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介護負担の看護計画|家族の疲れ・睡眠・介護の分担を書く訪問看護計画書 目標とO-P/T-P/E-P記載例160例

夜中のトイレの付き添いで家族がまとまって眠れていない、80代の妻が90代の夫を一人で介護している、仕事を続けながら毎朝出勤前に親の着替えと薬を済ませている、遠方に住む子が週末だけ通ってくる、高校生の孫が放課後の見守りを任されている、看取りが近づいて家族が「このまま家でみられるのか」と迷っている――このような、家族の介護負担が心配な方の在宅の訪問看護計画書について、看護・リハビリテーションの目標、療養上の課題・支援内容(O-P・T-P・E-P)、評価をどう書くかを、記載例でまとめた記事です。読み手は訪問看護ステーションの看護師・保健師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理者を想定しています。

病院の看護計画や看護学生の看護過程では、「介護者役割緊張」のような看護診断名を立て、入院中の短い期間に家族への指導を行う形で組み立てることが多くあります。在宅の訪問看護計画書は、週に数回・限られた時間の訪問の中で何を見て何をするかと、看護師がいない時間の介護を、家族・訪問介護・通所・ショートステイなどがどう受け持つかを書く計画です。この記事は後者だけを扱います。また、計画書はあくまで利用者ご本人の療養のための計画です。家族の介護負担は、ご本人が家で暮らし続けられるかどうかに関わる療養環境・介護状況として課題欄に書き、家族ご自身の体や心の不調そのものは、家族ご自身のかかりつけ医や相談窓口につなぐ形で書いています。

以下の記載例は、すべて架空の利用者とご家族を想定して当社が作成した記載のイメージです。介護負担の程度を点数で表す尺度の点数とその区分・睡眠時間の基準・病名や病状の見立て・薬の名前と量・受診の基準など、数値と医学的な判断にあたる内容は、この記事には書いていません。家族の様子は「聞き取った言葉」と「看護師が見た事実」として書き、家族の心身の状態を看護師の計画書の上で判定しない書き方にしています。サービスの種類や回数を決めて手配するのは介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割で、訪問看護の計画書では、気づいたことを伝えて相談する形で書き分けています。介護休業などの勤め先の制度の使い方は、この記事では扱いません。勤め先の担当窓口や専門の相談窓口でご確認ください。

計画書の欄と通知の原文|家族の介護負担を、計画書・記録書・報告書のどの欄に書くか(欄別対照表3つ)

医療保険の訪問看護の計画書の各欄に何を書くかは、「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日 保医発0327第10号)の第一の2(1)に、介護保険の訪問看護については「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日 老企第55号)の2(2)に示されています。計画書の様式には「家族」という名前の欄はありません。家族の介護負担は、目標・療養上の課題・支援内容・備考の各欄に、ご本人の療養を支える条件として書き込みます。下の表の左から2列目は保医発0327第10号の原文、右の2列は介護負担が心配な方の計画書で書く中身と、貴事業所の運用を書き込む欄です。

欄 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(1)) 介護負担が心配な方の計画書で書く中身 貴事業所の記入欄
利用者氏名・生年月日・要介護認定の状況・住所 ①「必要な事項を記入すること」 主な介護者が別に住んでいる方では、介護者の住まいと通ってくる曜日を記録書Ⅰに残し、計画書の住所の欄と混ぜない。区分の変更を申請中の方では、申請の状況を備考に書き、結果が出たら見直す日を決めておく 介護者の住まいの記録先:(    )
看護・リハビリテーションの目標 ②「主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて看護及びリハビリテーションの目標を設定し、記入すること」 「介護負担が軽減する」で止めず、ご本人が家で続けたい暮らしと、家族がその暮らしを無理なく支えられる形を主語にする(例:夜は家族が眠れる時間をとりながら、自宅で過ごす)。家族を目標の主語にしすぎず、ご本人の目標とつなげる 目標の主語の決まり:(    )
年月日 ③「計画書の作成年月日及び計画の見直しを行った年月日を記入すること」 主な介護者の交代・入院・体調をくずした日、介護者の仕事の状況が変わった日、ショートステイや通所を始めた日、退院した日、夜間の介護が増えた日など、見直しのきっかけになった日を残す 見直しのきっかけの一覧:(    )
療養上の課題・支援内容 ④「看護及びリハビリテーションの目標を踏まえ、指定訪問看護を行う上での療養上の課題及び支援内容並びに評価を具体的に記入すること」 課題の文には、介護のどの場面(夜間の排泄・服薬・入浴・医療処置・見守り)で、誰が、いつ、どのくらい担っているかと、家族の言葉(「夜は2回起きている」など聞き取った内容)を根拠として添える。支援内容はO-P・T-P・E-Pに分ける 課題の根拠の書き方:(    )
評価 ④(同上)。介護保険の老企第55号の記載要領では、評価の欄について「初回の訪問看護サービス開始時においては、空欄であっても差し支えない」とされています 目標ごとに、記録書Ⅱに残した事実(家族が眠れたと話した夜の数、介護の手順のうち家族が一人で行えた場面、分担が変わった場面、家族の言葉の変化)で書く。「介護負担軽減した」「家族協力良好」の一語で終わらせない 評価を書く時期:(    )
衛生材料等が必要な処置の有無・処置の内容・衛生材料等・必要量 ⑤「衛生材料等が必要になる処置の有無について○をつけること」「『処置の内容』及び『衛生材料等』について具体的に記入し、『必要量』については1ヶ月間に必要となる量を記入すること」 家族が医療処置の一部(吸引・胃ろうからの注入・傷の手当てなど)を担っている方では、指示書にある処置の内容・種類とサイズ・1か月の必要量を指示書と主治医の医療機関の取扱いのとおりに写す。補充を家族の買い置きに頼っていないかも確かめる 衛生材料の確認先:(    )
訪問予定の職種 ⑥「訪問予定の職種及びその訪問日について、利用者に分かるように記載すること」。看護職員のみによる訪問の場合には記載しなくても差し支えないとされています 理学療法士・作業療法士が移乗やトイレの動作、介助の方法を家族と練習する方では、職種と曜日を書く。家族が仕事で不在の曜日に、誰が立ち会うかも分かるようにする 職種と曜日の伝え方:(    )
備考 ⑦「利用者に対する訪問の計画、特別な管理を要する内容、他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況、その他留意すべき事項等を記入すること」 訪問の曜日と時間帯(家族が在宅の時間との関係)、訪問介護・通所・ショートステイ・福祉用具の利用状況、主な介護者と連絡のつく時間帯、家族が不在の日の連絡の順番、家族の都合で訪問時間を変えるときの取り決めなど 備考に書く項目:(    )

※上記は厚生労働省の通知(保医発0327第10号・老企第55号)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。様式と記載の取扱いは保険者(指定権者)や審査支払機関によって異なる場合があります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

記録書Ⅰ・記録書Ⅱ・報告書の定めと、家族の介護の状況を書く場所を並べる

家族の介護の状況は、計画書よりも先に、記録書Ⅰ(初回訪問時等に把握した基本的な情報)と報告書の「家庭での介護の状況」の欄に書く場所が用意されています。計画書の課題欄は、記録書に残した事実を根拠にして書くとつながりやすくなります。手元の通知の原文から並べました。

