公開:2026年11月8日/出典:社会保障審議会 障害者部会(第157回)資料3
要点(3行)
- 令和8年7月10日の障害者部会(第157回)に、「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(第2版)案」が出されました。平成29年3月の初版から9年以上がたち、意思決定支援の構造を整理し直す改訂案です(この時点では「案」です)。
- 大きな変更は、「本人の最善の利益」という記載を削り、「意思と選好に基づく最善の解釈」という表現で意思決定支援を定義し直したことです。意思決定支援のプロセス(意思形成支援/意思表明支援/意思実現支援)もはっきり書かれました。
- ICTツール(クラウド等の情報共有ツールなど)を使った記録・情報共有の効率化、障害特性に応じた合理的配慮・情報アクセシビリティの記載も加わり、具体例は別冊の事例集に整理されています。
何が出たか
| 項目 | 一次資料に書かれていること |
|---|---|
| 会議 | 社会保障審議会障害者部会 第157回(令和8年7月10日) |
| 資料 | 資料3「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(第2版)案について」(厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部 障害福祉課 地域生活・発達障害者支援室)。参考資料1に第2版案の本文、参考資料2に別冊 |
| 改訂の背景 | 他分野(認知症、身寄りがない人の入院及び医療、後見事務等)の意思決定支援ガイドラインが発出された/国連障害者権利委員会の総括所見(令和4年10月)で「本人の最善の利益」という言葉の使用に懸念が示された/第二期成年後見制度利用促進基本計画の中間検証報告書(令和7年3月)で見直しを検討する必要があるとされた |
| これまで | 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定で、意思決定支援の推進を指定基準に規定するなど、支援を推進してきたと書かれている |
第1版/第2版(案)で変わるところ
| 項目 | 第1版 | 第2版(案) |
|---|---|---|
| はじめに | 策定の背景・趣旨 | 策定・改訂の背景・趣旨に加えて「ガイドラインの理念・信条」を新設。意思決定の主体はあくまでも本人であることを明示 |
| 判断の考え方 | 「最善の利益の判断」 | 「本人の最善の利益」に関する記載を削除し、「意思と選好に基づく最善の解釈」で再定義 |
| 能力の捉え方 | 「本人の判断能力」 | 「本人の意思決定能力の捉え方」。どのような障害があっても、本人には意思決定能力があることを前提にする。能力を評価するのではなく、どのような支援を行えば本人自身が意思決定しやすくなるかを検討するために状態を把握する |
| プロセス | — | 意思形成支援/意思表明支援/意思実現支援を明確化 |
| 困難なケース | — | 本文と分けてコラムで整理(重大な影響が生じる場合・意思決定や意思確認が難しい場面など) |
| 記録 | 意思決定支援の根拠となる記録の作成 | 写真・動画等の活用に加え、クラウド等の情報共有ツールを含むICTツールの活用による業務の効率化について検討することが望ましい、を追記 |
| 具体例 | 3例(日中活動プログラム・施設での生活の継続・精神科病院からの退院) | 別冊の事例集に整理。重症心身障害のある本人の通所継続、GHへの移行を見据えた居住の場の選択、障害者支援施設入所者の買い物や外出先の選択と金銭管理支援などを追加 |
支援現場の枠組み(第2版案の各論)
| 項目 | 資料に書かれていること |
|---|---|
| 意思決定支援責任者 | 意思決定支援計画の作成に中心的に関わり、意思決定支援会議を企画・運営する。流れの図には「相談支援専門員、サービス管理責任者兼務可」とある |
| 意思決定支援会議 | 本人参加の下で、情報を持ち寄り、本人の意思、選好及び価値観を確認する。明確な確認が困難な場面では、意思と選好に基づく最善の解釈を試みるための協議を行う。流れの図には「サービス担当者会議・個別支援会議と兼ねて開催」とある |
| 計画 | 意思決定が反映されたサービス等利用計画や個別支援計画(意思決定支援計画)の作成とサービスの提供、モニタリングと評価及び見直し |
| 留意すべき事項 | 意思疎通と合理的配慮(障害特性に応じた環境整備・アクセシビリティの確保)/職員の知識・技術の向上(研修・事例検討)/関係者、関係機関との連携/本人と家族等に対する説明責任等(苦情解決の手順等の重要事項の説明を含む) |
基本的原則には、「一般的な常識からみた正しさ」や職員等の価値観と照らして不合理と受け取られる決定であっても、他者への権利を侵害しない限り、その選択を尊重するよう努める姿勢が求められる、と書かれています。あわせて、リスクを含めて受け止める支援のために、チームや事業所全体として取り組む体制を構築することが重要とされています。
一次資料:
事業所で確かめること
- 第2版はこの時点では「案」です。確定版の公表と周知は、厚生労働省と指定を受けている自治体の案内をご確認ください。
- 意思決定支援の推進は指定基準に規定されています。貴事業所の運営規程・個別支援計画の様式が、今の指定基準の定めに沿っているかをご確認ください。
- 意思決定支援会議をサービス担当者会議・個別支援会議と兼ねて開く場合の記録の残し方は、貴事業所の記録様式と自治体の案内をご確認ください。
- 職員研修に使う場合は、第2版案の本文(参考資料1)と別冊の事例集(参考資料2)を部会のページからご覧ください。
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更新履歴:初版。第2版が確定・公表されたときは、この記事を更新します。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。






