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訪問看護ステーションの運営構造を公表データ17,959件で集計|法人の89.3%が「1拠点のみ」・都道府県別データつき

公開日 2026年7月29日

株式会社ライフシフトは、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」のオープンデータ17,959事業所を法人番号で名寄せし、訪問看護ステーションの運営構造を集計しました。あわせて、一般社団法人全国訪問看護事業協会の公表資料と、指定基準に定められた人員要件を参照しています。

訪問看護は伸びています。1年で稼働数が10.4%増え、新たに2,437の事業所が生まれました。それでも、訪問看護を運営する法人の89.3%は、いまも拠点を1つしか持っていません。

追い風は来ている。けれども、その風を受け止める器のほうが、簡単には大きくならない。今回のデータは、その理由が「人員基準」という具体的な数字にあることを示しています。

訪問看護は1年で10.4%増えた。だが9割はいまも「1拠点だけ」
訪問看護は1年で10.4%増えた。だが9割はいまも「1拠点だけ」

本ページは2026年7月29日に配信したプレスリリースをもとに、リリースには収めきれなかったデータ(事業所ベースの換算、都道府県別3指標、併設サービスの比較、サービス種別18種の集計、再現可能な集計手順)を加えたものです。

1. 追い風は、数字で確認できる

一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和6年度 訪問看護ステーション数調査結果」によると、稼働中の訪問看護ステーションは1年で15,697から17,329へ増えました。

項目件数
稼働数(令和5年4月1日)15,697
稼働数(令和6年4月1日)17,329
増減+1,632(+10.4%)
令和5年度中の新規開設2,437
令和5年度中の廃止701
令和5年度中の休止291
稼働中の訪問看護ステーションは1年で+1,632事業所
稼働中の訪問看護ステーションは1年で+1,632事業所

新規開設2,437件は、期首の事業所数の15.5%にあたります。在宅医療の担い手として、訪問看護は明確に増えている市場です。

同時に、廃止701件と休止291件、あわせて992件が事業を止めています。期首の6.3%、およそ16事業所に1つの割合です。

伸びている市場で16事業所に1つが事業を止めている
伸びている市場で16事業所に1つが事業を止めている

伸びている市場と、閉じている事業所。この2つが同時に起きています。

2. それでも、9割は「1拠点だけ」

当社は、公表システムのオープンデータ(訪問看護/サービスコード130、17,959事業所)を、法人番号(13桁・全国一意)で名寄せしました。

訪問看護を運営する法人13,179社のうち11,767社(89.3%)が拠点1つのみ
訪問看護を運営する法人13,179社のうち11,767社(89.3%)が拠点1つのみ

リリースでは法人ベースの割合のみを掲載しましたが、ここでは事業所ベースに換算した数字も併記します。

1法人が運営する訪問看護の拠点数法人数法人ベース事業所数事業所ベース
1拠点のみ11,767社89.3%11,76768.1%
2拠点838社6.4%1,6769.7%
3拠点233社1.8%6994.0%
4拠点121社0.9%4842.8%
5拠点以上220社1.7%2,66115.4%
事業所ベースは法人番号が記載されている17,287事業所を分母としています。法人番号が未記載の672事業所は法人単位の集計から除いています。

法人の数で見れば9割が1拠点ですが、事業所の数で見ると68.1%。5拠点以上を持つわずか220社(1.7%)が、2,661事業所(15.4%)を運営しています。少数の大規模法人と、多数の1拠点法人に二極化している構造が見えます。

さらに、訪問看護を運営する法人のうち5,455社(41.4%)は、公表システム上、訪問看護以外の介護サービスを届け出ていません。

3. 拠点を1つ増やすとは、看護職員を2.5人あらたに確保するということ

指定訪問看護事業所には、看護職員(保健師・看護師・准看護師)を常勤換算方法で2.5以上配置することが定められています(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準/平成11年厚生省令第37号 第60条)。

拠点を1つ増やすとは看護職員を常勤換算2.5人あらたに確保するということ
拠点を1つ増やすとは看護職員を常勤換算2.5人あらたに確保するということ

つまり、拠点を1つ増やすことは、看護職員を常勤換算で2.5人分あらたに確保することを意味します。市場が伸びていても、採用ができなければ拠点は増やせません。

そして、1拠点のみで運営する法人には、次の条件が重なります。

  • 代わりの拠点がないため、人員を他拠点から融通しにくい
  • 44.0%は訪問看護以外のサービスを持たないため、他事業の収益で補いにくい
  • 常勤換算2.5という基準の上で運営しているため、看護職員1名の離脱が人員基準に直結しうる

期首の6.3%(16事業所に1つ)が廃止・休止に至っている背景には、こうした事業規模の構造があると考えられます。

4. 都道府県別の3指標

「2」で見た「1拠点のみ」の割合を、都道府県別に見ると次のようになります。リリースでは1拠点率のみを掲載しましたが、ここではホームページ掲載率と事業所数を加えた3指標で示します。

