2026年(令和8年)6月1日から、訪問看護に新しい記録様式「訪問看護記録書Ⅲ」が加わりました。「記録書Ⅲとは何?」「誰について、いつ作る?」「記録書Ⅱとどう違う?」に向けて、包括型訪問看護療養費との関係・記載事項・実務のポイントを整理します。
あわせて、訪問看護AIとは?できること・選び方もご覧ください。
訪問看護記録書Ⅲとは【2026年6月新設】
訪問看護記録書Ⅲは、包括型訪問看護療養費を算定する利用者について、1日ごとに作成することが求められる記録です。2026年度(令和8年度)診療報酬改定で新設され、2026年6月1日から適用されています。従来の記録書Ⅰ・記録書Ⅱに加わる、3つ目の記録様式という位置づけです。
なぜ新設された?──「包括型訪問看護療養費」とセット
記録書Ⅲは、2026年度に新設された包括型訪問看護療養費のために設けられました。包括型訪問看護療養費は、高齢者向け住まい(サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム等)に併設・隣接する訪問看護ステーションが、24時間対応体制のもとで計画的・随時の頻回訪問を行う場合に算定する、包括(まとめ)払いの療養費です。
包括型の対象となる利用者
あらかじめ届け出た建物に居住し、次のいずれかに該当する方が対象です。
- 厚生労働大臣が定める疾病等(別表第7:末期の悪性腫瘍・難病等)の方
- 特別な管理を要する状態(別表第8:人工呼吸器・気管カニューレ等)の方
- 特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている方
こうした医療ニーズの高い利用者に頻回訪問を行うため、日々の状態と対応を確実に残す仕組みとして、記録書Ⅲの1日ごとの作成が求められます。
記録書Ⅲの主な記載事項
- 訪問年月日
- 訪問時間(実際の指定訪問看護の開始時刻・終了時刻)
- 訪問した職種
- 病状・バイタルサイン
- 実施した看護・リハビリテーションの内容 など
- 管理者または責任者の氏名(訪問看護計画書の確認・見直しを行った場合はその旨も記録)
記録書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違い
| 様式 | 役割 | 作成のタイミング |
|---|---|---|
| 記録書Ⅰ(フェイスシート) | 利用者の基本情報 | 初回・変更時 |
| 記録書Ⅱ | 訪問ごとの経過記録(SOAP等) | 訪問ごと |
| 記録書Ⅲ | 包括型を算定する利用者の日々の記録 | 1日ごと |
全体像は訪問看護の書類一覧でも確認できます。医療保険・介護保険の切り分けはこちら。
実務のポイント
- 1日ごとの作成――訪問のたびではなく、包括型対象者について日単位でまとめて残します。
- 電子的方法での記録が要件化――2026年度改定では、計画書・記録書を電子的方法で記録することが求められています。紙運用の見直しが必要になる事業所もあります。
- 記載漏れに注意――訪問時間(開始・終了)や実施内容は算定の根拠になります。
取り扱いは告示・通知・疑義解釈で細かく定められ、今後さらに明確化される見込みです。必ず最新の情報で確認してください。
記録書Ⅲを運用に乗せるときの注意
- 誰が書くかを決める——訪問した看護職員か、事務で集約するか。決めないと抜けます
- いつ書くかを決める——訪問のたびか、日ごとにまとめるか
- 記録書Ⅱとの重複を整理する——同じことを2か所に書く運用になっていないか
- 様式を先に固める——運用しながら様式を変えると、月の途中で書式が混在します
- 請求との突合を月内に行う——月末にまとめると、齟齬が見つかっても直す時間がありません
記録書Ⅲについてよくある質問
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 記録書Ⅱは不要になるのか | それぞれ役割が違います。取り扱いは最新の通知でご確認ください |
| 様式は決められているか | 記載すべき事項が示されています。レイアウトは事業所で設計できます |
| 電子で作成してよいか | 記載者と日時が特定でき、訂正の履歴が残る仕組みであることが前提です |
| 保存期間は | 完結の日から2年間が原則です。都道府県の条例で5年とされる場合があります |
| 書き漏れに気づいたら | 追記した日が分かる形で追記します。さかのぼって書き換えません |
