記録は「観察は覚えているのに、文章にする時間がない」が本音ではないでしょうか。この記事では、訪問看護記録書ⅡのSOAPの書き方を項目ごとにわかりやすく解説し、そのまま使えるSOAP例文を場面別に用意しました。さらに、話すだけでSOAPを整え、カイポケの記録書Ⅱへ自動転記するまでの流れも紹介します。
あわせて、訪問看護AIとは?汎用AIとの違いと選び方もご覧ください。
訪問看護記録書Ⅱとは(なぜSOAPで書くのか)
記録書Ⅱは、1回ごとの訪問で「観察した状態・実施したケア・その評価」を記す日々の記録です。バイタル、全身状態、本人や家族の訴え、次回への申し送り——これらは訪問を終えた直後がいちばん鮮明です。記録書ⅡはSOAP形式と親和性が高く、話した内容をS・O・A・Pへ振り分けやすいのが特長です。
SOAPの書き方|S・O・A・Pを1つずつ
SOAPは、情報を「主観/客観/評価/計画」の4つに分けて整理する書き方です。訪問看護記録書Ⅱでの使い方を、書き方のコツとあわせて見ていきます。
S|主観的情報(本人・家族の訴え)
本人や家族が言った言葉、自覚症状をそのまま書きます。「眠れない」「痛みが楽になった」など。コツ:解釈を加えず、できるだけ発言のまま「」で残すと、後からの評価がぶれません。
O|客観的情報(観察した事実・数値)
バイタル、皮膚や創部の所見、動作、服薬状況など、観察した事実を数値と所見で書きます。コツ:「良好」ではなく「発赤2cm・熱感なし」のように、誰が読んでも同じ像が浮かぶ具体で書きます。
A|評価(看護師としての判断)
SとOを踏まえた専門職としての判断です。コツ:SとOに書いた事実だけを根拠にします。ここに新しい観察事実を混ぜないのが、伝わる記録の分かれ目です。
P|計画(次回への申し送り)
継続・変更するケア、次回訪問での観察ポイント、他職種への連絡を書きます。コツ:「経過観察」で終えず、「次回、創部サイズを再測定」と行動で書くと申し送りが機能します。
記録書Ⅱで押さえたい主な観察項目
SOAPのO(客観的情報)に何を書くか迷ったら、次の項目を基準にすると抜け漏れが減ります。
- バイタルサイン――体温・血圧・脈拍・呼吸・SpO2。前回との変化もあわせて。
- 全身状態――意識、顔色、浮腫、皮膚・創部(褥瘡)の所見。
- 医療処置――服薬、点滴、褥瘡処置、カテーテル・胃ろう・吸引などの管理状況。
- ADL・生活――食事・排泄・睡眠・移動の状況と変化。
- 本人・家族の反応――ケアや指導への反応、介護負担の様子。
そのまま使えるSOAP例文集(記録書Ⅱ・場面別)
訪問看護でよくある場面ごとに、SOAPの記入例を早見表にまとめました(右上ボタンからExcel/CSVにコピー可)。状態にあわせて調整してください。
| 場面 | S(主観) | O(客観) | A(評価) | P(計画) |
|---|---|---|---|---|
| 心不全の観察 | 「少し息が苦しい」 | 下腿浮腫++、体重+1.5kg、SpO2 94%、両下肺にcrackle | 心不全増悪の可能性 | 主治医へ報告。塩分・水分を再指導し、翌日に体重を再確認 |
| 血糖の管理 | 「食事は気をつけている」 | 空腹時血糖180、食事記録に間食あり | 血糖高値、間食の影響 | 間食の工夫を助言。主治医へ報告し次回HbA1cを確認 |
| 褥瘡の処置 | 「痛みは少し楽」 | 仙骨部d2、滲出液減少、発赤が縮小 | 褥瘡は改善傾向 | 現在の処置を継続。除圧と栄養状態を再確認 |
| 服薬の管理 | 「飲み忘れることがある」 | 残薬から週2回の飲み忘れを確認 | 服薬アドヒアランスの低下 | 一包化を主治医・薬剤師へ相談し、お薬カレンダーを導入 |
| 精神症状の観察 | 「夜眠れない日がある」 | 表情が硬く発語が少ない、GAF 55 | 不眠と気分の変動 | 傾聴と生活リズムを助言。主治医へ状態を報告 |
よくある場面の記入例です。ご自身の利用者さんの状態に合わせて、言葉を差し替えてお使いください。
運営指導で実際に公表されている指摘|出典つき
記録書Ⅱの書き方より先に、こちらをご確認ください。訪問看護は「計画書と記録の不備」が指摘の最多項目として公表されています。