確かめる点 通知の原文 介護負担が心配な方で確かめること 貴事業所の記入欄
計画書の作り方の基本(介護保険) 老企第55号 1(1)「訪問看護計画書は、主治の医師の指示、利用者の希望や心身の状況等を踏まえ、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載して作成すること」 ご本人の「家にいたい」「家族に迷惑をかけたくない」という希望と、家族の「できるところまでみたい」「夜だけは休みたい」という言葉の両方が、計画書に入っているか 希望を聞き取った日:(    )
居宅サービス計画との関係(介護保険) 老企第55号 1(1)「既に居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成するものであること」 ケアプランに書かれた家族の役割、訪問介護・通所・ショートステイの曜日と、計画書の訪問の計画と分担がそろっているか ケアプランの受け取り日:(    )
欄の名前の変更(介護保険) 介護保険最新情報Vol.1213 別紙17の老企第55号の改正で、計画書④の欄は「問題点・解決策」から「療養上の課題・支援内容」に改められています 古い様式のまま「問題点・解決策」の欄を使っていないか。「介護者役割緊張」の名前だけの書き方を、課題と支援内容の形に見直す 様式の改訂日:(    )
記録書Ⅰに書く項目 保医発0327第10号 第一の2(3)②。記録書Ⅰには「療養状況、介護状況、訪問看護の依頼目的、緊急時の主治医・家族等の連絡先、指定居宅介護支援事業所等の連絡先、その他関係機関との連絡事項等」を記入すること 主な介護者、介護を手伝う人、連絡のつく時間帯、家族の仕事や通学の予定、介護者自身の通院の予定(聞き取れた範囲)を初回の訪問で残しておく 連絡先の確認日:(    )
記録書Ⅰの参考様式の欄 保医発0327第10号の参考様式1(訪問看護記録書Ⅰ)には、「介護状況」「生活歴」「家族構成」(氏名・年齢・続柄・職業・特記すべき事項)「主な介護者」「住環境」の欄が設けられています 家族構成の「職業」「特記すべき事項」に、仕事との両立や遠方に住んでいることを書き、「主な介護者」に一人で担っているか、交代できる人がいるかを書く 家族構成を見直す時期:(    )
記録書Ⅱに書く項目 同 第一の2(3)②。記録書Ⅱには「病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等」の必要な事項を記入すること ご本人の状態に加え、家族に行った説明・練習した介助の手順・聞き取った家族の言葉を、訪問のたびに同じ順番で書く場所を決めておく 家族の様子を書く欄:(    )
報告書の「家庭での介護の状況」 同 第一の2(2)⑤「利用者の家族等の介護の実施状況、健康状態、療養環境等について必要に応じて記入すること」 主治医へ報告する欄。家族が担っている介護、家族の体調について聞き取った内容(判定はしない)、夜間の様子、ショートステイの利用などを、計画書の課題と同じ言葉で書く 報告書に書く担当:(    )
評価と見直し 同 第一の2(3)③「目標達成の程度及びその効果等について評価を行うとともに、評価に関する内容を訪問看護記録書に記録すること」 評価の根拠になる事実(家族が眠れた夜、一人で行えた介助、分担の変化、家族の言葉)を記録書Ⅱに積み重ねているか 記録の順番:(    )
計画書の見直しの記録 同 第一の2(3)②「訪問看護ステーションの管理者又は包括型訪問看護療養費を算定する日の指定訪問看護に対する責任者は、氏名と訪問看護計画書の確認や見直しを行った場合はその旨を訪問看護記録書に記録すること」 主な介護者の交代・入院、ショートステイの開始などで分担が変わったときに、計画書を確かめたことと見直したことを記録書に残しているか 見直しの記録の担当:(    )
管理者の確認 同 第一の1(3)「訪問看護ステーションの管理者は、主治医からの訪問看護指示書(以下「指示書」という。)、計画書及び報告書並びに記録書の内容について、助言、指導、確認等十分な管理を行い」 担当の看護師だけが家族の疲れに気づいている状態にせず、計画書・記録書・報告書の内容を管理者が確かめ、ステーションとして共有しているか 確認の担当者:(    )

※上記は厚生労働省の通知(保医発0327第10号・老企第55号)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。様式と記載の取扱いは保険者(指定権者)や審査支払機関によって異なる場合があります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

「介護者役割緊張」などの看護診断名を、在宅の課題欄の一文に直す(8例)

看護学校や病院で使う看護診断名は、そのまま在宅の計画書の課題欄に書いても、家族やケアマネジャー、訪問介護の職員には何が起きているのかが伝わりにくくなります。課題欄には、介護のどの場面で、誰が、どう困っているかを、聞き取った言葉と見た事実で一文にします。

看護診断名・看護問題の名前 在宅の課題欄の一文(記載例) 根拠として添える事実
介護者役割緊張 主な介護者の妻が夜間の排泄の介助を一人で担っており、「夜は2回は起きる。昼に横になる時間がない」と話している。このままの分担では、ご本人の自宅での暮らしを続けることが難しくなるおそれがある 妻の言葉、夜間に介助した回数(家族の記録)、昼間に代われる人がいないこと
介護者役割緊張リスク状態 退院して自宅での介護が始まったばかりで、長女が仕事を続けながら朝と夜の介護を受け持つ予定になっている。長女は「やってみないと分からない」と話しており、続けられる見通しを訪問のたびに一緒に確かめる必要がある 退院日、長女の勤務の時間帯、介護の手順を初めて行う場面の数
家族コーピング妥協化 長男と長女で介護の分担の考えが違い、主に長女が受け持っている。長女は「兄には頼めない」と話しており、家族の中での分担の話し合いをどう支えるかが課題になっている 長女の言葉、介護を受け持つ曜日の偏り、話し合いの場の有無
非効果的家族健康管理 服薬の準備を家族3人が日ごとに交代で行っており、飲み忘れと二重に飲む心配がある。手順と記録の場所が家族の中でそろっていない 残っている薬の数、家族ごとの準備の仕方の違い、お薬カレンダーの使い方
知識不足(介護の方法) ベッドから車いすへの移乗の介助を、妻が腰をかがめた姿勢で行っており、「腰が痛くてつらい」と話している。妻にとって負担の少ない介助の方法と福祉用具の使い方を一緒に確かめる必要がある 介助の様子を見た日、妻の言葉、使っている福祉用具
社会的孤立 主な介護者の夫は「誰とも話さない日がある」と話し、介護を理由に外出の機会が減っている。夫が地域の相談先や集まりにつながっていない 夫の言葉、外出の頻度(聞き取り)、相談先を知っているかどうか
予期悲嘆 看取りの時期を迎えるにあたり、妻は「最期まで家で、と言ったけれど怖い」と話している。妻の気持ちの揺れを受け止めながら、ご本人の希望する場所で過ごせるよう準備を進めることが課題になっている 妻の言葉、主治医から受けた説明の内容、夜間の連絡の手順を家族が知っているか
睡眠パターン混乱(介護者) ご本人の夜間の声かけに長男が毎晩対応しており、長男は「朝起きられず仕事に遅れそうになる」と話している。夜間の対応を誰がどう分けるか、ケアマネジャーと相談する必要がある 長男の言葉、夜間の声かけの時刻(家族の記録)、長男の勤務の時間帯

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

家族の状況の聞き取り|睡眠・仕事との両立・家族自身の健康・続けられる見通しを記録する観察表(観察16項目)

介護負担は、ご本人の状態だけを見ていても分かりません。家族が何を、いつ、どのくらい担っていて、それを続けられると思っているかを、訪問のたびに同じ項目で聞き取り、記録に残していくことで初めて変化として見えてきます。「介護疲れあり」「家族協力的」のような書き方では前回と比べることができず、ケアマネジャーや主治医に伝える材料にもなりません。下の表は、家族の状況を聞き取る項目と記録書Ⅱへの書き方の型です。家族の体や心の状態を看護師が判定するための表ではなく、聞き取った言葉と見た事実を残すための表です。

聞き取る項目 聞き方の例 記録書Ⅱへの書き方の型 気をつけること
主な介護者と手伝う人 「ふだん一番お世話をされているのはどなたですか。代わってくれる方はいますか」 「主な介護者:妻。平日の夕方は長女が来て入浴の準備を手伝う(妻の話)」 初回だけでなく、入院や家族の事情の変化のたびに聞き直す
担っている介護の場面 「一日のうちで、どのお世話に一番時間がかかっていますか」 「妻が担っている介護:朝の着替え・3食の準備と見守り・夜間のトイレの付き添い(妻の話)」 場面ごとに分けて書くと、分担表とつながる
夜間の介護と家族の睡眠 「夜は何回くらい起きていますか。まとまって眠れている夜はありますか」 「夜間に起きた回数:昨夜2回(妻の記録表より)。妻は『まとめて眠れたのは週に1日くらい』と話す」 睡眠の良し悪しを看護師が判定しない。回数と言葉を残す
家族自身の体調 「ご自身の体調はいかがですか。通院の予定はありますか」 「妻は『腰の痛みで整形外科に通っている。最近行けていない』と話す」 病名や状態の見立てを書かない。受診をすすめた場合はそのことを書く
家族の気持ち 「いま一番気がかりなことは何ですか」 「長女『仕事中に電話が鳴るたびに父のことかと思う』」 言葉はそのまま「」で残し、看護師の解釈と分ける
仕事・学校との両立 「お仕事のある日は、何時ごろ家を出て何時ごろ戻られますか」 「長男の勤務:平日8時〜19時。出勤前の7時台に服薬の準備(長男の話)」 勤め先の制度の使い方には踏み込まず、勤め先や専門の窓口に確かめるよう伝える
続けられる見通し 「いまのやり方を続けていけそうですか。どこが一番きついですか」 「妻は『今の形ならあと少しは続けられる。夜がもう1回増えたら難しい』と話す」 評価欄の根拠になる。毎回同じ聞き方で聞く
休めている時間 「ご自身の時間はとれていますか。通所の日は何をして過ごされますか」 「通所の日(火・金)は妻が買い物と通院に出かけている(妻の話)」 通所やショートステイが家族の休息になっているかの根拠になる
相談できる相手 「困ったときに相談できる方はいますか」 「妻『近くに相談できる人はいない。息子は遠くにいる』」 地域包括支援センターなど相談先を知っているかも確かめる
介護の手順への自信 「この手順で、迷うところはありますか」 「吸引の手順のうち、管を入れる長さで迷うと長女が話す。一緒に手順書を見直した」 できていないことの指摘でなく、迷う場面を聞く
介助による家族の体の痛み 「お世話の後に、腰や肩が痛むことはありますか」 「移乗の介助の後に腰が痛むと妻が話す。介助の方法を一緒に確かめた」 痛みの原因の見立てを書かない。必要に応じて受診をすすめる
家計や手続きの心配 「サービスを増やすときに気がかりなことはありますか」 「妻は『これ以上の費用は心配』と話す。ケアマネジャーへ伝えることの了解を得た」 費用や制度の案内はケアマネジャー・相談窓口につなぎ、看護師が判断しない
ご本人と家族の関係 「ご本人とのやりとりで、つらく感じることはありますか」 「夜間の大きな声に対し、長男は『つい強く言ってしまう』と話す」 責めずに受け止める。心配な様子は事業所の手順に沿って管理者に相談する
子どもや若い家族の関わり 「お孫さんは、どんなお手伝いをしていますか」 「高校生の孫が平日の放課後に見守りを担っている(母の話)。孫本人の話はまだ聞けていない」 子どもの生活や学校への影響に気を配り、ケアマネジャーと共有する
家族の生活の変化 「介護が始まってから、生活で変わったことはありますか」 「長女はパートの日数を週3日に減らした(長女の話)」 変化の良し悪しを書かず、事実として残す
家族の希望 「これからのことで、どうしたいと考えていますか」 「妻『家でみたい気持ちは変わらない。でも月に1回は泊まりで休みたい』」 目標欄と分担の見直しに使う。ご本人の希望とも並べて書く

