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転倒予防の看護計画|住まいの場所・時間帯・片麻痺で書き分ける訪問看護計画書 目標とO-P/T-P/E-P記載例164例

夜中に一人でトイレへ行こうとして寝室の戸口でよろけた方、脳梗塞の後で片側の手足に麻痺が残り、杖を持ち替えるときに体が傾く方、骨折の手術を終えて家に戻ったばかりで「もう一度転んだら終わり」と外に出なくなった方、物忘れがあり、つかまる所を決めても別の家具に手をつく方――このような、転倒を防ぎながら家での暮らしを続けたい方の在宅の訪問看護計画書について、看護・リハビリテーションの目標、療養上の課題・支援内容(O-P・T-P・E-P)、評価をどう書くかを、記載例でまとめた記事です。読み手は訪問看護ステーションの看護師・保健師・理学療法士・作業療法士・管理者を想定しています。

病院の看護計画や看護学生の看護過程では、「転倒転落リスク状態」のような看護診断名を立て、病棟のベッド・センサー・巡視の回数を中心に計画を組み立てることが多くあります。在宅の訪問看護計画書は、看護師がいない時間のほうがずっと長い暮らしの中で、家のどの場所で、どの時間帯に、どんな動作のときに転びそうになるのか、それを誰がどう見つけて、誰とどう分担して減らしていくか、転んだときに誰へどの順で知らせるかを書く計画です。この記事は後者だけを扱います。住まいの場所ごと・時間帯ごとの観察、ケアマネジャー・訪問リハ・福祉用具・ヘルパーとの分担、転んだ後の訪問で確かめることと記録、ご家族への伝え方を、それぞれ表にしています。

以下の記載例は、すべて架空の利用者を想定して当社が作成した記載のイメージです。血圧や検査値の基準、評価尺度の点数とその区切り、薬の名前と量、運動の回数や負荷など、数値と医学的な判断にあたる内容は、この記事には書いていません。これらは主治医の指示書や処方、リハビリ職の評価から示された内容を、示されたとおりに計画書へ写すものとして「主治医の指示書の範囲で」「主治医に報告する」の形で書いています。福祉用具や住宅改修の種類を決めて手配するのは介護支援専門員(ケアマネジャー)と福祉用具専門相談員の役割で、訪問看護の計画書では、気づいたことを伝えて相談する形で書き分けています。パーキンソン病のある方のすくみ足や薬の効き目の波による転倒は、別の記事(関連記事を参照)で扱っています。

計画書の欄と通知の原文|転倒予防の計画書で、欄ごとに何を書くか(欄別対照表2つ)

医療保険の訪問看護の計画書の各欄に何を書くかは、「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日 保医発0327第10号)の第一の2(1)に、介護保険の訪問看護については「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日 老企第55号)に示されています。計画書の様式には「転倒」という名前の欄はありません。転びやすい場所と時間帯、家の中の工夫、ほかの事業所との分担、転んだときの連絡の順番は、目標・療養上の課題・支援内容・訪問予定の職種・備考の各欄に分けて書き込みます。下の表の左から2列目は保医発0327第10号の原文、右の2列は転倒予防の計画書で書く中身と、貴事業所の運用を書き込む欄です。

欄 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(1)) 転倒予防の計画書で書く中身 貴事業所の記入欄
利用者氏名・生年月日・要介護認定の状況・住所 ①「必要な事項を記入すること」 住所の欄とは別に、家の間取り(寝室とトイレの位置、段差、階段の有無)と、一人で過ごす時間帯を記録書Ⅰに残しておく。区分の変更を申請中の方では、申請の状況を備考に書き、結果が出たら見直す日を決めておく 間取りの記録先:(    )
看護・リハビリテーションの目標 ②「主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて看護及びリハビリテーションの目標を設定し、記入すること」 「転倒しない」「転倒を予防する」で止めず、ご本人が続けたい暮らし(自分でトイレに行く、庭の水やりを続ける、近所の店まで歩く等)と、そのために家で続ける行動(つかまる所を決める、夜は明かりをつけて起きる、転んだら知らせる)を主語にする 目標の主語の決まり:(    )
年月日 ③「計画書の作成年月日及び計画の見直しを行った年月日を記入すること」 転んだ日、骨折などで入院して戻った日、福祉用具や手すりが入った日、処方が変わった日、同居の家族の状況が変わった日など、見直しのきっかけになった日を残す 見直しのきっかけの一覧:(    )
療養上の課題・支援内容 ④「看護及びリハビリテーションの目標を踏まえ、指定訪問看護を行う上での療養上の課題及び支援内容並びに評価を具体的に記入すること」 課題の文には、家のどの場所で、どの時間帯に、どんな動作のときに転びそうになるかと、根拠になる事実(転んだ日時と場所、ご本人・ご家族の言葉、訪問時に見た動作)を添える。支援内容はO-P・T-P・E-Pに分け、運動の回数や負荷は「リハビリ職の評価に基づき」「指示書の範囲で」の形で書く 課題の根拠の書き方:(    )
評価 ④(同上)。介護保険の老企第55号の記載要領では、評価の欄について「初回の訪問看護サービス開始時においては、空欄であっても差し支えない」とされています 目標ごとに、記録書Ⅱとご家族のメモに残した事実(転びそうになった場面の数と場所、つかまる所を使えた場面、転んだときに知らせられたか、外出の回数の変化)で書く。「転倒なし」の一語で終わらせない 評価を書く時期:(    )
衛生材料等が必要な処置の有無・処置の内容・衛生材料等・必要量 ⑤「衛生材料等が必要になる処置の有無について○をつけること」「『処置の内容』及び『衛生材料等』について具体的に記入し、『必要量』については1ヶ月間に必要となる量を記入すること」 転んだときの擦り傷や皮膚のはがれに処置を続けている方では、指示書のとおりに処置の内容・種類とサイズ・1か月の必要量を写す。処置がなければ「無」とする。福祉用具や滑り止めなど、処置に使わない物はこの欄に書かない 衛生材料の確認先:(    )
訪問予定の職種 ⑥「訪問予定の職種及びその訪問日について、利用者に分かるように記載すること」。看護職員のみによる訪問の場合には記載しなくても差し支えないとされています 理学療法士・作業療法士が立ち上がりや歩行、家の中の動作の練習に入る方では、職種と曜日を書く。看護師の訪問とリハビリ職の訪問で、それぞれ何を受け持つかがご本人に分かるようにする 職種ごとの受け持ちの伝え方:(    )
備考 ⑦「利用者に対する訪問の計画、特別な管理を要する内容、他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況、その他留意すべき事項等を記入すること」 一人で過ごす時間帯、使っている福祉用具と住宅改修の内容、ヘルパー・通所・訪問リハの曜日、転んだときの連絡の順番(ご家族→当ステーション→主治医・ケアマネジャー)、起き上がれないときの呼び方(緊急通報の機器の有無等)など 備考に書く項目:(    )

※上記は厚生労働省の通知(保医発0327第10号・老企第55号)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。様式と記載の取扱いは保険者(指定権者)や審査支払機関によって異なる場合があります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

通知の原文で確かめる|転倒にかかわる観察・連絡・転んだ後の対応を、どの書類のどの欄に残すか

転倒予防は、計画書だけで完結しません。転びそうになった場面は記録書Ⅱに、ほかの事業所の連絡先は記録書Ⅰに、月の経過は報告書に残ります。どの書類のどの欄に何を残すかを、手元の通知の原文から並べました。

確かめる点 通知の原文 転倒予防で確かめること 貴事業所の記入欄
計画書の作り方の基本(介護保険) 老企第55号 1(1)「訪問看護計画書は、主治の医師の指示、利用者の希望や心身の状況等を踏まえ、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載して作成すること」 ご本人の「自分でトイレに行きたい」「畑を続けたい」などの希望が、目標と支援内容に入っているか。転ばないことだけが目標になっていないか 希望を聞き取った日:(    )
居宅サービス計画との関係(介護保険) 老企第55号 1(1)「既に居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成するものであること」 ケアプランに書かれた福祉用具・住宅改修・通所・訪問リハ・ヘルパーの分担と、計画書の支援内容がそろっているか ケアプランの受け取り日:(    )
主治医への提出(介護保険) 老企第55号 1(2)「主治医と連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため定期的に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出しなければならないこと」 転んだ回数と場面、ふらつきの訴えが報告書を通じて主治医に届いているか。整形外科など別の医師にかかっている方では、写しの扱いを決めているか 提出先と写しの扱い:(    )
欄の名前の変更(介護保険) 介護保険最新情報Vol.1213 別紙17の老企第55号の改正で、計画書④の欄は「問題点・解決策」から「療養上の課題・支援内容」に改められています 古い様式のまま「問題点・解決策」の欄を使っていないか。「転倒リスクあり」のような名前だけの書き方を、課題と支援内容の形に見直す 様式の改訂日:(    )
記録書Ⅰに書く項目 保医発0327第10号 第一の2(3)②。記録書Ⅰには「初回訪問年月日、訪問職種、主たる傷病名、現病歴、既往歴、療養状況、介護状況、訪問看護の依頼目的、緊急時の主治医・家族等の連絡先、指定居宅介護支援事業所等の連絡先、その他関係機関との連絡事項等を記入すること」 これまでの転倒・骨折の経過(既往歴・現病歴)、家の間取りと一人の時間帯(療養状況・介護状況)、福祉用具の事業所・通所・訪問リハの連絡先(その他関係機関)を初回に残す 転倒歴の聞き取り日:(    )
記録書Ⅱに書く項目 同 第一の2(3)②。記録書Ⅱには「訪問年月日、訪問時間(実際の指定訪問看護の開始時刻及び終了時刻)、訪問職種、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等」の必要な事項を記入すること 前回の訪問から転びそうになった場面の有無、見た動作、行った練習と環境の調整を、訪問のたびに同じ順番で書く場所を決めておく 観察の順番の決まり:(    )
報告書「病状の経過」 同 第一の2(2)③「利用者の病状、日常生活動作(ADL)の状況等について記入すること」 月のあいだに転んだ・転びそうになった日と場所、歩き方や立ち上がりの変化、外出の回数を、計画書の課題と同じ言葉で書く 報告書を書く担当:(    )
報告書「特記すべき事項」 同 第一の2(2)⑨「前記の②から⑧までの各欄の事項以外に主治医に報告する必要のある事項を記入すること」 処方が変わった後のふらつきの訴え、夜中のトイレの回数の変化など、主治医に判断を求めたいことを書く 特記事項に書く基準:(    )
評価と見直し 同 第一の2(3)③「目標達成の程度及びその効果等について評価を行うとともに、評価に関する内容を訪問看護記録書に記録すること」「必要に応じて訪問看護計画書の見直しを行い、指定訪問看護の改善を図る等に努めなければならないものであること」 転んだ後、入院から戻った後、福祉用具が変わった後に、評価と見直しを行い、その内容を記録書に残しているか 見直しの記録の担当:(    )
管理者の確認 同 第一の1(3)。管理者は、主治医からの訪問看護指示書、「計画書及び報告書並びに記録書の内容について、助言、指導、確認等十分な管理を行い、指定訪問看護の提供等に遺漏のないよう努めること」 転んだという連絡が担当の看護師だけで止まらず、計画書・記録書・ほかの事業所への連絡に反映されているかを管理者が確かめているか 確認の担当者:(    )

