【令和8年度】補助金の検索は無料|申請サポートは有料

住宅改修が必要な理由書の書き方|欄別・種目別・状態別の文例104例と記録の一覧

介護保険の住宅改修で提出する「住宅改修が必要な理由書」は、工事の見積書や図面と違って書式に数字が並ばない書類です。だからこそ、書き手によって中身の濃さが極端に変わります。実際に多いのは「危険なので手すりを設置する」「段差があり転倒のおそれがあるため解消する」といった、誰の家でも成立してしまう一行です。

理由書が求めているのは危険の有無ではありません。その人が、いまその場所で、どの動作のどこで止まっているのか。改修後に、その動作を誰の手も借りずにできるようになるのか。この2点が読み取れる文章です。読み手(保険者の担当者)は現地を見ていません。文章だけで、その家の段差の高さと、その人の膝の曲がる角度を想像することになります。

本ページは、理由書の4つの中心的な欄それぞれの書き方を対照表と完成文で示し、そのうえで改修の種目別・場所別・状態別に、そのままコピーして使える完成文を104例掲載しています。完成文にはすべて、主語・動作・数値(段差の高さ、手すりの長さ、通路の幅、歩行距離、所要時間)と、観察した日付・回数を入れてあります。

なお、住宅改修の事前申請の取扱い、添付する書類の種類、審査の進め方、様式の欄名、記録の保管年限は、保険者(指定権者)の要綱により運用が異なります。本ページでは可否の判定を示さず、「一般に示されている定め/貴事業所・利用者の状況(記入欄)/保険者にご確認ください」という対照表の形にしています。改修が給付の対象になるかどうかの判断は、本ページでは行いません。

1. 理由書の欄ごとに、何を書くか

理由書の様式と欄名は保険者により異なりますが、多くの様式に共通して置かれているのが次の4つの欄です。この4欄はそれぞれ違う質問をしています。同じ内容を4回書くと、どの欄も薄くなります。

1-1. 4つの欄が、それぞれ何を聞いているか

欄 その欄が聞いていること 書くと読み手が絵を描けること 書かれていないと読み手が止まること 貴事業所の記入欄
利用者の身体状況 体のどこが、どの程度、どう動かないのか 麻痺・可動域・筋力・持久力・感覚・認知の各面と、歩行距離・所要時間・使用している補助具 「歩行不安定」だけでは、杖歩行なのか伝い歩きなのか、何メートル歩けるのかが分からない  
介護状況 いま誰が、どの動作を、1日に何回、どう手伝っているのか 介護者の続柄・年齢・就労・同居別居・介助の内容と回数・介護者側の負担(腰痛等) 「家族が介護している」だけでは、改修で誰の手が何回減るのかが分からない  
住宅改修により、利用者等が自身で行うことができるようになること 改修後に、介助なしでできるようになる動作は何か 動作の主語(本人か介護者か)、頻度、時間帯、その動作が生活のどこにつながるか 「安全に生活できる」だけでは、何ができるようになるのかが分からない  
改善をしようとしている生活動作 外出する・トイレを使用する・入浴する・食事をする等の、どの動作を対象にするのか 対象動作ごとの「なぜ困難か」「どう改善するか」「どの改修項目で」の3点の対応 動作と改修項目の対応が付かず、工事内容だけが並ぶ  

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

1-2. 「利用者の身体状況」欄の完成文6例

この欄は診断名を書く欄ではありません。診断名は、その人がどう動けないかを説明しません。「脳梗塞後遺症」と書いても、立ち上がれるのか、手すりを握れるのか、階段を昇れるのかは分かりません。書くのは動作の観察結果です。

状況 そのまま書ける完成文
右片麻痺・杖歩行 右片麻痺(発症から2年4か月、ブルンストロームステージ 下肢Ⅳ)があり、屋内は左手でT字杖を持ち、右側の壁に体をあずけて歩行している。10m歩行に42秒、連続歩行は約15mで右下肢の疲労を訴えて立ち止まる。右足関節の背屈が乏しく、つま先が床から離れる高さは2cm程度で、床のわずかな高さの変化でつまずく。令和8年5月と7月に廊下と玄関土間で各1回、前方へ転倒している(いずれも受診なし)。
両膝関節症・立ち上がり困難 両変形性膝関節症により、膝の曲がる角度が右95度・左100度にとどまり、正座と深いしゃがみ込みができない。座面高40cmの椅子からは手すりなしで立ち上がれるが、座面高30cmの浴槽縁からは自力で立ち上がれず、令和8年6月以降は毎回長女が両脇を支えている。歩行は屋内独歩で連続20m可能だが、立ち上がりの初動で膝の痛みを訴え、平均7秒かかっている。
パーキンソン病・すくみ足 パーキンソン病(罹病8年、ホーエン・ヤール分類Ⅲ)で、方向転換時と狭い場所への進入時にすくみ足が出る。廊下からトイレへ入る幅60cmの開口部では、平均9秒その場で足踏みしてから進入している。薬効が切れる起床直後と夕方16時台に動作が最も遅くなり、この時間帯は歩幅が15cm程度まで小さくなる。令和8年7月に廊下の方向転換時に後方へ1回転倒している。
視野障害・段差の見落とし 糖尿病網膜症により両眼の矯正視力が0.1で、足元の視野が欠けている。色の濃淡の差が小さい場所では床面と段差の境目を見分けられず、玄関の上がりかまち(高さ21cm)で足を掛け違える動作が週2〜3回みられる。屋内は壁と家具の位置を記憶して伝い歩きしており、物の配置が変わった日は歩行速度が半分程度に落ちる。
関節リウマチ・握力低下 関節リウマチ(罹病14年)により、両手指のMP関節に尺側偏位があり、握力は右6kg・左5kg。直径3cm以上の丸い握りは把持が続かず、10秒以上握り続けると手指の痛みで離してしまう。手首の背屈にも制限があり、丸いドアノブを回す動作と、指をかける形の引き手の操作ができない。歩行は屋内独歩で連続30m可能だが、両膝と両足趾にも変形があり、朝の起床後1時間は動作が緩慢になる。
認知症・手順の混乱 アルツハイマー型認知症(改訂長谷川式簡易知能評価スケール14点)があり、身体機能では手すりを使わず屋内を独歩できる。一方で、夜間にトイレの場所が分からず、令和8年7月には浴室の扉を開けて濡れた床に入ろうとする行動が3回あった。日中も洗面所と浴室を取り違えることがあり、扉を開けた先が何の部屋かを、扉の形と色で判断している様子がみられる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

1-3. 「介護状況」欄の完成文6例

この欄は、改修後に誰の手が、何回減るのかを読み手が計算するための材料です。だから介護者の側の情報(年齢・就労・持病・訪問の頻度)まで書きます。

状況 そのまま書ける完成文
同居の配偶者が介助 同居の夫(82歳)が主たる介護者。夫自身に腰部脊柱管狭窄症があり、10分以上の立位保持で下肢のしびれが出る。現在は浴室の出入りで1日1回、洗い場からの立ち上がりで両脇を支えており、この介助の後は夫が30分程度横になって休んでいる。日中は夫が買い物で不在になる時間が1日2時間あり、その間の入浴と外出は行っていない。
別居の子が通いで介助 長女(56歳・就労中)が片道25分の距離から週3回(火・木・土)来訪し、入浴と通院の介助を行っている。長女が来ない日は本人が1人で入浴を試みており、令和8年6月に浴槽をまたぐ際に浴槽の縁に腰をぶつけて打撲した経過がある。長女は勤務先の都合で来訪日を増やすことが難しく、来訪日以外の入浴と屋外への外出が課題になっている。
独居・サービスのみ 独居。近隣に親族がおらず、訪問介護が週4回(月・水・金・土の各60分)、通所介護が週2回(火・木)入っている。訪問介護の時間帯以外に介助者はおらず、夜間から早朝のトイレ移動は完全に本人1人で行っている。令和8年7月にトイレ内で立ち上がれなくなり、緊急通報装置で通報して訪問介護員が対応した経過が1回ある。
老老介護・双方に持病 同居の妻(85歳・要支援1)が主たる介護者。妻は右手の握力が12kgで、本人の体を支える力が十分でない。現在は玄関の上がりかまちで妻が前から手を引いているが、令和8年5月に2人とも体勢を崩し、妻が尻もちをついた経過がある。以後、妻は介助に強い不安を訴えており、外出は月2回の通院のみに減っている。
介護者が就労・日中独居 同居の長男(54歳)が主たる介護者だが、平日は7時30分から19時まで就労のため不在で、日中は本人が1人で過ごしている。朝と夜は長男がトイレへの移動を見守っているが、日中5〜6回のトイレ移動は本人が壁を伝って行っている。長男は夜間のトイレ介助のため1晩に平均2回起きており、睡眠の分断が続いている。
介助を受け入れにくい 同居の長女(58歳)が介護者。本人は「人に体を触られたくない」と繰り返し話し、入浴時に長女が体を支えようとすると手を振り払う行動が令和8年6月以降で5回ある。そのため長女は浴室の外で待機し、声かけのみで見守っている。実際の動作は本人が1人で行っており、洗い場から浴槽をまたぐ場面が最も不安定になっている。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

1-4. 「住宅改修により、利用者等が自身で行うことができるようになること」欄の完成文6例

この欄の主語は本人です。「安全になる」「転倒を防止する」は状態の説明であって、動作ではありません。ここに書くのは動詞です。誰が、いつ、何を、何回できるようになるのかを書きます。

対象の動作 そのまま書ける完成文
夜間のトイレ 寝室からトイレまでの3.8mに連続した手すりが付くことで、本人が夜間に1人でトイレへ移動し、便座への立ち座りまでを介助なしで行えるようになる。現在は長男が1晩に平均2回起きて付き添っているが、改修後は夜間の付き添いを行わずに済む見込みで、長男の睡眠の分断が解消される。
入浴 洗い場と浴槽の間に手すりが付くことで、本人が浴槽をまたぐ動作を、手すりを握って片足ずつ行えるようになる。現在は週3回の長女来訪時にしか入浴できていないが、改修後は長女が来ない日も本人が1人で入浴し、入浴の回数を週3回から週6回に増やせる見込みである。
玄関からの外出 上がりかまちの高さ24cmを2段に分割し、あわせて縦手すりが付くことで、本人が手すりを握りながら1段ずつ足を下ろして玄関土間へ降りられるようになる。現在は月2回の通院時のみ妻が前から手を引いているが、改修後は本人が1人で靴を履いて外に出られるようになり、週2回の通所介護の送迎車まで自分で歩いて向かえるようになる。
屋内の移動 廊下と居室の間の3cmの高さの差がなくなることで、本人が歩行器の前輪を持ち上げずに、居室から廊下、廊下からトイレまでを続けて移動できるようになる。現在は高さの変わる箇所ごとに歩行器を持ち上げて越えており、1回の移動で3か所ある。改修後はこの持ち上げ動作がなくなり、日中5〜6回のトイレ移動を本人が1人で行えるようになる。
トイレでの立ち座り 和式便器を洋式便器に取り替えることで、本人がしゃがみ込まずに便座へ座り、立ち上がれるようになる。現在は膝が95度までしか曲がらず和式便器を使用できないため、居室でポータブルトイレを使用しているが、改修後は本人がトイレまで移動して排泄でき、居室でのポータブルトイレの使用と、その後始末を行っている長女の1日4回の作業がなくなる。
屋外の通路の移動 玄関から門扉までの6.2mの通路の砂利を、平らな仕上げに変更することで、本人が歩行器を押しながら門扉まで自分で歩けるようになる。現在は砂利に車輪が取られるため、この6.2mだけを長女が両脇を支えて歩いており、長女の来訪日以外は外に出ていない。改修後は本人が1人で門扉まで出て、新聞の受け取りとゴミ出しを行えるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

1-5. 「改善をしようとしている生活動作」欄の完成文6例

この欄は動作ごとに行が分かれており、1行のなかで「なぜ困難か」「どう改善するか」「どの改修項目で」の3点が対応している必要があります。困難の理由に書いたことと改修項目が対応していない理由書は、読み手が対応関係を推測することになります。

生活動作 そのまま書ける完成文(困難な状況→改善の方法→改修項目)
外出する 玄関の上がりかまちが高さ24cmの1段で、右膝が95度までしか曲がらないため、本人は框に腰かけて足を下ろす方法でしか昇降できず、腰かける動作に平均18秒かかっている。土間側に高さ12cmの式台を置いて2段に分割し、框の縁から土間まで届く縦手すりを付けることで、本人が立ったまま1段ずつ昇降できるようにする。改修項目は、段差の解消(式台の設置)と手すりの取付け。
トイレを使用する トイレの出入口が幅58cmの開き戸で、扉が廊下側に開くため、本人は扉を開けた後に一度後ろへ下がる必要があり、この後退時にふらつきが出ている(令和8年6月に2回、壁に手をついて体勢を戻した)。開き戸を引き戸に取り替え、有効幅を75cmに広げることで、本人が後退せずに正面から便器へ向かえるようにする。改修項目は、引き戸等への扉の取替え。
入浴する 浴槽の縁の高さが洗い場から52cmあり、両膝の曲がる角度が右95度・左100度のため、本人はまたぎ越しの際に片足立ちの時間が4秒以上になり、令和8年6月に浴槽の縁に腰をぶつけて打撲している。浴槽の脇の壁に縦手すりを、洗い場の壁に横手すりを付け、あわせて洗い場に高さ15cmのすのこを敷いて相対的な縁の高さを37cmにすることで、本人がまたぎ越しを2動作に分けて行えるようにする。改修項目は、手すりの取付けと段差の解消。
食事をする 居室と台所の間に高さ4cmの敷居があり、本人は歩行器を持ち上げて越えているが、持ち上げの際に上体が前へ傾き、令和8年7月に敷居の手前で1回転倒している。そのため現在は食事を居室へ運んでもらっており、家族と同じ食卓につく機会が週1回に減っている。敷居を撤去して床面をそろえることで、本人が歩行器のまま台所へ移動し、1日3回の食事を食卓でとれるようにする。改修項目は、段差の解消。
その他の活動(洗濯物を干す) 居室から縁側を経て庭へ出る掃き出し口に高さ32cmの落差があり、本人は手をつく場所がないため1人では降りられず、洗濯物を干す動作を令和8年4月以降すべて長女が代わりに行っている。掃き出し口の外側に2段の踏み台を設置し、縁側の柱に縦手すりを付けることで、本人が1人で庭へ降りて洗濯物を干せるようにする。改修項目は、段差の解消と手すりの取付け。
その他の活動(ゴミ出し) 玄関から門扉までの通路6.2mが砂利敷きで、歩行器の前輪が砂利に取られて進まないため、本人は1人で門扉まで出られず、週2回のゴミ出しを近隣の住民に依頼している状態が令和8年3月から続いている。通路の砂利を平らな仕上げに変更することで、本人が歩行器を押して門扉まで出られるようにする。改修項目は、滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

