルパーに周知(周知記録あり) | 「今後気をつける」で終わり、実際に何を変えたのかが書かれていない |
| 13 申出者への回答 | いつ・誰が・どの方法で・何を伝え、相手がどう応じたか | 申出者への回答:6月12日16時50分、管理者◯◯より長女様の携帯へ電話。交代の経緯、連絡が行われなかった理由、連絡先一覧を更新したこと、今後は交代が決まった時点で電話することを説明。長女様より「分かりました。次から連絡をもらえるなら大丈夫です」との返答を得た | 回答したこと自体は書かれているが、相手の反応が残っておらず、納得を得られたかが読めない |
| 14 再発防止のために変えたこと | 手順書・様式・掲示のどれをどう変えたか。担当と期限まで | 再発防止のために変えたこと:訪問介護の手順書「当日変更時の対応」に、家族への連絡を追加(改訂日6月13日、担当 サービス提供責任者◯◯)。6月の全体会議で事例として共有し、他の利用者の緊急連絡先も6月末までに全件点検することとした | 再発防止が精神論で終わり、点検の対象と期限が書かれていない |
| 15 その後の確認 | 一定期間後に、実際に改善が続いているかを確かめた記録 | その後の確認:7月10日、サービス提供責任者より長女様へ電話。6月13日以降に2回あった担当変更について、いずれも前日または当日朝に連絡できていることを確認。長女様より「連絡はもらえている」との回答。本件は7月10日をもって終結とした | 回答した時点で記録が終わり、その後どうなったかが空白のまま閉じられている |
| 16 記録者・確認者・報告 | 書いた人、確認した人、保険者・国民健康保険団体連合会への報告の有無(記入欄) | 記録者:サービス提供責任者◯◯/管理者確認:令和8年7月10日 ◯◯/保険者・国民健康保険団体連合会への報告:(有・無 報告日 報告先 ) | 記録者しか書かれておらず、管理者が内容を確認した日が残っていない |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
受付方法ごとの書き分け——電話・来所・書面・第三者経由で、残すものが変わる
受付方法の欄は選択肢を丸で囲んで終わりにされがちですが、方法によって「他に残しておくもの」が変わります。書面で来たものは原本を綴じる、第三者経由なら誰から回ってきたかを書く、という具合です。
| 受付方法 | 受付方法欄の完成文 | あわせて残すもの | この方法で落ちやすい点 |
|---|---|---|---|
| 電話 | 受付方法:電話(事業所代表番号への入電。通話時間14時20分〜14時35分) | 受けた職員のメモ(清書前のもの)も日付を入れて綴じる | 通話中に聞き取った内容を後から要約してしまい、言葉が置き換わる |
| 来所 | 受付方法:来所(事業所相談室。同席者:管理者◯◯、サービス提供責任者◯◯) | 同席者の氏名と、相談室での経過時間 | 同席者を書かず、後から「そんな説明は受けていない」となったときに確かめる材料がない |
| 訪問時の口頭 | 受付方法:訪問時の口頭(6月12日の訪問中、居室にて利用者本人より) | その日のサービス提供記録との相互参照(提供記録側にも「苦情記録R08-苦情-014参照」と書く) | 提供記録の備考欄に書いたまま苦情記録に上げず、受付簿に載らない |
| 書面 | 受付方法:書面(6月12日到着。封書・手書き2枚。原本は苦情記録に添付) | 原本またはその写し。到着日が分かるもの | 内容を転記しただけで原本を残さず、書かれていた表現が確かめられない |
| FAX | 受付方法:FAX(6月12日13時05分受信。送信元:◯◯様。受信紙は苦情記録に添付) | 受信紙の原本(感熱紙の場合は写しも) | 感熱紙のまま綴じ、時間が経って文字が消える |
| メール・連絡帳 | 受付方法:メール(6月12日12時40分受信。件名「訪問時間について」。本文を印刷し添付) | 本文の印刷またはPDF。連絡帳の場合は該当ページの写し | 画面で読んだだけで記録に残さず、後から本文が探せない |
| 第三者経由(居宅介護支援事業所・地域包括支援センター等) | 受付方法:第三者経由(担当の居宅介護支援事業所 介護支援専門員◯◯様より6月12日11時に電話。長女様から同事業所へ寄せられた内容の伝達) | 伝達元の事業所名・担当者名、伝達元がどこまで対応済みか | 伝達元に回答すれば足りると考え、申出者本人への回答が抜ける |
| 保険者(市区町村)経由 | 受付方法:保険者(市区町村)経由(6月12日、◯◯課◯◯様より電話。調査への協力依頼あり) | 依頼の内容、提出を求められた資料、提出日(記入欄) | 電話でのやり取りだけで済ませ、何を求められ何を出したかが残らない |
| 国民健康保険団体連合会経由 | 受付方法:国民健康保険団体連合会経由(6月12日、苦情相談窓口より連絡。文書での照会あり) | 照会文書、回答文書の写し、回答日(記入欄) | 回答文書の写しを残さず、何と答えたかが後から分からない |
| 匿名 | 受付方法:電話(匿名。氏名・続柄の申し出なし。「◯◯を利用している者の家族」との名乗りのみ) | 匿名であっても受付簿に登載し、対応の記録を残す | 名乗りがないことを理由に受付簿に載せず、後から件数が合わない |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
申出者と利用者の関係——「家族から」で止めない書き方
申出者の欄は「利用者との関係」まで書いて初めて意味を持ちます。同居の長女と、遠方の長男と、成年後見人と、近隣住民では、事業所が返すべき相手も、個人情報の扱いも変わります。ここは後述の第三者提供の記録とも直結する欄です。
| 申出者の区分 | 申出者欄の完成文 | 回答の際に確かめること |
|---|---|---|
| 利用者本人 | 申出者:◯◯様(利用者本人) | 本人の言葉として記録し、家族への共有の可否を本人に確認したかを書く |
| 同居の家族 | 申出者:◯◯様(利用者の長女・同居・キーパーソン) | キーパーソンかどうか。契約書・重要事項説明書の連絡先欄と一致しているか |
| 別居の家族 | 申出者:◯◯様(利用者の長男・別居。県外在住、連絡は携帯電話のみ) | 別居家族へ利用者の情報を伝える範囲について、本人の意向を確認した記録があるか |
| 成年後見人等 | 申出者:◯◯様(利用者の成年後見人。登記事項証明書の写しを契約書に添付済み) | 権限の範囲を示す書類が事業所に残っているか(記入欄) |
| 担当の介護支援専門員 | 申出者:◯◯様(担当の居宅介護支援事業所 介護支援専門員。家族から相談を受け事業所へ連絡) | 本来の申出者は誰か。申出者本人への回答経路をどう確保するか |
| 近隣住民 | 申出者:◯◯様(事業所近隣にお住まいの方。送迎車の駐車位置についての申出) | 利用者の個人情報に触れずに回答できる範囲かどうか |
| 他事業所・医療機関 | 申出者:◯◯病院 地域連携室◯◯様(退院時カンファレンスの日程調整についての申出) | 連携先への回答が、利用者の情報の提供にあたる場合は同意の範囲内か |
| 従業者からの申出 | 申出者:当事業所 訪問介護員◯◯(利用者宅での対応方法についての相談として受付) | 苦情として扱うか、内部の相談として扱うか。ハラスメントに関する相談窓口との区分(記入欄) |
| 匿名 | 申出者:匿名(氏名・続柄の申し出なし) | 回答先がないため、事業所内での検討結果をどこに残すか |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
場面別の完成文24例——申出の言葉から回答までを1行でつなぐ
実際に寄せられる申出は、事故のように分かりやすい形では来ません。「言い方が気になった」「洗濯物のたたみ方が違う」といった、記録に残しにくいものほど後で大きくなります。以下はそのまま様式に貼れる形で、申出の言葉・事実確認と対応・回答の3つを対にしたものです。氏名・日付・事業所名だけ差し替えてお使いください。
| 場面 | 申出の内容(申出者の言葉のまま) | 事実確認の経過と、事業所として行った対応 | 申出者への回答 |
|---|---|---|---|
| 1 訪問の時間が予定より遅れた | 「約束は10時なのに、来たのは10時40分。連絡もなかった。デイの迎えの時間があるから困る」 | 担当訪問介護員に確認。前の訪問先で利用者の体調変化があり対応が長引いたこと、遅れの連絡を事業所へ入れたが事業所から家族へ伝えていなかったことを確認。当日中に「訪問が15分以上遅れる見込みのときは事業所から家族へ電話する」旨を手順書に追加 | 6月12日16時、管理者より電話。遅れの経緯と、連絡が届かなかった理由、手順書を改めたことを説明。「今後は連絡がもらえるということでよいか」との確認をいただき、そのとおりである旨をお答えした |
| 2 ヘルパーの交代の連絡がなかった | 「いつもの人と違う人が来た。母は人見知りだから、変わるなら前もって言ってほしい」 | 当日朝の急な交代であり、家族への連絡が担当者の判断に委ねられていたことを確認。緊急連絡先一覧に長女様の携帯番号が未登録だったため当日中に追加。翌朝の申し送りで全員に周知 | 6月12日16時50分、管理者より電話。交代の経緯と、今後は交代が決まった時点で電話する運用にしたことを説明。「それなら大丈夫です」との返答をいただいた |
| 3 掃除の範囲が思っていたものと違う | 「玄関も掃いてくれると思っていた。前のヘルパーさんはやってくれていた」 | 訪問介護計画書と手順書を確認。玄関は支援の範囲に入っていないこと、以前担当した職員が計画外の対応をしていた可能性があることを確認。担当の介護支援専門員へ経過を連絡し、支援内容の見直しを相談することとした | 6月13日、サービス提供責任者より訪問し説明。現在の計画では玄関が支援の範囲に含まれていないこと、範囲の変更については担当の介護支援専門員を交えて相談したいことをお伝えし、次回の担当者会議で検討することについて了承を得た |