※上記は厚生労働省の通知(保医発0327第10号・老企第55号)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。様式と記載の取扱いは保険者(指定権者)や審査支払機関によって異なる場合があります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

転びやすさの背景で書き分ける|足腰の弱り・片麻痺・夜中のトイレ・物忘れ・立ちくらみ・骨折のあと(6つの型の比較表)

同じ「転倒予防」でも、なぜ転びやすいのかによって、計画書の重心は大きく変わります。足腰の弱りが中心の方に夜中のトイレの工夫だけを書いても、物忘れのある方に「つかまる所を覚えてもらう」とだけ書いても、計画は暮らしに合いません。計画書を作る前に、記録書Ⅰの聞き取りと訪問時の動作の観察から、どの型が中心か(重なっている場合はどれとどれか)を決めておくと、目標と支援内容がぶれにくくなります。転びやすさの医学的な原因の見立ては主治医によるもので、訪問看護の計画書は暮らしの場面から書きます。

背景の型 転びやすい場面の例 観察の中心 計画書の重心 主な連携先
足腰の弱り・バランスの低下 立ち上がってすぐの一歩、方向を変えるとき、敷居をまたぐとき、外の段差 立ち上がりと歩き出し、方向転換、つかまる物の使い方、外出の回数 リハビリ職と練習の分担を決め、家の中で続ける動作を目標にする。動かなくなることで弱る流れを止める 訪問リハ・通所・福祉用具専門相談員・ケアマネジャー
片麻痺(脳卒中の後など) 麻痺のある側への方向転換、杖を持ち替えるとき、装具をつけずに立つとき、麻痺側の物に気づかずにぶつかるとき 麻痺側の足の運び、装具と杖の使い方、麻痺側への注意の向き方、肩や手の扱い リハビリ職が決めた動作の順番を、家族・ヘルパーが同じやり方で続けられるようにする 主治医・訪問リハ・装具を作った医療機関・福祉用具専門相談員
夜中のトイレ 夜中に起きてすぐ歩き出すとき、暗い廊下、寝ぼけたまま戸を開けるとき、急いでトイレに向かうとき 夜中に起きる回数と時刻(家族の記録)、寝室からトイレまでの明かりと距離、履物、尿意の急さ 夜の動線の工夫と、尿の回数の変化を主治医へつなぐことを分けて書く 主治医・ケアマネジャー・福祉用具専門相談員・家族
物忘れ・注意の向きにくさ 決めた手すりではなく近くの家具に手をつく、杖を置いたまま歩き出す、夕方に落ち着かず歩き回る 一日のうちの落ち着かない時間帯、つかまる物の選び方、杖や歩行器を使う場面と使わない場面 覚えてもらうことに頼らず、物の置き場所と動線を変える工夫を中心に書く ケアマネジャー・ヘルパー・通所・家族
立ちくらみ・ふらつき 起きがけ、食事の後、入浴の後、トイレでいきんだ後、処方が変わった後 ふらつきが出る時刻と場面、ご本人の訴えの言葉、指示書に測定の指示がある場合はその方法で測った値 ゆっくり起きる順番を暮らしの習慣にすることと、ふらつきの変化を主治医へ報告することを書く 主治医・薬局・家族
骨折のあと・転ぶことへの不安 退院して間もない時期、手術をした側に体重をかけるとき、「また転ぶのが怖い」と動かなくなるとき 退院時に示された動作の注意、痛みの訴えと動作の関係、外出と家の中での活動の量、ご本人の言葉 退院時の注意を写し、怖さに寄り添いながら動ける範囲を少しずつ広げることを目標にする 主治医・手術をした医療機関・訪問リハ・ケアマネジャー

※上記は当社が作成した記載のイメージです。転びやすさの原因の見立てと動作の注意は、主治医の指示書とリハビリ職の評価に従ってください。

片麻痺のある方の転倒予防|麻痺側・装具・杖・注意の向き方で計画書に書くこと(10項目)

脳卒中などの後で片側の手足に麻痺が残る方では、転び方に偏りが出やすく、家族やヘルパーの手の貸し方ひとつで転びやすさが変わります。動作の順番や装具の扱いはリハビリ職と装具を作った医療機関の指示が元になります。訪問看護の計画書では、それを家で同じやり方で続けられるようにすることと、変化に気づいて伝えることを書きます。

項目 見ること・聞くこと 計画書への書き方の型 貴事業所の記入欄
麻痺側の足の運び 歩き出しや方向転換で、麻痺側のつま先が床に引っかかっていないか。疲れた夕方に変わらないか O-P「麻痺側(右・左)の足の運びを、歩き出しと方向転換の場面で見る。朝と夕方の違いを本人・家族に聞く」 見る場面:(    )
装具のつけ方と皮膚 装具を自分でつけられるか、つけずに立つ場面がないか、装具があたる所の赤み T-P「リハビリ職の示した順番で装具をつける場面を一緒に確かめる」O-P「装具があたる所の皮膚の赤みを見る」 装具の確認先:(    )
杖の持ち方と置き場所 杖を持つ手、立ち上がるときの杖の置き場所、杖を置いたまま歩き出す場面 T-P「杖を立てかける場所を、ベッドの横と椅子の横に本人と決める」 決めた置き場所:(    )
方向転換の向き 麻痺のある側へ回るときに体が傾かないか、その場で足を踏みかえられるか E-P「向きを変えるときの順番を、リハビリ職の指導と同じ言葉で本人・家族と確かめる」 指導の言葉の写し:(    )
麻痺側への注意の向き方 麻痺側の物や戸口にぶつかる、麻痺側の手が車いすの車輪や戸に挟まりそうになる場面 T-P「よく使う物を本人が気づきやすい側に置き直す。通り道の麻痺側に物を置かない」 置き直した物:(    )
麻痺側の肩と手 手を貸すときに麻痺側の腕を引っぱっていないか、肩の痛みの訴え E-P「立ち上がりを手伝うときに麻痺側の腕を引かない手の貸し方を、家族とヘルパーに伝える」 伝えた相手:(    )
立ち上がりと座り込み 椅子・ベッド・便座からの立ち上がりで、手をつく場所と足の位置 T-P「便座から立つときの手すりの位置と足の引き方を、本人と一緒に確かめる。合わないときはケアマネジャーに相談する」 相談した日:(    )
入浴とまたぎ動作 浴槽をまたぐ順番、洗い場の椅子からの立ち上がり、床のぬれ T-P「入浴の手順を、通所・訪問入浴・家族の入浴介助で同じにする。違いがあればケアマネジャーに伝える」 入浴の場所と担当:(    )
しびれや感じ方の変化 麻痺側の感じ方、熱い・冷たいへの気づきにくさ、新しいしびれや力の入りにくさの訴え O-P「麻痺側の感じ方の変化と、新しいしびれ・力の入りにくさの訴えを聞く。いつもと違うときは事業所の手順に沿って主治医へ連絡する」 連絡の手順の確認日:(    )
疲れと一日の動ける量 午前と午後の動きの違い、通所やリハビリの日の夕方の様子 O-P「通所・リハビリの日の夕方の動きと、転びそうになった場面の有無を家族に聞く」 聞き取る相手:(    )

※上記は当社が作成した記載のイメージです。動作の順番・装具の扱い・連絡の目安は、主治医の指示書とリハビリ職・装具を作った医療機関の指示に従ってください。

住まいの場所別の観察|玄関・廊下・寝室・トイレ・浴室・台所・階段・屋外など12か所の見る所とO-Pへの書き方

在宅の転倒は、家のどこで起きるかによって防ぎ方が変わります。病棟の看護計画にはない、在宅ならではの観察です。初回の訪問と見直しのときに、ご本人と一緒に家の中を歩き、場所ごとに「どこで転びそうになったことがあるか」「どこにつかまっているか」を聞き取ると、課題の文に根拠が入ります。家具の配置や物の置き場所はご本人・ご家族の暮らしそのものなので、看護師が勝手に動かさず、理由を伝えて一緒に決めます。手すりや段差の解消など、住宅改修や福祉用具に当たるものは、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に相談する形で書きます。

場所 見る所・聞くこと 記録書Ⅱへの書き方の型 つなぐ先・計画書の書き方
玄関・上がりかまち 段差の高さの感じ方、靴を脱ぎ履きするときに腰かける所、つかまる所、外から帰ったときの疲れ 「上がりかまちで靴を履くとき、立ったまま片足で履いている。腰かける台はない」と、動作と物の有無で書く 腰かける台や手すりが要るかをケアマネジャーに相談する、とT-Pに書く
廊下・戸口・敷居 敷居や引き戸のレールの段差、床に置いた物、電気のコード、廊下の明るさ 「寝室の戸口の敷居でつま先が引っかかると本人。廊下に新聞の束を置いている」と書く 物の置き場所を本人・家族と決め直す、とT-Pに書く。段差の解消は相談の形にする
寝室・ベッドまわり ベッドの高さと足の着き方、起き上がるときにつかまる物、枕元の明かり、ベッドの横の物 「起き上がるときに枕元の棚に手をついている。棚は固定されていない」と、つかまる物とその安定で書く つかまる物の変更や介助用の手すりは、福祉用具専門相談員と相談する、とT-Pに書く
寝室からトイレまでの道すじ 距離、曲がり角の数、夜に通る明かり、途中でつかまれる所、ドアの開き方 「寝室からトイレまで曲がり角が2か所。夜は廊下の明かりをつけずに歩くと本人」と書く 足もとの明かりの置き場所を一緒に決める。夜の動線の工夫をヘルパー・家族と共有する
トイレ 便座からの立ち上がり、手すりの位置、ズボンの上げ下ろしのときの姿勢、狭さ、床のぬれ 「ズボンを上げるときに手すりから両手を離している」と、危なく見えた動作をそのまま書く 立ったままの衣服の上げ下ろしの順番をリハビリ職と相談する、とT-Pに書く
浴室・脱衣所 脱衣所と浴室の段差、洗い場の床の滑りやすさ、浴槽のまたぎ方、洗い場の椅子の高さ、入浴の時間帯 「浴槽をまたぐとき、浴槽のふちに手をついている。洗い場に滑り止めのマットなし」と書く 入浴の場所(家・通所・訪問入浴)と担当を確かめ、家で入る場合の手順と用具をケアマネジャーと相談する
洗面所 洗顔や歯みがきのときの前かがみ、足もとのマットのめくれ、腰かける物の有無 「洗面台の前で前かがみになると、ふらつくことがあると本人。足もとのマットの端がめくれている」と書く 腰かけて行う工夫、マットの見直しを本人と決める
台所 高い所・低い所の物を取る動作、両手に物を持って歩く場面、床の水はね、踏み台の使用 「高い棚の鍋を取るとき、踏み台に乗っていると本人」と書く よく使う物を腰から胸の高さに置き直す、とT-Pに書く。踏み台を使わない工夫を家族と相談する
居間・食卓 椅子やソファの高さ、立ち上がるときにつかまる物、こたつや座卓からの立ち上がり、床に座る暮らし 「低いソファから立つとき、2回反動をつけて立つ」と、立ち上がりの様子を回数と動作で書く 座る場所の高さの工夫をリハビリ職・福祉用具専門相談員と相談する
階段 手すりの有無と片側か両側か、明るさ、段の端の見えやすさ、上り下りの回数と目的(2階の寝室・洗濯物) 「洗濯物を持って階段を下りるため、手すりを持てない」と、何のために上り下りしているかを書く 上り下りの目的を減らす工夫(洗濯物を干す場所の変更等)を家族と相談する
屋外・庭・玄関先の通路 砂利や飛び石、雨の日の滑りやすさ、ごみ出しの道、郵便受けまでの道、畑や庭の作業 「ごみ出しの朝、玄関先の飛び石で一度よろけたと本人」と、場面と日時で書く ごみ出しの方法や通路の工夫をケアマネジャー・家族と相談する
近所への外出の道 よく行く店までの道、休める場所、横断の多い道、手押し車や杖の使い方 「近所の店までの道の途中に休める所がないと本人。手押し車を使うと楽と話す」と書く 歩行の補助の道具をケアマネジャー・福祉用具専門相談員と相談する。外出を続けることを目標に入れる

