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統合失調症の看護計画|在宅の精神科訪問看護計画書の目標・O-P/T-P/E-P記載例122例

統合失調症のある方のご自宅に伺う精神科訪問看護計画書について、看護の目標、療養上の課題・支援内容(O-P・T-P・E-P)、評価をどう書くかを、時期と生活の場面ごとの記載例でまとめた記事です。読み手は精神科訪問看護を行う訪問看護ステーションの看護師・保健師・作業療法士・管理者を想定しています。看護学生の看護過程や病棟の看護計画は、入院中に一日を通して続く観察とケアを組み立てるもので、関連図や看護診断の立て方が中心になります。在宅の精神科訪問看護計画書は、訪問の時間の中で行うことと、看護師がいない日に、ご本人が自分の暮らしをどう組み立て、困ったときに誰に連絡するかを書く計画なので、この記事は後者に絞っています。

計画書全体の総論は「訪問看護計画書の書き方と記入例」、記録書Ⅱ・報告書の書き方とGAF尺度の扱いは「精神科訪問看護の記録とGAF尺度」「GAF尺度とは」、評価欄の詳しい書き方は「訪問看護計画書の評価の書き方と記載例」をご覧ください。GAFの点数の目安はこの記事では扱いません。

以下の記載例は、すべて架空の利用者を想定して当社が作成した記載のイメージです。薬の名前や量、飲む時刻の変更、頓用の薬を使う目安、受診や入院を判断する基準、検査の値は、この記事には書いていません。これらは主治医の精神科訪問看護指示書や処方として一人ひとりに決められるものです。計画書には「指示書に記載の」「主治医の指示どおり」の形で書き、実際の内容は元の書類から写してください。また、記載例はご本人の希望とできていることを主語にしています。症状の名前で人をくくる書き方は、ご本人に計画書を説明して交付するときに信頼を損ねやすいため避けています。

様式の欄ごとに書くこと|精神科訪問看護計画書(別紙様式3)の記載要領と統合失調症の方の書き分け(欄別対照表3つ)

医療保険の訪問看護の計画書・報告書は、「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日 保医発0327第10号)の第一の1(1)で、別紙様式1及び2を標準とし、「精神疾患を有する者等を対象として指定訪問看護を行う場合にあっては、その特性を踏まえ別紙様式3及び4を標準として作成する」とされています。別紙様式3が精神科訪問看護計画書、別紙様式4が精神科訪問看護報告書です。別紙様式3は、別紙様式1と比べて目標の欄が「看護の目標」になっており、訪問予定の職種の欄に「当該月に作業療法士による訪問が予定されている場合に記載」と添えられています。下の表の左から2列目は保医発0327第10号の第一の2(1)の原文です。

欄(別紙様式3) 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(1)) 統合失調症の方の計画書で書く中身 貴事業所の記入欄
利用者氏名・生年月日・要介護認定の状況・住所 ①「必要な事項を記入すること」 要介護認定の状況は、自立・要支援・要介護のいずれかに○をつける欄。若い方では「自立」に○がつく方が多い 記入の担当者:(    )
看護の目標 ②「主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて看護及びリハビリテーションの目標を設定し、記入すること」 「症状が安定する」「服薬が守れる」で止めず、ご本人が続けたい暮らし(一人暮らし、作業所への通所、家族との食事、買い物)を主語にして書く。指示書の留意事項と方向がそろっているかを確かめる 目標の主語の決まり:(    )
年月日 ③「計画書の作成年月日及び計画の見直しを行った年月日を記入すること」 退院後の初回訪問、指示書の更新、精神科特別訪問看護指示書の交付、入院と退院、通所先や住まいの変更など、見直しのきっかけになった日を残す 見直しのきっかけの一覧:(    )
療養上の課題・支援内容 ④「看護及びリハビリテーションの目標を踏まえ、指定訪問看護を行う上での療養上の課題及び支援内容並びに評価を具体的に記入すること」 課題ごとに観察(O-P)・ケア(T-P)・指導や相談(E-P)を分ける。課題の文には、そう考えた根拠(ご本人の言葉、記録書Ⅱの生活の様子、ご家族や相談支援専門員からの情報)を添える 課題の根拠の書き方:(    )
評価 ④(同上)。介護保険の老企第55号の記載要領では、評価の欄について「初回の訪問看護サービス開始時においては、空欄であっても差し支えない」とされています 目標ごとに、記録書Ⅱに残した事実(起きた時刻、食事の回数、外出の場面、ご本人が語った体調、薬の残り方の様子)で書く。「安定」「著変なし」の一語で終わらせない 評価を書く時期:(    )
衛生材料等が必要な処置の有無・処置の内容・衛生材料等・必要量 ⑤「衛生材料等が必要になる処置の有無について○をつけること」「『必要量』については1ヶ月間に必要となる量を記入すること」 処置がない方が多いので「無」に○をつける。身体の病気で処置の指示がある方は、処置の内容・種類・サイズ・1か月の必要量を書く 衛生材料の確認先:(    )
訪問予定の職種 ⑥「訪問予定の職種及びその訪問日について、利用者に分かるように記載すること」。看護職員のみによる訪問の場合には記載しなくても差し支えないとされています。別紙様式3の欄には「当該月に作業療法士による訪問が予定されている場合に記載」とあります 作業療法士が訪問する月は、職種と曜日を書く。看護師と作業療法士がそれぞれ何をしに来るのかが、ご本人に分かる書き方にする 作業療法士の訪問の有無:(    )
備考 ⑦「利用者に対する訪問の計画、特別な管理を要する内容、他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況、その他留意すべき事項等を記入すること」 訪問の曜日と時間帯、指示書の留意事項の転記、通っている作業所・デイケア・相談支援事業所、ご本人が決めた困ったときの連絡先、訪問時に配慮してほしいとご本人が話したこと(呼び鈴の鳴らし方、訪問の時間帯の希望など) 備考に書く項目:(    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

