公開:2026年11月6日/出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」・カスタマーハラスメント防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号)・リーフレット、令和7年度 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(認知症施策・地域介護推進課)
要点(3行)
- 改正労働施策総合推進法により、令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策が全ての事業主の義務になりました(厚生労働省のページ)。
- 指針(令和8年厚生労働省告示第51号)では、「顧客等」に福祉施設等の利用者を含み、「職場」には顧客の自宅等も業務を行う場所なら含むとしています。講ずべき措置は、方針の明確化と周知、相談窓口、事後の対応、特に悪質なものへの対処の方針などです。
- 介護保険の側では、運営基準等の省令でもカスタマーハラスメントへの対応を義務付けることが適当とした部会の意見を受け、省令改正など所要の措置を講ずる予定とされています(担当課長会議の資料)。
何が出たか
| 項目 | 一次資料に書かれていること |
|---|---|
| 法律 | 改正労働施策総合推進法(令和7年6月に成立)。カスタマーハラスメントの防止のための雇用管理上必要な措置が、全ての事業主に義務付けられた |
| いつから | 令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント及び求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が全ての事業主の義務となった |
| 指針 | 「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)。担当課長会議の資料では「令和8年2月に告示された」指針とされている |
| そのほかの資料 | リーフレット(簡易版・詳細版)、カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年9月8日更新)、業種別の対策マニュアル等、消費者の心理や障害特性、認知症の症状に係る啓発資料の案内が、厚生労働省のページにある |
指針でのカスタマーハラスメントの考え方
| 項目 | 指針・リーフレットに書かれていること |
|---|---|
| 3つの要素 | ①顧客等の言動であって、②労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの。①~③を全て満たすもの |
| 顧客等 | 顧客、取引の相手方、施設(駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設等)の利用者その他の事業に関係を有する者。これからサービスの利用等をしようとする者(潜在的な顧客)も含む |
| 職場 | 労働者が業務を遂行する場所。取引先の事務所や顧客の自宅等でも、業務を遂行する場所であれば含まれる |
| 方法 | 対面のほか、電話やSNS等のインターネット上で行われるものも含む |
| 当たらないもの | 顧客等からの苦情の全てが該当するわけではなく、社会通念上許容される範囲で行われたものは正当な申入れ。障害者が障害を理由とする不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を求める意思を表明すること自体は当たらない |
講ずべき措置(リーフレットの整理)
| まとまり | 内容 |
|---|---|
| 方針等の明確化と周知・啓発 | ①毅然とした態度で対応し労働者を保護する旨の方針を明確化し周知・啓発する/②カスタマーハラスメントの内容と、あらかじめ定めた対処の内容(管理監督者に指示を仰ぐ、可能な限り一人で対応させない、犯罪に該当し得る言動は警察へ通報する、本部等へ情報共有する等)を周知する |
| 相談体制の整備 | ③相談窓口をあらかじめ定めて周知する/④相談窓口担当者が適切に対応できるようにする |
| 事後の迅速かつ適切な対応 | ⑤事実関係を迅速かつ正確に確認する/⑥被害者に対する配慮のための措置を行う/⑦再発防止に向けた措置を講ずる |
| 抑止のための措置 | ⑧特に悪質と考えられるものへの対処の方針をあらかじめ定めて周知し、その対処を行える体制を整える |
| あわせて講ずべき措置 | ⑨相談者等のプライバシーを保護する措置と周知/⑩相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、周知・啓発する |
リーフレットには、対策を講ずる際に、消費者の権利や、障害者差別解消法の不当な差別的取扱いの禁止・合理的配慮の提供義務に留意する必要があるとも書かれています。
介護保険の側での動き(担当課長会議の資料)
| 項目 | 資料に書かれていること |
|---|---|
| 今の運営基準 | 令和3年度介護報酬改定で、全ての介護サービス事業者にハラスメント対策として必要な措置を講ずることを義務づけた。カスタマーハラスメントは、防止のための方針の明確化等の措置を講じることを推奨している |
| 部会の意見 | 令和7年12月の介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」で、全ての介護事業者に、運営基準等に係る省令でもカスタマーハラスメントへの対応の義務付けを行うとともに、対応マニュアルの見直しや自治体への周知を徹底するなど所要の措置を講ずることが適当とされた |
| これから | 指針の内容も踏まえて見直し内容を具体化し、介護給付費分科会での議論等を踏まえ、運営基準等に係る省令の改正など所要の措置を講ずる予定 |
| マニュアル | 令和元年度に作成(令和3年度に改訂)した「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」は、改正労働施策総合推進法等の内容を踏まえた見直しを予定 |
| 認知症等の症状 | 利用者による暴力行為等が認知症等の症状として現れる場合があり、ハラスメント対策とは別に、医療的なケア等に配慮した対応が必要になると留意を求めている |
一次資料:職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省)/リーフレット(PDF)/カスタマーハラスメント防止指針(PDF)/担当課長会議資料 認知症施策・地域介護推進課(PDF)
事業所で確かめること
- 貴事業所の就業規則・ハラスメントの方針に、カスタマーハラスメントの内容と対処の方法が書かれているかをご確認ください。規程の作り方や個別の事案の判断は、社会保険労務士・弁護士など専門家にご相談ください。
- 相談窓口を決めて職員に知らせているか、訪問先(利用者の自宅)で起きたときの連絡の流れがあるかをご確認ください。
- 運営基準の改正は「予定」の段階です。告示・通知が出たら、指定権者の自治体からの周知をご確認ください。
- 問い合わせ先は、お近くの都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)とリーフレットに書かれています。
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この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。