※上記は当社が作成した記載のイメージです。福祉用具・住宅改修の選定と手配は、介護支援専門員・福祉用具専門相談員と相談のうえ、ご本人・ご家族の意向に沿って行ってください。

家の中を一緒に歩く日の聞き取り票|初回と見直しのときに使う8つの問い

場所ごとの観察は、問いを決めておくと、看護師が交代しても同じ深さで聞き取れます。下の問いは、ご本人と一緒に家の中を歩きながら聞くための例です。答えはご本人の言葉のまま記録書Ⅰ・Ⅱに残します。

問い ねらい 答えを書く先
「この半年で、家の中で転んだり、転びそうになったりした所はどこですか」 場所の偏りを見つける。転んだことを話しにくい方には「よろけた」「つまずいた」と言葉を変えて聞く 記録書Ⅰ(既往歴・療養状況)と課題の根拠
「夜中に起きるのは何回くらいで、どこへ行きますか」 夜の動線と回数を知る。ご家族にも別に聞く 記録書Ⅱ・課題の根拠
「立ち上がるとき、どこに手をつきますか」 つかまる物とその安定を知る。家具や戸の取っ手につかまっていないか O-Pの見る所
「一人で家にいる時間はいつですか」 転んだときに気づく人がいない時間帯を知る 備考(一人の時間帯)と連絡の順番
「転んだとき、自分で起き上がれそうですか。電話はどこにありますか」 起き上がれないときの知らせ方を確かめる E-Pと備考
「家の中で、よく履いている物は何ですか」 スリッパや靴下だけで歩いていないか、かかとのない履物でないかを知る O-P・T-P
「転ぶのが怖くて、やめたことはありますか」 転ぶ怖さから外出や家事を減らしていないかを知る 目標と課題の根拠
「これからも続けたいことは何ですか」 転ばないことではなく、続けたい暮らしを目標の主語にする 目標欄

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の聞き取りは、ご本人の状態と事業所の手順に従ってください。

時間帯・場面別|夜中のトイレ・起きがけ・食後・入浴の前後・処方が変わった後・退院した直後など(10場面)の計画書の書き方

転びやすさは、一日のうちでも、暮らしの出来事の前後でも変わります。訪問看護の訪問は日中の一部の時間に限られるため、看護師が見ていない時間帯の様子は、ご本人・ご家族・ヘルパーの話と、ご家族のメモから知るしかありません。下の表は、場面ごとに起きやすいことと、計画書の支援内容・記録の型を並べたものです。体の変化の原因の見立てと、測る値の目安は主治医の指示によります。

時間帯・場面 起きやすいこと 支援内容への書き方(T-P・E-P) 記録の型
夜中のトイレ 起きてすぐ歩き出してよろける、暗い廊下でつまずく、急いで向かう途中で転ぶ T-P「寝室からトイレまでの足もとの明かりの置き場所を本人・家族と決める」E-P「起きたらベッドに一度腰かけてから立つ順番を本人と確かめる」 家族のメモに「夜中に起きた時刻とトイレまで一人で行けたか」を書いてもらい、訪問時に見る
朝の起きがけ 起き上がってすぐ立ってふらつく、寝ぼけたまま歩き出す E-P「目が覚めたら手足を動かしてから起き上がり、ベッドに腰かけて一息ついてから立つ順番を、本人が言えるようにする」 記録書Ⅱに「起きがけのふらつきの訴え:あり・なし、本人の言葉」を書く
食事の後 食後すぐに立ち上がってふらつく、片づけで両手がふさがったまま歩く E-P「食後は少し座って休んでから立つことを本人・家族と確かめる」T-P「食器を運ぶワゴンなど両手を空ける工夫をケアマネジャーと相談する」 ふらつきが出た日時と食事との関係を、家族のメモと聞き取りで書く
入浴の前後 脱衣所と浴室の温度の差、湯から上がるときのふらつき、床のぬれでの滑り T-P「入浴の手順と、湯から上がるときにつかまる所を本人と確かめる」E-P「一人で入る日は家族に入浴の時刻を伝えておくことを提案する」 入浴した日と場所(家・通所)、上がった後のふらつきの訴えを書く
トイレでいきんだ後・排泄の後 便座から立つときにふらつく、急いで衣服を上げようとしてよろける T-P「便座から立つ前に衣服を整える順番をリハビリ職と相談する」O-P「便通の様子と、トイレでのふらつきの訴えを聞く」 排便の様子と、その日のふらつきの有無を並べて書く
処方が変わった後 新しく始まった薬や量の変わった薬の後に、ふらつきや眠気が出ることがある O-P「処方が変わった日から、ふらつき・眠気・夜中のトイレの回数の変化を本人・家族に聞く」T-P「変化があれば主治医・薬剤師に報告する。薬の名前と量は薬剤情報提供書のとおりとし、計画書に写さない」 処方が変わった日を記録書Ⅱに書き、その後の訪問で変化の有無を同じ言葉で続けて書く
退院した直後 入院中に足腰が弱っている、家の段差や暗さに体が慣れていない、病院と家で手すりの位置が違う T-P「退院時に示された動作の注意を計画書の備考に写し、家の中を一緒に歩いて確かめる」E-P「退院後しばらくは一人で入浴しないなど、退院時の説明を家族と読み返す」 退院した日、退院時の注意の写しを受け取った日、初回訪問で確かめた場所を書く
熱や下痢で体調をくずした日 食事や水分がとれず力が入らない、トイレに急いで向かう回数が増える E-P「体調をくずした日は、トイレに行く回数とふらつきを家族に見てもらい、当ステーションへ電話するよう伝える」 電話を受けた日時と内容、家族の話を記録書Ⅱに書く
夕方から夜にかけて 疲れが出て足が上がりにくくなる、物忘れのある方では落ち着かず歩き回る O-P「夕方の歩き方と落ち着かない様子の有無を家族・ヘルパーに聞く」T-P「夕方に歩く道すじから物を片づける」 夕方の様子を家族とヘルパーの記録から写し、誰の記録かを書く
季節の変わり目・天気の悪い日 雨の日の玄関先の滑り、寒い朝のこわばり、暑い日の水分不足によるふらつき E-P「雨の日のごみ出しや外出の工夫を本人・家族と決める」O-P「季節の変わり目に外出の回数と道の様子を聞く」 天気と外出の有無、転びそうになった場面を書く

※上記は当社が作成した記載のイメージです。測る値の目安と体調の変化への対応は、主治医の指示書と事業所の手順に従ってください。

背景と暮らし別|転倒予防の看護目標の記載例(12の背景・長期と短期あわせて24例)

目標は、看護師が行うこと(「転倒予防の指導を行う」)でも、起きてほしくないこと(「転倒しない」)でもなく、ご本人がどんな暮らしを続けるか、そのために家で何をするかを主語にします。「転倒しない」は、ご本人が動かないほど達成に近づいてしまい、外出や家事を減らす方向に計画が傾きがちです。短期目標は、次の評価の時期までに記録書Ⅱやご家族のメモで確かめられる姿にしておくと、評価で迷いません。

背景 長期目標の記載例 短期目標の記載例 評価のときに見る事実
足腰の弱り・一人暮らし 家の中を自分で動き、近所の店まで歩いて買い物を続けられる 立ち上がるときにつかまる所を、寝室・居間・トイレでそれぞれ一つずつ決め、そこを使って立ち上がれる 訪問時に見た立ち上がりの様子、決めた所を使えた場面の数
足腰の弱り・外出が減った 週に何日かは家の外に出て、地域の集まりへの参加を続けられる リハビリ職と決めた家の中の歩く練習を、訪問のない日も自分で続けられる 練習を書いたカレンダーの印の数、外出の回数の聞き取り
片麻痺・家族と同居 装具と杖を使って、家の中の移動とトイレを自分で続けられる 装具をつけてから立つ順番を守り、装具をつけずに立つ場面がなくなる 家族の話、訪問時に見た装具のつけ方
片麻痺・麻痺側への注意が向きにくい 家の中の決めた道すじを使って、ぶつからずに移動できる よく使う物を気づきやすい側に置き直した後、麻痺側の物にぶつかる場面が減る 家族・ヘルパーの記録にある「ぶつかった」場面の数と場所
夜中のトイレ・夫と二人暮らし 夜中も自分でトイレに行き、夫婦ともに夜に眠れる暮らしを続けられる 夜中に起きたらベッドに腰かけてから立ち、足もとの明かりをつけて歩ける 夫のメモ(起きた時刻と様子)、本人の言葉
物忘れ・日中は一人 家族が仕事のあいだも、家で落ち着いて過ごし続けられる 杖を置き忘れずに使えるよう、杖の置き場所を決めた後、杖なしで歩き出す場面が減る ヘルパーと家族の記録、訪問時に見た場面
立ちくらみ・起きがけのふらつき 朝の支度と朝食づくりを自分で続けられる 目が覚めたら手足を動かし、腰かけて一息ついてから立つ順番を、本人が言えて、行える 本人が順番を言えたか、起きがけのふらつきの訴えの変化
骨折の手術の後・退院直後 退院前と同じように、家の中の家事を自分で続けられる 退院時に示された動作の注意を守りながら、家の中を歩行器で移動できる 退院時の注意の写しと照らした動作の様子、痛みの訴え
転ぶ怖さで動かなくなった 怖さと付き合いながら、庭の水やりを再開できる 家の中で歩く道すじを一つ決め、看護師やリハビリ職と一緒に歩いた後、一人でも歩く日ができる 本人の言葉の変化、一人で歩いた日の聞き取り
何度も転んでいる・独居 転んだときに自分で知らせる方法を持ち、家での一人暮らしを続けられる 転んだときの知らせ方(電話・緊急通報の機器)を、本人が実際にやってみせられる 知らせ方を一緒に試した日、転んだときの連絡の有無
家族が見守りを担う 家族が無理のない見守りを続けながら、本人が自分でできることを続けられる 家族が、手を貸す場面と見守る場面の違いを、紙を見て言える 家族の言葉、家族の手の貸し方の観察
最期の時期に近づき、動ける量が減ってきた 本人が望む過ごし方を、家族と支援者が同じ理解で支え続けられる トイレに行く・ベッドで過ごすなどの本人の望みと、転んだときの対応を、家族と話し合って決められる 話し合った日と内容、本人・家族の言葉

