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看護記録・介護記録の種類と選び方|記法13の比較表と、同じ場面を書き分けた例49例

看護記録・介護記録の書き方を調べると、SOAP、経時記録、フォーカスチャーティング、フローシート、クリニカルパス……と、名前の違う「記法」がいくつも出てきます。どれも「正しい書き方」として説明されているのに、並べて比べたものが見つからない。その結果、事業所では「前の職場ではSOAPだった」「うちは経過記録」「この様式だけチェック式」が同居し、同じ利用者の記録が数か月おきに書き方を変えていく、ということが起こります。

この記事は、個々の記法の書き方を説明しません。SOAPの4つの項目に何を書くのか、DARの3つの項目に何を書くのか、といった記法ごとの中身は、それぞれの解説記事の役割です。ここで扱うのは、その一段手前にある問い——「どれを、いつ使うのか」だけです。

扱う記法は13です。SOAP/SOAPIE/SOAPIER/POS(問題志向型システム)/経時記録/叙述記録/フォーカスチャーティング(DAR)/フローシート(経過表)/チェック式・チェックリスト/クリニカルパス/叙述とフォーカスの併用/サマリー/SBAR(報告の型)。この13を11の軸で横に並べ、15の場面から逆に引けるようにし、同じ1つの場面を記法を変えて書き分けた実例を49例並べました。書き分けの実例は、記法の説明を読むより速く違いが分かります。

なお、この記事に出てくる数値(体温・脈拍・食事量・時刻など)は記入例として置いた値であり、基準や目安を示すものではありません。医学的な判断、薬剤の名称や量には触れません。記録の様式・保存年限・確認の観点は保険者(指定権者)により異なりますので、自事業所の取扱いは指定権者の公表資料でご確認ください。

看護記録・介護記録に記法がいくつもある理由——記法は「何を落とさないための道具か」で分かれている

記法が複数あるのは、流行や学派の違いではありません。記録に求められるものが、場面によって違うからです。急変の場面で求められるのは「何時に何が起き、何時に誰へ連絡したか」という時間の順序であって、考察の筋道ではありません。逆に、状態が動いている利用者について「なぜその対応にしたのか」を後から説明する必要があるとき、時刻の羅列だけでは足りません。

つまり記法は、「これだけは落とさない」と決めた対象がそれぞれ違う道具です。ハンマーとドライバーのどちらが優れているかを議論しないのと同じで、記法にも優劣ではなく担当範囲があります。下の表は、記録の現場で「落としたら困るもの」を8つに分け、それぞれに対応する記法を並べたものです。

落としたら困るもの 落ちるとどうなるか その要求から生まれた記法 その要求が強く出る場面
判断の根拠(何を見て、どう考えて、何をしたのか) 後から読んでも「なぜその対応にしたのか」が分からず、説明も引き継ぎもできない SOAP/SOAPIE/SOAPIER 状態が動いている利用者、方針を変えたとき
出来事の順序と時刻 「何分後に誰へ連絡したか」が再現できず、対応の妥当性を説明できない 経時記録 急変、転倒・事故、救急要請、看取り期
今日の焦点(何についての記録なのか) 長い文章の中に要点が埋もれ、必要な記録を探し出せない フォーカスチャーティング(DAR) 1回の訪問・1勤務で特筆すべきことが1〜2件のとき
数値と実施の有無の推移 「先週と比べてどうか」が読み取れず、変化に気づくのが遅れる フローシート(経過表) 毎日の測定、食事量・排泄・体重、処置の継続
決めた項目の抜け 確認したはずの項目が確認されておらず、後から確認した証拠も残らない チェック式・チェックリスト 定型業務、持ち物確認、環境整備、初回契約時
標準からのズレ 「予定どおりでなかったこと」が埋もれ、原因の分析ができない クリニカルパス 手順が標準化された経過、期間の決まった支援
今すぐ伝えるべきことの順番 報告が長くなり、受け手が判断に必要な情報にたどり着けない SBAR(報告の型) 医師・管理者への電話報告、救急要請、夜間の連絡
期間全体の要約と引き継ぎ事項 担当が替わるたびに一次記録を全部読み直すことになる サマリー 担当交代、入退院、他事業所への情報提供、月末

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

ここにPOS(問題志向型システム)だけが入っていないことに気づいた方がいるかもしれません。POSは他の記法と並ぶ「書き方」ではなく、「どの問題についての記録なのか」を問題リストで束ねる仕組みだからです。POSの上でSOAPを書くこともフローシートを使うこともできます。この記事では、混同を避けるためPOSも13の中に入れていますが、比較表の中では「他の記法を載せる土台」として扱っています。

もう1つ、叙述記録も特別です。叙述記録は「型のない記録」であり、他のどの記法にも属さない文章を指します。型がないことは弱点にも強みにもなります。項目に分けると失われるもの——利用者本人の言葉づかい、家族との関係、その場の空気——は、叙述でしか残らないことがあります。

記法13種の横断比較表——11の軸で並べると、どこが違うのかが1枚で読める

ここがこの記事の核です。13の記法を、11の軸で横に並べます。軸は「何を落とさないための道具か/1件あたりの分量/書くのにかかる時間/読む人が探しやすいもの/向いている場面/向いていない場面/必要な前提/新人が書けるようになるまで/電子記録との相性/複数職種で使えるか/運営指導で説明しやすいか」の11です。1枚の表に11列を詰めると読めなくなるので、軸を4つのまとまりに分け、同じ13行を4回並べています。行の順番は4つの表ですべて同じなので、縦に読めば同じ記法を追えます。

時間や分量の数字は、一般的な目安として置いた記入例であり、実測値の保証ではありません。事業所の様式・利用者数・電子化の有無で大きく変わります。

比較表1|何を落とさない道具か・分量・書く時間

記法 何を落とさないための道具か 1件あたりの分量の目安 書くのにかかる時間の目安
SOAP 判断の根拠。見たこと・聞いたことと、そこから考えたこと・行ったことの対応関係 中(150〜400字程度) 中。慣れると1件3〜8分だが、慣れるまでは倍かかる
SOAPIE 判断の根拠に加えて、実際に行ったことと、その後どうなったかまで 中〜大(250〜600字程度) 中〜長。実施後の再確認が要るため1回では終わらない
SOAPIER 上記に加えて、計画をどう見直したかまで 大(300〜800字程度) 長。全項目を毎回埋めると現場では続きにくい
POS(問題志向型システム) 「どの問題についての記録か」。問題リストと日々の記録の対応関係 仕組みなので単独の分量はない。載せる記法の分量に従う 立ち上げに時間がかかり、運用に乗ると検索の時間が縮む
経時記録 出来事の順序と時刻。誰が何時に何をして、何時に誰へ連絡したか 大。時刻ごとに行が増えるため出来事の数に比例する 1行あたりは短いが、行数が多く合計では長い
叙述記録 文脈・言葉づかい・関係性。項目に切ると落ちるもの 中〜大(自由記述のため書き手により3倍以上ひらく) 短〜長。書き手の差がもっとも大きい記法
フォーカスチャーティング(DAR) 今日の焦点。1回の訪問・1勤務で「特筆すべきこと」が何だったか 小〜中(100〜300字程度) 短〜中。焦点が決まっていれば1件2〜5分
フローシート(経過表) 数値と実施の有無の推移。前回・前週との差 極小(1項目1マス) 極短。1項目あたり数秒
チェック式・チェックリスト 決めた項目の抜け。確認したこと自体の証拠 極小(チェック欄と備考欄のみ) 極短。ただし備考欄を書くと実質は叙述の時間になる
クリニカルパス 標準の手順からのズレ(バリアンス) 小(標準どおりなら確認印、ズレたときだけ記述) 短。ズレが多い利用者では逆に長くなる
叙述とフォーカスの併用 焦点と文脈の両方。要点を立てたうえで背景も残す 中〜大(フォーカス+補足の叙述) 中〜長。2つ書くので単独より増える
サマリー 期間全体の要約と、引き継ぐ相手が必要とする事項 大(様式1〜2枚) 長。1件30分〜。一次記録が整っているかで倍以上変わる
SBAR(報告の型) 今すぐ伝えるべきことの順番。受け手が判断するのに要る情報 極小(口頭が主。記録に残すのは数行) 極短。口頭で30秒〜1分、記録は1〜2分

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

比較表2|読む人が探しやすいもの・向いている場面・向いていない場面

記法 読む人が探しやすいもの 向いている場面 向いていない場面
SOAP 「なぜその対応にしたのか」の筋道。方針が変わった日 状態が動いている利用者、判断を説明する必要がある記録 変化のない日が続く定型業務。項目が空欄だらけになる
SOAPIE 行ったことと、その後どうなったかの対応 処置やケアを継続していて、結果を追う必要がある場面 1回で完結する短時間のサービス。結果を書く欄が余る
SOAPIER 計画をどう見直したか。見直しの時点 計画の変更が頻繁な時期、目標の期間が終わる前後 日々の記録。全件に適用すると記録時間が跳ね上がる
POS(問題志向型システム) 特定の問題についての記録だけを時系列で取り出すこと 問題が複数あり、それぞれ別の経過をたどる利用者 問題リストを維持する担当が決まっていない事業所
経時記録 時刻。何分後に何をしたか、誰へ何時に連絡したか 急変、転倒・事故、救急要請、看取り期、苦情対応 毎日の定型訪問。行数だけ増えて要点が埋もれる
叙述記録 本人・家族の言葉、場面の様子。数値にならない情報 意向の確認、関係づくりの経過、精神面の変化 大量の記録を横断して探すとき。検索の手がかりが弱い
フォーカスチャーティング(DAR) その日の焦点。焦点の語をたどれば経過が追える 特筆すべきことが1〜2件の訪問、通所、夜勤帯 焦点が3つ以上ある日。どれを立てるかで書き手により割れる
フローシート(経過表) 推移。前回・前週との差、抜けているマス 毎日の測定、食事・排泄・水分、処置の継続、体重 理由や背景を残したいとき。マスには入りきらない
チェック式・チェックリスト 確認した項目と、確認していない項目 定型業務、契約時の説明、環境整備、持ち物、点検 利用者ごとに違うことが起きる場面。選択肢に収まらない
クリニカルパス 標準からのズレと、その理由 手順が標準化された経過、期間の決まった短期の支援 経過が一人ひとり違うサービス。ズレの記録ばかりになる
叙述とフォーカスの併用 焦点で当たりをつけ、叙述で背景を確かめること 焦点はあるが背景の説明も要る場面(拒否、苦情、意向) 記録件数が多い事業所。二重に書く負担が現場に残る
サマリー これまでの経過と、引き継ぐ相手が最初に知るべきこと 担当交代、入退院、他事業所への情報提供、期間の区切り 日々の記録の代わり。サマリーだけでは根拠が追えない
SBAR(報告の型) 報告した内容と、受けた指示 医師・管理者への電話報告、救急要請、夜間の連絡 経過の保存。報告の型であって記録の様式ではない

