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介護のDXが進まない本当の理由──「最初の一歩」を踏み出すために

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「介護のDXを進めたいのに、なかなか前に進まない」。そう感じている事業所は、決して少なくありません。設備を入れること自体より、それを日々の仕事に定着させることに難しさがあります。実際、公益財団法人介護労働安定センターの「令和6年度介護労働実態調査」では、介護ソフトなどのICTの利用は広がる一方、その効果を実感できている事業所は約半数にとどまっています(昼間の業務負担の軽減で49.4%)。これは「やる気がない」からではなく、現実に真摯に向き合っているからこそ生まれる悩みです。

介護DXの「最初の一歩」を4ステップで示したフロー図。ステップ1 現状を数字で知る:人手が「不足」とした事業所65.2%(前年度64.7%)、悩みは「人手が足りない」49.1%が最多。ステップ2 効果の実感を確かめる:ICT・介護ロボットの導入効果を実感とした事業所は昼間の業務負担軽減49.4%・夜間44.6%(約半数、アンケート回答割合の目安)。ステップ3 いま使っている機能から小さく始める:ケア記録等の入力・保存・転記を日常利用75.4%、訪問系の入力機能利用56.6%。ステップ4 国の支援策を確認する:介護テクノロジー導入支援事業・ICT導入支援が案内、要件は自治体・原典で確認。数値は調査時点の目安。
令和6年度介護労働実態調査などの公表データを手がかりに、介護DXの「最初の一歩」を4つのステップで整理した図(数値はいずれも調査時点の目安)。

段階の違いは介護のDXからAXへでまとめています。

DXが進まない3つの“あるある”

  • 何から手をつければいいか分からない──情報は多いのに、自分たちの最初の一歩が見えない。
  • 詳しい人が社内にいない──旗を振れる人がいないまま、話が立ち消えになる。
  • 現場に余裕がない──日々のケアと書類で手いっぱいで、新しいことを始める時間がない。

この3つは、同じ調査で示された「人手が足りない」(仕事の負担についての悩みで最も多く49.1%)という現場の実感とつながっています。時間がないからDXに手が回らず、DXが進まないからさらに時間が生まれない——この循環を、どこか一点から切ることが出発点になります。

数字で見る「進んでいるところ」と「これからのところ」

「うちだけ遅れているのでは」と感じる必要はありません。公的な調査(令和6年度介護労働実態調査/公益財団法人介護労働安定センター・事業所調査)が示す介護現場のICTの現在地は、次のとおりです。

調査で分かったこと 割合
ケア記録・ケアプラン等の入力・保存・転記の機能を日常的に利用している事業所75.4%
訪問系で利用者情報の入力機能(タブレット・スマホ)を日常的に利用している事業所56.6%
ICT機器等・介護ロボットで「昼間の業務負担の軽減」に効果があるとした事業所49.4%
同じく「夜間の業務負担の軽減」に効果があるとした事業所44.6%
従業員が「不足」と感じている事業所(前年度は64.7%)65.2%

読み解くと、二つのことが見えてきます。一つは、記録の入力・転記という「いちばん重い作業」から着手している事業所が多いこと(75.4%)。もう一つは、導入しても効果の実感は約半数にとどまること。つまり差を生むのは「入れたかどうか」ではなく、「日々の仕事に馴染ませられたかどうか」です。だからこそ、次に述べる「小さく始める」が効いてきます。

※上記の割合は令和6年度時点の調査結果です。調査年度や集計方法により変わります。数値は原典をご確認ください。

突破口は「大きく変える」ではなく「小さく始める」

一気に全部を変えようとすると、現場の負担が増え、かえって続きません。おすすめは逆です。いちばん時間を奪っている作業を1つだけ、無理なく軽くすること。たとえば、何十分もかかる記録や支援経過の入力です。

ここを軽くできれば、生まれた時間を「利用者さんと向き合う時間」に戻せます。その手応えが、次の一歩の原動力になります。調査で効果の実感が約半数にとどまる背景には「入れて終わり」になりがちな現実があり、小さく始めて手応えを確かめる進め方は、その落とし穴を避けるやり方でもあります。

特定の製品に頼らない「最初の一歩」の打ち手

ツールを入れる前でも、今日から始められることがあります。どの事業所にも当てはまる汎用的な順番として、次の5つを挙げておきます。

  1. 「いちばん時間を奪う作業」を1つだけ選ぶ──記録の二度入力、シフト作成、請求前の突合など。全部ではなく1つに絞ります。
  2. 紙の作業を「電子化」から始める──いきなり高度な仕組みを目指さず、まずは紙・手書き・二重管理をなくすところから。多くの事業所がここを入口にしています。
  3. 今あるソフトの「使っていない機能」を洗い出す──新しく買う前に、既存の介護ソフトの標準機能(記録・帳票の出力など)を使い切れているかを点検します。追加費用ゼロで進むことも珍しくありません。
  4. 「決める人」を一人決める──詳しくなくて構いません。旗を振り、小さく試し、続けるかを判断する役割を明確にします。旗振り役の不在が「立ち消え」の最大の原因です。
  5. 公的な導入支援・補助を確認する──国や自治体には、介護ロボット・ICTの導入を後押しする「介護テクノロジー導入支援事業」やICT導入支援(地域医療介護総合確保基金)などがあります。対象・金額・要件は年度や自治体で変わるため、お住まいの都道府県・厚生労働省の原典をご確認ください。

ここまでは、どのメーカーの製品を選ぶかに関わらず有効な考え方です。そのうえで「記録の二度入力」を軽くしたい場合の一例として、次の方法があります。

記録の“二度入力”をなくすところから

介護記録AI「神マナ」は、録音や写真からアセスメント・支援経過・議事録を自動で下書きし、お使いの「カイポケ」にそのまま転記します。前掲の調査で最も多くの事業所が着手していた「記録の入力・転記」を軽くする一例で、二度入力(転記)がなくなることで、最初の一歩がぐっと軽くなります。まずは利用者さま1人分から、そっとお試しください。

記録をAIに読ませるときの注意:利用者さまの氏名や被保険者番号などの個人情報は、あらかじめ伏字(例:A様)にする、または事業所・法人の運用ルールに沿って扱うことをおすすめします。導入前に、個人情報の取り扱い方針を院内・所内で一度ご確認ください。

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よくあるご質問

Q. DXは何から始めればいいですか?

A. 一気に全部を変えるのではなく、「いちばん時間を奪っている作業」を1つだけ選び、そこから軽くするのがおすすめです。多くの事業所は、記録・帳票の入力や転記など、負担の大きい定型作業から着手しています。

Q. 社内にITに詳しい人がいなくても進められますか?

A. 詳しい知識よりも、「試して続けるかを決める人」を一人決めることのほうが大切です。旗振り役がいないまま話が立ち消えになるのが、最も多い失敗の形です。まずは小さな範囲で試し、手応えを確かめてから広げていきます。

Q. 費用が心配です。補助はありますか?

A. 国や自治体には、介護ロボット・ICTの導入を後押しする支援(介護テクノロジー導入支援事業、ICT導入支援など)があります。対象・金額・要件は年度や自治体で異なるため、お住まいの都道府県や厚生労働省の最新情報をご確認ください。まずは今あるソフトの標準機能を使い切れているか点検すると、追加費用ゼロで進む場合もあります。

Q. 今使っているカイポケを、やめる必要はありますか?

A. いいえ。今の仕組みを土台に、負担の重い作業だけを軽くする進め方があります。詳しくはカイポケをやめなくていいをご覧ください。なお他社サービスの料金体系は変わることがあるため、契約内容は各社の最新情報でご確認ください。

Q. 記録をAIに読ませても大丈夫ですか?

A. 利用者さまの氏名・被保険者番号などの個人情報は、伏字(例:A様)にする、または事業所の運用ルールに沿って扱うことをおすすめします。導入前に、個人情報の取り扱い方針を所内で一度ご確認ください。

あわせて読みたい:全員で進める介護DX月50時間が消えるカイポケをやめなくていい

出典:介護に関する統計は、公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」結果の概要(https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/)によります。介護テクノロジーの導入支援に関する情報は、厚生労働省ウェブサイト「介護テクノロジーの利用促進について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/kaigo_technology.html)/公共データ利用規約(第1.0版)。本ページは上記の公表資料を当社が編集・加工したものであり、各機関の公式見解ではありません。制度・数値は改定により変わるため、最新の情報は必ず原典をご確認ください。