| 4 職員の言葉づかいが気になった | 「『はいはい、ちょっと待ってね』と言われた。子ども扱いされているようで嫌だった」 | 本人へ状況を確認したうえで、該当職員へ聞き取り。急いでいた場面での発言であったことを確認。管理者から本人へ内容を伝え、6月の全体会議で言葉かけについて事例検討を実施(議事録あり) | 6月14日、管理者より訪問し謝罪。聞き取りの結果と、全体会議で取り上げたことをお伝えした。「気にしすぎかと思っていたが、聞いてもらえてよかった」との言葉をいただいた |
| 5 洗濯物のたたみ方 | 「タオルのたたみ方が、うちのやり方と違う。細かいことだけど気になる」 | 担当職員に確認。手順書に家庭ごとのたたみ方の記載がなかったことを確認。利用者宅ごとの留意事項欄に記載する運用に変更し、次回訪問時に本人へ確認して記入 | 6月13日、サービス提供責任者より電話。留意事項欄に記入したこと、次回から統一されることをお伝えした。「そこまでしてもらわなくても」と言われたが、記録として残す旨をお伝えした |
| 6 利用者の私物が見当たらない | 「母の財布が見当たらない。ヘルパーさんが来た日から見ていない」 | 当日訪問した職員2名に個別に聞き取り。訪問中に金銭を扱う支援はなく、記録上も金銭管理の記載がないことを確認。管理者が同行して居室内を一緒に確認したところ、寝具の下から発見。事実関係を時系列で記録し、あわせて金銭・貴重品に関する事業所の取り扱いを文書で改めて説明 | 6月13日、管理者より訪問。確認の経過、発見の状況、金銭・貴重品を職員が扱わない取り扱いを説明。「疑うようなことを言って申し訳なかった」との言葉をいただいたが、確認は事業所の責任である旨をお伝えした |
| 7 通所の送迎の順番 | 「うちが一番最後になった。1時間近く車に乗っている。前はもっと早かった」 | 送迎表を確認。新規利用者の追加により経路が変更となり、乗車時間が延びていたことを確認。乗車時間の一覧を作成し、40分を超える方について経路を再検討。翌週から順路を変更 | 6月14日、生活相談員より電話。経路変更の理由と、翌週から乗車時間が短くなることを説明。変更後の到着予定時刻をお伝えし、了承を得た |
| 8 入浴の時間が短い | 「お風呂に入っている時間が短いと本人が言っている。前はもう少しゆっくりだった」 | 入浴記録を確認。当該週は職員の欠勤により入浴の開始時刻が遅れていたことを確認。個別機能訓練の時間帯と重ならないよう入浴の順番を調整し、翌週から所要時間を確保 | 6月14日、管理者より電話。原因と、翌週からの調整内容を説明。「本人にもそう伝えます」との返答をいただき、翌週の入浴後に本人へ感想を確認することとした |
| 9 食事の量・献立 | 「量が多すぎて残している。父は小食なので、減らしてもらえないか」 | 食事記録と摂取量を確認。直近2週間の主食の摂取量が半分以下であることを確認。管理栄養士へ相談し、主食の量を調整。摂取量の記録を継続 | 6月15日、生活相談員より電話。調整した内容と、摂取量を2週間記録して改めて連絡することをお伝えした。7月1日に再度電話し、摂取量が改善していることを報告 |
| 10 請求金額の内訳が分からない | 「今月の請求が先月より高い。何が増えたのか分からない」 | 請求内容と提供記録を照合。利用回数が2回増えていたこと、実費(おむつ代)の計上月が前月と異なっていたことを確認。内訳を1枚にまとめた説明資料を作成 | 6月16日、管理者より訪問。内訳の資料をお渡しして説明。「これなら分かる。毎月これを付けてほしい」とのご要望をいただき、翌月から内訳表を同封する運用に変更した |
| 11 加算の説明を受けていない | 「明細に見慣れない項目がある。こんな説明は受けていない」 | 重要事項説明書と、説明時の同意記録を確認。改定時に重要事項説明書を差し替えたが、変更点の説明と再同意の記録が残っていないことを確認。全利用者の同意記録の有無を一覧化し、記録のない方へ順次説明することとした | 6月17日、管理者より訪問し、重要事項説明書の該当箇所を示して説明。改めて説明のうえ署名をいただき、記録として保管した |
| 12 担当の変更の連絡 | 「担当のケアマネさんが替わったと後から知った。一言ほしかった」 | 担当変更の経緯を確認。前任者の異動により変更となったが、利用者・家族への事前連絡が行われていなかったことを確認。担当変更時の連絡手順を文書化し、変更予定日の1週間前までに連絡する運用に変更 | 6月17日、管理者と後任の介護支援専門員が同行訪問。経緯を説明し、後任の紹介を行った。「顔が見られてよかった」との言葉をいただいた |
| 13 電話がつながらない | 「昼間に何度かけても誰も出ない。緊急のときはどうすればいいのか」 | 入電記録を確認。当該時間帯は職員が全員訪問中で不在となる日があったことを確認。転送設定と、留守番電話の折り返し手順を整備。営業時間中の連絡方法を改めて文書でご案内 | 6月18日、管理者より電話。不在となる時間帯があったこと、転送設定を行ったこと、緊急時の連絡先を説明。ご案内の文書を郵送し、到着後に再度確認の電話を入れた |
| 14 服薬の介助の手順 | 「薬が1包、テーブルに残っていた。ちゃんと飲めているのか心配」 | 服薬に関する記録を確認。当日の記録に服薬確認の記載がないことを確認。担当職員へ聞き取り、確認を行ったが記録に残していなかったことを確認。服薬確認欄を記録様式に追加し、全職員へ周知 | 6月18日、サービス提供責任者より訪問。記録の欠落であったこと、様式を改めたことを説明。あわせて主治医・薬局への相談について担当の介護支援専門員と連携する旨をお伝えした |
| 15 記録を見せてほしいと言われた | 「母がどんな様子だったか、記録を見せてもらえないか」 | 事業所における記録の開示の手続き(申出の受付・対象範囲・確認者・費用の有無)を確認し、手続きに沿って対応。申出の内容と、開示した範囲、日時を記録として残した | 6月19日、管理者より電話。手続きと、準備に要する日数をご説明し、6月24日に来所いただき記録をご覧いただいた。閲覧の日時と立会者を記録に残した |
| 16 家族の間で意見が違う | (別居の長男より)「同居の妹が勝手に決めている。私にも説明してほしい」 | 契約書・重要事項説明書の連絡先欄を確認。キーパーソンが長女様であることを確認。利用者本人に対し、長男様へ情報を伝えることについての意向を確認し、その内容を記録 | 6月20日、管理者より電話。本人の意向を確認したうえで、伝えられる範囲についてご説明。担当の介護支援専門員を交えた話し合いの場を6月28日に設定することとした |
| 17 面会の取り扱い | 「面会の時間が短すぎる。もっと会わせてほしい」 | 面会に関する事業所の取り扱いと、その根拠となる考え方を確認。掲示と重要事項説明書の記載が一致しているかを点検。運営推進会議の議題として取り上げ、意見を求めることとした | 6月20日、管理者より電話。現在の取り扱いと、見直しを会議で検討することをご説明。7月の会議で意見をいただき、結果を改めてご連絡する旨をお伝えした |
| 18 夜間の呼び出しへの対応が遅い | 「夜、呼んでもなかなか来てくれないと本人が言っている」 | 夜間の記録と勤務表を確認。該当日の夜間は他の入居者の対応が重なっていたことを確認。呼び出しへの応答時刻を記録する欄を追加し、1か月分を集計して確認することとした | 6月21日、管理者より電話。当日の状況と、応答時刻を記録して1か月後に結果をご報告することをお伝えした。7月22日に集計結果をご報告した |
| 19 他の利用者との関係 | 「隣の席の方と合わないようで、行きたがらなくなった」 | 本人へ状況を確認。フロアの座席配置と当日の様子を職員から聴取。座席を変更し、活動時のグループ分けを見直した。2週間、本人の様子を記録 | 6月21日、生活相談員より電話。座席とグループを変更したこと、2週間様子を記録して改めてご連絡することをお伝えした。7月5日、本人の参加状況が戻っていることをご報告した |
| 20 福祉用具の不具合 | 「車いすのブレーキが利きにくい。危ないのではないか」 | 福祉用具貸与事業所へ当日連絡し、翌日に点検を依頼。点検結果と交換の対応を記録。あわせて事業所内で、訪問時に用具の状態を確認する項目を記録様式に追加 | 6月22日、サービス提供責任者より電話。点検と交換の日程、記録様式を改めたことをご説明。交換後に再度訪問し、使用状況を確認した |
| 21 職員の私語 | 「職員同士のおしゃべりが大きい。母のことを話しているのではないかと不安になる」 | 該当時間帯の職員体制を確認し、聞き取りを実施。利用者に関する申し送りを、居室に近い場所で行っていたことを確認。申し送りの場所を事務室に変更し、周知した | 6月22日、管理者より訪問。申し送りの場所を変更したこと、利用者の情報を扱う場所についての取り決めを改めて周知したことをご説明した |
| 22 匿名の電話 | 「◯◯を利用している者の家族だが、職員の対応が悪いと聞いている。名前は言いたくない」 | 匿名であっても受付簿に登載。内容から時期・場面を特定できる範囲で職員へ聞き取りを実施。特定に至らなかったため、全体会議で対応についての注意喚起を行い、議事録に記録 | 回答先がないため、事業所内での検討結果を記録に残した。あわせて、次回の全体会議での再確認を予定として記載した |
| 23 保険者(市区町村)を経由して寄せられた申出 | (担当課より)「利用者の家族から、サービスの内容について相談が寄せられている。事実確認をお願いしたい」 | 照会の内容、求められた資料、提出期限を記録。該当利用者の提供記録・計画書・従前の苦情記録を確認し、時系列で経過をまとめて提出。提出した資料の一覧と提出日を記録 | 担当課へ6月25日に文書で回答。あわせて、申出者である家族へも管理者より電話し、確認の結果と今後の対応をご説明した |
| 24 国民健康保険団体連合会を経由して寄せられた申出 | (窓口より)「利用者から苦情の申立てがあり、事業所に事実の確認を求めたい」 | 照会文書を受領し、受付簿へ登載。求められた事項ごとに、提供記録・計画書・従業者への聞き取り結果を整理して回答書を作成。回答書の写しと送付日を記録として保管 | 6月27日、回答書を送付。回答の内容と送付日を苦情記録に記載し、あわせて申出者本人への説明の要否について窓口へ確認した |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