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

家族から話を聞く場面と時間のつくり方(7場面)

家族は、ご本人の前では「大丈夫です」と答えることが少なくありません。どこで、いつ、誰がいるときに聞いたかで、聞ける内容が変わります。聞いた場面も記録に残しておくと、次の訪問でどの場面を選べばよいかが分かります。

場面 聞き取りのしかた 記録への残し方
ご本人の前 ご本人の希望と家族の希望を一緒に聞く。家族の疲れについては深く聞かず、別の場面を約束する 「本人同席で聞き取り。妻は『大丈夫』と話す。別の機会に改めて聞くことを約束した」
玄関先・帰りぎわ 短い時間でも、「夜はどうでしたか」と一つだけ聞く 「帰りぎわに妻へ確認。昨夜は1回起きたと話す」
別の部屋 ご本人が休んでいる時間に、家族だけと話す時間を数分とる 「本人の入眠中、台所で妻と5分ほど話す。妻『本当は限界に近い』」
電話 仕事をしている家族や遠方の家族には、連絡のつく時間帯に電話で聞く 「長男(遠方)へ電話。週末の介護の様子と、来月の帰省の予定を確認した」
家族の記録表 夜間に起きた回数や介助の内容を、家族が書ける範囲で表にしてもらう 「妻の記録表(今週分)を確認。夜間の付き添い:計9回」
サービス担当者会議 家族が他の職種の前で話しやすいよう、事前に話したいことを一緒に整理しておく 「担当者会議の前に、妻と話したいこと(夜間の対応)を確認した」
理学療法士・作業療法士の訪問時 介助の練習の場面で、家族の体の使い方と困っている動作を聞く 「移乗の練習に妻が同席。腰をかがめる姿勢で痛むと話す」

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

介護の分担表|家族・訪問看護・訪問介護・ケアマネジャー・ショートステイ等の役割を書き分ける(14場面)

介護負担の看護計画で一番崩れやすいのは、誰が何を受け持つのかが計画書に書かれていないことです。「家族の負担を軽減する」と書いても、どの場面の何を、誰が代わるのかが無いと、評価のしようがありません。下の表は、介護の場面ごとに役割を並べた分担表の例です。サービスの種類や回数を決めて手配し、各事業所との調整を行うのは介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割です。訪問看護の欄は、看護師が訪問の中で受け持つことと、気づいたことをケアマネジャーへ伝えて相談することに分けて書いています。実際の分担はケアプランと、ご本人・家族との話し合いで決まります。

介護の場面 家族 訪問看護 訪問介護 ケアマネジャー その他のサービス・機関
夜間の排泄 夜間の付き添い(回数を記録表に残す) 夜間の排泄の様子と家族の睡眠の聞き取り。排泄の用具・方法の見直しを主治医・ケアマネジャーへ相談 ケアプランに位置付けがある場合の夜間・早朝の訪問 夜間の対応の分担と、使えるサービスの検討・調整 福祉用具(ポータブルトイレ等)の相談は福祉用具専門相談員
服薬 朝夕の薬の準備と見守り 処方のとおりに飲めているかの確認、お薬カレンダー等の準備の方法を家族と決める ケアプランに位置付けがある場合の服薬の声かけ 服薬の支援の分担の調整 薬局の薬剤師(一包化や飲み方の相談は主治医・薬剤師へ)
入浴 着替えの用意 入浴の前後の体調の確認(指示書のとおり)、入浴の方法の助言 入浴の介助(ケアプランのとおり) 通所や訪問入浴の利用の検討・調整 通所介護・訪問入浴介護
食事 調理と見守り むせや食べる量の様子の観察、食事の形の相談を主治医へつなぐ 調理・配膳(生活援助の位置付けがある場合) 配食などの利用の検討 配食サービス、管理栄養士(利用している場合)
移乗・移動 日中の移乗の介助 家族に負担の少ない介助の方法の練習(理学療法士・作業療法士を含む) 移乗の介助(ケアプランのとおり) 福祉用具の検討・調整 福祉用具専門相談員
医療処置(吸引・注入・傷の手当てなど) 指示のとおりの手順で行う範囲(主治医・訪問看護から説明を受けた範囲) 処置の実施と、家族が行う手順の確認・練習。衛生材料の必要量の確認 (医療処置は行わない。決められた範囲の介助のみ) 医療処置がある前提でのサービスの組み立て 主治医、薬局・医療機関(衛生材料の提供)
通院の付き添い 通院の付き添い 受診の前に伝えたいことの整理、受診後の説明の内容の確認 通院の介助(ケアプランに位置付けがある場合) 通院の手段と付き添いの調整 主治医(訪問診療の相談を含む)
日中の見守り 在宅の時間の見守り 家族が不在の時間の過ごし方の確認、転びやすい場所の確認 見守り的な援助(ケアプランのとおり) 家族が不在の時間の組み立て 通所介護・小規模多機能型居宅介護など
体調の変化に気づいたときの連絡 連絡の手順の紙に沿って連絡する 連絡の順番を紙にして渡す。24時間の連絡体制の説明(契約している場合) 気づいたことをサービス提供責任者へ 連絡の流れをケアプランと担当者会議で共有 主治医
家族の休息 休みたい時期と希望を伝える 家族の睡眠・体調・続けられる見通しの聞き取りとケアマネジャーへの報告 ― ショートステイ・通所などの検討・調整 短期入所生活介護・短期入所療養介護、通所介護
家族が仕事で不在の時間 仕事の予定と連絡のつく時間帯を伝える 訪問の時間帯を家族の予定と合わせる。不在時の連絡の取り決め 不在の時間の援助(ケアプランのとおり) 家族の仕事の予定に合わせたサービスの組み立て 勤め先の制度は勤め先の担当窓口へ
遠方の家族との情報共有 帰省の予定と連絡のつく時間帯を伝える ご本人の了解を得たうえで、伝えてよい内容と相手を決めておく ― 家族の間の連絡の窓口の確認 ―
看取りの時期の準備 ご本人の希望を一緒に聞く。夜間の連絡の手順を確かめる 主治医から受けた説明を家族と一緒に確かめる。体の変化と連絡の目安の説明(指示書のとおり) ケアプランのとおりの援助 状態の変化に合わせたサービスの見直し 主治医(訪問診療)、福祉用具
家族自身の通院・用事 通院や用事の予定を伝える 家族の体調を聞き取り、必要に応じて受診をすすめる ― 家族が不在の日のサービスの調整 家族自身のかかりつけ医、地域包括支援センター

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の分担はケアプランと、ご本人・ご家族との話し合いによります。医療処置のうち家族が行う範囲は、主治医の指示と訪問看護からの説明の範囲に限られます。

分担を計画書の備考とT-Pに書く型(8例)

分担表をそのまま計画書に貼る必要はありません。計画書には、訪問看護が受け持つ部分をT-Pに、家族やほかのサービスが受け持つ部分を備考に書き、誰が何をするかが一目で分かるようにします。