止まっている場所を切り分ける|40の症状・確かめること・次にすること(4表・記入欄つき)

「進まない」という一言の中には、まったく違う4つの状態が混ざっています。決める人のところで止まっているのか、対象が決まっていないところで止まっているのか、前のやり方が残っているところで止まっているのか、変化を確かめられないところで止まっているのか。この4つは、次に打つ手がそれぞれ別です。決める人の問題に対象の絞り込みで応えても動きませんし、その逆も同じです。

下の4表は、事業所で実際に起きていることを左に置き、そのときに確かめること、確かめた結果に応じて次にすることを並べたものです。右端は自事業所の状況を書き込む欄です。まず、いま自分の事業所がどの表の行に当たるかを1つだけ選んでください。当てはまる行が複数あるときは、いちばん上の表から順に見ます。決める人が決まっていない状態で対象を絞っても、絞った結果を受け取る人がいないためです。

第1表|決める人のところで止まっている(10の症状)

症状(事業所で起きていること)確かめること次にすること自事業所の状況(記入欄)
会議で話は出るが、次の会議でまた最初から話している前回の会議録に「決めたこと」の欄があるか。欄があって空欄なのか、欄そのものが無いのか。会議録に「決めたこと/担当/期限」の3行を足す。次の会議の冒頭で、前回のその3行を読み上げてから議題に入る。(        )
「上に相談してみます」で毎回止まる相談する相手が氏名で特定されているか。相談の場(役員会・法人の会議)が月のいつ開かれるか。相談する相手の氏名と、次にその場が開かれる日付を会議録に書き入れる。その日付を過ぎたら現場で判断してよい範囲も併せて書く。(        )
決めた人と、手を動かす人が別々になっている決めた場に、実際に入力や記入をする職員が1人でも出席していたか。次回は入力を担当する職員を1名出席させる。その職員の発言を、要約せずに会議録に残す。(        )
「みんなで決めましょう」のまま3か月たった全員の合意を条件にしていないか。合意が取れていない項目がいくつ残っているか。合意を条件にする項目と、管理者が決める項目を紙の上で2列に分ける。分けた紙を掲示する。(        )
管理者が交代してから、この話が出なくなった引継ぎ書に、進行中の見直しの経過が含まれていたか。次に判断する日が書かれていたか。引継ぎ書に「進行中の見直し」の欄を足し、経過と次の判断日を書く。過去の会議録の該当ページを添える。(        )
担当者はいるが、決める権限が渡っていないどこまでを担当者が決めてよいかが文書にあるか。金額・対象人数・期間の3つで書かれているか。担当者が決めてよい範囲を、金額・対象人数・期間の3つで書き出す。それを超えるものだけを管理者に上げる。(        )
法人本部の返事待ちが常態になっている依頼した日と、返事の期限を書いた記録があるか。前回の依頼から何日たっているか。依頼文に回答期限の日付を入れる。期限を過ぎたときに現場判断で進めてよい範囲を、依頼の時点で決めておく。(        )
反対意見が1件出ただけで白紙に戻る反対の理由が「作業の名前」まで下りているか。印象のまま止まっていないか。反対の内容を作業名で書き取る。その作業だけを今回の対象から外し、残りは予定どおり進める。(        )
決めたことが職員に伝わっていない周知の方法・日付・対象者が記録されているか。掲示だけで終わっていないか。掲示と配布のどちらで伝えたかと、その日付・対象者を周知記録に残す。休みだった職員に伝えた日も別に書く。(        )
「誰かがやってくれる」と全員が思っている担当者名が書かれた文書があるか。口頭で決めただけになっていないか。担当者名・代理の担当者名・その2人が休みのときの扱いを、1枚の紙に書いて掲示する。(        )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

第2表|対象が決まっていないところで止まっている(10の症状)

この表に当たる事業所は、動く気はあるのに、動く先が言葉のままになっています。「記録を電子化する」「情報共有をよくする」は、そのままでは誰も着手できません。帳票の名前・職員の氏名・時間帯・日付のどれかが入るまで、対象は決まっていないものとして扱います。

症状(事業所で起きていること)確かめること次にすること自事業所の状況(記入欄)
「記録を電子化する」までは決まったが、どの記録かが決まっていない対象の帳票名が1つに特定されているか。「記録」という言葉のままになっていないか。帳票の名前を1つだけ書く。それ以外の帳票には「今回は対象外」と書き添えて同じ紙に残す。(        )
対象者が「全職員」になっている最初に使う職員が氏名で書かれているか。何名かが数で書かれているか。最初の期間に使う職員を3名までに絞り、氏名で書く。残りの職員には「これまでどおり」と書いて配る。(        )
対象の時間帯が決まっていない日勤と夜勤で同じ手順が使える前提になっていないか。夜間帯の人数を確認したか。日勤帯だけを対象にする。夜間帯は別の日に別の議題として決めると、決定の紙に書いておく。(        )
「全事業所で一斉に」という話になっている複数の事業所で、様式と手順が同じかどうかを確認したか。先に1事業所だけを対象にする。他の事業所は結果を見てから決めると、決定の紙に書く。(        )
使う機能が決まっていない使う機能と、当面使わない機能が一覧になっているか。使う機能を2つまでに絞る。残りには「当面は使わない」と書いた一覧を作り、教える対象からも外す。(        )
期間が決まっていない開始日と、続けるかどうかを決める日の両方が日付で決まっているか。開始日と判断日を日付で書く。判断日を年間の予定表に書き込み、その日の会議の議題に入れる。(        )
「うまくいったら広げる」の「うまくいったら」が言葉のまま広げる条件が、数えられる形になっているか。広げる条件を「◯件を続けて処理できたら」のように数えられる形に書き換える。数える人と用紙も同時に決める。(        )
紙と電子のどちらを正とするかが決まっていない同じ内容が2か所にあるとき、どちらを保存するかが文書にあるか。保存する側を1つに決める。もう一方は控えとして扱うことを、手順書に書いて掲示する。(        )
様式を変えるのか、書き方だけを変えるのかが曖昧運営規程や重要事項説明書に、様式の名称が書かれていないか。規程に書かれた名称と、実際に使う様式の名称を並べて確認する。名称が違う場合は、直す担当と時期を決める。(        )
利用者への説明が要るのか要らないのかが決まらない変わるのが内部の手順か、利用者に示している書面の内容か。利用者に示している書面が変わるかどうかで2つに分ける。変わる場合は、説明する担当と時期を決定の紙に書く。(        )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

第3表|前のやり方が残っているところで止まっている(10の症状)

新しいやり方を足しただけで、前のやり方を降ろしていない状態です。この状態では、手間は必ず増えます。増えた手間を職員が黙って吸収しているあいだは表に出ず、繁忙期に一気に元へ戻ります。降ろすものを決めるのは、足すものを決めるのと同じだけの手間がかかります。

