生活歴は、アセスメントシート・フェイスシート・施設の入所時記録のどれにも欄がありながら、「何をどこまで書けばよいか」が最も迷われやすい欄です。「昭和◯年生まれ。会社員。退職後は自宅で過ごす」だけで終わると、ケアプランや介護計画のどこにも生かされない記録になります。
この記事では、生活歴欄に書く事実を時期ごとに整理した対照表と、状態別にそのまま貼れる完成文、聞き取りが難しい場面の悪い例/良い例、生活歴を第1表・第2表・介護計画の支援内容までつなげた通しの例をまとめました。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。
生活歴欄に何を書くか|時期6区分と様式別の記入対照表
生活歴は「年表」ではなく、今の暮らし方がどこから来ているのかを説明する記録です。起床の時刻、入浴の好み、人との付き合い方、嫌がる介助——そうした「今」の手がかりが、過去のどの時期に形づくられたのかを書き残すと、ケアの場面で使える情報になります。
厚生労働省は、居宅・施設のサービス計画書の様式と課題分析標準項目を「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号)で示していますが、同通知の本文は、これらを標準例として提示するものであり、当該様式以外の様式等の使用を拘束する趣旨のものではない旨を添えています。したがって、生活歴の欄名・欄の大きさは事業所の様式によって異なります。下の表は、欄名にかかわらず「何を聞き、どう残し、どこにつなげるか」を時期ごとに並べたものです。
時期別|聞き取る事実・記録に残す形・つながる欄
| 時期 | 聞き取る事実 | 記録に残す形(例) | つながる先・貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 出生〜学齢期 | 生まれ育った土地、きょうだいの数と順番、家業 | 海辺の集落で6人きょうだいの長女として育ち、幼いころから弟妹の世話と家業の網の繕いを手伝っていた。 | 役割意識・世話好きな面の理解/会話の話題(記入欄) |
| 出生〜学齢期 | 学校生活、得意だったこと、戦中戦後の体験の有無 | 小学校のころから習字が得意で、書き初めで表彰されたことを今も話される。疎開の話題には触れたがらない。 | レクリエーションの選び方/避けたい話題(記入欄) |
| 就労期 | 職業、勤務形態(交替勤務・自営・外回り)、勤続年数 | 印刷会社で製版の仕事に38年従事。夜勤を含む交替勤務で、日中に仮眠をとる生活が長かった。 | 生活リズムの評価/昼寝の扱い(記入欄) |
| 就労期 | 仕事で身についた習慣(起床時刻・身だしなみ・几帳面さ) | 銀行の窓口勤務だったため、外出時は今も襟付きのシャツを選び、身だしなみを自分で整えることにこだわりがある。 | 更衣の支援方法・自分で行う部分(記入欄) |
| 就労期 | 職場での立場、人との関わり方 | 工場の班長として20人ほどをまとめてきた。人から指示されるより、頼まれて動くほうが力を発揮しやすいと家族が話す。 | 声かけの仕方/役割の場面(記入欄) |
| 結婚・子育て期 | 結婚した年齢、子どもの人数、家事の分担 | 24歳で結婚し、2男1女を育てた。家事の中心は本人で、特に煮物と漬物は家族に頼られてきた。 | 調理への参加・食事の好み(記入欄) |
| 結婚・子育て期 | 地域の役(町内会・PTA・消防団)、転居の経緯 | 子育て中に夫の転勤で3回転居。今の家には48歳から住み、町内会の会計を6年務めた。 | 地域とのつながり・インフォーマル支援(記入欄) |
| 退職後 | 退職の年齢、退職後の日課、趣味 | 62歳で退職後、毎朝7時から家庭菜園に出て、収穫した野菜を近所に配るのが楽しみだった。 | 日中の活動・役割の再設定(記入欄) |
| 退職後 | 配偶者との死別・別居、家族構成の変化 | 70歳で妻と死別し、以後一人暮らし。長女が月に2回、車で40分かけて様子を見に来ている。 | 家族等の支援体制・緊急時の連絡(記入欄) |
| 発症前後 | 病気・けが・入院の時期と経過 | 78歳の冬に自宅の浴室で転倒し、大腿骨を骨折。手術後2か月入院し、退院後は屋外の歩行に自信をなくしている。 | 健康状態・転倒への不安(記入欄) |
| 発症前後 | できなくなったこと、やめてしまった習慣 | 骨折の後、菜園と地域のグラウンドゴルフをやめた。「迷惑をかけるから」と誘いを断るようになったと長女が話す。 | 社会参加の再開・目標設定(記入欄) |
| 発症前後 | 本人の受け止め方、口にしている言葉 | 「もう畑には出られない」と初回訪問で2回話された一方、畑の写真を見せると作物の名前を次々に挙げられた。 | 本人の意向・動機づけ(記入欄) |
| 現在 | 一日の流れ、曜日ごとの予定、楽しみ | 6時起床、7時朝食。午前はラジオを聞きながら新聞を読み、午後は2時ごろから1時間ほど横になる。水曜の夕方に長男から電話がある。 | 日課に合わせたサービス時間帯(記入欄) |
| 現在 | 大切にしていること、譲れないこと、嫌なこと | 仏壇に毎朝ご飯とお茶を供えることは続けたいと話される。人前で下着姿になることを強く嫌がる。 | 支援の留意事項・同性介助の検討(記入欄) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
すべての時期を同じ量で書く必要はありません。今の支援に関係する時期を厚く、関係の薄い時期は1文で、が基本です。たとえば入浴を拒む方なら、入浴習慣の変化と、拒む理由になりそうな体験(入院中の介助など)を中心に書きます。
様式別|アセスメントシート・フェイスシート・入所時記録で書く分量
| 様式 | 生活歴欄の役割 | 書く分量の考え方 | 貴事業所の様式の欄名(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援のアセスメントシート | 課題分析の根拠。意向や課題の背景を説明する材料 | 時期ごとに1〜3文。課題に関係する時期を厚くする | (記入欄) |
| フェイスシート(基本情報) | 担当者が替わっても人柄と暮らしの前提が伝わる要約 | 全体で5〜8文程度の要約。詳細はアセスメントシートへ | (記入欄) |
| 特養・老健・介護医療院の入所時記録 | 在宅での暮らし方を施設の日課に引き継ぐ | 起床・食事・入浴・排泄の習慣を中心に、時刻と回数まで書く | (記入欄) |
| グループホームの入居時アセスメント | 行動の背景の理解、なじみの役割の手がかり | 職業・家事・口癖・なじみの物を具体的に。混乱しやすい場面も添える | (記入欄) |
| 小規模多機能型居宅介護の登録時記録 | 通い・訪問・泊まりの組み立ての根拠 | 自宅での一日の流れと、家族の生活時間を並べて書く | (記入欄) |
| 通所介護の利用開始時の記録 | 活動・会話・席の配置の手がかり | 趣味・得意なこと・苦手な集団場面を中心に2〜4文 | (記入欄) |
| 訪問介護の事前アセスメント | 家事の手順・物の置き場所・こだわりの把握 | 調理・掃除・買い物のやり方の癖を具体的に | (記入欄) |
| 更新・再アセスメント時 | 前回からの変化を追記する | 前回記載を消さず、日付を入れて変化だけを書き足す | (記入欄) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
生活歴がケアの手がかりになる完成文|手がかり8項目×状態6区分の48例
ここからが本体です。生活歴の中でも、ケアの場面で使われることが多い8つの手がかり(職業歴と役割/趣味・日課/食習慣/入浴習慣/信仰・大切にしていること/地域とのつながり/家族関係の変化/転居歴)ごとに、状態別の完成文を並べました。右の列は、その記載がケアのどこで使えるかを示しています。
完成文はどれも「いつ・何を・どのくらい」と「誰から聞いたか」を含めています。生活歴は聞き取りの記録なので、情報の出どころ(本人・長女・前任のケアマネジャー等)が書かれていると、後から読む人が確からしさを判断できます。
在宅(家族同居)・独居・老老介護の完成文24例
| 手がかり | 状態 | そのまま貼れる完成文 | ケアでの使い道 |
|---|---|---|---|
| 職業歴と役割 | 在宅(家族同居) | 路線バスの運転手として35年勤め、早番と遅番の交替勤務を続けてきた。退職後も5時半に起き、玄関先を掃いてから朝食をとる流れが続いている。長男夫婦と同居してからも、ごみ出しは自分の役目だとご本人が話している。 | 早朝の起床を生かし、ごみ出しを本人の役割として第2表に残す |
| 職業歴と役割 | 独居 | 夫婦で呉服店を営み、ご本人は帳簿付けと仕入れの電話を受け持ってきた。夫の死後12年間一人暮らしで、家計簿は今も毎晩つけている。初回訪問で「支払いの期日は自分で管理したい」と2回話された。 | 金銭管理を代行に切り替える前に、本人が続けられる範囲を確かめる根拠 |
| 職業歴と役割 | 老老介護 | 造船所の溶接工として定年まで勤めた。主介護者は同じ年の妻(84歳)で、妻によると「力仕事は全部この人がやってきたので、手伝われるのを嫌がる」。移乗の介助を妻が一人で行っており、夜間は妻が2回起きている。 | 本人の自尊心に配慮した声かけと、介護者の負担軽減を並べて検討する材料 |
| 趣味・日課 | 在宅(家族同居) | 40代から続けてきた盆栽が生きがいで、骨折前は毎朝6時に庭へ出て水やりをしていた。現在は長女が代わりに水をやっているが、ご本人は縁側から鉢を眺めて「あの松は30年ものだ」と話される。 | 縁側までの移動と水やりの再開を短期目標の候補にする |
| 趣味・日課 | 独居 | 毎日15時に近所の喫茶店へ歩いて行き、新聞を読むのが20年来の日課。店主によると、ここ1か月は来店が週2回ほどに減っている(民生委員経由で聞き取り)。ご本人は「足が重くなった」と話す。 | 外出頻度の変化を体調変化の目安として見守り体制に組み込む |
| 趣味・日課 | 老老介護 | 夫婦で毎週日曜の朝に地域の公民館で開かれる民謡の会に通っていたが、半年前から休んでいる。妻は「私が付き添えなくなったから」と話し、ご本人は「また歌いたい」と話された。 | 通所介護等での歌唱の場と、夫婦の外出機会の両方を検討する材料 |
| 食習慣 | 在宅(家族同居) | 朝食はパン1枚と牛乳、昼は麺類、夕食は家族と同じ献立で、晩酌は日本酒1合を60年続けてきた(長男より)。退院後は主治医の指示で晩酌を控えており、夕食の量が半分ほどに減っている。 | 食事量の低下の背景整理と、主治医への情報提供の材料 |
| 食習慣 | 独居 | 若いころから料理が好きで、煮物を多めに作って3日かけて食べるのが習慣。冷蔵庫には作り置きの容器が7つあり、うち2つは日付が不明だった(初回訪問時に確認)。ご本人は「もったいないから捨てない」と話す。 | 食品の管理を一緒に行う訪問介護の内容の根拠 |
| 食習慣 | 老老介護 | 食事作りは50年以上ご本人(妻)が担ってきたが、手指のしびれで包丁が使いにくくなった。現在は夫が総菜を買ってくるが、ご本人は「味が濃くて食べられない」と話し、昼食を抜く日が週に3日ある。 | 調理の工程のうち本人ができる部分を残す支援の検討材料 |
| 入浴習慣 | 在宅(家族同居) | 一番風呂に夜9時ごろ入り、42度の熱めの湯に肩までつかるのが長年の好み(次女より)。デイサービスで昼間に入浴することについて、ご本人は「昼の風呂は落ち着かない」と話された。 | 入浴の時間帯と湯温の希望をサービス事業所へ伝える根拠 |
| 入浴習慣 | 独居 | 自宅の浴槽は深く、転倒後の3か月は入浴せずシャワーのみで済ませていると話される。若いころは銭湯に毎日通い、「大きい風呂が好き」とのこと。浴室に手すりはない(訪問時に確認)。 | 通所での入浴と、住宅改修の検討を並べて提案する材料 |
| 入浴習慣 | 老老介護 | 入浴は週2回、夫が介助して夕方に入っている。夫によると、浴槽をまたぐときにご本人がふらつき、2週間前に夫婦で浴室に座り込んだことがあった。ご本人は「人に裸を見られるのは嫌」と話している。 | 同性介助の希望を含めて入浴支援の方法を検討する材料 |