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

比較表3|必要な前提と、新人が書けるようになるまで

記法 必要な前提(これが無いと運用が崩れる) 新人が書けるようになるまでの目安 つまずきが出る場所
SOAP 事実と考えを分けて書く訓練。分けられないと全部が同じ項目に入る 1〜3か月(週数件の添削がある場合) 考えたことを事実の欄に書いてしまう。事実の欄が伝聞だけになる
SOAPIE SOAPが書けていること。加えて、実施後にもう一度記録に戻る運用 3〜6か月。SOAPの後に積む 実施の欄と結果の欄が同じ内容になる
SOAPIER 計画の様式と記録が結びついていること 6か月以上。計画の見直しを経験しないと書けない 見直しの欄が毎回「継続」だけになる
POS(問題志向型システム) 問題リストを作り、番号を維持し、終わった問題を閉じる担当がいること 仕組みの理解に1〜2週間、維持は事業所の仕事 問題リストが更新されず、閉じるべき問題が残り続ける
経時記録 時刻を確認する習慣。時計の位置と、記録を書く場所 数日〜2週間。もっとも早く書けるようになる 時刻を後からまとめて書く。所要時間が実態と合わなくなる
叙述記録 何を書くかの基準を事業所が言葉にしていること 基準が無ければ、いつまでも揃わない 書き手により3倍以上の差が出る。定型句だけの記録が生まれる
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点の立て方を事業所で揃えること(一覧を作るなど) 2週間〜1か月。型が短いので入りやすい 焦点の語が人によりばらつき、後から検索できない
フローシート(経過表) 項目と単位を先に決めること。途中で項目を変えると推移が切れる 1日。ただし「書かない日を作らない」運用が要る 空欄の意味が「未実施」か「未記入」か分からなくなる
チェック式・チェックリスト 項目が現場の実態と合っていること。合わない項目は形だけ埋まる 1日。もっとも早い 備考欄が空欄のまま定着し、記録が「レ点の列」になる
クリニカルパス 標準の手順が文書になっていること。無ければズレを判定できない 1週間(パスの読み方の理解) ズレの理由の欄が空欄になり、パスが形骸化する
叙述とフォーカスの併用 どちらを主にするか、どの欄に何を書くかの取り決め 1〜3か月(フォーカス習得後) 同じ内容を二度書く。時間だけ増えて情報は増えない
サマリー 一次記録が揃っていること。揃っていないと記憶で書くことになる 3〜6か月。書式と項目を決めておけば短縮できる 一次記録から書き写すだけになり、要約になっていない
SBAR(報告の型) 報告先と、報告する基準を事業所が決めていること 1〜2週間(読み上げ用のカードがあれば数日) 報告はできても、報告した事実と受けた指示が記録に残らない

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

比較表4|電子記録との相性・多職種での使いやすさ・運営指導での説明しやすさ

記法 電子記録との相性 複数職種で使えるか 運営指導の場面で説明しやすいか
SOAP 良い。項目が固定なので入力欄に落としやすく、項目単位で検索できる 使える。ただし考察の欄の書き方は職種により幅が出る 計画の目標と考察の対応を示しやすい。空欄が続くと逆に目立つ
SOAPIE 良い。実施と結果の欄を分けて持てる 使える。実施した職種が誰かを別欄で持つ必要がある 実施した内容と結果の対応を示しやすい
SOAPIER 良いが、入力欄が多く現場の入力が続きにくい 限定的。計画に関わる職種が中心になる 計画の見直しの経過を示しやすい
POS(問題志向型システム) とても良い。問題番号で記録を束ねる仕組みは電子化と噛み合う 使える。問題を共通の番号で参照できる 1つの問題の経過をまとめて示せる
経時記録 良い。時刻順の並べ替えと絞り込みができる 使える。職種を問わず時刻と事実だけで書ける 対応の時系列を示しやすい。事故・急変の説明に向く
叙述記録 普通。入力は容易だが、後から特定の記録を探すのが難しい 使えるが、書き方の幅が最も大きい 読み手が探す手間が大きい。要点が埋もれると説明に時間がかかる
フォーカスチャーティング(DAR) とても良い。焦点の語を選択式にすると集計と検索ができる 使える。焦点の一覧を共通で持てば職種をまたげる 焦点ごとに経過を取り出せる。焦点の語が揃っていることが前提
フローシート(経過表) とても良い。数値をそのまま推移として表示できる とても使える。数値と実施の有無は職種を問わない 実施の有無と推移を示しやすい。空欄の意味を説明できるかが分かれ目
チェック式・チェックリスト とても良い。集計しやすい とても使える 確認した項目は示せるが、心身の状況が残らないと補足を求められやすい
クリニカルパス 良い。標準手順を様式として持てる 使える。手順の共有そのものが目的に合う ズレの理由が書かれていれば、経過の説明がしやすい
叙述とフォーカスの併用 普通。欄を2つ持つため入力の負担が増える 使えるが、どちらに書くかの取り決めが必要 焦点から入って背景を補える。二重記載があると説明が混乱する
サマリー 良い。一次記録から項目を引き当てられると作成が速い 使える。宛先の職種に合わせて項目を変える必要がある 経過の全体像を示しやすい。一次記録との食い違いには注意が要る
SBAR(報告の型) 普通。報告の型なので、記録としては別の欄に残すことになる とても使える。受け手が誰でも同じ順で聞ける 報告した事実と受けた指示が記録に残っていれば示しやすい

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

4つの表を縦に読むと、記法は大きく3つの群に分かれます。①判断の筋道を残す群(SOAP・SOAPIE・SOAPIER・POS)、②出来事と数値を落とさない群(経時記録・フローシート・チェック式・クリニカルパス)、③要点と文脈を伝える群(フォーカス・叙述・併用・サマリー・SBAR)。同じ群の中で置き換えても記録の性格はあまり変わりませんが、群をまたいで置き換えると、残るものが入れ替わります。事業所で記法を変えるときに揉めるのは、たいていこの「群をまたぐ変更」のときです。

場面から記法を選ぶ逆引き表——15の場面で、何を使い、何を落としやすいか

比較表は「記法から場面を見る」表です。実際の現場は逆で、場面が先にあって、そこから記法を選ぶことになります。ここでは15の場面を挙げ、それぞれについて「主に使う記法」「補助として足す記法」「そう考える理由」「この場面で落としやすい情報」を並べます。落としやすい情報の列は、そのまま自事業所の記録の点検項目として使えます。

逆引き表1|日常・安定・急変・事故・新しい問題・看取り・退院直後・初回訪問

場面 主に使う記法 補助として足す記法 そう考える理由 この場面で落としやすい情報
毎日の定型的な訪問 フローシート(経過表) フォーカス(特筆事項があった日だけ) 毎日書くものは1マスで終わる形にしないと続かない。推移が読めることが目的 いつもと同じに見えた日の、わずかな差。定型句で埋めると差が消える
状態が安定している利用者 フローシート+チェック式 叙述(月1回、まとめて) 変化が少ない期間はSOAPの考察欄が空欄になりやすい 「変化なし」と書いた根拠。何を見て変化なしと言えるのか
急変が起きた 経時記録 SBAR(報告の記録)/SOAP(落ち着いた後の整理) 時刻と順序が最優先。考察を書く時間より先に事実を残す 連絡した時刻と相手、受けた指示の内容、家族への連絡の有無
転倒・事故が起きた 経時記録 事故報告の様式/SOAP(要因の整理) 発見時の状況と、その後の対応の時系列が要る 発見時の姿勢と周囲の状況、直前に何をしていたか、家族と介護支援専門員への連絡
新しい問題が見つかった SOAPまたはSOAPIE POS(問題リストに追加) 問題として立てた時点と、その根拠を残す必要がある 問題として立てた日と、立てた根拠。誰と共有したか
看取り期 経時記録 叙述(本人・家族の言葉)/フローシート 時間ごとの変化と、家族への説明の経過の両方が残る必要がある 家族へ説明した内容と、家族の反応。本人の言葉
退院直後 サマリー(受け取った情報の整理) SOAP/SBAR 病院から来た情報と、自事業所で確認した事実を分けて残す 誰から、いつ、どの経路で得た情報か。確認できていない項目
初回訪問 叙述記録+チェック式 フローシート(初回値の記録) 初回は「基準になる状態」を残す回。型に収まらない情報が多い 住環境と家族の状況、本人の言葉。次回以降の比較の起点になる値

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

逆引き表2|多職種・繰り返し業務・夜勤帯・短時間通所・家族説明・苦情・運営指導前

場面 主に使う記法 補助として足す記法 そう考える理由 この場面で落としやすい情報
複数職種が関わる フォーカスチャーティング(DAR) POS(問題番号の共有) 焦点の語を共通にすると、職種をまたいで同じ主題の記録を追える 他職種が書いた記録を読んだ事実と、それを受けて何を変えたか
同じことの繰り返しが多い業務 チェック式+フローシート フォーカス(例外が起きた日だけ) 繰り返しの部分を短くしないと、例外を書く時間が残らない 例外が起きた日の記述。チェックだけの日が続くと例外も素通りする
夜勤帯 経時記録+フローシート フォーカス(対応が必要だったことだけ) 人手が少なく記録に割ける時間が短い。時刻と実施の有無が中心になる 訪室した時刻と、そのとき何を確認したか。眠っていたという記述の根拠
短時間の通所 フローシート+チェック式 フォーカス(利用者ごとに1件) 滞在時間が短く、記録の時間も短い。数値と実施の有無が主になる 送迎時の様子と自宅での情報。滞在中だけを見ていると変化に気づけない
家族への説明が必要 叙述記録 経時記録(説明した日時)/サマリー 説明した内容と、家族がどう受け止めたかは、項目に切ると落ちる 説明した相手の続柄と、家族から出た質問。合意できなかった点
苦情があった 経時記録 叙述(申し出の言葉そのまま)/SBAR(管理者への報告) 申し出から回答までの時系列と、申し出の言葉が残ることが要る 申し出の言葉を要約してしまうこと。回答した日時と、回答した相手
運営指導が近い 既存の記録の点検(記法は変えない) サマリー(経過の整理) 直前に記法を変えると、前後で様式が食い違い、かえって説明しにくくなる 計画・記録・請求の3つの食い違い。記録の空白期間

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

15場面を通して見ると、記法の選択には規則性があります。時間が動く場面(急変・事故・看取り・苦情)は経時記録が主になり、繰り返しが多い場面(定型訪問・夜勤・短時間通所)はフローシートとチェック式が主になり、判断を説明する必要がある場面(新しい問題・退院直後)はSOAP系が主になります。1つの記法で全部を賄おうとすると、必ずどこかで無理が出ます。だから多くの事業所は、主の記法を1つ決めたうえで、場面ごとに補助の様式を足す形に落ち着きます。

同じ場面を記法を変えて書き分けた例——15場面・49例を並べて違いを見る

ここからは、同じ1つの場面を、記法を変えて書いた結果だけを並べます。記法の説明はしません。読み比べれば、何が残り、何が落ちるのかが説明よりも速く分かります。

読むときの見どころは3つです。①同じ場面でも、記法によって残る情報がまったく違うこと。②どの記法でも、書き手が観察していないことは書けないこと。③記法を変えても記録の量は必ずしも増えないこと。文中の数値・時刻・氏名はすべて記入例です。実在の利用者を示すものではなく、値の基準を示すものでもありません。