保医発0327第10号・保発0305第19号・保発0305第20号で、作成する人と指示書との関係を確かめる

精神科訪問看護計画書は、誰が作るか、どの指示書に基づくか、主治医に何を伝えるかが、通常の訪問看護計画書と少し異なります。どの通知のどの番号を見て書いているかを事業所の中でそろえておくと、計画書の見直しのときに迷いが減ります。

確かめる点 通知の定め(原文) 統合失調症の方の計画書での書き方 貴事業所の記入欄
様式の使い分け 保医発0327第10号 第一の1(1)「精神疾患を有する者等を対象として指定訪問看護を行う場合にあっては、その特性を踏まえ別紙様式3及び4を標準として作成する」 精神科訪問看護指示書に基づいて訪問する方は、別紙様式3・4を標準とした様式で計画書と報告書を作る 使っている様式の版:(    )
計画書を作成する人 訪問看護療養費の算定の留意事項(保発0305第19号)第3の2(1)「精神科訪問看護計画についても、相当の経験を有する保健師等(准看護師を除く。)が作成するものである」 作成した看護師等の氏名を記録し、相当の経験の根拠(第3の1の(1)〜(4)のどれにあたるか)を事業所の職員の記録に残す 作成者の経験の確認先:(    )
指示書との関係 同 第3の2(1)「主治医(精神科を標榜する保険医療機関において精神科を担当する医師に限る。)から交付を受けた精神科訪問看護指示書及び精神科訪問看護計画書に基づき」 指示書の留意事項・指示期間を備考に写し、指示書が更新されたら計画書の年月日の欄に見直しの日を書く 指示期間の管理表:(    )
30分未満の訪問 同 第3の4「30分未満の訪問については、当該利用者に短時間訪問の必要性があると医師が認め、精神科訪問看護指示書に明記されている場合にのみ算定する」 短い訪問を組み合わせる方は、指示書の記載を確かめたうえで、訪問の計画を備考に書く 指示書の記載の確認日:(    )
複数名での訪問 同 第3の11(3)「同時に複数の保健師等による指定訪問看護を行うことについて、利用者又はその家族等の同意を得る」、(4)「医師が複数名訪問の必要性があると認め、精神科訪問看護指示書にその旨の記載がある場合に算定する」 二人で訪問する理由と、二人の役割の分け方を支援内容に書き、ご本人またはご家族の同意の記録を残す 指示書の記載の確認日:(    )
精神科特別訪問看護指示書が出たとき 同 第3の7「一時的に頻回に指定訪問看護が必要な理由を記録書に記載し、訪問看護計画書の作成及び指定訪問看護の実施等において、主治医と連携を密にすること」 頻回に訪問する期間の目標と支援内容を、計画書の見直しとして書き加える。理由は記録書に書く 交付日と期間:(    )
計画書の説明 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について(保発0305第20号)(15)③「看護目標や具体的サービス内容等について、利用者及びその家族に理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行う必要がある」 ご本人と一緒に読める言葉で書き、説明した日・相手・ご本人の言葉を記録する 説明の記録の場所:(    )
服薬状況の情報提供 同 (14)⑤「主治医に対して、指定訪問看護の提供に当たり把握した利用者の心身の状況、服薬状況(残薬の状況を含む。)等に係る必要な情報の提供を行うこと」 服薬の課題のT-Pに「把握した服薬の状況と残薬の様子を主治医へ伝える」と書き、伝えた日を記録書に残す 主治医への連絡の方法:(    )
GAF尺度 保医発0327第10号 第一の2(2)⑩ 精神科訪問看護報告書に「月の初日の指定訪問看護時におけるGAF尺度により判定した値及び判定した年月日を記入すること」 計画書の欄ではないが、評価のときに報告書・記録書Ⅱの値の推移と合わせて読む 判定する人の決まり:(    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

精神科訪問看護記録書Ⅰ・指示書から計画書へ写す項目(内容は元の書類のとおり転記)

保医発0327第10号の参考様式3(精神科訪問看護記録書Ⅰ)には、「病識」「生活歴」と、日常生活等の状況として食生活・清潔・排泄・睡眠・生活のリズム・部屋の整頓・服薬状況・金銭管理・作業等の状況・対人関係の項目が並び、それぞれに「援助の要否」を記入する欄があります。計画書の課題は、この「要」に○がついた項目から立てると、記録書Ⅰと計画書がつながります。

元の書類と項目 計画書のどの欄へ 転記の書き方の例 貴事業所の記入欄
記録書Ⅰ「日常生活等の状況」で援助が「要」の項目 療養上の課題 「記録書Ⅰで援助が要とした睡眠・生活のリズム・金銭管理について、課題1〜3に分けて記載」 転記した日:(    )
記録書Ⅰ「病識」 療養上の課題の根拠 「病気や治療について、ご本人は『眠れないときに薬を飲むと楽になる』と話している(初回訪問時)」のように、ご本人の言葉で書く (    )
記録書Ⅰ「生活歴」 看護の目標 以前に続けていた仕事・趣味・日課から、ご本人が取り戻したい暮らしを目標の言葉に置き換える (    )
記録書Ⅰ「主な介護者又はキーパーソン」 支援内容(家族支援)・備考 ご本人が「相談してよい」と話した人と、その人に伝えてよい内容の範囲を書く (    )
記録書Ⅰ「指定居宅介護支援事業所、特定相談支援事業所、障害児相談支援事業所の連絡先」「関係機関」 備考 相談支援事業所、通所先、保健所など、計画を共有する先と担当者 (    )
記録書Ⅰ「保健・福祉サービス等の利用状況」 備考 就労系サービス・デイケア・居宅介護(ホームヘルプ)の曜日。訪問の曜日と重ならないよう組み立てる (    )
精神科訪問看護指示書の留意事項・指示期間 備考・支援内容 「指示書に記載の留意事項(転記)」「指示期間:(転記)」の形で写し、自分の言葉に言い換えない (    )
記録書Ⅰ「緊急時の主治医・家族等の連絡先」 支援内容(再発の徴候への対応) ご本人が決めた連絡の順番(訪問看護ステーション、主治医の医療機関、ご家族など)を、ご本人と確かめた日とともに書く (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