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

ご本人・ご家族の言葉を目標の文に置き換える(「自分でトイレに行きたい」「もう転ぶのは嫌だ」など8例)

聞き取った言葉 目標欄の文 課題欄につなぐ視点
「トイレだけは自分で行きたい」 寝室からトイレまでの道すじを自分で歩き、夜中も一人でトイレに行ける暮らしを続けられる 夜中と日中で、トイレまでの歩き方と明るさがどう違うかを見る
「もう転ぶのは嫌だ。外には出ない」 転ぶ怖さを話しながら、家の前の道を家族と歩く日を少しずつ増やせる 怖さから動かなくなり、足腰が弱る流れを課題として書く
「杖なんか年寄りみたいで嫌だ」 自分が納得できる道具を選び、近所の店まで歩いて出かけ続けられる 道具を使わない理由を聞き取り、選び方をケアマネジャー・福祉用具専門相談員と相談する
「畑だけは続けたい」 畑までの道と作業のしかたを工夫しながら、季節の野菜づくりを続けられる 畑の道の段差、しゃがむ・立つ動作の回数を観察の項目にする
「夜中に何度も起きるから、夫に悪い」 夜中のトイレを自分で安全に済ませ、夫婦ともに眠れる夜を増やせる 夜中の回数の変化を主治医へつなぐことと、夜の動線の工夫を分けて書く
「目を離すと歩き出してしまう」(家族) 家族が四六時中見張らなくても、本人が決めた道すじで家の中を動ける 見守りの負担と、歩き出す時間帯・理由を課題の根拠にする
「転んでも誰にも言わない。心配かけたくない」 転んだときやよろけたときに、家族か当ステーションへ知らせられる 転んだことを話しにくい気持ちを受け止め、知らせてもらう約束を課題にする
「孫の結婚式には歩いて出たい」 式の日に向けて、立ち上がりと歩く練習を続け、会場まで出かけられる 外出先の環境(段差・トイレ)を事前に家族と確かめる

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

「転倒転落リスク状態」「歩行障害」などの看護診断名を、在宅の課題欄の一文に直す(8例)

看護学校や病院で使う看護診断名は、そのまま在宅の計画書の課題欄に書いても、ご本人やケアマネジャー、ヘルパーには、家のどこで何が起きているのかが伝わりにくくなります。課題欄には、暮らしのどの場面で、何が起きていて、どんな事実からそう考えたかを一文にします。

看護診断名・看護問題の名前 在宅の課題欄の一文(記載例) 根拠として添える事実
転倒転落リスク状態 夜中にトイレへ行くとき、明かりをつけずに寝室の戸口を通っており、この1か月で戸口の敷居で2回つまずいている。夜の道すじの明るさと足もとの工夫が課題になっている つまずいた日と場所(本人・家族の話)、寝室の戸口の様子
歩行障害 右片麻痺があり、疲れが出る夕方に右のつま先が床に引っかかりやすい。装具をつけずに居間を歩く場面がある 夕方の歩き方の観察、家族の話、装具をつけていない場面
身体可動性障害 低いソファから立つときに反動をつけて立っており、立った直後にふらつくことがある。座る場所の高さと立ち上がり方の工夫が要る 立ち上がりの様子(訪問時の観察)、本人の言葉
急性混乱・慢性混乱 夕方になると落ち着かず家の中を歩き回り、決めた手すりではなく近くの家具に手をついている。覚えてもらうより物の置き方を変える工夫が課題になっている 家族・ヘルパーの記録にある夕方の様子、手をつく家具
排尿障害(夜間) 夜中に何度もトイレに起き、急いで向かう途中でよろけることがあると妻が話す。夜中の回数の変化を主治医へ伝えることと、夜の動線の工夫の両方が要る 妻のメモの回数と時刻、本人の言葉
恐怖(転倒への恐れ) 退院後「また転んだら終わり」と話し、家の中でもほとんど歩かなくなっている。動かないことで足腰がさらに弱るおそれがある 本人の言葉、退院前後の家の中での動きの違い
非効果的健康管理 リハビリ職から示された家の中の練習を「一人だとやらない」と話し、訪問のない日は続いていない 練習のカレンダーの印、本人の言葉
介護者役割緊張 夜中のトイレに付き添う娘が「毎晩起こされて眠れない」と話している。このままの分担では、本人の家での暮らしを続けることが難しくなるおそれがある 娘の言葉、夜中の付き添いの回数、代われる人の有無

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

転倒のリスクを評価する尺度を計画書でどう扱うか|尺度の名前と記録の決まり(6項目)

事業所によっては、転倒のリスクや歩く力を評価する尺度を使っています。尺度の点数は、それだけで計画の中身を決めるものではなく、変化を追うための材料です。どの尺度を使うか、点数の区切りをどう扱うかは、事業所の手順とリハビリ職・主治医の判断によるため、この記事では点数の基準は書きません。下の表は、計画書と記録での扱い方の例です。

決めておくこと 計画書・記録での扱い方の例 貴事業所の記入欄
使う尺度の名前 事業所で使う尺度(例:Fall Risk Index、Timed Up and Go Test、Berg Balance Scale など)の名前を記録書Ⅰに書き、途中で別の尺度に変えない 使う尺度:(    )
誰が評価するか リハビリ職が評価する尺度と、看護師が聞き取りで行う尺度を分け、評価した職種を記録に書く 評価する職種:(    )
いつ評価するか 初回、計画の見直しの時期、転んだ後、入院から戻った後など、評価の時期を決めておく 評価の時期:(    )
計画書への書き方 課題欄には点数だけを書かず、「立ち上がりから歩き出しまでに時間がかかり、方向転換でふらつく」のように、点数の元になった動作を言葉で書く 点数の書き方の決まり:(    )
評価欄への書き方 点数の変化と、暮らしの中の変化(外出の回数、転びそうになった場面)を並べて書く。点数だけで達成・未達成を決めない 評価の書き方:(    )
主治医・ほかの事業所への伝え方 点数を伝えるときは、尺度の名前と評価した日・評価した職種を添える 伝える相手:(    )

※上記は当社が作成した記載のイメージです。尺度の選び方と点数の扱いは、事業所の手順とリハビリ職・主治医の判断に従ってください。

療養上の課題・支援内容|転倒予防のO-P・T-P・E-P記載例(10課題・30例)

O-P(観察)・T-P(ケア)・E-P(説明・相談)は、「転倒に注意」「環境整備」「転倒予防の指導」の一語で止めず、どこで・何を・どの方法で・誰に伝えるかまで書きます。運動の回数や負荷、測る値の目安は、すべて「リハビリ職の評価に基づき」「指示書に記載の」の形にしています。実際の内容は指示書と評価から写してください。

療養上の課題(課題欄の文) O-P(観察) T-P(ケア) E-P(説明・相談)
夜中のトイレで、明かりをつけずに寝室の戸口を通り、敷居でつまずくことがある 夜中に起きた回数と時刻(家族のメモ)、戸口から廊下の明るさ、履物、つまずいた場面の有無を訪問のたびに聞く 足もとの明かりの置き場所を本人・家族と決めて置き、夜の道すじに物がないかを一緒に確かめる 起きたらベッドに腰かけ、明かりをつけてから歩く順番を本人と確かめ、紙に書いて枕元に置く
右片麻痺があり、夕方に右のつま先が引っかかりやすく、装具をつけずに歩く場面がある 朝と夕方の歩き方の違い、装具をつけている場面とつけていない場面、装具があたる所の皮膚を見る リハビリ職が示した装具のつけ方と立つ順番を、本人と一緒に確かめる。装具を置く場所をベッドの横に決める 夕方は疲れが出やすいことを本人・家族と話し、装具をつけてから立つことを家族とヘルパーにも伝える
低いソファから立つときに反動をつけ、立った直後にふらつく 立ち上がりの回数と動作、立った直後のふらつき、つかまる物の安定を見る 座る場所の高さの工夫と、立ち上がり方の練習をリハビリ職と分担して行う 立ったらすぐ歩き出さず、一息ついてから歩くことを本人と確かめる
夕方になると落ち着かず歩き回り、近くの家具に手をついて歩く 落ち着かなくなる時刻ときっかけ、手をつく家具、歩く道すじを家族・ヘルパーから聞き、訪問時にも見る 歩く道すじから動きやすい家具や物を片づけ、手をつく家具が動かないかを家族と確かめる 覚えてもらうより物の置き方で工夫することを家族に伝え、落ち着かない時間帯の過ごし方を一緒に考える
退院後「また転んだら終わり」と話し、家の中でもほとんど歩かなくなっている 本人の言葉、一日の過ごし方、家の中で歩いた場面、退院前後の動きの違いを聞く 家の中で歩く道すじを一つ決め、訪問時に一緒に歩く。リハビリ職と練習の内容をそろえる 怖さを否定せず、転びにくい動き方と転んだときの知らせ方の両方を伝え、本人が選べるようにする
起きがけにふらつきを訴え、朝の支度の途中で座り込むことがある ふらつきの時刻と場面、本人の言葉、指示書に測定の指示がある場合はその方法での値を見る 起きる順番(手足を動かす→腰かける→一息→立つ)を本人と一緒に行う。指示書に記載の連絡の目安のときは主治医に報告する 朝の支度を座ってできる形に変える工夫を本人・家族と考え、ふらつきが続くときの連絡先を伝える
処方が変わった後から、日中の眠気とふらつきを家族が気にしている 処方が変わった日、日中の眠気、ふらつき、夜の眠りの変化を、家族の話と記録で見る 処方が変わった日と変化の様子をまとめ、主治医・薬剤師に報告する。薬の名前と量は薬剤情報提供書のとおりとする 自分の判断で薬をやめたり減らしたりせず、気になる変化は当ステーションか薬局に相談するよう伝える
浴槽をまたぐときに浴槽のふちに手をつき、洗い場に滑り止めがない 入浴の場所と時間帯、またぐ動作、洗い場の床、入浴後のふらつきを聞き、可能なら動作を見る 入浴の手順と手をつく所を本人と確かめ、手すりや滑り止めの要否をケアマネジャー・福祉用具専門相談員に相談する 一人で入る日は家族に入浴の時刻を伝えておくことを提案し、本人・家族と決める
一人暮らしで、転んだときに知らせる方法が決まっていない 電話の位置、緊急通報の機器の有無、床から起き上がれるか、一人の時間帯を見る 床に座った姿勢から起き上がる方法と、起き上がれないときの知らせ方を、リハビリ職と分担して一緒に試す 知らせる順番(家族→当ステーション、急ぐときは救急)を紙に書いて電話の横に貼り、本人が言えるかを確かめる
娘が夜中のトイレの付き添いで眠れず、「このままでは続かない」と話している 娘の睡眠と疲れ、付き添いの回数、本人が一人でできる部分を見る 夜の動線の工夫で本人が一人でできる部分を増やし、夜中の回数の変化を主治医へ伝える 娘の負担をケアマネジャーに伝えて、夜の手立てや休める日の工夫を相談する