| 指摘されている状態 | 公表元と内容 | 記録側で確認すること |
|---|---|---|
| 訪問看護計画の作成等の不備(指摘の最多項目) | 長野県の令和6年度運営指導結果(訪問看護)。指摘37件のうち「訪問看護計画の作成等の不備」が11件(29.8%)で最多。居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない、計画に対する利用者の同意を得たことが確認できない、具体的なサービス内容を記載していない事例等。 | 計画書の内容が、記録書Ⅱの実施内容と一致しているか |
| 指示書の有効期限切れ・受領遅れ/計画書の記載不足 | 神戸市資料。主治医の訪問看護指示書が確認できない・受領が遅い、指示書の有効期限が切れている、計画書に具体的なサービス内容・利用者の希望・主治医の指示・看護目標等を記載していない、(介護予防)計画書にサービス提供を行う期間を記載していない。 | 指示書の期間内に訪問しているか。記録書Ⅱの訪問日と突き合わせる |
| ターミナルケア加算:説明・同意と記録書への記載が確認できない | 千葉市「令和7年度の運営指導における主な指導事項について」(訪問看護・報酬関係)。利用者及びその家族等に対しターミナルケアに係る計画及び支援体制について説明し、同意を得ていることの確認ができない事例。ターミナルケアの提供においては所定の事項を訪問看護記録書に記録することとされています。 | 看取り期は、説明・同意の日付と内容を記録書Ⅱに残す |
| 訪問看護計画書を作成せずにサービスを提供している | 同種の指摘が公表されています。 | 計画書なしの訪問がないか、記録書Ⅱの日付で確認する |
要件・運用は保険者・都道府県により異なります。詳細は監査対策ナビと各自治体の公表資料をご確認ください。
記録書Ⅱを書いたら確認する10項目
| # | 確認すること |
|---|---|
| 1 | 訪問日が、主治医の指示書の有効期間内か |
| 2 | 実施した内容が、訪問看護計画書に位置づけられているか |
| 3 | 訪問看護計画書が、居宅サービス計画の内容に沿っているか |
| 4 | 計画書への利用者の同意(署名・日付)が残っているか |
| 5 | バイタルサインなど、客観的な数値が記載されているか |
| 6 | 加算を算定した日に、その根拠となる記載があるか |
| 7 | 主治医への報告・連絡の内容と日付が残っているか |
| 8 | 看取り期は、説明・同意と本人・家族の意向が記録されているか |
| 9 | 訪問時刻(開始・終了)が記載されているか |
| 10 | 記録者の署名(またはID)があるか |
疾患・状態別|SOAP例文36セット
以下はすべて記載のイメージを示すための(例)であり、実在の利用者ではありません。数値・症状・処置内容は、実際の観察結果に置き換えてご使用ください。Aは看護師としての判断、Pは次に行うことを書きます。
1. 心不全
| S(主観) | O(客観) | A(判断) | P(計画) |
|---|---|---|---|
| 「階段を上ると息が切れる」 | BP 128/78、P 82、SpO2 96%、体重 前週比+1.2kg、下腿に軽度の浮腫あり | 体重増加と浮腫から、体液貯留の傾向がうかがえる | 毎朝の体重測定を継続。塩分摂取について確認。主治医へ報告し指示を確認する |
| 「夜、横になると苦しい」 | 起座呼吸あり、両下肺に湿性ラ音、SpO2 93%(室内気) | 呼吸困難の増悪がみられる | ただちに主治医へ連絡。上体挙上の体位を指導。次回訪問を前倒しする |
| 「調子はいいよ」 | BP 122/70、P 76、体重変化なし、浮腫なし、内服自己管理できている | 状態は安定して経過している | 現行の訪問頻度を継続。体重と浮腫の観察を家族にも依頼する |
2. 糖尿病
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「甘いものを控えている」 | 血糖値 132mg/dL(訪問時)、足趾に発赤なし、インスリン自己注射の手技良好 | 血糖コントロール・フットケアともに保たれている | 自己注射の手技確認を継続。足の観察方法を再度説明する |
