公開:2026年11月6日/出典:中医協 総-1「個別改定項目について」・令和8年度診療報酬改定説明資料(入院(共通事項)・経過措置)・疑義解釈資料(その12)
要点(3行)
- 令和8年度診療報酬改定で、入院料の通則にある「身体的拘束最小化の基準」が「体制に係る基準」と「実績等に係る基準」の2つに分けられました。
- 体制だけを満たし実績等を満たさない場合は、入院料を1日につき20点減算します(体制も満たさない場合は従来どおり40点の減算)。あわせて、療養病棟などで算定する「身体的拘束最小化推進体制加算」(1日につき40点)が新しくできました。
- 令和8年3月31日に入院料の届出をしている病棟・病室は、指針の内容と実績等の基準を令和9年5月31日まで満たしているものとみなす経過措置があります。
何が出たか
| 項目 | 一次資料に書かれていること |
|---|---|
| どこで決まったか | 令和8年2月13日、中央社会保険医療協議会が厚生労働大臣に答申。個別改定項目「Ⅲ-1-1 身体的拘束の最小化の推進」 |
| 考え方 | 身体的拘束の最小化に向けた取組を更に推進する観点から、質の高い取組を行う場合の体制について新たな評価を行うとともに、身体的拘束を行った日の入院料の評価を見直す |
| 基準の分け方 | 令和6年度改定で新設された部分を「体制に係る基準」と位置づけ、実績や取組に係る基準を新設する |
| 減算 | 身体的拘束最小化の基準を満たせない場合は1日につき40点を減算。ただし体制に係る基準を満たす保険医療機関は、40点に代えて1日につき20点を減算する |
| 新しい加算 | 身体的拘束最小化推進体制加算(1日につき)40点。療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料を算定する患者が対象 |
| 実施日 | 改定は令和8年6月1日より実施(疑義解釈資料その12の前文) |
「実績等に係る基準」の中身
次のアかイの、どちらかを満たすことが求められています。
| 区分 | 一次資料に書かれていること |
|---|---|
| ア 実施割合 | 身体的拘束の実施割合が集計されており、当該保険医療機関内で1割5分以下であること |
| イ 取組(全て継続) | (イ)身体的拘束最小化チームで、具体的な取組を検討する委員会を3か月に1回以上開催 (ロ)身体的拘束が行われている病棟で、チームの巡回による検討、または拘束が生じる都度の病棟の複数の職員による検討 (ハ)入院患者に関わる職員を対象に、尊厳の保持の重要性と最小化の具体的な方策・好事例を含む研修を年に2回以上 |
| 実施割合の計算 | 直近3か月の入院料算定日数のうち身体的拘束を実施した日数を、入院料を算定した日数で割る。救命救急入院料・特定集中治療室管理料などは除く |
| 日数に含めないもの | 容易に外れるセンサー等のみを使う場合、処置時・移動時に同意を得て職員が常に付き添い短時間固定ベルト等を使う場合、訓練中の車椅子で同意を得て固定ベルトを使う場合(オーバーテーブルの設置や車椅子のロックで活動を制限している場合は該当しない) |
体制に係る基準で変わったところ
| 項目 | 今まで | これから |
|---|---|---|
| 組織風土 | 記載なし | 緊急やむを得ない場合を除き身体的拘束を行ってはならないことに加え、「こうした組織風土の醸成に努めること」 |
| 指針の中身 | 鎮静を目的とした薬物の適正使用や、身体的拘束以外の行動を制限する行為の最小化を盛り込むことが「望ましい」 | 盛り込む「こと」 |
| 研修 | 最小化に関する研修を定期的に行う | 代替手段や患者の尊厳の保持の重要性に関する内容を含むことが望ましい、を追加 |
身体的拘束をした日の評価
- 認知症ケア加算:身体的拘束を実施した日は、所定点数の100分の40に相当する点数から、100分の20に相当する点数へ見直し。
- 看護補助体制充実加算(療養病棟入院基本料)は名称が「看護補助・患者ケア体制充実加算」に変わり、身体的拘束を実施した日は加算3の例により算定する形が引き継がれています。
経過措置と疑義解釈
| 項目 | 一次資料に書かれていること |
|---|---|
| 経過措置 | 令和8年3月31日において現に入院基本料または特定入院料の届出を行っている病棟・病室は、令和9年5月31日まで、身体的拘束を最小化するための指針の内容と、実績等に係る基準を満たしているものとみなす |
| 疑義解釈(その12・令和8年9月2日) | 身体的拘束最小化推進体制加算の施設基準にある身体的拘束の実施割合にも、暦月で3か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動ならその都度の届出は要らない、という規定が「適用される」と答えている |
| 掲示 | 新しい加算の施設基準に、病院全体で取り組んでいること・原則として拘束を行わない方針・実施状況を院内に掲示し、原則としてウェブサイトに掲載すること |
一次資料:中医協 総-1 個別改定項目について(PDF・厚生労働省)/令和8年度診療報酬改定 説明資料 入院(共通事項)(PDF)/令和8年度診療報酬改定 説明資料 経過措置(PDF)/疑義解釈資料の送付について(その12)(PDF)/令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省)
病院・クリニックで確かめること
- 経過措置の期限は令和9年5月31日です。それまでに、指針に薬物の適正使用と行動を制限する行為の最小化が書かれているか、告示・通知の定めと貴院の指針を見比べてご確認ください。
- 実績等の基準をアの実施割合で見るかイの取組で見るかは、貴院の集計の仕組みと委員会・巡回・研修の記録の残し方で変わります。直近3か月の数え方は通知の定めをご確認ください。
- 新しい加算の届出の要否と様式は、地方厚生局の案内と施設基準届出チェックリストをご確認ください。院内掲示とウェブサイト掲載の内容も届出の前に整えておくと、手戻りが少なくなります。
- 委員会や研修の記録は、開催日・参加者・検討した患者の解除や代替策を残しておくと、実績を説明するときの根拠になります。
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更新履歴:初版。疑義解釈や経過措置の扱いが新しく出たときは、この記事を更新します。
この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。