症状(事業所で起きていること)確かめること次にすること自事業所の状況(記入欄)
同じ内容を2か所に書いている同じ項目が何枚の用紙に出てくるか。用紙の名前を並べて数えたか。使っている用紙の名前を全部書き出す。同じ項目が2回以上出てくる箇所に印を付け、印の数を数える。(        )
「念のため紙も残している」が続いている紙を残している理由が「保存のため」か「その場で確認するため」か。理由を1行で書く。保存のためであれば、保存する側を1つに決め、もう一方は日付を決めて止める。(        )
電子で作った書類を印刷して回覧している回覧の目的が「見てもらう」ことか「確認の印をもらう」ことか。確認の印が要る書類だけを印刷の対象にする。それ以外は画面で見る運用に書き換え、見た記録の残し方を決める。(        )
署名のために紙に戻している署名が要る書面と、要らない書面が分かれているか。署名が要る書面の一覧を作る。その書面だけを紙で扱うと決め、一覧を掲示する。(        )
前任者が作った様式を誰も直せない様式ごとに、直す担当が決まっているか。最後に更新した日が分かるか。様式ごとに直す担当を1名決める。様式の隅に更新日と担当名を入れ、次の見直し日を予定表に書く。(        )
二重に入力する時間が勤務時間に入っていない二重に入力している時間が測られているか。誰がその時間を負っているか。1週間だけ、二重入力にかかった時間を用紙に書き取る。書き取る人と用紙の置き場を先に決める。(        )
同じ書類を送信と電子の両方で送っている送り先ごとに、どちらの方法で送るかが決まっているか。送り先の一覧を作り、送り方を1件ずつ書き入れる。相手の都合で決まっているものは、その旨も書く。(        )
紙をやめる期限が決まっていない紙をやめる日が日付で決まっているか。やめるために必要な準備が挙がっているか。紙をやめる日を日付で書く。その日までに必要な準備を3つに絞って書き出し、それぞれに担当を付ける。(        )
一部の職員だけが新しいやり方を使っている使っている人と使っていない人で、記録に残る項目が違っていないか。どちらの方法でも同じ項目が残るように、書く項目を先に揃える。揃えた項目の一覧を両方の用紙に印刷する。(        )
前のやり方に戻ったことが誰にも共有されていない戻った時期と、戻す判断をした人が記録にあるか。戻した日と理由を会議録に1行書く。次に見直す日を決め、その日を予定表に入れる。(        )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

第4表|変化を確かめられないところで止まっている(10の症状)

この表に当たる事業所は、実は動いています。動いているのに、動いた分が誰にも見えていない状態です。見えないままだと、次に何かを決めるときの材料が無く、また最初の話し合いに戻ります。数えるのは効果を示すためではなく、次を決めるためです。

症状(事業所で起きていること)確かめること次にすること自事業所の状況(記入欄)
始める前の状態を測っていない開始前の記録用紙が残っているか。いつ・誰が・何を数えたかが書かれているか。開始前に、対象の作業にかかる時間と件数を1週間だけ書き取る。用紙は開始後も同じものを使う。(        )
「楽になった気がする」で終わっている何を、いくつ数えたのかが書かれているか。数える単位を件数・回数・分のどれか1つに決める。同じ用紙で前と後を並べて書く。(        )
測る担当がいない数える人と、集計する人がそれぞれ決まっているか。数える人を1名、集計する人を1名決める。集計する日を月1回置き、予定表に書き込む。(        )
測り直す日が予定表に入っていない測り直す日が年間の予定表にあるか。会議の議題になっているか。測り直す日を年間の予定表に書き込む。その日の会議の議題に「測り直しの結果」を入れる。(        )
前と違う数え方で測っている開始前と同じ用紙・同じ単位で数えているか。開始前の用紙をそのまま複写して使う。単位を変えたい場合は、変える前の単位でも並行して1回だけ測る。(        )
変わらなかった項目を記録から落としている変化のなかった項目も同じ表に残っているか。変化のなかった項目も同じ表に残し、「変わらなかった」と書く。落とすと、次に見たときに比較ができなくなる。(        )
数字は出たが、次の判断につながっていない続ける・狭める・戻すのどれにするかを決める日があるか。判断日を決め、その日の会議で3つのうちどれかを選ぶ。選んだ結果と理由を会議録に残す。(        )
一部の職員の数字だけで判断している数えた人数と、対象の期間が書かれているか。数えた人数と期間を表の下に書き添える。人数が3名に満たない場合は、判断日を延ばすことも選択肢に入れる。(        )
忙しい月の数字だけで判断している測った期間に、月初・月末の繁忙が含まれているか。繁忙の週と通常の週の両方で、1週間ずつ測る。どちらの週かを用紙の上部に書いておく。(        )
減った話だけで、増えた手間が書かれていない新しく増えた作業が書き出されているか。誰がその作業を負っているか。増えた作業も同じ表に書き、減った分と並べて見る。増えた作業に担当と所要時間を書き添える。(        )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

職員から出る言葉と、事業所としての受け止め方|そのまま読み上げられる完成文40例

進まないときに現場から出る言葉は、たいてい正確です。言葉の形は「反対」に見えても、指しているのは手順・時間・場所のどれかであることがほとんどです。ここでは出る言葉を左に置き、その言葉が指している事実の確かめ方を中央に、事業所としての受け止め方をそのまま読み上げられる完成文として右に置きました。

完成文は、職員の言い分を否定しない形で書いてあります。言葉を否定すると、次から言葉が出なくなります。言葉が出なくなった事業所では、止まっている場所が分からなくなり、前節の4表のどこにも当てはめられなくなります。出た言葉は、止まっている場所を教えてくれる材料として扱います。文中の◯には、自事業所の日付・氏名・人数を入れてください。

「今のままで回っている」と言われたとき(10例)

出る言葉その言葉が指している事実(確かめ方)事業所としての受け止め方(そのまま読み上げられる完成文)書き留める欄
今のやり方で困っていません困っていないのか、困りごとを言う場が無いのか。直近3か月の会議録で、業務のやりにくさが議題に挙がった回数を数える。困っていないのであれば、いまのやり方は残します。今回変えたいのは◯◯の一つだけで、それ以外は変えません。◯月◯日に、変えた分だけを見て、続けるかどうかを一緒に決めます。(    )
慣れているので、このままがいいです慣れているのは手順か、様式か、書く場所か。どの部分を残せば「このまま」になるのかを本人に指してもらう。慣れているやり方は、できるだけ残します。残したい部分を具体的に教えてください。書く項目と順番はそのままにして、書く場所だけを変える形も取れます。(    )
うちの利用者さんには合いません合わないのはどの場面か。利用者の状態か、訪問の時間帯か、ご家族の意向か。合わない場面はあると思います。合わないと感じた場面を、この用紙に一行だけ書いてください。◯月◯日にその一覧を見て、使う場面を狭めるか、やめるかを決めます。(    )
忙しい時期に始めるのはやめてほしいです繁忙が集中する時期はいつか。月間の業務予定表で山になっている週を確認する。始める時期は動かせます。◯月は締めの作業が重なるので、開始は◯月◯日にします。その代わり、開始日までに必要な物と手順書は先に揃えておきます。(    )
前の方法に戻せるなら、やってもいいです戻す判断を誰がするか、戻すときに何を残すかが決まっているか。戻せます。戻す条件を先に決めておきます。◯週間続けて◯◯が変わらない場合は、元のやり方に戻します。戻すときは、合わなかった点を書き残してから戻します。(    )
どうせまた変わるんでしょう過去1年で手順が何回変わったか。変更の記録と、変更を伝えた記録が残っているか。たしかに手順が続けて変わりました。今回は変える範囲を◯◯の一つに限り、次に見直す日を◯月◯日と決めます。その日までは、このやり方を変えません。(    )
私が言っても、どうせ通らないですよね現場からの意見が議題になった回数と、その結果が本人に返された記録があるか。出していただいた意見は、次の会議の議題にします。採用しない場合も、理由を会議録に残して、その場でお返しします。口頭でも紙でも構いません。(    )
人が足りないのに、新しいことは無理です人員の状況と、新しい作業に必要な時間。勤務表の中に、その時間を確保できる枠があるか。新しい作業に必要な時間は、勤務時間の中に取ります。◯月は1人あたり週◯分を目安にします。その時間が取れない週は、その週は行いません。(    )
若い職員だけでやればいいと思います対象を限定した場合に、記録に残る項目が分かれてしまわないか。今回使うのは◯名です。ほかの方はこれまでどおりで構いません。ただし、書く項目だけは全員で揃えます。項目が揃っていれば、どちらの方法でも記録として残ります。(    )
決まったなら従いますが、納得はしていません納得できない点が「目的」か「手順」か「時間」か。どれに近いかを本人に選んでもらう。納得していない点を、目的・手順・時間のどれに近いか教えてください。手順と時間は変えられます。目的については、◯月◯日の会議でもう一度説明の時間を取ります。(    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