| 信仰・大切にしていること | 在宅(家族同居) | 毎朝仏壇にご飯とお茶を供え、読経を5分ほど行うのが日課。長男の妻によると、体調が悪い日も仏壇の前には座るとのこと。月命日には墓参りに行きたいと希望されている。 | 朝の時間帯を支援で埋めない配慮と、外出支援の検討材料 |
| 信仰・大切にしていること | 独居 | 30代から教会に通い、日曜の午前の礼拝を欠かしたことがないと話される。教会の仲間が送迎を申し出ているが、ご本人は「迷惑をかけたくない」と断っている。 | インフォーマル支援として第2表に位置づける検討材料 |
| 信仰・大切にしていること | 老老介護 | 夫婦とも神棚に毎朝手を合わせてきた。ご本人は「神棚の水を替えるのは自分の仕事」と話し、踏み台に乗って替えていることを妻が心配している(妻より)。 | 役割を残したまま転倒の危険を減らす環境調整の検討材料 |
| 地域とのつながり | 在宅(家族同居) | 町内会の老人クラブで長く会計を務め、現在も月1回の定例会には長女の送迎で出席している。会の仲間が週に1回ほど電話をくれる(長女より)。 | 既存のつながりを維持する外出支援の根拠 |
| 地域とのつながり | 独居 | 隣家の夫婦とは40年の付き合いで、回覧板を届けるついでに毎日声をかけてもらっている。隣家の妻は「新聞がポストに溜まっていたら連絡する」と話している(ご本人同席で確認)。 | 見守りの担い手として緊急時の連絡体制に位置づける材料 |
| 地域とのつながり | 老老介護 | 夫婦で商店街の八百屋を45年営み、店を閉めた今も元の常連客が月に数回訪ねてくる。夫によると、来客のある日はご本人の表情が明るく、食事量も多いとのこと。 | 来客を心身の状態を保つ要素として記録し、支援の時間帯を調整する材料 |
| 家族関係の変化 | 在宅(家族同居) | 3年前に長男家族と同居を始めた。長男の妻とは台所の使い方で意見が合わず、ご本人は自室で過ごす時間が増えたと話す。長男は「母が遠慮しているように見える」と話された。 | 家族内の役割の再調整と、本人の居場所の確保の検討材料 |
| 家族関係の変化 | 独居 | 長男とは10年以上連絡を取っておらず、緊急時の連絡先は県外に住む妹(78歳)になっている。妹は電話での対応はできるが、来訪は難しいと話された(電話で確認)。 | 身元・緊急時の支援体制を検討する材料 |
| 家族関係の変化 | 老老介護 | 一人娘は海外に住み、帰国は年に1回。夫婦は「娘には心配をかけたくない」と話し、介護の状況を娘に伝えていない。ご本人の同意を得て、次回の帰国時に面談する予定とした。 | 家族等への情報共有の範囲を本人と決めておく根拠 |
| 転居歴 | 在宅(家族同居) | 生まれ育った山あいの集落から、1年前に長女宅へ転居した。転居後、夕方になると「家に帰る」と荷物をまとめることが週に2〜3回ある(長女より)。以前の家は現在も空き家のまま残っている。 | 夕方の不安への対応と、なじみの物を持ち込む工夫の検討材料 |
| 転居歴 | 独居 | 公営住宅の建て替えに伴い、半年前に同じ地区内の5階建ての3階へ転居した。以前は1階に住んでおり、ご本人は「階段があるから買い物に出なくなった」と話す。エレベーターはある。 | 転居による外出減少を課題として整理する材料 |
| 転居歴 | 老老介護 | 夫の退職を機に都市部から夫の郷里へ転居し、20年になる。ご本人は地域に親しい友人が少なく、「夫以外と話す人がいない」と話された。夫は、ご本人が地域になじめていないことを気にしている。 | 介護者以外の相談相手と、本人の交流の場を探す根拠 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
施設入所・認知症・若年性の完成文24例
| 手がかり | 状態 | そのまま貼れる完成文 | ケアでの使い道 |
|---|---|---|---|
| 職業歴と役割 | 施設入所 | 保育士として40年勤め、主任も務めた。入所後、食堂で他の入所者に「お茶を配りましょうか」と声をかける場面が1日に3回ほど見られる(入所1週目の介護記録より)。 | 配膳の手伝いなど、役割の場を施設サービス計画に位置づける検討材料 |
| 職業歴と役割 | 認知症 | 郵便局で配達を30年担当していた。夕方4時ごろになると廊下を歩き回り、他の居室の扉を順に確かめる行動がある。長男によると「配達の締めの時間だった」とのこと。 | 歩き回る行動の背景として、夕方の過ごし方を計画で検討する材料 |
| 職業歴と役割 | 若年性 | システムエンジニアとして勤務していた52歳のときに物忘れで受診し、翌年退職した。妻によると、パソコンの配線や家電の設定は今も自分で行いたがり、任されると集中して取り組むとのこと。 | 本人ができる作業を活動の中心に置く検討材料 |
| 趣味・日課 | 施設入所 | 在宅では毎晩9時にラジオの落語番組を聞いてから寝る習慣があった(入所前面談で長女より)。入所後は消灯後に眠れず、夜間に2〜3回ナースコールを押している。 | 就寝前の過ごし方を在宅の習慣に近づける検討材料 |
| 趣味・日課 | 認知症 | 和裁を仕事にしてきた方で、布を手に取ると指先で縫い目を確かめる動作が見られる。布巾たたみを依頼すると20分ほど続け、終わると「きれいにできた」と話された。 | 落ち着いて過ごせる活動として日課に組み込む根拠 |
| 趣味・日課 | 若年性 | 学生時代から続けてきたジョギングが趣味で、診断後も妻と週3回、朝に30分ほど走っている。本人は「走っているときは病気を忘れられる」と話された。 | 体を動かす活動を支援の柱に据える検討材料 |
| 食習慣 | 施設入所 | 在宅では朝食をとらず、10時ごろにお茶とせんべいを食べる生活を50年続けていた(長男より)。入所後、朝食の摂取量は主食・副食とも2割程度で、10時のお茶の時間には完食している。 | 食事時間と間食の扱いを多職種で検討する材料 |
| 食習慣 | 認知症 | 漁港の近くで育ち、刺身と煮魚が好物だった。食堂で肉料理が出る日は箸が進まず、魚料理の日は完食することが多い(入居後2週間の食事記録より)。 | 献立の工夫や代替食の検討材料 |
| 食習慣 | 若年性 | 単身赴任が長く、自炊は炒め物と丼物が中心だった。最近はコンロの火を消し忘れることが週に1〜2回あり、妻が帰宅するまで食事を待つ日が増えている(妻より)。 | 調理の安全と本人の役割を両立させる方法の検討材料 |
| 入浴習慣 | 施設入所 | 在宅では朝7時に入浴する朝風呂の習慣があった。入所後、午後の入浴の声かけに対して「今日はいい」と断ることが週2回のうち1回ある(入所後3週間の記録より)。 | 入浴の時間帯を朝に寄せられるかを検討する材料 |
| 入浴習慣 | 認知症 | 若いころから温泉が好きで、夫婦で年に数回旅行していた。浴室の入り口で「ここはどこの旅館ですか」と尋ね、職員が温泉の話をすると自分から脱衣を始めることが多い。 | 入浴誘導の声かけの工夫として計画に残す根拠 |
| 入浴習慣 | 若年性 | 入浴は自分で行ってきたが、最近は同じ部位を何度も洗い、1時間以上浴室から出てこない日がある(妻より)。本人は「ちゃんと洗えたか分からない」と話された。 | 見守りの方法と、手順を示す工夫の検討材料 |
| 信仰・大切にしていること | 施設入所 | 入所の際に持参した亡夫の写真を枕元に置き、毎朝「おはよう」と声をかけている。長女によると、在宅では写真に1日の出来事を話しかけるのが習慣だった。 | 居室の環境づくりと、心の支えの尊重を計画に残す根拠 |
| 信仰・大切にしていること | 認知症 | 茶道の師範として自宅で教室を開いていた。落ち着かない時間帯に、職員がお盆と湯飲みを差し出すと、背筋を伸ばして丁寧にお茶を入れる所作が見られる。 | 本人の誇りを保てる場面を支援内容に組み込む根拠 |
| 信仰・大切にしていること | 若年性 | 「子どもの結婚式までは自分の足で歩きたい」と話し、長女の挙式は来年の春に予定されている。本人の希望で、主治医にもこの目標を伝えている(本人・妻より)。 | 本人が掲げる期限つきの目標を長期目標に反映する材料 |
| 地域とのつながり | 施設入所 | 地元の婦人会で長く活動し、入所後も元の会員が月に1回面会に来ている。面会のあった日は夕食を完食し、夜間の覚醒も少ない(入所後1か月の記録より)。 | 面会を継続しやすい環境を整える根拠 |
| 地域とのつながり | 認知症 | 地区の祭りで太鼓を叩く役を40年務めた。行事でばちを渡すと、リズムを崩さずに10分ほど叩き続け、終わると周りの利用者に手を振って応えていた。 | 集団活動の中で本人の役割を持てる場面の根拠 |
| 地域とのつながり | 若年性 | 少年野球のコーチを15年続け、今も週末に元の教え子が訪ねてくる。本人は病名を地域に知られることに抵抗があり、「コーチ仲間には言わないでほしい」と話された。 | 情報共有の範囲に配慮しながら、つながりを保つ方法の検討材料 |
| 家族関係の変化 | 施設入所 | 在宅介護を担ってきた長男の妻が体調を崩したことを機に入所した。ご本人は「嫁に悪いことをした」と繰り返し話し、面会の際は長男の妻の体調を気にかけている。 | 家族への罪悪感に寄り添う声かけと、面会の工夫の検討材料 |
| 家族関係の変化 | 認知症 | 夫とは5年前に死別しているが、夕方になると「主人が帰ってくるから夕飯の支度をしないと」と話すことがある。長女とは、否定せず台所仕事を一緒に行う対応で合意した。 | 家族と合意した対応方針を職員間で統一する根拠 |
| 家族関係の変化 | 若年性 | 妻が主介護者で、中学生と高校生の子どもがいる。妻によると、本人が学校行事の日程を忘れたことをきっかけに、子どもとの会話が減っているとのこと。 | 家族全体への支援や相談先の紹介を検討する材料 |
| 転居歴 | 施設入所 | 県外で生まれ、就職を機にこの地域へ移り住んで50年。方言は出身地のものが強く、同郷の職員が声をかけると表情が和らぐ場面が見られる(入所後の記録より)。 | 声かけの担当や話題選びの工夫の根拠 |
| 転居歴 | 認知症 | 子ども時代に3回転居しており、長女によると本人は最初に住んだ港の近くの家の話を最もよくするとのこと。「港へ行く」と外へ出ようとするのは、その家を思い出すときが多い。 | 外へ出ようとする行動の背景理解と、会話の話題の根拠 |
| 転居歴 | 若年性 | 2年前に妻の実家近くへ転居した。本人にとってはなじみのない地域で、一人で外出すると帰り道が分からなくなったことが3回あった(妻より)。 | 外出時の見守りと、道順を覚える支援の検討材料 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
完成文を貼るときは、年齢・時刻・回数・情報の出どころを実際の聞き取り内容に置き換えてください。同じ文章を複数の利用者に使い回すと、その人らしさが伝わらない記録になります。
聞き取りが難しい場面の書き方|悪い例と良い例16組
生活歴は、ご本人が語らない・家族と話が食い違う・触れられたくない過去がある、といった場面で止まりやすい欄です。そうした場面でも、「分からなかった」で終えずに何を試み、何が分かり、何が分からないのかを書いておくと、次に聞き取る人の手がかりになります。
悪い例に多いのは、推測を事実のように書いてしまうことです。「頑固な性格」「家族仲が悪い」といった評価の言葉は、根拠となる発言や場面に置き換えます。
場面別|ありがちな一行と、そのまま貼れる書き方
| 場面 | 悪い例(ありがちな一行) | 良い例(そのまま貼れる完成文) |
|---|---|---|
| 本人が多くを語らない | 「本人は話したがらないため不明」 | 初回訪問では、仕事の話題に「昔のことだから」と短く答えるのみだった。庭の柿の木の話では5分ほど会話が続いたため、次回は庭の手入れの話題から聞き取りを進める。職業歴は長女に確認予定。 |
| 家族と本人の話が違う | 「本人の話は認知症のため信用できない」 | ご本人は「退職まで市場で働いた」と話し、長男は「60歳で辞めた後は自宅にいた」と話された。どちらの話も記録し、時期の違いは次回、写真や手帳を見ながら確認する。 |
| 話したくない過去がある | 「過去に何かあった様子」 | 30代の話題になると「その頃のことは話したくない」と明言された。ご本人の意向を尊重し、この時期の聞き取りは行わない。支援に必要な範囲で、苦手な話題として職員間で共有することに同意を得た。 |