場面1|訪問時に発熱と食欲低下があった

記法 その記法で書いた結果
SOAP S「昨日の夕方から体がだるい。ご飯もあまり食べたくない」。O 体温37.8℃(前回訪問時36.5℃)、脈拍88回/分、呼吸18回/分、SpO2 96%。朝食は主食2割・副食1割、昼食は摂取せず。水分は本日午前中にお茶を約300mL。表情はやや硬く、臥床している時間が長い。皮膚に発赤なし、咳・鼻汁なし。A 体温は前回より高く、食事量は普段の2割程度に減っている。飲水は自力でできている。家族が同居しており日中の見守りが可能。P 主治医へ電話で状況を報告し指示を受ける。家族へ水分摂取の声かけと、体温の測定(朝・夕)を依頼。明日臨時訪問の可否を管理者と調整する。
経時記録 10:05 訪問。本人よりだるさの訴えあり。10:08 体温37.8℃、脈拍88回/分、SpO2 96%。10:15 朝食の摂取量を家族に確認(主食2割・副食1割)。10:20 主治医へ電話、看護師◯◯が状況を報告。10:26 主治医より折り返し、水分摂取を促し夕方に再検温するよう指示を受ける。10:30 家族へ指示内容を伝達、記録用紙に検温欄を追加して手渡す。10:40 訪問終了。16:50 家族より電話、夕方の体温37.4℃との報告を受ける。管理者へ共有。
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:発熱と食事量の低下。D 昨夕からのだるさの訴え。体温37.8℃(前回36.5℃)、朝食主食2割・副食1割、昼食摂取なし。飲水は約300mL/午前。A 主治医へ電話報告し指示を受領。家族へ水分摂取の声かけと朝夕の検温を依頼。検温欄を追加した記録用紙を手渡した。R 夕方に家族から電話連絡があり体温37.4℃。次回訪問まで毎日の検温を継続する。
フローシート(経過表) 8/12の行:体温37.8/脈拍88/SpO2 96/朝食 主2・副1/昼食 −/水分 300/排便 −/入浴 中止/特記 レ。8/11の行:体温36.5/脈拍76/SpO2 97/朝食 主10・副8/昼食 10/水分 800/排便 有/入浴 実施/特記 −。前日と並べると、体温・食事量・水分量の3列が同時に動いていることが1目で分かる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面2|訪問先の玄関で転倒しているところを発見した

記法 その記法で書いた結果
経時記録 14:02 訪問、玄関で応答がなく居室へ移動。14:03 廊下で右側臥位で倒れている本人を発見。声かけに返答あり、「トイレに行こうとしてすべった」との発言。14:04 意識清明、四肢の自動運動を確認。頭部・顔面に外傷なし、右肘に3cm程度の擦過あり。14:06 血圧138/82、脈拍92回/分、体温36.4℃。14:10 本人の同意を得て2人介助でベッドへ移動。14:15 主治医へ電話、看護師◯◯が発見時の状況を報告。14:22 主治医より受診の要否について指示を受ける。14:30 長女へ電話、状況と指示内容を伝達。14:35 介護支援専門員へ電話、留守番電話に伝言。14:50 訪問終了。15:20 介護支援専門員より折り返し、担当者会議の日程調整の申し出あり。
SOAP S「トイレに行こうとしてすべった。頭は打っていない」。O 14:03 廊下にて右側臥位で発見。意識清明、四肢の自動運動あり。頭部・顔面に外傷なし、右肘に3cm程度の擦過。血圧138/82、脈拍92回/分、体温36.4℃。廊下に新聞紙が数枚散らばっており、スリッパは脱げた状態で1m先に落ちていた。A 発見時の状況と本人の説明は一致している。廊下の床面に物が置かれていた状況を家族と共有する必要がある。P 主治医へ報告し指示を受ける。家族へ連絡し、廊下の物の配置について次回訪問時に一緒に確認することを提案。介護支援専門員へ報告し、環境の見直しを相談する。事故報告の様式に記入し管理者へ提出する。
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:訪問時に転倒を発見。D 14:03 廊下で右側臥位、意識清明、頭部外傷なし、右肘に擦過3cm。廊下に新聞紙が散乱、スリッパが1m先。本人「すべった」。A バイタル測定、2人介助でベッドへ移動、主治医へ報告し指示受領、長女と介護支援専門員へ連絡、事故報告の様式に記入。R 移動後の本人に新たな訴えなし。次回訪問時に廊下の環境を家族と確認する。
SBAR(報告の記録) 14:15 主治医へ電話報告(記録としての要旨)。S:訪問時、廊下で転倒している◯◯様を発見。B:週2回の訪問、前回訪問時は歩行器で自立歩行。転倒の既往は3か月前に1回。B(バイタル):血圧138/82、脈拍92、体温36.4、意識清明、四肢の自動運動あり、頭部外傷なし、右肘擦過3cm。A:発見時の状況と本人の説明は一致、頭部打撲の訴えなし。R:受診の要否についてご指示をいただきたい。→ 14:22 指示受領、内容は経時記録に記載。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面3|内服の飲み残しが続いている

記法 その記法で書いた結果
SOAP S「飲んだかどうか、時々分からなくなる」。長男「夕方は仕事で不在なので確認できていない」。O 一包化された朝食後の薬包が、8/5・8/7・8/9の3日分、日付欄のまま残っている。夕食後の分は残薬なし。服薬カレンダーの朝の列にのみ残薬が集中している。本人は薬袋の日付を読むことができ、置き場所も答えられる。A 残っているのは朝の分に限られ、飲み忘れが特定の時間帯に集中している。声かけをする人がいない時間帯と一致している。P 主治医と薬剤師へ状況を情報提供する。家族と相談し、朝の声かけの方法(電話・アプリ・訪問時間の変更)を次回訪問までに検討する。服薬カレンダーの朝の欄にチェック欄を追加する。
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:朝の内服の飲み忘れ。D 服薬カレンダーに8/5・8/7・8/9の朝分の残薬。夕分は残薬なし。本人「時々分からなくなる」、長男は朝は不在。A 残薬の日付と時間帯を記録し、主治医・薬剤師へ情報提供。服薬カレンダーの朝の欄にチェック欄を追加し、家族へ記入を依頼。R 次回訪問時に残薬の有無を再確認し、チェック欄の記入状況を見る。
チェック式・チェックリスト 服薬確認表(8月)。朝:8/1 レ/8/2 レ/8/3 レ/8/4 レ/8/5 −/8/6 レ/8/7 −/8/8 レ/8/9 −/8/10 レ。夕:8/1〜8/10 すべてレ。備考欄:8/5「残薬あり。本人に確認、覚えていないとのこと」/8/7「残薬あり。長男へ電話で報告」/8/9「残薬あり。主治医へ情報提供済み」。表の形にすると、朝の列にだけ「−」が並ぶことが一目で分かる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面4|皮膚の傷の処置を継続している

記法 その記法で書いた結果
SOAPIE S「今日はしみる感じはない」。O 仙骨部の創部、長径2.5cm×短径1.8cm(前回2.8cm×2.0cm)、周囲の発赤は前回より縮小。滲出液は少量、色は淡黄色。臭気なし。体位変換は家族が3時間ごとに実施、記録用紙に記入あり。I 主治医の指示に基づき創部を洗浄し、被覆材を交換。体位変換の時間帯を家族と再確認。E 処置後、本人からの疼痛の訴えなし。次回訪問まで被覆材の交換は家族が1日1回行う予定で、手順を口頭と手順書で確認した。
フローシート(経過表) 創部経過表(週単位)。7/29 長径2.9/短径2.1/滲出 中/発赤 有/処置 実施/体位変換 3時間ごと。8/5 長径2.8/短径2.0/滲出 少/発赤 有/処置 実施/体位変換 3時間ごと。8/12 長径2.5/短径1.8/滲出 少/発赤 縮小/処置 実施/体位変換 3時間ごと。数値だけの3行で、3週間の推移が読める。
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:仙骨部の創部の処置。D 長径2.5cm×短径1.8cm(前回2.8×2.0)、滲出液少量、臭気なし、疼痛の訴えなし。家族による体位変換は3時間ごとに記録用紙へ記入あり。A 主治医の指示に基づき洗浄と被覆材の交換を実施。家族へ手順書を用いて交換手順を再確認。R 処置後に新たな訴えなし。次回訪問時に大きさを再測定し、記録用紙の記入状況を確認する。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面5|家族から「夜眠れていないようだ」と相談があった

記法 その記法で書いた結果
叙述記録 訪問時、玄関先で長女より「この2週間ほど、夜中に何度も起きて廊下を歩いている。私も起きてしまうので正直つらい」との相談があった。本人に確認すると「よく眠れているよ」と話し、夜間に起きている自覚については「覚えていない」とのこと。長女は「本人を責めたいわけではない。ただ、このままだと自分が仕事に行けなくなる」と話し、声が涙ぐんでいた。本人の前では話しづらい様子だったため、玄関先で10分ほど話を聞いた。長女からは「デイサービスの回数を増やしたら夜は眠れるのか」という質問があり、その場では答えず、介護支援専門員へつなぐことを伝えた。
SOAP S 長女「2週間ほど前から夜中に何度も起きて廊下を歩いている。私も起きてしまう」。本人「よく眠れている」「(夜間のことは)覚えていない」。O 日中の訪問時、本人は臥床せず座位で過ごし、会話中に眠り込む様子はなし。日中の活動量は前月と比べ大きな変化なし。長女の表情は硬く、涙ぐむ場面あり。夜間の様子を記録したものは無い。A 本人と家族で夜間の状況の認識が異なっており、事実の記録が無い状態で相談が始まっている。家族の負担についても訴えがある。P 夜間の様子を記録する用紙(起きた時刻・行動・所要時間の3欄)を家族へ渡し、1週間の記入を依頼。主治医と介護支援専門員へ相談内容を情報提供する。次回訪問時に用紙をもとに状況を整理する。
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:家族からの夜間の睡眠に関する相談。D 長女より「2週間ほど夜中に何度も起きて廊下を歩く」との相談。本人は自覚なし。夜間の様子を記録したものは無い。長女は涙ぐみ、負担についての訴えあり。A 玄関先で10分間傾聴。夜間の記録用紙(時刻・行動・所要時間)を渡し1週間の記入を依頼。主治医・介護支援専門員へ情報提供。R 次回訪問時に記録用紙を確認し、事実を整理したうえで相談する。介護支援専門員より8/16に連絡予定。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面6|通所サービスで入浴を拒否された