「時間がない」と言われたとき(10例)

「時間がない」は、断り文句ではなく現状の報告です。報告として受け取ると、答えは「頑張って時間を作ってください」ではなく、「その時間を勤務時間のどこに置くか」になります。置く場所が決まらない限り、この言葉は何度でも出ます。

出る言葉その言葉が指している事実(確かめ方)事業所としての受け止め方(そのまま読み上げられる完成文)書き留める欄
覚える時間がありません覚えるのに必要な時間が測られているか。勤務時間内に確保されているか。覚える時間は勤務時間の中に取ります。◯月◯日の◯時から30分、シフトに入れます。参加できない方には、同じ内容を後日15分で行います。(    )
記録は帰ってからまとめて書いていますまとめ書きが起きる時間帯と、その日の訪問件数・利用者数。まとめて書いていただいて構いません。ただし、行った日時はケアを行った日時のまま残してください。書く時間をどこに置けるかは、次の会議で時間帯ごとに見ます。(    )
入力する場所がありません事務所の座席数と、入力が集中する時間帯。同時に何人が入力しようとしているか。入力する場所を先に決めます。◯◯に◯席分を確保し、その時間帯は他の用途に使いません。場所が取れない時間帯は、これまでどおり紙で構いません。(    )
質問したくても、聞ける人がいません聞ける人が何人いるか。その人の勤務日と勤務時間帯。質問を受ける人を2名決めます。◯◯さんと◯◯さんです。2人とも不在の日は、翌日に回して構いません。急ぐものは管理者が受けます。(    )
会議に出る時間が取れません会議の所要時間と議題の数。決めることと報告することが混ざっていないか。会議は◯分で終える形にします。議題は事前に配り、当日は決めることだけを話します。出られない方には、決まったことを紙で配ります。(    )
通信が遅くて待たされます遅くなる時間帯と場所が把握されているか。届かない場所の一覧があるか。遅くなる時間帯と場所を書き出してください。その場所では手元のメモに書いて、事業所に戻ってから入力する形にします。メモは入力後に事業所内で保管します。(    )
兼務が多くて、自分の担当が分かりません兼務の状況が勤務表で区別されているか。今回の作業がどの職務の時間に入るか。兼務の時間は勤務表で分けて書きます。今回の作業は◯◯の勤務時間の中で行う扱いにします。別の職務の時間には入れません。(    )
夜勤帯は手が離せません夜間帯の業務の流れのどこに空きがあるか。夜間の人数は何名か。夜間帯は今回の対象に入れません。日勤帯だけで◯週間試して、その結果を見てから夜間帯をどうするか決めます。(    )
利用者さんの前で操作するのは気が引けます操作してよい場所と時間が決まっているか。決まっていないまま各自の判断になっていないか。利用者さんの前で操作しなくて構いません。居室を出てから、または事業所に戻ってから入力してください。入力してよい場所は紙に書いて配ります。(    )
家に持ち帰ってやっています持ち帰りが起きている作業と、その頻度。持ち帰る書類に個人情報が含まれていないか。持ち帰りはやめてください。持ち帰らずに終わらない作業があれば、その作業名を教えてください。作業の順番か、担当の割り振りのどちらかを変えます。(    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

「前にも入れたが続かなかった」と言われたとき(10例)

過去に一度止まった事業所では、この言葉がいちばん多く出ます。この言葉は経験の報告であって、反対ではありません。前回の止まり方を聞き取ると、前節の4表のどこで止まったのかがそのまま分かります。前回の止まり方を聞かずに今回を始めると、同じ場所で同じように止まります。

出る言葉その言葉が指している事実(確かめ方)事業所としての受け止め方(そのまま読み上げられる完成文)書き留める欄
前に入れたものは、結局使わなくなりました使わなくなった時期と、その直前に何が起きたか(繁忙、欠員、様式の変更)。そのときに何が起きたかを教えてください。二重に書く手間が残った、教える人が辞めた、といった理由が同じなら、今回も同じことが起きます。先に潰したいので、順番に聞かせてください。(    )
誰も教えてくれないまま終わりました教える担当が決まっていたか。その人が1名だけだったか。教える人を2名決めます。1名だと、その人の休みが止まる日になります。名前は掲示して、いつでも見えるようにします。(    )
結局、紙のほうが早かったですどの作業で紙が早かったか。件数か、項目数か、書く場所か。紙が早い作業は紙で続けます。今回変えるのは◯◯だけです。◯◯以外で紙を使っている作業は、今回は触りません。(    )
使い方の紙はもらいましたが、どこにあるか分かりません手順の掲示場所が決まっているか。配っただけで終わっていないか。手順は◯◯に貼ります。配った紙とは別に、常に見られる場所に置きます。貼った日も紙の隅に書いておきます。(    )
便利になると言われましたが、変わりませんでした開始前の数字が残っているか。何をもって変わったと言うかが決まっていたか。今回は、始める前に◯◯にかかる時間を1週間だけ測ります。測った紙は残します。◯週間後に同じ紙で測り直して、変わらなければ止めます。(    )
上の人は現場を見ずに決めました決めた場に現場の職員が出席していたか。出席した職員の発言が残っているか。今回は、実際に入力する方に会議へ出ていただきます。出た方の発言は会議録に残します。出られない方の意見は、この用紙で受けます。(    )
途中で担当者が辞めて、そのままです担当が1名だったか。引継ぎの記録に、進行中の見直しが含まれていたか。担当は2名にします。引継ぎのときは、進行中の見直しの経過を書く欄を引継ぎ書に作ります。次の判断日も一緒に引き継ぎます。(    )
機械が古くて、途中で止まりました台数・充電・置き場が把握されているか。同時に使う最大人数を数えたか。同時に使う人数から台数を数え直します。置き場と返却場所は同じにします。充電の担当は、人ではなく時間帯で決めます。(    )
「やめます」と誰も言わないまま、消えましたやめる判断をした記録があるか。自然に使われなくなっただけか。今回は、やめる条件を先に書いておきます。条件に当たったら会議で止めると決め、止めた理由を会議録に残します。自然に消える形にはしません。(    )
どうせ今回も同じだと思います前回と今回で、何を変えたのかが職員に説明されているか。前回と変える点を3つ挙げます。対象を◯◯の一つに絞ること、判断日を◯月◯日と決めること、担当を2名置くことです。この3つが守られていなければ、その場で指摘してください。(    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

「自分には向いていない」と言われたとき(10例)

この言葉が出たときに、事業所として「そんなことはありません」と返すと、話はそこで終わります。向いていないと感じている中身は、操作・画面の見え方・聞ける相手の有無・間違えたときの扱いのどれかに分かれます。分けて聞き取ると、変えられるものと変えられないものがはっきりします。

出る言葉その言葉が指している事実(確かめ方)事業所としての受け止め方(そのまま読み上げられる完成文)書き留める欄
機械が苦手です苦手なのは操作か、画面の見え方か、聞ける相手がいないことか。苦手なままで構いません。困ったところを、操作・画面・聞く相手のどれに近いか教えてください。画面の大きさと文字の大きさは変えられます。(    )
年齢的に、もう覚えられません覚える範囲がどれだけあるか。初月に使う機能がいくつあるか。初月に覚えていただくのは2つだけです。それ以外は使いません。2つで足りなければ、1つに減らします。(    )
間違えたときが怖いです訂正の手順が決まっているか。間違いを咎める運用になっていないか。間違えたときは、元の内容を消さずに、直す前と直した後と直した日が分かる形で残してください。手順は紙にして配ります。間違いを咎めることはしません。(    )
私のせいで記録が消えたら困ります保存の仕組みと、確定する人が決まっているか。確定するのは◯◯さんです。入力の段階では確定になりません。消えたように見えたときは、その場で◯◯さんに声をかけてください。(    )
ほかの人より遅くて、申し訳ないです速さを職員ごとに比べる運用になっていないか。速さは比べません。今回見るのは、書く項目が揃っているかどうかだけです。時間は事業所全体でまとめて見ます。個人ごとには出しません。(    )
評価に響きますか試行と人事評価が切り離されているか。そのことが文書に書かれているか。今回の試行は人事評価とは切り離します。使った回数も、直した量も評価には使いません。そのことを紙に書いて配ります。(    )
私が使わないと、誰かに迷惑がかかりますか使う人と使わない人で、担当や割り振りが変わらないか。担当の割り振りは変えません。使わない期間に不利益はありません。今回使うのは◯名で、それ以外の方はこれまでどおりです。(    )
家では使ったことがありません私物の端末を使う運用になっていないか。持ち帰りの扱いが決まっているか。私物の端末は使いません。事業所の端末だけを使います。持ち帰りもしません。(    )
文章を書くのが苦手です書く項目が定まっているか。文体を揃えることが求められていないか。文章の上手さは見ません。揃えるのは、日付・時刻・数量・利用者さんの言葉の4つです。この4つが実際と合っていれば、言い回しは自由です。(    )
途中でやめてもいいですかやめる条件が決まっているか。やめたときに何を残すかが決まっているか。やめられます。やめたいと思ったら、その日のうちに教えてください。理由も一緒に書き残します。書き残したものは、次に決めるときの材料にします。(    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