時期・状態別|統合失調症の看護目標の記載例(急性期後・回復期・維持期など10の状態・長期と短期あわせて20例)

統合失調症の方の目標は、「症状の再燃を防ぐ」「服薬を継続できる」の一文で止まりやすい欄です。再燃の予防や服薬の継続は看護の手段であって、ご本人の暮らしの目標にはなりにくく、評価のときに「再燃しなかったかどうか」しか書けなくなります。下の表では、時期と状態ごとに長期目標と短期目標を分け、評価のときに記録書Ⅱのどの事実を見るかを右端に置きました。時期の呼び方(急性期後・回復期・維持期)は目安で、主治医の指示書と、ご本人の生活の様子から判断してください。

時期・状態 長期目標の記載例 短期目標の記載例 評価のときに見る事実
急性期の入院を終えて、自宅に戻ったばかりの方 退院前に病棟で話した「家で自分のペースで暮らす」生活を、困ったときに相談しながら続けられる 退院後の最初の見直しまでに、起きる時刻と寝る時刻をご本人が決め、訪問日に看護師と一緒に振り返れる 記録書Ⅱの睡眠・生活リズムの欄、ご本人が書いた日課表
退院後、疲れやすく一日の多くを横になって過ごす回復期の方 体と気持ちの疲れと付き合いながら、近所の買い物に出かけられる 一日のうち、食事と洗面のために起きる時間をご本人と決め、続けられる 起きて過ごした場面、ご本人の「だるい」「楽になった」の言葉の変化
回復期で、作業所やデイケアへの通所を考え始めた方 週の決まった日に通所先へ通い、そこでの役割を楽しめる 通所先の見学の日を相談支援専門員と決め、当日の朝の支度を自分で整えられる 見学の日の様子、通所先・相談支援事業所からの情報
維持期で、一人暮らしを続けている方 家事と通院を自分のやり方で続け、今の住まいでの一人暮らしを続けられる ゴミ出しの曜日と通院の日をカレンダーに書き、訪問日に一緒に確かめられる 部屋の整頓の様子、通院の記録、カレンダーの書き込み
維持期で、家族と同居している方 家族とほどよい距離を保ちながら、家の中での役割を続けられる 夕食の後片付けなど、ご本人が引き受ける家事を一つ決め、家族と共有できる ご本人とご家族それぞれの話、家事の場面の聞き取り
薬を飲むことに迷いがあり、飲まない日がある方 主治医と相談しながら、ご本人が納得できる薬との付き合い方を見つけられる 飲みにくさや気がかりを言葉にし、次の受診で主治医に伝える内容を看護師と一緒に書き出せる 受診前に書き出したメモ、残薬の様子、ご本人の言葉
以前に入院したときのサインを、ご本人が覚えている方 調子を崩しかけたときに早めに気づき、自分で決めた方法で相談できる 入院前に起きた変化(眠れない、音が気になる等)を看護師と一緒に書き出し、対応の紙を作れる 書き出したサインの一覧、サインに気づいて連絡した場面の記録
声や考えが浮かび、気持ちが落ち着かない時間がある方 声や考えが浮かぶ時間があっても、自分なりの対処で日中の予定を続けられる 落ち着かないときにしている対処(音楽を聴く、散歩、横になる等)を看護師と一緒に整理し、続けられる ご本人が話した対処とその効き方、予定どおり過ごせた日の記録
人と会うのが負担で、外出の機会が減っている方 ご本人が無理のない範囲で人とつながり、孤立しない暮らしを続けられる 訪問看護のほかに、話ができる場(家族への電話、通所先、相談支援専門員)を一つ持てる 人と話した場面の聞き取り、電話や外出の回数のご本人の振り返り
仕事に戻りたいと話す方 体調を整えながら、就労に向けた準備を段階を踏んで進められる 就労系サービスの相談の日を決め、それまで朝の起床と身支度を続けられる 起床と身支度の様子、相談支援事業所・就労系サービスからの情報

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

ご本人の言葉から目標欄の文をつくる(「一人で暮らしたい」「入院したくない」等8例)

保発0305第20号の(15)②は、計画書に「利用者の希望及び心身の状況、主治医の指示等を踏まえて、看護目標、具体的サービス内容等を記載すること」としています。統合失調症の方は、看護師が考えた目標よりも、ご本人が口にした言葉を目標にした方が、訪問のたびに一緒に振り返りやすくなります。初回訪問や退院前の面談で聞いた言葉を、目標欄に入る形に置き換えた例です。

聞き取った言葉 目標欄の文 課題欄につなぐ視点
ご本人「もう入院はしたくない」 調子を崩しかけたときに早めに相談し、自宅での生活を続けられる 以前の入院の前に起きた変化、そのときに相談できなかった理由
ご本人「一人で暮らしてみたい」 食事・掃除・お金の管理を自分のやり方で行い、一人暮らしを続けられる 家事のうち、ご本人ができていることと手伝いがほしいことの区別
ご本人「薬を飲むと眠くて嫌だ」 薬の気がかりを主治医に伝え、納得して治療を続けられる 眠気が出る時間帯と生活への影響、主治医への伝え方
ご本人「昼まで寝てしまう」 自分で決めた時刻に起きて、朝食をとる日を増やせる 夜に眠れない理由(考えごと、スマートフォン、昼寝)、起きる理由のある予定
ご本人「作業所に行ってみたい」 週の決まった日に作業所へ通い、通所を楽しめる 通所の日の朝の支度、人の多い場所での疲れ方
母「何か言うとすぐ怒るので、声をかけにくい」 ご本人と母が、お互いに負担の少ない声のかけ方で暮らせる 家族の疲れ、声をかける場面と待つ場面、家族の相談先
ご本人「お金がすぐなくなる」 一か月の生活費の使い方を自分で決め、月末まで暮らせる お金がなくなる場面(買い物、通信料、人づきあい)、相談支援専門員との分担
ご本人「誰とも話さない日が多い」 話をしたいときに話せる相手と場所を持ち、孤立しない暮らしを続けられる ご本人が心地よい人との距離、電話や通所の利用の希望