11の「加算の説明を受けていない」のように、料金や加算に関する申出は、重要事項説明書の記載と説明・同意の記録に戻って確認することになります。熊本市の集団指導資料では、令和6年度の運営指導で指摘の多かった事項として、重要事項の内容に変更があった際における利用者への説明や同意がなされていないことが挙げられています。なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。
苦情の窓口の掲示と重要事項説明書——食い違いを起こさないための対照表と、調査への協力の記録
苦情処理でいちばん多く指摘されているのは、記録そのものではなく窓口の書き方です。事業所の窓口だけを書いて外部の窓口を書いていない、重要事項説明書には書いてあるが掲示には出ていない、運営規程と重要事項説明書で連絡先が違う——同じ内容を3か所に書くために、必ずどこかがずれます。
埼玉県のQ&Aでは、重要事項説明書と重要事項の掲示の苦情相談窓口に、①事業所の担当者名・電話番号・対応時間、②通常の事業の実施地域すべての保険者の担当課名・電話番号、③埼玉県国民健康保険団体連合会の苦情相談専用電話番号のすべてを記載すること、実施地域に他都県が含まれる場合はその都県の国民健康保険団体連合会の連絡先も記載することが示されています。愛知県の主な指示事項には、重要事項説明書に料金・加算の内容、外部の苦情連絡先(該当市町村担当課、県国民健康保険団体連合会)及び事故発生時の対応を記載することが示されています。つまり「自事業所の窓口だけ」では足りず、外部の窓口を、実施地域の数だけ書くという構造になっています。
| 窓口 | 掲示に書く欄 | 重要事項説明書に書く欄 | 運営規程との関係 | 食い違いが起きやすい点 |
|---|---|---|---|---|
| 事業所の苦情受付担当者 | 職名・氏名・電話番号・受付時間 | 職名・氏名・電話番号・受付時間・受付方法(電話/来所/書面) | 運営規程の苦情処理に関する事項と、職名が一致しているか | 担当者が交代したときに掲示だけ更新され、重要事項説明書が旧担当のまま残る |
| 事業所の苦情解決責任者 | 職名・氏名 | 職名・氏名・責任者が対応する範囲 | 管理者と同一人物か、別に置いているかを規程と揃える | 受付担当者と解決責任者を分けずに書き、誰が回答するのかが読めない |
| 保険者(市区町村)の担当課 | 通常の事業の実施地域に含まれるすべての保険者の担当課名・電話番号 | 同左。実施地域外の利用者がいる場合はその方の保険者も追記 | 運営規程の通常の事業の実施地域と、掲示に並ぶ保険者の数が一致しているか | 実施地域を広げたのに、窓口の一覧に新しい保険者を追加していない |
| 国民健康保険団体連合会 | 都道府県の国民健康保険団体連合会の苦情相談専用電話番号 | 同左。実施地域に他都県が含まれる場合はその都県の分も | 運営規程に外部の苦情窓口を書いている場合は同じ番号か | 県外の利用者を受けているのに、自県の連合会だけを書いている |
| 地域包括支援センター等 | 保険者が掲示を求めている場合はその名称・電話番号(記入欄) | 同左(記入欄) | 保険者の様式に沿っているか | 掲示すべき窓口の範囲を確認しないまま、以前の様式を使い続けている |
| 運営適正化委員会 | 掲示に含めるかどうかは保険者(指定権者)の運用により異なるため記入欄( ) | 同左(記入欄) | 運営規程に記載しているかどうかを確認する | 他の事業所の様式を写して載せ、自事業所の保険者の求めと合っていない |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
足立区の令和7年度集団指導資料(小規模多機能型居宅介護)では、苦情処理に関する指導事項として「苦情相談窓口の掲示を行っていない」が挙げられ、事業所の連絡先・区の事業者指導係・基幹地域包括支援センター・東京都国民健康保険団体連合会の4か所の窓口を掲示するよう求めている旨が記載されています。掲示すべき窓口の数と種類は保険者により異なるため、他の事業所の掲示物を写すのではなく、自事業所の保険者が示す一覧に沿っているかをご確認ください。
掲示・重要事項説明書・運営規程の3か所を突き合わせる点検表
福井市の令和7年度集団指導資料では、運営規程・重要事項説明書の内容が実態と異なる、または不整合であるという指摘が挙げられ、差異の多い事項として従業者の職種及び員数、苦情受付機関、利用料、通常の事業の実施地域、営業日及び営業時間、協力医療機関、記録の保存期間が示されています。和歌山市の集団指導資料でも、苦情相談窓口として各保険者及び国民健康保険団体連合会の連絡先が記載されていないことが挙げられています。次の表は、その3か所を同じ行で見比べるためのものです。
| 記載項目 | 掲示(現物) | 重要事項説明書 | 運営規程 | 一致しているか(記入欄) | 最終確認日(記入欄) |
|---|---|---|---|---|---|
| 事業所の苦情受付担当者の職名・氏名 | ( ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 苦情解決責任者の職名・氏名 | ( ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 受付の電話番号・受付時間 | ( ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 保険者(市区町村)の担当課名・電話番号 | ( ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 通常の事業の実施地域に含まれる保険者の数 | ( 件) | ( 件) | ( 件) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 国民健康保険団体連合会の連絡先 | ( ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 他都県の国民健康保険団体連合会の記載の要否 | (要・不要) | (要・不要) | (要・不要) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 苦情処理の体制(受付から解決までの流れ) | ( ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 事故発生時の対応 | ( ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 第三者評価の実施の状況 | ( ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 記録の保存期間の記載 | ( ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
| 重要事項のウェブサイトへの掲載 | (掲載先 ) | ( ) | ( ) | 一致・不一致 | ( 年 月 日) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
福岡県介護保険広域連合の集団指導資料(令和6年度版)では、掲示に関する主な指摘事項として、運営規程の概要や介護支援専門員の勤務の体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、第三者評価の実施の状況等の重要事項が掲示されていないことが挙げられ、あわせて重要事項のウェブサイトへの掲載についても記載されています。足立区の資料も、掲載先として法人のホームページや介護サービス情報公表システムの活用を示しています。掲示物は写真を撮って日付とともに残しておくと、点検の記録がそのまま証拠になります。
保険者(市区町村)・国民健康保険団体連合会からの調査への協力の記録
外部から照会が来たときは、受けた側の記録が薄くなりがちです。電話で聞かれて電話で答えると、何を求められ何を出したかがどこにも残りません。次の欄を1枚の様式にしておくと、照会の1件が苦情記録と同じ形で残ります。
| 欄 | そのまま貼れる完成文(例) | あわせて残すもの |
|---|---|---|
| 照会元 | 照会元:保険者(市区町村) ◯◯課 ◯◯様(電話番号 ) | 照会元の部署名・担当者名。文書の場合は文書番号 |
| 照会を受けた日時・方法 | 照会を受けた日時・方法:令和8年6月25日(木)10時15分、電話。同日15時に文書が到着(文書番号 ) | 電話と文書の両方がある場合は両方の日時 |
| 照会の内容 | 照会の内容:「令和8年5月中の訪問介護の提供時間について、利用者◯◯様の家族から相談が寄せられている。提供記録と計画書により事実を確認したい」 | 照会文書の写し |
| 求められた資料 | 求められた資料:訪問介護計画書(令和8年4月改訂版)、サービス提供記録(令和8年5月分)、勤務実績表(令和8年5月分)、苦情記録(該当があれば) | 求められた資料の一覧。準備の担当者 |
| 事業所内での確認 | 事業所内での確認:6月25日、管理者とサービス提供責任者で提供記録と勤務実績表を照合。5月の全訪問について開始・終了時刻の記載があることを確認。あわせて担当職員2名から聞き取りを実施し、内容を記録した | 照合の結果を示すメモ、聞き取りの記録 |
| 提出した資料と提出日 | 提出した資料と提出日:6月27日、上記4種の写しを持参し、◯◯課◯◯様へ提出(受領印あり)。提出した資料の一覧を控えとして保管 | 提出物の控え一式、受領の記録 |
| 説明した内容 | 説明した内容:提供時間の記録は残っていること、5月14日の1件について開始時刻が15分遅れていた経緯、その際に家族へ連絡ができていなかったことを説明した | 説明の際の資料 |
| 照会元からの指示・助言 | 照会元からの指示・助言:「遅れが生じた際の連絡について、手順を明確にしておくこと」との助言を受けた | 助言の内容を、口頭であっても日付入りで記録 |