| 「手が震えることがある」 | 血糖値 62mg/dL、冷汗あり、意識清明 | 低血糖の症状がみられる | 補食を摂取していただき、30分後に再測定。主治医へ報告し、内服量について確認する |
| 「靴が当たって痛い」 | 右第1趾に3mm大の水疱、周囲に発赤あり、足背動脈触知可 | 皮膚トラブルがあり、悪化の予防が必要 | 患部を保護し、履物の見直しを提案。主治医へ報告する |
3. 脳血管疾患後遺症
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「少し歩けるようになった」 | 右片麻痺(上肢MMT3/下肢MMT4)、四点杖で屋内歩行10m可、ふらつきなし | 歩行の安定性が改善している | 歩行練習を継続。屋外歩行の可否について理学療法士と相談する |
| 「言葉が出にくい」 | 発語は単語レベル、指示理解は良好、表情豊か | 表出面に困難があるが、理解は保たれている | 選択肢を示す方法での意思確認を家族へ説明。言語聴覚士との連携を検討 |
| 「食事でむせる」 | 水分でむせ込みあり、頸部聴診で嚥下音の遅延、口腔内に食物残渣 | 嚥下機能の低下がうかがえる | とろみの使用と食事姿勢を家族へ説明。主治医へ報告し、評価を依頼する |
4. 慢性呼吸器疾患
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「痰が切れにくい」 | SpO2 92%(在宅酸素1L/分)、粘稠な喀痰少量、副雑音なし | 喀痰の喀出に困難がある | 水分摂取と体位ドレナージを指導。喀痰の性状を継続観察する |
| 「風邪をひいたみたい」 | 体温37.8℃、SpO2 89%、呼吸数24回/分、喘鳴あり | 感染徴候と酸素化の低下がみられる | ただちに主治医へ連絡し、受診の要否を確認する |
| 「酸素をつけると楽」 | SpO2 95%(在宅酸素1L/分)、チアノーゼなし、機器の作動良好 | 酸素療法により状態は安定している | 機器の点検と、チューブの取り回しの安全を確認。継続とする |
5. がん・緩和ケア
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「痛みは5くらい」 | NRS 5/10、表情に苦痛様あり、レスキュー薬を1日2回使用 | 疼痛のコントロールが十分でない可能性 | 使用状況を主治医へ報告し、指示を確認。次回訪問で再評価する |
| 「食欲がない」 | 摂取量は普段の3割、体重2週間で1.5kg減少、口腔内乾燥あり | 経口摂取量の低下がみられる | 本人の好むものを少量ずつ提案。口腔ケアを実施。主治医へ報告する |
| 「家で過ごしたい」 | ご本人・ご家族へ今後の過ごし方について確認。家族も在宅での療養継続を希望 | 本人・家族の意向は在宅での療養継続で一致している | 意向を記録し、24時間連絡体制を再確認。関係者間で共有する |
6. 認知症
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「もう薬は飲んだよ」 | お薬カレンダーに当日分が残存、内服の記憶が曖昧 | 服薬の自己管理に支援を要する状況 | 訪問時に一包化の残数を確認。家族・薬剤師と管理方法を相談する |
| (発語少なく、表情は穏やか) | 居間で臥床、声かけに開眼し視線が合う、食事は自力摂取可 | 日中の活動量は低いが、基本動作は保たれている | 日中の離床を促す関わりを継続。生活リズムを家族と共有する |
| 「知らない人が来る」 | 夕方以降に落ち着かない様子がみられるとご家族より情報あり | 時間帯による症状の変動がうかがえる | 環境の調整(照明・音)を提案。主治医へ情報提供する |
7. 褥瘡・創傷
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「お尻がしみる」 | 仙骨部に2×2cmの発赤、圧迫解除後も消退せず、表皮剥離なし | 初期の皮膚障害がみられ、進行の予防が必要 | 体位変換を2時間ごとに実施するよう家族へ説明。除圧用具を検討。主治医へ報告 |