| 家族が生活歴を知らない | 「家族も分からない」 | 同居の孫は、祖母の若いころの仕事を知らないと話された。遠方に住む次女が詳しいとのことで、次女の了承を得て電話で聞き取る予定とした。 |
| 同じ話を繰り返す | 「同じ話ばかりで会話にならない」 | 面談の40分間で、船に乗っていたころの嵐の話を4回された。話す際は身を乗り出し、表情が明るい。本人にとって大切な記憶と考えられるため、会話のきっかけとして記録する。 |
| 事実と異なる可能性がある話 | 「作り話をする」 | 「昨日まで会社に行っていた」と話されたが、長男によると退職は20年前とのこと。ご本人の話として記録し、事実関係は長男の説明で補う。否定すると表情が硬くなったため、話を受け止める対応とした。 |
| 性格の記載 | 「頑固な性格」 | 入浴の声かけに対し「自分のことは自分でやる」と3回断られた。長女によると、若いころから人に頼るのを好まず、病院の付き添いも断ってきたとのこと。 |
| 家族関係の記載 | 「家族仲が悪い」 | 次男とは「5年ほど会っていない」とご本人が話された。理由は語られず、こちらからは尋ねていない。緊急時の連絡先には長女を希望された。 |
| 飲酒・喫煙の習慣 | 「アルコール依存の疑い」 | ご本人によると、毎晩焼酎を湯飲みに2杯飲むのが40年来の習慣。訪問時、台所に空き瓶が5本あった。飲酒量について主治医の意見を確認する予定。 |
| 経済状況の話題 | 「お金に困っている」 | 「年金だけで暮らしているから、サービスは最小限にしたい」と話された。利用料の見込みを説明したうえで、回数は本人と相談して決めることとした。 |
| 家族が本人の前で話しにくい | 「家族から話を聞けなかった」 | 長女はご本人の前では言葉を選んでいる様子だった。帰り際に玄関先で「父の昔の仕事のことは、また電話で話したい」とあり、翌日電話で聞き取ることとした。 |
| 言葉での表出が難しい | 「失語のため聴取不可」 | 言葉での返答は難しいが、昔の町並みの写真を見せるとうなずき、漁船の写真では指を差して笑顔が見られた。生活歴は妻の話を中心に記録し、ご本人の反応を併記する。 |
| 日本語以外が主な言語 | 「言葉が通じず不明」 | ご本人は20代で来日し、日常会話は日本語で可能だが、込み入った話は母語のほうが話しやすいとのこと。次回は通訳できる長男が同席する日に生活歴を聞き取る予定。 |
| 前任者からの引き継ぎ | 「前任者の記録どおり」 | 前任のケアマネジャーの記録(3年前)では「元会社員」とのみあった。今回ご本人に確認したところ、製菓会社で工場長を務めていたと話されたため、追記した。 |
| 入院先からの情報のみ | 「病院からの情報で特になし」 | 病院の看護サマリーには生活歴の記載がなかった。入所前面談で長男から、自宅では5時に起き、朝食前に散歩していたことを聞き取った。 |
| 聞き取りが途中で終わった | 「疲労のため中止」 | 面談開始から20分ほどで「疲れた」と話されたため中止した。結婚後から退職までの時期は未確認で、次回の訪問で続きを聞く予定。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
事実・伝聞・推測の書き分け|語尾と情報の出どころの対照
| 情報の出どころ | 語尾・書き方 | 記載の例 |
|---|---|---|
| ご本人の言葉 | 「」で囲んでそのまま、または「〜と話された」 | 「畑は私の命」と話された。 |
| 家族等の話 | 「長女によると〜」「〜とのこと(次男より)」 | 次男によると、若いころは船の機関士だったとのこと。 |
| 職員が見た場面 | 日時・場面を添えて「〜が見られた」 | 7時の朝食時、箸を使って自分で食べる様子が見られた。 |
| 他機関の記録 | 資料名と作成時期を添える | 入院先の看護サマリー(退院時)に、自宅では布団で寝ていたとの記載がある。 |
| 職員の解釈 | 根拠を先に書き「〜と考えられる」 | 夕方に玄関へ向かうのは、勤務の終わりの時刻と重なっていたためと考えられる。 |
| 未確認の事項 | 「未確認」「次回確認予定」と明記する | 結婚前の職業は未確認。次回、長女に確認予定。 |
| 話が食い違う事項 | 両方を並べて書き、どちらかに決めない | 転居の時期について、本人は「40歳」、長男は「50歳ごろ」と話された。 |
| 本人が話さないと決めた事項 | 話さない意向そのものを記録する | 若いころの家庭のことは話したくないとの意向があり、聞き取りは行っていない。 |
| 時期のあいまいな事項 | 年齢か年代の幅で書く | 40代のころ、夫の病気を機に家業を継いだと話された。 |
| 数や量の事項 | 本人・家族のどちらの見立てかを添える | 晩酌はビール1缶(本人)、2〜3缶の日もある(妻)。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
生活歴から第1表・第2表・介護計画へ|4事例の通しの例
生活歴は、書いた欄の中で完結させず、計画書のどこかに一語でも反映されていると生きた記録になります。ここでは、在宅・施設・グループホーム・若年性の4事例について、生活歴の記載から、第1表の意向・課題分析の結果、第2表のニーズと目標、サービス内容・介護計画の支援内容までを1本の線でつないだ例を示します。
施設サービス計画書や認知症対応型共同生活介護計画では欄の名前が居宅と異なる場合があるため、左から2列目の欄名は貴事業所の様式に読み替えてください。
| 事例 | 欄 | そのまま貼れる完成文 |
|---|---|---|
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | 生活歴 | 印刷会社で製版の仕事を38年続け、退職後は毎朝7時から家庭菜園に出て、収穫した野菜を近所に配るのが楽しみだった。脳梗塞で入院した後は菜園に出ておらず、「もう畑には出られない」と話されている。 |
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | 第1表 本人・家族の意向 | ご本人「また畑でトマトを作って、近所に配りたい」。長女「転ばないか心配だが、父が好きなことは続けてほしい」。 |
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | 第1表 課題分析の結果 | 右半身に軽いまひが残り、屋外の不整地を歩く際にふらつきがみられる。一方で、菜園の話題では意欲が高く、長年続けてきた役割を取り戻すことが活動量を保つ手がかりになると考えられる。 |
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | 第2表 ニーズ・短期目標 | ニーズ:畑まで安全に歩いて、野菜作りを再開したい。短期目標:杖を使って、庭の畑まで往復できる。 |
| 事例1:在宅・脳梗塞後・長女同居 | サービス内容 | 通所リハビリテーションで屋外歩行の練習を行う。畑までの通路に手すりを設置できるか福祉用具専門相談員と確認する。種まきと水やりはご本人が行い、畝づくりは長女が手伝う。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | 生活歴 | 夫の死後15年一人暮らしで、毎朝5時に起きて仏壇にご飯とお茶を供え、6時にパンと牛乳の朝食をとっていた。入所の際、亡夫の位牌の写真を持参された(入所前面談で長男より)。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | 第1表 本人・家族の意向 | ご本人「朝のお参りだけは続けたい」。長男「母が落ち着いて暮らせるなら、それで十分です」。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | 第1表 課題分析の結果 | 入所後、早朝に目が覚めて居室の中を歩き回る様子が見られる。在宅での早朝の日課が途切れたことによる落ち着かなさと考えられ、朝の過ごし方を在宅の習慣に近づけることが生活の安定につながると考えられる。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | 第2表 ニーズ・短期目標 | ニーズ:朝のお参りを続けて、落ち着いた気持ちで一日を始めたい。短期目標:居室で毎朝お参りをしてから朝食をとる。 |
| 事例2:特養入所・独居からの入所 | サービス内容 | 居室の棚に写真とお供えの台を置く。早朝の巡回時に起床していれば、湯飲みにお茶を用意して手渡す。朝食はパンを選べる日を設けられるか栄養士と検討する。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 生活歴 | 和裁を仕事にして40年、自宅で着物の仕立てを請け負っていた。夕方になると「仕立ての納期がある」と話し、玄関に向かうことが週に3〜4回ある(入居後1か月の記録より)。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 第1表 本人・家族の意向 | ご本人「手を動かしていないと落ち着かない」。長女「母が仕事を大事にしてきたことを分かってもらえるとうれしい」。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 第1表 課題分析の結果 | 夕方の落ち着かなさは、長年の仕事の締めの時間と重なっていると考えられる。布を扱う作業には20分ほど集中して取り組めるため、夕方に手を動かせる時間を設けることが安心につながると考えられる。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 第2表 ニーズ・短期目標 | ニーズ:得意な手仕事を続けて、夕方を穏やかに過ごしたい。短期目標:夕方に布巾たたみや雑巾縫いを職員と一緒に行う。 |
| 事例3:グループホーム・認知症 | 介護計画の支援内容 | 16時ごろに布巾と針箱を用意し、「お願いできますか」と仕事を依頼する形で声をかける。針を使う際は職員がそばで見守る。仕上がったものは食堂で使い、ご本人にお礼を伝える。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | 生活歴 | システムエンジニアとして勤め、52歳で退職した。学生時代からジョギングが趣味で、診断後も妻と週3回走っている。子どもの学校行事の日程を忘れたことをきっかけに、家族との会話が減っている(妻より)。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | 第1表 本人・家族の意向 | ご本人「体を動かして、できることは自分でやりたい」。妻「本人が家族の中で役割を持ち続けられるようにしたい」。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | 第1表 課題分析の結果 | 日程の管理に支援が必要になってきているが、体力があり、機械の設定など得意な作業には集中して取り組める。家族の中での役割を保つことが、ご本人の自信と家族の関係の維持につながると考えられる。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | 第2表 ニーズ・短期目標 | ニーズ:家族の予定を把握し、家の中の役割を続けたい。短期目標:居間のカレンダーを家族で使い、自分の担当の家事を週に3回行う。 |
| 事例4:在宅・若年性認知症・妻と子ども2人 | サービス内容 | 若年性認知症の方を受け入れている通所の場で、体を動かす活動と作業の時間に参加する。家電の設定や配線など、家の中の機械の担当をご本人の役割として家族と決める。妻の相談先として、地域の相談窓口の情報を提供する。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
4事例とも、生活歴の一語(菜園・お参り・和裁・機械の設定)が、意向・課題分析の結果・ニーズ・支援内容のどれにも出てきます。計画書を読み返したとき、生活歴の欄に書いた言葉が計画のどこにも見当たらなければ、つながりが切れているサインです。