最初の1つを決めるための整理表|候補出しから決定文まで(4表・44行の記入欄)

止まっている場所が分かり、職員の言葉を受け止めたら、次は対象を1件に絞ります。ここでつまずくのは、候補が多すぎるからではなく、絞る物差しが無いからです。下の4表は、候補を書き出す紙・絞る物差し・決定を書く紙・進めない条件を書く紙の4枚です。4枚とも、そのまま会議の資料として配れる形にしてあります。

第1枚|候補を書き出す(12業務・記入欄つき)

候補は12業務までにします。13番目が出たときは、12のうちどれかを消してから足します。消さずに足していくと、この紙は「やりたいことの一覧」になり、決める紙ではなくなります。

候補になりやすい作業書き出すこと1週間の目安(記入欄)今回の対象にするか(記入欄)
記録の清書・書き直し下書きから清書までを誰が行っているか。清書の場所と時間帯。件数(  )件/合計(  )分(する・しない)
同じ内容を2か所に書く作業どの用紙とどの用紙に同じ項目が出てくるか。用紙の名前。件数(  )件/合計(  )分(する・しない)
請求前の突合突合する2つの資料の名前と、突合する人。差異が出たときの手順。件数(  )件/合計(  )分(する・しない)
勤務表の作成と変更の連絡作成する人と、変更を伝える手段。伝えた記録が残るか。回数(  )回/合計(  )分(する・しない)
利用者・ご家族からの電話の取次ぎ受けた人と担当が違ったときの伝え方。伝わらなかった件数。件数(  )件/合計(  )分(する・しない)
会議の日程調整調整の手段と、確定するまでの往復の回数。回数(  )回/合計(  )分(する・しない)
会議録の作成その場で書くか、後から書くか。書く人が固定されているか。回数(  )回/合計(  )分(する・しない)
研修の案内と出欠の管理案内の手段と、出欠を集める方法。記録に残る形になっているか。回数(  )回/合計(  )分(する・しない)
備品・衛生材料の発注誰が在庫を見ているか。切れてから発注していないか。回数(  )回/合計(  )分(する・しない)
書類の探し物探した書類の種類と、探した場所。見つかるまでの時間。回数(  )回/合計(  )分(する・しない)
他事業所への書類の送付送付の手段と、送った記録の残し方。相手ごとに違うか。件数(  )件/合計(  )分(する・しない)
利用者・ご家族への定期の連絡連絡する人と、連絡した記録の残し方。担当が不在のときの扱い。件数(  )件/合計(  )分(する・しない)

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

第2枚|候補を1件に絞る物差し(10項目)

10の物差しのうち、当てはまる数がいちばん多いものを1件だけ選びます。同点になったときは、上にある物差しを優先します。上にあるものほど、後から確かめやすいためです。

物差し見方候補①(記入欄)候補②(記入欄)
毎日起きるか週に1回の作業より、毎日起きる作業のほうが、短い期間で違いが見えます。(はい・いいえ)(はい・いいえ)
数えられるか件数・回数・分のどれかで数えられる作業を選びます。数えられないものは、後から判断ができません。(はい・いいえ)(はい・いいえ)
記録に残るか結果が記録の形で残る作業は、あとから第三者にも確かめられます。(はい・いいえ)(はい・いいえ)
元に戻せるか合わなかったときに、元のやり方へ戻せる作業から始めます。戻せない作業は後回しにします。(はい・いいえ)(はい・いいえ)
複数の職員が関わるか1人しか触らない作業は、変えてもその人の話で終わり、事業所の話になりにくいです。(はい・いいえ)(はい・いいえ)
特定の職員の持ち物になっていないか個人のやり方に強く結び付いた作業は、変えると人の否定に受け取られやすくなります。(はい・いいえ)(はい・いいえ)
外の相手が絡まないか他事業所やご家族との約束が絡む作業は、変更のたびに説明と同意の手間が増えます。(はい・いいえ)(はい・いいえ)
様式が定められていないか規程や条例で様式や保存が定められている書類は、変える前に確認する手順が要ります。(はい・いいえ)(はい・いいえ)
繁忙期に重ならないか締めの時期や改定の時期と重なる作業は、開始日をずらして選びます。(はい・いいえ)(はい・いいえ)
いまある道具で試せるか新しく買わずに試せる作業から始めます。買う判断は、試した結果を見てからにします。(はい・いいえ)(はい・いいえ)

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

第3枚|決定を1枚に書く(12行)

この12行が埋まって、はじめて「決まった」状態になります。1行でも空欄があるうちは、まだ決まっていません。空欄のまま開始すると、その空欄が止まる場所になります。

決める項目書き方の目安貴事業所の決め(記入欄)
1 対象の作業名1つだけ書きます。「記録」ではなく、実際に呼んでいる作業の名前で書きます。(        )
2 対象の帳票名使っている用紙・様式の名前をそのまま書きます。複数あるときは1つに絞ります。(        )
3 対象の職種職種名で書きます。全職種と書きたくなったときは、まだ絞れていない印です。(        )
4 対象の人数と氏名3名までを目安に、氏名で書きます。人数だけだと、当日になって誰も手を挙げません。(        )
5 対象の時間帯日勤帯・夜間帯のどちらかを書きます。両方と書く場合は、手順を別に用意します。(        )
6 対象の事業所1事業所の名前を書きます。複数の事業所を持つ法人ほど、ここを1つに絞ります。(        )
7 開始日日付で書きます。「来月から」は日付ではありません。(        )
8 判断日続ける・狭める・戻すのどれかを決める日を、日付で書きます。年間の予定表にも書き込みます。(        )
9 決める人判断日に決める人の氏名を書きます。合議で決める場合は、合議の場の名前を書きます。(        )
10 教える人(2名)2名の氏名を書きます。1名だと、その人の休みが止まる日になります。(        )
11 数える単位と用紙件数・回数・分のどれかと、記入する用紙の名前・置き場を書きます。(        )
12 続ける条件判断日に、何がどうなっていたら続けるのかを、数えられる形で書きます。(        )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

第4枚|進めない条件を先に決める(10行)

始める前に、止める条件と戻す条件を書いておきます。始めてから決めようとすると、そのときには「やめた」と言い出しにくい空気ができています。先に書いておけば、条件に当たったときに、誰の判断でもなく紙の判断として止められます。

