公開:2026年11月7日/出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 10. 重点的な対応が求められる分野(救急医療・小児周産期医療)」・「16. 経過措置」、中医協 総-1「個別改定項目について」
要点(3行)
- 令和8年度診療報酬改定で、分娩を取り扱う医療機関の体制を評価する「産科管理加算」(1日につき 病院250点・有床診療所50点)が新設されました。産科病棟の混合病棟化や他科患者の増加に配慮した対応が必要になっていることが理由に挙げられています。
- 母体・胎児集中治療室管理料は、医師配置の要件が緩和される一方、妊産婦の搬送受入件数や帝王切開の件数などの実績が要件に加わりました。
- この実績要件は、令和8年3月31日時点で届出を行っている治療室について、経過措置で令和9年5月31日まで、妊産婦の搬送受入件数に関する実績要件に該当するものとみなす、とされています。
何が出たか
| 項目 | 一次資料に書かれていること |
|---|---|
| 資料 | 厚生労働省の改定説明資料「10. 重点的な対応が求められる分野(救急医療・小児周産期医療)」のⅢ-5-2「小児・周産期医療の充実」と、「16. 経過措置」 |
| 産科管理加算の考え方 | 分娩件数の減少に伴い、分娩を取り扱う産科病棟の混合病棟化や他科患者の増加に配慮した対応が必要となっていることを踏まえ、母子の心身の安定・安全の確保を図るとともに、分娩に係る診療を、院内助産・助産師外来や産後ケア事業等の母子保健事業等と連携して提供する体制の評価を新設する |
| 母体・胎児集中治療室管理料 | ①医師配置に係る要件の緩和、②母体搬送受入件数や帝王切開実施件数等の実績を要件に、③「母体・胎児集中治療室管理を要する状態」に「産科異常出血」を追加 |
| 経過措置(No.45) | A303 母体・胎児集中治療室管理料。令和8年3月31日の時点で現に届出を行っている治療室は、令和9年5月31日まで、妊産婦の搬送受入件数に関する実績要件に該当するものとみなす |
| そのほかの見直し | 新生児特定集中治療室管理料2の施設基準の緩和、難病外来指導管理料2(成人移行期医療の受入)の新設など |
産科管理加算の主な施設基準
算定対象は、分娩を伴う入院中の患者(分娩が開始した日以降に限る)です。病棟の受け入れ方で、求められる体制が分かれています。
| 病棟の形 | 加算1(病院・250点) | 加算2(有床診療所・50点) |
|---|---|---|
| 産科の患者・新生児のみを受け入れる | 看護職員の最小必要数の5割以上が助産師/産科病棟に助産師が常時1人以上/適切な管理ができる助産師数の配置 | 適切な管理ができる助産師数の配置 |
| 産科の患者・新生児と他科の患者を併せて受け入れる | 産科病棟に助産師が常時1人以上/産科区域の特定(扉を設ける等の構造上の区分、又は他科の患者等が通常立ち入らないよう視覚的に区分)/助産師数を産科区域へ配置 | 産科区域の特定(可能な限り)/助産師数を産科区域へ配置 |
| 地域連携 | 関係する業務に従事した経験を5年以上有する専任の助産師1名以上 | |
| 外来 | 助産師外来を含む妊婦健康診査や妊娠期の保健指導の実施(加算1は、妊娠期のケア及び指導を行う助産師の配置も) | |
| 院内助産・産後ケア | 院内助産が開設されていること、産後ケア事業が実施されていることが「望ましい」 | |
資料では、産科区域の分け方として「ユニット化」(ひとつづきの病棟の一部を産科専用のユニットとして使う)と「ゾーニング」(廊下を含むひと固まりの領域を産科だけの区域とする)が図で示されています。
母体・胎児集中治療室管理料:今まで/これから
| 項目 | 現行 | 改定後 |
|---|---|---|
| 産婦人科・産科の医師(施設基準イ②) | 常時2名以上が院内に勤務。そのうち1名は専任の医師 | 常時2名以上。ただし届出病床数が6床以下で、別の医師が緊急呼出し当番により30分以内に治療室で診療を開始できる体制を確保している場合は1名以上 |
| 実績要件(施設基準ウ) | (なし) | 次の①〜④のうち、いずれか3つ以上を満たすこと |
| 対象となる状態 | (産科異常出血の記載なし) | 「母体・胎児集中治療室管理を要する状態」に「産科異常出血」を追加 |
| 番号 | 実績要件(資料の文) |
|---|---|
| ① | 救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる妊産婦の搬送受入件数が、年間で10件以上 |
| ② | 多胎妊娠の分娩件数が、年間で10件以上 |
| ③ | 帝王切開術による分娩件数が、年間で50件以上 |
| ④ | 分娩時の妊娠週数が22週以上34週未満である分娩件数が、年間で10件以上 |
経過措置の文は「妊産婦の搬送受入件数に関する実績要件に該当するものとみなす」です。②〜④の件数の扱いについて、この経過措置の資料には書かれていません。
一次資料:令和8年度診療報酬改定 10. 救急医療・小児周産期医療(PDF・厚生労働省)/令和8年度診療報酬改定 16. 経過措置(PDF・厚生労働省)/個別改定項目について(中医協 総-1・PDF)
病院・クリニックで確かめること
- 産科管理加算の届出は、告示・施設基準の通知の定めと、貴院の病棟の形(産科のみか、他科と併せて受け入れているか)、助産師の配置によります。届出の様式と時期は、地方厚生(支)局の案内をご確認ください。
- 他科と併せて受け入れている病棟では「産科区域の特定」が求められています。今の病室の配置や扉、案内表示を、看護部長・病棟の担当者と図面で見比べておくと、確かめるときに迷いません。
- 母体・胎児集中治療室管理料の実績要件は、①〜④の件数を年間で数えます。搬送受入、多胎妊娠、帝王切開、妊娠週数別の分娩の件数を、医事課でどの記録から拾えるかを整理しておくと、令和9年5月31日の期限の前に確かめやすくなります。
- 経過措置の資料には、経過措置は今後変更になることがあり、最新の告示・通知と「施設基準届出チェックリスト」を参照するよう書かれています。最新の版をご確認ください。
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更新履歴:初版。経過措置の期限が変わったとき、疑義解釈が出たときは、この記事を更新します。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。