| 「痛みは特にない」 | 右踵部に創部あり(2×1cm・真皮までの損傷)、滲出液少量、周囲に発赤あり | 創部は改善傾向にある | 指示された処置を継続。次回訪問で創部を再評価し、写真で経過を記録する |
| 「じくじくしてきた」 | 創部から中等量の滲出液、周囲皮膚に浸軟あり、悪臭なし | 滲出液の増加がみられ、処置内容の見直しが必要な可能性 | 主治医へ報告し、被覆材の変更について指示を確認する |
8. 精神疾患
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「眠れない日が続く」 | 入眠まで2時間程度、中途覚醒あり、日中の傾眠なし、内服は自己管理 | 睡眠のリズムに乱れがみられる | 就寝前の過ごし方を一緒に振り返る。主治医へ報告し、指示を確認する |
| 「外に出るのが怖い」 | 訪問時は会話可能、表情は硬い、生活リズムは保たれている | 不安の訴えがあり、外出に制限が生じている | 本人のペースを尊重し、段階的な目標を一緒に設定する |
| 「薬を減らしたい」 | 内服の飲み忘れなし、症状の増悪なし、本人より減薬の希望あり | 本人の意向を主治医へ伝える必要がある | 自己判断での中断は避けるよう説明し、次回受診時に相談することを確認 |
9. 神経難病
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「朝は体が動きにくい」 | 起床時に固縮強く、内服後1時間で動作改善、すくみ足あり | 症状に日内変動がみられる | 活動の時間帯を内服に合わせて調整。転倒予防の環境を再確認する |
| (意思疎通は文字盤を使用) | 四肢の筋力低下進行、呼吸は自発、唾液の貯留あり | 進行に伴い、コミュニケーション手段の見直しが必要 | 意思伝達装置について情報提供。多職種で検討する |
| 「飲み込みにくくなった」 | 水分でむせ込み、食事に30分以上を要する、体重減少あり | 嚥下機能の低下がうかがえる | 食形態の調整を提案。主治医へ報告し、評価を依頼する |
10. 看取り期(ターミナル)
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| ご家族「そばにいてあげたい」 | 意識レベル低下、下顎呼吸なし、四肢末梢に冷感あり、尿量減少 | 全身状態の変化がみられ、看取りが近い可能性 | ご家族へ今後予測される変化を説明し、同意を得たうえで記録。24時間連絡体制を再確認 |
| 「苦しそうに見える」(家族) | 呼吸数28回/分、喘鳴あり、表情はおだやか、NRS評価は困難 | 呼吸の変化があり、家族の不安が強い | 体位を調整し、家族へ説明。主治医へ報告し、指示を確認する |
| ご本人・ご家族へ療養場所の意向を確認 | ターミナルケアに係る計画および支援体制について説明し、同意を得た(◯月◯日/同席:長女) | 本人・家族の意向は自宅での療養継続 | 説明した内容と同意の事実を記録書Ⅱに記載。関係者間で共有する |
11. 服薬管理・医療処置
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「自分でやれている」 | インスリン自己注射の手技を確認、単位設定・部位のローテーションとも適切 | 自己管理は継続できている | 手技の確認を月1回継続。血糖値の記録を一緒に振り返る |
| 「管が気になる」 | 膀胱留置カテーテル挿入中、尿混濁なし、固定位置に発赤なし、尿量1,200ml/日 | 感染徴候はみられない | 指示に基づき交換を実施。観察点を家族へ説明する |
| 「胃ろうから漏れる」 | 胃ろう周囲に少量の漏れ、皮膚に発赤あり、栄養剤の注入速度は指示どおり | スキントラブルの発生がみられる | 周囲の清潔保持を実施。主治医へ報告し、指示を確認する |
12. リハビリテーション(訪問看護からの提供)
| S | O | A | P |
|---|---|---|---|
