生活歴は、アセスメントシート・フェイスシート・施設の入所時記録のどれにも欄がありながら、「何をどこまで書けばよいか」が最も迷われやすい欄です。「昭和◯年生まれ。会社員。退職後は自宅で過ごす」だけで終わると、ケアプランや介護計画のどこにも生かされない記録になります。
この記事では、生活歴欄に書く事実を時期ごとに整理した対照表と、状態別にそのまま貼れる完成文、聞き取りが難しい場面の悪い例/良い例、生活歴を第1表・第2表・介護計画の支援内容までつなげた通しの例をまとめました。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。
生活歴欄に何を書くか|時期6区分と様式別の記入対照表
生活歴は「年表」ではなく、今の暮らし方がどこから来ているのかを説明する記録です。起床の時刻、入浴の好み、人との付き合い方、嫌がる介助——そうした「今」の手がかりが、過去のどの時期に形づくられたのかを書き残すと、ケアの場面で使える情報になります。
厚生労働省は、居宅・施設のサービス計画書の様式と課題分析標準項目を「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号)で示していますが、同通知の本文は、これらを標準例として提示するものであり、当該様式以外の様式等の使用を拘束する趣旨のものではない旨を添えています。したがって、生活歴の欄名・欄の大きさは事業所の様式によって異なります。下の表は、欄名にかかわらず「何を聞き、どう残し、どこにつなげるか」を時期ごとに並べたものです。
時期別|聞き取る事実・記録に残す形・つながる欄
| 時期 | 聞き取る事実 | 記録に残す形(例) | つながる先・貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 出生〜学齢期 | 生まれ育った土地、きょうだいの数と順番、家業 | 海辺の集落で6人きょうだいの長女として育ち、幼いころから弟妹の世話と家業の網の繕いを手伝っていた。 | 役割意識・世話好きな面の理解/会話の話題(記入欄) |
| 出生〜学齢期 | 学校生活、得意だったこと、戦中戦後の体験の有無 | 小学校のころから習字が得意で、書き初めで表彰されたことを今も話される。疎開の話題には触れたがらない。 | レクリエーションの選び方/避けたい話題(記入欄) |
| 就労期 | 職業、勤務形態(交替勤務・自営・外回り)、勤続年数 | 印刷会社で製版の仕事に38年従事。夜勤を含む交替勤務で、日中に仮眠をとる生活が長かった。 | 生活リズムの評価/昼寝の扱い(記入欄) |
| 就労期 | 仕事で身についた習慣(起床時刻・身だしなみ・几帳面さ) | 銀行の窓口勤務だったため、外出時は今も襟付きのシャツを選び、身だしなみを自分で整えることにこだわりがある。 | 更衣の支援方法・自分で行う部分(記入欄) |
| 就労期 | 職場での立場、人との関わり方 | 工場の班長として20人ほどをまとめてきた。人から指示されるより、頼まれて動くほうが力を発揮しやすいと家族が話す。 | 声かけの仕方/役割の場面(記入欄) |
| 結婚・子育て期 | 結婚した年齢、子どもの人数、家事の分担 | 24歳で結婚し、2男1女を育てた。家事の中心は本人で、特に煮物と漬物は家族に頼られてきた。 | 調理への参加・食事の好み(記入欄) |
| 結婚・子育て期 | 地域の役(町内会・PTA・消防団)、転居の経緯 | 子育て中に夫の転勤で3回転居。今の家には48歳から住み、町内会の会計を6年務めた。 | 地域とのつながり・インフォーマル支援(記入欄) |
| 退職後 | 退職の年齢、退職後の日課、趣味 | 62歳で退職後、毎朝7時から家庭菜園に出て、収穫した野菜を近所に配るのが楽しみだった。 | 日中の活動・役割の再設定(記入欄) |
| 退職後 | 配偶者との死別・別居、家族構成の変化 | 70歳で妻と死別し、以後一人暮らし。長女が月に2回、車で40分かけて様子を見に来ている。 | 家族等の支援体制・緊急時の連絡(記入欄) |
| 発症前後 | 病気・けが・入院の時期と経過 | 78歳の冬に自宅の浴室で転倒し、大腿骨を骨折。手術後2か月入院し、退院後は屋外の歩行に自信をなくしている。 | 健康状態・転倒への不安(記入欄) |
| 発症前後 | できなくなったこと、やめてしまった習慣 | 骨折の後、菜園と地域のグラウンドゴルフをやめた。「迷惑をかけるから」と誘いを断るようになったと長女が話す。 | 社会参加の再開・目標設定(記入欄) |
| 発症前後 | 本人の受け止め方、口にしている言葉 | 「もう畑には出られない」と初回訪問で2回話された一方、畑の写真を見せると作物の名前を次々に挙げられた。 | 本人の意向・動機づけ(記入欄) |
| 現在 | 一日の流れ、曜日ごとの予定、楽しみ | 6時起床、7時朝食。午前はラジオを聞きながら新聞を読み、午後は2時ごろから1時間ほど横になる。水曜の夕方に長男から電話がある。 | 日課に合わせたサービス時間帯(記入欄) |
| 現在 | 大切にしていること、譲れないこと、嫌なこと | 仏壇に毎朝ご飯とお茶を供えることは続けたいと話される。人前で下着姿になることを強く嫌がる。 | 支援の留意事項・同性介助の検討(記入欄) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
すべての時期を同じ量で書く必要はありません。今の支援に関係する時期を厚く、関係の薄い時期は1文で、が基本です。たとえば入浴を拒む方なら、入浴習慣の変化と、拒む理由になりそうな体験(入院中の介助など)を中心に書きます。
様式別|アセスメントシート・フェイスシート・入所時記録で書く分量
| 様式 | 生活歴欄の役割 | 書く分量の考え方 | 貴事業所の様式の欄名(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援のアセスメントシート | 課題分析の根拠。意向や課題の背景を説明する材料 | 時期ごとに1〜3文。課題に関係する時期を厚くする | (記入欄) |
| フェイスシート(基本情報) | 担当者が替わっても人柄と暮らしの前提が伝わる要約 | 全体で5〜8文程度の要約。詳細はアセスメントシートへ | (記入欄) |