| 申出者本人への対応 | 申出者本人への対応:6月28日、管理者より長女様へ電話。確認の結果と、手順を改めたことを説明。「そちらからも連絡をもらえてよかった」との返答をいただいた | 照会元への回答とは別に、申出者本人への回答を必ず残す |
| 事業所として変えたこと | 事業所として変えたこと:訪問の遅れが15分を超える場合の家族への連絡を手順書に追加(改訂日6月28日)。7月の全体会議で全職員へ周知(議事録あり) | 改訂した手順書、周知の記録 |
| 照会の記録の綴じ先 | 照会の記録の綴じ先:苦情記録R08-苦情-018として受付簿に登載し、対応記録に添付 | 受付簿の該当行との相互参照 |
| 終結の判断 | 終結の判断:令和8年7月10日、管理者。7月中の遅れの発生と連絡の状況を確認し、終結とした | 終結を判断した者と日付 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
秘密保持の誓約と個人情報の同意の記録——従業者側・利用者側・第三者提供の3つを分けて残す
別添1の秘密保持等には、確認文書として個人情報同意書と従業者の秘密保持誓約書の2つが挙がっています。前者は利用者側、後者は従業者側。方向が逆なので、同じファイルに綴じていると、どちらかが抜けても気づけません。ここでは従業者側・利用者側・第三者提供の3つに分けて、それぞれ「有無と保管」を記入欄の形で整理します。
なお、この記事では誓約書や同意書の条文案は作りません。公表事例で「何が足りないと指摘されているか」を並べ、自事業所の書式にその欄があるかを確かめる形にしています。書式そのものの作成・見直しについては、必要に応じて専門家にご相談ください。
従業者の秘密保持の誓約——入職時・退職時の有無と保管を、雇用形態ごとに埋める
仙台市の集団指導資料には、文書指摘として「入社20年を超えている職員2名について、秘密保持誓約書を取り交わしていない」「派遣職員について、秘密保持誓約書が作成されていない」が記載されています。留意点として、派遣職員は派遣元との契約により雇用されているが、在職中や従業者でなくなった後においても秘密を保持する内容が当該契約書に記載されていない場合があり、その場合は事業者として誓約書等で取決めを取り交わすことが示されています。つまり、抜けやすいのは新入職員ではなく「昔からいる人」と「雇用主が別の人」です。
姫路市の令和6年度実地指導結果には「従業員の秘密保持の誓約書に、退職後の規定がなかった」との指摘があり、退職後の規定がない従業者から改めて誓約書を徴するよう示されています。埼玉県のQ&Aでは、従業者の秘密保持に係る誓約書について、対象が「利用者又はその家族の個人情報」であることを明確にすること、在職中だけでなく退職後も秘密保持する旨を明記することが示されています。
| 対象 | 入職時(取り交わした日・記入欄) | 退職時(取り交わした日・記入欄) | 保管場所(記入欄) | 公表事例で挙がっている点 |
|---|---|---|---|---|
| 正職員 | ( 年 月 日 / 有・無) | ( 年 月 日 / 有・無・在職中) | ( ) | 退職後の秘密保持に関する記載があるか(姫路市) |
| 在職期間が長い職員(10年以上) | ( 年 月 日 / 有・無) | ( 年 月 日 / 有・無・在職中) | ( ) | 入社20年を超える職員と取り交わしていない例が文書指摘となっている(仙台市) |
| パート・非常勤職員 | ( 年 月 日 / 有・無) | ( 年 月 日 / 有・無・在職中) | ( ) | 雇用形態にかかわらず全従業者について取決めが整っているか(仙台市) |
| 派遣職員 | ( 年 月 日 / 有・無 / 派遣契約書に秘密保持の定めあり・なし) | ( 年 月 日 / 有・無・在職中) | ( ) | 派遣契約書に退職後の秘密保持の記載がない場合、事業者として別途取り交わす(仙台市) |
| 有期契約職員 | ( 年 月 日 / 有・無) | ( 年 月 日 / 有・無・在職中) | ( ) | 契約更新のたびに取り直すか、期間を通じたものにするかを整理する |
| 管理者・サービス提供責任者等 | ( 年 月 日 / 有・無) | ( 年 月 日 / 有・無・在職中) | ( ) | 取り交わす側の管理者自身の分が抜けやすい |
| 他事業所との兼務職員 | ( 年 月 日 / 有・無 / 主たる所属 ) | ( 年 月 日 / 有・無・在職中) | ( ) | どちらの事業所で保管しているかが分からなくなる |
| 実習生・研修生 | ( 年 月 日 / 有・無 / 受入期間 ) | ( 年 月 日 / 有・無) | ( ) | 短期間の受入れで取り交わしを省略していないか |
| ボランティア | ( 年 月 日 / 有・無) | ( 年 月 日 / 有・無) | ( ) | 行事のみの参加でも、利用者の情報に触れる場面があるか |
| 委託業者(清掃・給食・洗濯等) | (契約書に定めあり・なし / 覚書 有・無) | (契約終了時の取決め 有・無) | ( ) | 契約書に秘密保持の定めがあるかを、契約ごとに確認する |
| システム・機器の保守業者 | (契約書に定めあり・なし / 覚書 有・無) | (契約終了時の取決め 有・無) | ( ) | 記録が入った端末を扱う場面での取決めがあるか |
| 退職者(過去1年以内) | — | ( 年 月 日 / 有・無) | ( ) | 退職後の秘密保持に関する取決めが残っているか(姫路市・埼玉県) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
従業者名簿と突き合わせて、名簿の人数と誓約の枚数が一致しているかを数える運用にすると、抜けがその場で見えます。福井市の資料でも、従業者でなくなった者が秘密を漏らさないよう必要な措置を講じていない例が挙げられており、誓約書を徴する・雇用時に取り決める等の方法が示されています。
個人情報の利用に関する同意の記録——本人分と家族分を分け、範囲・期間・撤回まで残す
ここは、公表されている指摘が最も集中している場所です。複数の自治体が、同じ1点を繰り返し挙げています——利用者本人の同意と、家族の同意を分けていない。
神戸市の資料には「個人情報使用同意書は、利用者の個人情報使用と家族(代表)の個人情報使用の『それぞれに』同意を得る必要があります。利用者の代理署名は家族(代表)の個人情報使用の同意にはならないことに注意してください」と注記されています。宇都宮市の資料には、代理・代筆者欄はあくまで利用者本人の個人情報について使用する同意欄であるため、代筆者欄等とは別に家族からの同意欄を設けるよう記載されています。福井市の資料でも、代理人は利用者本人の代理であるため、代理人欄への記載をもって家族の同意とすることはできないと示されています。広島市の指摘事項では「個人情報使用同意書に利用者の家族の同意欄が設けられていなかった」が例示され、大阪市の資料では「個人情報の使用同意書に使用期間が記載されていない」も挙げられています。
| 記録する欄 | そのまま貼れる完成文(例) | 公表事例で挙がっている点 |
|---|---|---|
| 同意を得た日 | 同意を得た日:令和8年4月1日(契約締結日と同日) | 契約日・同意日の空欄がないかを点検することが示されている(千葉県・愛知県・埼玉県) |
| 同意した人(本人分) | 同意した人(本人分):利用者◯◯様 自署(自署が困難なため代筆:長女◯◯様、代筆の理由:右上肢の麻痺のため) | 代筆の場合、代筆者と理由が記録されているか |
| 同意した人(家族分) | 同意した人(家族分):長女◯◯様 自署(利用者本人の代理としてではなく、長女様ご自身の個人情報の利用についての同意として) | 利用者の代理署名は家族の個人情報使用の同意にはならない(神戸市・宇都宮市・福井市) |
| 家族分の同意欄の有無 | 家族分の同意欄の有無:本人欄・代筆者欄とは別に、家族欄を設けている(様式改訂日 令和8年3月20日) | 同意書に家族の同意欄が設けられていない例(広島市・大阪市・福岡県介護保険広域連合) |
| 何に使うか(利用の目的) | 何に使うか:サービス担当者会議での検討、居宅介護支援事業所・他のサービス事業所との連絡調整、主治医・医療機関への情報提供、保険者(市区町村)への報告、緊急時の連絡 | 使用の目的が包括的すぎて、どの場面で使うのかが読めない |
| 誰に提供するか(提供先) | 誰に提供するか:担当の居宅介護支援事業所、利用中のサービス事業所(訪問介護◯◯・通所介護◯◯)、主治医◯◯医院、緊急連絡先(長女◯◯様)、保険者(市区町村) | 提供先を「関係機関」とだけ書き、具体名が残っていない |
| どの範囲の情報か | どの範囲の情報か:氏名、生年月日、住所、被保険者番号、要介護度、心身の状況、生活の状況、サービスの利用状況、主治医の意見 | 提供する情報の範囲が示されていない |
| 期間 | 期間:契約締結日から契約終了日までとする(大阪市資料に示されている記載例に沿った書き方の例) | 使用期間が記載されていない例(大阪市) |
| 説明した人・方法 | 説明した人・方法:管理者◯◯が、契約時に重要事項説明書とあわせて口頭で説明。同意書の控えをお渡しした | 説明した人が残っておらず、誰がどう説明したかが分からない |
| 撤回の申出があったときの記録 | 撤回の申出があったときの記録:令和8年7月3日、長女◯◯様より「自分の勤務先の連絡先は他事業所へ伝えないでほしい」との申出。同日、提供先一覧から当該項目を除外し、関係事業所へ連絡した。申出の内容と対応を苦情記録とは別に、個人情報の記録として保管 | 撤回や範囲の変更の申出を受けた記録の置き場所が決まっていない |
| 取り直しが必要になった場面 | 取り直しが必要になった場面:令和8年5月、利用サービスの追加(通所介護◯◯)にともない提供先が増えたため、同年5月10日に改めて説明し同意を得た | 提供先が増えたのに、開始時の同意のまま運用している |
| 保管場所と点検 | 保管場所と点検:利用者ファイル(個人情報同意書のインデックス)に本人分・家族分を並べて綴じる。毎年4月に全利用者分の有無を一覧で点検(次回 令和9年4月) | 同意書の有無を一覧で確認する仕組みがない |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