※本記事は一般的な考え方を整理したものです。算定の可否や要件は、最新の告示・通知および保険者(市区町村)の運用をご確認ください。
記録の負担を、音声とAIで軽くする
包括型の対象者は医療ニーズが高く、記録の量も負担も増えがちです。訪問看護向けのAI「訪問看護マナ(訪問看護AI)」は、記録書Ⅱ・報告書・計画書を、訪問先で話すだけでSOAP形式に自動作成し、カイポケへ自動転記します。電子的方法での記録が求められる流れの中で、日々の記録づくりの時間を大きく減らせます。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
まとめ
- 訪問看護記録書Ⅲは2026年6月1日新設。包括型訪問看護療養費を算定する利用者について1日ごとに作成。
- 包括型は高齢者向け住まい併設等で、別表第7・第8や特別訪問看護指示書に該当する医療ニーズの高い利用者が対象。
- 計画書・記録書は電子的方法での記録が要件化。音声AIで記録の負担を軽くできる。
記録書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違い|何を、いつ書くか
訪問看護の記録は3種類あり、書く頻度と目的が違います。混同すると、必要な記録が抜けます。
| 記録書Ⅰ | 記録書Ⅱ | 記録書Ⅲ | |
|---|---|---|---|
| いつ書くか | 利用開始時(および状況の変化時) | 訪問のたび | 定められた区分の算定に関して |
| 主な内容 | 利用者の基本情報、主たる傷病、既往歴、家族構成、主治医 | その日の観察と実施した看護 | 包括的な管理に関する内容 |
| 更新の頻度 | 変化があったとき | 毎回 | 定められた頻度で |
| 誰が書くか | 訪問看護師等 | 訪問した看護師等 | 訪問看護師等 |
| 主な使われ方 | 利用者の全体像の把握 | 日々の経過の記録、報告書の素材 | 算定の根拠 |
| 保存 | 完結の日から自治体の条例による期間 | 同左 | 同左 |
記録書Ⅲに書くこと|項目と記入例
以下は記載のイメージを示すための(例)です。様式と記載事項は、最新の告示・通知および保険者の取り扱いをご確認ください。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 利用者の氏名・生年月日 | ◯◯ ◯◯(明治/大正/昭和◯年◯月◯日) |
| 対象となる期間 | 令和◯年◯月◯日〜令和◯年◯月◯日 |
| 主たる傷病名 | 慢性心不全、2型糖尿病 |
| 現在の状況(心身の状態) | 屋内は伝い歩き。浮腫は下腿に軽度。認知機能の低下はみられない |
| 看護の目標 | 心不全の増悪を起こさず、在宅生活を継続できる |
| 実施した看護の概要 | 体重・血圧・浮腫の観察、服薬管理の確認、減塩に関する助言 |
| 訪問の頻度と実績 | 週2回の予定に対し、当月は9回実施 |
| 他機関との連携 | ◯月◯日、主治医へ浮腫の増強を報告。◯月◯日、担当介護支援専門員へ情報提供 |
| 家族等の状況 | 長女が主に支援。就労のため日中は独居 |
| 特記すべき事項 | ◯月◯日、体重が3日で1.5kg増加。主治医の指示により利尿薬を調整 |
| 評価 | 目標に対し、当月は増悪なく経過。次月も同頻度で継続する |
| 記載者・記載日 | 看護師 ◯◯/令和◯年◯月◯日 |
運用に乗せるときに決めておくこと
| 項目 | 決めておくこと | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 誰が書くか | 担当看護師か、管理者か | 書く人が定まらず抜ける |
| いつ書くか | 月末か、訪問のたびに積み上げるか | 月末にまとめて負担が集中する |
| 記録書Ⅱとの関係 | Ⅱの内容をどこまでⅢに反映するか | 同じことを二度書く |
| 報告書との関係 | 報告書と記載が食い違わないようにする | 内容の不整合が生じる |
| 保存の場所 | 紙か電子か、どこに置くか | 必要なときに出せない |
| 様式 | システムの様式か、自作か | 様式が人によって違う |
| 点検 | 誰がいつ確認するか | 記載漏れに気づかない |
| 改定への対応 | 様式が変わったときに誰が反映するか | 古い様式を使い続ける |
日々の記録は訪問看護記録書Ⅱの書き方、月次の報告書は訪問看護報告書の書き方、指示書の管理は訪問看護指示書をご覧ください。制度は改定により変わります。最新の告示・通知をご確認ください。