| 「前より歩ける」 | 屋内歩行20m可(前回15m)、休憩なし、ふらつき軽度 | 歩行距離が延長している | 訓練内容を継続。屋外歩行への移行を次回評価する |
| 「肩が上がらない」 | 右肩関節の可動域 屈曲90度(前回100度)、疼痛の訴えあり | 可動域の低下と疼痛がみられる | 疼痛の範囲内で関節可動域訓練を実施。主治医へ報告する |
| 「家で運動している」 | 自主訓練の実施を確認(週5日)、実施記録あり、疲労の訴えなし | 自主訓練が習慣として定着している | 内容を一部見直し、負荷を段階的に調整する |
O(客観)に書く観察項目|記載例40例
Oは「測った・見た・聞いた事実」だけを書きます。判断はAに分けてください。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| バイタル | BP 128/78mmHg(右上腕・座位) |
| P 82回/分 整、不整脈なし | |
| 体温 36.8℃(腋窩) | |
| SpO2 96%(室内気・安静時) | |
| 呼吸数 18回/分、努力呼吸なし | |
| 体重 52.4kg(前週比 +1.2kg) | |
| 血糖値 132mg/dL(訪問時・食後2時間) | |
| 意識レベル JCS 0、見当識障害なし | |
| 呼吸・循環 | 両下肺に湿性ラ音を聴取 |
| 喘鳴あり、呼気延長を認める | |
| 下腿に圧痕性浮腫あり(両側・軽度) | |
| チアノーゼなし、末梢冷感あり | |
| 頸静脈の怒張なし | |
| 在宅酸素 1L/分 使用中、機器の作動良好 | |
| 起座呼吸あり、臥位で呼吸苦の訴え | |
| 喀痰 粘稠・少量、性状は白色 | |
| 皮膚・創傷 | 仙骨部に2×2cmの発赤、圧迫解除後も消退せず |
| 右踵部の創部 滲出液少量、悪臭なし | |
| 周囲皮膚に浸軟あり | |
| 皮膚の乾燥・落屑あり(下腿) | |
| 掻破痕あり(前腕) | |
| 胃ろう周囲に発赤あり、漏れ少量 | |
| 点滴刺入部に腫脹・発赤なし | |
| ストーマ周囲の皮膚トラブルなし | |
| 摂食・排泄 | 食事摂取量 主食8割・副菜7割 |
| 水分摂取量 約1,000ml/日(家族聴取) | |
| 水分でむせ込みあり、頸部聴診で嚥下音の遅延 | |
| 口腔内に食物残渣あり、義歯の適合不良 | |
| 排便 3日に1回、下剤を使用 | |
| 尿量 1,200ml/日、混濁なし | |
| 膀胱留置カテーテル挿入中、固定良好 | |
| 腹部 平坦・軟、腸蠕動音を聴取 | |
| 運動・生活 | 屋内歩行 20m可、四点杖使用、ふらつき軽度 |
| 右上肢MMT 3/右下肢MMT 4 | |
| 右肩関節 屈曲90度(前回100度) | |
| ベッドからの起き上がり 見守りで可 | |
| 移乗 一部介助を要する | |
| 内服 自己管理、飲み忘れなし(残数確認済み) | |
| お薬カレンダーに当日分の残存あり | |
| 訪問時 居間で臥床、声かけに開眼 |
書くときに避けたい表現|言い換えの対照表
| 避けたい書き方 | 気をつけたい理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 変化なし/特変なし | 何を観察した結果か残らない | BP 122/70、体重変化なし、浮腫なし。前回訪問時から変化なし |
| 状態良好 | 評価であってOではない | O:SpO2 96%、呼吸数18回/分/A:呼吸状態は安定している |
| Oに判断を書く | SとOとAの切り分けが崩れる | Oは測定値と観察事実のみ。「〜がうかがえる」はA |
| 浮腫あり | 部位・程度・左右差が分からない | 下腿に圧痕性浮腫あり(両側・軽度) |
| 痛みあり | 強さ・部位・持続が分からない | NRS 5/10、右腰部、体動時に増強 |
| Pが「経過観察」だけ | 次に何をするかが決まっていない | 毎朝の体重測定を継続。主治医へ報告し指示を確認する |
| 診断名を断定する | 診断は医師の領域 | 「感染徴候がみられる」「〜の可能性がうかがえる」と記す |