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

療養上の課題・支援内容|統合失調症のO-P・T-P・E-P記載例(14課題・42例)

記載要領の④は、療養上の課題と支援内容を「具体的に記入すること」としています。下の2つの表は、在宅の統合失調症の方でよく立てる14の課題について、課題欄の文と、観察(O-P)・ケア(T-P)・指導や相談(E-P)の記載例を並べたものです。前半の表は、参考様式4(精神科訪問看護記録書Ⅱ)の欄である「食生活、清潔、排泄、睡眠、生活リズム、部屋の整頓等」「服薬等の状況」「作業、対人関係について」に合わせた生活の課題、後半の表は「精神状態」とご家族に関わる課題です。病棟の看護計画のように観察項目を網羅するのではなく、訪問の時間の中で見ること・すること・一緒に考えることに絞っています。薬の量や飲み方の判断は書かず、すべて主治医の指示書・処方を参照する形にしています。

生活の課題(服薬・睡眠・食事・清潔・部屋・お金・日中の活動)のO-P・T-P・E-P(7課題・21例)

療養上の課題(課題欄の文) O-P(観察) T-P(ケア) E-P(指導・相談)
薬を飲むことに迷いがあり、飲み忘れや飲まない日がある(ご本人「飲むと体が重い」) お薬カレンダーや薬袋の残り方、飲みにくさや気がかりについてのご本人の言葉、飲まなかった日の前後の睡眠と気分を見る 主治医の処方どおりの飲み方をご本人と一緒に確かめ、飲み忘れが出やすい時間帯に合わせて置き場所を工夫する。把握した服薬の状況と残薬の様子を主治医へ伝える 体が重いなどの気がかりは自分で量を変えずに主治医に伝えてよいことを話し、次の受診で伝えたいことをメモに書く
夜に眠れず、昼まで寝ている日が多い 寝た時刻と起きた時刻、夜に眠れない理由として語られること、昼寝の時間帯、日中の眠気を聞き取る 起きる時刻をご本人と決めて日課表に書き、訪問の時間帯を起きていたい時刻に合わせる。睡眠の変化を主治医へ伝える 寝る前の過ごし方(明るい画面、カフェインを含む飲み物)について、ご本人が試してみたい工夫を一つ選ぶ
食事の回数が少なく、インスタント食品に偏っている 前日に食べたもの、食べた回数と時間、冷蔵庫や台所の様子、体重の変化についてのご本人の話(記録した値)を見る ご本人が作れる簡単な料理や、利用できる弁当・惣菜の店を一緒に探し、買い物の予定を立てる 一日に食べる時間の目安をご本人と決め、食欲がない日が続くときは連絡することを伝える
入浴や着替えの間隔が空き、清潔を保ちにくい 入浴・洗髪・着替えの間隔、浴室の使いやすさ、入浴をおっくうに感じる理由(疲れ、寒さ、手順の多さ)を聞き取る 入浴の日をご本人と曜日で決め、手順を短くする工夫(洗う順番、着替えの準備)を一緒に考える 清潔にすると気分が変わることを押しつけずに伝え、できた日をご本人が日課表に書く
部屋に物がたまり、ゴミ出しが続かない 床やテーブルの物の量、ゴミの分別と出す曜日の把握、片付けに手をつけにくい理由を見る ご本人が選んだ一か所(テーブルの上など)を訪問の中で一緒に片付け、ゴミ出しの曜日を見える場所に貼る 一度に全部ではなく一か所ずつ片付ける方法を伝え、居宅介護(ホームヘルプ)の利用について相談支援専門員と話す機会をつくる
お金を月の前半に使い切り、月末に食費が足りなくなる お金がなくなる時期と使い道(買い物、通信料、人づきあい)、ご本人が困っていることを聞き取る 一か月の生活費を週ごとに分ける方法をご本人と一緒に考え、相談支援専門員と分担を決める お金の使い方の決定はご本人にあることを確かめたうえで、困ったときの相談先を伝える
日中にすることがなく、横になって過ごす時間が長い 一日の過ごし方、以前に楽しめていたこと、外出の頻度と行き先、疲れやすさを聞き取る 作業療法士とともに、ご本人が楽しめる活動(散歩、料理、手芸、図書館など)を一つ選んで試す 活動の後の疲れ方を振り返り、無理のない量をご本人と決める。通所先や就労系サービスの情報を伝える

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

精神状態・対人関係・ご家族の課題のO-P・T-P・E-P(7課題・21例)

療養上の課題(課題欄の文) O-P(観察) T-P(ケア) E-P(指導・相談)
以前の入院の前と似た変化(眠れない、音が気になる)が出ることがある ご本人と決めたサインの一覧に沿って、睡眠、食事、外出、物音への気がかり、家族との会話の変化を訪問ごとに確かめる サインが重なったときの対応を、ご本人の言葉で紙にまとめて手元に置く。変化に気づいた日は主治医へ連絡し、指示を記録する サインに気づいたら早めに連絡してよいこと、連絡しても責められることではないことを伝える
声や考えが浮かぶ時間があり、気持ちが落ち着かない 声や考えが浮かぶ時間帯と内容についてご本人が話せる範囲、その間の過ごし方、生活への影響を聞き取る ご本人がしている対処を一緒に整理し、効いた方法を紙に書く。内容を否定も肯定もせず、つらさに耳を傾ける 声や考えが強くなったときの過ごし方と連絡先を確かめる。体験の変化は主治医にも伝えてよいことを話す
人の多い場所で緊張し、外出を避けている 外出したときの体の緊張や疲れ、避けている場所、ご本人が行きたい場所を聞き取る 人の少ない時間帯の買い物など、ご本人が選んだ外出に必要に応じて同行し、その後の疲れを一緒に振り返る 緊張したときの休み方(座る場所、深呼吸、途中で帰ってよいこと)をご本人と決める
近所や知人との付き合いで行き違いがあり、気持ちが沈んでいる 行き違いの場面についてのご本人の受け止め、気分の落ち込み、眠りや食事への影響を見る 出来事を順番に整理し、ご本人が伝えたいこと・距離を置きたいことを一緒に考える 困ったときに相談できる人と場所を確かめ、気持ちの沈みが続くときは連絡することを伝える
ご家族が疲れており、ご本人とのやりとりで言い争いが増えている ご家族の睡眠や体調、疲れの言葉、言い争いが起きやすい場面と時間帯を聞き取る ご本人の了解を得たうえで、ご家族と別に話す時間をつくり、声のかけ方と距離の取り方を一緒に考える 家族会や保健所の相談など、ご家族自身の相談先を伝える。ご本人に伝えない約束をした話の扱いを確かめる
体の不調(便秘、のどの渇き、体の動かしにくさ等)を言葉にしにくい 排便、食欲、体の動き、ふらつき、体重の変化(記録した値)、ご本人の体の訴えを見る 指示書に記載の観察項目に沿って体の様子を確かめ、変化を主治医へ伝える。対応は主治医の指示どおりに行う 体の変化も相談してよいことを伝え、体調のメモの書き方をご本人と決める
たばこやコーヒーの量が増え、体調を崩しやすい 一日の本数や杯数についてのご本人の話(記録した値)、増えた時期と気持ちの動き、眠りへの影響を聞き取る 増えた理由(退屈、緊張、眠気覚まし)をご本人と一緒に考え、ほかの過ごし方を一つ試す 減らすかどうかの判断はご本人と主治医に委ね、体調の変化を伝える方法を話し合う