※上記は当社が作成した記載のイメージです。運動の内容、測る値の目安、連絡の目安は、主治医の指示書とリハビリ職の評価に従ってください。

多職種の分担|ケアマネジャー・訪問リハ・福祉用具専門相談員・ヘルパー・通所・主治医・薬局・家族で誰が何を受け持つか(分担表12項目)

在宅の転倒予防は、訪問看護だけで受け持つものではありません。福祉用具や住宅改修の手配はケアマネジャーと福祉用具専門相談員、動作の練習はリハビリ職、毎日の見守りはご家族やヘルパーが受け持つことが多く、同じ方に関わる人がそれぞれ別のことを言うと、ご本人は迷ってしまいます。計画書のT-Pと備考に、誰が何を受け持つかを書いておくと、ご本人とご家族に説明しやすくなります。下の表は分担の一例で、実際の分担はケアプランとサービス担当者会議で決まります。

受け持つこと 主に受け持つ人 訪問看護が受け持つこと 計画書への書き方
福祉用具の選定と手配(歩行器・つえ・手すり・ベッド等) ケアマネジャー・福祉用具専門相談員 訪問時に見た使いにくさや危なく見えた場面を伝える T-P「使いにくさや合わない点を見つけたら、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に伝える」
住宅改修(手すり・段差の解消等) ケアマネジャー・施工する事業者 家の中で転びそうになった場所と動作を伝える T-P「転びそうになった場所と動作をケアマネジャーに伝え、住宅改修の相談につなぐ」
立ち上がり・歩行・家の中の動作の練習 理学療法士・作業療法士(訪問看護のリハビリ職または訪問リハ) 練習の内容を記録で共有し、看護師の訪問の日にも同じやり方で確かめる T-P「リハビリ職が示した練習の内容を、看護師の訪問時にも同じ言葉で確かめる」
体調の変化の観察(ふらつき・眠気・痛み) 訪問看護・家族 変化をまとめて主治医へ報告する O-P・T-P「ふらつきや眠気の変化を聞き取り、主治医へ報告する」
処方の確認と飲み方の工夫 主治医・薬剤師 処方が変わった後の暮らしの変化を伝える T-P「処方が変わった後の変化を主治医・薬剤師に伝える」
毎日の見守りと声かけ 家族・ヘルパー 見守る場面と手を貸す場面の違いを伝え、同じやり方にそろえる E-P「見守る場面と手を貸す場面を、家族・ヘルパーと同じ紙で共有する」
家の中の片づけと物の置き場所 本人・家族・ヘルパー 道すじの物の置き方を本人と一緒に決める T-P「道すじの物の置き場所を本人・家族と決め、ヘルパーにも伝える」
入浴の介助 家族・通所・訪問入浴・ヘルパー 入浴の手順とつかまる所を確かめ、場所ごとの手順の違いを伝える T-P「入浴の手順を、入浴する場所の担当者と同じにする」
外出の付き添いと道の工夫 家族・ヘルパー(ケアプランによる) 外出を続ける目標と、道で困ったことを聞き取る O-P「外出の回数と道で困ったことを聞く」
転んだときの連絡の受け方 家族・訪問看護・ケアマネジャー 連絡の順番を決め、紙にして本人・家族に渡す 備考「転んだときの連絡の順番:(家族→当ステーション→主治医・ケアマネジャー)」
サービス担当者会議での共有 ケアマネジャー(招集) 転びそうになった場面の記録と、計画書の支援内容を持って参加する T-P「サービス担当者会議で、転倒の場面の記録と支援内容を共有する」
骨折などの治療と動作の制限 主治医・手術をした医療機関 示された動作の注意を計画書の備考に写し、支援者で共有する 備考「退院時に示された動作の注意:(写しのとおり)」

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の分担は居宅サービス計画とサービス担当者会議、主治医の指示によります。

ケアマネジャー・リハビリ職・福祉用具専門相談員・ヘルパー・主治医・家族への連絡文例(10例)

連絡は、いつ・どこで・どんな動作のときに・何が起きたか、こちらで行ったこと、相談したいことの順に書くと、受け取った側が次の手を考えやすくなります。下の文例は、記録書Ⅱに残す連絡の記録としても使える形にしています。

連絡先 場面 連絡文例
ケアマネジャー 夜中のトイレで転びそうになった ○日の訪問で、本人と妻から「夜中にトイレへ行くとき、寝室の戸口の敷居で2回つまずいた」と聞きました。足もとの明かりの置き場所は本人と決めました。戸口の段差について、住宅改修や福祉用具でできることがあるかご相談させてください。
ケアマネジャー 家族の付き添いの負担 娘様から「夜中の付き添いで毎晩起こされ、眠れていない」とのお話がありました。本人が一人でできる部分を増やす工夫は続けていますが、娘様が休める日の手立てについて、次の担当者会議でご相談させてください。
リハビリ職(同じ事業所) 夕方の歩き方の変化 ○日夕方の訪問で、右のつま先が床に引っかかる場面が居間で2回ありました。装具はつけていませんでした。次回の訪問で、夕方の装具のつけ方と立ち上がりの順番を本人・妻と確かめていただけますか。
訪問リハ(別の事業所) 練習の内容のそろえ方 訪問看護の計画書に、立ち上がりの練習を家族と一緒に確かめることを入れています。貴事業所で指導されている立ち上がりの順番と声かけの言葉を教えていただければ、看護師の訪問時にも同じ言葉で確かめます。
福祉用具専門相談員 歩行器の使いにくさ ○日の訪問で、歩行器でトイレへ向かう際、トイレの入口で歩行器が引っかかり、本人が歩行器から手を離して入っていました。入口での使い方や機種について、ケアマネジャーとご相談のうえご確認いただけますか。
ヘルパー(サービス提供責任者経由) 道すじの物の置き場所 本人と相談し、寝室からトイレまでの廊下には物を置かないことにしました。掃除の後、新聞の束やかごを廊下に戻さないよう、ヘルパーの皆さんにお伝えいただけますか。
ヘルパー(サービス提供責任者経由) 立ち上がりの手の貸し方 右片麻痺のある本人の立ち上がりを手伝うときは、右の腕を引かずに、リハビリ職が指導した立ち位置と支え方で手を貸す形にしています。手の貸し方をヘルパーの皆さんとそろえたいので、次回の訪問時にご一緒できる日を教えてください。
主治医 処方が変わった後のふらつき ○日から処方が変わった後、家族から「日中に眠そうで、立ち上がるとふらつく」との話があり、○日の訪問でも立ち上がり直後のふらつきを確認しました。転倒はありません。ご指示をいただけますでしょうか。
主治医 夜中のトイレの回数の変化 この2週間、妻のメモでは夜中にトイレへ起きる回数が増えており、急いで向かう途中でよろける場面があると聞いています。尿の様子に本人の訴えはありません。次回の受診で、ご相談させていただければと思います。
家族 転んだときの連絡の約束 転んだり、よろけたりしたときは、けががなさそうに見えても当ステーションへお電話ください。夜間は○○の番号です。頭を打ったとき、起き上がれないとき、痛みで動けないときは、先にお渡しした紙の順番でご連絡ください。

※上記は当社が作成した記載のイメージです。連絡の方法と内容は、事業所の手順とご本人の同意の範囲に従ってください。

転倒のあとの訪問|確かめる順番・記録書Ⅱの書き方・計画書の見直し(転倒後の観察12項目と記録例)

ご家族から「昨日の夜、トイレの前で転んでいた」と連絡を受けたとき、あるいは訪問してご本人の腕にあざを見つけたとき、その後の訪問で何を確かめ、どう書くかを決めておくと、看護師によって記録の深さが変わりません。頭を打ったときや痛みで動けないときの受診の判断と連絡の目安は、主治医の指示と事業所の手順によります。下の表は、受診の判断のための表ではなく、転んだ場面を後から振り返って次の手立てにつなぐための材料を残す表です。

確かめる項目 見方・聞き方 記録書Ⅱへの書き方の型 つなぐ先
いつ・どこで・何をしようとして 本人と家族それぞれに、時刻・場所・その直前の動作を聞く。話が違うときは両方を書く 「○日 夜中(本人『2時ごろ』)、寝室の戸口で、トイレへ向かう途中に右へ向きを変えたとき転んだと本人」と書く 場所と動作を、計画書の課題の見直しに使う
頭を打ったか 本人と家族に聞き、頭や顔のこぶ・傷を見る。本人が覚えていないときはそのまま書く 「頭を打ったかは本人『覚えていない』。後頭部にこぶ・傷なし」と、聞いた答えと見た所を分けて書く 事業所の手順と主治医の指示に沿って、その日のうちに主治医へ連絡する
その後の様子の変化 眠気、話し方、吐き気、手足の動かしにくさなど、いつもと違う様子がないかを家族に聞く 「転んだ後から今朝まで、話し方・食事の様子はいつもと同じと妻」と、誰が見たかを書く いつもと違う様子が出たときの連絡先と見てもらう期間を、主治医の指示に沿って家族と確かめる
痛む所と動かせるか 痛む部位、立つ・歩く・腕を上げるときの痛み、腫れや熱っぽさを見る 「右の太ももの付け根の痛みの訴えなし。右手首を動かすと痛いと本人、腫れなし」と部位ごとに書く 痛みが続く・強くなるときは主治医に報告する
皮膚の傷・あざ 擦り傷、皮膚のはがれ、あざの部位と大きさの見え方を見る 「左前腕に擦り傷、処置は指示書のとおり。右すねにあざ(前回の訪問ではなし)」と書く 処置が続く場合は計画書の衛生材料等の欄を見直す
血が止まりにくくなる薬の有無 薬剤情報提供書で確かめる。薬の名前は記録の決まりに沿って扱う 「薬剤情報提供書を確認。主治医へ転倒の連絡時に服薬の状況もあわせて伝えた」と書く 頭を打ったときの連絡の目安を、主治医とあらかじめ決めておく
起き上がれたか・床にいた時間 自分で起き上がれたか、誰かを呼んだか、床にいたおよその時間を聞く 「自分では起き上がれず、妻が起きてくるまで床にいたと本人(妻『20分くらい』)」と書く 起き上がり方と知らせ方の練習を計画に入れる
転ぶ前の体調 その日の熱・下痢・食事・眠気・トイレを急いでいたかを聞く 「前日から下痢があり、夜中に3回トイレへ起きていたと妻」と書く 体調の変化として主治医に報告する
明かり・履物・物 転んだ場所の明るさ、履いていた物、床の物やマットを見る 「戸口の明かりは消えていた。靴下のまま。足もとのマットの端がめくれていた」と書く 道すじの工夫を本人・家族と決め直す
歩き方の変化 転んだ後の立ち上がり・歩き方が、前の訪問と比べて変わったかを見る 「前回より歩き出しに時間がかかる。方向転換で壁に手をつく」と、前回との違いで書く リハビリ職に評価を依頼する
本人の気持ち 転んだことをどう受け止めているか、怖さ、恥ずかしさを聞く 「本人『迷惑をかけた。もう歩かないほうがいい』」と言葉のまま書く 動かなくなる流れを防ぐ目標を計画に入れる
連絡した相手 家族・主治医・ケアマネジャーへ、いつ誰が連絡したか 「○日○時 主治医へ電話(看護師○○)。○時 ケアマネジャーへ電話」と時刻と相手で書く 連絡の記録は事業所の手順に沿って残す