2. 改修の種目別の完成文24例

介護保険の住宅改修の種類は、告示(厚生労働大臣が定める住宅改修の種類)に6つが定められています。手すりの取付け、段差の解消、滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替え、そしてこれらの改修に付帯して必要となる住宅改修です。

理由書がつまずくのは、この6つの名前をそのまま理由の欄に書き写してしまうときです。「手すりの取付け」は工事の名前であって、理由ではありません。ここでは種目ごとに、改修前の困りごと→改修後にできるようになることを1つの文にした完成文を並べます。個々の工事が給付の対象になるかどうかの判断は保険者(指定権者)が行いますので、その点は保険者にご確認ください。

2-1. 手すりの取付けの完成文4例

場面 そのまま書ける完成文(改修前→改修後)
廊下から寝室 本人は左片麻痺のため右手で壁を伝って歩いており、廊下の途中1.4mの区間だけ収納の扉が続いて手をつく場所がなく、この区間で体が右へ傾いて壁にぶつかる動作が1日3〜4回みられる。廊下の反対側の壁に床から75cmの高さで長さ2.6mの横手すりを連続して取り付けることで、本人が寝室から廊下を通ってトイレまで、途中で手を離さずに移動できるようになる。
浴室の出入りとまたぎ 浴槽の縁が洗い場から52cmの高さにあり、本人はまたぎ越しの際に握る場所がないため浴槽の縁に両手をついて上体を大きく前に倒しており、令和8年6月にこの姿勢から前方へ滑って膝を打っている。浴槽の脇の壁に床から60cm〜140cmの縦手すりを、洗い場側の壁に長さ60cmの横手すりを取り付けることで、本人が縦手すりを握って立位を保ったまま、片足ずつ浴槽に入れるようになる。
トイレの立ち座り 本人は両膝の伸展が弱く、便座(座面高38cm)から立ち上がる際に、正面のペーパーホルダーを引いて体を起こしており、令和8年7月にホルダーの金具が外れて後方へよろけた経過がある。便器の右側の壁に、便座前縁から前方25cmの位置に床から70cmのL型手すりを取り付けることで、本人が体重をかけられる場所を握って、介助なしで便座から立ち上がれるようになる。
玄関の上がりかまち 上がりかまちの高さが22cmあり、本人は昇降のたびに壁に手のひらを押し当てて体を支えているが、壁が滑るため体が沈み込み、月2回の通院時は毎回長男が背中を支えている。框の側面の柱に、土間の床から140cmまで届く縦手すりを取り付けることで、本人が手すりを握って体重を預けながら1人で上がりかまちを昇降し、玄関の外まで自分で出られるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

2-2. 段差の解消の完成文4例

場面 そのまま書ける完成文(改修前→改修後)
居室と廊下の敷居 居室と廊下の間に高さ3.5cmの敷居があり、本人は右足関節の背屈が乏しくつま先が2cm程度しか上がらないため、この敷居に週3回程度つま先を引っかけている(令和8年5月に1回、前方へ転倒)。敷居を撤去して居室と廊下の床面を同じ高さにそろえることで、本人がつまずくことなく居室から廊下へ移動でき、日中5〜6回のトイレ移動を1人で行えるようになる。
玄関の上がりかまち 上がりかまちの高さが27cmあり、本人の右膝は95度までしか曲がらないため、1段では足を下ろせず、現在は框に腰かけて片足ずつ下ろす方法をとっており、この動作に平均22秒かかる。土間側に奥行き40cm・高さ13cmの式台を設置して2段にすることで、1段あたりの高さが14cmと13cmとなり、本人が立ったまま1段ずつ昇降できるようになる。
浴室の洗い場 脱衣所から浴室への出入口に高さ12cmの立ち上がりがあり、本人はここを越える際に片足立ちの時間が3秒以上になって体が左右に揺れ、令和8年7月に2回、扉枠に肩をぶつけている。洗い場に厚さ12cmのすのこを敷いて脱衣所と洗い場の床面をそろえることで、本人が足を持ち上げずに浴室へ入れるようになり、週2回だった入浴が週5回に増やせる見込みである。
掃き出し口から庭 居室の掃き出し口から庭までに高さ34cmの落差があり、本人は膝の痛みのため1人では降りられず、令和8年4月以降は庭に出ていない。掃き出し口の外側に奥行き45cm・高さ17cmの踏み台を2段設置することで、本人が1段17cmずつ昇降でき、庭に出て洗濯物を干す動作と、週1回の草花の手入れを自分で行えるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

2-3. 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更の完成文4例

場面 そのまま書ける完成文(改修前→改修後)
浴室の洗い場の床 洗い場の床が在来工法のタイル張りで、石けん分が残ると滑りやすく、本人は左足の感覚が鈍いため足裏の滑りに気づくのが遅れ、令和8年6月と7月に洗い場で足を滑らせて片手をついた経過が各1回ある。洗い場の床を、濡れた状態でも滑りにくい仕上げの床材に変更することで、本人が洗い場で立ち上がる動作と体を洗う動作を、手すりから手を離した状態でも行えるようになる。
玄関から門扉までの通路 玄関から門扉までの通路6.2mが砂利敷きで、本人が使用している歩行器の前輪(径13cm)が砂利に埋まって進まず、この区間だけ長女が両脇を支えている。通路の砂利を平らで滑りにくい仕上げに変更することで、本人が歩行器を押して門扉まで1人で移動でき、週2回のゴミ出しと、通所介護の送迎車への乗降を自分で行えるようになる。
台所と廊下の床 台所の床が塩化ビニル系のシートで、水はねがあると本人の室内履きが滑り、令和8年7月に流し台の前で足を滑らせて流し台の縁に胸をぶつけている。台所の床を、水がかかった状態でも滑りにくい仕上げの床材に変更することで、本人が流し台の前に立って洗い物をする動作を、1回10分程度続けられるようになる。
畳から板張りへの変更 寝室が畳敷きで、本人が使用している歩行器の車輪が畳に沈み込み、方向転換のたびに畳の縁がめくれて足を取られている(令和8年6月に2回つまずいた)。寝室の床を歩行器の車輪が沈まない板張りに変更することで、本人が寝室内でベッドから机、机から出入口までを歩行器で移動でき、日中の起きている時間を居室で過ごせるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

2-4. 引き戸等への扉の取替えの完成文4例

場面 そのまま書ける完成文(改修前→改修後)
トイレの開き戸 トイレの扉が廊下側に開く開き戸で、有効幅が58cmしかないため、本人は扉を手前に引いた後に一度後ろへ下がる必要があり、この後退の際に体が左へ流れて壁に手をつく動作が1日4〜5回みられる。開き戸を引き戸に取り替えて有効幅を75cmにすることで、本人が後退せずに正面から便器へ進入でき、日中のトイレ移動を介助なしで行えるようになる。
浴室の折れ戸の握り 浴室の折れ戸の取っ手が直径3.2cmの丸い握りで、本人は関節リウマチにより握力が右6kgしかなく、扉を開ける動作に平均14秒かかり、開けられずに家族を呼ぶことが週2回ある。折れ戸を引き戸に取り替え、手のひらで押して動かせる形の引き手にすることで、本人が握らずに扉を開閉でき、家族を呼ばずに1人で浴室へ入れるようになる。
寝室の重い引き戸 寝室の引き戸が敷居に直接乗る古い形式で、動かすのに強い力を要し、本人は左手で戸を押しながら右手で杖を持つ姿勢が保てず、令和8年5月に戸を引く反動で後方へよろけている。戸車と敷居のレールを軽く動く形式に取り替えることで、本人が片手で戸を開閉でき、杖を持ったまま寝室へ出入りできるようになる。
アコーディオンカーテンから引き戸 脱衣所と浴室の間がアコーディオンカーテンで、本人が体をぶつけると大きくたわんで支えにならず、脱衣時のふらつきで令和8年7月に2回、カーテンごと浴室側へ体が入りかけている。カーテンを引き戸に取り替えることで、本人が脱衣時に扉の枠に手をついて体を支えられるようになり、更衣を座らずに1人で行えるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

2-5. 洋式便器等への便器の取替えの完成文4例

場面 そのまま書ける完成文(改修前→改修後)
和式から洋式へ トイレが和式便器で、本人は両膝が95度までしか曲がらずしゃがみ込みができないため、令和8年3月以降トイレを使用できず、居室のポータブルトイレで排泄している。和式便器を洋式便器に取り替えることで、本人がトイレまで移動して便座に座って排泄でき、長女が1日4回行っているポータブルトイレの後始末がなくなる。
便座の高さが合わない 洋式便器の便座高が36cmで、本人の下腿長に対して低く、立ち上がりの際に上体を大きく前に倒す必要があるため、令和8年6月に前方の壁に額をぶつけている。便座の高さが43cmになる便器に取り替えることで、本人が上体をわずかに前に倒すだけで立ち上がれるようになり、1日6回のトイレでの立ち座りを1人で行えるようになる。
向きが動作に合わない 和式便器の向きが出入口に対して横向きで、本人は左片麻痺のため右側からしか便器に近づけず、便器の前で体を90度回す動作の際にふらつきが出て、令和8年7月に壁に肩をぶつけている。出入口に対して正面を向く配置の洋式便器に取り替えることで、本人が方向転換をせずにそのまま便座へ座れるようになる。
段の上の和式便器 和式便器が床から15cm高い段の上に設置されており、本人はこの段を昇ってからしゃがむ二重の動作ができず、現在はトイレの手前で立ち止まって家族を待っている(1日平均5回)。段を解消したうえで洋式便器に取り替えることで、本人が段を昇らずに便座へ座れるようになり、日中のトイレ移動で家族を呼ぶ回数が0回になる見込みである。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

2-6. これらの改修に付帯して必要となる住宅改修の完成文4例

付帯する工事は、「主となる改修が何で、それを成立させるために何が要るのか」という順序で書きます。付帯工事だけを単独で説明すると、読み手はどの改修に付いているのかが分かりません。付帯工事の範囲の取扱いは保険者により異なりますので、保険者にご確認ください。

場面 そのまま書ける完成文(改修前→改修後)
手すりに伴う壁の下地補強 浴室の壁がタイル下地で、手すりを固定するための下地が入っておらず、そのままでは本人が体重をかけたときに手すりが動く。主となる改修である浴槽脇の縦手すりの取付けを成立させるため、取付け位置の壁に下地の補強を行う。これにより、本人が握って体重を預けても手すりが動かず、浴槽をまたぐ動作を手すりに頼って行えるようになる。
段差解消に伴う給排水の切り回し 洗い場に厚さ12cmのすのこを敷いて脱衣所と床面をそろえる段差の解消を行うと、既存の排水口の位置がすのこの下になり、水が流れずに洗い場にたまる。主となる段差の解消を成立させるため、排水口の位置と勾配を変更する工事を付帯して行う。これにより、本人が足を持ち上げずに浴室へ入れる状態を保ちながら、洗い場に水がたまらなくなる。
扉の取替えに伴う壁の改修 トイレの開き戸を有効幅75cmの引き戸に取り替えるにあたり、戸を引き込む側の壁に既存の柱があり、そのままでは戸が最後まで開かない。主となる引き戸への取替えを成立させるため、引き込み側の壁の一部を改修する工事を付帯して行う。これにより、本人が歩行器を押したまま正面からトイレへ進入できるようになる。
便器取替えに伴う床の改修 和式便器から洋式便器への取替えにあたり、既存の和式便器が埋め込まれていた部分の床が下がっており、そのままでは便器の設置面が水平にならない。主となる便器の取替えを成立させるため、便器の周囲の床の下地を水平にそろえる工事を付帯して行う。これにより、本人が便座に座ったときに体が傾かず、立ち上がりの動作を左右対称に行えるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

3. 場所別の完成文20例

同じ「手すりの取付け」でも、玄関とトイレでは書くべき数値が違います。玄関なら框の高さと土間までの距離、トイレなら便座の高さと便器から壁までの距離、浴室なら浴槽の縁の高さと洗い場からの立ち上がり。その場所でしか測れない数字が入っているかどうかが、現地を見た理由書と、見ずに書いた理由書の分かれ目になります。

3-1. 玄関・上がりかまち・廊下・寝室の完成文8例

場所 そのまま書ける完成文
玄関(土間から扉まで) 玄関の土間は奥行き110cm・幅95cmで、靴を履く際に腰かける場所がなく、本人は片手で扉の枠を握ったまま片足立ちで靴を履いており、この姿勢が保てず令和8年6月に2回、土間に尻もちをついている。土間の脇の壁に床から75cmの高さで長さ90cmの横手すりを取り付けることで、本人が手すりを握って体を支えながら、腰かけずに靴の着脱を1人で行えるようになる。
玄関(扉の開閉) 玄関の扉が外開きの開き戸で、本人は扉を押し開けながら1歩下がる動作が必要だが、下がった先が上がりかまちの縁で、令和8年5月に後ろ足が框を踏み外して土間へ落ちている。扉の内側の柱に床から140cmまでの縦手すりを取り付けることで、本人が手すりを握って体の位置を固定したまま扉を押し開けられるようになり、後退の動作がなくなる。
上がりかまち(高さの分割) 上がりかまちの高さが29cmあり、本人の右膝は100度までしか曲がらないため1段では昇れず、現在は框に両手をついて四つ這いの姿勢で上がっており、この動作に平均35秒かかっている。土間側に奥行き45cm・高さ15cmの式台を設置して2段(15cmと14cm)に分けることで、本人が立ったまま1段ずつ昇り、通所介護の送迎車から玄関まで介助なしで戻れるようになる。
上がりかまち(腰かけての昇降) 上がりかまちの高さが18cmで、本人は框に腰かけてから靴を履く方法をとっているが、框の奥行きが12cmしかなく座面が浅いため、腰かけた際に後方へ体が滑る動作が令和8年7月に3回みられた。框の側面に床から70cmの高さで長さ60cmの横手すりを取り付けることで、本人が手すりを握って体を前に保ったまま腰かけ、靴の着脱と立ち上がりを1人で行えるようになる。
廊下(連続した手がかり) 寝室からトイレまでの廊下は全長5.2mで、途中に建具の枠が3か所あり手すりが途切れる。本人は左片麻痺のため右手で壁を伝っており、途切れる箇所で毎回体が右へ流れ、令和8年6月に廊下の中ほどで1回転倒している。廊下の右側の壁に床から75cmの高さで、建具の枠をまたいで連続する長さ5.2mの横手すりを取り付けることで、本人が寝室からトイレまで手を離さずに移動できるようになる。
廊下(幅と方向転換) 廊下の有効幅が72cmで、本人が使用している歩行器(幅58cm)を押すと両側に7cmずつしか余裕がなく、トイレの前で90度方向転換する際に歩行器が壁に当たり、令和8年7月に4回、体勢を崩して壁に肩をついている。トイレ前の廊下の壁の出っ張りを撤去して有効幅を82cmに広げることで、本人が歩行器を壁に当てずに方向転換し、トイレへ正面から入れるようになる。
寝室(起き上がりと立ち上がり) 本人は寝室に布団を敷いて就寝しており、床からの立ち上がりで両手をつく場所がないため、令和8年5月以降は毎朝、妻が両脇を支えて引き起こしている(1日1回・所要約3分)。布団の脇の壁に床から30cm〜90cmの縦手すりを取り付けることで、本人が手すりを握って自分で起き上がれるようになり、妻の引き起こし介助がなくなる。
寝室(出入口までの動線) 寝室の出入口までの3.1mの間に、たんすと座卓の間を通る幅64cmの区間があり、本人はここで歩行器を斜めにして通っており、令和8年6月に歩行器の脚がたんすの角に引っかかって前へつんのめっている。寝室の床を歩行器の車輪が沈まない板張りに変更し、出入口までの動線上に長さ2.4mの横手すりを取り付けることで、本人がベッドから廊下まで途切れずに移動できるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