分担の場面 書く欄 計画書の書き方の型
夜間の排泄 備考 「夜間の排泄の付き添いは妻が担当。夜間に起きた回数を妻の記録表で訪問時に確認する。夜間の分担はケアマネジャーと相談中」
服薬 T-P 「お薬カレンダーへの1週間分の準備を月曜の訪問で看護師が行い、朝夕の見守りは長男、昼は訪問介護の声かけとする(ケアプランのとおり)」
入浴 備考 「入浴は通所介護(火・金)で行う。自宅での入浴は行わない取り決め(ご本人・妻と確認済み)」
移乗 T-P 「理学療法士が妻とベッドから車いすへの移乗の方法を練習し、手順を紙にして寝室に貼る」
医療処置 T-P・備考 「吸引は主治医の指示のとおり。家族が行う範囲は訪問看護から説明した手順の範囲とし、迷う点は訪問時に一緒に確認する」
家族の休息 備考 「月に1回のショートステイの利用をケアマネジャーと相談中。利用の前後で体調と記録の申し送りを行う」
家族の不在 備考 「長女の勤務日(月〜金)の日中は、訪問介護と通所で見守る。訪問看護は長女の在宅の夕方(17時台)に訪問する」
連絡 E-P・備考 「体調の変化に気づいたときの連絡の順番(当ステーション→主治医)を紙にして電話の横に置く」

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

背景別|介護負担の看護目標の記載例(12の背景・長期と短期あわせて24例)

目標欄は「家族の介護負担が軽減する」の一行で止めず、ご本人の暮らしと、それを支える家族の形を一緒に書くと、評価で何を見ればよいかがはっきりします。短期目標は、次の評価の時期までに確かめられる具体的な姿にします。期間は事業所の様式と計画の見直しの時期に合わせてください。

背景 長期目標 短期目標
夜間の排泄の介助が続く 夜は妻が眠れる時間をとりながら、ご本人が自宅で過ごし続ける 夜間の排泄の方法と分担を見直し、妻がまとまって眠れる夜が今より増えたと話せる
老老介護(夫婦とも高齢) 夫婦二人の暮らしを、無理のない分担で続ける 妻が一人で担っている介護のうち、一つの場面をほかのサービスと分けられる
仕事を続けながらの介護 長男が仕事を続けながら、ご本人が自宅で暮らせる 出勤前の服薬と着替えの手順が決まり、長男が「朝の時間に余裕ができた」と話せる
遠方に住む家族 離れて住む長女とも状況を共有しながら、ご本人が一人暮らしを続ける 長女への連絡の窓口と頻度が決まり、長女が様子を把握できていると話せる
子ども・若い家族が担っている 孫が学校生活を続けながら、ご本人が自宅で過ごせる 孫が受け持っている見守りの時間が分かり、ケアマネジャーと分担の見直しを話し合える
退院直後 家族が介護の手順に慣れ、ご本人が自宅での生活を続ける 退院後2週間のうちに、家族が迷う手順を訪問のたびに一つずつ確かめ、「一人でもできそう」と話せる
医療処置を家族が担う 家族が安心して処置の一部を担いながら、ご本人が自宅で療養を続ける 家族が指示のとおりの手順で処置を行え、迷ったときの連絡先を言える
認知症の症状への対応 ご本人が落ち着いて過ごせる時間が増え、家族が対応に追われすぎない暮らしを続ける 夜間の声かけが多い時間帯と、落ち着く関わり方を家族と一緒に見つけられる
家族の体調がすぐれない 家族が自分の受診と休息の時間をとりながら、介護を続けられる 妻が自分の通院の予定を守れるよう、通院の日のサービスがケアマネジャーと調整される
家族の中で分担がかたよる 家族それぞれができる範囲で関わり、主な介護者が一人で抱え込まない 長女と長男が担当者会議に参加し、それぞれが受け持つ場面を決められる
家族の休息が必要 家族が定期的に休める時間を持ちながら、ご本人が自宅での生活を続ける ショートステイを試しに利用し、利用の前後でご本人の体調を共有できる
看取りの時期 ご本人が望む場所で、家族とともに最期の時間を過ごす 体の変化と連絡の手順を家族が知り、「夜でも連絡してよいと分かって安心した」と話せる

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

ご本人・ご家族の言葉から目標欄の文をつくる(「家族に迷惑をかけたくない」「夜だけは休みたい」等8例)

老企第55号では、計画書を利用者の希望や心身の状況等を踏まえて作成することとされています。ご本人と家族の言葉を目標欄の出発点にすると、評価のときにご本人・家族と一緒に振り返りやすくなります。

聞き取った言葉 目標欄の文(記載例)
ご本人「家族に迷惑をかけたくない。でも家にいたい」 家族と分担を話し合いながら、ご本人が望む自宅での暮らしを続ける
妻「夜だけは休みたい」 夜間の介護の方法と分担を見直し、妻が夜に休める日を持ちながら自宅での生活を続ける
長男「仕事は辞めたくない」 長男が仕事を続けられる時間の組み立ての中で、ご本人が自宅で暮らせる
長女「離れているので、様子が分からないのが不安」 長女とも様子を共有しながら、ご本人が一人暮らしを続けられる
夫「妻のことは自分がみる」 夫の思いを大切にしながら、夫が一人で抱え込まない分担で夫婦の暮らしを続ける
妻「最期まで家で、と約束した」 ご本人と妻の約束を支え、自宅で穏やかに過ごす時間を持つ
ご本人「施設には行きたくない」/長女「このままでは共倒れになる」 ご本人の思いと長女の心配の両方を担当者会議で共有し、自宅での暮らしを続けられる形を一緒に探す
孫の母「子どもに頼りすぎている気がする」 孫が学校生活を大切にでき、ご本人の見守りがほかの形でも保たれる

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

療養上の課題・支援内容|介護負担のO-P・T-P・E-P記載例(10課題・30例)

O-P(観察)には家族の様子を、T-P(ケア)には看護師が訪問の中で行うことを、E-P(説明・相談)には家族へ伝えることと相談先を書きます。家族の様子を観察する項目は「介護疲労の有無」の一語でなく、聞き取る内容を具体的に書きます。

課題 O-P(観察) T-P(ケア) E-P(説明・相談)
夜間の排泄の介助で妻がまとまって眠れていない 夜間に起きた回数(妻の記録表)、妻の言葉、日中の妻の様子、ご本人の夜間の排泄の様子 夜間の排泄の方法と用具の見直しを主治医・ケアマネジャーへ相談する。訪問の時間帯を妻が休める時間と重ねない 夜間の回数を記録表に残す方法を説明する。夜間の分担をケアマネジャーと話し合えることを伝える
移乗の介助で妻が腰の痛みを訴えている 移乗の場面の妻の姿勢、痛みの訴え(妻の言葉)、使っている福祉用具 理学療法士と妻に負担の少ない移乗の方法を練習し、手順を紙にする 福祉用具の見直しをケアマネジャーに相談すること、痛みが続くときは妻自身のかかりつけ医の受診をすすめる
仕事を続ける長男の出勤前の介護が重なっている 朝の介護の内容と所要時間(長男の話)、長男の勤務の時間帯、服薬の様子 服薬の準備を訪問時に1週間分まとめて行い、朝の手順を減らす 朝の手順を紙にして共有する。勤め先の制度は勤め先の窓口で確かめるよう伝える
家族が医療処置の手順に不安を持っている 処置の手順のうち家族が迷う場面、家族の言葉、処置の後のご本人の様子 指示のとおりの手順で処置を一緒に行い、迷う場面を繰り返し確かめる 手順書と連絡の目安(指示書のとおり)を説明する。迷ったときは当ステーションに連絡してよいことを伝える
認知症の症状による夜間の声かけに家族が対応している 声かけが多い時間帯と内容(家族の記録)、家族の対応、家族の言葉 落ち着く関わり方を家族と一緒に試し、記録する。夜間の様子を主治医へ報告する 症状について主治医から受けた説明を一緒に確かめる。対応に困ったときの相談先を伝える
主な介護者が一人で抱え込んでいる 担っている介護の場面、手伝える人の有無、主な介護者の言葉 分担表を家族と一緒に作り、ケアマネジャーに共有する(家族の了解を得て) 担当者会議で分担を話し合えることを伝える。地域包括支援センターなど相談先を伝える
家族自身の体調がすぐれない様子がある 家族の体調の訴え(言葉のまま)、通院の予定、受診できているか 家族の通院の日にサービスが組めるよう、ケアマネジャーへ相談する 家族自身のかかりつけ医の受診をすすめる。相談先として地域包括支援センターを伝える
家族が休む時間をとれていない 家族が自分の時間をとれている日、通所の日の過ごし方、休みたいという言葉 ショートステイや通所の利用の検討をケアマネジャーへ相談し、利用の前後の体調を申し送る 休むことはご本人の暮らしを続けるためにも大切なことと伝える
遠方の家族と状況が共有されていない 遠方の家族が知りたいこと、連絡の窓口、ご本人の了解の有無 ご本人の了解を得て、伝える内容と相手、連絡の頻度を決める 連絡のつく時間帯と窓口を家族の間で決めてもらう
看取りの時期を迎え、家族が不安を話している 家族の言葉、主治医から受けた説明の理解、夜間の連絡の手順を知っているか 体の変化と対応を家族と一緒に確かめ、主治医と連絡の目安を共有する 夜間でも連絡してよいこと、連絡の順番を紙にして伝える。家族の気持ちを聞く時間をとる