記法 その記法で書いた結果
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:入浴の拒否。D 10:30 入浴の声かけに「今日はいい」と返答。理由を尋ねると「服を脱ぐのが嫌」と発言。前回・前々回は同じ声かけで入浴している。脱衣室は他の利用者2名が使用中で、順番待ちの状態だった。A 時間をずらして11:20に再度声かけ、脱衣室が空いている状態で誘導し、同性の職員が対応。入浴実施。R 入浴後「さっぱりした」と発言。次回は脱衣室が空く時間帯に声かけを行うこととし、送迎表の備考欄に記載した。
経時記録 10:30 入浴の声かけ、「今日はいい」と返答。10:32 理由を確認、「服を脱ぐのが嫌」との発言。10:35 脱衣室の使用状況を確認(他利用者2名使用中)。10:40 いったん中止し、レクリエーションへ誘導。11:15 脱衣室が空いたことを確認。11:20 再度声かけ、同性職員が対応し脱衣室へ誘導。11:25 入浴開始。11:48 入浴終了、「さっぱりした」との発言。11:55 送迎表の備考欄に時間帯の調整について記入。
SOAP S「今日はいい」「服を脱ぐのが嫌」。入浴後「さっぱりした」。O 10:30の声かけ時、脱衣室は他利用者2名が使用中。前回・前々回は同じ時間帯の声かけで入浴している。拒否の場面で表情の変化はなく、声を荒げることもなかった。11:20に脱衣室が空いた状態で声かけを行い、入浴に至った。A 拒否は入浴そのものではなく、他者と同時に脱衣する状況に向けられていた可能性がある。時間帯を変えたところ同じ日のうちに入浴できている。P 次回以降、脱衣室が空く時間帯に声かけを行う。送迎表の備考欄と通所介護計画の記録に残し、他の職員へ申し送る。家族へは連絡帳で当日の経過を伝える。

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場面7|看取り期に呼吸の様子が変わった

記法 その記法で書いた結果
経時記録 02:10 訪室。呼吸のリズムに変化あり、口を開けた呼吸となっている。呼吸数10回/分、SpO2は測定できず。02:12 体位を右側臥位から仰臥位へ変更、枕の高さを調整。02:15 長男へ電話、様子を伝え来訪を確認(03:00頃到着予定)。02:20 主治医へ電話、看護師◯◯が状況を報告。02:26 主治医より、あらかじめ確認していた方針に沿って経過を見るよう指示を受ける。02:30 口腔内を湿らせる。02:55 長男到着、ベッドサイドで手を握る。03:10 呼吸数8回/分。03:40 長男へ現在の様子を説明。04:00 経過を管理者へ電話報告。
叙述記録 深夜の訪室時、呼吸の様子がこれまでと変わっていた。長男に電話をすると「すぐ行きます」と即答され、到着後はベッドサイドで手を握ったまま動かなかった。長男から「痛くはないんでしょうか」と2度尋ねられ、そのたびに、表情や体の動きから読み取れることをそのまま伝えた。長男は「父は昔から我慢する人だったから」と話し、しばらく黙っていた。事前に確認していた本人と家族の意向(自宅で過ごすこと、救急要請は行わないこと)について、この場でもう一度、長男の口から確認した。「変わりません」との返答があった。
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:呼吸の様子の変化と、家族への説明。D 02:10 呼吸のリズムに変化、呼吸数10回/分、口を開けた呼吸。03:10 呼吸数8回/分。長男より「痛くはないのか」との質問が2度あり。A 体位と枕の調整、口腔内の保湿、長男へ電話し来訪、主治医へ報告し指示受領、家族の意向を長男へ再確認(変更なし)。R 長男はベッドサイドで付き添いを継続。管理者へ04:00に報告。次回訪問予定を6:00に前倒しし、連絡先を書面で手渡した。

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場面8|退院直後の初回訪問

記法 その記法で書いた結果
サマリー(受け取った情報の整理) 入院期間:7/22〜8/9(18日間)。入院前の状況:屋内は手すりで自立歩行、入浴は週2回の通所を利用。入院中の経過(退院時の情報提供書より):入院3日目から離床、8/1より歩行器歩行、退院時は屋内歩行器で見守り。継続する処置:なし。退院時に受けた説明(同席した長女より):自宅での移動は歩行器を使い、段差のある場所は付き添う。自事業所で確認できていない項目:入浴の可否、通所再開の時期、退院時処方の内容。次に確認する相手と時期:主治医(8/13の受診に同行する長女経由)、介護支援専門員(8/12に電話予定)。
SOAP S「病院ではもっと歩けたのに、家だと怖い」。長女「玄関の段差が心配」。O 屋内の移動は歩行器を使用、居室からトイレまで約6mを見守りで移動可能。廊下に手すりはなく、玄関に18cmの段差。血圧126/74、脈拍78回/分、体温36.3℃。退院時の情報提供書は長女が保管しており、訪問時に確認した。A 病院内と自宅では移動する距離と環境が異なっており、本人の不安の訴えは環境の違いに向けられている。自宅の環境について、まだ評価していない箇所(浴室・玄関)がある。P 次回訪問時に浴室・玄関の環境を評価する。介護支援専門員へ電話し、住宅改修と福祉用具について相談の場を設けることを提案する。主治医への確認事項(入浴の可否)を長女経由で依頼する。
SBAR(介護支援専門員への報告の記録) 8/12 10:40 介護支援専門員へ電話(記録としての要旨)。S:8/9退院の◯◯様、本日初回訪問を実施。B:入院前は手すりで屋内自立、現在は歩行器で見守り。廊下に手すりなし、玄関に18cmの段差。A:屋内の移動は見守りで可能だが、浴室と玄関は未評価。本人から不安の訴えあり。R:住宅改修と福祉用具について相談の場を設けたい。8/16までに担当者会議の開催をご検討いただきたい。→ 同日11:05 折り返しあり、8/19に開催の方向で調整との回答。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面9|変化のない定型的な訪問(いつもどおりの日)

記法 その記法で書いた結果
フローシート(経過表) 8/12:体温36.4/血圧128/76/脈拍74/SpO2 97/食事 主10・副9/水分 900/排便 有(普通便)/排尿 6/睡眠 良/清拭 実施/内服 レ/体重 −/特記 −。同じ様式の8/5・8/8・8/10の行と並べると、すべての列が前回と同じ範囲に収まっていることが読み取れる。
チェック式・チェックリスト 訪問チェック表:バイタル測定 レ/内服の確認 レ/食事量の確認 レ/排泄の確認 レ/清拭 レ/居室の環境確認 レ/家族への申し送り レ/次回予定の確認 レ。備考欄:「居室の室温28℃、本人と相談し設定を26℃に変更。冷風が直接当たらないよう風向きを調整した」。
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:居室の室温。D 訪問時の室温28℃、本人は長袖の上着を着用し「暑くない」と発言。額に軽い発汗あり。飲水は午前中にコップ2杯。A 本人と相談のうえ設定温度を26℃に変更、冷風が直接当たらないよう風向きを調整。飲水を促し、テーブルにお茶を用意した。R 30分後に再確認、室温26℃、発汗は見られなくなった。次回訪問時に設定温度の維持状況を確認する。
叙述記録 本日は大きな変化のない訪問だった。バイタル・食事・排泄はいずれも前回と同じ範囲。ただ、居室の室温が28℃あり、本人は「暑くない」と話していたが額に汗が見られた。エアコンの操作について尋ねると「リモコンの字が小さくて見えない」との発言があり、これまで設定を変えられずにいたことが分かった。本人と相談して26℃に変更し、リモコンの上下ボタンに目印のシールを貼った。次回、自分で操作できているかを確認する。

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場面10|帰宅を訴えて玄関に立っている

記法 その記法で書いた結果
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:帰宅の訴え。D 15:10 玄関の前に立ち「家に帰ります。子どもが待っているので」と発言。上着を手に持ち、靴を履こうとしている。表情は硬いが、声を荒げる様子はない。同時刻、フロアでは他の利用者の送迎準備が始まっていた。A 否定せず、「お迎えの時間を確認します」と伝えて職員が同行し、いったんフロアの窓際の席へ誘導。お茶を用意し、5分ほど子どもの話を聞いた。15:25 表情が和らぎ、席で新聞を読み始めた。R 16:00の送迎まで玄関へ向かう様子はなかった。送迎準備の音が始まる時間帯と重なっていたため、次回は15:00に席の位置を変えることをフロア内で申し送った。
経時記録 15:10 玄関前に立っている本人を職員が発見。「家に帰ります」との発言。15:12 職員が同行し声かけ、上着を預かる。15:15 フロア窓際の席へ誘導、お茶を提供。15:18 子どもの話を傾聴(約5分)。15:25 表情が和らぎ新聞を読み始める。15:40 フロア内で経過を申し送り。16:00 送迎車へ誘導、拒否なく乗車。16:20 家族へ連絡帳で当日の様子を伝達。
叙述記録 午後3時過ぎ、玄関の前に上着を持って立っているところを職員が見つけた。「家に帰ります。子どもが待っているので」と話す。以前にも同じ時間帯に同じ言葉を聞いたことがあったため、否定せずに「お迎えの時間を確認しますね」と伝えて一緒に窓際の席へ移動した。お茶を出すと、息子さんが小学生だった頃の話を続けて話された。話しているうちに表情が和らぎ、そのまま新聞を読み始めた。フロアではちょうど送迎の準備が始まっていて、椅子を動かす音や職員の呼びかけが響いていた。この時間帯と重なっていることは、これで3回目になる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面11|買い物代行で預り金と釣銭に相違があった

記法 その記法で書いた結果
経時記録 10:15 訪問、買い物代行の依頼を受け預り金を受領(金額は預り金記録表に記入、本人と職員で読み上げて確認)。10:20 買い物メモを本人と一緒に確認、品目5点。10:25 出発。10:52 店舗到着、依頼品5点のうち1点(同じ銘柄の商品)が欠品のため、本人へ電話し代替品の可否を確認、了承を得る。11:10 会計、レシートを受領。11:25 帰宅、レシートと釣銭を本人の前で読み上げて照合。11:28 預り金記録表の残高と釣銭に相違があることを本人と確認。11:30 サービス提供責任者へ電話で報告。11:45 レシート・釣銭・記録表を写真に記録し、記録表に相違の内容を記入して本人と職員が署名。12:00 訪問終了。13:20 サービス提供責任者より、長女へ連絡した旨の連絡を受ける。
チェック式・チェックリスト 買い物代行チェック表:預り金の受領を本人と読み上げ確認 レ/買い物メモの確認 レ/依頼品の数(5点) レ/代替品の了承(電話) レ/レシートの受領 レ/釣銭の照合を本人の前で実施 レ/記録表への記入 レ/相違の有無 有/サービス提供責任者への報告 レ/署名 レ。備考欄:「欠品1点につき本人の了承を得て代替品を購入。帰宅後の照合で記録表の残高と釣銭に相違を確認、同日中に責任者へ報告した」。
叙述記録 買い物から戻り、いつものように台所のテーブルでレシートと釣銭を本人と一緒に数えたところ、記録表の残高と合わなかった。本人は「いいのよ、そんなの」と言って手を振ったが、そのままにはできないことを伝え、レシートの品目を1点ずつ声に出して読み上げた。欠品のため代替品にした1点について、店から電話で了承をもらっていたことも改めて説明した。数え直しても相違は残ったため、その場でサービス提供責任者に電話をし、記録表に相違の内容を書いて本人と一緒に署名した。本人は「面倒をかけてごめんね」と話していた。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面12|短期入所中に食事量が減った