千葉県の令和7年度集団指導資料の秘密保持等の項には「サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ていない。」が指摘事項として挙げられています。宇都宮市の資料では、別居の家族であってもあらかじめ文書により同意を得ることが示されています。同居の家族だけを想定した様式になっていないかは、点検の観点になります。
第三者提供の記録——サービス担当者会議・医療機関・家族・保険者
同意を取っていても、「実際にいつ誰に何を渡したか」は別の記録です。同意書は入口の記録、第三者提供の記録は出口の記録。運営指導で照合されるのはこの2つの間の整合です。
| 提供の相手 | 提供した場面 | 記録の完成文(例) | 同意との突き合わせで見る点 |
|---|---|---|---|
| サービス担当者会議の出席者 | 会議での検討 | 令和8年5月14日のサービス担当者会議において、利用者◯◯様の心身の状況・生活の状況・サービスの利用状況を、出席者(居宅介護支援事業所◯◯、通所介護◯◯、訪問介護◯◯、主治医◯◯医院)に対して提供した。長女◯◯様の連絡先を出席者に伝えることについては、長女様の同意の範囲内であることを確認した | 出席者が同意書の提供先一覧に載っているか |
| 担当の介護支援専門員 | 月次の報告・連絡調整 | 令和8年5月31日、担当の居宅介護支援事業所◯◯へ、5月分のサービス提供記録の要点と本人の状況の変化を電話で報告した(報告者:サービス提供責任者◯◯) | 日常の連絡が、同意の範囲に含まれているか |
| 主治医・医療機関 | 受診時の情報提供・退院時カンファレンス | 令和8年6月3日、◯◯医院◯◯医師へ、直近1か月のバイタル・食事量・服薬状況を書面(写しを保管)で提供した。提供の目的:6月5日の受診にあたっての情報提供 | 医療機関が提供先として同意書に記載されているか |
| 別居の家族 | 状況の連絡 | 令和8年6月10日、長男◯◯様(別居)へ、本人の体調の変化について電話で連絡した。本人へ事前に確認し、長男様へ伝えることについて了解を得たうえで連絡している(本人への確認:6月10日9時、管理者◯◯) | 本人の意向を確認した記録が残っているか |
| 保険者(市区町村) | 照会への回答・報告 | 令和8年6月27日、保険者(市区町村)◯◯課へ、照会に対する回答として提供記録・計画書の写しを提出した(提出物の一覧を控えとして保管) | 提出物の一覧が控えとして残っているか |
| 国民健康保険団体連合会 | 苦情申立てに関する照会への回答 | 令和8年6月27日、国民健康保険団体連合会の苦情相談窓口へ、照会事項に対する回答書を送付した(回答書の写しを保管) | 回答書の写しがあるか |
| 地域包括支援センター | 相談・連携 | 令和8年6月12日、◯◯地域包括支援センター◯◯様へ、本人の生活状況について相談し、必要な範囲で情報を提供した(相談の内容と提供した範囲を記録) | 相談の相手が提供先として想定されているか |
| 他のサービス事業所 | サービスの調整 | 令和8年6月18日、福祉用具貸与事業所◯◯へ、車いすの使用状況と本人の身体状況を電話で伝え、点検を依頼した | 用具・住宅改修等の事業者も提供先に含まれているか |
| 救急隊・搬送先 | 緊急時 | 令和8年6月20日22時40分、救急要請にともない、救急隊へ本人の氏名・生年月日・既往歴・服薬内容・主治医名を伝えた。搬送先の◯◯病院へも同内容を伝達。緊急連絡先である長女◯◯様へ22時50分に連絡 | 緊急時の提供について、同意書に記載があるか |
| 運営推進会議・介護/医療連携推進会議 | 活動状況の報告 | 令和8年7月8日の運営推進会議において、苦情の受付件数と対応の概要を報告した。個人が特定されない形に整理したうえで報告している(報告資料の写しを議事録に添付) | 会議に出す資料が、個人を特定しない形になっているか |
| 実習の受入先・養成校 | 実習生の受入れ | 令和8年8月5日、実習生◯◯氏の受入れにあたり、対象となる利用者へ実習生が同行することを事前に説明し、了解を得た(説明日・説明者を記録) | 実習生の同行について事前の説明の記録があるか |
| 第三者評価機関・外部評価 | 評価の受審 | 令和8年9月2日、外部評価の受審にあたり、評価機関◯◯へ書類を提示した。提示した書類の一覧と、個人を特定する記載の取り扱いについて事前に取り決めた内容を記録 | 評価機関との間で取決めがあるか(記入欄) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
持ち出し・紛失・漏えいが疑われる場面の記録——発見から再発防止まで
個人情報の記録で、様式が用意されていないことが多いのがこの場面です。事故報告書に書くのか、苦情記録に書くのか、どちらでもない別の様式なのか。先に置き場所を決めておかないと、起きた日の混乱の中で「とりあえずメモ」になり、後から時系列が復元できなくなります。
あわせて、報告先と報告の期限は、保険者(指定権者)と個人情報保護委員会とで運用が異なります。この記事では断定せず、記入欄として置きます。自事業所がどこへ、いつまでに、どの様式で報告することになっているかは、あらかじめ確認して欄に書き込んでおいてください。
| 欄 | そのまま貼れる完成文(例) | この欄で落ちやすい点 |
|---|---|---|
| 発見の日時・発見者 | 発見の日時・発見者:令和8年7月14日(火)18時20分、訪問介護員◯◯が帰所後に業務用鞄を確認した際、当日持ち出した記録の写し1部が見当たらないことに気づいた | 「気づいた」時刻ではなく報告した時刻だけが書かれ、空白の時間が生まれる |
| 対象となる情報 | 対象となる情報:利用者3名分のサービス提供記録の写し(氏名・住所・訪問時刻・支援内容が記載されたもの。被保険者番号の記載なし) | 「書類1枚」とだけ書き、何が書かれていたかが分からない |
| 事業所内での報告 | 事業所内での報告:7月14日18時25分、発見者から管理者◯◯へ口頭で報告。18時30分、法人本部◯◯部長へ電話で報告 | 報告の相手と時刻が残らず、初動の速さが読めない |
| 初動の対応 | 初動の対応:7月14日18時30分から19時40分にかけて、当日の訪問先3か所、事業所内、社用車内を管理者と発見者の2名で捜索。19時50分、社用車の助手席下から発見 | 捜索の範囲と担当が書かれておらず、どこまで確かめたのかが分からない |
| 調査の経過 | 調査の経過:発見までの間に第三者の手に渡った可能性について、社用車の施錠状況(施錠済み)、駐車場所(事業所敷地内)、車内カメラの有無(なし)を確認。当日の同乗者がいないことを勤務実績表で確認 | 「問題なかった」という結論だけが書かれ、何をどう確かめたかがない |
| 持ち出しの記録との照合 | 持ち出しの記録との照合:持出簿を確認。7月14日9時00分に3名分の写しを持ち出した記録があり、返却の記入がないことを確認。持出簿の運用(持出時・返却時の両方に記入)を改めて周知した | 持出簿がない、または持ち出した記録だけで返却の記入欄がない |
| 本人・家族への連絡 | 本人・家族への連絡:7月15日9時30分から11時00分にかけて、対象となる3名の利用者・家族へ管理者より電話。経過、発見に至ったこと、第三者に渡った可能性について確認した内容、再発防止の対応を説明した。3名とも「分かりました」との返答。うち1名より「今後は写しを持ち歩かない方法にしてほしい」とのご要望をいただいた | 「連絡した」だけで、何を伝え、相手が何と言ったかが残らない |
| 外部への報告(記入欄) | 外部への報告:保険者(市区町村)( 報告の要否 / 報告日 / 報告先 / 様式 )、個人情報保護委員会( 報告の要否 / 報告日 )、法人本部( 報告日 7月14日 )、警察( 届出の要否 / 届出日 ) | 報告先と期限を確認しないまま日が過ぎる。運用は保険者・個人情報保護委員会で異なるため、事前に欄を埋めておく |
| 原因として考えられること | 原因として考えられること:訪問先で使用した写しを、その都度ファイルへ戻す手順が定まっておらず、鞄と車内の双方に一時的に置かれる運用になっていた。持出簿の返却欄の記入が習慣化していなかった | 「本人の不注意」で止まり、手順の問題に届いていない |
| 再発防止のために変えたこと | 再発防止のために変えたこと:①訪問時に持ち出す書類を、当日訪問分のみとする運用に変更(7月16日から)②持出簿に返却時刻の記入欄を追加し、帰所時に管理者が確認する運用に変更③7月の全体会議で全職員へ周知(議事録あり)④3か月後に持出簿の記入状況を点検(点検予定 令和8年10月) | 対策が精神論で終わり、いつ誰が点検するかが決まっていない |
| その後の確認 | その後の確認:令和8年10月15日、管理者が7月16日以降の持出簿を確認。返却欄の記入率100%であることを確認。全体会議で結果を報告した | 対策を決めた時点で記録が終わっている |
| 記録の綴じ先・記録者・確認者 | 記録の綴じ先・記録者・確認者:個人情報に関する記録(苦情記録・事故報告書とは別綴じ)。記録者 管理者◯◯/法人本部確認 令和8年7月18日 ◯◯ | 事故報告書やヒヤリ・ハット記録に混ぜて綴じ、後から探せなくなる |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
場面別の記録の書き出し12例——起きた瞬間に何を書き留めるか
次の表は、発見の直後に書き留めておく1文の例です。清書は後でできますが、時刻と「誰が何に気づいたか」は、その場でしか書けません。
| 場面 | 発見の記録の書き出し(例) | すぐに確かめること | 再発防止として記録に書くこと |
|---|---|---|---|
| 1 訪問時に書類を車内に置き忘れた | 7月14日18時20分、帰所後に鞄を確認した際、当日持ち出した記録の写し1部が見当たらないことに訪問介護員◯◯が気づいた | 持出簿の記載、社用車の施錠状況、当日の訪問経路 | 持ち出す書類を当日分のみとする運用への変更と、返却欄の追加 |