訪問看護の記録・書類|年間で発生するもの
| 書類 | 発生の頻度 | 誰へ | 期限の目安 |
|---|---|---|---|
| 訪問看護指示書 | 最長6か月ごと | 主治医から受領 | 指示期間が切れる前に依頼 |
| 訪問看護計画書 | 月1回の見直しが基本 | 主治医へ提出/本人・家族へ説明 | 提供開始前に同意 |
| 訪問看護記録書Ⅰ | 利用開始時と、状況の変化時 | 事業所内で保管 | — |
| 訪問看護記録書Ⅱ | 訪問のたび | 事業所内で保管 | その場または当日中 |
| 訪問看護記録書Ⅲ | 定められた区分の算定に関して | 事業所内で保管 | 定められた頻度で |
| 訪問看護報告書 | 月1回 | 主治医へ提出 | 翌月の早い時期 |
| 特別訪問看護指示書 | 必要時(原則として月1回) | 主治医から受領 | 14日間 |
| 在宅患者訪問点滴注射指示書 | 必要時 | 主治医から受領 | 7日間 |
| ケアマネジャーへの情報提供 | 月1回または変化時 | 担当介護支援専門員へ | 変化時は速やかに |
よくある質問
Q. 訪問看護記録書Ⅲはいつから必要ですか?
2026年(令和8年)6月1日からです。包括型訪問看護療養費を算定する利用者について、1日ごとに作成することが要件とされています。
Q. 記録書Ⅲは誰について作成しますか?
包括型訪問看護療養費を算定する利用者について作成します。届け出た建物(高齢者向け住まい等)に居住し、別表第7(末期がん・難病等)・別表第8(人工呼吸器・気管カニューレ等の特別な管理)や、特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている方が対象です。
Q. 記録書Ⅱとの違いは何ですか?
記録書Ⅱは訪問ごとの経過を記す記録全般です。記録書Ⅲは、包括型訪問看護療養費を算定する利用者について1日ごとに作成する記録で、訪問時間や実施した看護・リハの内容など記載事項が定められています。
Q. 記録書Ⅲは電子で作成してよいですか?
2026年度改定では、計画書・記録書を電子的方法で記録することが要件化されています。詳細な取り扱いは最新の告示・通知・疑義解釈で確認してください。
関連サービス
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訪問看護の記録・書類ガイド
出典:厚生労働省ウェブサイト/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。加算・単位数・要件は改定される場合があるため、最新の告示・通知でご確認ください。
場面別|訪問看護記録書Ⅲ(療養費明細書に添える記録)の文例
記録書Ⅲには「訪問のたびの記録には収まらないできごと」を残します。連携・変更・中止・事故など、経過を追うための記録です。
| 場面 | 記録の文例 |
|---|---|
| 初回訪問 | ◯月◯日、初回訪問。指示書の内容を確認し、療養上の目標を本人・家族と共有した。 |
| 計画の説明 | 訪問看護計画書を本人へ説明し、同意を得て交付した。 |
| 医師への報告 | ◯月◯日、主治医へ電話。下腿浮腫の増強を報告し、利尿剤の追加の指示を受けた。 |
| 報告書の提出 | ◯月分の訪問看護報告書を、◯月◯日に主治医へ提出した。 |
| 特別訪問看護指示 | ◯月◯日から14日間、特別訪問看護指示書が交付され、医療保険での訪問に切り替えた。 |
| 緊急訪問 | ◯月◯日2時、家族より発熱の連絡。2時40分に訪問し、状態を確認して主治医へ報告した。 |
| 複数名訪問 | 体重が重く1名では移乗が困難なため、◯月◯日は2名で訪問した。 |
| 長時間訪問 | 医療処置に時間を要したため、◯月◯日は90分を超える訪問となった。 |
| 関係機関との連携 | ◯月◯日、担当者会議に出席。歩行距離が延びていることを報告した。 |
| ケアマネジャーへの情報提供 | ◯月◯日、体重減少について電話で情報提供した。 |
| 薬局との連携 | 残薬が多いことを薬局へ連絡し、一包化を依頼した。 |
| 入院 | ◯月◯日に入院。地域連携室へ在宅での状況を情報提供した。 |
| 退院 | ◯月◯日に退院。指示書の内容を確認し、翌日から訪問を再開した。 |
| サービスの変更 | 家族の負担が増したため、訪問回数を週2回から週3回へ変更した。 |
| 看取り | ◯月◯日、死亡を確認。主治医へ連絡し、家族への支援を行った。 |
| 中止 | ◯月◯日、本人の体調不良により訪問を中止。家族へ連絡した。 |
| 苦情 | 訪問時間の遅れについて申し出があり、翌日に管理者から説明を行った。 |
| 事故 | 移乗介助中に軽度の打撲。看護師が確認し、家族と主治医へ報告した。 |
| 医療材料 | ◯月分の衛生材料の使用量を確認し、報告書に記載した。 |
| 研修の反映 | 褥瘡ケアの研修内容を、処置の手順に反映した。 |
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
監修:嶺井 美幸(看護師・訪問看護ステーション「訪問看護ようき」代表・株式会社ライフシフトCSO)