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

調子を崩しかけたときの段取りを支援内容に書く例(ご本人が挙げたサイン別・8例)

再発の徴候は、看護師が教科書の項目から選ぶより、ご本人が以前の経験から挙げたサインを使った方が、ご本人自身が気づきやすくなります。支援内容の欄に、サインに気づいたときに誰が何をするかを書いておくと、計画書がそのまま手元の対応表になります。受診や薬の対応は、主治医の指示に沿う形で書きます。

ご本人が挙げたサイン ご本人がすること ご家族・周りの人がすること 訪問看護がすること
夜に眠れない日が続く 眠れなかった日を日課表に印をつけ、続いたら訪問看護ステーションに電話する ご本人が話したときに責めずに聞き、連絡を勧める 電話で様子を聞き、訪問の日を前倒しできるか相談する。主治医へ伝え、指示を記録する
物音や人の声が気になって外に出られない 決めておいた落ち着ける過ごし方をし、つらいときは連絡する 無理に外へ連れ出さず、ご本人のそばで静かに過ごす 訪問時に気がかりの内容と生活への影響を聞き取り、主治医へ伝える
食事をとらなくなる 食べやすい物(買い置きのパンや飲み物)を一つでも口にする 食べたものをさりげなく確かめる 食事と水分の様子を確かめ、体の変化を主治医へ伝える
部屋が急に散らかり始める 片付けられないことを自分を責める材料にせず、訪問日に話す 片付けを急かさない 部屋の変化を前回の記録と比べ、睡眠や気分の変化と合わせて確かめる
家族に強い口調で話すことが増える いらいらしたときは自分の部屋で過ごす時間をとる 言い争いになりそうなときは距離を置き、訪問看護に相談する ご本人とご家族それぞれから話を聞き、主治医へ伝える内容をご本人と確かめる
薬を飲む気になれない日が出てくる 自分で量を変えず、飲めない理由を連絡のときに話す 飲んだかどうかを問い詰めない 残薬の様子と理由を聞き取り、主治医へ伝える。対応は主治医の指示どおりに行う
通所先を休む日が続く 休んだ理由を通所先か訪問看護に伝える 通所先からの連絡をご本人と共有する 通所先・相談支援専門員と情報を共有し、休みの背景を訪問で聞き取る
携帯電話の電源を切って連絡がとれなくなる 一人で過ごしたいときは、そのことだけを決めた相手に伝える 連絡がとれないときの確かめ方を事前に決めておく ご本人と事前に決めた方法で安否を確かめ、確かめた内容を記録する

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

相談支援事業所・通所先・ご家族と分担するときの支援内容の記載例(8例)

統合失調症の方の暮らしは、訪問看護の時間よりも、看護師がいない時間に誰とどうつながっているかで変わります。精神科訪問看護記録書Ⅰには、特定相談支援事業所や関係機関の連絡先、保健・福祉サービス等の利用状況の欄があります。支援内容の欄に、誰が何を見て、どこへ伝えるかを書いておくと、計画書が実際の分担表になります。共有する情報の範囲は、ご本人の同意を得た範囲に限ります。

分担する相手 相手が担うこと 訪問看護が担うこと 支援内容の欄の記載例
相談支援専門員 サービス等利用計画の作成と、福祉サービスの調整 体調と生活の変化を伝え、計画の見直しの材料を出す 「体調と生活の変化は、ご本人の同意を得た範囲で月1回相談支援専門員へ伝え、サービス等利用計画と目標をそろえる」
就労継続支援・地域活動支援センター等の通所先 日中の活動の場と、通所中の様子の把握 通所の日の朝の支度と、通所後の疲れの振り返り 「通所先と連絡帳で休みの日と疲れの様子を共有し、通所の継続について訪問時にご本人と振り返る」
精神科デイケア 集団での活動と、医療機関のスタッフによる関わり デイケアのない日の過ごし方の支援 「デイケアの曜日以外の日の過ごし方をご本人と日課表に書き、訪問日に確かめる」
居宅介護(ホームヘルプ) 掃除・調理など家事の援助 家事のうちご本人ができる部分を確かめる 「ヘルパーと一緒に行う家事とご本人が一人で行う家事を分け、訪問時にご本人と確かめる」
ご家族 日々の暮らしの中での見守りと声かけ ご家族の疲れの聞き取りと、相談先の案内 「ご家族と月1回話す時間をとり、疲れの様子と声のかけ方の工夫を話し合う。ご本人に伝える内容はご本人の了解を得る」
主治医の医療機関(外来の看護師・精神保健福祉士) 診察と処方、受診の調整 生活の様子と服薬の状況の報告 「受診の前に、ご本人と一緒に主治医へ伝えたいことを書き出し、報告書でも生活の様子と服薬の状況を伝える」
保健所・市町村の精神保健の窓口 地域の相談と、ご家族の相談の受け皿 ご家族が使える相談先の情報を伝える 「ご家族に保健所の相談窓口と家族会の情報を伝え、利用した場合はその後の様子を聞き取る」
作業療法士(同じステーション) 日中の活動の評価と、活動の練習 体調と精神状態の確認と、主治医への報告 「作業療法士は料理と買い物の練習を担い、看護師は体調と服薬の確認を担う。記録書Ⅱで互いの訪問の内容を確かめる」