生活歴と個人情報|書かなくてよいこと・同意・記録の範囲
生活歴は、ご本人と家族の私的な事情に深く触れる記録です。聞けば聞くほど書ける量は増えますが、支援に使わない情報は、記録に残さないことも選択肢です。個人情報の取扱いは、個人情報の保護に関する法律や、事業所の個人情報保護の規程・利用者との契約で定めた利用目的の範囲で行うことが前提になります。個別の判断に迷う場合は、事業所の個人情報保護の担当者や、必要に応じて専門家にご相談ください。以下は、記録の書き方の考え方と例であり、法的な判断を示すものではありません。
| 情報の種類 | 記録するときの考え方 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 支援に関係しない過去の出来事 | 支援に使う予定がなければ、詳細は書かない選択もある | 若いころの出来事について詳しく話されたが、支援に関係する部分として、人前で話すことを好まない点のみ記録する。 |
| 本人が他言を望まない話 | 共有してよい範囲を本人に確かめ、その範囲も記録する | 病名を近所に知られたくないとの意向があり、民生委員への連絡は「体調を崩して通院している」との説明にとどめることに同意を得た。 |
| 家族の私的な事情 | 支援への影響に絞って書く | 長女は仕事の都合で平日の日中は連絡が取りにくい。緊急時は長女の職場ではなく携帯電話に連絡することで合意した。 |
| 第三者(近隣・知人)の情報 | 氏名を控え、関係と役割で書く | 向かいの家の住人が、毎朝雨戸の開閉を見て声をかけてくれている(ご本人より)。 |
| 離婚・別居など家族の経緯 | 時期と現在の連絡状況だけを書く | 50代で離婚し、元配偶者とは連絡を取っていない。子ども2人とは年に数回連絡がある。 |
| 信仰 | 支援に関わる習慣として書く | 毎週日曜の午前は礼拝に出かけるため、この時間帯にはサービスを入れない。 |
| 病歴のうち本人が話したくないもの | 話さない意向を記録し、医療情報は主治医との連携で扱う | 過去の入院歴について本人は話したくないとのこと。服薬や留意点は主治医の意見書と照会で確認する。 |
| 経済状況 | 支援の組み立てに関係する範囲で書く | 利用回数を抑えたいとの希望があり、家族の支援で補える曜日を相談した。 |
| 家族から聞いた本人の秘密 | 本人に確かめられない情報の扱いを慎重にし、出どころを明記する | 長男から若いころの事情について話があったが、ご本人は触れてほしくない様子とのことで、記録は支援上の留意点(特定の話題を避ける)にとどめた。 |
| サービス事業所への情報提供 | 提供する範囲を決め、提供したことを記録する | 通所介護事業所へは、入浴の好み、趣味、避けたい話題の3点を、ご本人と長女の了承を得て伝えた。 |
| 写真・思い出の品の扱い | 持ち込み・掲示の同意を記録する | 居室に家族の写真を飾ることについて、ご本人と長女の了承を得た。面会者の目に触れる場所には置かないことを希望された。 |
| 聞き取りの同意 | 生活歴を聞く目的を伝え、答えたくないことは答えなくてよいと伝えた旨を書く | 生活歴を伺う目的(ご本人の暮らし方に合わせた支援を考えるため)を説明し、答えたくない質問には答えなくてよいことを伝えたうえで聞き取った。 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
書いてしまった記録は、担当者の交代・情報提供・開示請求などで他の人の目に触れる可能性があります。ご本人が読んでも差し支えない言葉で書くことを一つの目安にすると、評価の言葉や不要な詳細を避けやすくなります。
運営指導で見られる点と、手元に残す記録
厚生労働省の運営指導マニュアルの別添1「確認項目及び確認文書」では、施設系・居住系のサービスの入退所(入退居・入退院)の確認項目に、心身の状況・生活歴・病歴等の把握に努めているかが挙げられています。確認文書にはアセスメントシートが含まれています。
別添1で「生活歴」の把握が確認項目にあるサービス7種
| サービス(別添1の区分) | 確認項目(抄) | 確認文書(抄) | 貴事業所で生活歴を書いている様式(記入欄) |
|---|---|---|---|
| 介護老人福祉施設(入退所・第7条) | 入所(入居)者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、施設サービス計画、入所検討委員会会議録 | (記入欄) |
| 介護老人保健施設(入退所・第8条) | 入所(入居)者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、施設サービス計画、入所検討委員会会議録 | (記入欄) |
| 介護療養型医療施設(入退院・第9条) | 患者の心身の状況、病歴、生活歴、指定居宅サービス等の利用状況等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、施設サービス計画 | (記入欄) |
| 介護医療院(入退所・第12条) | 入所(入居)者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、施設サービス計画、入所検討委員会会議録 | (記入欄) |
| 認知症対応型共同生活介護(入退居・第94条) | 利用者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、認知症対応型共同生活介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、診断書 | (記入欄) |
| 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(入退所・第134条) | 入所(入居)者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、地域密着型施設サービス計画、入所検討委員会会議録 | (記入欄) |
| 介護予防認知症対応型共同生活介護(入退居・第74条) | 利用者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めているか | アセスメントシート、モニタリングシート、介護予防認知症対応型共同生活介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、診断書 | (記入欄) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
別添1の居宅介護支援の確認項目には、「生活歴」という語は手元の資料では確認できませんでした。ただし、居宅介護支援でもアセスメントの記録や第1表の課題分析の結果は確認の対象になっており、生活歴はその根拠として使われます。
公表事例|生活歴の欄そのものの指摘は確認できず・隣接する指摘4件
自治体が公表している運営指導の指摘事例のうち、当社が出典つきで整理している範囲では、生活歴の欄の書き方そのものを指摘した事例は確認できませんでした。隣接する指摘として、アセスメントの記録と計画のつながりに関するものを挙げます。
| 公表元 | 公表されている指摘(要旨) | 生活歴の欄で残しておくとよいこと |
|---|---|---|
| 姫路市「令和6年度以前実地指導結果(指定基準等)」 | 居宅サービス計画第1表の「利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」に課題分析の結果が記載されていなかった | 課題分析の結果の根拠になる生活歴(習慣・役割・大切にしていること)を、第1表に一語でも引ける形で書いておく |
| 岡山市「令和7年度集団指導資料 本編1(居宅介護支援・介護予防支援)」 | 複数の利用者の居宅サービス計画の内容が一律である、アセスメントの結果把握されたニーズと計画のサービス内容が合っていない、等が不適切事例として挙げられている | その人固有の生活歴(職業・日課・好み)を書き、計画に反映された言葉と照合できるようにする |
| 岡山市「令和7年度集団指導資料 本編1(居宅介護支援・介護予防支援)」 | アセスメントの結果について記録していない・保存していない、等が不適切事例として挙げられている | 聞き取った日付・聞き取った相手・未確認の事項を生活歴の欄に残す |
| 豊島区「認知症対応型共同生活介護事業所への運営指導で『改善を要する』と指摘された事項について(令和5年度・10件)」 | アセスメントの記録が確認できない、計画作成後にアセスメントを実施していた、初回アセスメントと同一の用紙に区別がつかない状態で記載されていた、等 | 入居時の生活歴と、その後に追記した内容を日付で区別して書く |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
生活歴に関して手元に残す記録の一覧
| 記録 | 何が分かるか | 保管場所(記入欄) | 最終更新日(記入欄) |
|---|---|---|---|
| アセスメントシートの生活歴欄 | 時期ごとの生活の事実と、今の暮らし方とのつながり | (記入欄) | (記入欄) |
| フェイスシート(基本情報) | 担当者が替わっても伝わる生活歴の要約 | (記入欄) | (記入欄) |
| 聞き取りの記録(支援経過・面談記録) | いつ・誰から・どの場面で聞いたか | (記入欄) | (記入欄) |
| 未確認事項のメモ | 次回聞き取る予定の事項と、聞き取る相手 | (記入欄) | (記入欄) |
| 入所前面談・入居前面談の記録 | 在宅での日課・習慣と、施設で続けたいこと | (記入欄) | (記入欄) |
| 他機関からの情報(看護サマリー・前任者の記録) | 情報の出どころと作成時期 | (記入欄) | (記入欄) |
| 第1表(施設サービス計画書を含む)・グループホームの介護計画 | 生活歴が意向・課題分析の結果に反映されているか | (記入欄) | (記入欄) |
| 第2表・介護計画の支援内容 | 生活歴の手がかりが支援内容に生かされているか | (記入欄) | (記入欄) |
| 情報提供の同意の記録 | 生活歴をどの範囲で、どこへ伝えるかの同意 | (記入欄) | (記入欄) |
| サービス事業所への情報提供の控え | 伝えた内容・日付・伝えた相手 | (記入欄) | (記入欄) |
| 再アセスメント時の追記 | 前回からの変化(日付つき) | (記入欄) | (記入欄) |
| 職員間の申し送り(避けたい話題・好む声かけ) | 生活歴から導いた対応方針の共有状況 | (記入欄) | (記入欄) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
記録の保存期間や保存の方法は、保険者の条例や事業所の規程によって定められています。貴事業所の定めを上の表の保管場所の欄とあわせて確認してください。
生活歴の書き方でよくある質問
生活歴はどこまで詳しく書けばよいですか?
今の支援に関係する時期を厚く、関係の薄い時期は1文で書くのが目安です。起床の時刻、入浴や食事の好み、役割、大切にしていることなど、ケアの場面で使える事実を中心にすると、計画につなげやすくなります。
本人が昔のことを話したがらない場合はどう書きますか?
「不明」で終えず、どの話題で会話が続いたか、何を話したくないと言われたか、次に誰から聞き取る予定かを書いておくと、次に担当する人の手がかりになります。話したくない意向そのものも記録に残します。
本人と家族の話が違うときは、どちらを書けばよいですか?
どちらか一方に決めず、「ご本人は◯◯と話し、長男は△△と話された」のように両方を並べて書きます。食い違いの確認方法(写真や手帳を見ながら聞くなど)と、確認の予定もあわせて残しておくとよいでしょう。
生活歴にはどんな言葉を使わないほうがよいですか?
「頑固」「わがまま」「家族仲が悪い」といった評価の言葉は、根拠となる発言や場面に置き換えます。推測を書くときは根拠を先に書き、「〜と考えられる」と書き分けると、事実と解釈の区別が読み手に伝わります。
生活歴は一度書いたら書き換えなくてよいですか?