| 特養・老健・介護医療院の入所時記録 | 在宅での暮らし方を施設の日課に引き継ぐ | 起床・食事・入浴・排泄の習慣を中心に、時刻と回数まで書く | (記入欄) |
| グループホームの入居時アセスメント | 行動の背景の理解、なじみの役割の手がかり | 職業・家事・口癖・なじみの物を具体的に。混乱しやすい場面も添える | (記入欄) |
| 小規模多機能型居宅介護の登録時記録 | 通い・訪問・泊まりの組み立ての根拠 | 自宅での一日の流れと、家族の生活時間を並べて書く | (記入欄) |
| 通所介護の利用開始時の記録 | 活動・会話・席の配置の手がかり | 趣味・得意なこと・苦手な集団場面を中心に2〜4文 | (記入欄) |
| 訪問介護の事前アセスメント | 家事の手順・物の置き場所・こだわりの把握 | 調理・掃除・買い物のやり方の癖を具体的に | (記入欄) |
| 更新・再アセスメント時 | 前回からの変化を追記する | 前回記載を消さず、日付を入れて変化だけを書き足す | (記入欄) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
生活歴がケアの手がかりになる完成文|手がかり8項目×状態6区分の48例
ここからが本体です。生活歴の中でも、ケアの場面で使われることが多い8つの手がかり(職業歴と役割/趣味・日課/食習慣/入浴習慣/信仰・大切にしていること/地域とのつながり/家族関係の変化/転居歴)ごとに、状態別の完成文を並べました。右の列は、その記載がケアのどこで使えるかを示しています。
完成文はどれも「いつ・何を・どのくらい」と「誰から聞いたか」を含めています。生活歴は聞き取りの記録なので、情報の出どころ(本人・長女・前任のケアマネジャー等)が書かれていると、後から読む人が確からしさを判断できます。
在宅(家族同居)・独居・老老介護の完成文24例
| 手がかり | 状態 | そのまま貼れる完成文 | ケアでの使い道 |
|---|---|---|---|
| 職業歴と役割 | 在宅(家族同居) | 路線バスの運転手として35年勤め、早番と遅番の交替勤務を続けてきた。退職後も5時半に起き、玄関先を掃いてから朝食をとる流れが続いている。長男夫婦と同居してからも、ごみ出しは自分の役目だとご本人が話している。 | 早朝の起床を生かし、ごみ出しを本人の役割として第2表に残す |
| 職業歴と役割 | 独居 | 夫婦で呉服店を営み、ご本人は帳簿付けと仕入れの電話を受け持ってきた。夫の死後12年間一人暮らしで、家計簿は今も毎晩つけている。初回訪問で「支払いの期日は自分で管理したい」と2回話された。 | 金銭管理を代行に切り替える前に、本人が続けられる範囲を確かめる根拠 |
| 職業歴と役割 | 老老介護 | 造船所の溶接工として定年まで勤めた。主介護者は同じ年の妻(84歳)で、妻によると「力仕事は全部この人がやってきたので、手伝われるのを嫌がる」。移乗の介助を妻が一人で行っており、夜間は妻が2回起きている。 | 本人の自尊心に配慮した声かけと、介護者の負担軽減を並べて検討する材料 |
| 趣味・日課 | 在宅(家族同居) | 40代から続けてきた盆栽が生きがいで、骨折前は毎朝6時に庭へ出て水やりをしていた。現在は長女が代わりに水をやっているが、ご本人は縁側から鉢を眺めて「あの松は30年ものだ」と話される。 | 縁側までの移動と水やりの再開を短期目標の候補にする |
| 趣味・日課 | 独居 | 毎日15時に近所の喫茶店へ歩いて行き、新聞を読むのが20年来の日課。店主によると、ここ1か月は来店が週2回ほどに減っている(民生委員経由で聞き取り)。ご本人は「足が重くなった」と話す。 | 外出頻度の変化を体調変化の目安として見守り体制に組み込む |
| 趣味・日課 | 老老介護 | 夫婦で毎週日曜の朝に地域の公民館で開かれる民謡の会に通っていたが、半年前から休んでいる。妻は「私が付き添えなくなったから」と話し、ご本人は「また歌いたい」と話された。 | 通所介護等での歌唱の場と、夫婦の外出機会の両方を検討する材料 |
| 食習慣 | 在宅(家族同居) | 朝食はパン1枚と牛乳、昼は麺類、夕食は家族と同じ献立で、晩酌は日本酒1合を60年続けてきた(長男より)。退院後は主治医の指示で晩酌を控えており、夕食の量が半分ほどに減っている。 | 食事量の低下の背景整理と、主治医への情報提供の材料 |
| 食習慣 | 独居 | 若いころから料理が好きで、煮物を多めに作って3日かけて食べるのが習慣。冷蔵庫には作り置きの容器が7つあり、うち2つは日付が不明だった(初回訪問時に確認)。ご本人は「もったいないから捨てない」と話す。 | 食品の管理を一緒に行う訪問介護の内容の根拠 |
| 食習慣 | 老老介護 | 食事作りは50年以上ご本人(妻)が担ってきたが、手指のしびれで包丁が使いにくくなった。現在は夫が総菜を買ってくるが、ご本人は「味が濃くて食べられない」と話し、昼食を抜く日が週に3日ある。 | 調理の工程のうち本人ができる部分を残す支援の検討材料 |
| 入浴習慣 | 在宅(家族同居) | 一番風呂に夜9時ごろ入り、42度の熱めの湯に肩までつかるのが長年の好み(次女より)。デイサービスで昼間に入浴することについて、ご本人は「昼の風呂は落ち着かない」と話された。 | 入浴の時間帯と湯温の希望をサービス事業所へ伝える根拠 |
| 入浴習慣 | 独居 | 自宅の浴槽は深く、転倒後の3か月は入浴せずシャワーのみで済ませていると話される。若いころは銭湯に毎日通い、「大きい風呂が好き」とのこと。浴室に手すりはない(訪問時に確認)。 | 通所での入浴と、住宅改修の検討を並べて提案する材料 |
| 入浴習慣 | 老老介護 | 入浴は週2回、夫が介助して夕方に入っている。夫によると、浴槽をまたぐときにご本人がふらつき、2週間前に夫婦で浴室に座り込んだことがあった。ご本人は「人に裸を見られるのは嫌」と話している。 | 同性介助の希望を含めて入浴支援の方法を検討する材料 |
| 信仰・大切にしていること | 在宅(家族同居) | 毎朝仏壇にご飯とお茶を供え、読経を5分ほど行うのが日課。長男の妻によると、体調が悪い日も仏壇の前には座るとのこと。月命日には墓参りに行きたいと希望されている。 | 朝の時間帯を支援で埋めない配慮と、外出支援の検討材料 |