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

悪い例と良い例|統合失調症の精神科訪問看護計画書でありがちな一行の書き直し(20組)

計画書に書いた言葉は、ご本人に説明して交付する言葉でもあります。悪い例は実際に書かれやすい一行、良い例はそのまま貼れる形の文です。良い例の中の具体的な時刻や場面は、ご本人と決めた内容に置き換えてください。

欄 悪い例 良い例 直した理由
看護の目標 「精神症状が安定する」 調子を崩しかけたときに早めに相談し、ご本人が望む一人暮らしを続けられる 評価のときに何を見ればよいかが分かる。主語がご本人になる
看護の目標 「服薬遵守ができる」 薬についての気がかりを主治医に伝え、納得して治療を続けられる 飲む・飲まないの二択ではなく、ご本人と主治医の相談を目標にする
看護の目標 「再燃を予防する」 以前の入院の前に起きたサインに自分で気づき、決めた方法で連絡できる 予防は看護の手段。ご本人ができる行動に置き換える
看護の目標 「社会復帰を目指す」 週の決まった日に作業所へ通い、通所の日の朝の支度を自分で整えられる ご本人が望む具体的な場と行動にする
課題 「病識がない」 ご本人は「眠れないときだけ薬が必要」と話しており、薬の役割の受け止めが主治医の説明と異なっている ご本人の言葉を根拠にし、欠けているものとして書かない
課題 「拒薬あり」 体が重く感じることを理由に、夕食後の薬を飲まない日が週に数日ある(ご本人の話) 理由と頻度を書くと、支援内容が決まる
課題 「生活リズムの乱れ」 夜に眠れず、起きる時刻が昼過ぎになる日が多い。ご本人は「朝に起きて散歩がしたい」と話している 何が起きているかと、ご本人の希望を並べる
課題 「家族関係不良」 夕食の時間に母と言い争いになることが増え、母は「声をかけにくい」と話している 場面とご家族の言葉で書き、評価のときに比べられるようにする
課題 「被害妄想あり」 隣の部屋の物音を「自分への合図」と感じ、夜に眠れないことがある(ご本人の話) ご本人の体験と生活への影響を書く
O-P 「精神状態の観察」 睡眠、食事、外出、物音への気がかり、家族との会話の変化を、ご本人と決めたサインの一覧に沿って確かめる 何を見るかが分かり、記録書Ⅱの欄につながる
O-P 「服薬状況の確認」 お薬カレンダーの残り方と、飲みにくさについてのご本人の言葉を訪問ごとに確かめる 確かめる物と言葉を決める
O-P 「幻聴の有無」 声が聞こえる時間帯と、その間の過ごし方、生活への影響をご本人が話せる範囲で聞き取る 有無ではなく、生活との関わりを見る
T-P 「服薬管理」 主治医の処方どおりの飲み方をご本人と確かめ、飲み忘れが出やすい時間帯に合わせて薬の置き場所を一緒に決める 訪問の中で何をするかを書く
T-P 「傾聴」 前回の訪問から今日までの出来事をご本人の順番で聞き、困ったことを一つ選んで一緒に対処を考える 聞いたあとに何をするかまで書く
T-P 「頓服の使用を促す」 落ち着かないときの対応は主治医の指示書・処方に沿う。ご本人が使った対処とその効き方を一緒に振り返り、主治医へ伝える 薬の使用の判断を看護師の計画にしない
E-P 「服薬の必要性を指導する」 薬について気がかりがあれば、自分で量を変えずに主治医に伝えてよいことを話し、受診で伝えたいことを一緒に書き出す 押しつけではなく、ご本人と主治医の相談を支える形にする
E-P 「家族指導」 ご家族に、言い争いになりそうなときは距離を置いてよいことと、家族会・保健所の相談窓口を伝える ご家族に伝える内容が分かる
E-P 「再発の早期発見について説明」 ご本人が挙げたサイン(眠れない日が続く等)の一覧を一緒に作り、気づいたときの連絡先と順番を紙に書いて手元に置く 説明で終わらず、手元に残る物を作る
評価 「著変なし。継続」 起きる時刻を決めてから、訪問日の朝にご本人が日課表を見せてくれる日が増えた。夜に眠れない日は残っており、睡眠の課題は継続する 記録書Ⅱの事実と、続ける理由を書く
備考 「緊急時は主治医へ」 ご本人と決めた連絡の順番:訪問看護ステーション(平日の日中)、主治医の医療機関(転記した連絡先)、母。指示書に記載の留意事項(転記) ご本人と決めた順番と、転記であることを示す

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

評価から報告書へ|統合失調症の方の評価文と精神科訪問看護報告書の欄別記載例

評価の欄は、目標ごとに「何ができたか」「何が残っているか」「次の計画でどうするか」を記録書Ⅱの事実で書く欄です。保発0305第20号の(15)③は、計画書の看護目標や具体的サービス内容に加えて「その実施状況や評価についても説明を行う必要がある」としているので、評価文もご本人に読んでもらえる言葉で書きます。