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

場面別|老老介護・独居に近い・遠距離・ヤングケアラー・仕事との両立など8つの場面の書き方

介護負担は、家族の形によって表れ方が違います。同じ「負担」でも、夫婦とも高齢の家族と、仕事を続ける子と、離れて住む家族とでは、計画書で書く場所と支援内容が変わります。下の表は場面ごとの課題の文とO-P・T-P・E-P、つなぐ先の例です。

場面 課題の文 O-P T-P E-P つなぐ先
老老介護 80代の妻が90代の夫の介護を一人で担っている。妻は「自分が倒れたら終わり」と話している 妻の体調の訴えと通院の様子、介助の場面の妻の姿勢、夜間の様子 妻が一人で行う介助のうち負担の大きい場面を一緒に確かめ、方法を見直す 妻が倒れたときの連絡の順番を一緒に決め、紙にする ケアマネジャー(分担・サービスの検討)、地域包括支援センター
独居に近い(日中独居・家族が通い) 日中は一人で過ごし、長女が夕方に通って介護している。長女が来られない日の見守りが無い 日中の過ごし方、食事と服薬の様子、長女が来られない日の数 訪問の時間帯で日中の様子を確かめ、長女へ伝える 長女が来られない日の連絡の取り決めを決める ケアマネジャー(見守りの組み立て)
遠距離 長男は遠方に住み、月に1回帰省している。ご本人の了解を得て様子を伝える取り決めが無い 長男が知りたい内容、ご本人の了解、帰省の予定 ご本人の了解を得て、伝える内容と頻度を決める 連絡のつく時間帯と窓口を長男と決める ケアマネジャー(家族との連絡の窓口の確認)
ヤングケアラー(子ども・若い家族) 高校生の孫が平日の放課後の見守りを担っている。孫の学校生活への影響が気がかりである 孫が受け持っている時間と内容(母の話、孫の話)、孫の様子 孫に任せている見守りを、ほかの形でも保てるか家族と一緒に考える 困ったときに相談できる先があることを家族に伝える ケアマネジャー、地域包括支援センター、自治体の相談窓口(事業所の手順に沿って管理者と相談のうえ)
仕事との両立 長女はフルタイムで働きながら朝夕の介護を担い、「仕事中も気が休まらない」と話している 長女の勤務の時間帯、朝夕の介護の内容、長女の言葉 訪問の時間帯を長女の在宅の時間に合わせ、朝の手順を減らす工夫をする 勤め先の制度は勤め先の担当窓口や専門の相談窓口で確かめるよう伝える ケアマネジャー(不在の時間のサービスの組み立て)
複数の人を介護している 妻は夫の介護と、同居する母の見守りを同時に担っている 二人の介護の時間帯の重なり、妻の言葉と体調 夫の介護のうち、訪問の時間に行える部分を受け持つ 母の介護についての相談先を伝える 夫・母それぞれのケアマネジャー(了解を得て情報を共有)
退院直後 退院したばかりで、妻は初めて胃ろうからの注入を行う。「やり方を間違えそうで怖い」と話している 注入の手順のうち妻が迷う場面、妻の言葉 指示のとおりの手順で一緒に注入を行い、迷う場面を確かめる 手順書と連絡の目安(指示書のとおり)を説明する 主治医、退院した医療機関(退院時の情報)
看取りの時期 妻は「最期は家で」と約束したが、「夜に何かあったら」と不安を話している 妻の言葉、主治医の説明の理解、夜間の連絡の手順を知っているか 体の変化と対応を妻と一緒に確かめ、主治医と連絡の目安を共有する 夜間でも連絡してよいことを伝え、連絡の順番を紙にする 主治医、ケアマネジャー(サービスの見直し)

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

家族の言葉の受け止め方|「もう限界」「私がやらないと」などへの声かけの言い換えと記録の書き方(12場面)

家族の言葉には、疲れ・迷い・責任感・ご本人への思いが重なっています。看護師が急いで答えを出そうとしたり、励ましのつもりで「頑張りましょう」と返したりすると、家族はそれ以上話さなくなることがあります。下の表は、家族の言葉ごとに、避けたい返し方と、言い換えの例、記録書Ⅱへの書き方を並べたものです。言い換えの例は一つの形で、その家族との関係に合わせて言葉を選んでください。

家族の言葉 避けたい返し方 声かけの言い換えの例 記録書Ⅱへの書き方
「もう限界かもしれない」 「みなさん大変なんですよ」 「そう感じるほど続けてこられたんですね。どの場面が一番つらいか、一緒に整理させてください」 妻「もう限界かもしれない」。一番つらい場面は夜間の付き添いと話す。ケアマネジャーへ伝えることの了解を得た
「私がやらないと誰もやらない」 「もっと人に頼ってください」 「〇〇さんがいるから、ご本人は家で過ごせているんですね。その中で、ほかの人に任せてもよさそうなところはありますか」 長女「私がやらないと誰もやらない」。任せてもよい場面として入浴を挙げる
「大丈夫です」(疲れた表情で) 「大丈夫そうでよかったです」 「ありがとうございます。夜はどうでしたか、と毎回お聞きしてもいいですか」 妻は「大丈夫」と話す。昨夜は2回起きたと話す。次回、別室で話す時間をとることを伝えた
「施設に入れるなんて、かわいそう」 「施設のほうが安心ですよ」 「そう思うほど、大切にされているんですね。いまの暮らしを続けるためにできることと、先のことを分けて考えてみませんか」 長男「施設に入れるのはかわいそう」。当面は自宅での生活を続けたいと話す
「つい怒ってしまう」 「怒ってはだめですよ」 「それだけ一生懸命なんですね。怒ってしまうのはどんな場面のことが多いですか」 長男「夜中につい強い口調になる」と話す。夜間の声かけが多い時間帯を一緒に確かめた
「仕事を辞めるしかないのかな」 「辞めないほうがいいですよ」 「お仕事を続けたい気持ちもあるんですね。勤め先の制度は勤め先の窓口で確かめていただくとして、介護のほうで組み直せるところをケアマネジャーさんと考えましょう」 長女「仕事を辞めるしかないのか」と話す。介護の時間の組み直しをケアマネジャーへ相談することの了解を得た
「眠れていない」 「しっかり寝てくださいね」 「夜に何回くらい起きていますか。続いているようなら、ご自身のかかりつけの先生にも相談してみてください」 妻「眠れていない」。夜間に起きた回数は3回と話す。妻自身のかかりつけ医への相談をすすめた
「離れているから何もできなくて申し訳ない」 「近くにいる方が大変なので」 「離れていても、ご様子を知っておいていただけると心強いです。どんなことを知りたいですか」 長男(遠方)「何もできず申し訳ない」。月1回の電話で様子を伝えることを本人の了解のうえ決めた
「子どもに頼るしかない」 「子どもに任せるのはよくないです」 「お子さんも頑張ってくれているんですね。お子さんが学校のことも大切にできるよう、ほかの形も一緒に考えさせてください」 母「子どもに頼るしかない」と話す。孫が担っている時間を確かめ、ケアマネジャーへ伝えることの了解を得た
「最期まで家でみると決めたのに、怖い」 「大丈夫ですよ、心配いりません」 「怖いと感じるのは自然なことだと思います。どんなときに連絡すればよいか、一緒に確かめておきましょう」 妻「家でみると決めたのに怖い」。連絡の順番の紙を一緒に確かめた
「お金のことが心配で、サービスは増やせない」 「サービスを増やしたほうがいいですよ」 「お金のことも大事な心配ですね。ケアマネジャーさんに、その心配も含めて相談してみませんか」 妻「費用が心配」。ケアマネジャーへ伝えることの了解を得た
「看護師さんに言っても仕方ない」 「何でも言ってくださいね」 「言いにくいことでも、ここで話したことは〇〇さんの了解なしにほかの方へ伝えません。話せるときに聞かせてください」 長女は話すことを控える様子。了解なしに伝えないことを説明した

※上記は当社が作成した記載のイメージです。声かけの言葉は、ご本人・ご家族との関係や状況に合わせて選んでください。

家族の心身の不調に気づいたとき|受診・相談のすすめ方と記録の書き方(8場面)

家族の体や心の不調に気づいても、看護師が家族の病名や状態を見立てて計画書に書くことはしません。家族ご自身のかかりつけ医の受診をすすめること、地域包括支援センターなどの相談先を伝えること、ケアマネジャーと共有すること(家族の了解を得て)を、事実として記録に残します。