| 信仰・大切にしていること | 独居 | 30代から教会に通い、日曜の午前の礼拝を欠かしたことがないと話される。教会の仲間が送迎を申し出ているが、ご本人は「迷惑をかけたくない」と断っている。 | インフォーマル支援として第2表に位置づける検討材料 |
| 信仰・大切にしていること | 老老介護 | 夫婦とも神棚に毎朝手を合わせてきた。ご本人は「神棚の水を替えるのは自分の仕事」と話し、踏み台に乗って替えていることを妻が心配している(妻より)。 | 役割を残したまま転倒の危険を減らす環境調整の検討材料 |
| 地域とのつながり | 在宅(家族同居) | 町内会の老人クラブで長く会計を務め、現在も月1回の定例会には長女の送迎で出席している。会の仲間が週に1回ほど電話をくれる(長女より)。 | 既存のつながりを維持する外出支援の根拠 |
| 地域とのつながり | 独居 | 隣家の夫婦とは40年の付き合いで、回覧板を届けるついでに毎日声をかけてもらっている。隣家の妻は「新聞がポストに溜まっていたら連絡する」と話している(ご本人同席で確認)。 | 見守りの担い手として緊急時の連絡体制に位置づける材料 |
| 地域とのつながり | 老老介護 | 夫婦で商店街の八百屋を45年営み、店を閉めた今も元の常連客が月に数回訪ねてくる。夫によると、来客のある日はご本人の表情が明るく、食事量も多いとのこと。 | 来客を心身の状態を保つ要素として記録し、支援の時間帯を調整する材料 |
| 家族関係の変化 | 在宅(家族同居) | 3年前に長男家族と同居を始めた。長男の妻とは台所の使い方で意見が合わず、ご本人は自室で過ごす時間が増えたと話す。長男は「母が遠慮しているように見える」と話された。 | 家族内の役割の再調整と、本人の居場所の確保の検討材料 |
| 家族関係の変化 | 独居 | 長男とは10年以上連絡を取っておらず、緊急時の連絡先は県外に住む妹(78歳)になっている。妹は電話での対応はできるが、来訪は難しいと話された(電話で確認)。 | 身元・緊急時の支援体制を検討する材料 |
| 家族関係の変化 | 老老介護 | 一人娘は海外に住み、帰国は年に1回。夫婦は「娘には心配をかけたくない」と話し、介護の状況を娘に伝えていない。ご本人の同意を得て、次回の帰国時に面談する予定とした。 | 家族等への情報共有の範囲を本人と決めておく根拠 |
| 転居歴 | 在宅(家族同居) | 生まれ育った山あいの集落から、1年前に長女宅へ転居した。転居後、夕方になると「家に帰る」と荷物をまとめることが週に2〜3回ある(長女より)。以前の家は現在も空き家のまま残っている。 | 夕方の不安への対応と、なじみの物を持ち込む工夫の検討材料 |
| 転居歴 | 独居 | 公営住宅の建て替えに伴い、半年前に同じ地区内の5階建ての3階へ転居した。以前は1階に住んでおり、ご本人は「階段があるから買い物に出なくなった」と話す。エレベーターはある。 | 転居による外出減少を課題として整理する材料 |
| 転居歴 | 老老介護 | 夫の退職を機に都市部から夫の郷里へ転居し、20年になる。ご本人は地域に親しい友人が少なく、「夫以外と話す人がいない」と話された。夫は、ご本人が地域になじめていないことを気にしている。 | 介護者以外の相談相手と、本人の交流の場を探す根拠 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
施設入所・認知症・若年性の完成文24例
| 手がかり | 状態 | そのまま貼れる完成文 | ケアでの使い道 |
|---|---|---|---|
| 職業歴と役割 | 施設入所 | 保育士として40年勤め、主任も務めた。入所後、食堂で他の入所者に「お茶を配りましょうか」と声をかける場面が1日に3回ほど見られる(入所1週目の介護記録より)。 | 配膳の手伝いなど、役割の場を施設サービス計画に位置づける検討材料 |
| 職業歴と役割 | 認知症 | 郵便局で配達を30年担当していた。夕方4時ごろになると廊下を歩き回り、他の居室の扉を順に確かめる行動がある。長男によると「配達の締めの時間だった」とのこと。 | 歩き回る行動の背景として、夕方の過ごし方を計画で検討する材料 |
| 職業歴と役割 | 若年性 | システムエンジニアとして勤務していた52歳のときに物忘れで受診し、翌年退職した。妻によると、パソコンの配線や家電の設定は今も自分で行いたがり、任されると集中して取り組むとのこと。 | 本人ができる作業を活動の中心に置く検討材料 |
| 趣味・日課 | 施設入所 | 在宅では毎晩9時にラジオの落語番組を聞いてから寝る習慣があった(入所前面談で長女より)。入所後は消灯後に眠れず、夜間に2〜3回ナースコールを押している。 | 就寝前の過ごし方を在宅の習慣に近づける検討材料 |
| 趣味・日課 | 認知症 | 和裁を仕事にしてきた方で、布を手に取ると指先で縫い目を確かめる動作が見られる。布巾たたみを依頼すると20分ほど続け、終わると「きれいにできた」と話された。 | 落ち着いて過ごせる活動として日課に組み込む根拠 |
| 趣味・日課 | 若年性 | 学生時代から続けてきたジョギングが趣味で、診断後も妻と週3回、朝に30分ほど走っている。本人は「走っているときは病気を忘れられる」と話された。 | 体を動かす活動を支援の柱に据える検討材料 |
| 食習慣 | 施設入所 | 在宅では朝食をとらず、10時ごろにお茶とせんべいを食べる生活を50年続けていた(長男より)。入所後、朝食の摂取量は主食・副食とも2割程度で、10時のお茶の時間には完食している。 | 食事時間と間食の扱いを多職種で検討する材料 |
| 食習慣 | 認知症 | 漁港の近くで育ち、刺身と煮魚が好物だった。食堂で肉料理が出る日は箸が進まず、魚料理の日は完食することが多い(入居後2週間の食事記録より)。 | 献立の工夫や代替食の検討材料 |
| 食習慣 | 若年性 | 単身赴任が長く、自炊は炒め物と丼物が中心だった。最近はコンロの火を消し忘れることが週に1〜2回あり、妻が帰宅するまで食事を待つ日が増えている(妻より)。 | 調理の安全と本人の役割を両立させる方法の検討材料 |