3-2. トイレ・浴室・脱衣所の完成文6例

場所 そのまま書ける完成文
トイレ(便器への進入と方向転換) トイレの内部は奥行き120cm・幅78cmで、本人は入室後に体を180度回して便器に背を向ける必要があるが、回転の途中で右足が出ずに体だけがねじれ、令和8年7月に3回、便器の縁に腰をぶつけている。便器の右側の壁に床から70cmの横手すりと、出入口側の壁に床から60cm〜130cmの縦手すりを取り付けることで、本人が両手で持ち替えながら方向転換でき、便座へ座る一連の動作を1人で行えるようになる。
トイレ(衣類の上げ下げ) 本人は立位でズボンを下ろす際に片手を壁につく必要があり、もう一方の手だけでは下着まで下ろしきれず、令和8年6月以降は毎回長女が介助している(1日6回)。便器の左右両側に床から75cmの高さで長さ50cmの横手すりを取り付けることで、本人が片手で手すりを握って立位を保ちながら、もう一方の手で衣類の上げ下げを行えるようになり、長女の介助が排泄後の確認のみになる。
浴室(洗い場での座位と立ち上がり) 本人は洗い場で高さ20cmの風呂椅子に座って体を洗っているが、立ち上がる際に握る場所がなく、壁のタイルに手のひらを押し当てて滑らせており、令和8年5月と7月に各1回、尻もちをついている。洗い場の壁に床から70cmの高さで長さ80cmの横手すりを取り付け、あわせて床を濡れても滑りにくい仕上げに変更することで、本人が手すりを握って自分で立ち上がれるようになる。
浴室(浴槽内での姿勢) 浴槽の深さが58cmあり、本人は浴槽の底に座ると膝が伸びきって体が前へ滑り、令和8年6月に湯につかったまま体が沈んで顔が湯面に近づいた場面が1回あった。浴槽内の壁に床から45cmの位置に長さ40cmの横手すりを取り付け、浴槽の底に高さ15cmのすのこを敷くことで、本人が手すりを握って姿勢を保ち、1人で湯につかっていられるようになる。
脱衣所(更衣時の立位保持) 脱衣所は幅90cm・奥行き140cmで、本人は更衣の際に体を支える場所がなく、洗濯機の縁に手をついているが、洗濯機が動くため体が振られ、令和8年7月に2回、洗濯機の角に腰をぶつけている。脱衣所の壁に床から75cmの高さで長さ120cmの横手すりを取り付けることで、本人が手すりを握って片足立ちを保ち、ズボンの着脱を1人で行えるようになる。
脱衣所(浴室との床の高さ) 脱衣所と浴室の間に高さ14cmの立ち上がりがあり、本人は濡れた足でこの段を越える際に足裏が滑り、令和8年6月に浴室側へ体が入りかけて扉枠に肩をぶつけている。洗い場に厚さ14cmのすのこを敷いて脱衣所と床面をそろえ、出入口の両側の壁に縦手すりを取り付けることで、本人が足を持ち上げずに浴室へ入れるようになり、入浴を週2回から週5回に増やせる見込みである。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

3-3. 階段・屋外の通路・門扉の完成文6例

場所 そのまま書ける完成文
階段(屋内・2階への昇降) 屋内の階段は13段(1段の高さ21cm・踏面22cm)で、右側にのみ手すりがある。本人は右片麻痺のため右手で握れず、現在は後ろ向きに1段ずつ降りており、1階まで平均2分40秒かかっている。階段の左側(降りるときの右手側)にも床から手の高さで連続した手すりを取り付けることで、本人が前向きのまま健側の手で握って昇降でき、2階の自室と1階の居間を1日2回行き来できるようになる。
階段(屋外・玄関前の3段) 玄関前の屋外階段は3段(1段の高さ18cm・踏面26cm)で、手すりがなく、本人は雨天時に踏面が濡れて滑るため、令和8年7月に足を滑らせて手すり代わりの植木鉢に手をついて倒している。階段の右側に、最上段から最下段まで届く長さ1.8mの手すりを取り付け、あわせて踏面を滑りにくい仕上げに変更することで、本人が雨天時も1人で階段を昇降できるようになる。
屋外の通路(歩行器の走行) 玄関から通路に出た先の4.8mが土のままで、雨の翌日はぬかるんで歩行器の車輪が取られ、本人はこの区間で立ち止まって家族を待っている(令和8年6月は月8回)。通路を平らで水はけのよい仕上げに変更することで、本人が天候にかかわらず歩行器を押して通路を通行でき、週2回の通所介護の送迎車まで自分で歩けるようになる。
屋外の通路(勾配と手がかり) 玄関から門扉までの通路5.5mに、途中で高さ25cmを上る傾斜があり、本人は上りの途中で息が上がって立ち止まり、平均3回休んでから門扉に着く。通路の傾斜の区間に沿って長さ3.2mの手すりを取り付けることで、本人が手すりを握って体を引き上げながら通行でき、途中で休む回数が1回程度に減る見込みである。
門扉(開閉の動作) 門扉が外開きの開き戸で、開ける際に本人が1歩下がる必要があるが、下がった先の通路が幅78cmしかなく、令和8年7月に2回、後ろ足が通路の縁から外れて体勢を崩している。門扉を引き戸に取り替えることで、本人が後退せずにその場で扉を横に動かして開閉でき、外出と帰宅を介助なしで行えるようになる。
門扉(通路から道路までの段) 門扉の外側に高さ16cmの1段があり、本人は歩行器を持ち上げてこの段を越えているが、持ち上げた際に上体が前へ傾き、令和8年6月に1回、歩行器ごと前方へ倒れかけている。門扉の外側の段を傾斜にして解消し、あわせて門柱に縦手すりを取り付けることで、本人が歩行器を持ち上げずに道路まで出られるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

4. 状態別の書き分け20例

理由書でいちばん差が出るのは、「その状態だからこそ書かなければならないこと」を落としていないかどうかです。片麻痺なら健側がどちらか、パーキンソン病なら1日のうちいつ動きにくいのか、認知症なら身体が動くのに何が起きるのか。ここを書かないと、どの人の理由書も同じ文章になります。

4-1. 片麻痺・パーキンソン病・関節リウマチ・視覚障害・認知症の完成文10例

状態 この状態で書き分ける観点 そのまま書ける完成文
片麻痺 健側がどちらか。手すりは健側に付くか 左片麻痺のため、握って体重を支えられるのは右手のみである。現在の廊下の手すりは進行方向に向かって左側(麻痺側)にあり、本人は握れないまま壁に体を押し付けて歩いている。廊下の右側の壁に床から75cmの高さで長さ4.6mの横手すりを取り付けることで、本人が健側の右手で握って移動でき、寝室からトイレまでの往復を1人で行えるようになる。
片麻痺 昇降の向きが変わる(降りは健側が逆になる) 右片麻痺のため、健側は左手である。屋内の階段は、昇るときは進行方向左側(健側)に手すりがあり本人が握れるが、降りるときは健側が右側になり握れる手すりがなく、現在は後ろ向きに降りている(1階まで平均2分40秒)。階段の両側に手すりを取り付けることで、本人が昇りも降りも健側の左手で握って前向きに昇降できるようになる。
パーキンソン病 1日のうちで動きにくい時間帯。すくみ足が出る場所の幅 パーキンソン病により、服薬の効果が切れる起床直後(6時台)と夕方16時台にすくみ足が強く出る。特に廊下からトイレへ入る幅60cmの開口部では、この時間帯に平均12秒その場で足踏みしてから進入している。トイレの開き戸を有効幅78cmの引き戸に取り替えることで、開口部の幅が広がり、本人が足踏みの時間を要さずに進入できるようになる見込みである。
パーキンソン病 方向転換時の後方への不安定さ パーキンソン病により、方向転換の際に体の重心が後方へ残り、令和8年7月に廊下で1回、後方へ尻もちをついている。特に玄関で靴を履いた後に体を反転させる場面が不安定で、月2回の通院時は毎回長男が背後で支えている。玄関の土間の両側の柱に床から140cmまでの縦手すりを2本取り付けることで、本人が両手で持ち替えながら反転でき、背後からの支えがなくても向きを変えられるようになる。
関節リウマチ 握りの太さと形。握力の実測値 関節リウマチにより握力が右6kg・左5kgで、直径3.2cmの丸い握りは10秒以上保持できない。現在の浴室の折れ戸の取っ手がこの形状で、本人は開けられずに家族を呼ぶことが週2回ある。折れ戸を引き戸に取り替え、手のひら全体を当てて横に押せる形の引き手にすることで、本人が指を曲げずに扉を開閉でき、1人で浴室へ入れるようになる。
関節リウマチ 時間帯による変動(朝のこわばり) 関節リウマチにより、起床後およそ1時間は手指と両膝のこわばりが強く、この時間帯は手すりを握る力が半分程度になる。夜間から早朝のトイレ移動はこの時間帯に重なり、令和8年6月と7月に廊下で各1回、手すりから手が離れて壁にぶつかっている。廊下の手すりを、握らずに前腕を乗せて体重を預けられる形状のものに取り替えることで、こわばりの強い時間帯も本人がトイレまで移動できるようになる。
視覚障害 見え方の実測。色の濃淡の差がつくか 糖尿病網膜症により両眼の矯正視力が0.1で、床面と段差の境目を色の差で見分けられない。玄関の上がりかまち(高さ21cm)で足を掛け違える動作が週2〜3回みられ、令和8年6月に1回、土間へ踏み外している。上がりかまちを2段に分割したうえで、段の縁と床面の色の濃淡がはっきり分かれる仕上げに変更することで、本人が段の位置を目で確認しながら昇降できるようになる。
視覚障害 手で位置を確かめる動線が連続しているか 視野が周辺から欠けているため、本人は壁と家具を手で触って位置を確かめながら歩いている。寝室からトイレまでの廊下は途中1.6mの区間に触れる物がなく、この区間で本人が立ち止まって手を伸ばす動作が1日5〜6回みられる。廊下の壁に床から75cmの高さで連続した横手すりを取り付けることで、本人が手を離さずに位置を確かめ続けられ、夜間のトイレ移動を1人で行えるようになる。
認知症 身体は動く。混乱するのは手順と場所の判別 アルツハイマー型認知症があり、身体機能では手すりを使わず屋内を独歩できる。一方で夜間にトイレの場所が分からず、令和8年7月に浴室の扉を開けて濡れた洗い場に入ろうとする行動が3回あった。浴室の扉を、脱衣所側から見て他の扉と形と色が明確に異なる引き戸に取り替え、あわせて洗い場の床を濡れても滑りにくい仕上げに変更することで、本人が扉の見た目で部屋を区別でき、誤って入った場合も足を滑らせにくくなる。
認知症 覚えた手順が変わらないこと(配置を変えない) アルツハイマー型認知症があり、本人は「右手で柱をつかんでから上がる」という手順を長年繰り返して覚えており、この手順が保たれている限り玄関の昇降を1人で行える。現在の柱は握りが太く手が回らないため、令和8年6月に2回、手が滑って土間へ落ちている。既存の柱と同じ位置に、本人の手に合う太さの縦手すりを取り付けることで、覚えている手順を変えずに、握りだけを確実にできるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