※上記は当社が作成した記載のイメージです。受診の判断、連絡の目安、様子を見る期間は、主治医の指示書と事業所の手順に従ってください。

転んだという連絡を受けた日の記録例|電話から次の訪問・計画書の見直しまで(時系列8段)

時点 出来事 記録書Ⅱ・連絡の記録の記載例
電話を受けたとき 妻から「夜中に転んだ」と電話 ○日○時、妻より電話。「夜中2時ごろ、トイレへ行く途中に寝室の戸口で転んだ。自分で起き上がれず、10分ほどして起こした」。頭を打ったかは本人は覚えていないとのこと
電話で確かめたこと 今の様子と痛み、いつもと違う様子の有無を聞く 今朝は朝食を普段どおり食べ、話し方もいつもと同じと妻。右手首を痛がっている。事業所の手順に沿って本日中に臨時の訪問を行うことを伝えた
主治医への連絡 聞き取った内容を主治医へ伝え、指示を受ける ○時、主治医へ電話で報告(転倒の時刻・場所・頭を打った可能性・右手首の痛み・服薬の状況)。指示の内容を記録
訪問したとき 転倒後の観察12項目を確かめる 右手首に腫れなし、動かすと痛みの訴えあり。後頭部にこぶ・傷なし。戸口の明かりは消えたまま、足もとのマットの端がめくれている
その場で行ったこと 道すじの工夫を本人・妻と決める 本人・妻と相談し、めくれたマットを片づけ、戸口に足もとの明かりを置いた。起きたら腰かけてから立つ順番を本人と確かめた
ケアマネジャーへの連絡 転倒の事実と、相談したいことを伝える ○時、ケアマネジャーへ電話。転倒の事実、本日の対応、戸口の段差について住宅改修・福祉用具の相談をしたい旨を伝えた
次の訪問 その後の様子と、決めた工夫が続いているかを見る 転倒後の3日間、いつもと違う様子はなかったと妻。右手首の痛みは軽くなったと本人。足もとの明かりは毎晩使えている
計画書の見直し 課題・支援内容・備考を見直す 課題に「夜中のトイレで戸口を通るときの転倒」を加え、T-Pに足もとの明かりと夜の動線、E-Pに起きる順番を加えた。見直した日を年月日の欄に記入

※上記は当社が作成した記載のイメージです。臨時の訪問の要否、受診の判断、連絡の目安は、主治医の指示と事業所の手順に従ってください。

訪問中に起きた転倒と、訪問のない時間に起きた転倒の記録の分け方(6項目)

看護師やリハビリ職の訪問中に起きた転倒は、事業所の事故の手順に沿って扱う対象になります。訪問のない時間に起きた転倒は、ご本人の経過として記録と報告書に残し、計画の見直しにつなげます。どちらの場合も、保険者への報告の対象と範囲は保険者ごとに定められているため、指定権者の基準を確かめておきます。事故発生の防止のための指針や事故報告書の書き方は、関連記事で扱っています。

項目 訪問中に起きた転倒 訪問のない時間に起きた転倒
記録する場所 記録書Ⅱに加え、事業所の事故の記録(事故報告書等)。ヒヤリ・ハットとの振り分けは事業所の基準で決める 記録書Ⅱ(聞き取った内容と訪問時の観察)。報告書の「病状の経過」に月の経過として書く
家族への連絡 事業所の手順に沿って、起きたこと・行った対応を伝え、連絡した日時と相手を記録する 家族から連絡を受けた日時と内容を記録する
ケアマネジャーへの連絡 事業所の手順に沿って連絡し、記録する 転倒の事実と相談したいことを連絡し、記録する
保険者への報告 報告の対象と範囲は保険者ごとに定められている。指定権者の基準を事前に確かめておく 事業所のサービスの提供中ではないため、扱いは指定権者の基準と事業所の手順で確かめる
原因の振り返り 場面・動作・環境・体調を振り返り、再発防止の取り組みを記録する。「注意する」「見守りを強化する」だけで終わらせない 同じく場面・動作・環境・体調を振り返り、計画書の課題と支援内容に反映する
計画書の見直し 振り返りの結果を課題・支援内容に反映し、見直した日を記入する 振り返りの結果を課題・支援内容に反映し、見直した日を記入する

※上記は当社が作成した記載のイメージです。事故の報告の対象・様式・提出先は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

ご家族への伝え方|「転ばせない」ではなく、動き方・転んだときの知らせ方・連絡の順番を伝える(言い換え10場面)

ご家族は、ご本人が転ぶことを心配するあまり、「一人で歩かないで」「じっとしていて」と声をかけがちです。気持ちはもっともですが、動かない時間が長くなるほど足腰は弱り、かえって転びやすくなることがあります。また、ご家族が四六時中見張る形は長く続きません。訪問看護のE-Pでは、転ばないことを約束するのではなく、転びにくい動き方、転んだときの知らせ方、家族が手を貸す場面と見守る場面の違いを伝えます。下の表は、ありがちな伝え方と言い換え、E-Pへの書き方の例です。

場面 ありがちな伝え方 言い換えの例 E-Pへの書き方
家族が「歩かせないほうがいいですか」と聞く 「転ぶと危ないので、なるべく歩かせないでください」 「歩く場所と時間を決めて、家の中は歩いていただくほうが、足腰を保つ助けになります。歩く道すじは一緒に決めましょう」 家族と歩く道すじを決め、歩く場面と見守る場面を紙で共有する
本人に注意を伝える 「絶対に一人で立たないでくださいね」 「立つ前にベッドに腰かけて、一息ついてから立ちましょう。足もとの明かりもつけてからにしましょう」 してほしくないことではなく、してほしい順番を本人と確かめる
転んだ後に家族が自分を責める 「目を離したのがよくなかったですね」 「どなたが見ていても、転ぶことはあります。今回の場面を一緒に振り返って、次の手立てを考えましょう」 家族の気持ちを聞き取り、振り返りを一緒に行う
家族が手を貸しすぎる 「全部手伝ってあげてください」 「立ち上がりは、ご本人が手すりをつかむまで待って、腰に手を添えるだけにしてみましょう」 手を貸す場面と見守る場面の違いを、リハビリ職の指導と同じ言葉で伝える
家族が夜中のトイレを心配する 「夜中は毎回付き添ってください」 「夜の道すじを明るくして、ご本人が一人で行ける形を一緒に作りましょう。回数が増えたら主治医にも相談します」 夜の動線の工夫と、回数の変化の報告を分けて伝える
家族が「転んでも言わない」と困っている 「転んだら必ず言うように叱ってください」 「よろけた・つまずいたも教えてもらえると助かる、と伝えていただけますか。責めずに聞いてもらえると話しやすくなります」 知らせてもらうことを約束にし、責めない聞き方を家族と考える
転んだときの対応を伝える 「転んだらすぐ起こしてください」 「転んだら、まず声をかけて、痛い所と頭を打ったかを聞いてください。無理に起こさず、お渡しした紙の順番で連絡してください」 転んだときの家族の動き方を紙にして渡し、一緒に読み返す
福祉用具を嫌がる本人に家族が困る 「使わないと危ないですよ」 「どこが使いにくいか、どんな物なら使えそうか、ご本人の話を聞いてケアマネジャーさんに相談しましょう」 使わない理由を聞き取り、ケアマネジャー・福祉用具専門相談員につなぐ
家族が片づけを一人で背負う 「家の中の物を全部片づけてください」 「よく通る道すじだけ、床に物を置かないことから始めましょう。ヘルパーさんにも同じことをお願いします」 片づける範囲を絞り、ヘルパーと分担することを伝える
離れて暮らす家族への説明 「何かあったら連絡します」 「転んだときは、その日のうちにお知らせします。普段の様子は月に一度、電話でお伝えする形でよろしいですか」 連絡する場面と頻度を、本人の了解を得て家族と決める

※上記は当社が作成した記載のイメージです。家族への説明の内容は、主治医の指示とご本人の意向、事業所の手順に従ってください。

ご家族と決めておく「転んだときの紙」の項目(8項目)

転んだときの動き方は、慌てているときほど思い出せません。電話の横や冷蔵庫に貼れる紙にしておき、計画書の備考とE-Pには「紙を渡した日・渡した相手」を書いておきます。

紙に書く項目 書き方の例 計画書に残すこと
まずすること 声をかけて、痛い所と頭を打ったかを聞く。無理に起こさない E-Pに「転んだときの動き方を紙で家族に伝えた」
急いで救急を呼ぶとき 主治医と決めた内容を書く(呼びかけへの返事がない等) 主治医と決めた日と内容を記録書Ⅱに残す
当ステーションへ電話するとき けががなさそうに見えても、転んだらその日のうちに電話する 備考に連絡の順番を書く
電話番号 当ステーション(日中・夜間)、主治医、ケアマネジャー 記録書Ⅰの連絡先と同じかを確かめる
電話で伝えること いつ・どこで・何をしようとして・頭を打ったか・痛い所・今の様子 電話を受けた看護師が同じ順番で聞けるよう、事業所の手順にそろえる
起き上がるとき リハビリ職と一緒に練習した方法で、近くの安定した家具を使って起き上がる T-Pに起き上がりの練習を書く
その後に見てほしいこと 主治医から示された様子の見方と期間(眠気・話し方・吐き気・手足の動かしにくさなど) 主治医の指示の内容を記録に残す
書いておいてほしいこと 転んだ日時・場所・その前にしていたこと 家族のメモを訪問時に見る、とO-Pに書く

※上記は当社が作成した記載のイメージです。救急を呼ぶ目安と様子の見方は、主治医の指示に従ってください。

悪い例と良い例|転倒予防の訪問看護計画書でありがちな一行の書き直し(20組)