| 入浴習慣 | 施設入所 | 在宅では朝7時に入浴する朝風呂の習慣があった。入所後、午後の入浴の声かけに対して「今日はいい」と断ることが週2回のうち1回ある(入所後3週間の記録より)。 | 入浴の時間帯を朝に寄せられるかを検討する材料 |
| 入浴習慣 | 認知症 | 若いころから温泉が好きで、夫婦で年に数回旅行していた。浴室の入り口で「ここはどこの旅館ですか」と尋ね、職員が温泉の話をすると自分から脱衣を始めることが多い。 | 入浴誘導の声かけの工夫として計画に残す根拠 |
| 入浴習慣 | 若年性 | 入浴は自分で行ってきたが、最近は同じ部位を何度も洗い、1時間以上浴室から出てこない日がある(妻より)。本人は「ちゃんと洗えたか分からない」と話された。 | 見守りの方法と、手順を示す工夫の検討材料 |
| 信仰・大切にしていること | 施設入所 | 入所の際に持参した亡夫の写真を枕元に置き、毎朝「おはよう」と声をかけている。長女によると、在宅では写真に1日の出来事を話しかけるのが習慣だった。 | 居室の環境づくりと、心の支えの尊重を計画に残す根拠 |
| 信仰・大切にしていること | 認知症 | 茶道の師範として自宅で教室を開いていた。落ち着かない時間帯に、職員がお盆と湯飲みを差し出すと、背筋を伸ばして丁寧にお茶を入れる所作が見られる。 | 本人の誇りを保てる場面を支援内容に組み込む根拠 |
| 信仰・大切にしていること | 若年性 | 「子どもの結婚式までは自分の足で歩きたい」と話し、長女の挙式は来年の春に予定されている。本人の希望で、主治医にもこの目標を伝えている(本人・妻より)。 | 本人が掲げる期限つきの目標を長期目標に反映する材料 |
| 地域とのつながり | 施設入所 | 地元の婦人会で長く活動し、入所後も元の会員が月に1回面会に来ている。面会のあった日は夕食を完食し、夜間の覚醒も少ない(入所後1か月の記録より)。 | 面会を継続しやすい環境を整える根拠 |
| 地域とのつながり | 認知症 | 地区の祭りで太鼓を叩く役を40年務めた。行事でばちを渡すと、リズムを崩さずに10分ほど叩き続け、終わると周りの利用者に手を振って応えていた。 | 集団活動の中で本人の役割を持てる場面の根拠 |
| 地域とのつながり | 若年性 | 少年野球のコーチを15年続け、今も週末に元の教え子が訪ねてくる。本人は病名を地域に知られることに抵抗があり、「コーチ仲間には言わないでほしい」と話された。 | 情報共有の範囲に配慮しながら、つながりを保つ方法の検討材料 |
| 家族関係の変化 | 施設入所 | 在宅介護を担ってきた長男の妻が体調を崩したことを機に入所した。ご本人は「嫁に悪いことをした」と繰り返し話し、面会の際は長男の妻の体調を気にかけている。 | 家族への罪悪感に寄り添う声かけと、面会の工夫の検討材料 |
| 家族関係の変化 | 認知症 | 夫とは5年前に死別しているが、夕方になると「主人が帰ってくるから夕飯の支度をしないと」と話すことがある。長女とは、否定せず台所仕事を一緒に行う対応で合意した。 | 家族と合意した対応方針を職員間で統一する根拠 |
| 家族関係の変化 | 若年性 | 妻が主介護者で、中学生と高校生の子どもがいる。妻によると、本人が学校行事の日程を忘れたことをきっかけに、子どもとの会話が減っているとのこと。 | 家族全体への支援や相談先の紹介を検討する材料 |
| 転居歴 | 施設入所 | 県外で生まれ、就職を機にこの地域へ移り住んで50年。方言は出身地のものが強く、同郷の職員が声をかけると表情が和らぐ場面が見られる(入所後の記録より)。 | 声かけの担当や話題選びの工夫の根拠 |
| 転居歴 | 認知症 | 子ども時代に3回転居しており、長女によると本人は最初に住んだ港の近くの家の話を最もよくするとのこと。「港へ行く」と外へ出ようとするのは、その家を思い出すときが多い。 | 外へ出ようとする行動の背景理解と、会話の話題の根拠 |
| 転居歴 | 若年性 | 2年前に妻の実家近くへ転居した。本人にとってはなじみのない地域で、一人で外出すると帰り道が分からなくなったことが3回あった(妻より)。 | 外出時の見守りと、道順を覚える支援の検討材料 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
完成文を貼るときは、年齢・時刻・回数・情報の出どころを実際の聞き取り内容に置き換えてください。同じ文章を複数の利用者に使い回すと、その人らしさが伝わらない記録になります。
聞き取りが難しい場面の書き方|悪い例と良い例16組
生活歴は、ご本人が語らない・家族と話が食い違う・触れられたくない過去がある、といった場面で止まりやすい欄です。そうした場面でも、「分からなかった」で終えずに何を試み、何が分かり、何が分からないのかを書いておくと、次に聞き取る人の手がかりになります。
悪い例に多いのは、推測を事実のように書いてしまうことです。「頑固な性格」「家族仲が悪い」といった評価の言葉は、根拠となる発言や場面に置き換えます。
場面別|ありがちな一行と、そのまま貼れる書き方
| 場面 | 悪い例(ありがちな一行) | 良い例(そのまま貼れる完成文) |
|---|---|---|
| 本人が多くを語らない | 「本人は話したがらないため不明」 | 初回訪問では、仕事の話題に「昔のことだから」と短く答えるのみだった。庭の柿の木の話では5分ほど会話が続いたため、次回は庭の手入れの話題から聞き取りを進める。職業歴は長女に確認予定。 |
| 家族と本人の話が違う | 「本人の話は認知症のため信用できない」 | ご本人は「退職まで市場で働いた」と話し、長男は「60歳で辞めた後は自宅にいた」と話された。どちらの話も記録し、時期の違いは次回、写真や手帳を見ながら確認する。 |
| 話したくない過去がある | 「過去に何かあった様子」 | 30代の話題になると「その頃のことは話したくない」と明言された。ご本人の意向を尊重し、この時期の聞き取りは行わない。支援に必要な範囲で、苦手な話題として職員間で共有することに同意を得た。 |
| 家族が生活歴を知らない | 「家族も分からない」 | 同居の孫は、祖母の若いころの仕事を知らないと話された。遠方に住む次女が詳しいとのことで、次女の了承を得て電話で聞き取る予定とした。 |