4-2. 独居・車いす利用・歩行器利用・転倒歴あり・退院直後の完成文10例

状態 この状態で書き分ける観点 そのまま書ける完成文
独居 誰もいない時間帯に何が起きるか 独居で、訪問介護が週4回(各60分)入るほかに介助者はいない。訪問のない時間帯のトイレ移動は本人が1人で行っており、令和8年7月にトイレ内で立ち上がれなくなり、緊急通報装置で通報して訪問介護員が対応した経過が1回ある。便器の右側にL型手すり、出入口側に縦手すりを取り付けることで、本人が誰もいない時間帯も自分で立ち上がれるようになる。
独居 助けを呼べない場所(浴室)の扱い 独居で、入浴は訪問介護の入らない日にも本人が1人で行っている。浴室は脱衣所の扉を閉めると外から様子が分からず、令和8年6月に洗い場で滑って30分ほど自力で起き上がれなかった経過がある。洗い場の床を濡れても滑りにくい仕上げに変更し、洗い場の壁に長さ80cmの横手すりを取り付けることで、本人が滑りにくくなり、万一座り込んだ場合も自分で立ち上がれるようになる。
車いす利用 車いすの幅・回転に必要な広さ・車輪が乗り越えられる高さ 屋内で自走式車いす(全幅62cm)を使用している。トイレの出入口が有効幅58cmの開き戸で車いすが通らず、現在は出入口の手前で車いすを降り、壁を伝って便器まで1.2m歩いているが、この歩行が不安定で令和8年7月に2回、壁に肩をついている。開き戸を有効幅80cmの引き戸に取り替えることで、本人が車いすのまま便器の脇まで進入できるようになる。
車いす利用 わずかな高さの差でも車輪が止まる 屋内で介助用車いすを使用しており、居室と廊下の間の高さ2.5cmの敷居で前輪が止まり、そのたびに介助者が車いすの後ろを踏み込んで前輪を浮かせている(1日6回)。この操作の際に本人の体が後方へ傾き、令和8年6月に頭が背もたれから外れた場面が1回あった。敷居を撤去して床面をそろえることで、車いすが止まらずに通過でき、本人の姿勢が傾かなくなる。
歩行器利用 車輪の径と床の材質の相性 屋外で四輪の歩行器(前輪径13cm)を使用している。玄関から門扉までの通路6.2mが砂利敷きで前輪が埋まり、この区間だけ長女が両脇を支えている。通路を平らで滑りにくい仕上げに変更することで、本人が歩行器を押して門扉まで1人で移動でき、週2回のゴミ出しを自分で行えるようになる。
歩行器利用 方向転換に要する広さ 屋内で歩行器(幅58cm)を使用しており、廊下の有効幅が72cmしかないため、トイレ前で90度向きを変える際に歩行器の脚が壁に当たっている(令和8年7月に4回、体勢を崩した)。トイレ前の壁の出っ張りを撤去して有効幅を82cmに広げ、あわせてトイレの扉を引き戸に取り替えることで、本人が歩行器のまま向きを変えてトイレへ入れるようになる。
転倒歴あり いつ・どこで・何回・その後どうなったか 令和8年5月に廊下で1回、6月に浴室の洗い場で1回、7月に玄関の土間で1回、計3回転倒している。いずれも受診には至らなかったが、7月の転倒の後は本人が玄関から外に出ることを避けるようになり、通所介護を2回続けて休んでいる。転倒した3か所それぞれに手すりを取り付け、洗い場の床を滑りにくい仕上げに変更することで、本人が転倒した場所を再び通行できるようになる。
転倒歴あり 転倒の後に減った動作を書く 令和8年6月に浴槽をまたぐ際に浴槽の縁に腰をぶつけて打撲して以降、本人は湯につかることを避け、入浴が週3回から週1回(清拭のみの日を除く)に減っている。浴槽の脇の壁に縦手すりを取り付け、洗い場に高さ15cmのすのこを敷いて相対的な縁の高さを37cmにすることで、本人がまたぎ越しを2動作に分けて行えるようになり、湯につかる入浴を週3回に戻せる見込みである。
退院直後 入院前との差。退院時に受けた説明の内容 大腿骨頸部骨折の手術後、令和8年7月28日に退院した。入院前は屋内独歩だったが、退院時は屋内でも歩行器を使用しており、退院時のリハビリテーション担当者からは「当面は片足に全体重をかける動作を避けること」と説明を受けている。上がりかまちの高さ24cmを2段に分割し、あわせて縦手すりを取り付けることで、本人が片足に全体重をかけずに玄関を昇降できるようになる。
退院直後 いま止まっている生活を書く 令和8年8月4日に退院したが、退院前に自宅を訪問して確認したところ、浴室の出入口に高さ14cmの立ち上がりがあり、現在の本人の下肢の力ではこれを越えられないことが分かった。そのため退院後は清拭のみで、湯につかる入浴を行えていない。洗い場に厚さ14cmのすのこを敷いて脱衣所と床面をそろえ、出入口の両側に縦手すりを取り付けることで、本人が自宅の浴槽で入浴を再開できるようになる。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

5. 悪い例と良い例の16対

「危険なので手すりをつける」は、理由書でもっとも多く見かける一行です。この一行の何が足りないのかを言葉にすると、①どの動作か ②その動作のどこで止まるのか ③改修後に何がどうできるようになるのかの3つです。左列はそのまま読める短さですが、読み終えてもその人の家が1軒も浮かびません。右列はそのままコピーして使える完成文にしてあります。

悪い例(ありがちな一行) 良い例(そのまま貼れる完成文) 何が変わったか
危険なので手すりをつける。 本人は寝室からトイレまでの5.2mを右手で壁を伝って歩いているが、途中3か所の建具の枠で手が離れ、そのたびに体が右へ流れて壁にぶつかっている(令和8年6月に1回転倒)。廊下の右側に建具の枠をまたいで連続する長さ5.2mの横手すりを取り付けることで、本人が手を離さずにトイレまで移動できるようになる。 動作(移動)・止まる場所(建具の枠3か所)・改修後にできること(手を離さず移動)が入った
段差があり転倒のおそれがあるため解消する。 居室と廊下の間に高さ3.5cmの敷居があり、本人は右足のつま先が床から2cm程度しか上がらないため、週3回程度この敷居につま先を引っかけている(令和8年5月に1回、前方へ転倒)。敷居を撤去して床面をそろえることで、本人がつまずかずに居室から廊下へ移動できるようになる。 段差の高さとつま先の上がる高さを並べたので、なぜ引っかかるのかが分かる
歩行が不安定である。 本人は左手にT字杖を持ち、右側の壁に体をあずけて歩いている。10m歩行に42秒、連続歩行は約15mで下肢の疲労を訴えて立ち止まる。玄関から門扉までの6.2mは砂利敷きで足が取られ、この区間だけ長女が両脇を支えている。 「不安定」を、距離・時間・立ち止まる回数に置き換えた
介護者の負担が大きい。 同居の夫(82歳)に腰部脊柱管狭窄症があり、10分以上の立位保持で下肢のしびれが出る。現在は1日1回、洗い場からの立ち上がりで両脇を支えており、この介助の後は夫が30分程度横になって休んでいる。 介護者の側の状態と、介助の回数・介助後に起きていることを書いた
本人が自宅での生活を希望している。 本人は「トイレくらいは自分で行きたい」と繰り返し話している。現在は日中5〜6回のトイレ移動のたびに長男を呼んでおり、長男が就労で不在の平日は壁を伝って1人で移動している。 希望の言葉と、いまの実際の動作の回数が結びついた
入浴が困難である。 浴槽の縁の高さが洗い場から52cmあり、両膝の曲がる角度が右95度・左100度のため、本人はまたぎ越しの際に片足立ちの時間が4秒以上になる。令和8年6月に浴槽の縁に腰をぶつけて打撲し、以降は湯につかる入浴が週3回から週1回に減っている。 「困難」を、縁の高さ・膝の角度・片足立ちの秒数・減った回数で示した
トイレの使用が難しいため改修する。 トイレが和式便器で、本人は両膝が95度までしか曲がらずしゃがみ込みができないため、令和8年3月以降トイレを使用できず、居室のポータブルトイレで排泄している。和式便器を洋式便器に取り替えることで、本人がトイレまで移動して便座に座って排泄できるようになる。 使えない理由(膝の角度)と、いま代わりに何をしているかを書いた
玄関の段差が高い。 玄関の上がりかまちの高さが29cmあり、本人の右膝は100度までしか曲がらないため1段では昇れず、現在は框に両手をついて四つ這いの姿勢で上がっており、この動作に平均35秒かかっている。 「高い」を、実測値・膝の角度・現在とっている姿勢・所要時間にした
床が滑りやすい。 洗い場の床が在来工法のタイル張りで、石けん分が残ると滑りやすい。本人は左足の感覚が鈍く足裏の滑りに気づくのが遅れるため、令和8年6月と7月に洗い場で足を滑らせて片手をついた経過が各1回ある。 床の材質と、本人の感覚の状態を並べたので、なぜこの人に起きるのかが分かる
扉が開けにくい。 浴室の折れ戸の取っ手が直径3.2cmの丸い握りで、本人は握力が右6kg・左5kgのため10秒以上保持できず、扉を開ける動作に平均14秒かかり、開けられずに家族を呼ぶことが週2回ある。 取っ手の太さと握力の実測値を並べ、開けられなかった回数まで書いた
安全に生活できるようにするため。 寝室からトイレまでの3.8mに連続した手すりが付くことで、本人が夜間に1人でトイレへ移動し、便座への立ち座りまでを介助なしで行えるようになる。現在は長男が1晩に平均2回起きて付き添っているが、改修後はこの付き添いを行わずに済む見込みである。 「安全」という状態ではなく、本人ができるようになる動作と、減る介助の回数を書いた
転倒防止のため手すりを設置する。 令和8年5月に廊下で1回、6月に浴室の洗い場で1回、7月に玄関の土間で1回、計3回転倒している。7月の転倒の後は本人が外出を避けるようになり、通所介護を2回続けて休んでいる。転倒した3か所それぞれに手すりを取り付けることで、本人が同じ場所を再び通行できるようになる。 転倒を「防ぐ」ではなく、いつどこで何回起き、その後どの生活が止まったかを書いた
認知症があり見守りが必要である。 本人は身体機能では手すりを使わず屋内を独歩できる。一方で夜間にトイレの場所が分からず、令和8年7月に浴室の扉を開けて濡れた洗い場に入ろうとする行動が3回あった。浴室の扉を他の扉と形と色が明確に異なる引き戸に取り替えることで、本人が扉の見た目で部屋を区別できるようになる。 認知症の人でも身体は動くこと、混乱するのは場所の判別であることを分けて書いた
退院後の生活に不安がある。 大腿骨頸部骨折の手術後、令和8年7月28日に退院した。入院前は屋内独歩だったが、退院時は屋内でも歩行器を使用しており、退院時のリハビリテーション担当者からは「当面は片足に全体重をかける動作を避けること」と説明を受けている。 「不安」ではなく、入院前との差と、退院時に受けた説明の中身を書いた
車いすを使用しているため段差を解消する。 屋内で介助用車いすを使用しており、居室と廊下の間の高さ2.5cmの敷居で前輪が止まり、そのたびに介助者が車いすの後ろを踏み込んで前輪を浮かせている(1日6回)。この操作の際に本人の体が後方へ傾き、令和8年6月に頭が背もたれから外れた場面が1回あった。 2.5cmという「低い段差」でも止まること、その操作で本人に何が起きるかを書いた
ケアマネジャーが必要と判断した。 令和8年8月5日に自宅を訪問し、本人・長女・理学療法士とともに玄関、廊下、トイレ、浴室の4か所で実際の動作を確認した。上がりかまち(高さ24cm)の昇降で本人が框に腰かける方法しかとれないこと、所要時間が平均18秒であることを、その場で計測して確認している。 判断の結果ではなく、いつ誰と、どこで、何を測ったのかという確認の過程を書いた

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

6. 保険者によって異なる取扱いと、公表資料から確認できること

住宅改修は、様式・添付書類・事前の手続き・審査の進め方が保険者(指定権者)の要綱で定められており、地域によって運用が異なります。本ページでは可否を判定せず、確認すべき項目を並べます。空欄は貴事業所の状況を書き込む欄です。

6-1. 保険者に確認する項目の対照表14項目

確認する項目 一般に示されている定めの内容 貴事業所・利用者の状況(記入欄) 確認先
理由書の様式 様式・欄名・記載欄の大きさは保険者が定めている   保険者(指定権者)
理由書の作成者 作成できる者の範囲と、資格の記載欄が様式に置かれている   保険者(指定権者)
工事前に行う手続 着工前の手続の有無・順序・受付の期間は保険者が定めている   保険者(指定権者)
添付する書類の種類 見積書・図面・写真・被保険者証の写し等、求める書類は保険者が定めている   保険者(指定権者)
写真の撮り方 改修前後の同一の角度・日付の写し込み・撮影範囲の指定の有無   保険者(指定権者)
図面に記載する内容 改修箇所の位置・寸法・手すりの長さと高さの記載の要否   保険者(指定権者)
見積書の内訳の細かさ 材料費と施工費の分け方、諸経費の記載方法   保険者(指定権者)
住宅の所有者が本人でない場合 所有者の承諾に関する書面の要否と様式   保険者(指定権者)
住所地と改修する住宅の関係 被保険者証に記載された住所との関係の取扱い   保険者(指定権者)
転居した場合の取扱い 転居の前後での取扱いの考え方   保険者(指定権者)
要介護状態区分が変わった場合 区分の変更があったときの取扱いの考え方   保険者(指定権者)
入院中・入所中の申請 退院・退所の予定に関する書面の要否   保険者(指定権者)
受領の方法 償還払いと受領委任払いの取扱い、登録された施工業者の要否   保険者(指定権者)
書類の保管年限 関係書類を保管する期間は保険者の条例等で定められている   保険者(指定権者)

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

なお、介護保険法に基づく届出書類の作成・提出代行は社会保険労務士の業務です。

6-2. 公表されている運営指導の指摘から読めること

当社が収集した各自治体の公表資料の範囲では、住宅改修が必要な理由書そのものを主題とした指摘事例は確認できませんでした。ここでは創作をせず、同じく「その利用者にとって、どこで、どのような状況のために必要なのか」を記録に書けているかを問うている、福祉用具に関する公表事例2件をそのまま掲げます。理由書の書き方に直接あてはめられる指摘ではありませんが、読み手が求めている情報の粒度は共通しています。

公表されている指摘 公表資料に示されている内容 理由書に置き換えて読むと 出典
必要な理由の記載が不十分/継続の必要性が検証されていない 居宅サービス計画に「特殊寝台」「歩行器」「手すり」を位置付けているが、サービス担当者会議の要点には品目ごとに継続して貸与が必要か検証した結果の記載が確認できなかった、「福祉用具によるサービスは特に変化なく利用いただいています」とのみ記載されていた、この利用者にとってどこに、どのような状況のために福祉用具が必要なのか記載内容から確認ができなかった、と公表されている 理由書でも「どこに」「どのような状況のために」が書かれていなければ、読み手はその家の場面を思い浮かべられない。場所(玄関・洗い場・便器の右側)と状況(またぎ越しの片足立ちが4秒以上)を、必ず対で書く 豊島区「居宅介護支援事業所への運営指導で『改善を要する』と指摘された事項について(令和4年度・22事業所)」
要件を満たすことが確認できる書面がそろっていない 要支援又は要介護1の者に指定福祉用具貸与費を算定しているが、要件を満たしていることが確認できないものが見受けられた、として、必要性に関する書面(理由書または調査票、サービス担当者会議の記録の写し等)を入手して保管する運用が示されている 理由書を書いた後に、その根拠になった資料(訪問して測った寸法の記録、担当者会議の記録、退院時の説明の記録)を手元に残しているか。書面の種類と入手の方法は保険者により異なるため、保険者にご確認ください 大阪市「令和8年度介護事業者等集団指導資料 居宅サービス編」