止める・戻す条件条件に当たったときにすること貴事業所の決め(記入欄)
判断日までに、対象の作業を1件も処理できなかった会議で対象の作業を変える。人の問題として扱わず、選んだ作業が合わなかったものとして記録に残す。(        )
二重に書く手間が◯週間続けて残っている降ろす側の用紙を決めるか、いったん元のやり方に戻す。降ろせない理由を会議録に書く。(        )
教える人が2名とも不在の期間が◯日を超えたその期間は開始しない。開始日を後ろにずらし、ずらした日を紙に書き直す。(        )
対象の職員が入院・退職などで欠けた人数を補うのではなく、判断日を後ろにずらす。ずらした理由を会議録に残す。(        )
数える用紙が◯週間書かれていない数える人を代える。代えても書かれない場合は、数える単位が現場に合っていないものとして単位を変える。(        )
利用者・ご家族から、記録の内容について問い合わせがあったその場でいったん元のやり方に戻し、内容を確認する。確認した内容と対応を記録に残す。(        )
個人情報の扱いについて、決めた手順と違う扱いが1件でも起きたその業務での使用を止め、決めごとの紙を読み合わせてから再開する。起きたことと対応を記録に残す。(        )
規程や様式との食い違いが見つかった先に規程・様式の側を確認する。確認が終わるまで、その帳票については元のやり方で続ける。(        )
繁忙の週に、対象の作業が後回しになったその週は行わない。行わなかった週があることを、測り直しの用紙に書き添える。(        )
判断日を過ぎても、続けるかどうかを決めていないその時点で、いったん元のやり方に戻す。戻したうえで、決められなかった理由を会議で扱う。(        )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

止まった記録の残し方|見送り・中断・縮小の完成文30組(避けたい書き方と、そのまま使える文)

進めた記録は残るのに、進めなかった記録は残りません。ここが抜けると、翌年に同じ話がまた最初から始まります。見送った・止めた・狭めたという判断も、進めた判断と同じ重さで記録に残します。残っていれば、次に同じ話が出たときの出発点になります。

下の3表は、左に場面、中央に避けたい書き方、右にそのまま使える完成文を置いたものです。中央の列は、書いてはいけない例として引用の形で示しています。避けたい書き方に共通するのは、いつ・何を・誰が判断したのかが読み取れないこと、そして人の姿勢の話で終わっていることです。完成文は、日付・対象・判断した場・次に見る日の4つが入る形にしてあります。

着手を見送ったとき(10組)

場面避けたい書き方(書いてはいけない例として引用)そのまま使える完成文
候補は挙がったが、今期は着手しないと決めた「現場の理解が得られなかったため見送り」◯月◯日の職員会議で、記録の清書作業を対象とする案を検討し、今期は着手しないと決めた。理由は、開始予定の◯月に締めの作業と研修が重なり、勤務時間内に1人あたり週◯分を確保できないためである。次に検討する日は◯月◯日とし、年間予定表に記載した。
候補が多すぎて絞れなかった「優先順位がつけられず保留」◯月◯日の会議で候補12件を書き出したが、1件に絞る物差しを用意していなかったため決定に至らなかった。次回までに物差しを10項目にまとめ、◯月◯日の会議で候補①と候補②の2件に対して当てはめたうえで1件を決める。担当は◯◯とする。
費用の見通しが立たなかった「予算がないので不可」◯月◯日、対象の作業について、いま事業所にある道具だけで試せるかを確認した。確認の結果、追加の購入なしでは試せないため、今期は着手しない。◯月◯日までに、購入せずに試せる範囲があるかを再度確認し、その結果を会議で報告する。
様式や規程との関係が確認できなかった「制度的に問題がありそうなので中止」◯月◯日、対象の帳票について、運営規程に記載している様式の名称と、実際に使用している様式の名称を突き合わせた。名称が一致していない箇所が◯件あったため、先に記載の確認を行う。確認の担当は◯◯、確認の期限は◯月◯日とする。それまでは現行のやり方を続ける。
決める人が不在で決まらなかった「上長不在のため次回へ」◯月◯日の会議で議題に挙げたが、決定できる者が出席していなかった。次回◯月◯日の会議に◯◯が出席し、その場で決定する。決定できる範囲(対象の作業・対象の人数・開始日)を事前に文書で確認しておく。
職員から反対の意見が出た「反対が多く、時期尚早と判断」◯月◯日の会議で、対象の作業について◯名から意見が出た。内容は、入力する場所が確保できないこと、および夜間帯の人数が足りないことの2点である。このうち夜間帯を今回の対象から外し、入力する場所の確保ができた時点で日勤帯のみで開始する。確認の期限は◯月◯日とする。
前回の止まり方が分からなかった「過去に失敗したので今回も見送り」◯月◯日、過去に同じ作業で取り組みが止まった経緯を確認したが、止まった時期と理由の記録が残っていなかった。今回は着手せず、まず当時を知る職員◯名から聞き取りを行い、◯月◯日の会議で内容を共有したうえで、着手の可否を決める。
人員の欠員が続いている「人手が足りないので当面は無理」◯月◯日時点で、対象の職種に◯名の欠員がある。欠員が解消するまでは着手しない。◯月◯日に人員の状況を再確認し、その時点で対象の人数を1名に減らして開始できるかを判断する。
別の見直しと重なった「他の取組を優先」◯月◯日、同時期に別の見直し(◯◯)が進行しているため、今回の対象は着手しない。同時に2つを進めると、どちらの結果として変化が出たのかを確かめられないためである。◯◯の判断日である◯月◯日の翌週に、改めて検討する。
測る用紙が用意できなかった「効果測定の方法が固まらず保留」◯月◯日、開始前の状態を測る用紙を用意できていないため、着手を◯月◯日に延期する。延期の間に、数える単位を件数とし、用紙を◯◯に置き、書き取る担当を◯◯とすることを決めた。用紙が置かれた日をもって開始日とする。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

途中で止めたとき(10組)

途中で止めた記録は、いちばん書きにくく、いちばん役に立ちます。書きにくいのは、止めたことが誰かの失敗のように読めるからです。止めた理由を作業の側で書けば、人の話にはなりません。

場面避けたい書き方(書いてはいけない例として引用)そのまま使える完成文
先に決めた条件に当たって止めた「うまくいかなかったので中止」◯月◯日、開始前に定めた止める条件(二重に書く手間が3週間続けて残っている)に当たったため、対象の作業での使用を止め、元のやり方に戻した。降ろす側の用紙を決められなかったことが理由である。次に検討する日は◯月◯日とする。
教える人がいなくなった「担当が退職したため自然消滅」◯月◯日、教える役割を担っていた◯◯が退職したため、対象の作業での使用を一時停止した。停止した日と、その時点までに入力していた件数(◯件)を記録した。後任を2名決めたうえで、◯月◯日から再開するかどうかを会議で決める。
繁忙期に続かなくなった「忙しくて誰もやらなくなった」◯月◯日から◯月◯日までの3週間、対象の作業の記入が行われなかった。この期間は請求の締めと研修が重なっていた。繁忙の週を対象から外す形に改め、◯月◯日から通常の週のみで再開する。
測った結果が変わらなかった「効果が出なかったので取りやめ」◯月◯日、開始前と同じ用紙・同じ単位で測り直した。対象の作業の件数は開始前と同じで、1件あたりの時間にも差が見られなかった。増えた作業として、入力後の確認が1件あたり発生していた。以上から、この作業では続けないと決め、対象を別の作業に移すことを◯月◯日の会議で検討する。
職員の負担が特定の人に寄った「一部の職員に負担が集中し失敗」◯月◯日、対象の作業の入力が、◯名のうち1名に◯割集まっていることを勤務表と入力の記録から確認した。割り振りを変えても偏りが解消しなかったため、いったん停止する。停止の理由は、割り振りではなく、入力できる時間帯が1名分しか確保されていなかったことである。
記録の内容に食い違いが出た「記録が正確でなくなったため中断」◯月◯日、対象の帳票について、記載された日時と実際にサービスを提供した日時が一致していない箇所が◯件見つかった。全件を元の記録と突き合わせて訂正し、訂正した日と訂正前後の内容を残した。原因の確認が終わるまで、この帳票での使用を止める。
規程や条例との関係で止めた「制度に合わないので廃止」◯月◯日、対象の帳票の保存について、指定を受けた保険者の条例で定められた保存年限と、事業所の運営規程に記載している年限が異なっていることが分かった。記載の確認と修正が終わるまで、この帳票については従来のやり方で保存する。確認の担当は◯◯、期限は◯月◯日とする。
道具の不足で止めた「機器が足りず断念」◯月◯日、同時に入力する最大人数が◯名であるのに対し、使用できる台数が◯台であったため、待ち時間が◯時台に集中していた。台数を増やす判断ができるまで、対象の時間帯を◯時台以外に変更する。変更後の状況を◯月◯日に確認する。
利用者・ご家族から問い合わせがあった「クレームが出たのでやめた」◯月◯日、ご家族から記録の記載内容について問い合わせがあった。内容を確認し、当日中に説明を行った。説明した日時・内容・対応した者を記録に残した。問い合わせの原因を確認するあいだ、対象の作業では従来のやり方に戻す。
判断日を過ぎても決められなかった「結論が出ないまま自然消滅」◯月◯日の判断日に、続けるかどうかを決められなかった。決められなかった理由は、測り直しの用紙が◯週分しか記入されていなかったためである。いったん元のやり方に戻し、数える担当を◯◯に代えたうえで、◯月◯日に改めて判断する。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