| 同じ話を繰り返す | 「同じ話ばかりで会話にならない」 | 面談の40分間で、船に乗っていたころの嵐の話を4回された。話す際は身を乗り出し、表情が明るい。本人にとって大切な記憶と考えられるため、会話のきっかけとして記録する。 |
| 事実と異なる可能性がある話 | 「作り話をする」 | 「昨日まで会社に行っていた」と話されたが、長男によると退職は20年前とのこと。ご本人の話として記録し、事実関係は長男の説明で補う。否定すると表情が硬くなったため、話を受け止める対応とした。 |
| 性格の記載 | 「頑固な性格」 | 入浴の声かけに対し「自分のことは自分でやる」と3回断られた。長女によると、若いころから人に頼るのを好まず、病院の付き添いも断ってきたとのこと。 |
| 家族関係の記載 | 「家族仲が悪い」 | 次男とは「5年ほど会っていない」とご本人が話された。理由は語られず、こちらからは尋ねていない。緊急時の連絡先には長女を希望された。 |
| 飲酒・喫煙の習慣 | 「アルコール依存の疑い」 | ご本人によると、毎晩焼酎を湯飲みに2杯飲むのが40年来の習慣。訪問時、台所に空き瓶が5本あった。飲酒量について主治医の意見を確認する予定。 |
| 経済状況の話題 | 「お金に困っている」 | 「年金だけで暮らしているから、サービスは最小限にしたい」と話された。利用料の見込みを説明したうえで、回数は本人と相談して決めることとした。 |
| 家族が本人の前で話しにくい | 「家族から話を聞けなかった」 | 長女はご本人の前では言葉を選んでいる様子だった。帰り際に玄関先で「父の昔の仕事のことは、また電話で話したい」とあり、翌日電話で聞き取ることとした。 |
| 言葉での表出が難しい | 「失語のため聴取不可」 | 言葉での返答は難しいが、昔の町並みの写真を見せるとうなずき、漁船の写真では指を差して笑顔が見られた。生活歴は妻の話を中心に記録し、ご本人の反応を併記する。 |
| 日本語以外が主な言語 | 「言葉が通じず不明」 | ご本人は20代で来日し、日常会話は日本語で可能だが、込み入った話は母語のほうが話しやすいとのこと。次回は通訳できる長男が同席する日に生活歴を聞き取る予定。 |
| 前任者からの引き継ぎ | 「前任者の記録どおり」 | 前任のケアマネジャーの記録(3年前)では「元会社員」とのみあった。今回ご本人に確認したところ、製菓会社で工場長を務めていたと話されたため、追記した。 |
| 入院先からの情報のみ | 「病院からの情報で特になし」 | 病院の看護サマリーには生活歴の記載がなかった。入所前面談で長男から、自宅では5時に起き、朝食前に散歩していたことを聞き取った。 |
| 聞き取りが途中で終わった | 「疲労のため中止」 | 面談開始から20分ほどで「疲れた」と話されたため中止した。結婚後から退職までの時期は未確認で、次回の訪問で続きを聞く予定。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
事実・伝聞・推測の書き分け|語尾と情報の出どころの対照
| 情報の出どころ | 語尾・書き方 | 記載の例 |
|---|---|---|
| ご本人の言葉 | 「」で囲んでそのまま、または「〜と話された」 | 「畑は私の命」と話された。 |
| 家族等の話 | 「長女によると〜」「〜とのこと(次男より)」 | 次男によると、若いころは船の機関士だったとのこと。 |
| 職員が見た場面 | 日時・場面を添えて「〜が見られた」 | 7時の朝食時、箸を使って自分で食べる様子が見られた。 |
| 他機関の記録 | 資料名と作成時期を添える | 入院先の看護サマリー(退院時)に、自宅では布団で寝ていたとの記載がある。 |
| 職員の解釈 | 根拠を先に書き「〜と考えられる」 | 夕方に玄関へ向かうのは、勤務の終わりの時刻と重なっていたためと考えられる。 |
| 未確認の事項 | 「未確認」「次回確認予定」と明記する | 結婚前の職業は未確認。次回、長女に確認予定。 |
| 話が食い違う事項 | 両方を並べて書き、どちらかに決めない | 転居の時期について、本人は「40歳」、長男は「50歳ごろ」と話された。 |
| 本人が話さないと決めた事項 | 話さない意向そのものを記録する | 若いころの家庭のことは話したくないとの意向があり、聞き取りは行っていない。 |
| 時期のあいまいな事項 | 年齢か年代の幅で書く | 40代のころ、夫の病気を機に家業を継いだと話された。 |
| 数や量の事項 | 本人・家族のどちらの見立てかを添える | 晩酌はビール1缶(本人)、2〜3缶の日もある(妻)。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
生活歴から第1表・第2表・介護計画へ|4事例の通しの例
生活歴は、書いた欄の中で完結させず、計画書のどこかに一語でも反映されていると生きた記録になります。ここでは、在宅・施設・グループホーム・若年性の4事例について、生活歴の記載から、第1表の意向・課題分析の結果、第2表のニーズと目標、サービス内容・介護計画の支援内容までを1本の線でつないだ例を示します。
施設サービス計画書や認知症対応型共同生活介護計画では欄の名前が居宅と異なる場合があるため、左から2列目の欄名は貴事業所の様式に読み替えてください。
| 事例 | 欄 | そのまま貼れる完成文 |
|---|---|---|
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | 生活歴 | 印刷会社で製版の仕事を38年続け、退職後は毎朝7時から家庭菜園に出て、収穫した野菜を近所に配るのが楽しみだった。脳梗塞で入院した後は菜園に出ておらず、「もう畑には出られない」と話されている。 |
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | 第1表 本人・家族の意向 | ご本人「また畑でトマトを作って、近所に配りたい」。長女「転ばないか心配だが、父が好きなことは続けてほしい」。 |
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | 第1表 課題分析の結果 | 右半身に軽いまひが残り、屋外の不整地を歩く際にふらつきがみられる。一方で、菜園の話題では意欲が高く、長年続けてきた役割を取り戻すことが活動量を保つ手がかりになると考えられる。 |