| 2 記録媒体が見当たらない | 7月20日10時05分、事務室の保管庫を確認した際、記録用の外部媒体1点が所定の位置にないことを事務職員◯◯が確認した | 保管庫の施錠、貸出簿、最後に使用した職員と日時 | 媒体の保管と貸出の手順、持ち出しの可否の取り決め |
| 3 FAXの誤送信 | 7月21日14時10分、送信済みレポートを確認した際、宛先番号が1桁異なっていたことに管理者◯◯が気づいた | 送信の日時・宛先・送信した内容、着信側への連絡の可否 | 短縮登録の使用、送信前の宛先の複数名確認、送付状の運用 |
| 4 メールの誤送信 | 7月22日16時40分、送信済みメールを確認した際、宛先に別の事業所のアドレスが含まれていたことを生活相談員◯◯が確認した | 宛先、添付の有無と内容、開封の有無の確認手段 | 添付時の取り扱い、宛先の確認手順、送信前の一時保留の設定 |
| 5 業務用端末の紛失 | 7月23日8時50分、出勤時に業務用端末が見当たらないことを訪問看護師◯◯が申し出た | 最後に使用した日時と場所、端末の施錠設定、遠隔での操作の可否 | 端末の持ち出し範囲、施錠設定の点検、紛失時の連絡先の掲示 |
| 6 他の利用者の記録を見せてしまった | 7月24日11時20分、訪問中にファイルを開いた際、別の利用者の記録が見える状態であったことを訪問介護員◯◯が申し出た | 見えた範囲、同席者、対象となる利用者 | 利用者ごとの分冊、訪問時に持参する範囲の限定 |
| 7 会話が第三者に聞こえた | 7月25日15時00分、待合スペースで利用者の状況について職員間で話していたところ、他の来所者が同席していたことに管理者◯◯が気づいた | 話していた内容、同席していた方の範囲 | 申し送りの場所の指定、来所者がいる場所での会話の取り決め |
| 8 私物の携帯電話での撮影 | 7月26日、行事の写真が私物の携帯電話で撮影されていたことを、写真の提出を求めた際に管理者◯◯が把握した | 撮影の目的、保存先、撮影について本人・家族の了解の有無 | 撮影に使用する機器の限定、撮影後の保存先と削除の手順 |
| 9 会員制交流サイトへの投稿 | 7月27日、職員の投稿に事業所内の様子が写り込んでいるとの申出を、家族◯◯様より受けた | 投稿の内容と公開範囲、写り込んだ範囲、投稿者 | 私的な発信に関する取り決めの周知、研修での取り上げ |
| 10 書類の廃棄 | 7月28日、廃棄予定の書類が一般のごみとして排出されていたことを、清掃時に管理者◯◯が確認した | 排出された書類の種類と量、回収の可否 | 廃棄の方法(溶解・裁断)の指定、廃棄の記録の様式 |
| 11 退職者の持ち出し | 7月29日、退職した職員が使用していた私物端末に業務の記録が残っている可能性があるとの申出を、同僚職員◯◯より受けた | 使用していた範囲、退職時の確認の記録、誓約の有無 | 退職時の確認事項の一覧化と、確認した日の記録 |
| 12 委託業者による取り扱い | 7月30日、保守作業の際に業務用端末の記録が参照可能な状態であったことを、立会いの職員◯◯が確認した | 作業の範囲、立会いの有無、契約書の秘密保持の定め | 立会いの必須化、作業前後の記録、契約書の取決めの確認 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
報告先と期限については、次の欄を先に埋めておくことをおすすめします。起きてから調べるのでは間に合いません。
| 報告先 | 報告することになっているか(記入欄) | 期限(記入欄) | 様式・提出方法(記入欄) | 確認した日・確認先(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 保険者(市区町村)の担当課 | ( ) | ( ) | ( ) | ( 年 月 日/ ) |
| 都道府県の担当課(指定権者が異なる場合) | ( ) | ( ) | ( ) | ( 年 月 日/ ) |
| 個人情報保護委員会 | ( ) | ( ) | ( ) | ( 年 月 日/ ) |
| 本人(利用者)・家族 | ( ) | ( ) | ( ) | ( 年 月 日/ ) |
| 法人本部・理事会 | ( ) | ( ) | ( ) | ( 年 月 日/ ) |
| 担当の居宅介護支援事業所・関係事業所 | ( ) | ( ) | ( ) | ( 年 月 日/ ) |
| 警察 | ( ) | ( ) | ( ) | ( 年 月 日/ ) |
| 加入している賠償保険の窓口 | ( ) | ( ) | ( ) | ( 年 月 日/ ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
悪い例/良い例32組——「苦情があったが解決した」で終わる記録を、申出者の言葉と経過まで書き切る
苦情の記録が薄くなるのは、書く人が手を抜いているからではありません。その場では全員が経緯を知っているので、書かなくても分かるからです。半年後に読む人がいない前提で書かれた記録は、半年後に読まれたときに何も語りません。左が実際によく見る書き方、右が同じ出来事を記録として成立させた書き方です。
苦情の記録——18組
| 悪い例 | 良い例 | 何が変わったか |
|---|---|---|
| 苦情があったが解決した。 | 6月12日14時20分、長女◯◯様より電話で「約束は10時なのに、来たのは10時40分。連絡もなかった」との申出。同日15時に担当職員へ確認し、前の訪問先での対応が長引いたこと、遅れの連絡が家族へ届いていなかったことを確認。同日16時、管理者より電話で経緯と手順の改訂を説明し、了承を得た。7月10日に再度連絡し、以降の連絡が行われていることを確認して終結とした。 | 受付・確認・回答・その後の確認という4つの時点が入り、経過を追える |
| ご家族から苦情あり。対応済み。 | 申出者:長女◯◯様(同居・キーパーソン)。申出の内容(申出者の言葉のまま):「変わるなら前もって言ってほしかった」。対応:緊急連絡先一覧を当日中に更新し、翌朝の申し送りで全員に周知。 | 誰の申出か、何と言われたかが残る |
| ヘルパー交代の件で苦情。謝罪した。 | 6月12日、当日交代の連絡がなかったことについて申出。原因として、当日交代が生じた際の家族への連絡が手順書に定められておらず担当者の判断に委ねられていたことを確認。6月13日に手順書へ追記し、全ヘルパーへ周知した。 | 謝罪ではなく、手順のどこが抜けていたかが書かれる |
| 言葉づかいについてご指摘あり。注意した。 | 申出の内容(申出者の言葉のまま):「『はいはい、ちょっと待ってね』と言われた。子ども扱いされているようで嫌だった」。該当職員への聞き取りを6月13日に実施し、急いでいた場面での発言であったことを確認。6月の全体会議で言葉かけについて事例検討を実施(議事録あり)。 | 「注意した」が、会議での検討という記録の残る行為に変わる |
| ご不満の声あり。改善する。 | 申出者の求め:「次からは、担当が変わるときは前日までに電話がほしい」。これに対し、交代が決まった時点で電話する運用に変更した(改訂日6月13日、担当 サービス提供責任者◯◯)。 | 相手が何を求めたかと、それに応えたかが対応する |
| 電話で苦情。説明して納得された。 | 6月12日16時50分、管理者より長女様の携帯へ電話。経緯と再発防止を説明。長女様より「分かりました。次から連絡をもらえるなら大丈夫です」との返答を得た。 | 「納得された」という評価が、相手の言葉に置き換わる |
| 財布がないと言われたが問題なかった。 | 当日訪問した職員2名に個別に聞き取り。訪問中に金銭を扱う支援はなく、記録上も金銭管理の記載がないことを確認。管理者が同行して居室内を確認したところ、寝具の下から発見。金銭・貴重品の取り扱いを文書で改めて説明した。 | 「問題なかった」の根拠が、確認の手順として残る |
| 送迎の順番についてクレーム。順番を変えた。 | 送迎表を確認し、新規利用者の追加により乗車時間が延びていたことを確認。乗車時間の一覧を作成し、40分を超える方について経路を再検討。翌週から順路を変更し、変更後の到着予定時刻をお伝えした。 | その1件の対応が、全体の点検につながっていることが分かる |
| 食事の量について要望あり。対応した。 | 食事記録を確認し、直近2週間の主食の摂取量が半分以下であることを確認。管理栄養士へ相談し主食の量を調整。7月1日に再度電話し、摂取量が改善していることを報告した。 | 対応の効果を確かめた記録が付く |
| 請求について問い合わせ。説明した。 | 請求内容と提供記録を照合し、利用回数が2回増えていたこと、実費の計上月が前月と異なっていたことを確認。内訳を1枚にまとめてお渡しし、翌月から内訳表を同封する運用に変更した。 | 1件の説明が、運用の変更として残る |
| 匿名の電話。対応不要と判断。 | 匿名であっても受付簿に登載(R08-苦情-021)。内容から時期・場面を特定できる範囲で職員へ聞き取りを実施。特定に至らなかったため、全体会議で注意喚起を行い議事録に記録した。 | 件数から漏れず、検討したことが残る |
| 市から問い合わせがあった。回答した。 | 照会元:保険者(市区町村)◯◯課◯◯様。照会を受けた日時:6月25日10時15分(電話)、同日15時に文書到着。求められた資料:計画書・提供記録・勤務実績表・苦情記録。6月27日に持参して提出(受領印あり)。 | 何を求められ、何を出したかが残る |
| 国保連から連絡。対応済み。 | 国民健康保険団体連合会の苦情相談窓口より6月12日に照会。照会事項ごとに提供記録・計画書・聞き取り結果を整理して回答書を作成し、6月27日に送付(写しを保管)。 | 回答の中身が後から確認できる |
| ケアマネさんから苦情の連絡。伝えた。 | 受付方法:第三者経由(担当の居宅介護支援事業所 介護支援専門員◯◯様より6月12日11時に電話。長女様から同事業所へ寄せられた内容の伝達)。6月13日、管理者より長女様へ直接電話し、確認の結果を説明した。 | 伝達元への回答で終わらず、申出者本人への回答が残る |
| 再発防止に努める。 | 再発防止のために変えたこと:手順書「当日変更時の対応」に家族への連絡を追加(改訂日6月13日、担当◯◯)。他の利用者の緊急連絡先も6月末までに全件点検することとした。 | 誰が・いつまでに・何をするかが決まる |