記法 その記法で書いた結果
フローシート(経過表) 食事摂取量(主食/副食の10段階)。8/9 朝10/9・昼10/10・夕9/8。8/10 朝9/8・昼10/9・夕8/7。8/11 朝6/4・昼5/3・夕4/2。8/12 朝3/2・昼4/3・夕5/4。水分量:8/9 1,100/8/10 1,000/8/11 700/8/12 750。体重:8/9 52.4/8/12 51.8。3日分を縦に並べると、8/11から主食・副食・水分の3列が同時に下がっていることが読み取れる。
SOAP S「あんまりおなかがすかない」「家のごはんの方がいい」。O 8/11から食事摂取量が低下(8/10 朝9割→8/11 朝3割)。水分量も1,000mLから700mLへ減少。体重52.4kg(8/9)→51.8kg(8/12)。発熱なし、排便は8/10に1回、以降なし。同室者が8/10に入れ替わっている。A 摂取量の低下は8/11から始まっており、同室者の入れ替わりと時期が重なっている。発熱や新たな身体的訴えは記録されていない。P 食事の場所と時間帯を変更して様子を見る。家族へ電話し自宅での食事の様子を確認する。主治医と介護支援専門員へ状況を情報提供する。摂取量と水分量の記録は毎食継続する。
サマリー(退所時) 利用期間:8/9〜8/13(4泊5日)。入所時の状況:食事は自力摂取、主食10割・副食9割。期間中の経過:8/11より摂取量が低下(主食3〜6割)、水分量も1日700〜750mLに減少。体重52.4kg→51.8kg。発熱・嘔吐なし。8/11に食事の席を窓側へ変更、8/12は朝より摂取量がやや回復。実施した対応:食事の席の変更、家族への電話連絡(8/11)、主治医への情報提供(8/12)、摂取量の毎食記録。退所時の状況:主食5割・副食4割。引き継ぐ事項:自宅での摂取量と体重の推移の確認、次回利用時の座席の配慮、介護支援専門員への情報提供(8/13実施済み)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面13|「訪問の時間がいつも遅い」と苦情の申し出があった

記法 その記法で書いた結果
経時記録 8/12 09:20 長女より事業所へ電話。09:22 サービス提供責任者が対応、申し出の内容を聴取。09:35 通話終了、聴取内容を記録。09:40 該当期間(7/15〜8/11)のサービス提供記録から到着時刻を抽出(10回中6回が予定より15分以上遅れ)。10:10 管理者へ報告。10:30 担当ヘルパー2名へ聞き取り。11:00 介護支援専門員へ電話し状況を共有。14:00 長女へ電話、確認した事実と当面の対応を説明、8/19までに訪問時間の見直し案を示すことを伝える。14:20 苦情受付記録に記入、管理者確認。8/16 10:00 見直し案を作成、長女へ電話し了承を得る。8/19 見直し後の時間で訪問開始。
叙述記録 長女からの電話は「もう何度も言っているんですけど」という言葉から始まった。約束の10時に来ないことが続いており、待っている本人が落ち着かず、その後の予定も組めないとのこと。「時間が守れないなら、はじめから11時と言ってほしい」という言葉があった。こちらから事実を確認する前に、まず最後まで話を聞いた。話の途中で「担当の方を責めたいわけではない」との発言もあった。聴取後、記録から到着時刻を調べたところ、指摘のとおり遅れが続いていた。この事実をその日のうちに電話で伝え、時間の見直し案を1週間以内に示すことを約束した。
SBAR(管理者への報告の記録) 8/12 10:10 管理者へ報告(記録としての要旨)。S:◯◯様の長女より、訪問時間の遅れについて申し出。B:週3回(月・水・金10:00)の身体介護。7/15〜8/11の記録では10回中6回が予定より15分以上遅れ。A:申し出の内容は記録と一致。前の訪問先の終了時刻が押していることが原因と考えられる。R:担当ヘルパーへの聞き取りと、訪問順の見直しの検討をお願いしたい。当日中に長女へ折り返しの連絡を行う。
SOAP S 長女「約束の10時に来ない。待っている本人が落ち着かない」「時間が守れないなら、はじめから11時と言ってほしい」。O 7/15〜8/11のサービス提供記録から到着時刻を抽出したところ、10回中6回で予定より15分以上の遅れが記録されていた。遅れた日はいずれも同じ担当者の同じ曜日で、直前の訪問先の終了時刻が予定より遅くなっていた。A 申し出の内容と記録は一致している。特定の曜日と訪問順に偏りがある。P 訪問順の見直し案を8/19までに作成する。長女へ当日中に事実と対応の予定を伝える。介護支援専門員へ共有する。苦情受付記録に記入し、対応の経過を同じ様式に追記していく。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面14|服薬の管理方法を家族と相談して変更した

記法 その記法で書いた結果
SOAPIER S 長男「薬の袋から出すところで、いつも時間がかかっている」。本人「袋が開けにくい」。O 一包化された薬包を本人が開封する際、右手の指先でつまむ動作に時間を要し、机の上に落とすことが訪問中に2回あった。服薬カレンダーの朝の欄に、8/5・8/7・8/9の残薬。A 開封の動作が飲み忘れの一因となっている可能性がある。家族の同席できる時間帯は朝食後に限られる。P 薬剤師へ情報提供し、開封しやすい方法について相談する。服薬カレンダーの位置を食卓の正面へ移す。I 8/12訪問時に薬剤師へ電話で情報提供。カレンダーを食卓正面の壁へ移設し、家族と設置位置を確認した。E 8/15訪問時、8/13・8/14の朝の残薬なし。本人「見える場所にあると忘れない」との発言。R 服薬確認表の記入は家族が継続。次回のモニタリングで、開封方法についての薬剤師からの回答を踏まえ、計画の記載を見直す。
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:服薬管理の方法の変更。D 薬包の開封に時間を要し、訪問中に2回落下。朝の残薬が3日分。長男「袋から出すところで時間がかかる」。A 薬剤師へ電話で情報提供。服薬カレンダーを食卓正面へ移設し、設置位置を家族と確認。服薬確認表の記入方法を家族へ説明。R 8/15訪問時、直近2日の朝の残薬なし。本人より「見える場所にあると忘れない」との発言。次回訪問時に継続状況を確認する。
経時記録 8/12 10:05 訪問。10:12 服薬カレンダーを確認、朝の欄に3日分の残薬。10:18 本人が薬包を開封する様子を確認、2回落下。10:25 長男と管理方法について相談(約10分)。10:38 薬剤師へ電話、看護師◯◯が状況を情報提供。10:50 服薬カレンダーを食卓正面の壁へ移設、長男と位置を確認。10:58 服薬確認表の記入方法を長男へ説明、用紙を手渡す。11:05 訪問終了。8/15 10:03 訪問、確認表を確認(8/13・8/14の朝は記入あり、残薬なし)。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

場面15|通所の利用中に、家族から自宅での変化を聞き取った

記法 その記法で書いた結果
SOAP S 送迎時、長女より「先週から夜に台所で立っていることが2回あった」「本人に聞いても何も言わない」。本人「(夜のことは)覚えていない」。O 通所中の様子は普段と変わらず、レクリエーションに参加、昼食は主食10割・副食9割。歩行は室内自立。連絡帳には夜間の記載はなし。前回・前々回の連絡帳を確認したが、同様の記載は見当たらなかった。A 自宅での夜間の様子は、通所中の観察からは把握できない範囲にある。家族からの情報が唯一の手がかりになっている。P 連絡帳に夜間の様子を記入する欄を設け、長女へ記入を依頼する。介護支援専門員へ電話で情報提供する。次回利用時に、日中の入眠の有無を職員間で意識して観察し記録する。
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点:家族から聞き取った自宅での夜間の様子。D 送迎時、長女より「先週から夜に台所で立っていることが2回」との情報。本人は自覚なし。連絡帳に夜間の記載なし。通所中の様子は普段どおり、日中の入眠なし。A 連絡帳に夜間の記入欄を追加し長女へ依頼。介護支援専門員へ電話で情報提供。フロア内で申し送り、日中の入眠の有無を観察項目に追加。R 次回利用日に連絡帳の記入内容を確認する。介護支援専門員より8/16に折り返し予定。
叙述記録 朝の送迎の車内ではなく、玄関先で長女から「ちょっといいですか」と声をかけられた。先週から夜中に台所で立っていることが2回あったという。「電気もつけずに、ただ立っているんです」と話し、本人に尋ねても何も言わないとのことだった。本人はすでに車に乗っていたため、長女は本人に聞こえないよう声を落として話していた。「歳のせいだと思いたいけれど」と言ったところで送迎の時間になり、続きは次回にすることになった。この日の通所中、本人にいつもと違う様子はなかった。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

49例を通して読むと、記法の性格の違いがはっきり出ます。経時記録は「何分後に誰へ」が残り、SOAPは「なぜそうしたか」が残り、フォーカスは「その日の主題」が残り、フローシートは「先週との差」が残る。そして、どの記法で書いても観察していないことは書けない——場面5・場面15のように、家族から聞き取らなければ、どの記法を選んでも夜間の様子は記録に現れません。記法を変えることで記録の質が上がるのは、その記法が要求する観察を実際に行ったときだけです。

記法を混ぜると何が起きるか——事業所で1つに決めるまでの手順と記入欄

記法が複数あること自体は問題ではありません。問題になるのは、同じ記録の綴りの中で、記法が予告なく入れ替わるときです。前任者はSOAPで書き、後任者は叙述で書き、その間の3か月だけフォーカスが混ざる。1年後にその利用者の経過を追おうとすると、読む人は3種類の読み方を切り替えながら、どこに何が書いてあるかを毎回探し直すことになります。

混在は、たいてい「決めていなかった」ことから起きます。誰も混ぜようとしていないのに混ざる。だから、混在を直す方法は「注意する」ことではなく、決めて、様式に落として、教えて、見直すという運用の側にあります。

混在すると起きること10件——現象・原因・最初に現れる兆候

起きること なぜ起きるのか 最初に現れる兆候 自事業所の状況(記入欄)
章立てが揃わず、同じ情報が毎回違う場所に書かれる 記法ごとに項目の並びが違うため、書き手の慣れた順序で書かれる 同じ利用者の記録で、家族の発言が日によって別の欄に現れる (          )
探しても見つからない(検索の手がかりが記法ごとに違う) フォーカスは焦点の語、SOAPは項目名、叙述は本文と、手がかりが揃わない 「あの話、どこかに書いたはず」が口癖になる (          )
引き継ぎのたびに読み直す量が増える 要約の単位(1日か1問題か1期間か)が記法ごとに違う 担当交代の申し送りが30分を超えるようになる (          )
同じ内容が2か所に書かれる(二重記載) 移行期に新旧の様式が併存し、どちらに書くかが決まっていない フォーカスの欄と叙述の欄に、同じ文がそのまま入っている (          )
空欄の意味が読み取れなくなる 「未実施」か「未記入」か「その記法では不要」かの区別がない 空欄について尋ねると、答える人により説明が違う (          )
時系列が追えなくなる 時刻を書く記法と書かない記法が混ざり、順序が復元できない 事故の経過を説明するときに、記録から時刻を拾えない (          )
計画と記録の対応が切れる 目標に対応した記録を求める記法と、そうでない記法が混在する 計画の短期目標に対応する記述が、どの月にも見当たらない (          )
新人が何を書けばよいか分からなくなる 手本になる記録が、読む人によって別の記法になる 新人の記録が、直前に読んだ先輩の記法にその都度似る (          )
電子記録に移行できない 入力欄の設計を決められない(項目が定まらない) システムの選定会議で、様式の話が毎回振り出しに戻る (          )
説明のたびに前置きが要る 読み手(家族・他事業所・行政)が記録の構造を推測できない 記録を見せる前に「この時期はこう書いていて」と説明している (          )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