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | 第2表 ニーズ・短期目標 | ニーズ:畑まで安全に歩いて、野菜作りを再開したい。短期目標:杖を使って、庭の畑まで往復できる。 |
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | サービス内容 | 通所リハビリテーションで屋外歩行の練習を行う。畑までの通路に手すりを設置できるか福祉用具専門相談員と確認する。種まきと水やりはご本人が行い、畝づくりは長女が手伝う。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | 生活歴 | 夫の死後15年一人暮らしで、毎朝5時に起きて仏壇にご飯とお茶を供え、6時にパンと牛乳の朝食をとっていた。入所の際、亡夫の位牌の写真を持参された(入所前面談で長男より)。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | 第1表 本人・家族の意向 | ご本人「朝のお参りだけは続けたい」。長男「母が落ち着いて暮らせるなら、それで十分です」。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | 第1表 課題分析の結果 | 入所後、早朝に目が覚めて居室の中を歩き回る様子が見られる。在宅での早朝の日課が途切れたことによる落ち着かなさと考えられ、朝の過ごし方を在宅の習慣に近づけることが生活の安定につながると考えられる。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | 第2表 ニーズ・短期目標 | ニーズ:朝のお参りを続けて、落ち着いた気持ちで一日を始めたい。短期目標:居室で毎朝お参りをしてから朝食をとる。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | サービス内容 | 居室の棚に写真とお供えの台を置く。早朝の巡回時に起床していれば、湯飲みにお茶を用意して手渡す。朝食はパンを選べる日を設けられるか栄養士と検討する。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 生活歴 | 和裁を仕事にして40年、自宅で着物の仕立てを請け負っていた。夕方になると「仕立ての納期がある」と話し、玄関に向かうことが週に3〜4回ある(入居後1か月の記録より)。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 第1表 本人・家族の意向 | ご本人「手を動かしていないと落ち着かない」。長女「母が仕事を大事にしてきたことを分かってもらえるとうれしい」。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 第1表 課題分析の結果 | 夕方の落ち着かなさは、長年の仕事の締めの時間と重なっていると考えられる。布を扱う作業には20分ほど集中して取り組めるため、夕方に手を動かせる時間を設けることが安心につながると考えられる。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 第2表 ニーズ・短期目標 | ニーズ:得意な手仕事を続けて、夕方を穏やかに過ごしたい。短期目標:夕方に布巾たたみや雑巾縫いを職員と一緒に行う。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 介護計画の支援内容 | 16時ごろに布巾と針箱を用意し、「お願いできますか」と仕事を依頼する形で声をかける。針を使う際は職員がそばで見守る。仕上がったものは食堂で使い、ご本人にお礼を伝える。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | 生活歴 | システムエンジニアとして勤め、52歳で退職した。学生時代からジョギングが趣味で、診断後も妻と週3回走っている。子どもの学校行事の日程を忘れたことをきっかけに、家族との会話が減っている(妻より)。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | 第1表 本人・家族の意向 | ご本人「体を動かして、できることは自分でやりたい」。妻「本人が家族の中で役割を持ち続けられるようにしたい」。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | 第1表 課題分析の結果 | 日程の管理に支援が必要になってきているが、体力があり、機械の設定など得意な作業には集中して取り組める。家族の中での役割を保つことが、ご本人の自信と家族の関係の維持につながると考えられる。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | 第2表 ニーズ・短期目標 | ニーズ:家族の予定を把握し、家の中の役割を続けたい。短期目標:居間のカレンダーを家族で使い、自分の担当の家事を週に3回行う。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | サービス内容 | 若年性認知症の方を受け入れている通所の場で、体を動かす活動と作業の時間に参加する。家電の設定や配線など、家の中の機械の担当をご本人の役割として家族と決める。妻の相談先として、地域の相談窓口の情報を提供する。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
4事例とも、生活歴の一語(菜園・お参り・和裁・機械の設定)が、意向・課題分析の結果・ニーズ・支援内容のどれにも出てきます。計画書を読み返したとき、生活歴の欄に書いた言葉が計画のどこにも見当たらなければ、つながりが切れているサインです。
生活歴と個人情報|書かなくてよいこと・同意・記録の範囲