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

7. 手元に残す記録の一覧

理由書は提出したら手元から離れます。後から「なぜこの高さにしたのか」を説明できるのは、提出物ではなく手元の記録です。下の表は記入欄つきです。保管場所と最終更新日まで埋めて、事業所内の共有の場所に置いてください。保管する期間は保険者の条例等により異なりますので、期間の欄は貴事業所の保険者の定めを確認して記入してください。

残す記録 そこに書いておくこと 作成日(記入欄) 保管場所(記入欄) 最終更新日(記入欄)
住宅改修が必要な理由書の控え 提出した版そのもの。差し替えた場合は版ごとに残す      
自宅訪問の記録 訪問日、同行者(本人・家族・理学療法士・施工業者等)、確認した場所      
寸法の実測メモ 框の高さ、敷居の高さ、通路と出入口の有効幅、浴槽の縁の高さ、便座の高さ      
動作の観察メモ その場で計った所要時間、片足立ちの秒数、休憩の回数、つまずいた回数      
改修前の写真 撮影日、撮影した位置と向き(改修後に同じ角度で撮るため)      
改修後の写真 撮影日、改修前と同じ位置と向きで撮ったもの      
本人・家族の意向の記録 本人が話した言葉そのまま、家族の意向、両者が食い違う場合はその内容      
サービス担当者会議の記録 参加者、住宅改修について検討した内容、他の方法(福祉用具等)との比較      
他の方法を検討した記録 福祉用具の貸与や購入で対応できるかを検討した過程と、その結論の理由      
専門職からの助言の記録 理学療法士・作業療法士・福祉用具専門相談員等の助言の内容と、受けた日      
退院・退所時の情報 退院日、入院前との身体状況の差、退院時に受けた動作上の説明      
主治医からの情報 情報を受けた日、方法(文書・電話・面談)、内容      
見積書の控え 施工業者名、見積日、改修項目ごとの内訳      
図面・平面図 改修箇所の位置、手すりの長さ・高さ・取付け位置の記載      
住宅の所有者に関する記録 所有者が本人以外の場合、承諾を得た日と方法      
保険者に確認した内容の記録 確認した日、担当部署、質問した内容と回答(口頭の場合は要旨)      
改修後の使用状況の記録 改修後に本人が実際にできるようになった動作、できていない動作      
居宅サービス計画への反映 改修後の状態に合わせて計画を見直した日と、変更した内容      

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

理由書を書き終えたら、最後に1つだけ確かめてください。この文章を、その家を見たことがない人が読んで、段差の高さと本人の膝の角度と、改修後に本人が1人でできるようになる動作の3つを、絵として思い浮かべられるか。浮かばない箇所があれば、そこにはまだ数値か動詞が足りていません。

8. 生活動線で書く理由|段階に区切った完成文(4つの動線・32例)

3章の場所別の文例は「その場所で何が起きるか」を書くためのものでした。ただ、本人の困りごとは、場所の中よりも場所と場所のつなぎ目で起きていることが多くあります。寝室を出るとき、廊下を曲がるとき、扉を開けて後ろへ下がるとき。理由書の読み手が「この手すりは、なぜこの長さで、なぜここで途切れないのか」を理解できるのは、動線を段階に区切って、どの段階で動作が止まるかが書かれているときです。

この章では、夜間の排泄・入浴・外出・朝の身支度と食事の4つの動線を、それぞれ8つの段階に区切りました。左の悪い例は、段階を区切らずに動線全体を一言でまとめたものです。右の良い例は、段階ごとに主語・距離や高さの実測値・時刻・観察した日を入れた完成文で、そのまま理由書の「利用者の身体状況」や「改善をしようとしている生活動作」の欄に移せます。数値と日付は例ですので、貴事業所が実際に測った値に置き換えてください。

8-1. 夜間の排泄の動線(寝室→廊下→トイレ→寝室)の完成文8例

動線の段階 悪い例 良い例(そのまま貼れる完成文)
布団からの起き上がり 「夜間の起き上がりが大変である。」 本人は寝室の床に布団を敷いて就寝しており、夜間(0時台と3時台の2回)に起き上がる際、横向きから四つ這いを経て立ち上がるまでに平均55秒かかる。令和8年8月12日の訪問時に同じ動作を確認したところ、立ち上がる途中で左手をつく場所がなく、たんすの取っ手を引いて体を起こしていた。
寝室の出入口 「寝室の出入口が狭い。」 寝室の出入口は有効幅68cmの開き戸で、寝室側に開く。本人は暗い中で扉を手前に引くために一度後ろへ下がるが、下がった位置が布団の縁にあたるため、令和8年8月に2回、布団の縁でかかとを取られて後方へよろけている(同居の長男が物音で気づき確認)。
照明のスイッチまでの区間 「夜は暗くて歩きにくい。」 廊下の照明のスイッチが寝室の出入口から2.1m先にあり、本人は点灯までの区間を手探りで歩いている。この2.1mのうち90cmは収納の扉が続いて手をつく場所がなく、本人はこの区間で両手を前に出して歩幅が10cm程度に狭まる様子が、令和8年8月12日の夜間を想定した確認でみられた。
廊下の曲がり角 「廊下で方向転換が難しい。」 寝室からトイレへ向かう廊下は途中で直角に曲がり、曲がり角の壁が出隅になっている。本人は左片麻痺のため右手で壁を伝っているが、出隅で手が離れて体が右へ流れ、令和8年7月と8月に各1回、曲がり角で膝をついている。いずれも夜間3時台で、長男が発見している。
トイレの扉の開閉 「トイレのドアが使いにくい。」 トイレの扉は廊下側に開く開き戸で、ノブが丸型である。本人は右手で杖を持ったまま左手でノブを回せず、杖を壁に立てかけてから右手で開けているため、扉を開ける間は何にもつかまっていない。令和8年8月の1か月間に、杖が倒れて拾おうとしてふらつく場面を長男が3回見ている。
便座への着座と衣類の操作 「トイレでの動作が不安定。」 本人は便器の前で180度向きを変えてから座るが、向きを変える途中で右足が出ずに体がねじれ、寝間着のズボンを下ろす前に便座に腰が落ちることが令和8年8月に4回あった(本人の申告と、長男が翌朝に濡れた衣類を確認した回数)。
排泄後の立ち上がり 「立ち上がりに介助が必要。」 便座(座面高40cm)からの立ち上がりで、本人は正面の棚の縁を引いて体を起こしている。夜間は眠気で動作が遅く、令和8年8月20日の3時台には立ち上がるまでに約2分かかり、その間に長男が起きて様子を見に来ている。長男は夜間に平均1.5回起きている。
寝室へ戻る復路 「戻りも危ない。」 トイレから寝室への復路は、往路より歩幅が狭く速度も落ちる。令和8年8月12日の確認では、往路6.4mに38秒、復路に52秒かかり、復路の曲がり角で一度立ち止まって壁に額をつけて休んでいた。本人は「帰りの方が足が重い」と話している。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

8-2. 入浴の動線(居室→脱衣所→洗い場→浴槽)の完成文8例

動線の段階 悪い例 良い例(そのまま貼れる完成文)
居室から脱衣所へ 「脱衣所まで移動が大変。」 居室から脱衣所までは廊下を通って4.5mで、本人は着替えを入れた袋を左手に提げて歩いているため、伝い歩きに使える手が右手だけになる。令和8年8月18日の確認では、袋を持たない場合の所要時間が22秒、持った場合が41秒で、途中2回立ち止まった。
立ったままの脱衣 「脱衣時にふらつく。」 脱衣所には腰かける場所がなく、本人は立ったままズボンを脱いでいる。片足を抜く際に洗面台の縁に左手をついているが、縁が濡れていると手が滑り、令和8年8月に1回、洗濯機の側面に肩をぶつけている。ズボン1枚を脱ぐのに約1分かかる。
脱衣所から洗い場への出入口 「浴室の入口に段差がある。」 脱衣所と洗い場の間に高さ13cmの立ち上がりがあり、出入口の扉は内開きの折れ戸である。本人は扉を押しながら段を越えるため、片足立ちの間に扉が戻ってきて体に当たる。令和8年8月18日の確認では、出入口を越えるのに片足立ちの時間が約3秒続いた。
洗い場での移動 「洗い場が滑る。」 洗い場は出入口から風呂椅子まで約1.1mで、床がタイル張りである。本人は濡れた床を素足で歩く際にすり足になり、令和8年7月に石けんの泡が残った床で右足が前へ滑り、両手を浴槽の縁について体を止めている(長女が浴室の外で音を聞いて確認)。
洗体の座位 「座って洗うのが不安定。」 本人は高さ22cmの風呂椅子に座って体を洗っているが、座面が低いため両膝が腰より高くなり、背中を洗う際に体が後方へ傾く。令和8年8月に1回、後ろの壁に背中をぶつけて止まっている。髪を洗う際は目を閉じるため、前後の揺れが大きくなると本人が話している。
浴槽へのまたぎ入り 「浴槽に入りにくい。」 浴槽の縁は洗い場から50cmの高さで、本人は右膝が100度までしか曲がらないため、縁の上で右足を持ち上げきれず、縁にかかとを乗せてから手で足を持ち上げて入れている。この間は両手が足にかかり、どこにもつかまっていない。所要時間は約25秒。
浴槽からの立ち上がり 「浴槽から出られないことがある。」 浴槽の深さが55cmあり、本人は底に座ると立ち上がるための手がかりがなく、浴槽の縁を両手で押して体を起こしている。令和8年8月25日には立ち上がれずに約10分湯につかったままになり、長女が浴室に入って脇を支えて起こしている。以後、長女は湯につかる時間を5分以内に区切っている。
濡れた足での戻り 「入浴後も危険。」 入浴後、本人は濡れた足のまま洗い場から脱衣所へ高さ13cmの段を上がるが、足裏が濡れているため脱衣所の床で滑りやすい。令和8年8月に2回、脱衣所に上がった直後に足を滑らせ、洗面台の縁につかまって体を支えている。体が温まって息が上がっている時間帯である。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

8-3. 外出の動線(居室→玄関→門扉→道路)の完成文8例

動線の段階 悪い例 良い例(そのまま貼れる完成文)
居室から玄関ホールへ 「玄関まで歩くのが大変。」 居室から玄関ホールまでは7.2mで、本人は屋内を4点杖で歩いている。令和8年9月2日の確認では、玄関ホールに着いた時点で呼吸が速くなり、上がりかまちの手前で約30秒立ち止まって休んでから靴を履く動作に移った。外出前にすでに疲労がある状態で、段差の昇降に入っている。
上がりかまちの手前での立位 「玄関で立っていられない。」 上がりかまちの手前には腰かける場所も手をつく場所もなく、本人は靴箱の上に両手をついて立っている。靴箱の天板は奥行き30cmで、手をついたまま下を向くと体が前へ傾き、令和8年8月に1回、靴箱の上の置物を落としている。
靴の着脱 「靴が履けない。」 本人は上がりかまち(高さ20cm)に腰かけて靴を履いているが、腰かけた位置から土間の靴までは手が届かず、毎回長女が靴を履かせている(週2回の通所介護の日と月2回の通院日)。腰かけてから立ち上がるまでに、框の縁を両手で押して約20秒かかる。
玄関扉の開閉と施錠 「玄関ドアが重い。」 玄関扉は外開きで、閉じる力の強い扉である。本人は左手で扉を押しながら右手の杖で体を支えるが、外へ出た後に扉を引いて閉める際、扉の重さで体が扉側へ引かれる。令和8年8月に1回、閉まる扉に引かれてポーチの上でよろけ、送迎の運転手が支えている。
ポーチの段 「玄関前に段差がある。」 玄関扉の外側から道路側へ、ポーチに高さ15cmの段が2段ある。手すりはなく、本人は段の横の外壁に手のひらを当てて降りているが、握る場所がないため肩をねじった姿勢のまま降りている。令和8年9月2日の確認で、2段を降りるのに約18秒かかった。
玄関から門扉までの通路 「通路が歩きにくい。」 玄関から門扉までは8.0mで、そのうち門扉側の3.5mが平板の敷石と砂利が交互に並ぶ仕上げである。敷石どうしの間に高さ1〜2cmの差があり、本人は4点杖の脚が敷石の縁にかかってぐらつくため、この3.5mは足元を見ながら歩幅を詰めて歩き、所要時間が残りの4.5mの約2倍になっている。
門扉の開閉 「門扉が開けにくい。」 門扉は内側に開く開き戸で、掛け金が地面から105cmの位置にある。本人は杖を門柱に立てかけて両手で掛け金を外しているため、その間は何にもつかまっていない。令和8年8月に1回、門扉を引いた反動で後方へよろけ、通路の砂利の上に尻もちをついている。
道路への段と送迎車 「車に乗るまでが危ない。」 門扉の外側に、道路との間で高さ12cmの段がある。通所介護の送迎車は道路側に停まり、本人はこの段を降りてから車の乗降口まで1.5m歩くが、段を降りた直後は杖をつく位置が定まらず、令和8年9月2日の確認では運転手が毎回手を添えていた。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