左はよく見かける一行、中央はそのまま貼れる形に直した文です。良い例に入れた運動の内容や測る値の目安は、すべて「リハビリ職の評価に基づき」「指示書に記載の」の形にしています。実際の内容は指示書と評価から写してください。

欄 悪い例 良い例(そのまま使える文) 直した点
目標 「転倒しない」 寝室からトイレまでの道すじを自分で歩き、夜中も一人でトイレに行ける暮らしを続けられる 起きてほしくないことではなく、続けたい暮らしを主語にした
目標 「転倒を予防する」 立ち上がるときにつかまる所を寝室・居間・トイレで一つずつ決め、そこを使って立ち上がれる 看護師が行うことではなく、本人の行動にした
目標 「安全に生活できる」 装具と杖を使って、家の中の移動とトイレを自分で続けられる 「安全」の中身を、使う道具と続ける動作に置き換えた
目標 「ADLの維持・向上」 近所の店まで歩いて買い物に行くことを、週に何日か続けられる ADLの言葉を、本人が分かる暮らしの場面にした
課題 「転倒リスクあり」 夜中のトイレで明かりをつけずに寝室の戸口を通り、この1か月で敷居に2回つまずいている 場所・時間帯・動作・根拠の事実を入れた
課題 「ふらつきあり」 起きがけと食事の後に立ち上がるとふらつくと本人が話し、朝の支度の途中で座り込むことがある ふらつきが出る場面と暮らしへの影響を書いた
課題 「片麻痺による歩行障害」 右片麻痺があり、疲れが出る夕方に右のつま先が床に引っかかりやすく、装具をつけずに居間を歩く場面がある 診断名の言い換えではなく、家で起きていることを書いた
課題 「認知機能低下により危険行動あり」 夕方になると落ち着かず家の中を歩き回り、決めた手すりではなく近くの家具に手をついている 「危険行動」という評価の言葉を、見た場面に置き換えた
O-P 「転倒の有無」 前回の訪問から、転んだ・よろけた・つまずいた場面の有無と、その場所・時刻・直前の動作を本人と家族に聞く 「有無」だけでなく、場面を聞き取る形にした
O-P 「歩行状態の観察」 立ち上がりから歩き出し、方向転換、戸口の通過を、訪問のたびに同じ道すじで見る。朝と夕方の違いを家族に聞く 見る動作と場所、比べ方を決めた
O-P 「バイタルサインの測定」 指示書に測定の指示がある場合はその方法で測り、起きがけ・食後のふらつきの訴えとあわせて記録する 何のために測るかと、訴えとの組み合わせを書いた
T-P 「環境整備」 寝室からトイレまでの足もとの明かりの置き場所と、廊下に物を置かないことを本人・家族と決め、訪問時に続いているかを確かめる どこを・何を・誰と整えるかを書いた
T-P 「リハビリの実施」 リハビリ職の評価に基づく立ち上がりの練習を、看護師の訪問時にも同じ順番と声かけで本人と確かめる リハビリ職との分担と、看護師が受け持つ部分を書いた
T-P 「福祉用具の導入」 トイレの入口で歩行器が引っかかる場面を、ケアマネジャーと福祉用具専門相談員に伝え、使い方や機種の相談につなぐ 選定と手配は相談の形にし、訪問看護が受け持つ部分を書いた
T-P 「見守りの強化」 夕方に歩く道すじから動きやすい家具を片づけ、家族とヘルパーが見守る時間帯と手を貸す場面を紙で共有する 「見守り強化」の中身を、時間帯・場面・物の置き方にした
E-P 「転倒予防の指導」 起きたらベッドに腰かけ、明かりをつけてから歩く順番を本人と確かめ、紙に書いて枕元に置く 指導の中身と、本人が見返せる形を書いた
E-P 「家族指導」 立ち上がりを手伝うときは本人が手すりをつかむまで待ち、腰に手を添えることを、リハビリ職の指導と同じ言葉で家族に伝える 家族に何を伝えるかを、場面と言葉で書いた
E-P 「異常時は連絡するよう説明」 転んだときは、けががなさそうに見えても、その日のうちに家族→当ステーションの順で電話することを紙で伝え、本人・家族が言えるかを確かめる 連絡する場面・順番・確かめ方を書いた
評価 「転倒なく経過。継続」 この1か月、転んだ場面はなく、夜中のトイレで足もとの明かりを毎晩使えていると妻。敷居でのつまずきは1回(明かりをつけ忘れた夜)。目標は継続とし、明かりを自動でつく物にするかをケアマネジャーと相談する 続いたこと・続かなかったこと・次に変えることを書いた
備考 「転倒に注意」 一人で過ごす時間帯:平日の9時〜17時。転んだときの連絡の順番:妻→当ステーション→主治医・ケアマネジャー。福祉用具:歩行器(○月から)。訪問リハ:毎週木曜 支援者が共有すべき事実を並べた

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

評価の書き方と報告書へのつなぎ方|転倒予防の評価文(10例)と報告書の欄別記載例

評価は、目標ごとに記録書Ⅱとご家族のメモに残した事実で書きます。「転倒なし」は、ご本人が動かなかったから転ばなかったのか、工夫が続いて転ばなかったのかを区別できません。転びそうになった場面、決めた工夫を使えた場面、外出や家事の量の変化をあわせて書いておくと、見直しの理由がはっきりします。

評価の結論 評価欄の記載例 次の計画で変える欄
継続(工夫が続いている) 足もとの明かりと、腰かけてから立つ順番が毎晩続いていると妻。この1か月、夜中のトイレでつまずいた場面はなかった。本人は「明かりがあると安心」と話す。目標と支援内容は継続とする 変えない。次の見直し日だけを書き足す
一部達成(夕方に崩れる) 装具をつけてから立つことは朝と昼は続くが、夕方の疲れた時間に装具をつけずに歩く場面が2回あった。夕方は家族が装具をつける声かけをする形に変える T-P・E-P(家族の声かけの分担)
達成(知らせられた) ○日に居間でよろけた際、本人が首から下げた機器で家族に知らせることができた。「知らせられる」目標は達成とし、次期は外出の再開を目標にする 目標・課題
未達成(練習が続かない) リハビリ職が示した家の中の練習は、訪問のない日はほとんど行われていない。本人は「一人だと忘れる」と話す。練習を朝のテレビ体操の時間に合わせる形に変える T-P(練習の時間と合図)
悪化(転倒が増えた) この1か月で2回転んだ(いずれも夕方、台所)。処方が変わった時期と重なるため、○日に主治医へ報告した。課題に台所での転倒を加え、リハビリ職に台所の動作の評価を依頼する 課題・O-P・T-P・訪問予定の職種
変化(入院から戻った) 骨折の手術を受けて○日に退院。退院時に示された動作の注意を備考に写した。入院前の目標は一度外し、家の中を歩行器で移動することを短期目標にする 目標・課題・支援内容・備考の全部
継続(怖さが和らいだ) 退院後は家の中でもほとんど歩かなかったが、一緒に歩く道すじを決めてから、一人で居間とトイレを行き来する日ができた。本人は「少しずつなら歩ける」と話す。道すじを台所まで広げる 短期目標(歩く範囲)
達成(家族の手の貸し方) 娘が、立ち上がりで本人が手すりをつかむまで待ち、腰に手を添える形で手を貸せるようになった。本人が自分で立てる場面が増えたと娘。家族への説明は継続とし、ヘルパーにも同じ形を伝える E-P(伝える相手を広げる)
一部達成(物の置き方) 廊下に物を置かないことは続いているが、ヘルパーの掃除の後にかごが戻されていた日が2回あった。サービス提供責任者へ連絡し、置き場所を共有した T-P(ヘルパーとの共有)
見直し(暮らしが変わった) 同居の妻が入院し、日中と夜を一人で過ごすことになった。転んだときの知らせ方を新しく決める必要がある。ケアマネジャーと緊急通報の機器の相談を始めた 課題・E-P・備考(連絡の順番)

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

訪問看護報告書の欄に、計画書の評価をどうつなぐか(転倒予防の記載例6欄)

報告書の欄 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(2)) 転倒予防の記載例
病状の経過 ③「利用者の病状、日常生活動作(ADL)の状況等について記入すること」 今月は転倒なし。夜中のトイレで寝室の戸口を通る際、足もとの明かりを使えている。起きがけのふらつきの訴えは月の前半に2回あり、後半はなし。居間とトイレの移動は歩行器で自分で行っている
看護・リハビリテーションの内容 ④「実施した指定訪問看護の内容について具体的に記入すること」 夜の道すじの確認と足もとの明かりの置き場所の調整(妻同席)、起きる順番の確認、立ち上がりの練習(理学療法士と同じ順番)、歩行器の使いにくさについてケアマネジャーへの相談
家庭での介護の状況 ⑤「利用者の家族等の介護の実施状況、健康状態、療養環境等について必要に応じて記入すること」 妻が夜中の様子をメモに残している。妻は「前より夜に眠れるようになった」と話す。戸口の段差について住宅改修の相談中
衛生材料等の使用量および使用状況 ⑥「指定訪問看護における処置に使用した衛生材料等の名称、使用及び交換頻度、1ヶ月間における使用量を記入すること」 (転倒による擦り傷の処置を行った方)処置に使用した物品の名称・交換の頻度・1か月の使用量を、計画書の衛生材料等の欄と同じ名前で記入する
特記すべき事項 ⑨「前記の②から⑧までの各欄の事項以外に主治医に報告する必要のある事項を記入すること」 ○日の処方の変更の後、日中の眠気を妻が気にしている(○日に電話で報告済み)。夜中にトイレへ起きる回数が月の後半に増えている
(計画書の評価とのつながり) 同 第一の2(3)③「目標達成の程度及びその効果等について評価を行うとともに、評価に関する内容を訪問看護記録書に記録すること」 計画書の評価で「一部達成(夕方に装具をつけずに歩く)」とした内容を、病状の経過と同じ言葉で書き、次の計画で変える点(夕方は家族が声をかける)を特記すべき事項に添える

※上記は厚生労働省の通知(保医発0327第10号)の記載要領を当社が編集・加工し、当社が作成した記載のイメージを並べたものです。厚生労働省の公式見解ではありません。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

転倒予防の計画書を見直すきっかけ(10)

見直しのきっかけ 計画書で見直す欄
転んだ・転びそうになった場面が増えた 課題・O-P・T-P・E-P
骨折などで入院し、家に戻った 目標・課題・支援内容・備考の全部(退院時の注意を写す)
処方が変わった後に、ふらつきや眠気の変化があった 課題・O-P・特記すべき事項への反映
福祉用具が入った・変わった、住宅改修をした T-P・備考
訪問リハや通所の利用が始まった・曜日が変わった 訪問予定の職種・T-P・備考
同居の家族が入院した、別居になった、見守りを担う人が交代した 課題・E-P・備考(連絡の順番)
物忘れが進み、決めた工夫を覚えておくことが難しくなった 課題・T-P(物の置き方中心へ)
夜中にトイレへ起きる回数が増えた・減った 課題・O-P・T-P
季節が変わり、外出の道や家の中の温度の差が変わった O-P・E-P
ご本人が動ける量が減り、最期の時期の過ごし方を話し始めた 目標・課題・支援内容

