「記録に追われて、利用者さまと向き合う時間が足りない」――介護現場で多く聞かれる悩みです。その解決策として広がっているのが、介護記録の自動化です。本記事では、自動化の方法とメリット、具体的な進め方、記入例、そして法令上の位置づけ(電磁的記録・保存期間)までを整理します。

次の段階については介護のDXからAXへ(AIが実行する段階)でまとめています。
介護記録の自動化とは
介護記録の自動化とは、手書きや手入力に頼っていた記録作業を、音声入力やAIなどの技術で省力化するしくみです。記録そのものをなくすのではなく、「書く」「転記する」という負担の大きい部分を機械に任せる、という考え方です。
なお、介護記録は必ずしも紙で残す必要はありません。国の運営基準では、書面の作成・保存等を電磁的記録(パソコン・タブレット等のデータ)で行うことが認められています(詳しくは後述「法令上の位置づけ」)。自動化は、この電磁的記録を前提に成り立っています。
自動化する3つの方法
- 音声入力――話した内容を文字にし、記録の下書きを自動で作成します。移動中やケアの合間に話すだけで記録が進みます。
- 書類の読み取り(OCR)――紙の書類や手書きメモを撮影し、内容をデータ化します。
- 既存ソフトへの自動転記(RPA)――作成した記録を、お使いの介護ソフトへそのまま転記し、二重入力をなくします。
自動化の3つのメリット
- 記録時間の短縮――書く・転記する時間が減り、ケアに使える時間が増えます。
- 転記ミスの防止――同じ内容を何度も書き写す手間と間違いがなくなります。
- 情報共有の円滑化――記録がデータで残り、職員間で素早く共有できます。
自動化の進め方(5ステップ)
いきなり全業務を変えようとせず、負担の大きい記録から小さく始めるのがコツです。実際の手順は次の5ステップに分けられます。
- 対象の記録を1つ決める――まずは支援経過・観察記録・実施記録など、毎日書いていて負担の大きいものを1種類だけ選びます。
- 話して下書きを作る――ケアの直後、記憶が新しいうちに要点を口頭で吹き込みます。移動中でもかまいません。
- AIで形を整える――吹き込んだ内容を、SOAP(主観・客観・評価・計画)や施設の記録フォーマットに沿って整えます。
- 人が確認して直す――下書きはあくまで下書きです。事実と違う箇所、抜けている観察点を職員が必ず確認・修正します。ここを飛ばさないことが精度と信頼の要です。
- 介護ソフトへ転記する――確定した記録を、お使いのソフト(カイポケ等)へ転記します。手作業の再入力をなくします。
最初から全職員・全記録に広げず、1人・1種類・1〜2週間で効果を確かめてから広げると、現場が混乱しません。無料で試せるものから始めるのが安全です。
従来のフローと自動化後のフロー(対照表)
どこが変わるのかを、記録の流れで対照します。
| 工程 | 従来(手書き・手入力) | 自動化後 |
|---|---|---|
| 記録を取る | メモ用紙に走り書き、後でまとめて手書き | その場で音声入力(話すだけ) |
| 文章化 | 言い回しを考えながら清書 | AIがSOAP・所定様式の下書きを生成 |
| 確認・修正 | 手書きの読み直し | 職員が下書きを点検して確定(省略不可) |
| ソフトへ入力 | 同じ内容を介護ソフトへ再入力(二重入力) | 確定データを自動転記 |
| 保存 | 紙をファイリング・保管場所が必要 | 電磁的記録として保存(運営基準で認められた方法) |
音声入力からの記入例(SOAP)
実際に「話した言葉」が、どのように記録の下書きになるのかを(例)で示します。氏名は伏字(A様)にしています。
(例)話した言葉:
「A様、朝の訪問。食事は主食全部、副菜は半分くらい。むせはなし。昨日痛いって言ってた右膝は、今日は歩くとき少し楽そう。血圧は上が128、下が76。トイレは自分で行けてた。次回、膝の様子を続けて見ていく。」
(例)整えた下書き(SOAP):
- S(主観):右膝の痛みは昨日より軽減した様子との訴え。
- O(客観):主食全量・副菜半量摂取、むせなし。血圧128/76mmHg。歩行時に右膝の負担軽減がうかがえる。排泄は自立。
- A(評価):食事・排泄は安定。右膝は経過観察が必要。
- P(計画):次回訪問時も右膝の疼痛・歩行状態を継続観察する。
※下書きは必ず職員が確認し、事実と異なる箇所や抜けている観察点を修正してから確定してください。数値(血圧など)は原則として実測値を職員が確認します。
記録をAIに渡すときの個人情報の扱い
介護記録には、氏名・被保険者番号・病状など機微な個人情報が含まれます。AIや外部サービスに記録を渡す前に、次の点をご確認ください。
- 下書き作成の段階では、氏名を伏字(A様・利用者X 等)にしておくと安全です。確定時に正式な氏名へ戻します。
- 被保険者番号・住所など、記録に不要な識別情報はできるだけ含めない運用にします。
- どのサービスに何を送るかは、事業所・施設内のルール(個人情報の取扱い規程)と利用者の同意の範囲でご確認ください。
- 個人情報の取扱いは個人情報保護法および各事業所の規程に従います。判断に迷う場合は管理者・情報管理担当にご確認ください。
法令上の位置づけ(電磁的記録・保存期間)
「記録を電子化・自動化して大丈夫か」という不安に対しては、国の運営基準に定めがあります。
- 電磁的記録による作成・保存が認められています。事業者が作成・保存等を行う書面(被保険者証に関するもの等を除く)は、電磁的記録により行うことができるとされています(令和3年厚生労働省令第9号による改正で明文化)。電磁的記録とは「電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録」を指します(指定居宅サービス等基準・省令第37号 第217条ほか)。
- 記録の保存期間。例えば訪問介護では、サービス提供に関する記録を「完結の日から二年間保存」と定められています(省令第37号 第39条第2項)。ただし、保存期間は自治体の条例等でより長く(5年間など)定められている場合があります。実際の年数は指定権者(都道府県・市町村)の定めをご確認ください。
※上記は令和3年改正時点の内容です。基準は改定されることがあるため、最新の条文は原典をご確認ください。運営指導では、電磁的記録で管理している書面は原則ディスプレイ上での確認とされ、印刷物の準備を別途求めない取扱いが示されています(介護保険施設等運営指導マニュアル・令和4年3月/厚生労働省老健局)。
神マナで記録を自動化する
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」は、音声入力・書類の読み取り・既存ソフトへの自動転記をまとめて備えています。お使いの「カイポケ」にそのまま転記できるため、ソフトの入れ替えは不要です。記録にかかる時間を大きく減らせます(※利用実績に基づく目安であり、環境・使い方により異なります)。利用者さま3名まで、期限なく無料でお試しいただけます。
よくあるご質問(FAQ)
介護記録は自動化できますか?
どのくらい時間が減りますか?
電子化した記録は運営指導(監査)で問題ありませんか?
神マナでできることは?
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。制度の詳細・最新の取扱いは原典および指定権者(都道府県・市町村)にご確認ください。
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電子で作成した記録の保存の要件は介護記録の保存期間と個人情報の扱いをご覧ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