生活歴は、ご本人と家族の私的な事情に深く触れる記録です。聞けば聞くほど書ける量は増えますが、支援に使わない情報は、記録に残さないことも選択肢です。個人情報の取扱いは、個人情報の保護に関する法律や、事業所の個人情報保護の規程・利用者との契約で定めた利用目的の範囲で行うことが前提になります。個別の判断に迷う場合は、事業所の個人情報保護の担当者や、必要に応じて専門家にご相談ください。以下は、記録の書き方の考え方と例であり、法的な判断を示すものではありません。
| 情報の種類 | 記録するときの考え方 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 支援に関係しない過去の出来事 | 支援に使う予定がなければ、詳細は書かない選択もある | 若いころの出来事について詳しく話されたが、支援に関係する部分として、人前で話すことを好まない点のみ記録する。 |
| 本人が他言を望まない話 | 共有してよい範囲を本人に確かめ、その範囲も記録する | 病名を近所に知られたくないとの意向があり、民生委員への連絡は「体調を崩して通院している」との説明にとどめることに同意を得た。 |
| 家族の私的な事情 | 支援への影響に絞って書く | 長女は仕事の都合で平日の日中は連絡が取りにくい。緊急時は長女の職場ではなく携帯電話に連絡することで合意した。 |
| 第三者(近隣・知人)の情報 | 氏名を控え、関係と役割で書く | 向かいの家の住人が、毎朝雨戸の開閉を見て声をかけてくれている(ご本人より)。 |
| 離婚・別居など家族の経緯 | 時期と現在の連絡状況だけを書く | 50代で離婚し、元配偶者とは連絡を取っていない。子ども2人とは年に数回連絡がある。 |
| 信仰 | 支援に関わる習慣として書く | 毎週日曜の午前は礼拝に出かけるため、この時間帯にはサービスを入れない。 |
| 病歴のうち本人が話したくないもの | 話さない意向を記録し、医療情報は主治医との連携で扱う | 過去の入院歴について本人は話したくないとのこと。服薬や留意点は主治医の意見書と照会で確認する。 |
| 経済状況 | 支援の組み立てに関係する範囲で書く | 利用回数を抑えたいとの希望があり、家族の支援で補える曜日を相談した。 |
| 家族から聞いた本人の秘密 | 本人に確かめられない情報の扱いを慎重にし、出どころを明記する | 長男から若いころの事情について話があったが、ご本人は触れてほしくない様子とのことで、記録は支援上の留意点(特定の話題を避ける)にとどめた。 |
| サービス事業所への情報提供 | 提供する範囲を決め、提供したことを記録する | 通所介護事業所へは、入浴の好み、趣味、避けたい話題の3点を、ご本人と長女の了承を得て伝えた。 |
| 写真・思い出の品の扱い | 持ち込み・掲示の同意を記録する | 居室に家族の写真を飾ることについて、ご本人と長女の了承を得た。面会者の目に触れる場所には置かないことを希望された。 |
| 聞き取りの同意 | 生活歴を聞く目的を伝え、答えたくないことは答えなくてよいと伝えた旨を書く | 生活歴を伺う目的(ご本人の暮らし方に合わせた支援を考えるため)を説明し、答えたくない質問には答えなくてよいことを伝えたうえで聞き取った。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
書いてしまった記録は、担当者の交代・情報提供・開示請求などで他の人の目に触れる可能性があります。ご本人が読んでも差し支えない言葉で書くことを一つの目安にすると、評価の言葉や不要な詳細を避けやすくなります。
運営指導で見られる点と、手元に残す記録
厚生労働省の運営指導マニュアルの別添1「確認項目及び確認文書」では、施設系・居住系のサービスの入退所(入退居・入退院)の確認項目に、心身の状況・生活歴・病歴等の把握に努めているかが挙げられています。確認文書にはアセスメントシートが含まれています。
別添1で「生活歴」の把握が確認項目にあるサービス7種
| サービス(別添1の区分) | 確認項目(抄) | 確認文書(抄) | 貴事業所で生活歴を書いている様式(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 介護老人福祉施設(入退所・第7条) | 入所(入居)者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、施設サービス計画、入所検討委員会会議録 | (記入欄) |
| 介護老人保健施設(入退所・第8条) | 入所(入居)者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、施設サービス計画、入所検討委員会会議録 | (記入欄) |
| 介護療養型医療施設(入退院・第9条) | 患者の心身の状況、病歴、生活歴、指定居宅サービス等の利用状況等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、施設サービス計画 | (記入欄) |
| 介護医療院(入退所・第12条) | 入所(入居)者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、施設サービス計画、入所検討委員会会議録 | (記入欄) |
| 認知症対応型共同生活介護(入退居・第94条) | 利用者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、認知症対応型共同生活介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、診断書 | (記入欄) |
| 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(入退所・第134条) | 入所(入居)者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、地域密着型施設サービス計画、入所検討委員会会議録 | (記入欄) |
| 介護予防認知症対応型共同生活介護(入退居・第74条) | 利用者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、介護予防認知症対応型共同生活介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、診断書 | (記入欄) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