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

運営指導で転倒予防の計画書について見られる点と、手元に残す記録の一覧

厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)では、訪問看護の「居宅介護支援事業者等との連携(第64条)」「サービス提供の記録(第19条)」「訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成(第70条)」「緊急時等の対応(第72条)」「事故発生時の対応(第37条)」について次の確認項目が示されています。第70条の確認文書としては、主治の医師の指示及び居宅サービス計画に基づく訪問看護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、モニタリングシート、訪問看護報告書が挙げられています。右の列は、転倒予防の計画書で確かめる点の例です。

別添1の確認項目(訪問看護) 転倒予防の計画書で確かめる点 貴事業所の確認欄
(第64条)サービス担当者会議等を通じて介護支援専門員や他サービスと連携しているか 転びそうになった場面の記録と支援内容を、ケアマネジャー・訪問リハ・福祉用具専門相談員・ヘルパーと共有した記録があるか 確認日:(    )
(第19条)訪問看護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか 記録書Ⅱに、計画書で決めた観察(場所・動作・時間帯)と、行った練習・環境の調整が書かれているか 確認日:(    )
(第19条)日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか 「転倒なし」「歩行安定」の一語でなく、場面・前回との違い・本人の言葉で書かれているか 確認日:(    )
(第70条)居宅サービス計画に基づいて訪問看護計画が立てられているか ケアプランの福祉用具・住宅改修・訪問リハ・ヘルパーの分担と、計画書の支援内容・備考が食い違っていないか 確認日:(    )
(第70条)主治の医師の指示及び利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて訪問看護計画が立てられているか 本人の続けたい暮らしが目標に入っているか。家の間取りと一人の時間帯(環境)が課題と備考に入っているか 確認日:(    )
(第70条)サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか O-P・T-P・E-Pが「転倒予防の指導」「環境整備」の一語で止まっていないか。リハビリ職の訪問の曜日と受け持ちが分かるか 確認日:(    )
(第70条)利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか 説明した相手と日付、同意と交付の記録が残っているか。家族に渡した「転んだときの紙」と計画書の内容が同じか 確認日:(    )
(第70条)目標の達成状況は記録されているか・達成状況に基づき、新たな訪問看護計画が立てられているか 評価欄と記録書Ⅱに事実が書かれ、転んだ後・退院した後・暮らしが変わった後に計画書が見直されているか 確認日:(    )
(第72条)緊急時対応マニュアル等が整備されているか・緊急事態が発生した場合、速やかに主治の医師に連絡しているか 転んで頭を打ったときなどの連絡の手順が事業所で決まっていて、主治医へ連絡した日時が記録に残っているか 確認日:(    )
(第37条)事故が発生した場合の対応方法は定まっているか・市町村、家族、居宅介護支援事業者等に報告しているか・事故状況、対応経過が記録されているか・再発防止のための取組を行っているか 訪問中に起きた転倒の記録と報告、ヒヤリ・ハットの記録、再発防止の検討の記録が残っているか 確認日:(    )

※上記は厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

自治体の公表資料にある、訪問看護の計画書と事故・転倒の記録に関わる指摘(7件)

転倒予防の計画書に限った指摘ではありませんが、計画書の書き方、事故の記録と報告、リハビリ職の訪問の説明で関わりの深い公表事例です。

自治体(資料名) 公表されている指摘の内容 転倒予防の計画書・記録で見直す点
長野県(令和6年度運営指導結果の概要・訪問看護) 居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない、訪問看護計画に対する利用者の同意を得たことが確認できない、具体的なサービス内容を記載していない事例等 ケアプランの福祉用具・訪問リハとの対応、説明・同意の記録、O-P・T-P・E-Pの具体性
東京都(運営指導における主な指摘事項・訪問看護) 計画書を作成していない、計画書がケアプランの内容と相違している、内容が不十分 骨折で退院して訪問を始めたときに、訪問開始前に計画書があるか。ケアプランの分担と食い違っていないか
東京都(運営指導における主な指摘事項・訪問看護) 事故の状況や講じた処置を記録しておらず詳細・対応・再発防止策が不明確、保険者への事故報告を行っていない等 訪問中に起きた転倒について、状況・処置・再発防止策を記録し、報告の基準を確かめているか
神戸市(介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)・令和7年3月) 誤薬・転倒等、介護事故として記録すべきものをヒヤリ・ハット事例として記録している。再発防止策の検討が不十分なため同様の事故が繰り返し発生している(例:見守り強化のみを対策として挙げている) 事故とヒヤリ・ハットの振り分けの基準が事業所で決まっているか。対策が「見守り強化」だけになっていないか
仙台市(令和6年度 運営指導方針・令和5年度 運営指導結果等【居宅サービス指導係 所管サービス】) 骨折等の事故が発生しているが市への報告をしていない、市に報告が必要となる事故の程度を把握していない 報告が必要な事故の範囲を、管理者以外の職員も確かめられる状態にしているか
宇都宮市(令和7年度 運営指導における主な指導事例・各サービスに共通する事項) 利用者家族や介護支援専門員等に連絡した記録が残されていない。再発防止のための検討がされていない、検討内容が具体的に記録されていない(「よく注意する」等、職員に対応を任せるのではなく原因を分析するよう求めている) 転倒の連絡を家族・ケアマネジャーにした日時の記録があるか。振り返りが「注意する」で止まっていないか
静岡市(運営指導における主な指摘・助言事項等一覧・訪問看護) 理学療法士等による指定訪問看護について、看護職員の代わりに訪問させるものであること等を口頭で説明しているが、同意を得たことを確認できる記録がない リハビリ職が転倒予防の練習で訪問する方で、説明と同意の記録が残っているか

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

転倒予防の計画書について手元に残す記録(記入欄つき)

保存の年限は、介護保険では各自治体の条例で定められているため、ここでは記入欄にしています。

記録 何のために残すか 保管場所 最終更新日
訪問看護指示書 測る値の目安、リハビリ職の訪問、処置の内容の出どころ (    ) (    )
訪問看護記録書Ⅰ(転倒歴・間取り・一人の時間帯・関係機関の連絡先) 課題の根拠と、転んだときの連絡先 (    ) (    )
家の中を一緒に歩いた日の聞き取りの記録 場所ごとの課題の根拠 (    ) (    )
ご家族のメモ(夜中に起きた時刻・転びそうになった場面) 課題と評価の根拠、主治医への報告に添える資料 (    ) (    )
リハビリ職の評価と練習の内容 看護師の訪問時に同じやり方で確かめるための元 (    ) (    )
退院時に示された動作の注意の写し 備考に写した内容の出どころ (    ) (    )
家族に渡した「転んだときの紙」 説明の内容が計画書と同じかの確認 (    ) (    )
居宅サービス計画の写し 計画書がケアプランに沿っていることの確認 (    ) (    )
主治医・ケアマネジャー・福祉用具専門相談員への連絡の記録 伝えた日時・相手・内容、本人の了解 (    ) (    )
事故の記録・ヒヤリ・ハットの記録(訪問中に起きたもの) 状況・処置・連絡・再発防止の検討の事実 (    ) (    )
訪問看護計画書(説明・同意・交付の記録つき) 説明した相手と日付、同意と交付の事実 (    ) (    )
訪問看護記録書Ⅱ・訪問看護報告書(主治医への提出の記録つき) 訪問ごとの観察と、月の経過を主治医へ伝えた事実 (    ) (    )

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

よくある質問

転倒予防の看護計画の目標に「転倒しない」と書いてもよいですか?

「転倒しない」は、ご本人が動かないほど達成に近づいてしまい、外出や家事を減らす方向に計画が傾きがちです。目標には、ご本人が続けたい暮らし(自分でトイレに行く、近所の店まで歩く等)と、そのために家で続ける行動(つかまる所を使う、明かりをつけて起きる、転んだら知らせる)を書き、転んだ・転びそうになった場面は評価の材料として記録書Ⅱに残すと、見直しの理由がはっきりします。

病院の看護計画や看護学生の看護過程と、在宅の訪問看護計画書は、転倒予防の書き方で何が違いますか?

病院や看護過程では「転倒転落リスク状態」のような看護診断名を立て、病棟のベッドやセンサー、巡視を中心に計画を組むことが多くあります。在宅の訪問看護計画書は、看護師がいない時間の暮らしの中で、家のどの場所で、どの時間帯に、どんな動作のときに転びそうになるのか、それを家族やほかの事業所とどう分担して減らすか、転んだときに誰へどう知らせるかを書く計画です。課題欄には、診断名ではなく、場所・時間帯・動作と根拠になる事実を一文で書きます。

片麻痺のある方の転倒予防は、計画書にどう書けばよいですか?

麻痺側の足の運び、装具と杖の使い方、麻痺側への注意の向き方、立ち上がりの手の貸し方など、転び方に偏りが出やすい点を観察の項目にします。動作の順番や装具の扱いはリハビリ職と装具を作った医療機関の指示が元になるため、計画書では「リハビリ職の示した順番で」の形で書き、家族やヘルパーが同じやり方で続けられるよう伝えることをE-Pに書きます。疲れが出る夕方の様子は、家族に聞いて記録します。

転倒予防で、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員とはどう分担すればよいですか?

福祉用具や住宅改修の選定と手配はケアマネジャーと福祉用具専門相談員、動作の練習はリハビリ職、毎日の見守りはご家族やヘルパーが受け持つことが多くあります。訪問看護の計画書では、訪問時に見た使いにくさや転びそうになった場所と動作を伝えて相談すること、リハビリ職の練習を同じやり方で確かめることを書きます。実際の分担は居宅サービス計画とサービス担当者会議で決まります。

利用者が転んだと連絡を受けたら、記録書Ⅱには何を書けばよいですか?

いつ・どこで・何をしようとして転んだか、頭を打ったか、痛む所と動かせるか、皮膚の傷やあざ、起き上がれたか、転ぶ前の体調、明かり・履物・床の物、その後の様子の変化、ご本人の気持ち、連絡した相手と時刻を、本人の話と家族の話、看護師が見た所を分けて書きます。受診の判断と連絡の目安は主治医の指示と事業所の手順によります。振り返った結果は、計画書の課題と支援内容の見直しにつなげます。

転倒予防の訪問看護計画書は、どんなときに見直しますか?

転んだ・転びそうになった場面が増えたとき、骨折などで入院して家に戻ったとき、処方が変わった後にふらつきや眠気の変化があったとき、福祉用具や住宅改修で家の中が変わったとき、訪問リハや通所の利用が変わったとき、見守りを担う家族の状況が変わったときなどが見直しのきっかけです。見直した日は計画書の年月日の欄に書き、見直した内容は記録書に残します。

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出典

出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)

本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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