8-4. 朝の身支度と食事の動線(寝室→洗面所→台所・食卓)の完成文8例

動線の段階 悪い例 良い例(そのまま貼れる完成文)
寝室から洗面所へ 「朝は動きが悪い。」 本人は起床直後(6時30分ごろ)に手足のこわばりが強く、寝室から洗面所までの5.0mを歩くのに、日中の約2倍の45秒かかる。令和8年9月5日の朝の確認では、途中の敷居(高さ2cm)の手前で一度止まり、片手で壁を押しながら越えていた。
洗面台の前での立位保持 「洗面時に立っていられない。」 洗面台の前で、本人は顔を洗うために前かがみになると体が前へ傾き、腹部を洗面台の縁に押し当てて支えている。両手で顔を洗う間は手で体を支えられず、令和8年8月に1回、前かがみのまま膝が抜けて床に座り込んでいる(同居の妻が発見)。
洗面所の出入口の段 「洗面所に段差がある。」 廊下と洗面所の間に高さ4cmの立ち上がりがあり、洗面所側の床は水はねで濡れていることが多い。本人は段を越えた直後の濡れた床で足を滑らせやすく、令和8年8月に2回、段を越えた直後に洗濯機の縁をつかんで体を止めている。
台所への敷居 「台所に行きにくい。」 洗面所から台所へ向かう途中の敷居(高さ3cm)で、本人は歩行器の前輪を持ち上げて越えている。持ち上げる際に上体が前へ傾き、令和8年7月に1回、敷居の手前で歩行器ごと前のめりになっている。現在は朝食を妻が居室へ運んでいる。
食卓の椅子への着座 「椅子に座るのが不安定。」 食卓の椅子は背もたれがあるが肘掛けがなく、本人は歩行器から椅子へ手を持ち替える際に一瞬どこにもつかまっていない状態になる。令和8年9月5日の確認では、持ち替えの瞬間に体が右へ傾き、妻が椅子の背を押さえていた。
食卓からの立ち上がり 「食後に立ち上がれない。」 食後に椅子から立ち上がる際、本人は食卓の天板に両手をついて体を起こすが、天板の縁が丸く手が滑るため、令和8年8月に2回、立ち上がりの途中で椅子に座り戻っている。食卓の脇の壁までは60cmで、手が届く範囲に握る物がない。
配膳の運搬 「食事を運べない。」 本人は以前、自分の食器を台所から食卓まで運んでいたが、歩行器を使い始めた令和8年6月以降は両手がふさがるため運べなくなった。台所から食卓までは3.2mで、途中に敷居が1か所ある。本人は「自分の茶わんくらいは運びたい」と話している。
勝手口からのゴミ出し 「ゴミ出しができない。」 台所の勝手口から屋外のゴミ置き場までの間に高さ25cmの落差があり、手すりはない。本人は令和8年5月まで週2回のゴミ出しを自分で行っていたが、5月に勝手口の段で足を踏み外して以降は行っておらず、現在は別居の長男が週末に来て出している。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

9. 疾患・障害による理由の書き分け|4章にない14の状態(14例)

4章では片麻痺・パーキンソン病・関節リウマチ・視覚障害・認知症と、独居・車いす・歩行器・転倒歴・退院直後を扱いました。ここではそれ以外の14の状態を取り上げます。どの状態にも、その状態だからこそ書かないと読み手に伝わらない観点があります。息切れが出る人なら「何m・何段で息が上がるか」、人工股関節の手術後なら「避けるよう説明を受けている姿勢」、進行する病気なら「今の動作と、主治医から聞いている今後の見通し」です。

診断名は欄に書いて構いませんが、診断名は理由ではありません。下の表の「落としやすい観点」の列を、理由書を書く前のメモの見出しとして使ってください。医学的な見通しは、本人・家族が主治医から受けた説明として、いつ・誰から・どのような説明を受けたかの形で書きます。ケアマネジャーが自分で予後を判断した文にしないことが大切です。

9-1. 骨・関節・脊椎の状態の完成文7例

状態 この状態で落としやすい観点 悪い例 良い例(そのまま貼れる完成文)
変形性膝関節症 膝の曲がる角度と痛みが出る動作。昇りと降りのどちらがつらいか 「膝が悪く段差が困難。」 両膝の変形性膝関節症により、右膝は90度、左膝は105度までしか曲がらない。段を昇るときより降りるときに右膝の内側に痛みが出ており、上がりかまち(高さ23cm)を降りる際は右足を先に下ろせず、毎回左足から後ろ向きに降りている。令和8年8月の1か月で、降りる途中に右膝が折れて框に手をついた場面が2回あった。
人工股関節置換術後 退院時に避けるよう説明を受けた姿勢。その姿勢が自宅のどこで生じるか 「股関節の手術をしたため改修が必要。」 令和8年7月に左人工股関節置換術を受け、8月10日に退院した。退院時、主治医と理学療法士から「股関節を深く曲げる姿勢と、脚を内側にひねる姿勢を避けるように」と説明を受けている。自宅の便座は高さ36cmで、座る際に股関節が深く曲がり、本人は便座に座るたびに左脚を前へ投げ出す姿勢をとっている。
腰椎圧迫骨折 前かがみ・ひねりで痛みが出る動作と、コルセット装着の有無 「腰が痛くて動けない。」 令和8年6月に第1腰椎の圧迫骨折があり、現在も外出時と入浴時以外はコルセットを着けている。前かがみになると腰部に痛みが出るため、本人は浴槽をまたぐ際に上体を前に倒せず、縁(高さ48cm)を越える間、上体を後ろへ反らした不安定な姿勢になる。令和8年8月の入浴6回のうち4回、またぐ途中で一度止まって長女を呼んでいる。
腰部脊柱管狭窄症 連続して歩ける距離と、休むと回復するかどうか(休める場所があるか) 「長く歩けない。」 腰部脊柱管狭窄症により、立ったまま歩き続けると約5分(距離にして約60m)で両下肢にしびれが出て、前かがみで1〜2分休むと再び歩けるようになる。玄関から門扉を経て路線バスの停留所までは約120mあり、途中で休むために門扉の外の塀に寄りかかっているが、塀に手をかける場所がなく、令和8年8月に1回、寄りかかった姿勢から前へ崩れて膝をついている。
骨粗しょう症・円背 背中の丸まりで視線が下がること。手すりの高さが合うか 「背中が曲がっている。」 骨粗しょう症による円背があり、立った姿勢で顔が床の方を向き、本人の目線は約1.5m先の床にある。そのため前方の柱や扉の枠に気づくのが遅れ、令和8年8月に2回、廊下の扉の枠に額をぶつけている。立った姿勢での肘の高さは床から約78cmで、既存の廊下の手すり(床から85cm)では手首が上がりすぎて体重をかけられないと本人が話している。
下肢切断(義足) 義足を着けている時間帯と外している時間帯で動作が違うこと 「義足のため移動が難しい。」 右下腿切断により、日中は義足を装着して屋内を杖なしで歩いているが、夜間と入浴時は義足を外している。義足を外した状態では片足で跳ぶか床を這って移動しており、夜間(1〜2回)のトイレは寝室から4.2mを這って移動している。入浴は義足を外して脱衣所の床に座ってから行うため、脱衣所から洗い場への高さ12cmの立ち上がりを座ったまま越えている。
肩関節の拘縮 手を上げられる高さ。手すりの位置と開閉の操作が届くか 「肩が上がらない。」 右肩関節の拘縮により、右腕は肩の高さ(床から約120cm)より上に上げられない。玄関の縦手すりは床から80cm〜160cmに付いているが、本人が握れるのは120cmまでで、上がりかまちを昇る際に手を上へ持ち替えられず、体を引き上げきれない。令和8年9月3日の確認では、2回目の昇りで手が届かず、框に膝をついて上がった。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

9-2. 心肺・神経・その他の状態の完成文7例

状態 この状態で落としやすい観点 悪い例 良い例(そのまま貼れる完成文)
慢性心不全 何m・何段・何分で息が上がるか。休む場所が動線上にあるか 「心臓が悪く体力がない。」 慢性心不全があり、平らな場所を約30m歩くか、階段を4段昇ると息が上がり、1〜2分立ち止まって休んでいる。入浴後は特に息切れが強く、令和8年8月の入浴時は毎回、洗い場から脱衣所へ上がった直後に壁に寄りかかって約2分休んでいた。寄りかかる壁は濡れると手が滑る仕上げで、つかまる場所はない。
慢性閉塞性肺疾患(在宅酸素) 酸素のチューブを引いて歩くこと。チューブが段や扉に掛かる場面 「酸素をしていて動きにくい。」 慢性閉塞性肺疾患により在宅酸素療法を受けており、屋内では長さ約7mのチューブを引いて歩いている。寝室からトイレへの途中にある敷居(高さ2.5cm)と、トイレの開き戸の下端にチューブが引っかかり、本人は振り返ってチューブを外す動作を往復で2〜3回行っている。振り返る際に体が後方へ傾き、令和8年8月に1回、扉の枠にもたれて体を支えている。
人工透析 透析日と非透析日で体の状態が違うこと 「透析のため体力が低下している。」 週3回(月・水・金)、午前中に血液透析を受けている。透析から帰宅した直後は立ちくらみが出やすく、玄関の上がりかまち(高さ22cm)を上がった直後に、令和8年8月に2回、その場にしゃがみ込んでいる。透析のない日は同じ段を手すりなしで昇降できている。帰宅は送迎車で、12時30分ごろである。
脊髄小脳変性症 体の揺れが出る動作。方向転換や足元を見ない場面で悪化するか 「ふらつきがある。」 脊髄小脳変性症により、立った姿勢で体が前後左右に揺れ、足を左右に広げて歩いている(両足の幅は約30cm)。方向転換と、足元を見ずに歩く場面で揺れが大きくなり、令和8年8月の1か月で、トイレの中で向きを変える際に3回、壁に両手をついて止まっている。主治医からは、ゆっくり進行する病気であると説明を受けている(令和8年4月の受診時、本人と長女が同席)。
糖尿病性の末梢神経障害 足の裏の感覚。滑ったことや段差に気づけるか 「糖尿病で足が悪い。」 糖尿病による末梢神経障害で、両足の裏の感覚が鈍く、本人は床の濡れや敷居の位置を足で感じ取れない。令和8年7月に浴室の洗い場で右足が滑ったことに気づかず、そのまま体重を乗せて転倒し、右手首を打撲している。主治医から、足先の小さな傷にも気づきにくいので素足で歩かないよう説明を受けている。
脳卒中後の左半側空間無視 左側にある物に気づかないこと。手すりや段が左にあると使われない 「高次脳機能障害がある。」 脳梗塞の後遺症で左半側空間無視があり、本人は左側にある物や段に気づかないことが多い。廊下の手すりは進行方向の左側にあるが、本人は使っておらず、右側の壁を伝って歩いている。令和8年8月20日の確認では、トイレの入口の左側の柱に、3回のうち2回、左肩をぶつけた。声をかけると左を向けるが、1人のときは気づかない。
筋萎縮性側索硬化症などの進行性の病気 今の動作と、主治医から受けている今後の見通しの説明を分けて書く 「今後悪化するので先に改修する。」 筋萎縮性側索硬化症により、現在は屋内を両手で手すりを握って歩いているが、両手の握力は右10kg・左8kgで、令和8年3月の測定(右14kg・左12kg)より低下している。令和8年8月の受診時に、主治医から本人と妻へ、今後は手で体を支える力がさらに弱まる見通しであると説明があった。改修は現在の伝い歩きの動線を対象とし、見通しについては主治医の説明として記載する。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

10. 福祉用具との使い分けの検討記録|比べた方法と結論の理由(14例と公表事例5件)

同じ困りごとに対して、工事を伴う住宅改修と、工事を伴わない福祉用具(置き型や突っ張り型の手すり、入浴の補助用具、スロープなど)の両方が候補になる場面は少なくありません。どちらで対応するかを決めた過程は、理由書の本文に書き切れなくても、手元の記録として残しておくと、後から「なぜ工事にしたのか」「なぜ福祉用具で足りると考えたのか」を説明できます。

下の表は、比べた方法・試した日・誰が立ち会ったか・結論の理由を書いた検討記録の文例です。どちらの方法が介護保険の給付の対象になるか、どの制度(住宅改修・福祉用具貸与・特定福祉用具販売)で扱うかの判断は保険者が行います。本ページでは判定を示しませんので、迷う場合は保険者にご確認ください。記録には、保険者に確認した日・担当部署・回答の要旨まで書いておきます。