新しく分かったことや変化があれば、前回の記載を消さずに日付を入れて書き足します。入所や入居の後、再アセスメントのときなど、どの時点で分かったことかが区別できるようにしておくと、計画の見直しにも使いやすくなります。
生活歴の聞き取りで使える質問|項目別48問と記録への書き換え・面談の進め方10項目
生活歴の欄が「会社員」「主婦」「趣味:読書」の一語で止まる原因の多くは、書き方より先の「聞き方」にあります。「お仕事は何でしたか」と聞けば職業名しか返ってきませんが、「お仕事の日は、朝は何時ごろ起きていましたか」と聞くと、生活のリズムや今の眠気の理由まで話が広がります。
下の表は、項目ごとにそのまま口に出せる質問と、聞き取った内容を記録にするときの悪い例(ありがちな一語)と良い例(そのまま貼れる完成文)を並べたものです。良い例には、いつ・どのくらい・誰から聞いたか、を入れています。
職歴・家族歴・住まい・人生の出来事の聞き方と記録例(24問)
| 項目 | そのまま使える質問 | 悪い例(ありがちな記録) | 良い例(そのまま貼れる記録) |
|---|---|---|---|
| 職歴|最初の仕事 | 「学校を出て、最初はどんなお仕事に就かれましたか」 | 「会社員」 | 中学卒業後、15歳で地元の製材所に就職し、丸太を運ぶ仕事から始めたと話された(ご本人より)。仕事の話になると声が大きくなり、20分ほど話が続いた。 |
| 職歴|いちばん長く続けた仕事 | 「いちばん長く続けたお仕事は何でしたか。何年くらいでしたか」 | 「長年勤務」 | 市内の給食センターで調理員として27年勤めた。毎朝5時に家を出て、600食分の汁物を担当していたと話された。 |
| 職歴|仕事の日の1日 | 「お仕事の日は、朝は何時ごろ起きて、何時ごろ帰っていましたか」 | 「規則正しい生活」 | タクシー運転手として隔日勤務を30年続け、明け番の日は昼まで眠る生活だった(妻より)。現在も午前中は眠気が強いとご本人が話される。 |
| 職歴|仕事の誇り | 「お仕事でいちばんうれしかったこと、自慢できることは何ですか」 | 「仕事熱心だった」 | 大工として建てた家が32軒あり、「近所のあの家も俺が建てた」と窓の外を指して話された。 |
| 職歴|やめたきっかけ | 「お仕事をやめたのは、どんなきっかけでしたか」 | 「退職」 | 58歳のとき腰を痛めて運送会社を退職した。以後、重い物を持つことに不安があり、買い物袋も1つまでにしていると話された。 |
| 職歴|家の中の役目 | 「お仕事のほかに、家の中で任されていたことはありますか」 | 「主婦」 | 嫁いでから50年、家計と食事を担い、味噌を毎年1月に自分で仕込んできた。昨年から仕込みは長女と一緒に行っている(長女より)。 |
| 家族歴|生まれた家 | 「何人きょうだいで、上から何番目でしたか」 | 「兄弟多い」 | 8人きょうだいの5番目。上の兄姉3人は他界し、すぐ下の妹(82歳・市内在住)とは月に1回電話で話している。 |
| 家族歴|両親 | 「ご両親はどんなお仕事をされていましたか」 | 「農家の出」 | 両親はみかん農家で、小学生のころから収穫期には家の手伝いをしていたと話された。手が汚れることを気にせず、土に触れる作業を好む。 |
| 家族歴|結婚 | 「ご結婚されたのはおいくつのときでしたか」 | 「既婚」 | 25歳で結婚し、夫の実家で舅姑と同居した。姑の介護を自宅で8年続けた経験があり、「介護される側になるとは思わなかった」と話された。 |
| 家族歴|子ども | 「お子さんは何人で、今はどちらにお住まいですか」 | 「子ども3人」 | 長男(市内・車で15分)、長女(県外・新幹線で2時間)、次男(海外在住)の3人。日常の連絡は長男、書類の手続きは長女が担っている(長男より)。 |
| 家族歴|配偶者との暮らし | 「ご主人とは、どんなふうに過ごされることが多かったですか」 | 「夫死亡」 | 夫とは3年前に死別。夫婦で毎晩19時のニュースを見ながら夕食をとるのが習慣で、今もその時刻にテレビをつけていると話された。 |
| 家族歴|家族の中の役回り | 「ご家族の中で、ご自分はどんな役回りだと思いますか」 | 「家族関係良好」 | 長男の家族と同居し、孫2人(小学3年・5年)の下校時の出迎えを続けてきた。孫の帰宅する15時半には玄関の鍵を開けておくのが日課(長男の妻より)。 |
| 住まい|生まれ育った土地 | 「お生まれはどちらですか。どんな景色の所でしたか」 | 「県外出身」 | 雪の多い山あいの町で生まれ、冬は2階の窓から出入りした話を笑いながらされた。寒さには強いが、暑い日は外出を避けると話される。 |
| 住まい|引っ越しの回数 | 「これまでに何回くらい引っ越しをされましたか」 | 「転居歴あり」 | 夫の転勤で5回転居し、今の住まいは55歳から。どの土地でも最初に近くの銭湯と朝市を探したと話された。 |
| 住まい|今の家の経緯 | 「今のお住まいには、いつからどんなきっかけで住まれていますか」 | 「持ち家」 | 38歳のとき夫婦で建てた木造2階建てに住み続けている。寝室は2階で、階段の上り下りが1日に4回ある(訪問時に確認)。 |
| 住まい|家の中の定位置 | 「家の中で、いちばん落ち着く場所はどこですか」 | 「居間で過ごす」 | 台所横の掘りごたつが定位置で、起きている時間の大半をそこで過ごす。ラジオ・眼鏡・薬箱を手の届く所に置いている(訪問時に確認)。 |
| 住まい|近所付き合い | 「ご近所で、よく話す方はいらっしゃいますか」 | 「近所付き合いあり」 | 向かいの家の同年代の住人と、毎朝8時ごろごみ出しのついでに5分ほど立ち話をしている(ご本人より)。雨の日は電話で声をかけ合っている。 |
| 住まい|地域の行事 | 「お祭りや地域の行事で、毎年楽しみにしていたものはありますか」 | 「行事好き」 | 毎年10月の秋祭りで、自治会の炊き出しの豚汁作りを15年担当した。今年は「味見の係だけでもしたい」と話され、長男が送迎できるか確認している。 |
| 学校時代|得意なこと | 「学校では、どんな科目や活動がお好きでしたか」 | 「学歴:中卒」 | 小学校のころからそろばんが得意で、珠算の大会に出たことがあると話された。数字を扱う話題では、自分から暗算を始める様子が見られた。 |
| 学校時代|友人 | 「若いころ、よく一緒に過ごしたお友だちはいますか」 | 「友人なし」 | 高校の同級生4人との年1回の旅行を70歳まで続けていた。うち1人とは今も手紙のやり取りがあり、返事を書くのを楽しみにしている。 |
| 人生の出来事|大変だった経験 | 「これまでで特に大変だったことを、話せる範囲で教えていただけますか」 | 「戦争体験あり」 | 「大変だったのは空襲のこと」と一言話され、それ以上は語られなかった。以後この話題はこちらから持ち出さない。大きな物音に驚く様子があると長女が話している。 |
| 人生の出来事|入院の経験 | 「これまでに入院されたことはありますか。そのときはどうでしたか」 | 「入院歴あり」 | 60代で胆石の手術のため3週間入院した。入院中に夜間のおむつ交換を受けた経験から、「夜にトイレを人に頼むのは嫌だ」と話された。 |
| 暮らし向き|やりくり | 「暮らしのことで、昔から大事にしてきたやりくりはありますか」 | 「倹約家」 | 年金の受け取り日に1か月分を封筒に分けて管理する方法を40年続けている。封筒は茶だんすの2段目に保管している(ご本人同席で確認)。 |
| 役割|やめてしまったこと | 「前はやっていて、今はやめてしまったことはありますか」 | 「意欲低下」 | 昨年まで自治会の回覧板を班の8軒に回していたが、膝の痛みで班長に返上した。「役に立てなくなった」と2回口にされた。 |
※上記は当社が作成した記載のイメージです。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。実際の記載はご本人・ご家族の同意と事業所の様式、保険者(指定権者)の指導に従ってください。
趣味・食・入浴・睡眠・こだわりの聞き方と記録例(24問)
| 項目 | そのまま使える質問 | 悪い例(ありがちな記録) | 良い例(そのまま貼れる記録) |
|---|---|---|---|
| 趣味|今の楽しみ | 「時間があるとき、何をして過ごすのがお好きですか」 | 「趣味:読書」 | 時代小説を図書館で月に4冊借りて読むのが習慣。最近は文字が小さい本を避け、大きな活字の本を選んでいると話された。 |
| 趣味|長く続けていること | 「若いころから続けている趣味はありますか」 | 「多趣味」 | 30歳から短歌を詠み、地域の短歌会に35年所属。毎月10日の締切に1首投稿しており、今月分は長女が清書して投函した。 |
| 趣味|やめてしまった楽しみ | 「前は楽しんでいて、最近はしていないことはありますか」 | 「趣味なし」 | カラオケ喫茶に週1回通っていたが、補聴器を使い始めてから「音が割れる」と言って行かなくなった(妻より)。自宅では演歌を口ずさむ様子が毎日見られる。 |
| 趣味|テレビ・ラジオ | 「よく見るテレビやラジオの番組はありますか」 | 「テレビを見て過ごす」 | 毎日16時の時代劇の再放送を楽しみにしており、その時間は電話にも出ないと長女が話している。 |
| 季節の楽しみ | 「季節ごとに楽しみにしていることはありますか」 | 「季節の行事好き」 | 毎年4月に近くの川沿いの桜を夫婦で見に行くのが40年の習慣だった。今年は車いすで長男と出かけ、30分ほど川沿いを回った。 |
| 食|朝食 | 「朝ごはんはいつも何時ごろ、どんなものを召し上がりますか」 | 「食事:3食摂取」 | 朝は6時半にご飯半膳と味噌汁、梅干し1個。梅干しは毎年6月に自分で漬けたものを食べている。 |
| 食|好きな物・苦手な物 | 「好きな食べ物、苦手な食べ物を教えてください」 | 「好き嫌いなし」 | 甘い煮豆が好物で、夕食に小皿1杯を欠かさない。牛乳は子どものころから飲み慣れておらず、今も飲まないと話された。 |
| 食|味付け | 「味付けは、濃いめと薄めのどちらがお好きですか」 | 「濃い味好み」 | 東北の出身で、漬物に醤油をかけて食べるのが長年の習慣(長男より)。主治医から減塩を勧められており、ご本人は「醤油は小皿に少しなら」と話された。 |
| 食|食べる場所・相手 | 「ご飯はどなたと、どこで食べることが多いですか」 | 「一人で食事」 | 夫の死後、夕食は仏壇の前に小さな卓を置いて食べている。「一人で食べるより主人と食べている気がする」と話された。 |
| 食|間食・楽しみ | 「おやつやお茶の時間で、毎日楽しみにしているものはありますか」 | 「間食多い」 | 15時にようかん1切れと緑茶をとるのが50年来の習慣。ようかんは近所の和菓子店で週1回まとめ買いしている(長女より)。 |
| 入浴|家族の中の順番 | 「お風呂は、ご家族の中で何番目に入ってこられましたか」 | 「入浴好き」 | 家族の最後に入り、浴槽を洗ってから上がるのが嫁いでからの習慣。通所介護での入浴後、「お湯を抜かなくていいのか」と職員に2回尋ねた(連絡帳より)。 |
| 入浴|洗う順番 | 「体はどこから洗いますか。お風呂でこだわっていることはありますか」 | 「入浴介助拒否あり」 | 頭から洗い、最後に顔を石けんで洗うのが自分のやり方と話された。介助で顔から先に拭かれた日は、その後の入浴を断ったことがある(通所介護の連絡帳より)。 |
| 睡眠|寝る時刻・起きる時刻 | 「夜は何時ごろ休まれて、朝は何時ごろ起きますか」 | 「睡眠良好」 | 21時に布団に入り、5時に起きる生活を退職後も続けている。夜中に1回トイレに起き、そのあと眠れない日はラジオを30分ほど聞く(ご本人より)。 |
| 睡眠|寝具 | 「布団とベッド、どちらで寝てこられましたか」 | 「ベッド使用」 | 生まれてからずっと畳に布団で寝てきた。介護用ベッドを入れた初日は「落ちそうで怖い」と言って床に布団を敷いて寝たと長女が話している。 |
| 睡眠|昼寝 | 「昼間に横になる時間はありますか」 | 「日中臥床傾向」 | 農作業をしていたころから13時から30分の昼寝が習慣。現在は昼寝が2時間に延び、夜の寝つきが悪いとご本人が話す。 |
| 排泄|人に言いにくいこと | 「トイレのことで、困っていることや気になることはありますか」 | 「排泄自立」 | 外出先のトイレを嫌い、通所の日は朝の水分を控えていると話された。自宅では和式に慣れており、洋式便座では「力が入らない」とのこと。 |
| 装い|身だしなみ | 「お出かけのときに、いつも気をつけている身だしなみはありますか」 | 「身だしなみ良好」 | 美容師として40年働き、今も毎朝鏡の前で15分かけて髪を整える。整髪料は同じ銘柄を使い続けている(次女より)。 |