別添1の居宅介護支援の確認項目には、「生活歴」という語は手元の資料では確認できませんでした。ただし、居宅介護支援でもアセスメントの記録や第1表の課題分析の結果は確認の対象になっており、生活歴はその根拠として使われます。
公表事例|生活歴の欄そのものの指摘は確認できず・隣接する指摘4件
自治体が公表している運営指導の指摘事例のうち、当社が出典つきで整理している範囲では、生活歴の欄の書き方そのものを指摘した事例は確認できませんでした。隣接する指摘として、アセスメントの記録と計画のつながりに関するものを挙げます。
| 公表元 | 公表されている指摘(要旨) | 生活歴の欄で残しておくとよいこと |
|---|---|---|
| 姫路市「令和6年度以前実地指導結果(指定基準等)」 | 居宅サービス計画第1表の「利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」に課題分析の結果が記載されていなかった | 課題分析の結果の根拠になる生活歴(習慣・役割・大切にしていること)を、第1表に一語でも引ける形で書いておく |
| 岡山市「令和7年度集団指導資料 本編1(居宅介護支援・介護予防支援)」 | 複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である、アセスメントの結果把握されたニーズと計画のサービス内容が合っていない、等が不適切事例として挙げられている | その人固有の生活歴(職業・日課・好み)を書き、計画に反映された言葉と照合できるようにする |
| 岡山市「令和7年度集団指導資料 本編1(居宅介護支援・介護予防支援)」 | アセスメントの結果について記録していない・保存していない、等が不適切事例として挙げられている | 聞き取った日付・聞き取った相手・未確認の事項を生活歴の欄に残す |
| 豊島区「認知症対応型共同生活介護事業所への運営指導で『改善を要する』と指摘された事項について(令和5年度・10件)」 | アセスメントの記録が確認できない、計画作成後にアセスメントを実施していた、初回アセスメントと同一の用紙に区別がつかない状態で記載されていた、等 | 入居時の生活歴と、その後に追記した内容を日付で区別して書く |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
生活歴に関して手元に残す記録の一覧
| 記録 | 何が分かるか | 保管場所(記入欄) | 最終更新日(記入欄) |
|---|---|---|---|
| アセスメントシートの生活歴欄 | 時期ごとの生活の事実と、今の暮らし方とのつながり | (記入欄) | (記入欄) |
| フェイスシート(基本情報) | 担当者が替わっても伝わる生活歴の要約 | (記入欄) | (記入欄) |
| 聞き取りの記録(支援経過・面談記録) | いつ・誰から・どの場面で聞いたか | (記入欄) | (記入欄) |
| 未確認事項のメモ | 次回聞き取る予定の事項と、聞き取る相手 | (記入欄) | (記入欄) |
| 入所前面談・入居前面談の記録 | 在宅での日課・習慣と、施設で続けたいこと | (記入欄) | (記入欄) |
| 他機関からの情報(看護サマリー・前任者の記録) | 情報の出どころと作成時期 | (記入欄) | (記入欄) |
| 第1表(施設サービス計画書を含む)・グループホームの介護計画 | 生活歴が意向・課題分析の結果に反映されているか | (記入欄) | (記入欄) |
| 第2表・介護計画の支援内容 | 生活歴の手がかりが支援内容に生かされているか | (記入欄) | (記入欄) |
| 情報提供の同意の記録 | 生活歴をどの範囲で、どこへ伝えるかの同意 | (記入欄) | (記入欄) |
| サービス事業所への情報提供の控え | 伝えた内容・日付・伝えた相手 | (記入欄) | (記入欄) |
| 再アセスメント時の追記 | 前回からの変化(日付つき) | (記入欄) | (記入欄) |
| 職員間の申し送り(避けたい話題・好む声かけ) | 生活歴から導いた対応方針の共有状況 | (記入欄) | (記入欄) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
記録の保存期間や保存の方法は、保険者の条例や事業所の規程によって定められています。貴事業所の定めを上の表の保管場所の欄とあわせて確認してください。
生活歴の書き方でよくある質問
生活歴はどこまで詳しく書けばよいですか?
今の支援に関係する時期を厚く、関係の薄い時期は1文で書くのが目安です。起床の時刻、入浴や食事の好み、役割、大切にしていることなど、ケアの場面で使える事実を中心にすると、計画につなげやすくなります。
本人が昔のことを話したがらない場合はどう書きますか?
「不明」で終えず、どの話題で会話が続いたか、何を話したくないと言われたか、次に誰から聞き取る予定かを書いておくと、次に担当する人の手がかりになります。話したくない意向そのものも記録に残します。
本人と家族の話が違うときは、どちらを書けばよいですか?
どちらか一方に決めず、「ご本人は◯◯と話し、長男は△△と話された」のように両方を並べて書きます。食い違いの確認方法(写真や手帳を見ながら聞くなど)と、確認の予定もあわせて残しておくとよいでしょう。
生活歴にはどんな言葉を使わないほうがよいですか?
「頑固」「わがまま」「家族仲が悪い」といった評価の言葉は、根拠となる発言や場面に置き換えます。推測を書くときは根拠を先に書き、「〜と考えられる」と書き分けると、事実と解釈の区別が読み手に伝わります。
生活歴は一度書いたら書き換えなくてよいですか?
新しく分かったことや変化があれば、前回の記載を消さずに日付を入れて書き足します。入所や入居の後、再アセスメントのときなど、どの時点で分かったことかが区別できるようにしておくと、計画の見直しにも使いやすくなります。
出典
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