10-1. 比べた方法と結論の理由を書く記録文例14例

検討した場面 比べた方法 悪い例 良い例(検討の過程と結論の理由)
浴槽のまたぎ 浴槽の縁に挟む手すり/壁に付ける縦手すり 「浴槽手すりを検討したが改修とした。」 令和8年8月20日、福祉用具専門相談員の立会いで浴槽の縁に挟み込む形の手すりを試した。浴槽の縁の厚さが約2cmと薄く、本人が体重をかけると手すりが内側へ約1cm傾いた。本人は「握ると動くので怖い」と話し、またぎ越しの際に手を離した。この結果を本人・長女に伝え、壁に付ける縦手すりと比べて検討した。
廊下の伝い歩き 突っ張り型の手すり/壁に付ける横手すり 「据え置き型では不十分と判断。」 令和8年8月22日、天井と床の間に突っ張る形の手すりを廊下の曲がり角に1本置いて試した。曲がり角の1点は握れたが、本人が必要とするのは寝室からトイレまでの5.2mの連続した手がかりで、1本では手を持ち替える区間が残った。2本置くと廊下の有効幅が72cmから約60cmに狭まり、歩行器が通らなかった。
玄関の上がりかまち 置くだけの踏み台/式台の設置と縦手すり 「踏み台で対応可能か検討した。」 令和8年9月1日、高さ12cmの置き型の踏み台を土間に置いて試した。踏み台は本人が上に乗ると土間の上で約1cm前後に動き、本人は踏み台の上で足を止めて足元を確認していた。手すりがない状態では左手で靴箱の天板をつかんでおり、踏み台とは別に握る場所が必要であることを長男と確認した。
玄関の上がりかまち(福祉用具とした例) 置き型の手すりつき踏み台/式台の設置 「改修は不要と判断。」 令和8年9月3日、置き型の手すりつき踏み台を試したところ、本人は手すりを握って1段ずつ昇降でき、踏み台も動かなかった。賃貸住宅で、所有者から壁への穴あけは控えてほしいと伝えられていることもあり、本人・長女と相談のうえ、まず福祉用具で2週間使ってみて、9月17日に使用状況を確認することにした。
トイレの立ち上がり 便器に据え付ける手すり/壁に付けるL型手すり 「据え置きの手すりにした。」 令和8年8月25日、便器の両脇に据え付ける形の手すりを試した。トイレの幅が78cmで、両脇に置くと本人が便器の正面に回り込む余地が約15cmになり、方向転換の際に手すりに膝が当たった。片側だけ置いた場合は立ち上がりに使えたため、右側の壁にL型手すりを付ける方法と片側の据え付け手すりの2案を本人・妻に示した。
便座の高さ 補高便座/便器の取替え 「補高便座では対応できない。」 令和8年8月25日、既存の便座の上に乗せる補高便座(約5cm)を試した。座面の高さは41cmになり立ち上がりは楽になったが、本人が座る際に補高便座が便器の上で左右にずれ、2回目の着座で右へ約2cmずれた。本人は座るたびに手で位置を直していた。この状況を写真に残し、便器の取替えと比べることにした。
浴槽内での立ち上がり 浴槽内の台/浴槽脇の縦手すり 「浴槽台を使う方向で検討。」 令和8年8月27日、浴槽の底に置く台(高さ15cm)を試し、台に腰かけてからの立ち上がりは手すりなしでも行えた。ただし台に移る前に浴槽の中で体の向きを変える際、本人はつかまる場所がなく浴槽の縁を握っていた。台と縦手すりを組み合わせる案と、台のみの案を、入浴に立ち会う長女と比べた。
屋外の段 スロープの置き敷き/段の解消工事 「スロープを置いた。」 令和8年9月4日、門扉の外の段(高さ12cm)に置き型のスロープを試した。歩行器の車輪は乗り越えられたが、スロープは道路にはみ出す長さになり、通行する車両と自転車の妨げになることを長男が指摘した。段が敷地の内側にあるか外側にあるかを施工業者に測ってもらい、その結果をもとに保険者に確認することにした。
寝室の起き上がり 介護ベッドの貸与/壁の縦手すり 「ベッドは本人が拒否。」 令和8年8月12日、床からの起き上がりについて、介護ベッドの貸与を本人に提案したが、本人は「布団で寝たい。ベッドは病院を思い出す」と話し、受け入れなかった。長男も本人の意向を尊重したいと話した。布団の脇の壁に縦手すりを付ける方法を検討することとし、介護ベッドについては本人の状態が変わった時点で再度話し合うことを確認した。
浴室の床 浴室用の滑り止めマット/床材の変更 「マットでは不十分。」 令和8年8月18日、洗い場に浴室用の滑り止めマットを敷いて試した。マットは滑りにくかったが、マットの縁(厚さ約1cm)に本人のつま先が2回引っかかり、マットの下に水がたまって入浴後の掃除を長女が毎回行う必要があった。長女は「毎回のマットの手入れは続けられない」と話した。
廊下の敷居 室内用の小さなスロープ/敷居の撤去 「ミニスロープを置いた。」 令和8年8月22日、敷居(高さ3cm)の両側に置く室内用のスロープを試した。歩行器の前輪は持ち上げずに越えられるようになり、本人も「これなら楽」と話した。置いた状態で2週間使ってみて、つまずきや歩行器の引っかかりがないかを9月5日に確認することにした。工事の検討はその結果を見てから行う。
トイレの扉 扉を外してカーテンにする/引き戸への取替え 「カーテンを提案した。」 令和8年8月25日、トイレの開き戸を外してカーテンに替える案を、本人と妻に示した。妻は「来客のときに困る。音とにおいが気になる」と話し、本人も扉があることを望んだ。扉を残したまま開閉の後退動作をなくす方法として、引き戸への取替えを施工業者に相談することにした。
移動の手段 歩行器の種類の変更/通路の仕上げの変更 「歩行器を替えたが改善せず。」 令和8年9月1日、前輪径13cmの歩行器から、前輪径が大きい屋外用の歩行器に替えて、砂利敷きの通路6.2mを試した。前輪は砂利に埋まりにくくなったが、後輪が砂利に取られて真っすぐ進まず、本人は途中で2回止まった。所要時間は替える前の2分10秒から1分50秒に短くなったが、長女の支えは引き続き要した。
保険者への確認 — 「保険者に確認済み。」 令和8年8月28日、保険者の介護保険担当(電話)に、浴槽の縁に挟む手すりと壁に付ける縦手すりの両案について問い合わせた。着工前の手続の有無と順序、使う様式、添付する写真の撮り方について回答を受け、担当者名と回答の要旨を同日の支援経過に記録した。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

最後の行の「回答の要旨」は、保険者ごとに内容が異なります。文例をそのまま使わず、貴事業所が実際に確認した内容を書いてください。

10-2. 公表されている指摘から読める検討記録の要点5件

当社が収集した各自治体の公表資料の範囲では、住宅改修そのものを主題とした指摘は確認できませんでした(6-2と同じ)。ここでは、福祉用具を位置付ける際の検討の過程と理由の記録について公表されている事例のうち、6-2で取り上げていないものを掲げます。住宅改修の指摘ではありませんが、住宅改修と福祉用具を比べた記録を残す際の参考になります。

公表されている指摘 公表資料に示されている内容 住宅改修との比較の記録に置き換えると 出典
位置付ける際の検討が不十分/必要な理由が計画にない 福祉用具貸与・販売を位置付ける際の検討が不十分である、福祉用具貸与の必要性について検証していたが居宅サービス計画にその理由がない、と公表されている 検討したこと自体よりも、検討の結果とその理由が書面に残っているかが問われている。住宅改修と福祉用具を比べた場合も、比べた方法・試した結果・選んだ理由を、支援経過や担当者会議の記録に残す 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(居宅介護支援・介護予防支援に関する事項)」
同一種目で複数の福祉用具を提案していない 同一種目における複数の福祉用具の提案がされていない事例が散見される、利用者側から特定の福祉用具の貸与希望があった際に複数提案をしていない、と公表されている 本人や家族が最初から「手すりの工事をしたい」と希望している場合でも、他の方法を示したかどうかを記録に残す。示した方法と、本人・家族がそれをどう受け止めたかを、本人の言葉で書く 堺市「令和8年度 集団指導 居宅事業所編」
販売があった際に担当者会議の記録がなく計画にも反映されていない 特定福祉用具販売があった際、サービス担当者会議の記録がなく、居宅サービス計画へ反映されていなかった、と公表されている 福祉用具を購入した場合も、住宅改修を行った場合も、その後の生活が変わるのであれば計画の見直しの要否を検討することになる。会議や照会の記録と、計画へ反映した日を手元の一覧に残す(7章の「居宅サービス計画への反映」の行) 姫路市「令和6年度以前実地指導結果(指定基準等)」
貸与と販売の計画が別々に作成されていた 指定福祉用具貸与と指定特定福祉用具販売を利用する利用者の計画が別々に作成されていた、計画を一体的に作成すること、と公表されている 住宅改修と福祉用具を組み合わせる場合(例:浴槽脇の縦手すりの工事と浴槽内の台)、どの困りごとにどの方法を当てたのかを1つの記録の中で対応させて書く。別々に書くと、組み合わせた理由が読み取れない 久留米市介護保険課育成・支援チーム「近年の運営指導における主な指摘事例」(令和5年度作成)
計画が居宅サービス計画に沿っていない・適時に変更されていない 長野県の令和6年度運営指導結果(福祉用具貸与・特定福祉用具販売)で、指摘22件のうち計画の作成等の不備が7件で最多、既に作成されている居宅サービス計画の内容に沿って作成していない事例や、適時適切に計画が変更されていない事例があった、と公表されている 住宅改修の後に福祉用具の使い方が変わる(例:改修で置き型の手すりを使わなくなる)場合、居宅サービス計画と福祉用具の計画の両方が改修後の状態に合っているかを、改修後の確認の日にあわせて見直す 長野県健康福祉部地域福祉課福祉監査担当「令和6年度運営指導結果の概要(福祉用具貸与・特定福祉用具販売)」

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

11. 施工後の効果確認とモニタリングの記録|時期別の文例(26例)

理由書の「自身で行うことができるようになること」の欄に書いた動作が、改修の後に本当にできるようになったか。これを確かめて書き残すのが施工後の確認です。理由書に「夜間に1人でトイレへ移動できるようになる」と書いたのであれば、確認の記録にも同じ動作・同じ時間帯・同じ数え方で結果を書きます。理由書と同じ物差しで測ることで、改修の前と後を比べられるようになります。

確認の時期や回数に決まった型はありません。下の表は、施工の完了日から6か月後までの時期ごとに、何を確かめて、どう書くかを並べたものです。モニタリングの記録(支援経過など)にそのまま転記できる文にしてあります。

11-1. 確認の時期ごとに何を書くかの記録文例16例

確認の時期 確認する項目 悪い例 良い例(そのまま記録に書ける文)
施工完了の日 取付けの位置と高さが、図面と理由書のとおりか 「工事完了を確認。」 令和8年9月10日、施工業者・本人・長女の立会いで完了を確認した。廊下の横手すりは床から75cm・長さ5.2mで、図面の記載と一致した。建具の枠の3か所で手すりが途切れずにつながっていることを、本人が寝室からトイレまで手を離さずに歩いて確かめた。
施工完了の日 本人が実際に握ってみて、握りの太さと位置が合うか 「本人も満足している。」 令和8年9月10日、本人が浴槽脇の縦手すりを握って浴槽への出入りを1回行った。握った位置は床から約95cmで、手すりの範囲(60cm〜140cm)の中に収まっていた。本人は「太さがちょうどいい。手が回る」と話した。服を着たままの確認のため、入浴時の確認は次回とした。
施工完了の日 改修後の写真を、改修前と同じ位置と向きで撮ったか 「写真撮影済み。」 令和8年9月10日、改修後の写真を4枚撮影した。改修前(8月12日)の写真と同じく、寝室の出入口から廊下の奥へ向けた角度、トイレの入口の正面、浴室の出入口の脱衣所側、玄関の土間から框を見上げる角度で撮り、撮影日を写し込んだ。
施工完了の日 本人と家族に、使い方と注意する点を伝えたか 「使い方を説明した。」 令和8年9月10日、本人と長女に、縦手すりは上から下へ握り替えながら使うこと、濡れた手で握るときは一度タオルで拭くことを伝えた。本人は実際に握り替えを2回行った。長女には、手すりに洗濯物やタオルを掛けないよう伝え、了解を得た。
施工後1週間 理由書に書いた動作を、書いた時間帯にできているか 「問題なく使えている。」 令和8年9月17日に電話で長男に確認した。施工後の7日間、本人は夜間(0時台と3時台)に1人でトイレへ移動しており、長男が付き添った夜は0回だった。長男が物音で起きて様子を見に行った夜は2回あったが、いずれも本人は手すりを握って移動していた。
施工後1週間 改修した場所以外で、新たな困りごとが出ていないか 「特に変化なし。」 令和8年9月17日の電話で長女から、浴室の出入口は越えやすくなったが、脱衣所の床が濡れて滑りやすくなったとの話があった(すのこの上から脱衣所に上がる際、足裏の水分が多くなっている)。9月24日の訪問で脱衣所の床を確認することにした。
施工後2週間 改修前に数えていた回数(介助・転倒・休憩)が変わったか 「介助が減った。」 令和8年9月24日の訪問で、妻に入浴の介助の回数を確認した。改修前は週2回の入浴のたびに、またぎ越しで妻が両脇を支えていたが、改修後の2週間(入浴5回)では、妻が支えた回数は0回で、浴室の外で声をかけて見守った。入浴の回数は週2回から週2〜3回になった。
施工後2週間 所要時間を、改修前と同じ方法で測ったか 「動作が早くなった。」 令和8年9月24日、改修前(8月12日)と同じく、上がりかまちの昇りの所要時間を、本人が框の前に立ってから框の上で両足がそろうまでで測った。改修前は框に両手をついた四つ這いの姿勢で平均35秒だったが、改修後は式台と縦手すりを使って立ったまま昇り、3回の平均で14秒だった。
施工後1か月 本人の言葉で、生活がどう変わったか 「本人の満足度は高い。」 令和8年10月10日の訪問で、本人は「夜にトイレへ行くとき、息子を起こさなくてよくなったのが一番うれしい」と話した。長男は「夜中に起きる回数が減って、仕事中に眠くなることが減った」と話した。長男が夜間に起きた回数は、9月の1か月で4回(改修前は1晩に平均2回)だった。
施工後1か月 理由書で見込んだ生活の広がり(外出・入浴回数など)が実際にどうなったか 「外出が増えた。」 令和8年10月10日、本人の外出の状況を確認した。改修前は月2回の通院のみだったが、9月は通院2回に加えて、近所の商店へ長女と2回、通所介護の見学に1回出かけた。玄関の昇降で長女が手を添えた回数は、5回の外出のうち1回(雨の日)だった。
施工後1か月 居宅サービス計画の見直しが要るか 「計画の変更は不要。」 令和8年10月10日、改修後の状態を踏まえ、居宅サービス計画の見直しの要否を検討した。入浴は妻の見守りで行えるようになったため、訪問介護の入浴介助(週1回)を続けるかを本人・妻と話し合った。本人は「当面は続けたい」と話したため、10月のサービス担当者会議で各事業所の意見を聞くことにした。
施工後3か月 改修した場所で、転倒やヒヤリとした場面がないか 「転倒なし。」 令和8年12月10日の訪問で、9月10日の施工後3か月間の転倒とヒヤリとした場面を、本人・長男・訪問介護事業所の記録で確認した。廊下とトイレでの転倒は0回、ヒヤリとした場面は11月に1回(トイレの中で方向転換の際に右足が出ず、L型手すりを握って止まった)だった。改修前の3か月間は転倒2回だった。
施工後3か月 手すりなどの状態(ぐらつき・汚れ・物が掛かっていないか) 「設備に異常なし。」 令和8年12月10日、取り付けた手すり4か所を本人と確認した。浴槽脇の縦手すりを本人が握って体重をかけた際、ぐらつきはなかった。廊下の横手すりの中ほどにタオル掛けとして使われた跡があり、長女に改めて物を掛けないよう伝えた。
施工後6か月 本人の状態の変化と、改修した設備がまだ合っているか 「状態は安定している。」 令和9年3月10日、本人の歩行の状態を確認した。10m歩行は改修前の42秒から38秒で、連続歩行は約15mから約20mになった。廊下の手すりは引き続き毎回使っている。一方、右膝の痛みが増し、上がりかまちの式台を降りる際に右足から下ろせない日が週に1〜2回あると本人が話した。
状態が変わったとき 入院・区分変更などで、改修した設備が合わなくなっていないか 「状態変化あり。」 令和9年1月20日に肺炎で入院し、2月14日に退院した。退院前の2月10日に自宅を訪問し、本人の状態と設備を照らし合わせた。入院前は廊下の手すりで伝い歩きしていたが、退院時は歩行器を使用しており、廊下の有効幅(手すり取付け後72cm)で歩行器(幅58cm)が通れることを確認した。
確認を終えるとき 確認をいったん区切る理由と、次に見る時期 「確認終了。」 令和9年3月10日、施工後6か月の確認を区切りとし、以後は毎月のモニタリングの中で、夜間のトイレ移動の状況と廊下の手すりの使用状況を確認することにした。本人の状態が変わったとき(入院・転倒・区分変更)は、改修した設備が合っているかをその都度確認する。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