| 加算を算定した日に根拠の記載がない | 公表事例で指摘されている | 実施した処置・所要時間・同席者まで記録書Ⅱに残す |
音声で話すだけ→SOAPへ自動整理(4ステップ)
- 訪問直後に話す――車内などで、観察した内容をそのまま声に出します。きれいな文章にする必要はありません。
- 文字起こし――話した内容を自動でテキスト化します。
- SOAPへ自動整理――文字起こしをS・O・A・Pへ振り分け、記録書Ⅱの体裁に整えます。
- 確認して保存――内容を確認し、必要なら手直しして保存・送信します。
なぜ音声と相性がいいのか:観察したことは、訪問直後の頭の中がいちばん鮮明です。記憶が新しいうちに話し言葉で出し、それを整理する流れは、あとで机に向かって書き起こすより速く、抜け漏れも減ります。
カイポケの記録書Ⅱへ、自動で転記する
多くの訪問看護ステーションが、記録・請求にカイポケを使っています。ただ「記録書Ⅱの入力そのもの」は、結局スタッフが手で打ち込む負担が残りがちです。
ここを、話すだけ→SOAPへ自動整理→カイポケの記録書Ⅱへ自動転記までつなげると、二重入力がなくなります。カイポケはそのまま使い続けながら、いちばん時間のかかる「記録を作って入力する」工程だけを、音声とAIに任せる形です。
- カイポケの運用・請求フローは変えない(今のまま)
- 記録書Ⅱ・報告書の作成と入力だけを効率化
- SOAPの体裁もそのまま引き継いで転記
よくある失敗と、精度を上げるコツ
- 専門用語・薬剤名は最初に言い切る――固有名詞を先に話すと変換が安定します。
- 数値は単位まで声に出す――「血圧128の74」のように。
- SとOを混ぜない――「本人が言ったこと」と「観察した事実」を分けて話すと、自動整理の精度が上がります。
- 最後に必ず目視確認――AIは下書きまで。判断(A)と計画(P)は看護師が確認して仕上げます。
よくある質問(SOAP・記録書Ⅱ)
Q. SOAPのA(評価)とO(客観的情報)はどう違いますか?
Oは観察した事実、Aはそれを踏まえた看護師の判断です。Aに新しい観察事実を書かず、S・Oに書いた事実だけを根拠にするのがポイントです。
Q. 訪問看護記録書ⅡはSOAPで書かないといけませんか?
様式は事業所により異なりますが、記録書ⅡはSOAP形式と相性がよく、多くの訪問看護ステーションでSOAPが使われています。
Q. SOAPの例文はそのまま使ってよいですか?
構成の参考にしていただけますが、記録は必ず実際の利用者さんの状態に合わせて書き換えてください。
Q. 記録書Ⅱの作成やカイポケ入力の負担を減らすには?
訪問直後に音声で話し、SOAPへ自動整理してカイポケの記録書Ⅱへ自動転記する方法があります。二重入力をなくし、記録時間を大きく減らせます。
まとめ
訪問看護記録書ⅡのSOAPは、S・O・A・Pの役割を押さえ、事実と判断を分けて書くのが基本です。例文を土台にしつつ、いちばん時間のかかる「記録を作る・入力する」工程は、音声とAIに任せられます。カイポケはそのままに、記録の手間だけを軽くする——それが、続けられる効率化です。
訪問看護の記録・書類ガイド
関連サービス
カイポケを使っていないのですが、どうすればよいですか?
疾患・場面別|SOAPの文例
SOAPはS・Oに解釈を混ぜないのが要点です。Aでは「なぜそう考えたか」の根拠を、Pでは「いつ・誰が・何をするか」を書きます。
| 場面 | S(主観) | O(客観) | A(評価) | P(計画) |
|---|---|---|---|---|
| 心不全の管理 | 「昨日より足が重い」 | 体重53.2kg(前回52.6kg)。両下腿に圧痕性浮腫あり。呼吸18回/分。 | 体重増加と浮腫の増強がみられ、体液貯留が進んでいる可能性がある。 | 主治医へ報告。毎朝の体重測定を家族へ再依頼。次回訪問で浮腫を再評価。 |
| 褥瘡の処置 | 「痛くはない」 | 仙骨部に3×2cmの発赤。表皮剥離あり。滲出液少量。においなし。 | 前回より範囲が縮小しており、処置と体位変換の効果がみられる。 | 洗浄と被覆材の交換を継続。2時間ごとの体位変換を家族へ再確認。 |