訪問看護事業所のうち「1拠点のみ」の法人が運営する割合(都道府県別)
訪問看護事業所のうち「1拠点のみ」の法人が運営する割合(都道府県別)
順位都道府県1拠点のみ率HP掲載率事業所数
1佐賀県85.1%67.0%88
2大分県82.0%66.0%188
3宮崎県81.7%55.7%201
4鹿児島県81.7%58.8%199
5愛媛県81.6%65.4%214
6青森県81.0%57.6%158
7岡山県80.1%66.5%230
8福井県79.6%76.7%120
9和歌山県79.4%48.2%220
10大阪府77.8%67.3%1,858
11山口県77.5%59.5%185
12山形県76.0%74.2%97
13香川県75.7%59.1%159
14富山県75.4%69.3%127
15高知県75.3%58.1%93
16岐阜県75.1%72.6%347
17長崎県74.7%68.6%185
18熊本県73.6%63.1%407
19島根県73.4%60.0%120
20兵庫県72.9%67.1%735
21福岡県72.7%56.4%1,086
22群馬県72.4%64.1%348
23徳島県71.2%57.9%140
24岩手県70.8%65.3%144
25福島県70.7%69.3%179
26長野県69.1%68.7%249
27栃木県68.7%69.2%159
28奈良県68.3%66.1%239
29沖縄県68.0%58.1%253
30三重県67.5%66.7%246
31広島県66.9%76.0%430
32秋田県66.0%70.4%108
33鳥取県65.2%75.0%76
34京都府63.9%69.9%448
35東京都63.2%83.5%1,642
36滋賀県62.9%60.3%199
37北海道62.5%71.7%715
38愛知県62.3%65.0%1,401
39茨城県62.0%70.8%250
40埼玉県61.4%68.6%771
41石川県60.7%73.4%124
42静岡県60.7%60.8%365
43千葉県59.8%76.7%748
44新潟県55.8%80.8%172
45宮城県54.8%72.9%214
46神奈川県54.4%82.8%1,234
47山梨県51.9%60.2%88
※割合の高低は、地域の事業運営の優劣を示すものではありません。都市部では複数拠点を展開する法人の割合が相対的に高く、その分「1拠点のみ」の割合が下がる傾向があります。

最も高い佐賀県(85.1%)と最も低い山梨県(51.9%)で、33ポイントの開きがあります。

5. 併設サービスの比較(1拠点法人 vs 複数拠点法人)

リリースには収めなかった集計です。拠点数の異なる法人が、訪問看護以外にどのサービスを届け出ているかを比べました。

併設サービス1拠点のみ
11,767社
複数拠点
1,412社
居宅介護支援39.0%63.9%+24.9pt
訪問介護27.3%47.0%+19.8pt
通所介護16.1%31.3%+15.2pt
通所リハビリテーション14.0%25.4%+11.4pt
訪問リハビリテーション11.4%22.8%+11.4pt
認知症対応型共同生活介護8.1%19.3%+11.1pt
訪問看護のみ(併設なし)44.0%19.5%−24.5pt

差が最も大きかったのは居宅介護支援で、24.9ポイントの開きがありました。ただし1拠点のみの法人でも39.0%が居宅介護支援を届け出ています。併設の有無で分かれているのではなく、割合の差として現れている点にご留意ください。

※本項は、公表データ上で観察された違いを示すものであり、これらの取り組みが事業拡大をもたらすことを示すものではありません。

6.〈参考〉公表システムへのホームページ掲載率

以下は本筋とは別に、同じデータから得られた参考情報です。公表システムにホームページのURLが掲載されている事業所の割合を集計しました。

公表システムにホームページのURLが掲載されている事業所は69.0%
公表システムにホームページのURLが掲載されている事業所は69.0%

リリースでは訪問看護のみを掲載しましたが、ここでは18種別を並べます。

サービス種別掲載率掲載あり/全数
介護老人福祉施設93.2%7,958/8,543
介護老人保健施設90.3%3,723/4,121
短期入所生活介護89.4%10,110/11,313
短期入所療養介護(介護老人保健施設)89.3%3,302/3,698
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護88.1%2,248/2,553
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)87.8%3,921/4,467
訪問リハビリテーション87.1%4,434/5,091
通所リハビリテーション85.4%6,604/7,737
認知症対応型通所介護76.7%2,367/3,088
小規模多機能型居宅介護75.0%4,086/5,451
通所介護74.9%18,554/24,758
認知症対応型共同生活介護69.5%9,940/14,310
訪問看護69.0%12,397/17,959
福祉用具貸与63.7%4,487/7,042
特定福祉用具販売63.3%3,778/5,969
居宅介護支援61.2%22,316/36,491
地域密着型通所介護57.9%10,512/18,154
訪問介護55.9%19,674/35,191
※これは「ホームページの有無」ではなく、公表システムにURLが登録されているかどうかの割合です。ホームページを開設していても、公表システムに登録していない場合があります。