事業所で1つに決めるまでの4段階——決める・様式に落とす・新人研修・半年後の見直し

下の表は、記法を決めるときの手順を4段階に分けたものです。4段階のうち、抜けやすいのは第2段階(様式に落とす)と第4段階(半年後の見直し)です。第1段階だけで終わると、決めたことが会議録の中にしか残らず、3か月後には元に戻ります。

段階 やること やり切ったと言える状態 決めた内容(記入欄) 期限・担当(記入欄)
第1段階|決める 主に使う記法を1つ決める。補助として使う様式を場面ごとに列挙する 「日々の記録は◯◯、事故と急変は経時記録」と1文で言える 主:(   )/補助:(   ) (  月  日/    )
第1段階|決めない範囲も決める 記法を変えない書類(法定様式・加算に関する記録など)を先に外す 変えない書類の一覧が紙になっている (          ) (  月  日/    )
第2段階|様式に落とす 決めた記法の項目を、実際の記録用紙・入力画面の欄にする 空欄の様式を見れば、何をどこに書くかが分かる (          ) (  月  日/    )
第2段階|移行日を決める いつから新様式にするか、旧様式をいつまで受け付けるかを決める 移行日が掲示され、旧様式の綴りが閉じられている 移行日:(  月  日) (  月  日/    )
第3段階|手本を作る 自事業所の利用者像に合わせた記入例を、良い例と悪い例の対で作る 新人が最初の1件を、手本を見ながら書ける 作成した例:(  件) (  月  日/    )
第3段階|新人研修に組み込む 採用時の教育の中に、記録の時間を位置づける 入職◯日目に記録の研修を行う、と書面にある (  日目/  時間) (  月  日/    )
第3段階|添削の仕組みを作る 誰が、いつ、何件を読んで返すかを決める 添削の担当と頻度が決まり、返した記録が残る 担当:(  )/頻度:(  ) (  月  日/    )
第4段階|半年後に見直す 決めた記法が実際に使われているか、記録を抽出して確認する 抽出した件数と、記法どおりでなかった件数が数字で出ている 抽出(  件)/相違(  件) (  月  日/    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

様式に落とすときに決めておく12項目——ここを決めないと現場で判断が割れる

決めること 決めておかないと起きること 自事業所の取り決め(記入欄)
1件の単位(1訪問か、1日か、1問題か) 同じ日の記録が1件になったり3件になったりする (          )
時刻を書く欄の有無と、書く粒度 時刻のある記録とない記録が混ざり、順序が復元できない (          )
焦点や見出しの語を、選択式にするか自由入力にするか 語がばらつき、後から同じ主題の記録を集められない (          )
数値を書く欄と、文章で書く欄の分け方 数値が文章の中に埋もれ、推移として読めなくなる (          )
空欄の意味(未実施・未記入・対象外の区別) 空欄の説明ができず、確認のたびに聞き取りが必要になる (          )
本人・家族の発言をどの欄に書くか 発言が要約されて記録され、言葉そのものが残らない (          )
他職種から得た情報の書き方(誰から・いつ・どの経路で) 情報の出どころが分からず、確認し直すことになる (          )
訂正の方法(紙・電子それぞれ) 訂正の履歴が残らず、いつ何を直したのか説明できない (          )
記録を書く場所と時間(訪問先か事業所か、当日か翌日か) 後からまとめて書くことが常態化し、時刻が実態と合わなくなる (          )
点検する人と頻度 点検した事実が残らず、記録の質が書き手任せになる (          )
紙と電子が併存する場合の正本の決め方 同じ日の記録が2つあり、どちらが正しいのか分からなくなる (          )
保存の場所と年限(保険者の条例で確認した内容) 綴りが分散し、必要なときに一式を出せない (          )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

保存年限は自治体の条例により異なります。金沢市の資料には、サービス提供に関する記録等の保存年限について、市条例に則った年限とすること、運営規程等に保存年限を記載している場合は誤りがないか確認することが示されています。東京都の資料(訪問看護)には、記録の整備と保存が不十分な例が挙げられています。年限は記憶ではなく、自事業所が指定を受けた保険者の条例と公表資料でご確認ください。

記法を決めても崩れるところ——悪い例と良い例の36組

記法を決めても、記録が良くなるとはかぎりません。SOAPの4項目がすべて埋まっていても中身が無い記録は書けますし、フォーカスの焦点欄に「入浴」とだけ書いた記録も作れます。ここでは、記法は守られているのに中身が残っていない記録を36組集め、そのまま使える形に書き直しました。左の列は書いてはいけない例として引用したもので、すべて「 」で囲んでいます。

悪い例と良い例1|観察・状態・変化の記述12組

場面・欄 悪い例(引用) 良い例(そのまま使える完成文) 何が変わったか
訪問時の全般の様子 「特変なし」 体温36.4℃、血圧128/76、脈拍74回/分。朝食は主食10割・副食9割、水分は午前中に約600mL。室内は歩行器で自立して移動。前回訪問時と同じ範囲で経過している。 「変化なし」の根拠になる観察が残った
食事の記録 「食事摂取良好」 昼食は主食10割・副食8割を自力で摂取。所要時間は約25分(前回20分)。汁物でむせる場面はなかった。 量・方法・所要時間・観察点が入った
睡眠の記録 「よく眠れていた」 22:30の訪室時は仰臥位で閉眼、呼吸は規則的。01:00・03:00の訪室時も同様で、体位交換時に開眼したが再入眠。05:20に自らトイレへ移動。 訪室した時刻と、そのとき確認した内容が残った
入浴の記録 「入浴実施」 14:10〜14:35に一般浴を実施。洗身は背部のみ介助、その他は自力。浴槽への出入りは手すりを使用し見守り。皮膚に発赤なし。入浴後の水分は麦茶200mL。 時間・介助の範囲・観察・その後の対応が入った
排泄の記録 「排泄介助あり」 10:20 トイレへ誘導、便器への移乗は手すりを使用し見守り。普通便が中量。ズボンの上げ下ろしのみ介助。誘導から退室まで約8分。 時刻・介助の範囲・性状・所要時間が入った
皮膚の観察 「皮膚トラブルなし」 仙骨部・両踵部・両側大転子部を目視で確認、発赤・浸出液なし。前回発赤のあった右踵部は色調が周囲と同じに戻っている。 どこを・どう確認したかが残った
移動・歩行 「歩行安定」 居室からトイレまで約6mを歩行器で移動、途中で立ち止まることなく往復。ふらつきや壁への接触はなかった。所要時間は片道約40秒(前回約50秒)。 距離・道具・観察・前回との比較が入った
会話・意向 「意欲的であった」 「来月の孫の運動会には行きたい」との発言があり、そのために必要なこととして本人から「杖で20分歩けるようになりたい」との具体的な希望が出た。 評価語が、本人の言葉と具体的な希望に置き換わった
拒否の場面 「入浴を拒否されたため中止」 10:30の声かけに「今日はいい」との返答。理由を尋ねると「服を脱ぐのが嫌」との発言。脱衣室は他利用者2名が使用中だった。11:20に脱衣室が空いた状態で再度声かけを行い、同性職員が対応して入浴に至った。 拒否の言葉・状況・再試行の経過が残った
家族の様子 「家族は理解を示された」 長女より「話は分かりました。ただ、夜中に何度も起こされるのがつらい」との発言。夜間の記録用紙を渡し、1週間の記入を依頼したところ「やってみます」との返答があった。 受け止め方が、発言と依頼した内容として残った
体重・数値の変化 「体重減少あり」 体重51.8kg(8/12)。前回52.4kg(8/9)から0.6kg減。同期間の食事摂取量は主食10割から3〜6割へ、水分は1,100mLから750mLへ減少している。 数値と、同時に動いた他の項目が並んだ
看取り期の様子 「状態変化あり、家族へ連絡」 02:10 呼吸のリズムに変化、呼吸数10回/分。02:15 長男へ電話、03:00頃到着予定との返答。02:20 主治医へ報告し、あらかじめ確認していた方針に沿って経過を見るよう指示を受けた。 変化の内容・連絡した時刻と相手・受けた指示が入った

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

悪い例と良い例2|連絡・報告・引き継ぎの記述12組

場面・欄 悪い例(引用) 良い例(そのまま使える完成文) 何が変わったか
主治医への連絡 「主治医に報告した」 10:20 主治医へ電話、看護師◯◯が体温37.8℃・食事摂取量の低下・飲水量を報告。10:26 折り返しがあり、水分摂取を促し夕方に再検温するよう指示を受けた。指示内容を家族へ10:30に伝達。 時刻・報告者・報告内容・受けた指示・伝達までが残った
家族への連絡 「家族に連絡済み」 14:30 長女(同居していない・市外在住)へ電話。転倒の発見時の状況と、主治医から受けた指示を伝えた。「明日の午前中に行きます」との返答。 相手・続柄・伝えた内容・返答が残った
介護支援専門員への連絡 「ケアマネに連絡した」 14:35 介護支援専門員へ電話、不在のため留守番電話に用件を録音。15:20 折り返しがあり、転倒の経過を伝えたところ、担当者会議の日程調整の申し出があった。 つながらなかった事実と、その後の経過が残った
他事業所からの情報 「デイから情報あり」 8/12 通所介護の生活相談員◯◯氏より電話。8/9の利用時に昼食の摂取量が主食3割であったこと、送迎時に長女から夜間の様子について相談があったことの2点の情報提供を受けた。 誰から・いつ・どの経路で・何を、が特定できた
申し送り 「申し送り実施」 15:40 フロア内で申し送り(出席:介護職員3名、看護職員1名)。帰宅の訴えが3回続けて15:00台に起きていること、次回は15:00に席の位置を変えることを共有した。 時刻・出席者・共有した内容が残った
受診への同行 「受診同行」 8/13 09:30〜11:40 長女とともに受診に同行。診察時に、8/11からの食事摂取量と水分量の推移を記載した用紙を提出。受診後、長女と次回受診日(9/10)を確認した。 時間・同行者・提出した資料・確認事項が入った
担当者会議 「会議で検討した」 8/19 14:00〜15:10 自宅にて開催(出席:本人、長女、介護支援専門員、訪問看護◯◯、通所介護◯◯)。玄関の段差について、住宅改修と福祉用具の両案を検討し、まず福祉用具で試すことを本人が選択した。 日時・場所・出席者・検討内容・決まったことが入った
苦情の受付 「苦情あり。対応した」 8/12 09:20 長女より電話。訪問時間が予定より遅れることが続いているとの申し出。「時間が守れないなら、はじめから11時と言ってほしい」との発言。09:35 聴取終了。14:00 確認した事実と、8/19までに見直し案を示すことを電話で説明した。 申し出の言葉・受付時刻・回答した時刻と内容が残った
事故の報告 「事故報告書を提出した」 8/12 15:00 事故報告の様式に記入し管理者へ提出。発見時の状況、バイタル、主治医への報告と指示、長女・介護支援専門員への連絡の各時刻を記載。保険者への報告の要否については、指定を受けた保険者が定める基準を確認のうえ管理者が判断する。 提出先・記載内容・保険者への報告の扱いが整理された
電話がつながらなかったとき 「連絡つかず」 16:05 長男の携帯へ電話、応答なし。16:12 再度電話、留守番電話に用件を録音。16:15 長女へ電話し、長男へ連絡がつかない旨と本日の経過を伝えた。 試した回数・時刻・代わりに取った手段が残った
訪問看護から通所への引き継ぎ 「情報共有した」 8/12 訪問後、通所介護◯◯へ電話し、8/11からの食事摂取量の低下と、本日主治医から受けた指示(水分摂取の声かけ、朝夕の検温)を伝えた。次回利用日(8/14)に摂取量を記録し、連絡帳へ記入していただくことを依頼した。 伝えた内容と、相手に依頼したことが分かれた
指示を受けたとき 「指示に従い対応」 10:26 主治医より、水分摂取を促し夕方に再検温するよう指示を受けた(電話・看護師◯◯が受領)。10:30 家族へ指示内容を伝え、検温欄を追加した記録用紙を手渡した。16:50 家族より夕方の体温37.4℃との報告を受け、管理者へ共有した。 受けた指示の内容・受領者・その後の実施までが残った