| 糖尿病の管理 | 「甘いものを我慢している」 | 朝食前血糖126mg/dL。足に傷なし。体重58.0kg。 | 血糖は目標の範囲内。自己管理が続けられている。 | 自己測定と記録を継続。足の観察を毎日行うよう説明。 |
| 疼痛管理 | 「夜中に痛みで目が覚める」 | 腰部の痛み。数字で聞くと10のうち5。夜間の覚醒が週2回。 | 夜間の疼痛が持続しており、現在の鎮痛では不十分な可能性がある。 | 主治医へ報告し、薬剤の調整を相談。痛みの時間帯を記録していただく。 |
| 呼吸管理 | 「階段で息が切れる」 | 安静時の経皮的動脈血酸素飽和度95%、労作後92%。呼吸18回/分。 | 労作時の低酸素がみられる。在宅酸素の使用状況を確認する必要がある。 | 労作時2L/分の指示を再確認。口すぼめ呼吸の指導を継続。 |
| ターミナル期 | 「痛みだけは取ってほしい」 | 傾眠傾向。下顎呼吸はなし。四肢に冷感あり。 | 全身状態の低下が進行している。 | 家族へ今後の経過を説明。訪問頻度を週3回から毎日へ変更を提案。 |
| 胃ろう管理 | 家族「漏れが気になる」 | 挿入部に発赤なし。少量の漏れあり。注入時の逆流なし。 | 固定の位置がずれている可能性がある。 | 固定位置を調整。家族へ確認方法を指導。次回訪問で再評価。 |
| カテーテル管理 | 「違和感はない」 | 尿の混濁なし。バッグ内500mL。挿入部に発赤なし。 | 経過は良好。 | 2週後に交換の予定。水分摂取を1日1,200mL維持するよう説明。 |
| 認知症の対応 | 家族「夜中に起き出す」 | 日中の臥床が4時間。夜間の覚醒が2回。 | 日中の活動量の低下が夜間の覚醒に影響している可能性がある。 | 日中の離床時間を増やす提案。1週間の生活記録を依頼。 |
| 服薬管理 | 「たまに飲み忘れる」 | 残薬が3日分あり。 | 飲み忘れが継続している。 | 一包化と服薬カレンダーを提案。次回訪問で残薬を再確認。 |
| リハビリ | 「歩ける距離が伸びた」 | 歩行器で20m(前回10m)。ふらつきなし。 | 下肢筋力の改善がみられる。 | 現在のプログラムを継続。屋外歩行の開始を主治医へ相談。 |
| 家族支援 | 妻「夜のトイレ介助で眠れない」 | 妻の表情に疲労感あり。 | 介護者の負担が限界に近づいている。 | ケアマネジャーへ連絡し、夜間対応の検討を依頼。 |
| 感染の疑い | 「なんとなくだるい」 | 体温37.6度。尿の混濁とにおいあり。 | 尿路感染が疑われる。 | 主治医へ報告。水分摂取を促し、明日再訪問して評価する。 |
| 皮膚トラブル | 「かゆい」 | 両下腿の乾燥が強い。掻き傷が2か所。 | 乾燥による掻痒が続いている。 | 保湿剤の塗布を1日2回へ。爪を短く保つよう説明。 |
| 精神症状 | 「気持ちが沈む」 | 発語が少なく、以前好きだったテレビも見ていない。 | 抑うつ状態が続いている。 | 主治医へ報告。訪問時の傾聴の時間を確保する。 |
AとPが薄くなるときの直し方
| よくある書き方 | 直した書き方 |
|---|---|
| A:「経過良好」 | A:「体重・浮腫とも前回から変化なく、体液の貯留は進んでいない」 |
| A:「問題なし」 | A:「訴え・所見とも前回と同じで、現在の処置で維持できている」 |
| A:「悪化」 | A:「浮腫が両下腿から大腿へ広がっており、前回より進行している」 |
| P:「経過観察」 | P:「次回訪問時に体重と浮腫を再評価。3日で2kg増えたら連絡いただく」 |
| P:「継続」 | P:「現在の処置(洗浄+被覆材)を週3回で継続」 |
| P:「指導」 | P:「妻へ、毎朝の体重測定と記録用紙の記入を依頼した」 |
| P:「報告」 | P:「主治医へ電話で報告し、利尿剤の追加の指示を受けた」 |
| P:「様子を見る」 | P:「明日再訪問し、体温と尿の性状を確認する」 |
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
監修:嶺井 美幸(看護師・訪問看護ステーション「訪問看護ようき」代表・株式会社ライフシフトCSO)