| 本件は終了。 | その後の確認:7月10日、サービス提供責任者より長女様へ電話。以降2回の担当変更でいずれも事前連絡ができていることを確認。本件は7月10日をもって終結とした(判断者 管理者◯◯)。 | 誰がいつ終結と判断したかが残る |
| 苦情ゼロ。 | 令和8年度上半期の受付件数:8件(電話5・来所1・第三者経由1・保険者経由1)。うち終結7件、継続1件。内容の内訳と、そこから変更した手順3件を10月の全体会議で共有した。 | 件数だけでなく、そこから何が変わったかが読める |
| 苦情は事故報告書に一緒に綴じている。 | 苦情記録・事故報告書・ヒヤリ・ハット記録を別綴じとし、それぞれの受付簿から該当の記録へ辿れる番号を振った。相互に関係する場合は、双方に相手の番号を記載する。 | 神戸市の資料が求める「分けて保存・整備」の形に沿う |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
秘密保持・個人情報の記録——14組
| 悪い例 | 良い例 | 何が変わったか |
|---|---|---|
| 同意書は契約時にもらっている。 | 同意を得た日:令和8年4月1日(契約締結日と同日)。本人分:利用者◯◯様 自署。家族分:長女◯◯様 自署(長女様ご自身の個人情報の利用についての同意として)。説明者:管理者◯◯。 | 本人分と家族分が分かれ、説明者と日付が残る |
| 家族の同意は代理欄に署名をもらっている。 | 本人欄・代筆者欄とは別に家族欄を設け、長女様ご自身に署名をいただいた(様式改訂日 令和8年3月20日)。代筆者欄は、本人の署名が困難な場合の代筆としてのみ使用する。 | 神戸市・宇都宮市・福井市の資料が示す区分に沿う |
| 個人情報は関係機関に提供します。 | 誰に提供するか:担当の居宅介護支援事業所、訪問介護◯◯、通所介護◯◯、主治医◯◯医院、緊急連絡先(長女◯◯様)、保険者(市区町村)。 | 提供先が具体名になり、実際の提供と突き合わせられる |
| 使用期間の記載はしていない。 | 期間:契約締結日から契約終了日までとする(大阪市資料に示されている記載例に沿った書き方の例)。 | 大阪市の資料が挙げる「使用期間が記載されていない」に対応する |
| サービスが増えたが同意書はそのまま。 | 令和8年5月、通所介護◯◯の利用開始にともない提供先が増えたため、5月10日に改めて説明し同意を得た(説明者 管理者◯◯)。 | 提供先の変更が同意の取り直しにつながる |
| 提供をやめてほしいと言われたので口頭で対応した。 | 令和8年7月3日、長女◯◯様より「自分の勤務先の連絡先は他事業所へ伝えないでほしい」との申出。同日、提供先一覧から当該項目を除外し、関係事業所へ連絡した。申出の内容と対応を個人情報の記録として保管。 | 撤回・変更の申出が記録として残る |
| 誓約書は全員分ある(はず)。 | 従業者名簿と誓約書の枚数を照合し、令和8年7月1日時点で在籍22名に対し22枚あることを確認した(確認者 管理者◯◯)。 | 「あるはず」が、数えた記録に変わる |
| 昔からいる職員は入職時に取っている。 | 在職10年以上の職員6名について、誓約書の有無と退職後の秘密保持に関する記載の有無を個別に確認。記載のない3名から改めて取り交わした(令和8年7月10日)。 | 仙台市の文書指摘(入社20年を超える職員2名)と同じ抜けを防ぐ |
| 派遣の方は派遣元と契約しているので不要。 | 労働者派遣契約書に在職中および従業者でなくなった後の秘密保持の定めがあるかを確認。定めのない2名について、事業者として誓約書を取り交わした(令和8年7月10日)。 | 仙台市の資料が示す確認の順序に沿う |
| 誓約書に退職後のことは書いていない。 | 退職後の秘密保持に関する記載がない従業者を一覧化し、順次取り交わしている(対象9名、うち取り交わし済み9名、令和8年7月末時点)。 | 姫路市の指摘(退職後の規定がなかった)に対応した状態が残る |
| 担当者会議で家族の連絡先も共有した。 | 令和8年5月14日のサービス担当者会議において、長女◯◯様の連絡先を出席者に伝えることについて、長女様の同意の範囲内であることを事前に確認したうえで提供した。 | 提供の場面ごとに、同意の範囲との照合が残る |
| 別居のご家族にも状況を伝えている。 | 令和8年6月10日、長男◯◯様(別居)へ体調の変化を電話で連絡。事前に本人へ確認し、伝えることについて了解を得たうえで連絡している(本人への確認:6月10日9時、管理者◯◯)。 | 本人の意向を確認した記録が残る |
| 書類がなくなったが見つかったので記録はしていない。 | 発見の日時・発見者、対象となる情報、捜索の範囲、発見の状況、本人・家族への連絡、報告先の欄(記入欄)、再発防止を1枚にまとめ、個人情報に関する記録として別綴じで保管した。 | 見つかった場合でも経過が残り、再発防止につながる |
| 漏えいのおそれがあったが、報告先が分からないまま日が過ぎた。 | 報告先の一覧(保険者(市区町村)/個人情報保護委員会/本人・家族/法人本部/関係事業所/警察/賠償保険の窓口)について、報告の要否・期限・様式・確認先を平時に記入欄へ埋め、年1回見直すこととした。 | 起きてから調べる状態を、平時に確認しておく状態に変える |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
運営指導で見られる点と、1年間の運用・手元に残す記録
ここまでの内容の根拠になっている公表事例を、出典とあわせて一覧にします。読むと分かるのは、苦情も個人情報も「起きたこと」ではなく「揃っていないこと」で挙がっているという点です。窓口が書かれていない、家族の同意欄がない、退職後の規定がない——いずれも、事が起きる前に埋められる欄です。
| 公表されている指摘の内容 | どこを見られているか | 出典(自治体・資料) |
|---|---|---|
| 従業者が退職後に秘密を漏らさないよう必要な措置を講じていない/利用者から個人情報を用いる場合の同意を得ていない/利用者の家族から個人情報を用いる場合の同意を得ていない。代理人は利用者本人の代理であるため、代理人欄への記載をもって家族の同意とすることはできない | 秘密保持誓約書、雇用契約書・就業規則、個人情報使用同意書(利用者・家族それぞれ) | 福井市「令和7年度 介護保険制度等に係る集団指導」 |
| 個人情報の使用に係る同意書について、利用者の家族に係る個人情報使用の同意を得ていなかった | 個人情報使用同意書(利用者分・家族分)、サービス担当者会議の要点 | 姫路市「令和6年度以前実地指導結果(指定基準等)」 |
| 従業員の秘密保持の誓約書に、退職後の規定がなかった | 秘密保持誓約書、就業規則、雇用契約書 | 姫路市「令和6年度以前実地指導結果(指定基準等)」 |
| 利用者家族から個人情報を使用するための同意を得ていない。代理・代筆者欄はあくまで利用者本人の個人情報について使用する同意欄であるため、代筆者欄等とは別に家族からの同意欄を設ける | 個人情報使用同意書、従業者の秘密保持誓約書、就業規則 | 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1(同旨は金沢市 令和7年度集団指導資料1) |
| 家族の個人情報使用同意書を受領していない。利用者の代理署名は家族(代表)の個人情報使用の同意にはならない | 個人情報使用同意書(利用者分・家族分)、重要事項説明書、利用契約書 | 神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月)(同趣旨の記載は堺市の資料にもある) |
| 入社20年を超えている職員2名について、秘密保持誓約書を取り交わしていない/派遣職員について、秘密保持誓約書が作成されていない | 秘密保持誓約書、就業規則、労働者派遣契約書、従業者名簿 | 仙台市介護事業支援課「令和6年度 運営指導方針・令和5年度 運営指導結果等【居宅サービス指導係 所管サービス】」(令和6年6月 集団指導) |
| サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ていない | 個人情報使用同意書(本人・家族)、従業者の誓約書、就業規則・雇用契約書、契約書(契約日・同意日) | 千葉県「指導監査の状況について」(令和7年度介護保険指定事業者集団指導資料)(同旨は愛知県の主な指示事項) |
| 従業者の秘密保持に係る誓約書について、対象が「利用者又はその家族の個人情報」であることを明確にすること、在職中だけでなく退職後も秘密保持する旨を明記すること | 誓約書の対象範囲と期間の記載 | 埼玉県福祉部福祉監査課「運営指導での主な指摘事項に関するQ&A ー介護保険 居宅サービス事業所ー」(令和8年4月) |
| 個人情報使用同意書に利用者の家族の同意欄が設けられていなかった/個人情報の使用同意書に使用期間が記載されていない/サービス担当者会議等において利用者家族の個人情報を用いる場合の同意をあらかじめ得ていない | 個人情報使用同意書(利用者本人分・家族分)、サービス担当者会議記録、契約書・重要事項説明書 | 広島市「令和7年度運営指導の指摘事項等について」(同旨:大阪市 令和8年度集団指導資料 居宅サービス編/福岡県介護保険広域連合 令和6年度版) |
| 重要事項説明書と重要事項の掲示の苦情相談窓口に、事業所の担当者名・電話番号・対応時間、通常の事業の実施地域すべての保険者の担当課名・電話番号、国民健康保険団体連合会の苦情相談専用電話番号のすべてを記載すること | 重要事項説明書、重要事項の掲示、苦情対応記録、運営規程 | 埼玉県福祉部福祉監査課「運営指導での主な指摘事項に関するQ&A ー介護保険 居宅サービス事業所ー」(令和8年4月)(同旨は愛知県の主な指示事項) |
| 苦情相談窓口として各保険者及び国民健康保険団体連合会の連絡先が記載されていない/重要事項説明書に事故発生時の対応について記載されていない | 運営規程、重要事項説明書 | 和歌山市 令和3年度 介護保険サービス事業者集団指導資料【Ⅰ共通資料(その1)】(令和4年3月・和歌山市指導監査課) |