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

悪い例と良い例3|計画・評価・様式の運用の記述12組

場面・欄 悪い例(引用) 良い例(そのまま使える完成文) 何が変わったか
個別サービス計画の目標 「自宅で安心して生活できる」(居宅サービス計画からそのまま転記) 浴室内での移動を、手すりを使って見守りで行えるようにする(期間:8/1〜10/31)。自事業所が行うこと:入浴時の動作確認と、月1回の動作の記録。 自事業所が担当する範囲の目標になった
モニタリングの記録 「特に問題なく経過している」 短期目標(浴室内を手すりで見守り移動)について、8月は8回中7回で見守りにて実施できた。1回は体調不良により清拭に変更。本人「湯船をまたぐのはまだ怖い」との発言があり、次期は浴槽の出入りを目標に加えることを検討する。 目標・実施状況・本人の発言・次の判断が入った
アセスメントの記録 「洗身:一部介助」(チェックのみで備考欄は空欄) 洗身:一部介助。右肩の可動域制限により背部と後頭部に手が届かない。前面と上肢は自力で洗える。座位は安定しており、シャワーチェアの使用で見守りが可能。 チェックの理由と、できる部分が具体化した
サービス提供の時刻 「10:00〜11:00」(計画上の時間をそのまま記載) 10:12〜11:05(実測)。予定より12分遅れて開始。前の訪問先での対応が延びたため。終了時刻は予定どおり。 実測値と、予定との差の理由が残った
研修の記録 「研修を実施した」 8/5 16:00〜17:00 身体的拘束等の適正化に関する研修(出席7名、欠席1名は8/8に個別実施)。使用資料:自事業所の指針と事例集。8/5 17:10〜18:00 虐待の防止に関する研修(同じ出席者)。テーマごとに記録を分けて作成した。 日時・出席者・内容・使用資料が、テーマごとに分かれた
会議の記録 「会議を開催した」 8/7 17:00〜17:45 事故防止検討委員会(出席:管理者、看護職員2名、介護職員3名)。7月に発生した転倒2件について、発生時刻と場所を集計し、いずれも15時台の廊下であったことを確認。対策として15時台の巡回の担当を明示することを決定し、9月に再集計する。 集計した事実と、決めたこと・次の確認時期が入った
再発防止策 「見守りを強化する」 転倒2件はいずれも15:00〜15:30の廊下で発生していた。同時間帯は送迎準備で職員がフロアに集中していたため、8/20より15:00〜15:30は廊下側に職員1名を配置し、配置者名を勤務表に記載する。9/30に再集計して効果を確認する。 抽象的な対策が、原因の分析と具体的な手順になった
ヒヤリ・ハットと事故の区別 「転倒したが怪我がなかったのでヒヤリ・ハットとして記録」 事業所内で分類の基準を文書化し、転倒・誤薬は結果にかかわらず事故の様式に記録することとした。ヒヤリ・ハットは事故に至らなかった場合に用い、綴りを分けて保存する。 分類の基準が文書になり、綴りが分かれた
軽微な変更の扱い 「軽微な変更のため計画は変更せず」 8/12 サービス提供の曜日を火曜から水曜へ変更。本人・家族・事業所の同意を得たうえで、変更の内容と理由、同意を得た日時を支援経過に記録した。取扱いは指定を受けた保険者の資料でご確認ください。 判断の内容・同意・記録した場所が残った
記録の訂正 (二重線で消して書き直しただけ) 8/12の記録について、8/13に訂正。訂正前「体温37.4℃」、訂正後「体温37.8℃」。訂正理由:記入時の転記誤り。訂正者:看護師◯◯。訂正日時を記載し、訂正前の記載が読める状態で残した。 訂正の前後・理由・訂正者・日時が残った
記録の点検 (点検した記録が無い) 毎月5日に、前月分のサービス提供記録から利用者5名分を無作為に抽出し、サービス提供責任者が点検する。点検表に抽出した件数・気づいた点・返した内容を記入し、綴りに保存する。 点検した事実と、その内容が残る運用になった
加算に関する記録 「加算の要件は満たしている」 告示の定め:実施記録に実施時間・訓練内容・担当者の記載を求める旨が公表資料に示されている。貴事業所の記録:(実施時間  /訓練内容  /担当者  )。記載の有無をご確認ください。 断定を避け、定めと自事業所の状況を並べる形になった

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

36組を通して見ると、直し方には共通の形があります。①評価語(良好・安定・拒否・理解)を、観察した事実と本人の言葉に置き換える。②「実施した」を、時刻・範囲・所要時間に分ける。③「連絡した」を、相手・時刻・伝えた内容・受けた返答に分ける。この3つだけで、ほとんどの記録は書き直せます。そして、この3つはどの記法を選んでも同じです——記法は器であって、中身を作るのは観察と、それを言葉にする手間の側にあります。

運営指導で見られるのは記法ではなく中身——公表資料に現れる確認項目と指摘

ここまで13の記法を比べてきましたが、運営指導の標準確認項目に「記法」は出てきません。厚生労働省が示す運営指導マニュアルの別添1(標準確認項目・標準確認文書)を全38サービス分読むと、記録について書かれているのは一貫して「サービスの提供日及び内容、利用者の心身の状況等を記録しているか」「計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか」という2つの観点で、SOAPで書くこともフォーカスで書くことも求められていません。

つまり、記法は自由であり、問われているのは中身です。逆に言えば、どの記法を選んでも、この2つの観点に答えられない記録は同じように指摘の対象になります。下の表は、別添1に現れる記録の確認項目を、サービス種別ごとに並べたものです。

別添1に現れる記録の確認項目——サービス種別16の対照

サービス種別 別添1に記載されている確認項目の要旨 確認文書として挙げられているもの
訪問介護 訪問介護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記しているか サービス提供記録
訪問看護 訪問看護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか サービス提供記録
訪問入浴介護 サービスの提供日及び内容、利用者の心身の状況等を記録しているか 居宅サービス計画、サービス提供記録
居宅療養管理指導 サービスの提供日及び内容、利用者の心身の状況等を記録しているか 居宅サービス計画、サービス提供記録
通所介護 通所介護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか/送迎が適切に行われているか サービス提供記録、業務日誌、送迎記録
通所リハビリテーション サービスの提供日及び内容、利用者の心身の状況等を記録しているか 居宅サービス計画、サービス提供記録
福祉用具貸与 サービスの提供開始日及び終了日並びに種目及び品名、居宅介護サービス費の額等を記録しているか 居宅サービス計画、サービス提供記録
特定施設入居者生活介護 特定施設サービス計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の状況等を記録しているか サービス提供記録、業務日誌
認知症対応型共同生活介護 認知症対応型共同生活介護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか サービス提供記録、業務日誌、モニタリングシート
小規模多機能型居宅介護 小規模多機能型居宅介護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか サービス提供記録、業務日誌、送迎記録
看護小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか サービス提供記録、業務日誌、モニタリングシート、送迎記録
地域密着型通所介護 地域密着型通所介護計画又は療養通所介護計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか サービス提供記録、業務日誌、送迎記録
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 居宅サービス計画等にサービスの提供日及び内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか 居宅サービス計画、サービス提供記録
夜間対応型訪問介護 居宅サービス計画等にサービスの提供日及び内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか 居宅サービス計画、サービス提供記録
介護老人福祉施設 施設サービス計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や入所者の心身の状況等を記録しているか サービス提供記録、業務日誌、モニタリングシート
介護老人保健施設 施設サービス計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか/日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか サービス提供記録、業務日誌、モニタリングシート

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

16種別を横に読むと、確認項目は2つの型に分かれています。訪問看護・訪問介護・通所介護・施設系などは「計画の目標を達成するための具体的な内容が記載されているか」まで求められ、訪問入浴介護・居宅療養管理指導・通所リハビリテーション・介護予防系などは「提供日及び内容、心身の状況等を記録しているか」までです。前者では、計画と記録が対応していることが読み取れる必要があります。この対応関係を残しやすいのはSOAP系とフォーカスで、フローシートとチェック式は単独では対応を示しにくく、計画の目標を欄名に反映させるなどの工夫が要ります。