気づいたこと(聞き取り・見た事実) 看護師が行うこと 記録の書き方の型
家族が「眠れない日が続いている」と話す 家族自身のかかりつけ医への相談をすすめる。夜間の分担の見直しをケアマネジャーへ相談する 「妻『眠れない日が続く』。妻自身のかかりつけ医への相談をすすめた。夜間の分担についてケアマネジャーへ報告した」
介助の後に腰や肩の痛みを訴える 受診をすすめ、介助の方法と福祉用具の見直しを相談する 「移乗の後に腰の痛みの訴えあり(妻の話)。受診をすすめ、介助の方法を一緒に確かめた」
家族が涙ぐみ、「何もする気が起きない」と話す 話を聞く時間をとり、家族自身のかかりつけ医や相談先を伝える。事業所の手順に沿って管理者に報告する 「長女が涙ぐみ『何もする気が起きない』と話す。相談先(かかりつけ医・地域包括支援センター)を伝えた。管理者へ報告した」
家族が自分の通院を先送りにしている 通院の日にサービスを組めるよう、ケアマネジャーへ相談する 「妻は自分の通院を2か月先送りにしていると話す。通院日のサービスについてケアマネジャーへ相談した」
家族の食事や身なりの様子がふだんと違う 様子を聞き、心配していることを伝える。ケアマネジャーと共有する 「夫の昼食は菓子パンだけの日が続いていると話す。ケアマネジャーへ共有することの了解を得た」
家族の言葉や対応に、ご本人へのきつい言動が続いている様子がある 責めずに話を聞き、事業所の手順に沿って管理者に相談する。ケアマネジャー・地域包括支援センターとの共有は事業所の判断に沿って行う 「長男の強い口調が続いていると本人が話す。事業所の手順に沿って管理者へ報告した」(見たこと・聞いたことだけを書き、判断の言葉を書かない)
子どもが疲れた様子で、学校を休みがちと家族が話す 家族の了解を得て、ケアマネジャーと共有する。相談できる先があることを伝える 「母より、孫が学校を休む日が増えたと聞く。ケアマネジャーへ共有することの了解を得た」
看取りの後の家族の様子が気がかり 事業所で行っている訪問や連絡の取り決めがあれば、それに沿って様子をうかがう 「ご逝去の後、妻へ電話。『まだ実感がない』と話す。相談先を伝えた」

※上記は当社が作成した記載のイメージです。家族の心身の状態の見立ては、家族ご自身のかかりつけ医によるものです。対応は事業所の手順と管理者の判断に沿ってください。

ケアマネジャーへの報告・連携の書き方|介護負担の気づきを伝える連絡文例(10例)

訪問看護は家の中で家族の様子に直接ふれる機会が多く、介護負担の変化に早く気づける立場にあります。一方で、サービスの種類や回数を決めて手配するのはケアマネジャーの役割です。訪問看護からの連絡は、見た事実・聞き取った言葉・看護師として相談したいことを分けて伝え、「ショートステイを入れてください」のような決め打ちの依頼にしない形が伝わりやすくなります。家族のことを伝えるときは、伝えることについて家族の了解を得ておきます。

場面 連絡文例 記録に残すこと
夜間の介護が増えた 「〇〇様の件でご相談です。この2週間、夜間の排泄の付き添いが一晩に2〜3回に増えていると奥様が話されています(奥様の記録表より)。奥様は『夜だけは休みたい』と話されており、夜間の分担について一度ご相談させてください」 連絡した日時・相手・手段、家族の了解
主な介護者が体調をくずした 「奥様が腰の痛みで介助がつらいと話されています。受診をおすすめしました。移乗の介助の方法は訪問時に一緒に確かめていますが、福祉用具の見直しについてご検討いただけますでしょうか」 受診をすすめたこと、相談した内容
家族が休息を希望している 「奥様から『月に1回は泊まりで休みたい』とお話がありました。ご本人は『家にいたい』と話されています。お二人の気持ちを担当者会議でご相談できればと思います」 ご本人と家族の言葉
仕事との両立が難しくなってきた 「長女様が『仕事中も気が休まらない』と話されています。現在は朝夕の介護を長女様が担われています。長女様の勤務の時間帯(8時〜18時)に合わせた組み立てについてご相談させてください」 家族の勤務の時間帯、相談した内容
子どもが介護を担っている 「高校生のお孫様が平日の放課後の見守りを担われているとお母様から伺いました。お孫様の学校生活のことも含めて、見守りの形をご相談させてください」 聞き取った相手、家族の了解
家族の中で分担がかたよっている 「介護のほとんどを長女様が担われていて、長男様とのお話し合いの場がないと伺いました。次回の担当者会議に長男様にもご参加いただけるか、ご相談させてください」 家族の言葉、相談した内容
費用の心配でサービスを増やせない 「奥様が費用のご心配からサービスを増やすことをためらわれています。夜間の介護のご負担と合わせて、ご相談に乗っていただけますでしょうか」 家族の了解、相談した内容
退院直後の家族の不安 「退院後の1週間、胃ろうからの注入を奥様が担われています。手順は訪問時に一緒に確かめており、奥様は『少し慣れてきた』と話されています。注入の時間帯と訪問の時間の重なりについてご相談させてください」 手順の確認の状況、家族の言葉
看取りの時期の家族の不安 「主治医から〇月〇日に今後の見通しについてご説明がありました。奥様は『夜に何かあったら』と不安を話されています。夜間の連絡の手順はお伝えしました。状態の変化に合わせたサービスの見直しについてご相談させてください」 主治医の説明の日付、家族へ伝えたこと
介護負担が落ち着いてきた 「通所の日を週2回に増やしてから、奥様は『火曜と金曜は自分の用事ができる』と話され、夜間の付き添いも一晩1回程度とのことです。このままの形で様子をみていきます」 評価の根拠になる事実

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の連絡の方法と内容は、事業所の手順とケアマネジャーとの取り決めに沿ってください。

主治医・訪問介護・ショートステイ先・通所への連絡文例(6例)

連絡先 場面 連絡文例
主治医 報告書の「家庭での介護の状況」に書く内容 「主な介護者の妻が夜間の排泄の付き添いを担っており、夜間に起きる回数が増えたと話しています。介護の分担についてケアマネジャーと相談しています」
主治医 夜間の症状で家族が対応に困っている 「夜間の声かけが増え、長男様が対応に困っていると話されています。夜間の様子を記録した表を添えます。ご本人の状態についてご指示をお願いします」
訪問介護(サービス提供責任者) 移乗の方法をそろえる 「理学療法士と奥様で移乗の方法を見直しました。手順の紙を寝室に貼っています。訪問介護の皆さまにも同じ手順でお願いできればと思います」
ショートステイ先 利用の前の申し送り 「ご利用の前の1週間の体調と、夜間の排泄の様子をお伝えします。ご家族は利用中の様子を知りたいと話されています」
通所介護 家族の休息の日の様子 「通所の日は奥様が通院と買い物に出かけられています。ご本人の帰宅の時刻が変わる場合は、奥様へ早めにお知らせいただけると助かると話されています」
地域包括支援センター 家族の相談先として紹介する(家族の了解を得て) 「ご家族が介護の相談先を探されています。ケアマネジャーとも共有のうえ、ご家族からご連絡があるかと思いますのでよろしくお願いします」

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の連絡の方法と内容は、事業所の手順と各機関との取り決めに沿ってください。

悪い例と良い例|介護負担の看護計画でありがちな一行の書き直し(20組)

介護負担の看護計画は、言葉がぼんやりしやすい計画です。下の表の悪い例は、誰が何をするのか、何を根拠にそう考えたのかが読み取れない書き方、家族を評価したり判定したりする書き方の例です。良い例はそのまま書き換えの手本として使えるよう、主語と場面と根拠を入れています。