範囲を狭めて続けたとき(10組)

止めるか続けるかの二択にすると、多くの場合「止める」になります。実際には、合った場面だけを残す形がいちばん多く残ります。狭めた記録は、次に広げるときの土台になります。

場面避けたい書き方(書いてはいけない例として引用)そのまま使える完成文
日勤帯だけ残した「夜勤には向かないので日勤のみ」◯月◯日の判断日に、対象の作業を日勤帯のみで続けると決めた。夜間帯では、入力できる時間帯が確保できず、◯週のうち◯週で記入が行われなかったためである。夜間帯については、人員配置を確認したうえで◯月◯日に改めて検討する。
1つの帳票だけ残した「他の帳票は使いづらいので除外」◯月◯日、対象を◯◯の帳票1つに絞って続けると決めた。他の2帳票では、署名を要する欄があり、印刷して扱う運用が残っていたためである。署名の扱いを整理できた時点で、◯月◯日に対象を広げるかどうかを検討する。
使う人を減らして残した「使える人だけでやることにした」◯月◯日、対象の人数を◯名から◯名に減らして続けると決めた。減らした理由は、入力できる場所が◯席しか確保できていないためである。席を増やせた時点で、人数を戻すかどうかを◯月◯日に検討する。書く項目は全員で揃えたままとする。
1つの事業所だけ残した「他の事業所は付いてこられなかった」◯月◯日、対象を◯◯事業所のみで続けると決めた。他の事業所では、使用している様式の名称が異なり、同じ手順では扱えなかったためである。様式の名称を揃える作業を先に行い、◯月◯日に他事業所への展開を検討する。
使う機能を減らして残した「機能が多すぎて使いこなせない」◯月◯日、使う機能を2つから1つに減らして続けると決めた。減らした機能は◯◯で、直しが必要になった箇所が◯週で◯件と多かったためである。当面は使わない機能として一覧に記載し、教える対象からも外す。
週に何回かだけ残した「毎日は無理なので気が向いたときに」◯月◯日、対象の作業を週◯回に減らして続けると決めた。実施する曜日を◯曜日と◯曜日に固定し、勤務表に記載する。実施しない日は従来のやり方で行う。◯月◯日に、回数を戻すかどうかを判断する。
下書きだけ残した「精度が低いので参考程度に使う」◯月◯日、対象の作業のうち、下書きの作成までを新しいやり方で続け、内容の確定は従来どおり◯◯が行うと決めた。確定する者と、確定した日が記録に残る形とする。直しが必要になった欄が同じ箇所で3回続いた場合は、その欄を対象から外す。
特定の利用者だけ残した「難しいケースには使えない」◯月◯日、対象を◯名の利用者に限って続けると決めた。対象から外した利用者は、医療的な処置に関する記載が多く、書く項目が定まっていなかったためである。書く項目を整理したうえで、◯月◯日に対象を広げるかどうかを検討する。
紙を併用したまま残した「念のため紙も続けることにした」◯月◯日、当面は紙と併用して続けると決めた。保存する側は◯◯とし、もう一方は控えとして扱う。併用を終える日を◯月◯日と定め、その日までに必要な準備として、署名欄の扱い・回覧の方法・保存場所の3点を決める。
期間を延ばして残した「もう少し様子を見ることにした」◯月◯日の判断日に、対象の作業を◯月◯日まで延長して続けると決めた。延長の理由は、繁忙の週が3週続き、通常の週の記録が◯週分しか取れていないためである。延長した期間中に通常の週で◯週分を測り、◯月◯日に改めて判断する。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

やり方を変えたときに記録の側で確認される箇所|自治体の公表事例18件との対照(2表・28行)

手順を変えると、変えた事実は記録の側に現れます。様式の名称、保存の年限、周知の記録、研修の記録、会議の記録、記録と請求の突合。運営指導で確認されるのは、どの道具を使ったかではなく、これらの記録が実際の運用と合っているかどうかです。下表は、自治体が公表している運営指導の指摘事例のうち、業務のやり方を変えたときに関係しやすいものを整理し、変える前に決めておくことを並べたものです。

なお、確認の観点・様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。また、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。下表は、事業所が自分で確認するための対照であり、判定を示すものではありません。左の「変えようとしていること」に当てはまる行だけを見てください。

公表されている指摘と、変える前に決めておくこと(18行)