目標 達成の程度 評価文の記載例
自分で決めた時刻に起きて朝食をとる日を増やす できたことが増えた 決めた時刻に起きて朝食をとった日が、ご本人の日課表で前回の見直しより増えた。ご本人は「朝の散歩が楽しみ」と話す。夜に眠れない日は残るため、寝る前の過ごし方の工夫を続ける
薬の気がかりを主治医に伝える 達成した 受診の前に看護師と書き出したメモを持参し、体が重いことを主治医に伝えた(ご本人の話)。その後の指示の変更は指示書・処方のとおり。飲み忘れの工夫は続ける
サインに気づいて早めに連絡する 達成した 眠れない日が続いた際に、ご本人から平日の日中に電話があり、訪問を前倒しした。主治医へ伝え、指示を記録した。サインの一覧は今の内容のまま使う
週の決まった日に作業所へ通う 一部できた 作業所の見学に行き、週1日の通所を始めた。通所の翌日は横になる時間が長いと話しており、疲れの振り返りを次の計画の課題にする
一か月の生活費を月末まで使えるようにする まだできていない 週ごとに分ける方法を試したが、通信料の支払いで月の後半に足りなくなった。相談支援専門員と分担を見直し、支払いの日を一緒に確かめる
母と負担の少ない声かけで暮らす 一部できた 母が夕食の時間に声をかける前に一呼吸おく方法を試し、言い争いが減ったと母が話す。母の疲れは続いており、家族会の情報を伝えた
人の少ない時間帯に買い物に行ける できたことが増えた 看護師の同行で平日の午前に近くのスーパーへ行き、その後は一人で2回行けた(ご本人の話)。混む時間帯は避けたいとの希望があり、今の形を続ける
声が浮かぶ時間があっても日中の予定を続ける 一部できた 声が浮かぶ時間に音楽を聴くと落ち着くとご本人が話し、通所を休まずに過ごせた週があった。夕方に強くなる日はあり、主治医へ伝えた
部屋の一か所を片付ける 達成した テーブルの上をご本人と片付け、食事をテーブルでとれるようになった。次はゴミ出しの曜日を守ることを目標にする
話ができる相手と場所を一つ持つ まだできていない 電話や通所の利用は「まだ気が重い」と話している。ご本人の気持ちを尊重し、訪問の時間を話の場として続けながら、相談支援専門員と選択肢を整理する

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

精神科訪問看護報告書(別紙様式4)の欄に、計画書の評価をどうつなぐか(統合失調症の記載例)

保医発0327第10号の第一の2(2)は、報告書の各欄の書き方を定めています。精神疾患を有する者を対象とする場合、「家族等との関係」の欄には「利用者と当該利用者の家族、友人等との対人関係について記入すること」とされています。計画書の評価と報告書の内容が食い違わないように、同じ事実から書きます。

報告書の欄 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(2)) 記載例
訪問日 ②ロ 精神科訪問看護報告書では、作業療法士による訪問日を◇で囲み、「30分未満の訪問看護を実施した日に✔印をつけること」 看護師の訪問日を○、作業療法士の訪問日を◇、指示書に明記された短時間の訪問の日に✔をつける
病状の経過 ③「利用者の病状、日常生活動作(ADL)の状況等について記入すること」 今月は夜に眠れない日が月の前半に続き、ご本人から連絡があり訪問を前倒しした。後半は決めた時刻に起きる日が増え、作業所に週1日通っている
看護の内容 ④「実施した指定訪問看護の内容について具体的に記入すること」 サインの一覧に沿った睡眠と生活の確認、お薬カレンダーでの服薬の状況の確認と主治医への情報提供、受診前のメモの作成、母との面談(声かけの工夫と相談先の案内)
家族等との関係 ⑤精神疾患を有する者の場合「利用者と当該利用者の家族、友人等との対人関係について記入すること」 母との夕食時の言い争いは、母が声をかける前に一呼吸おく方法を試してから減ったと母が話す。作業所で話ができる人ができたとご本人が話している
特記すべき事項 ⑨「②から⑧までの各欄の事項以外に主治医に報告する必要のある事項を記入すること」 体が重いとの訴えが続いており、薬についての気がかりとして受診時にご本人から伝えたいと話している
GAF ⑩「月の初日の指定訪問看護時におけるGAF尺度により判定した値及び判定した年月日を記入すること」 月の初日の訪問時に判定した値と判定日(記録書Ⅱの値を転記)。点数の付け方は事業所の手順に沿う

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

運営指導で計画書について見られる点と、手元に残す記録の一覧

厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)には、介護保険の訪問看護の「訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成(第70条)」について次の確認項目が示されています。精神科訪問看護指示書に基づく訪問の計画書でも、計画書の作り方を点検する目安として使えます。右の列は、統合失調症の方の計画書で確かめる点の例です。

別添1の確認項目(訪問看護・第70条) 統合失調症の方の計画書で確かめる点 貴事業所の確認欄
居宅サービス計画に基づいて訪問看護計画が立てられているか 介護保険のケアプランやサービス等利用計画がある方で、目標や訪問の曜日が食い違っていないか 確認日:(    )
主治の医師の指示及び利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて訪問看護計画が立てられているか 指示書の留意事項が転記されているか。ご本人の「入院したくない」「一人で暮らしたい」などの言葉が目標に反映されているか 確認日:(    )
サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか O-P・T-P・E-Pが「精神状態の観察」「傾聴」「服薬管理」の一語で止まっていないか。訪問の曜日と時間帯が分かるか 確認日:(    )
利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか ご本人に説明した日・言葉・同意の記録と、交付した控えが残っているか 確認日:(    )
目標の達成状況は記録されているか 評価欄と記録書Ⅱに、起きた時刻、通所、連絡した場面などの事実が書かれているか 確認日:(    )
達成状況に基づき、新たな訪問看護計画が立てられているか 入院・退院・指示書の変更・精神科特別訪問看護指示書の交付の後に、計画書が見直されているか 確認日:(    )
訪問看護報告書は作成されているか 計画書の評価と、精神科訪問看護報告書の病状の経過・家族等との関係の内容がつながっているか 確認日:(    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

自治体の公表資料にある訪問看護の計画書・指示書の指摘(5件)

精神科訪問看護に限った指摘は、当社が集めた公表事例では確認できませんでした。下の表は、訪問看護全般の計画書と指示書について公表されている指摘で、統合失調症の方の計画書にも通じるものです。