入所系の施設(特養93.2%、老健90.3%)が高く、訪問系(訪問介護55.9%、訪問看護69.0%)が低い傾向が見られます。

7.「それでも人員は必要では」——記録AIにできること、できないこと

本題に戻ります。ここまでのデータをまとめると、次のようになります。

  • 市場は1年で10.4%伸びている
  • しかし運営法人の89.3%は1拠点のまま
  • 拠点を増やす条件は、看護職員 常勤換算2.5以上
  • 看護職員の採用環境は、すぐには変わらない

追い風の中で事業を広げられるかどうかが、採用力だけで決まってしまう。これが、今回のデータが示している構造です。

ここで、当然の問いが出てきます。「記録を効率化しても、人員基準は変わらないのではないか」。

そのとおりです。記録にかかる時間が減っても、看護職員 常勤換算2.5以上という基準は変わりません。拠点を増やすには、やはり人を採る必要があります。

ここには順番があります。

まず、いまの拠点を維持できるか。1拠点のみで運営する法人では、看護職員1名の離脱が人員基準に直結しうる——これは2拠点目を考える前の話です。年間で16事業所に1つが廃止・休止に至っている中で、いま働いている人が働き続けられる状態をつくることが先にあります。

そのうえで、2拠点目に踏み切れるだけの余力があるか。拠点を増やす判断には、人員基準を満たす見通しに加えて、管理者が採用や育成に割ける時間が必要になります。

問題は、その時間を、いまの管理者が持てているかどうかです。

人数を増やすのではなく一人が担える業務の余力をどうつくるか
人数を増やすのではなく一人が担える業務の余力をどうつくるか

1拠点のみで運営する法人では、管理者が訪問に入りながら、記録・計画書・報告書の作成、加算の要件の確認、請求、そして採用までを担っている場合があります。採用にも育成にも時間がかかりますが、その時間はどこから捻出するのか。

記録にかかる時間が減れば、その時間を採用・育成・利用者の獲得に振り向けられます。採用にコストをかける前に、いま働いている人の負担を減らすという順番もあります。人員基準を代替するのではなく、いまの人員を維持し、次の人員を確保するための時間をつくる——記録AIに期待できるのは、この部分です。

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※記録の内容は看護師ご自身がご確認・修正のうえご使用ください。本サービスは記録の作成を補助するものであり、看護判断や加算の算定可否を判定するものではありません。

集計手順(再現用)

  • データ源:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」オープンデータ
    https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/jigyosho_130.csv(訪問看護/サービスコード130。他種別は末尾の数字を変更)
  • 取得日:2026年7月
  • 対象:訪問看護 17,959事業所
  • 名寄せ:CSVの「法人番号」列(13桁)で完全一致。法人番号が未記載の672事業所(3.7%)は法人単位の集計から除外
  • ホームページ掲載率:CSVの「URL」列が http で始まる行を「掲載あり」として計上
  • 併用資料:全国訪問看護事業協会「令和6年度 訪問看護ステーション数調査結果」/指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第60条

よくある質問

「1拠点のみ」とは何を指しますか。

同一の法人番号で届け出られている訪問看護事業所が1つだけであることを指します。その法人が訪問看護以外のサービス(居宅介護支援や訪問介護など)を運営している場合も含みます。

ホームページ掲載率は「ホームページを持っている割合」ですか。

いいえ。公表システムにURLが登録されているかどうかの割合です。ホームページを開設していても公表システムに登録していない場合があるため、実際の開設率はこれより高い可能性があります。

訪問看護の人員基準を教えてください。

指定訪問看護事業所には、看護職員(保健師・看護師・准看護師)を常勤換算方法で2.5以上配置することが定められています(平成11年厚生省令第37号 第60条)。最新の要件は必ず原典をご確認ください。

このデータは引用できますか。

はい。出典を明記のうえ引用いただけます。推奨クレジットは下記のとおりです。

引用について(引用歓迎)

本ページの数値・図表は、出典を明記のうえ自由に引用いただけます。

推奨クレジット:
出典:株式会社ライフシフト「訪問看護ステーションの運営構造に関する集計」(2026年7月)
https://lifeshift-inc.com/houkan-unei-kozo-2026/

取材・データのご提供にも対応します。お問い合わせよりご連絡ください。

出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/)、一般社団法人全国訪問看護事業協会(https://www.zenhokan.or.jp/)/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

※本ページは、公表されている統計および法令の定めを整理したものです。個別の事業所における廃止・休止の原因、人員配置の適否、加算の算定可否を判定するものではありません。

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

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