自治体の公表資料に現れる記録の指摘14件——記法との関係

公表資料に示されている内容の要旨 どの記法で起きやすいか 出典
サービス提供の記録について、提供した内容だけでなく利用者の心身の状況についても記録することとされ、「特変なし」等しか書かれていない記録が見受けられると示されている チェック式・フローシート(備考欄が空欄のまま定着する) 松山市介護保険課「運営指導での主な指摘事項及び周知事項について」(令和5年度第2回介護保険サービス事業者連絡会資料)
訪問介護について、サービス提供の記録には実際に行った時間を記録することとされ、計画に位置付けられた時間を機械的に記録しているケースが多数見受けられたと示されている すべての記法(時刻欄を予定から写す運用の問題) 松山市介護保険課「運営指導での主な指摘事項及び周知事項について」(令和5年度第2回介護保険サービス事業者連絡会資料)
開始・終了時間は計画上の提供時間を記載するのではなく、実際の時間を記載することが改善指示として示されている フローシート・チェック式(欄が埋まれば完了と見なされやすい) 横浜市健康福祉局介護事業指導課「令和7年度 横浜市介護サービス事業者等集団指導講習会資料(各サービス共通編)」
サービス実施時間が一律に記載され実態が反映されていない、特記・連絡事項欄に利用者の状況がほとんど記載されていない、サービス提供責任者による記録の点検が十分に行われていない、が挙げられている チェック式(特記欄が使われない) 堺市「令和8年度 介護保険施設・事業所等集団指導 居宅事業所編」
サービス提供の記録が残されていない、記録内容と請求内容に齟齬がある、記録に具体的なサービス内容や利用者の心身の状況等の記載がない(心身の状況の記載漏れが多い旨の注記あり) すべての記法 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1
事業所として行ったアセスメントの記録が作成されていない又は不十分、チェック欄のみで備考が空白の例が示されている チェック式(レ点だけで完了する) 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1
個別サービス計画の目標が居宅サービス計画の丸写しである、モニタリングの内容が漠然としており意向・満足度・達成度が確認できなかった、が示されている SOAP・フォーカス(考察の欄が定型句になる) 仙台市介護事業支援課「令和6年度 運営指導方針・令和5年度 運営指導結果等【居宅サービス指導係 所管サービス】」(令和6年6月 集団指導)
個別機能訓練加算について、実施記録に実施時間・訓練内容・担当者が記載されていないことが示され、これらを記録することが対応のポイントとして挙げられている フローシート(実施の有無のみが残る) 久留米市介護保険課育成・支援チーム「近年の運営指導における主な指摘事例」(令和5年度作成)
事故の状況及び事故に際して採った処置について記録されていない、原因の究明や再発防止策がとられていない、が示されている 叙述記録(時系列と処置が残らない) 北海道後志総合振興局「実地指導における主な指摘事項について」(資料3-2)
事故発生時に家族・介護支援専門員へ連絡した記録がない、再発防止の検討が具体的でない、が示されている すべての記法(連絡欄が様式に無いことが原因になりやすい) 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1
誤薬・転倒等、事故として記録すべきものをヒヤリ・ハットとして記録している、再発防止策の検討が不十分で同様の事故が繰り返し発生している、が示されている チェック式(分類の基準が無いと様式で分かれない) 神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月)
研修を実施した際は実施日時・参加者氏名・研修内容・使用資料を記録し、同日に複数のテーマを実施する場合はそれぞれ区別して記録することが示されている 叙述記録(1件にまとめて書くと区別が消える) 松山市介護保険課「運営指導での主な指摘事項及び周知事項について」(令和5年度第2回介護保険サービス事業者連絡会資料)
サービス提供に関する記録等の保存年限は市条例に則ることとされ、運営規程等に記載している場合は誤りがないか確認することが示されている 記法によらない(様式と規程の整合の問題) 金沢市「令和7年度 介護サービス事業者集団指導 資料1」(2 運営に関する基準(事業運営面)(9)記録の整備に関すること)
指示書・計画書・報告書・提供記録・市町村への通知記録・苦情記録・事故記録の整備と保存が不十分な例が示されている 記法によらない(綴りの構成の問題) 東京都「運営指導における主な指摘事項」(訪問看護)

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

14件を並べると、指摘は記法の選択にではなく、3つの場所に集中しています。①時刻の欄(予定を写している)、②心身の状況の欄(定型句または空欄)、③連絡と対応の記録(相手・時刻・内容が残っていない)。この3つは、どの記法を選んでも残せますし、どの記法を選んでも落とせます。記法を変えることは、この3つの対策にはなりません。

記法別に見た「中身が薄くなりやすい形」13件と、点検の観点

記法 中身が薄くなるときの典型的な形 点検の観点 自事業所の状況(記入欄)
SOAP 考察の欄が「継続観察」「変わりなし」だけになる 考察の欄に、その日の観察の言葉が1つ以上入っているか (          )
SOAPIE 実施の欄と結果の欄に同じ文が入る 結果の欄に、実施の後で確認した事実が書かれているか (          )
SOAPIER 見直しの欄が毎回「継続」だけになる 計画を変えなかった理由が書かれているか (          )
POS(問題志向型システム) 問題リストが更新されず、終わった問題が残り続ける 直近3か月で、問題を追加または終了した記録があるか (          )
経時記録 時刻が15分刻みで揃い、実測ではなくなる 記録された時刻が5分未満の端数を含んでいるか (          )
叙述記録 書き手により長さが3倍以上ひらき、定型句だけの日が生まれる 同じ利用者の1か月分で、最短と最長の差がどれくらいか (          )
フォーカスチャーティング(DAR) 焦点の語が「入浴」「食事」だけになり、何があったのか読み取れない 焦点の語だけを1か月分並べて、経過が推測できるか (          )
フローシート(経過表) 空欄が続き、未実施か未記入かが区別できない 空欄の意味を、様式の凡例で説明できるか (          )
チェック式・チェックリスト 備考欄が1か月まったく使われていない 直近1か月の備考欄の記入率がどれくらいか (          )
クリニカルパス ズレの欄が空欄のまま、標準どおりの確認印だけが並ぶ ズレが記録された件数と、その理由の記載があるか (          )
叙述とフォーカスの併用 同じ内容が2か所に書かれ、時間だけが増える 2つの欄の内容が重複していないか (          )
サマリー 一次記録の書き写しになり、要約になっていない サマリーにしか書かれていない情報(引き継ぐ事項)があるか (          )
SBAR(報告の型) 報告はしたが、受けた指示が記録に残っていない 報告の記録に、受けた指示と実施した内容が続いているか (          )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

なお、加算に関する記録に触れましたが、なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。この記事では、公表資料に示されている記載事項と、自事業所の状況を書き込む欄を並べる形にとどめています。加算の取り扱いは、指定を受けた保険者(指定権者)の公表資料と担当課の指示でご確認ください。

よくある質問

記法はどれが一番よいのですか

比較表4枚を通しても、すべての軸で最上位になる記法はありません。記法は「何を落とさないか」で分かれる道具なので、事業所が扱う場面によって答えが変わります。日々の記録の大半が定型的であればフローシートとチェック式が主になり、状態が動く利用者が多ければSOAP系やフォーカスが主になります。選び方の実務は、逆引き表の15場面で自事業所に多い場面を3つ選び、そこで主に使う記法を1つ決めることから始めます。

SOAPと経過記録(経時記録)は何が違うのですか

残るものが違います。SOAPは「なぜその対応にしたのか」が残り、経時記録は「何時に何が起きて、何時に誰へ連絡したか」が残ります。同じ場面を両方で書いた例は、この記事の場面1・場面2・場面6で読み比べられます。急変や事故のように時間の順序が問われる場面では経時記録が主になり、判断を説明する必要がある場面ではSOAPが主になります。どちらかが優れているのではなく、担当する範囲が違います。

1つの事業所で複数の記法を使ってもよいのですか

場面によって使い分けること自体は、多くの事業所で行われています。問題になるのは「同じ記録の綴りの中で、予告なく入れ替わる」ときです。日々の記録は1つに決め、事故・急変・苦情など特定の場面だけ別の様式にする、という形にすれば、読む人は「どの綴りを見ればよいか」で判断できます。どの場面でどの様式を使うかを、この記事の逆引き表の形で1枚にして掲示している事業所もあります。

記法を変えると記録の質は上がりますか

記法を変えただけでは変わりません。この記事の49例が示しているのは、どの記法で書いても、観察していないことは書けないということです。記法が変わって質が上がるのは、その記法が要求する観察(たとえばフォーカスなら「今日の焦点は何か」を選ぶこと、経時記録なら時刻を確認すること)を実際に行うようになったときです。逆に、観察を変えずに様式だけ変えると、記録時間だけが増えます。

運営指導では、記法について指摘されることはありますか

厚生労働省が示す運営指導の標準確認項目(別添1)には、記法の指定は現れません。記録について書かれているのは「サービスの提供日及び内容、利用者の心身の状況等を記録しているか」「計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載されているか」という観点です。自治体の公表資料に現れる指摘も、時刻の欄・心身の状況の欄・連絡の記録の3か所に集中しています。問われているのは記法ではなく中身です。取扱いは指定を受けた保険者(指定権者)の公表資料でご確認ください。

新人にはどの記法から教えるとよいですか

比較表3の「新人が書けるようになるまで」の列を見ると、早い順にチェック式・フローシート(1日)、経時記録(数日〜2週間)、フォーカス(2週間〜1か月)、SOAP(1〜3か月)となります。多くの事業所では、事実を時刻とともに書けるようになってから考察を含む記法に進む形が取られています。手本になる記入例を、自事業所の利用者像に合わせて良い例と悪い例の対で用意しておくと、添削の回数が減ります。

電子記録にするなら、どの記法が向いていますか

比較表4のとおり、項目が固定されている記法(SOAP系・フォーカス・フローシート・チェック式)は入力欄に落としやすく、後から検索・集計ができます。とくにフォーカスは、焦点の語を選択式にすると、同じ主題の記録を横断して取り出せるようになります。叙述記録は入力自体は容易ですが、後から特定の記録を探すのが難しくなります。移行のときは、入力欄を決める前に「1件の単位」「時刻の粒度」「空欄の意味」を決めておくと、後戻りが減ります。

フローシートだけで記録を済ませてもよいですか

フローシートは数値と実施の有無の推移を残す道具であり、理由や背景はマスに入りません。別添1では多くの種別で「利用者の心身の状況等」の記録が確認項目に挙げられており、宇都宮市の資料にはチェック欄のみで備考が空白の例が示されています。実務では、フローシートを主にしたうえで、特筆すべきことがあった日だけフォーカスや叙述を足す形が取られます。この記事の場面9は、変化のない日を4つの記法で書いた例です。

サマリーはどのタイミングで作るものですか

比較表2の「向いている場面」のとおり、担当交代・入退院・他事業所への情報提供・期間の区切りが主な場面です。注意点は、サマリーは日々の記録の代わりにはならないことです。一次記録が整っていないままサマリーを作ると、記憶で書くことになり、一次記録との食い違いが生まれます。場面12は、短期入所の期間中の記録とその退所時のサマリーを並べた例です。

SBARは記録の様式なのですか

SBARは報告の順番を揃える型であって、記録の様式ではありません。この記事で13の記法の中に入れているのは、現場で「SOAPとSBARはどちらを使うのか」という混同がよく起きるためです。報告そのものはSBARの順で行い、報告した事実・時刻・相手・受けた指示は、経時記録やSOAPなど記録の様式の側に残します。場面2・場面8・場面13が、その書き分けの例です。

記法を変えるとき、過去の記録はどうすればよいですか

過去の記録を書き直すことはできません。実務では、移行日を決め、その日を境に様式を切り替え、旧様式の綴りはそこで閉じる形が取られます。移行日と、移行の理由を書いた文書を残しておくと、後から読む人が様式の変わり目を理解できます。記録の保存年限は自治体の条例により異なりますので、旧様式の綴りの保存についても、指定を受けた保険者の条例でご確認ください。

この記事に各記法の書き方が載っていないのはなぜですか

この記事は「どれをいつ使うか」を比べるための記事で、記法ごとの書き方は扱っていません。SOAPの各項目に何を書くか、DARの各項目に何を書くかといった個別の解説は、それぞれの記法を扱った記事の役割です。ここでは、同じ場面を書き分けた49例を並べることで、説明の代わりに結果を見比べられるようにしています。

出典

出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)

本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

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この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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