変えようとしていること自治体が公表している指摘(出典)変える前に決めておくこと確認される文書自事業所の状況(記入欄)
使うアセスメント様式を変える実際に使用している課題分析の種類と、運営規程に記載している課題分析の種類とが一致していない(青森県三戸町ウェブサイト掲載 集団指導資料「運営指導における指摘事項(居宅介護支援)」)規程に書かれている様式の名称と、これから使う様式の名称を並べて確認する。名称が変わる場合は、規程の記載を直す担当と時期を先に決める。運営規程、実際に使用しているアセスメント様式、変更届(    )
記録の保存先を紙から電子に移すサービス提供に関する記録等の保存年限は市条例に則ることとされ、運営規程等に保存年限を記載している場合は誤りがないか確認するよう示されている(金沢市「令和7年度 介護サービス事業者集団指導 資料1」記録の整備に関すること)保存する側を1つに決める。保存の年限が規程の記載と合っているかを、指定を受けた保険者の条例で確認する。運営規程、重要事項説明書、記録の保管状況が分かる資料(    )
記録の保存年限の記載を見直す記録の保存期間について、「完結の日から5年間」と記載すべきところ「サービス提供の日」「2年間」となっている例が挙げられている(福井市「令和7年度 介護保険制度等に係る集団指導」)起算日と年数の両方を確認する。書き換える場合は、規程・重要事項説明書・掲示物の3つを同時に直す担当を決める。運営規程、重要事項説明書、同意書、変更届の控え(    )
勤務体制や職員の配置を変える運営規程・重要事項説明書の内容が実態と異なる、または不整合という指摘が挙げられ、差異の多い事項として従業者の職種及び員数、営業日及び営業時間などが示されている(福井市「令和7年度 介護保険制度等に係る集団指導」)実態と書面のどちらを先に変えるかを決める。書面を変える場合、変更届の提出事由に当たるかどうかを保険者の資料で確認する。運営規程、重要事項説明書、掲示物、変更届出書の控え(    )
重要事項説明書の記載を直す運営規程で定めている内容と重要事項説明書の内容が一致しない、算定している加算に関する記載がない、廃止されたサービスに関する記載が残っている等の事例が公表されている(和歌山市 令和3年度 介護保険サービス事業者集団指導資料【Ⅰ共通資料(その1)】)内容を変更する場合に、利用者またはご家族へ改めて説明し同意を得る手順と担当を先に決める。説明する時期も日付で決める。運営規程、重要事項説明書、契約書、同意書、加算届出書、勤務体制表(    )
記載漏れがないか点検する運営規程の「虐待の防止のための措置に関する事項」の記載漏れ、重要事項説明書の「事故発生時の対応」「第三者評価の実施状況」の記載漏れについて指導を受けた事業所があった旨が記載されている(宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1)点検する項目の一覧を先に作る。点検した日と点検した者を残す形にしておく。運営規程、重要事項説明書、掲示物(    )
出退勤の記録の取り方を変える従業員の出退勤記録がなく勤務実態が確認できない、という指導事例が公表されている。実地指導当日に書類が確認できない場合は原則として書類は存在しないものと判断される旨も示されている(和歌山市 令和3年度 集団指導資料【Ⅰ共通資料(その1)】)出勤時間と退勤時間が記された記録を、どの形で残すかを先に決める。切り替えの前後で記録が途切れない日付を選ぶ。タイムカード・出勤簿、月ごとの勤務表、資格証の写し、雇用契約書(    )
研修の実施方法を変える各種研修を同日に実施する場合は、それぞれの内容について行ったことが分かるよう区別して記録することが示されている(松山市介護保険課「運営指導での主な指摘事項及び周知事項について」令和5年度第2回介護保険サービス事業者連絡会資料)記録に残す項目(実施日時・参加者氏名・内容・使用資料)を先に決める。まとめて実施する場合の区別の仕方も決めておく。研修計画(年間)、研修実施記録、使用した研修資料、委員会議事録(    )
入職時の手続きを見直す特に年度途中に採用した職員(中途採用者)に関して、新規採用時の研修が実施できていない事例が見受けられると記載されている(名古屋市「運営指導に係る主な指摘事項(介護保険施設版)」令和5年1月5日)入職時のチェックリストに、実施する研修を項目として組み込む。年度途中の採用でも同じ手順が動く形にする。研修計画、研修実施記録、受講者名簿、入職時チェックリスト、従業者名簿(    )
会議の持ち方・記録の残し方を変える感染症の予防及びまん延の防止のための委員会が開催されていない、委員会の議事録が作成されていなかった、との指摘が複数記録されている(姫路市「令和6年度以前実地指導結果(指定基準等)」)議事録に何を書くかを先に決める。委員会の記録であることが分かる書き方と、周知の時期・方法・対象者の書き方を決める。委員会の議事録、各指針、研修記録、周知記録、担当者の指名記録(    )
会議録の様式を変える運営推進会議の会議録の内容が不足している、議事録を公表していない、との指摘が挙げられ、記載が必要な事項として「運営推進会議への報告」「運営推進会議からの評価、要望、助言等」が示されている(堺市「令和8年度 集団指導 地域密着型編」/神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」)報告事項と、会議からの評価・要望・助言を分けて書く欄を様式に作る。公表の方法と公表日を残す欄も同時に作る。運営推進会議の会議録、出席者名簿、公表状況の記録、市への報告書(    )
職員への周知の方法を変える賃金改善等を行う方法等を処遇改善計画書を用いて職員に周知していない、という指摘が公表されている(宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1)周知の手段(掲示・文書の配布)と、周知した記録の残し方を先に決める。休みだった職員に伝えた日も残す形にする。処遇改善計画書、周知記録(掲示・配布の記録)、就業規則・賃金規程(    )
記録と請求の突合のやり方を変えるサービス提供の記録が残されていない、記録されたサービス内容と請求内容に齟齬がある、記録に具体的なサービス内容や利用者の心身の状況等の記載がない、との指摘が公表されている(宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1)突合する2つの資料の名前と、突合する担当・時期を先に決める。差異が出たときに誰が確認するかも決めておく。サービス提供記録・実施記録、介護給付費請求明細書、サービス提供票(    )
モニタリングの記録の書き方を変える支援経過記録には実施の記載があるがモニタリングの記録がない、モニタリング表と支援経過記録の実施日が一致しない、といった助言・指摘が公表されている(北九州市「令和7年度 ケアプラン点検実施結果」)2つの記録に同じ日付が入る仕組みを先に決める。どちらを先に書くかの順番も決めておく。モニタリング票、支援経過記録(第5表)、居宅サービス計画(第2表)、アセスメント表(    )
計画の見直しの手順を変える実施状況の把握を行わず、身体状況に大きな変化がないことのみをもって多数の利用者に対し一律に短期目標の期間の延長を行っていた、軽微な変更と判断した根拠の記録がない、との事例が挙げられている(金沢市「令和7年度 介護サービス事業者集団指導 資料1」居宅介護支援)判断の根拠をどの記録のどこに書くかを先に決める。定型文が並ばないよう、書く項目を具体に落としておく。居宅サービス計画(第1表・第2表)、モニタリング記録、居宅介護支援経過(第5表)、サービス担当者会議の記録(    )
事故・ヒヤリハットの記録を分ける誤薬・転倒等、介護事故として記録すべきものを、ヒヤリ・ハット事例として記録している、との指摘がある(神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」令和7年3月)分類の基準を事業所内で文書にする。記録の綴りを分ける前に、どちらに入れるかの判断基準を先に決める。事故報告書、ヒヤリ・ハット記録、苦情記録、再発防止策の検討記録(    )
報告の様式を簡素にする運営指導においては介護事故の件数よりヒヤリハット報告の件数の方が少ないといった事例が見受けられると記載され、取組例として様式の簡素化・記載例の作成・研修等を通じた趣旨説明が示されている(名古屋市「運営指導に係る主な指摘事項(介護保険施設版)」令和5年1月5日)簡素にする前に、残す項目を決める。記載例を先に作り、報告が咎めるためのものではないことを説明する場を設ける。ヒヤリハット報告書、事故報告書、委員会議事録、職員へのフィードバック記録(    )
ひな形をそのまま使う施設防災計画について、県の作成指針や本社のマニュアル、他事業者・他団体のホームページからダウンロードしたマニュアル等をそのまま活用したものになっていないかとの注意喚起が記載されている(金沢市「令和7年度 介護サービス事業者集団指導 資料1」非常災害対策に関すること)参考にする資料と、自事業所の事情に合わせて書き換える箇所を分けて決める。書き換える担当と期限も決める。施設防災計画、避難訓練記録、職員への周知記録(    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

変更に伴って見直す文書と、見直しの担当(10行)

やり方を1つ変えると、関係する文書は複数あります。本文だけを直して掲示物が古いまま残る、規程を直して重要事項説明書が残る、という形が起こりやすいところです。直す文書を先に一覧にして、担当と期限を書いてから着手します。

見直す文書どんなときに見直しの対象になるか担当(記入欄)期限(記入欄)
運営規程使用する様式の名称、記録の保存年限、職種と員数、営業日と営業時間などが実際と変わるとき。(    )(    )
重要事項説明書利用者に示している内容(費用、勤務体制、事故発生時の対応、苦情の窓口など)が変わるとき。(    )(    )
掲示物規程や重要事項説明書を直したとき。掲示の内容だけが古いまま残ることが起こりやすい。(    )(    )
手順書・マニュアル書く場所、書く順番、確定する人、保存する場所のいずれかが変わるとき。(    )(    )
入職時のチェックリスト新しい手順を始めたとき。年度途中に採用した職員にも同じ説明が届く形にする。(    )(    )
研修の年間計画新しい手順の説明を研修として位置づけるとき。実施日・対象者・内容の記録の様式も合わせて見直す。(    )(    )
会議録の様式決めたこと・担当・期限を残す欄を足すとき。周知の時期と方法を書く欄も同時に見直す。(    )(    )
周知記録職員への伝え方を変えたとき。伝えた日・方法・対象者が残る形かどうかを確認する。(    )(    )
個人情報の取扱いに関する取決め入力する場所、保存する場所、持ち出しの扱いが変わるとき。同意の要否は保険者の資料で確認する。(    )(    )
年間の予定表開始日・判断日・測り直しの日を決めたとき。判断日が予定表に無いと、判断そのものが行われない。(    )(    )

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

ここまでの5枚の紙——止まっている場所を切り分ける表、職員の言葉を受け止める完成文、最初の1つを決める整理表、止まった記録の残し方、記録の側で確認される箇所の対照表——は、いずれも1回で使い切るものではありません。判断日ごとに同じ紙を出し、同じ欄に書き足していく形で使ってください。止まったこと自体は問題ではなく、止まった場所が分からないまま次の話し合いに進むことが、次の停滞をつくります。

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