11-2. 想定と違った結果を書く記録文例10例

施工後の確認で、理由書に書いたとおりにいかなかったことが分かる場合もあります。そのとき記録から外すのではなく、何が起きたか(事実)→その場でしたこと→次に確かめる日の順で書きます。うまくいかなかった記録は、次に同じような家の理由書を書くときの材料になります。

起きたこと 悪い例 良い例(事実→対応→次の確認日)
手すりの高さが合わなかった 「高さが合わない。」 令和8年9月24日、廊下の横手すり(床から75cm)を本人が握る際、肘が伸びきって体が前へ傾くことを確認した。本人は「少し低い」と話した。施工前の計測は靴下を履いた状態で行っており、室内履きを履くと約2cm高くなることが原因と考えられる。施工業者に連絡し、10月1日に本人の立会いで位置を確認することにした。
手すりを使っていない 「手すりを活用していない。」 令和8年9月24日、玄関の縦手すりを本人が使わず、従来どおり靴箱に手をついて昇降していることを確認した。本人は「つい前の癖で靴箱に手が行く」と話した。その場で縦手すりを握って昇降する方法を3回一緒に行い、本人は3回目に自分から手すりを握った。10月8日の訪問で再度確認する。
夜間に使えていない 「夜は使えていないようだ。」 令和8年9月17日、長男から、夜間の0時台に本人が廊下の手すりの位置が分からず、壁を手探りしていたとの話があった。昼間は毎回手すりを使えている。照明は寝室の出入口から2.1m先にあり、点灯前の区間で手すりが見えないと考えられる。照明の位置について長男と相談し、9月24日の訪問で夜間を想定した確認を行う。
手すりに物が掛けられていた 「家族に注意した。」 令和8年10月10日、浴室の横手すりにタオル2枚と洗濯ばさみが掛けられているのを確認した。長女は「乾かす場所がないので」と話した。本人が握る位置にタオルがあると滑りやすくなることを長女に伝え、脱衣所の壁にタオル掛けを別に置く案を長女と相談した。10月24日の訪問で状況を確認する。
改修した場所ではなく別の場所で転倒した 「別の場所で転倒あり。」 令和8年10月5日、本人が台所の流し台の前で転倒した(妻の連絡で同日訪問。受診なし)。改修した廊下とトイレでの転倒は施工後0回である。台所は改修の対象外で、床は塩化ビニル系のシートで水はねがあった。台所での動作を10月12日に確認し、対応を本人・妻と相談する。
入浴の回数が増えなかった 「入浴回数は変わらず。」 令和8年10月10日、施工後1か月の入浴回数を確認したところ、改修前と同じ週2回だった。浴槽への出入りは手すりを握って1人で行えている。本人は「冬になって浴室が寒いので回数を増やしたくない」と話した。入浴の回数が増えなかった理由は動作ではなく室温であることを記録し、11月のモニタリングで再度確認する。
本人の状態が下がり、設備が合わなくなった 「ADL低下のため再検討。」 令和9年2月14日の退院後、本人は歩行器を使用しており、浴槽をまたぐ動作ができなくなった(縦手すりを握っても右足が縁の高さまで上がらない)。退院時に理学療法士から、当面は浴槽につからずシャワー浴とするよう説明を受けている。設備の見直しについては、状態が落ち着いた時点で本人・長女と相談する。
家族の介助の方法が変わった 「家族の負担は軽減。」 令和8年10月10日、妻から、入浴時に本人の両脇を支えることはなくなったが、浴室の外で見守る時間が長くなったとの話があった(1回あたり約40分)。妻は「支えなくてよくなったのは楽だが、待っている間が長い」と話した。見守りの方法を、通所介護での入浴の利用と合わせて10月のサービス担当者会議で検討する。
改修前後の写真を比べられない 「写真あり。」 令和8年9月10日に撮影した改修後の写真のうち、浴室の写真は脱衣所の床に立って撮ったため、改修前(洗い場から脱衣所へ向けて撮影)と向きが逆になっていた。9月24日の訪問で、改修前と同じく洗い場から脱衣所へ向けた角度で撮り直した。
施工の範囲が理由書と違っていた 「一部変更あり。」 令和8年9月10日の完了確認で、廊下の横手すりが図面の5.2mではなく4.8mで終わっていることを確認した。施工業者によると、トイレ側の端に配線があり、その40cmは取り付けられなかったとのこと。本人はトイレの入口の手前40cmで手を離している。保険者への書類の扱いについて、9月11日に保険者に確認する。

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

12. 読み手から問い合わせが来やすい書き方|書類どうしの食い違いの書き直し16対と提出前の点検14項目

5章の16対は、1つの欄の中で「何が足りないか」を扱いました。ここで扱うのは、欄と欄、書類と書類のあいだの食い違いです。身体状況の欄には「屋内は独歩で自立」と書いてあるのに、改修項目には手すりが4か所並んでいる。理由書の框の高さは24cmなのに、図面には22cmと書いてある。1つ1つの欄はよく書けていても、こうした食い違いがあると、読み手は電話で確かめるしかありません。

下の表は、当社が理由書を書く際の確認の観点として整理したもので、特定の保険者の審査基準ではありません。どのような場合に書類の補正を求めるかは保険者により異なりますので、保険者にご確認ください。

12-1. 欄どうし・書類どうしの食い違いを直す16対

食い違いの型 悪い例 良い例(直した後の文) 直した点
身体状況と改修の量が合わない 身体状況に「屋内は独歩で自立。」とあり、改修項目に手すり4か所 屋内は杖を使わずに歩けるが、連続して歩けるのは約10mで、それ以上になると下肢の疲労で立ち止まる。寝室からトイレまでの12mでは途中で1回、廊下の壁に手をついて休んでいる(令和8年8月12日の確認)。 「自立」で終わらせず、どの距離から支えが必要になるかを書いた。手すりの範囲と距離が対応する
理由書と図面で寸法が違う 理由書は「框の高さ24cm」、図面は「框H=220」 上がりかまちの高さは、土間の床面から框の上面まで22cm(令和8年8月12日、施工業者と同時に計測)。 計測した日と誰と測ったかを書き、図面の数値と合わせた。どちらかを直すときは両方を見直す
麻痺側と手すりの側が合わない 身体状況「左片麻痺」、改修「廊下の左側に横手すり」 左片麻痺のため、握って体重を支えられるのは右手のみである。寝室からトイレへ向かうときの右手側(廊下の東側の壁)に横手すりを付ける。トイレから寝室へ戻るときは、この手すりが左手側になるため、戻りは反対側の壁を伝って歩いている現在の方法との組み合わせを、理学療法士と確認した。 往路と復路で健側が入れ替わることを書いた
介護状況と「負担が減る」が合わない 介護状況「独居。介護者なし。」、改修後「介護者の負担が軽減される。」 独居で、訪問介護が週4回(各60分)入る。改修後は、訪問介護員がいない時間帯(1日のうち約22時間)のトイレ移動を、本人が手すりを握って1人で行えるようになる。 介護者がいない人に「介護者の負担」を書かない。誰もいない時間帯に本人ができることを書いた
改善する生活動作と改修の場所が合わない 改善する動作「入浴する」、改修箇所はトイレの手すりのみ 改善する動作「トイレを使用する」:便座からの立ち上がりで正面の棚の縁を引いて体を起こしているため、便器の右側の壁にL型手すりを付ける。 欄の動作と改修箇所を1対1で対応させた。入浴を書くなら浴室の改修とつなげる
日付の前後が合わない 理由書の作成日が8月5日、訪問して計測した日が8月12日 令和8年8月12日に自宅を訪問し、本人・長女・理学療法士とともに玄関・廊下・トイレ・浴室の4か所を計測した(理由書の作成日:令和8年8月14日)。 計測した日より前の日付で作成されていないか。書いた日と測った日の順序をそろえた
主語が家族の便利さになっている 「家族が出入りしやすくなるため玄関の扉を引き戸にする。」 玄関の扉が外開きで、本人は扉を押しながら1歩下がる必要があり、下がった先が上がりかまちの縁である(令和8年5月に1回、踏み外し)。引き戸にすることで、本人が後退せずに扉を開閉できるようになる。 主語を本人に戻し、本人の動作の困難から書き直した
将来の予防だけが理由になっている 「将来、車いすになったときに備えて段差をなくす。」 現在、本人は歩行器を使用しており、居室と廊下の敷居(高さ3cm)で前輪を持ち上げる際に上体が前へ傾く(令和8年7月に1回転倒)。敷居をなくすことで、本人が歩行器を持ち上げずに移動できるようになる。 将来の見込みではなく、今の動作で起きていることを理由にした
工事の名前が並んでいるだけ 「手すり取付、段差解消、床材変更、扉交換。」 浴室の出入口(高さ13cm)を越える際の片足立ちが約3秒続き、洗い場の床で足を滑らせた経過が7月に1回ある。出入口の段差をなくし、洗い場の床を濡れても滑りにくい仕上げにすることで、本人が足を持ち上げずに浴室へ入り、洗い場を歩けるようになる。 工事名ではなく、どの困難を、どの工事で、どう変えるかを書いた
4つの欄に同じ文が入っている 4欄すべてに「転倒の危険があるため手すりを設置し安全な生活を送る。」 身体状況欄:右膝が95度までしか曲がらない。介護状況欄:同居の妻(85歳)が框で前から手を引いている。できるようになること欄:本人が1人で框を昇降して外出できる。生活動作欄:外出する。 欄ごとに聞かれていることが違うので、それぞれ別の事実を書いた
場所が「等」でぼかされている 「玄関等に手すりを設置する。」 玄関の上がりかまちの側面の柱に縦手すり(床から140cmまで)、土間の脇の壁に横手すり(床から75cm・長さ90cm)を付ける。 「等」を使わず、付ける場所と寸法を全部書いた
本人の意向と家族の意向が混ざっている 「本人・家族とも改修を希望している。」 本人は「トイレくらいは自分で行きたい」と話している。長男は「夜中に起きなくてよくなるなら助かる」と話している。浴室の改修については、本人は「今のままでいい」と話し、長女は改修を希望しており、意向が分かれている。 誰が何を望んでいるかを分けて、本人の言葉で書いた。食い違いもそのまま書く
見積書の内訳と理由書の改修項目が合わない 理由書には手すり2か所、見積書には手すり3か所と床の補修 手すりは3か所(廊下・トイレ・浴室)。このうち浴室の手すりの取付けにあたり、壁の下地補強を付帯して行う。床の補修は、トイレの便器の取替えに伴い、既存の便器を外した跡を平らにするために行う。 見積書のすべての項目が、理由書のどの改修と結びつくかを書いた
退院前の状態のまま書いている 「屋内独歩で、時々ふらつきがある。」(入院前の情報) 令和8年9月2日に退院した。入院前は屋内独歩だったが、退院時は屋内でも四輪の歩行器を使用している。退院前の8月29日に病院の理学療法士と自宅を訪問し、歩行器のまま廊下からトイレへ入れるかを確認したところ、トイレの出入口(有効幅58cm)で歩行器が通らなかった。 入院前の情報と現在の状態を分け、退院時の説明を書いた
観察していない時間帯を見たように書いている 「夜間は毎回壁にぶつかりながらトイレに行く。」 夜間(0時台と3時台)のトイレ移動の様子は、同居の長男から聞き取った(令和8年8月12日)。長男によると、廊下の曲がり角で壁に手をついて止まることが、7月の1か月でおよそ半数の夜にあった。日中の同じ動作は、8月12日の訪問時に確認している。 自分で見た事実と、家族から聞いた事実を分けて、誰から聞いたかを書いた
理由書の文が他の利用者と同じ 別の利用者の理由書と一字一句同じ文 玄関の上がりかまちは高さ26cmで、本人の左膝は100度までしか曲がらず、令和8年6月14日にこの框を降りる途中で土間に尻もちをついている。本人は「通院の日の朝がいちばん怖い」と話している。 数値・日付・本人の言葉の3つが入っていれば、他の人の理由書と同じ文にはならない

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

12-2. 提出する前に読み返す点検表14項目

点検する項目 確かめ方 貴事業所の確認欄(記入欄)
寸法の数値が理由書と図面で一致しているか 理由書に書いた寸法を1つずつ図面と見比べる。単位(cmとmm)もそろえる  
計測した日と、計測に立ち会った人が書いてあるか 訪問の記録と照らし合わせる  
麻痺側・健側と、手すりの側が合っているか 往路と復路の両方で、どちらの手で握るかを確かめる  
身体状況の欄の「自立」「安定」が、改修の量と矛盾していないか 「自立」と書いた動作に改修を当てていないかを確かめる  
介護状況の欄に、介助の回数と時間帯が書いてあるか 「1日に何回」「何時ごろ」が入っているか数える  
できるようになることの欄の主語が本人になっているか 文の主語に下線を引いてみる  
改善する生活動作と改修の場所が1対1で対応しているか 動作ごとに、改修箇所を矢印でつないでみる  
見積書のすべての項目が、理由書のどこかと結びついているか 見積書の項目に、理由書の該当する行の番号を書き込む  
付帯する工事が、どの主な改修に付いているかが書いてあるか 付帯工事の文に、主となる改修の名前が入っているか  
本人の意向と家族の意向が分けて書いてあるか 「本人は」「長男は」と主語を分けて書いているか  
見た事実と聞いた事実が区別されているか 聞き取った内容に「〜から聞き取った」と書いてあるか  
福祉用具など他の方法を比べた記録が手元にあるか 10章の記録文例の形で、比べた方法と結論の理由が残っているか  
改修前の写真が、改修後に同じ角度で撮れるように残っているか 撮影した位置と向きのメモがあるか  
保険者に確認したことと、その回答の要旨が記録されているか 確認した日・担当部署・回答の要旨を支援経過に書いているか  

※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。

点検表の確認欄は、書いた人とは別の職員が埋めると、食い違いに気づきやすくなります。事業所の中で回し読みする際の確認票としてお使いください。

出典

出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)

本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。

関連記事

この記事の執筆・編集

介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)

介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。

運営会社について お問い合わせ

介護のマナ|無料相談・デモ
気になったら、まず15分。担当が日程を確保してご案内します。
無料で相談・デモを予約資料を見る
補助金ナビ / 無料
ICT・DX導入に使える補助金・助成金を探せます。
ICT・DX導入の補助金を探す →
新着の補助金をメールで受け取る(無料)

最近の記事

AIサポートセンター24時間365日

神マナの使い方は、音声つきのプレゼンで1日の流れをご覧いただけます。料金・導入のご相談には、AIが声でお答えします。アプリのインストールは要りません。

マイクのないPCは
スマホで読み取り