自治体 公表されている指摘の内容 統合失調症の方の計画書で見直す点
長野県(令和6年度運営指導結果の概要・訪問看護) 居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない、利用者の同意を得たことが確認できない、具体的なサービス内容を記載していない事例等 ご本人への説明と同意の記録、O-P・T-P・E-Pの具体性
神戸市(介護保険サービス事業運営上の留意事項・令和7年3月) 訪問看護指示書の有効期限切れ・受領遅れ、計画書に具体的なサービスの内容・利用者の希望・主治医の指示・看護目標等を記載していない、利用者の同意署名がない等 指示期間の管理、ご本人の希望と指示書の留意事項の反映、同意の署名
東京都(運営指導における主な指摘事項・訪問看護) 計画書を作成していない、ケアプランの内容と相違している、内容が不十分 退院直後の訪問開始前に計画書があるか、関係機関の計画との食い違い
東京都(同) サービス提供開始後に指示書の交付を受けていた、文書による指示なく訪問していた、訪問内容が指示書と相違している等 精神科訪問看護指示書の交付日と訪問開始日、指示書の内容と計画書の支援内容のずれ
愛知県(主な指摘事項・令和7年度版) 作業療法士による訪問看護を利用している者について、定期的に看護職員の訪問による評価を実施する必要があることに留意すること、と示されています 作業療法士の訪問が中心の方で、看護職員の訪問による評価の日と記録が残っているか

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

統合失調症の方の計画書について手元に残す記録(記入欄つき)

医療保険の指定訪問看護の運営基準の解釈通知(保発0305第20号)の(29)では、訪問看護記録書・指示書・計画書・報告書等を「その完結の日から2年間備えておかなければならない」とされています。介護保険の訪問看護の保存の年限は各自治体の条例で定められているため、事業所の決まりを記入欄で確かめてください。

記録 何のために残すか 保管場所 最終更新日
精神科訪問看護指示書(精神科特別訪問看護指示書を含む) 留意事項・指示期間・短時間や複数名の訪問の記載の根拠 (    ) (    )
退院時の情報(看護サマリー等) 課題欄の根拠、退院前にご本人と話した目標 (    ) (    )
精神科訪問看護計画書(説明・同意・交付の記録つき) 説明した相手と日付、ご本人の言葉、同意と交付の事実 (    ) (    )
計画書を作成した看護師等の経験の記録 相当の経験を有する保健師等が作成したことの確認 (    ) (    )
精神科訪問看護記録書Ⅰ(病識・生活歴・日常生活等の状況の欄を含む) 初回訪問時の状態と援助の要否、課題の出どころ (    ) (    )
精神科訪問看護記録書Ⅱ(月の初日のGAFの値を含む) 観察・ケア・相談の実施と、評価の事実 (    ) (    )
ご本人と作ったサインの一覧と連絡の順番の紙(写し) 再発の徴候への支援内容の実際 (    ) (    )
主治医への連絡・情報提供の記録(服薬の状況と残薬の様子を含む) 主治医に伝えた内容と、受けた指示 (    ) (    )
精神科訪問看護報告書(主治医への提出の記録つき) 評価と病状の経過・家族等との関係を主治医へ伝えた事実 (    ) (    )
サービス等利用計画・居宅サービス計画の写し(ある方) 関係機関の計画と目標がそろっていることの確認 (    ) (    )
関係機関との連絡の記録と、情報共有についてのご本人の同意の記録 共有した範囲がご本人の同意の範囲に収まっていることの確認 (    ) (    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

よくある質問

統合失調症の看護計画のE-Pには、どのようなことを書けばよいですか?

在宅の精神科訪問看護計画書では、E-Pを「服薬の必要性を指導する」のような一方向の説明で終わらせず、ご本人と一緒に決めたことや、手元に残る物を書くと評価がしやすくなります。たとえば、ご本人が挙げた調子を崩しかけたときのサインの一覧と連絡の順番を紙にする、薬の気がかりを受診のときに主治医へ伝える内容を一緒に書き出す、ご家族に相談先を伝える、などです。薬の量や使い方の判断は書かず、主治医の指示書・処方に沿う形にします。

看護学生の看護過程や病院の看護計画と、精神科訪問看護計画書は何が違いますか?

精神科訪問看護計画書は、主治医の精神科訪問看護指示書と訪問による療養状況を踏まえて看護の目標を設定し、訪問の時間の中で行う観察・ケア・相談を書くものです。統合失調症の方では、看護師がいない日にご本人がどう暮らし、困ったときに誰に連絡するかまで書いておくと、在宅での計画として使いやすくなります。

回復期の統合失調症の方の看護目標は、どう書けばよいですか?

回復期は、疲れやすさと付き合いながら、生活の範囲を少しずつ広げていく時期として書かれることが多くあります。「症状が安定する」ではなく、「一日のうち食事と洗面のために起きる時間をご本人と決め、続けられる」「通所先の見学の日を決め、当日の朝の支度を自分で整えられる」のように、ご本人の行動と場面で書くと、評価のときに記録書Ⅱの事実と照らし合わせられます。時期の見立ては、主治医の指示書とご本人の生活の様子から判断します。

精神科訪問看護計画書は、誰が作成しますか?

訪問看護療養費の算定の留意事項(保発0305第19号)の第3の2(1)では、精神科訪問看護計画についても、相当の経験を有する保健師等(准看護師を除く。)が作成するものとされています。相当の経験については、同じ第3の1に、精神科を標榜する保険医療機関の精神病棟又は精神科外来に勤務した経験を1年以上有する者などが挙げられています。

作業療法士が訪問する場合、計画書のどこに書きますか?

精神科訪問看護計画書(別紙様式3)の「訪問予定の職種」の欄には、当該月に作業療法士による訪問が予定されている場合に記載すると示されています。記載要領では、訪問予定の職種とその訪問日を利用者に分かるように記載することとされ、看護職員のみによる訪問の場合には記載しなくても差し支えないとされています。

出典

出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)

本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

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介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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