| 装い|好きな服 | 「好きな色や、普段よく着る服はありますか」 | 「更衣一部介助」 | 紺色の服を好み、外出時は自分で選んだブローチを付けたいと話される。更衣は袖を通す部分を介助し、ブローチを付けるのはご本人が行う。 |
| こだわり|物の置き場所 | 「家の中で、動かされると困る物はありますか」 | 「物へのこだわり強い」 | 眼鏡・財布・通帳は居間の茶だんすの上に並べて置いている。物の位置が変わっていると探し続けることがあるため、掃除の後は元の位置に戻すことを希望された(長女同席で確認)。 |
| こだわり|毎日の決まりごと | 「1日のうちで、決まってすることはありますか」 | 「日課あり」 | 毎朝7時に庭の鉢植え12鉢に水をやり、その後に新聞の天気欄を切り抜いて日記に貼っている。日記は52年分あると話された。 |
| 動物 | 「動物を飼ったことはありますか」 | 「ペット好き」 | 柴犬を3代続けて飼ってきたが、昨年最後の犬を見送った。散歩に出ていた朝6時になると玄関に向かうことがあると長男が話す。 |
| 人付き合いの好み | 「大勢でにぎやかに過ごすのと、少人数で静かに過ごすのと、どちらがお好きですか」 | 「協調性なし」 | 「大勢の中は疲れる」と話され、町内の集まりも2〜3人の茶話会にだけ参加してきた。通所介護では窓際の4人掛けの席を希望された。 |
| 苦手なこと | 「これをされると嫌だな、と思うことはありますか」 | 「介護拒否あり」 | 後ろから急に肩をたたかれるのが苦手で、「前から声をかけてほしい」と話された。若いころ工場で背後から機械に巻き込まれかけた経験があるとのこと(ご本人より)。 |
| 買い物 | 「お買い物は、どこで何を買うのが楽しみでしたか」 | 「買物は家族」 | 毎週火曜の朝市で野菜を選ぶのが楽しみで、店主と値段のやり取りをするのが好きだったと話された。膝の手術後は長女が代わりに行っているが、「自分の目で見て選びたい」とのこと。 |
※上記は当社が作成した記載のイメージです。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。実際の記載はご本人・ご家族の同意と事業所の様式、保険者(指定権者)の指導に従ってください。
質問は一度に全部を聞く必要はありません。初回は「仕事」「食」「眠り」のように今の支援に近い3〜4項目にとどめ、残りは2回目以降の訪問や面会の場で少しずつ聞き足すほうが、ご本人の負担が少なく、話も広がりやすくなります。
面談の進め方|声かけ・避けたい聞き方・記録に残すこと(10項目)
| 段階 | 声かけ・進め方の例 | 避けたい聞き方 | 記録に残すこと |
|---|---|---|---|
| 面談の始め | 「今日は、これまでの暮らしのことを少し伺えますか。答えたくないことは答えなくて大丈夫です」 | 「生活歴を書くので全部教えてください」 | 説明した日時・同席者・答えなくてよいと伝えたこと |
| 最初の話題 | 「お庭の柿、立派ですね。いつごろ植えたものですか」と目の前の物から入る | 「生年月日と学歴からお願いします」と書類の順に聞く | 会話が続いた話題と、続いた時間 |
| 時系列の扱い | ご本人の話す順に聞き、記録のときに時期ごとに並べ替える | 話の途中で「それは何年のことですか」を毎回はさむ | 時期があいまいな事項は年齢か年代の幅で |
| 内容の確かめ方 | 「〜ということでしょうか」と言い換えて確かめる | 「それは違いますよね」と訂正する | 言い換えて確かめられた事項 |
| 沈黙したとき | 10秒ほど待ち、表情を見てから話題を変える | 沈黙のたびにすぐ次の質問をする | 沈黙した話題(避けたい話題の手がかり) |
| 家族が同席しているとき | ご本人が話し終えた後に「付け足すことはありますか」と家族に聞く | ご本人の前で家族だけに質問する | ご本人の話か家族の話かの区別 |
| つらい話題になったとき | 「その話はここまでにしましょうか」と区切る | 詳しい経緯を重ねて聞く | 話さないという意向 |
| 1回の長さ | 30分を目安に区切り、続きは次回にする | 2時間通しで聞く | 聞き取れなかった時期と、次回の予定 |
| 面談の終わり | 「今日伺ったお話を、支援の担当者で共有してよいですか」と範囲を確かめる | 共有の範囲を伝えずに終える | 共有に同意を得た範囲と相手 |
| 記録するタイミング | 面談の当日中に、ご本人の言葉は「」でそのまま残す | 数日後に記憶をたどって書く | 聞き取った日と記録した日 |
※上記は当社が作成した記載のイメージです。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。実際の記載はご本人・ご家族の同意と事業所の様式、保険者(指定権者)の指導に従ってください。
認知症の方とご家族からの聞き取り|進行段階別12例・家族の立場別10例・手がかり8例
認知症のある方の生活歴は、ご本人の話・ご家族の話・職員が見た反応の3つを組み合わせて書いていきます。ご本人の話が事実と違っていても、それはその方にとって大切な記憶の手がかりです。「信用できない」と切り捨てず、ご本人の話として記録し、事実関係は家族の説明で補う、という書き分けを続けます。
進行の段階によって、聞き取りの中心は「言葉」から「反応」へ移っていきます。下の表は、段階ごとによくある場面と、記録の悪い例・良い例です。
認知症の進行段階別|ご本人からの聞き取りと記録(12例)
| 段階 | 場面 | 悪い例 | 良い例(そのまま貼れる記録) |
|---|---|---|---|
| 初期 | 時期の記憶があいまい | 「本人の話はあいまい」 | 結婚した年を「30くらいだったかな」と話され、長女によると28歳とのこと。年齢は長女の話で補い、ご本人の言い方も併記した。 |
| 初期 | 最近のことより昔のことをよく話す | 「最近の記憶なし」 | 前日の昼食は思い出せなかったが、新婚のころに住んだ社宅の間取りを紙に描いて説明された(約15分)。 |
| 初期 | 病名を気にしている | 「病識なし」 | 「物忘れの病気と言われたけれど、自分では分からない」と話された。生活歴の聞き取りでは病名に触れず、仕事の話題から入った。 |
| 初期 | ご本人が書いた年表がある | 「本人作成メモあり」 | ご本人が手帳に書いた年表(A4で2枚)を見せてくださり、写しを取ることに同意を得た。手帳の記載と聞き取りの内容は一致していた。 |
| 中期 | 職員を家族と呼ぶ | 「職員を姉と間違える」 | 職員を「姉さん」と呼び、姉の話を始めることが1日に数回ある。長女によると、5歳上の姉が母親代わりだったとのこと。姉の話は否定せずに聞き、話された内容を生活歴に追記した。 |
| 中期 | 開いた質問に答えにくい | 「質問に答えられない」 | 「何のお仕事でしたか」には答えが出なかったが、「お店をされていましたか」と尋ねると「魚屋」と答え、包丁でさばく手振りをされた。 |
| 中期 | 写真で話が広がる | 「アルバムを見せたが反応薄い」 | アルバムの写真30枚のうち、社員旅行の写真で手が止まり、「これは熱海」と話して3分ほど笑顔で話された。ほかの写真では反応は少なかった。 |
| 中期 | 話す内容が日によって違う | 「本人の話は毎回違う」 | 出身地を、9月3日は「大阪」、9月10日は「和歌山」と話された。長女によると、生まれは和歌山で10歳から大阪とのこと。両方の発言と長女の説明を並べて記録した。 |
| 後期 | 言葉での返答がほとんどない | 「意思疎通不可」 | 職員が童謡を歌うと口を動かし、右手で膝を軽くたたく様子が見られた(10月2日14時)。長女に確かめ、若いころから好んだ歌として生活歴に追記した。 |
| 後期 | 生活歴は家族の話が中心になる | 「家族情報のみ」 | 生活歴は夫(85歳)と長女から聞き取った。聞き取りの間、ご本人は夫の手を握り、夫が仕事の話をすると夫のほうへ目を向けていた。 |
| 後期 | においや手触りに反応がある | 「反応なし」 | ぬか床の容器を開けた際、においのほうへ顔を向け、2回うなずかれた。長女によると、60年ぬか漬けを作ってきたとのこと。 |
| 看取りの時期 | 家族から過ごし方の希望が出る | 「生活歴の追記なし」 | 長男から、ご本人は漁師の家が並ぶ浜辺で育ち、波の音を聞くとよく眠れたと聞いた。家族の希望で、居室で海の音の録音を小さな音量で流すことにした(10月5日)。 |
※上記は当社が作成した記載のイメージです。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。実際の記載はご本人・ご家族の同意と事業所の様式、保険者(指定権者)の指導に従ってください。
家族の立場別|聞き取りの工夫と記録(10例)
ご家族は、知っている時期も、話しやすい場も、立場によって違います。「家族から聞いた」と一括りにせず、誰から聞いたかを書くと、後で確かめ直すときの相手が分かります。
| 家族の立場 | 聞き取りの工夫 | 悪い例 | 良い例(そのまま貼れる記録) |
|---|---|---|---|
| 配偶者(同年代の主介護者) | 介護の疲れに配慮し、20分程度で区切る | 「妻の話では特になし」 | 妻(83歳)は夫の若いころを「仕事一筋だった」と話し、休日は早朝から釣りに出ていたことを思い出された。聞き取りは妻の疲れを見て20分で区切った。 |
| 同居の長男 | 平日の日中が難しければ、休日や電話で聞く | 「長男多忙のため聴取できず」 | 長男は平日日中の面談が難しく、土曜10時に電話で20分聞き取った。父の現役時代は単身赴任が長く、詳しいことは叔母が知っているとのこと。 |
| 長男の妻 | 同居の年数分の日課をよく知っていることが多い | 「嫁と本人の関係不良」 | 長男の妻は、同居して18年の間の義母の日課(朝の仏壇・昼の散歩・夕方の水まき)を具体的に話された。義母の若いころの話は「聞いたことがない」とのことで、義母の妹を紹介された。 |
| 遠方に住む娘 | 電話やメールで、写真を送ってもらう | 「遠方のため情報なし」 | 県外に住む次女から、実家のアルバムの写真12枚をメールで受け取った(支援者の間だけで使うことを次女と確認)。写真をもとに、ご本人と商店街の話をした。 |
| 孫 | 家族も知らない最近の楽しみを知っていることがある | 「孫は若く情報なし」 | 同居の孫(高校2年)によると、祖父は毎晩20時ごろ、孫とスマートフォンの将棋を1局指しているとのこと。家族も知らなかった最近の楽しみとして追記した。 |
| きょうだい | 子ども時代を知る数少ない相手として | 「妹は高齢のため聴取せず」 | 妹(79歳)から電話で、子どものころ兄が近所の子を集めて川で魚とりをしていた話を聞いた。兄は年下の面倒を見るのが好きだったとのこと。 |
| 成年後見人 | 手続きの情報と生活歴の情報を分けて聞く | 「後見人のため生活歴不明」 | 成年後見人(司法書士)は就任前の暮らしは把握していないとのこと。後見人の了承を得て、以前通っていた教会の関係者から日曜の過ごし方を聞き取った。 |
| 疎遠になっている家族 | 連絡を取るかどうかをご本人に確かめる | 「家族とは絶縁状態」 | 長男とは20年連絡がないとご本人が話された。連絡を取ることには「今はいい」とのことで、長男からの聞き取りは行っていない。緊急時の連絡先は姪(市内)とした。 |
| 家族同士で話が違う | 両方を記録し、どう扱ったかを書く | 「家族の意見がバラバラ」 | 長男は「父は酒が好きだった」と話し、長女は「付き合いで飲む程度」と話された。量の見立てが異なるため両方を記録し、主治医への情報提供では両方の話を伝えた。 |
| 介護に疲れている家族 | 生活歴より先に、家族の今の困りごとを聞く | 「家族の協力得られず」 | 長女は「母の昔の話より、今の夜中のことを聞いてほしい」と話された。この日は夜間の状況を中心に聞き、生活歴の聞き取りは次回に回した。 |
※上記は当社が作成した記載のイメージです。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。実際の記載はご本人・ご家族の同意と事業所の様式、保険者(指定権者)の指導に従ってください。
思い出を引き出す手がかり別|準備・反応の記録・支援への生かし方(8例)
| 手がかり | 準備のしかた | 見られた反応の記録例 | 支援への生かし方 |
|---|---|---|---|
| 古い写真 | ご家族に5〜10枚を選んでもらう | 結婚式の写真を手に取り、「この着物は母が縫った」と話された。 | 会話の導入。居室に飾る場合は、ご本人とご家族の了承を得る |