欄 悪い例 良い例 直した点
目標 「介護負担が軽減する」 夜間の排泄の方法と分担を見直し、妻が夜に休める日を持ちながら、ご本人が自宅で過ごし続ける ご本人の暮らしと家族の形を一緒に書いた
目標 「家族が介護を継続できる」 長男が仕事を続けられる時間の組み立ての中で、ご本人が自宅で暮らせる 何を続けるのかを具体にした
短期目標 「介護疲れが解消する」 妻がまとまって眠れる夜が今より増えたと話せる 家族の言葉で確かめられる姿にした
課題 「介護者役割緊張」 妻が夜間の排泄の介助を一人で担い、「夜は2回は起きる」と話している 診断名を場面と言葉に直した
課題 「家族の介護力不足」 移乗の介助を妻が腰をかがめた姿勢で行い、「腰が痛い」と話している 家族を評価する言葉をやめ、事実を書いた
課題 「キーパーソン:長男」 主な介護者は長男。平日は8時〜19時の勤務で、出勤前に服薬の準備を担っている(長男の話) 担っている内容と時間帯を書いた
O-P 「介護疲労の有無」 夜間に起きた回数(妻の記録表)、妻の言葉、日中の妻の様子 聞き取る内容を具体にした
O-P 「家族の精神状態の観察」 家族の言葉(「」で残す)、表情、話す時間がとれた場面 判定ではなく、見たことと聞いたことにした
O-P 「家族の健康状態」 家族の体調の訴え(言葉のまま)、通院の予定と受診できているか 看護師が見立てない形にした
T-P 「家族の負担を軽減する」 お薬カレンダーへの1週間分の準備を月曜の訪問で看護師が行い、長男の朝の手順を減らす 誰が何をするかを書いた
T-P 「レスパイトケアを導入する」 家族の休息の希望をケアマネジャーへ伝え、ショートステイの利用の検討を相談する。利用の前後の体調を申し送る 手配はケアマネジャーの役割と書き分けた
T-P 「傾聴する」 訪問の終わりに別室で妻と話す時間を5分とり、夜間の様子と気がかりを聞く いつ、どこで、何を聞くかを書いた
E-P 「介護指導」 理学療法士と妻で移乗の方法を練習し、手順を紙にして寝室に貼る 指導の中身を書いた
E-P 「社会資源の情報提供」 地域包括支援センターを相談先として伝え、サービスの検討はケアマネジャーに相談できることを説明する どの資源をどう伝えるかを書いた
E-P 「介護休業制度を説明する」 勤め先の制度は勤め先の担当窓口や専門の相談窓口で確かめるよう伝える 看護師が制度の説明に踏み込まない形にした
備考 「家族協力あり」 平日の夕方は長女が入浴の準備を手伝う。火・金は通所。夜間の付き添いは妻 分担を書いた
評価 「介護負担軽減した」 通所を週2回にしてから、妻は「火曜と金曜は自分の用事ができる」と話し、夜間の付き添いは一晩1回程度と話す 根拠になる事実を書いた
評価 「家族の受け入れ良好」 妻は吸引の手順を一人で行えている。管を入れる長さで迷う場面は、手順書を見て確かめていると話す できたことと迷う場面を分けた
評価 「問題なし、継続」 夜間の回数は変わらず、妻は「この形なら続けられる」と話す。現在の分担のまま継続し、次回も夜間の回数を確かめる 続ける理由と次に見ることを書いた
報告書 「家族の介護力に問題あり」 主な介護者の妻が夜間の排泄の付き添いを担っている。妻は腰の痛みを話しており、受診をすすめた。分担についてケアマネジャーと相談している 家族を評価する言葉をやめ、事実と対応を書いた

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

評価の書き方|介護負担の評価文と報告書「家庭での介護の状況」の記載例

保医発0327第10号では、目標達成の程度及びその効果等について評価を行い、評価に関する内容を訪問看護記録書に記録することとされています。介護負担の評価は、「軽減した」「変わらない」の一言でなく、目標で決めた姿について、記録書Ⅱに残した事実と家族の言葉で書きます。家族の負担の感じ方は、ご本人の状態が変わらなくても日によって揺れるものなので、一度の訪問の言葉だけで評価を決めず、何回分の記録から評価したかも書いておくと次の評価と比べやすくなります。

目標 評価の根拠にした記録 評価文(記載例)
妻が夜に休める日を持つ 妻の記録表(4週分)、妻の言葉 夜間の排泄の方法を見直した後、夜間に起きる回数は一晩1〜2回と話す。妻は「週に3日はまとまって眠れる」と話しており、目標に近づいている。現在の方法を続ける
長男が仕事を続けながら介護する 長男の話、服薬の確認の記録 服薬の準備を訪問時に行うようにしてから、長男は「朝の時間に余裕ができた」と話す。飲み忘れは記録上見られない。目標を達成したため、次の目標を長男と話し合う
家族が医療処置を指示のとおり行える 手順の確認の記録(6回分) 妻は吸引の手順を一人で行えている。迷う場面は手順書で確かめていると話す。連絡先を言えることも確かめた。引き続き訪問時に手順を一緒に確かめる
分担のかたよりを見直す 担当者会議の記録、長女の話 担当者会議で長男が週末の介護を受け持つことになった。長女は「週末に休めるようになった」と話す。分担の変化に合わせて備考を書き換えた
家族の休息の時間を持つ ショートステイの利用の前後の記録 ショートステイを初めて利用し、妻は「久しぶりに友人と出かけた」と話す。ご本人の体調に利用前後の大きな変化は記録上見られない。次回の利用について妻とケアマネジャーで相談中
認知症の症状への対応に追われすぎない 家族の記録表、訪問時の様子 夜間の声かけは続いているが、家族は「落ち着く声のかけ方が分かってきた」と話す。夜間の様子を主治医へ報告した。目標を継続する
遠方の家族と様子を共有する 電話の記録 月1回の電話で長男へ様子を伝えている。長男は「様子が分かって安心した」と話す。ご本人の了解のもと、この形を続ける
子どもが学校生活を大切にできる 母の話、ケアマネジャーとの連絡の記録 放課後の見守りの一部を通所の延長でまかなう形がケアマネジャーにより調整された。母は「子どもが部活に戻れた」と話す。目標を達成した
家族が自分の受診の時間をとる 妻の話、ケアマネジャーとの連絡の記録 通院の日に訪問介護が入る形に調整され、妻は予定どおり通院できたと話す。引き続き通院の予定を訪問時に確かめる
看取りの時期を家族とともに過ごす 家族の言葉、連絡の記録 妻は「夜でも連絡してよいと分かって安心した」と話す。夜間に1回連絡があり、手順のとおり対応した。状態の変化に合わせて計画を見直す

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

訪問看護報告書の欄に、家族の様子をどうつなぐか(介護負担の記載例6欄)

報告書は主治医へ提出するものです。計画書の課題と評価で使った言葉を、報告書の各欄でもそろえて書くと、主治医が家での様子をつかみやすくなります。左の列は保医発0327第10号 第一の2(2)の欄の名前です。

報告書の欄 介護負担が心配な方で書くこと 記載例
病状の経過 ご本人の病状とADLの状況。介護の量に関わる変化(夜間の排泄、移乗の介助の量など) 夜間の排泄の回数は一晩1〜2回で、先月から大きな変化は記録上見られない。移乗は手順の紙のとおり一部介助で行えている
看護・リハビリテーションの内容 家族と一緒に行った練習、家族への説明 理学療法士と妻で移乗の方法を練習した。服薬の準備を訪問時に1週間分行った
家庭での介護の状況 家族等の介護の実施状況・健康状態・療養環境(聞き取った内容・判定しない) 主な介護者の妻が夜間の付き添いを担っている。妻は腰の痛みを話しており、受診をすすめた。通所(火・金)の日は妻が通院と買い物に出かけている
衛生材料等の使用量および使用状況 家族が行っている処置に使った衛生材料の名称・使用及び交換頻度・1ヶ月間の使用量 (家族が担う処置がある場合のみ。実際に使った量を記録から写す)
特記すべき事項 主治医に報告する必要のある事項。介護の体制の変化 来月からショートステイを月1回利用する予定(ケアマネジャーより)。利用の前後の体調を報告する
情報提供 情報提供を行った場合の提供先と提供日 (行った場合のみ記入)

※上記は厚生労働省の通知(保医発0327第10号)の記載要領を当社が編集・加工し、当社が作成した記載のイメージを並べたものです。厚生労働省の公式見解ではありません。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

介護負担が心配な方の計画書を見直すきっかけ(8つ)

見直しのきっかけ 計画書で見直す欄
主な介護者の交代・入院・体調の変化 目標・課題・備考(分担)・年月日
家族の仕事の状況や勤務の時間帯の変化 備考(訪問の時間帯・不在時の取り決め)
ご本人の退院・入院・状態の変化 目標・課題・支援内容
夜間の介護の増加 課題・O-P・T-P・備考
ショートステイ・通所・訪問介護など、ほかのサービスの開始・変更 備考・T-P(申し送り)
家族が担う医療処置の開始・変更 T-P・E-P・衛生材料等の欄(指示書のとおり)
看取りの時期を迎えたとき 目標・課題・E-P(連絡の手順)
目標の達成状況を評価したとき 評価・次の目標

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

運営指導で介護負担が心配な方の計画書について見られる点と、手元に残す記録の一覧

厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)では、訪問看護の「居宅介護支援事業者等との連携(第64条)」「サービス提供の記録(第19条)」「訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成(第70条)」について次の確認項目が示されています。第70条の確認文書としては、主治の医師の指示及び居宅サービス計画に基づく訪問看護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、モニタリングシート、訪問看護報告書が挙げられています。右の列は、介護負担が心配な方の計画書で確かめる点の例です。