| 運営規程・重要事項説明書の内容が実態と異なる。差異の多い事項として苦情受付機関、利用料、通常の事業の実施地域、記録の保存期間等が挙げられている | 運営規程、重要事項説明書、掲示 | 福井市「令和7年度 介護保険制度等に係る集団指導」 |
| 事業所に重要事項を掲示していない/重要事項をウェブサイトに掲載していない/苦情相談窓口の掲示を行っていない | 掲示物(重要事項・運営規程の概要・苦情相談窓口)、ウェブサイトの掲載画面、介護サービス情報公表システムの登録内容 | 足立区「令和7年度 集団指導(小規模多機能型居宅介護)」 |
| 運営規程の概要、事故発生時の対応、苦情処理の体制、第三者評価の実施の状況等の重要事項が掲示されていない | 掲示物の現物・写真、運営規程、苦情処理体制を示す書面、ウェブサイト掲載画面 | 福岡県介護保険広域連合「居宅介護支援事業者等 集団指導資料(令和6年度版)」 |
| 事故・ヒヤリハット・苦情の記録は分けて保存・整備する | 事故報告書、ヒヤリ・ハット記録、苦情記録、再発防止策の検討記録、従業者への周知記録 | 神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月) |
| 苦情相談窓口を利用者に周知していない/守秘義務の取り決め・個人情報同意が不十分 | 重要事項説明書、苦情受付記録、守秘義務誓約書、個人情報使用同意書、就業規則 | 東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) |
| 指示書・計画書・報告書・提供記録・市町村への通知記録・苦情記録・事故記録の整備と保存が不十分 | 記録の整備状況、保存の方法 | 東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護) |
| 重要事項の内容に変更があった際における利用者への説明や同意がなされていない/定められた掲示物(勤務表、運営規程、重要事項説明書、相談窓口、苦情処理に関するもの等)が掲示されていない | 重要事項説明書と同意記録、掲示物、勤務表 | 熊本市「令和8年度(2026年度)熊本市介護サービス事業者集団指導 共通編」 |
| 会議の議事に、利用者からの苦情があった場合はその内容及び改善方針を含める必要があり、議事内容が分かるように記録すること | 会議の記録、議題ごとの記載 | 青森県三戸町ウェブサイト掲載 集団指導資料「運営指導における指摘事項(居宅介護支援)」 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
最後の1件は、会議の記録に苦情の内容と改善方針を含めることを求めるものです。苦情の記録が、会議の記録・研修の記録とつながっていることが分かります。なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。
1年間の運用——いつ、何を点検するか(記入欄つき)
苦情処理と秘密保持は、事が起きたときだけ動く仕組みにすると必ず抜けます。点検の時期をあらかじめ決めて、記録の側に日付を残すのが最も確実です。時期は例であり、事業所の事業年度や保険者の集団指導の時期に合わせて差し替えてください。
| 時期 | やること | 担当(記入欄) | 実施日(記入欄) | 残る記録 |
|---|---|---|---|---|
| 4月 | 全利用者の個人情報使用同意書の有無を一覧で点検(本人分・家族分それぞれ) | ( ) | ( 年 月 日) | 点検一覧、追加で取得した同意書 |
| 4月 | 新規採用者・異動者の秘密保持の誓約を取り交わし、従業者名簿と枚数を照合 | ( ) | ( 年 月 日) | 誓約書、照合の記録 |
| 5月 | 掲示・重要事項説明書・運営規程の苦情相談窓口を突き合わせて点検(本記事の点検表を使用) | ( ) | ( 年 月 日) | 点検表、掲示物の写真 |
| 6月 | 苦情の受付簿を集計し、上半期の傾向と変更した手順を全体会議で共有 | ( ) | ( 年 月 日) | 集計表、会議の議事録 |
| 7月 | 個人情報の取り扱いに関する研修を実施(持ち出し・紛失・誤送信の場面を含む) | ( ) | ( 年 月 日) | 研修の記録、出席者名簿、資料 |
| 8月 | 持出簿・貸出簿の記入状況を点検し、記入率を確認 | ( ) | ( 年 月 日) | 点検の記録 |
| 9月 | 委託業者・保守業者との契約に秘密保持の定めがあるかを契約ごとに確認 | ( ) | ( 年 月 日) | 契約一覧、確認の記録 |
| 10月 | 報告先の一覧(保険者・個人情報保護委員会・本人・法人本部等)の要否・期限・様式を確認して更新 | ( ) | ( 年 月 日) | 報告先一覧(記入済み) |
| 11月 | 苦情対応マニュアルを見直し、上半期に変更した手順を反映 | ( ) | ( 年 月 日) | 改訂したマニュアル、改訂履歴 |
| 12月 | 退職予定者・退職者について、退職時の確認事項と誓約の状況を点検 | ( ) | ( 年 月 日) | 退職時の確認記録 |
| 1月 | 重要事項のウェブサイトへの掲載内容と、掲示の内容が一致しているかを確認 | ( ) | ( 年 月 日) | 掲載画面の写し、掲示物の写真 |
| 2月 | 苦情の受付簿を通年で集計し、翌年度の重点を決める | ( ) | ( 年 月 日) | 年間集計、翌年度の計画 |
| 3月 | 次年度の様式(受付簿・対応記録・同意書・誓約書)の版を確定し、旧版を回収 | ( ) | ( 年 月 日) | 様式の版数一覧、回収の記録 |
| 随時 | 保険者の集団指導資料が公表されたら、苦情処理・秘密保持の項を読み、点検表へ反映 | ( ) | ( 年 月 日) | 反映した点検表、参照した資料の名称 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
手元に残す記録の一覧——保管場所・最終更新日・次回予定
最後に、この記事で扱った記録を1枚にします。運営指導の当日に探し回らないための地図として、保管場所と最終更新日を埋めておいてください。保存の年数は保険者(指定権者)により異なるため、記入欄にしています。
| 記録 | 保管場所(記入欄) | 最終更新日(記入欄) | 次回予定(記入欄) | 保存の年数(記入欄) |
|---|---|---|---|---|
| 苦情の受付簿(年度ごとの一覧) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 苦情者への対応記録(1件ごと) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 苦情対応マニュアル(改訂履歴つき) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 保険者・国民健康保険団体連合会からの照会と回答の記録 | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 苦情相談窓口の掲示物(現物・写真) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 掲示・重要事項説明書・運営規程の突き合わせ点検表 | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 個人情報使用同意書(利用者本人分) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 個人情報使用同意書(家族分) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 同意の撤回・範囲の変更の申出の記録 | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 従業者の秘密保持誓約書(在職者・退職者) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 従業者名簿と誓約書の照合の記録 | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 労働者派遣契約書・委託契約書(秘密保持の定めの確認記録) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 第三者提供の記録(提供先・日付・範囲) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 持出簿・貸出簿 | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 持ち出し・紛失・漏えいが疑われた場面の記録 | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 報告先の一覧(要否・期限・様式を記入済みのもの) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 個人情報の取り扱いに関する研修の記録 | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
| 苦情を踏まえた手順の改訂の記録(質の向上の取組) | ( ) | ( 年 月 日) | ( 年 月 日) | ( 年) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
苦情処理も秘密保持も、揃えるものは多くありません。受付簿・対応記録・マニュアルの3つと、同意書(本人分・家族分)・誓約書(在職中・退職後)の組。そして、その2組をつなぐのが「申出を受けたら、事実を確かめ、相手に返し、その後を確認する」という同じ手順です。別添1がこの2つを隣に置いているのは、確認する側にとって同じ形の記録だからでした。様式を1つに揃え、点検の日を年間の予定に入れる——それだけで、38種別のどれであっても同じやり方で通せます。
出典
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