| 生まれた町の地図 | 地図をご家族と一緒に用意する | 地図の小学校の場所を指で示し、通学路にあった駄菓子屋の名前を挙げた。 | 散歩の行き先や、会話の話題の候補 |
| 若いころの流行歌 | よく歌っていた歌をご家族に聞く | 職員が歌い始めると2番から一緒に歌い、歌い終わると拍手された(約10分)。 | レクリエーションや入浴中の声かけ |
| 仕事の道具 | そろばん・はさみ・工具などを用意する | 大工道具のかんなを手渡すと、刃の出具合を指で確かめ、「これは研がないと」と話された。 | 手を使う活動の候補(刃物は職員が管理) |
| ふるさとの料理 | 郷土料理の写真や、実物の材料を用意する | ふるさとの料理の写真を見て、作り方を手順どおり説明された。 | 行事食の献立や、調理の活動 |
| 季節の行事 | 七夕・月見など季節の飾りを用意する | 七夕の飾りを見て、子どものころに裏山から竹を切ってきた話をされた。 | 季節ごとの行事への参加の声かけ |
| におい | 線香・木の端材・石けんなど | ひのきの端材のにおいをかいで「製材所のにおい」と話された。 | 落ち着かない時間帯の気分転換 |
| 手仕事の材料 | 毛糸・布・紙などを用意する | 毛糸玉を渡すと、両手で巻き直す作業を15分続けた。 | 手を動かす時間を日課に組み込む |
※上記は当社が作成した記載のイメージです。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。実際の記載はご本人・ご家族の同意と事業所の様式、保険者(指定権者)の指導に従ってください。
反応を記録するときは「喜んでいた」ではなく、何をして(歌い始めた・指さした)、どのくらい続いたか(10分・3分)を書きます。次に関わる職員が同じ場面を再現しやすくなり、効き目がなかった手がかりも区別して残せます。
サービス種別ごとの生活歴の生かし方|計画作成の確認項目7サービスと計画文への書き換え20例
生活歴は、居宅介護支援や施設の入所時だけの記録ではありません。訪問介護・通所介護・短期入所なども、それぞれの個別サービス計画をつくる際に、利用者の心身の状況や希望、環境を踏まえることが運営指導の確認項目に挙がっています。生活歴は、その「希望」と「環境」を具体的に書くための材料になります。
別添1の計画作成の確認項目|心身の状況・希望・環境(7サービス)
| サービス(別添1の項目・条) | 確認項目(抄) | 確認文書(抄) | 生活歴から拾う手がかり(記入例) |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援(具体的取扱方針・第13条) | 利用者の希望やアセスメントに基づき、介護保険サービス以外のサービス、支援を含めた総合的な居宅サービス計画を立てているか | アセスメントシート、サービス担当者会議の記録、居宅サービス計画、支援経過記録等、モニタリングの記録、個別サービス計画 | 近所の見守り・教会や趣味の会の仲間など、介護保険外の支えの経緯 |
| 訪問介護(訪問介護計画の作成・第24条) | 利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて訪問介護計画が立てられているか | 居宅サービス計画、訪問介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、モニタリングシート | 家事の手順・味付け・物の置き場所 |
| 通所介護(通所介護計画の作成・第99条) | 利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて通所介護計画が立てられているか | 居宅サービス計画、通所介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、モニタリングシート | 趣味・得意なこと・苦手な集団の場面 |
| 短期入所生活介護(短期入所生活介護計画の作成・第129条) | 利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて短期入所生活介護計画が立てられているか | 居宅サービス計画、短期入所生活介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの) | 起床・就寝・入浴の時刻と寝具の習慣 |
| 夜間対応型訪問介護(夜間対応型訪問介護計画の作成・第11条) | 利用者の日常生活全般の状況、希望を踏まえて夜間対応型訪問介護計画が立てられているか | 居宅サービス計画、夜間対応型訪問介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、モニタリングシート | 夜間のトイレの回数・眠れないときの過ごし方 |
| 小規模多機能型居宅介護(小規模多機能型居宅介護計画の作成・第77条) | 利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて小規模多機能型居宅介護計画が立てられているか/利用者の日々の様態、希望等を勘案し随時適切に通いサービス、訪問サービス、宿泊サービスを組み合わせたサービスを行っているか | 居宅サービス計画、小規模多機能型居宅介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、モニタリングシート、サービス提供記録 | 自宅での一日の流れと、家にいたい時間帯 |
| 認知症対応型共同生活介護(認知症対応型共同生活介護計画の作成・第98条) | 利用者の心身の状況、希望等を踏まえて認知症対応型共同生活介護計画が立てられているか/アセスメントを適切に行っているか | 認知症対応型共同生活介護計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントシート、サービス提供記録、モニタリングシート | なじみの役割・口癖・落ち着く物 |
※上記は厚生労働省の運営指導マニュアル(別添1「確認項目及び確認文書」)を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。右端の列は当社が作成した記載のイメージです。運営指導の観点・確認様式は保険者(指定権者)により異なります。最終的な確認は保険者(指定権者)にお願いします。
別添1では、訪問介護・通所介護などの日々の記録についても「具体的な内容や利用者の心身の状況等を記録しているか」が確認項目に挙がっています。生活歴で分かった好みや習慣が、日々の記録の「様子」の欄に表れていると、計画・記録・生活歴が一本の線でつながります。
サービス種別|生活歴を計画の文に書き換える悪い例と良い例(20例)
個別サービス計画の文が「調理支援を行う」「レクリエーションに参加する」で止まると、どの利用者にも当てはまる計画になります。生活歴の一語を計画の文に入れるだけで、その人の計画になります。
| サービス | 生活歴の記載(抜粋) | 計画の悪い例 | 計画の良い例(そのまま貼れる文) |
|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 料理が得意で、煮物は砂糖を使わずみりんで甘みをつけてきた(長女より)。 | 「調理支援を行う」 | 週2回(月・木 11時〜)の調理は、ご本人がいすに座って味見と味付けを行い、ヘルパーが切る・煮る工程を担う。煮物はみりんで甘みをつけるご本人のやり方に合わせる。 |
| 訪問介護 | 掃除は午前中に済ませ、仏間は自分で掃除してきた。 | 「居室の清掃」 | 掃除は午前の訪問時に行い、仏間はご本人がはたきをかけ、ヘルパーは床の掃除機がけを担う。仏壇の物は動かさない。 |
| 通所介護 | 元小学校教諭で、地域の書道教室で30年教えてきた。 | 「レクリエーションに参加する」 | 毎週水曜の書道の時間に、ご本人が他の利用者の手本を書く役を担う。筆と半紙の準備はご本人と職員で行う。 |
| 通所介護 | 大勢の場が苦手で、静かな場所で新聞を読むのが日課。 | 「他者との交流を図る」 | 到着後の30分は窓際の席で新聞を読む時間とし、集団体操は声をかけたうえで参加するかどうかをご本人が選ぶ。 |
| 通所リハビリテーション | 毎朝、近くの神社の石段(38段)を上って参拝してきた。 | 「歩行訓練を行う」 | 神社の石段38段の昇り降りを目標に、手すりを使った段差の昇降の練習を1回10段から行い、2週ごとに段数を見直す。 |
| 通所リハビリテーション | 元理容師で、はさみを使う細かい作業が得意。 | 「手指の機能訓練」 | 右手の細かい動きの練習として、紙を切り抜く作業を1回15分行う。理容師として慣れたはさみの持ち方を尊重し、使い慣れた形のはさみを用いる。 |
| 訪問看護 | 薬は昔から自分で管理し、「飲み忘れたことはない」と話す。 | 「服薬管理を行う」 | 服薬カレンダーへのセットはご本人が行い、看護師は週1回の訪問時に残薬を一緒に数えて確認する。 |
| 訪問看護 | 以前の入院中、夜間の処置がつらかったと話す。 | 「病状観察」 | 処置と観察は日中の訪問(10時〜11時)で行う。夜間に連絡が必要なときの手順(まず長男に電話)を、ご本人・長男と確認した。 |
| 訪問リハビリテーション | 毎週日曜、片道600mの道を歩いて教会に通ってきた。 | 「屋外歩行訓練」 | 教会までの片道600mの経路を実際に歩き、途中のバス停のベンチまでの区間から練習を始める。 |
| 訪問リハビリテーション | 台所に立って家族の食事を作ってきた。 | 「立位訓練」 | 台所の流しの前に10分立って野菜を洗う動作を練習する。流しの縁に手を添える立ち方を、ご本人と確認した。 |
| 短期入所生活介護 | 21時に寝て5時に起きる。寝る前に白湯を1杯飲む。 | 「夜間の安眠を図る」 | 就寝は21時ごろとし、寝る前に白湯を湯飲み1杯用意する。5時に起きた場合は居室の明かりをつけ、着替えを見守る。 |
| 短期入所生活介護 | 生まれてからずっと畳に布団で寝てきた。 | 「転落に注意する」 | 在宅と近い高さで休めるよう、ベッドの高さを最も低く設定し、ベッド脇に衝撃をやわらげるマットを置く。ご本人と長女に説明し、了承を得た。 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 夫を見送った後も、毎夕17時に仏壇に線香をあげてきた。 | 「通いサービスを利用する」 | 通いは10時〜16時とし、16時半に自宅へ送る。17時の線香の時間に自宅にいられるよう、送迎の順番を調整する。 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 夫の生前は夜に話し相手がおり、一人で過ごす夜が不安と話す。 | 「泊まりを利用」 | 不安の強い週末の夜(金・土)は泊まりを利用し、平日は19時に訪問して戸締まりと就寝前の会話の時間をとる。 |
| 認知症対応型共同生活介護 | 洋品店を40年営み、衣類をたたむのが得意。 | 「家事に参加する」 | 毎日14時に洗濯物をたたむ役をお願いする。袖を後ろへ折るご本人のたたみ方に、職員も合わせる。 |
| 認知症対応型共同生活介護 | 近所の銭湯に毎日16時に通っていた。 | 「入浴介助」 | 入浴は16時ごろに設定し、脱衣所に「ゆ」と書いたのれんを掛ける。洗い場では、背中以外はご本人が洗う。 |
| 介護老人福祉施設 | 鉄工所を経営し、朝刊を隅から隅まで読んできた。 | 「新聞を読む時間を作る」 | 毎朝7時半の配膳前に朝刊を居室に届け、読み終えた後に食堂へ誘導する。老眼鏡は枕元の棚に置く。 |
| 介護老人福祉施設 | 家族の誕生日には必ずちらし寿司を作ってきた。 | 「行事に参加する」 | 家族の面会がある誕生月に、ちらし寿司の具を混ぜる工程をご本人と一緒に行う。日程は事前に家族に確認する。 |
| 福祉用具貸与 | 園芸が趣味で、庭に出るのが日課。 | 「歩行器を貸与」 | 庭への出入り(掃き出し窓の段差12cm)を想定し、段差を越えやすい形の歩行補助具を、選んだ理由とともに提案する。 |
| 福祉用具貸与 | 布団から立ち上がるとき、畳に手をついてきた。 | 「手すりを設置」 | 布団から立つときに畳に右手をつく習慣を踏まえ、布団の右側に床置き式の手すりを置く案を、ご本人と長男に説明した。 |
※上記は当社が作成した記載のイメージです。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。実際の記載はご本人・ご家族の同意と事業所の様式、保険者(指定権者)の指導に従ってください。