別添1の確認項目(訪問看護) 介護負担が心配な方の計画書で確かめる点 貴事業所の確認欄
(第64条)サービス担当者会議等を通じて介護支援専門員や他サービスと連携しているか 家族の介護の状況の変化をケアマネジャーへ伝えた記録、担当者会議で分担を話し合った記録が残っているか 確認日:(    )
(第19条)訪問看護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか 記録書Ⅱに、計画書で決めた家族との練習・服薬の準備・聞き取りを行ったことが書かれているか 確認日:(    )
(第19条)日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか 家族の様子が「介護疲れあり」「協力的」の一語でなく、聞き取った言葉と見た事実で書かれているか 確認日:(    )
(第70条)居宅サービス計画に基づいて訪問看護計画が立てられているか ケアプランに書かれた家族の役割とサービスの曜日が、計画書の備考と食い違っていないか 確認日:(    )
(第70条)主治の医師の指示及び利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて訪問看護計画が立てられているか ご本人と家族の希望、家族の仕事・住まい・介護の体制という環境が課題と目標に反映されているか 確認日:(    )
(第70条)サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか O-P・T-P・E-Pが「傾聴」「介護指導」「負担軽減」の一語で止まっていないか。訪問の曜日と時間帯が家族の予定と合わせて分かるか 確認日:(    )
(第70条)利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか 説明した相手と日付、同意と交付の記録が残っているか。家族に渡した手順の紙と計画書の内容が同じか 確認日:(    )
(第70条)目標の達成状況は記録されているか 評価欄と記録書Ⅱに、家族の言葉の変化や分担の変化などの事実が書かれているか 確認日:(    )
(第70条)達成状況に基づき、新たな訪問看護計画が立てられているか 主な介護者の交代・入院、ショートステイの開始などの後に、計画書が見直されているか 確認日:(    )
(第70条)訪問看護報告書は作成されているか 計画書の評価と、報告書の「家庭での介護の状況」の欄がつながっているか 確認日:(    )

※上記は厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

自治体の公表資料にある、計画書・記録・家族の意向に関わる指摘(6件)

介護負担に限った指摘ではありませんが、計画書の書き方、家族の意向の記録、ケアプランとの関係で関わりの深い公表事例です。

自治体 公表されている指摘の内容 介護負担が心配な方の計画書で見直す点
長野県(令和6年度運営指導結果の概要・訪問看護) 居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない、訪問看護計画に対する利用者の同意を得たことが確認できない、具体的なサービス内容を記載していない事例等 ケアプランの家族の役割・サービスの曜日との対応、説明・同意の記録、O-P・T-P・E-Pの具体性
神戸市(介護保険サービス事業運営上の留意事項・令和7年3月) 訪問看護指示書の有効期限切れ・受領遅れ、計画書に具体的なサービスの内容・利用者の希望・主治医の指示・看護目標等を記載していない、計画書に利用者の同意署名がない等 ご本人の希望と家族の言葉が計画書に入っているか、看護目標が「負担軽減」の一語で止まっていないか
東京都(運営指導における主な指摘事項・訪問看護) 計画書を作成していない、計画書がケアプランの内容と相違している、内容が不十分 退院して家族の介護が始まるときに、訪問開始前に計画書があるか。ケアプランの分担と食い違っていないか
仙台市(令和6年6月集団指導・居宅サービス指導係所管サービス) 個別サービス計画の目標が居宅サービス計画の短期目標に沿って作成されていない、目標の内容が居宅サービス計画の丸写しである。モニタリングの内容が漠然としており、利用者・家族の意向・満足度、目標の達成度、計画の実施状況などを確認できなかった旨の指摘 ケアプランの目標を写すだけでなく、訪問看護として家族と確かめる姿を目標にしているか。評価で家族の意向を記録しているか
北九州市(令和7年度ケアプラン点検実施結果) ケアプラン点検の助言・指摘として、各サービス事業所の個別計画書や報告書を取り寄せていないこと、利用者や家族の希望のみでサービスが組まれアセスメント等による客観的な根拠付けがないこと等 ケアマネジャーが訪問看護の計画書・報告書を受け取っているか。家族の負担を伝えるときに、見た事実と聞き取った言葉を根拠として添えているか
千葉市(令和7年度の運営指導における主な指導事項・訪問看護) ターミナルケアの提供で訪問看護記録書に記録する事項のうち、療養や死別に関する利用者及び家族の精神的な状態の変化及びこれに対するケアの経過についての記録などが確認できない事例 看取りの時期に、家族の言葉と気持ちの変化、それに対して行ったことを記録書Ⅱに残しているか

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

介護負担が心配な方の計画書について手元に残す記録(記入欄つき)

保存の年限は、介護保険では各自治体の条例で定められているため、ここでは記入欄にしています。

記録 何のために残すか 保管場所 最終更新日
訪問看護指示書 留意事項、家族が担う処置の内容と連絡の目安の出どころ (    ) (    )
訪問看護記録書Ⅰ(家族構成・主な介護者・介護状況) 初回の介護の体制、家族の連絡先と連絡のつく時間帯 (    ) (    )
家族の記録表(夜間の回数・介助の内容) 課題と評価の根拠、ケアマネジャーや主治医への報告に添える資料 (    ) (    )
介護の分担表 誰が何を受け持つかの確認、分担の変化の記録 (    ) (    )
家族に渡した手順の紙・連絡の順番の紙 家族への説明の内容が計画書と同じかの確認 (    ) (    )
居宅サービス計画の写し 計画書がケアプランに沿っていることの確認 (    ) (    )
サービス担当者会議の記録(受け取った写し) 分担を話し合った内容と日付 (    ) (    )
ケアマネジャー・主治医への連絡の記録 気づきを伝えた日時・相手・内容、家族の了解 (    ) (    )
訪問看護計画書(説明・同意・交付の記録つき) 説明した相手と日付、同意と交付の事実 (    ) (    )
訪問看護記録書Ⅱ 訪問ごとの観察・ケア・説明と、聞き取った家族の言葉 (    ) (    )
訪問看護報告書(主治医への提出の記録つき) 家庭での介護の状況を主治医へ伝えた事実 (    ) (    )

※上記は当社が作成した記載のイメージです。実際の記載は主治医の指示書と利用者の状態、事業所の様式に従ってください。

よくある質問

介護負担の看護計画で、看護問題(看護診断名)はどう書けばよいですか?

介護保険の老企第55号では、令和6年の改正で計画書の欄の名前が「問題点・解決策」から「療養上の課題・支援内容」に改められています。「介護者役割緊張」のような名前だけを書くより、介護のどの場面で、誰が、どのくらい担っていて、家族がどう話しているかを一文にすると、ケアマネジャーや訪問介護の職員にも伝わりやすく、支援内容と評価にもつながりやすくなります。

介護負担の看護計画のO-P・T-P・E-Pには、何を書けばよいですか?

O-P(観察)には、夜間に起きた回数(家族の記録)、家族の言葉、介助の場面の家族の姿勢など、聞き取る内容と見る事実を書きます。T-P(ケア)には、看護師が訪問の中で受け持つこと(服薬の準備、介助の方法の練習、ケアマネジャーへの相談など)を書きます。E-P(説明・相談)には、家族へ伝える手順や連絡の順番、相談先を書きます。「介護疲労の観察」「傾聴」「介護指導」の一語で止めないことがポイントです。

介護負担の看護計画の目標は、どう書けばよいですか?

計画書は利用者ご本人の療養のための計画なので、「家族の介護負担が軽減する」だけでなく、ご本人が続けたい暮らしと、家族がそれを無理なく支えられる形を一緒に書くと、評価で何を見ればよいかがはっきりします。短期目標は、「妻がまとまって眠れる夜が今より増えたと話せる」のように、次の評価の時期までに家族の言葉や記録で確かめられる姿にします。

ショートステイなどのサービスを増やしたほうがよいと感じたら、計画書にどう書きますか?

サービスの種類や回数を決めて手配するのは介護支援専門員(ケアマネジャー)の役割です。訪問看護の計画書には、家族の睡眠や続けられる見通しなど見た事実と聞き取った言葉をO-Pに、「家族の休息の希望をケアマネジャーへ伝え、利用の検討を相談する」のようにT-Pに書く形にします。ケアマネジャーへ伝えるときは、家族の了解を得てから伝えます。

家族の体調がすぐれない様子に気づいたときは、計画書や記録にどう書きますか?

家族の病名や状態を看護師が見立てて書くことはせず、家族の訴えを言葉のまま記録し、家族ご自身のかかりつけ医の受診をすすめたこと、地域包括支援センターなどの相談先を伝えたこと、ケアマネジャーと共有したことを事実として残します。家族の体調の変化がご本人の療養に関わる場合は、課題欄や備考に、介護の体制の変化として書き、見直しのきっかけにします。

看取りの時期の家族への看護計画は、どう書けばよいですか?

看取りの時期は、ご本人が望む場所で家族とともに過ごすことを目標の柱にし、家族の言葉と気持ちの揺れ、主治医から受けた説明の理解、夜間の連絡の手順を家族が知っているかを観察の項目にします。支援内容には、体の変化と対応を家族と一緒に確かめること、連絡の順番を紙にして渡すこと、家族の気持ちを聞く時間をとることを書きます。家族の言葉とそれに対して行ったことは、記録書Ⅱに残していきます。

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出典

出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)

本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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