生活歴の聞き取り・記録に関わる運営指導の公表事例|アセスメント・個別計画・個人情報の同意の指摘14件
自治体が公表している運営指導の指摘事例のうち、当社が出典つきで整理している範囲から、生活歴の書き方と関係の深いもの(アセスメントの記録、個別サービス計画への反映、個人情報の使用の同意)を挙げます。「運営指導で見られる点」の章で挙げた4件とは別のものです。
| 公表元 | 公表されている指摘(要旨) | 生活歴の記録で見直す点 |
|---|---|---|
| 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1 | 事業所として行ったアセスメントの記録がない、又は不十分。居宅介護支援事業所のアセスメント結果を受けるのみでは不十分とされ、チェック欄のみで備考が空白の例と、具体的状況を書いた例が対比されている | 居宅介護支援事業所から受け取った生活歴をそのまま綴じず、自事業所の聞き取りで分かったことを書き足す |
| 仙台市介護事業支援課「令和6年度 運営指導方針・令和5年度 運営指導結果等【居宅サービス指導係 所管サービス】」(令和6年6月 集団指導) | 初回のアセスメントは実施しているが、それ以降の個別サービス計画作成時に実施していない。サービス内容とアセスメントの記録が合わない例も挙げられている | 計画の見直しのたびに、生活歴の追記の有無と日付を確かめる |
| 仙台市介護事業支援課「令和6年度 運営指導方針・令和5年度 運営指導結果等【居宅サービス指導係 所管サービス】」(令和6年6月 集団指導) | 個別サービス計画の目標が、居宅サービス計画の短期目標に沿って作成されていない/目標の内容が居宅サービス計画の丸写し | 自事業所が担う場面に生活歴の一語を入れ、事業所固有の目標にする |
| 松山市介護保険課「運営指導での主な指摘事項及び周知事項について」(令和5年度第2回介護保険サービス事業者連絡会資料) | 個別サービス計画の目標は居宅サービス計画をそのまま転記せず事業所ごとに作成すること、アセスメントやモニタリングで利用者及び家族の意向を把握し反映させること(長期間にわたり意向に変化がないケースがある) | 意向の背景になる生活歴を更新し、意向が変わっていないかを面談で確かめる |
| 松山市介護保険課「運営指導での主な指摘事項及び周知事項について」(令和5年度第2回介護保険サービス事業者連絡会資料) | サービス提供の記録に、利用者の心身の状況(様子等)が書かれず「特変なし」等のみの記録が見受けられる | 生活歴で分かった好みや習慣に照らして、その日の様子を具体的に書く |
| 広島市「令和7年度運営指導の指摘事項等について」(令和7年度広島市介護サービス事業者集団指導) | 通所介護計画が居宅サービス計画に沿った内容となっていない。利用者の心身の状況等を踏まえて作成すること | 生活歴から拾った趣味・得意なことを、通所介護計画の提供内容に書く |
| 姫路市「令和6年度以前実地指導結果(指定基準等)」 | 前回聞き取った意向から大きな変化がないことから、前回の第1表を流用し、第2表及び第3表のみ新たに作成していた | 再アセスメントでは前回の生活歴を残したまま、変化を日付つきで追記する |
| 福岡県介護保険広域連合「居宅介護支援事業者等 集団指導資料(令和6年度版)」 | サービス変更時や目標期間更新時等にアセスメントをしていない/アセスメント表の実施日が居宅サービス計画書作成日よりも後になっている | 生活歴の聞き取り日と、計画の作成日の前後を確かめる |
| 姫路市「令和6年度以前実地指導結果(指定基準等)」 | 個人情報の使用に係る同意書について、利用者の家族に係る個人情報使用の同意を得ていなかった | 家族から聞いた生活歴を共有する前に、家族分の同意の有無を確かめる |
| 神戸市「介護保険サービス事業運営上の留意事項(居宅通所)」(令和7年3月) | 家族の個人情報使用同意書を受領していない。利用者の代理署名は家族(代表)の個人情報使用の同意にはならないと注記されている | 同意書の家族欄と代理人欄を区別して確認する |
| 宇都宮市「令和7年度 運営指導における主な指導事例(各サービスに共通する事項)」資料1 | 利用者家族から個人情報を使用するための同意を得ていない。代筆者欄等とは別に家族からの同意欄を設けるよう記載されている | 別居の家族から聞いた生活歴も、共有する範囲を同意と照らす |
| 福井市「令和7年度 介護保険制度等に係る集団指導」 | 退職後の秘密保持の措置を講じていない/利用者・家族それぞれから個人情報を用いる場合の同意を得ていない | 生活歴を扱う職員の秘密保持の取り決めを、入職時の書類で確かめる |
| 千葉県「指導監査の状況について」(令和7年度介護保険指定事業者集団指導資料) | サービス担当者会議等において、利用者・家族の個人情報を用いる場合の同意を、あらかじめ文書により得ていない | 担当者会議で生活歴を話す前に、本人分・家族分の同意書を確かめる |
| 広島市「令和7年度運営指導の指摘事項等について」(令和7年度広島市介護サービス事業者集団指導) | 個人情報使用同意書に利用者の家族の同意欄が設けられていなかった。同旨として、大阪市の資料では使用期間の記載がない例も挙げられている | 同意書の使用期間と、生活歴を提供する相手の範囲を照らし合わせる |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
どの事例も、生活歴の欄の書き方そのものではなく、その前後(アセスメントの記録・計画への反映・情報を共有する際の同意)に関するものです。生活歴は聞き取りの量が多く、家族の情報も含みやすい記録なので、書いた後の扱いまで含めて点検しておくと安心です。
生活歴の追記と引き継ぎ|場面別12例と送り先別の伝える範囲10例
生活歴は、一度書けば終わりの欄ではありません。入院や配偶者との死別、担当者の交代など、暮らしが変わる節目ごとに書き足すことで、今の支援の根拠であり続けます。書き足すときは、前回の記載を消さずに、日付と情報の出どころを添えるのが基本です。
場面別|生活歴に書き足す内容の悪い例と良い例(12例)
| 場面 | 悪い例 | 良い例(そのまま貼れる追記) |
|---|---|---|
| 入院した | 「入院のため変化なし」 | 10月3日、肺炎で市内の病院に入院(14日間)。入院中は夜間に点滴を気にして起き上がることが続いたと、退院前カンファレンスで病院の看護師から聞いた。 |
| 退院した | 「退院。ADL低下」 | 退院後、以前は毎日20分続けていた朝の散歩をやめ、「また転ぶと迷惑をかける」と話された(退院3日後の訪問で)。 |
| 配偶者が亡くなった | 「夫死亡」 | 9月20日に夫が逝去。60年続けた夫婦二人の朝食の時刻(7時)に、今も湯飲みを2つ出していると長女が話した。 |
| 同居する家族が変わった | 「長女同居開始」 | 11月から長女(会社員)が同居を始めた。平日の日中は長女が不在のため、昼食は引き続きご本人が準備している。 |
| 施設に入所した | 「在宅の生活歴は前ケアマネ記録参照」 | 入所にあたり、居宅介護支援事業所から在宅での日課(5時起床・仏壇・6時朝食)の情報提供を受けた(ご本人と長男の同意を得たもの)。入所後1週間、5時の起床は続いている。 |
| 担当者が交代した | 「前任から引き継ぎ」 | 担当交代にあたり、前任者と同行訪問した(10月8日)。前任者の記録に無い事項として、「孫の名前を呼ばれると落ち着く」とご本人から聞き、追記した。 |
| 通所先が変わった | 「事業所変更」 | 10月から通所介護の事業所を変更。前の事業所の連絡帳に、演歌を3曲歌うと表情が明るくなるとの記載があり、ご本人の了承を得て新しい事業所に伝えた。 |
| 要介護度が変わった | 「区分変更」 | 9月に要介護2から3へ変更。この半年で台所に立つことがなくなったが、味見だけは続けている(長女より)。 |
| 新しい楽しみが見つかった | 「レク参加良好」 | 通所介護で始めた塗り絵を自宅でも続け、仕上がった12枚を居間に貼っている(訪問時に確認)。ご本人は「孫に見せたい」と話された。 |
| ご本人が初めて話した過去 | 「新たな情報なし」 | 10月12日の訪問で、30代に洋裁学校で講師をしていたことを初めて話された。これまでの記録に無かったため、聞き取り日を付けて追記した。 |
| 看取りの時期に入った | 「終末期」 | 10月1日、主治医から看取りの時期に入ったとの説明を受けた。長男によると、ご本人は以前から「最期は庭の見える部屋で」と話していたとのこと。 |
| 前回の記載が誤っていた | (前回の記載を消して)「出身は和歌山」 | 4月の記載で出身を大阪としていたが、長女の確認で和歌山(10歳から大阪)と分かった。前回の記載は残し、10月10日付で訂正を追記した。 |
※上記は当社が作成した記載のイメージです。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。実際の記載はご本人・ご家族の同意と事業所の様式、保険者(指定権者)の指導に従ってください。
送り先別|生活歴を伝える範囲と文の例(10例)
生活歴をほかの事業所や機関に伝えるときは、相手がその情報で何をするかに合わせて範囲を絞ります。全文を送るのではなく、相手の支援に使う部分だけを、ご本人とご家族の了承を得た範囲で伝えます。伝えた日・相手・内容は、記録に残しておきます。
| 送り先 | 伝えるとよい範囲 | 伝えすぎ・伝え方の悪い例 | 伝える文の例(良い例) |
|---|---|---|---|
| 通所介護 | 趣味・得意なこと・苦手な場面・入浴の好み | 離婚の経緯や借金の話まで含めた生活歴の全文を送る | 元書道の先生で、手本を書く役を喜ばれます。大勢の場は疲れやすく、窓際の席を好まれます。入浴は熱めの湯を好まれます。 |
| 訪問介護 | 家事のやり方・物の置き場所・味付け | 生活歴のシートを丸ごと送る | 眼鏡と財布は茶だんすの上に置く習慣があり、掃除の後は元の位置に戻してください。煮物はみりんで甘みをつけるやり方です。 |
| 短期入所 | 起床・就寝・入浴・食事の時刻と寝具 | 若いころの職歴の詳細だけを送る | 21時就寝・5時起床です。寝る前に白湯を1杯飲まれます。布団で寝てこられたため、ベッドの高さに不安があります。 |
| 入院先の病院 | 普段の日課・落ち着く関わり方・家族の連絡体制 | 「生活歴:特になし」とだけ伝える | ご自宅では6時に起き、朝食後に新聞を読むのが日課です。夕方に「帰る」と話されることがあり、長女さんの声を電話で聞くと落ち着かれます。 |
| 入所先の施設 | 在宅の日課・なじみの物・呼ばれたい名前 | 「頑固な性格」と評価の言葉で伝える | 自分のことは自分でしたい方で、着替えはボタン以外ご自分でされます。仏壇の写真を持参される予定です。 |
| 訪問看護 | 病気や入院の受け止め・医療への思い | 過去の病歴をご本人の語りのまま全文伝える | 以前の入院で夜間の処置がつらかったと話されており、処置は日中を希望されています。 |
| 福祉用具専門相談員 | 家の中の動き方・好む姿勢 | 家族構成の詳しい事情を伝える | 布団から立つとき、畳に右手をつく習慣があります。庭への出入りを毎日されています。 |
| 地域の見守り(民生委員など) | 見守りに必要な範囲だけ | 病名・要介護度・家族の事情まで伝える | 毎朝8時ごろ雨戸を開けるのが習慣です。開いていない日は、長男さんへのご連絡をお願いしています。 |
| 後任の担当者 | 全体(出どころと未確認の事項を添えて) | 評価の言葉が並んだ申し送りを渡す | 生活歴は長女さんの話が中心です。30代の時期はご本人が話したくないとのことで、聞き取っていません。 |
| ご家族(記録の開示を求められたとき) | ご本人が読んでも差し支えない書き方になっているか | 「認知症のため作り話が多い」と書いた記録 | ご本人のお話と長男さんのお話が異なる点は、両方を並べて記録しています。 |
※上記は当社が作成した記載のイメージです。文例の人物・数値はすべて架空の設定です。実際の記載はご本人・ご家族の同意と事業所の様式、保険者(指定権者)の指導に従ってください。
家族から聞いた生活歴には、家族自身の個人情報が含まれることがあります。上の公表事例のとおり、家族の個人情報を用いる場合の同意を家族から得ているかが運営指導で確認された例が複数あります。同意書の範囲や様式の扱いは保険者(指定権者)によって異なるため、迷う場合は保険者にご確認ください。
出典
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
