入院や骨折、肺炎、長く続いた体調不良などをきっかけに、寝ている時間が長くなり、立つ・歩く・食べる・トイレに行くといった動作が少しずつできなくなっていく方の訪問看護計画書について、看護・リハビリテーションの目標、療養上の課題・支援内容(O-P・T-P・E-P)、評価をどう書くかを記載例でまとめた記事です。読み手は訪問看護ステーションの看護師・理学療法士・作業療法士・管理者を想定しています。看護学生の看護過程や病院の看護計画は、病棟で一日中続く観察とケアを組み立てるためのものです。訪問看護計画書は、訪問の時間の中で行うことと、看護師やリハビリ職がいない日に、ご本人・ご家族・他の事業所が「動く機会」をどう暮らしの中に残すかを書く計画なので、この記事は後者に絞っています。
介護支援専門員が作るケアプラン(第1表・第2表)の廃用症候群の文例や、介護職の記録の文例は、当サイトの「廃用症候群の方のケアプラン文例」で扱っています。この記事ではケアプランの文例は書かず、訪問看護計画書の側からケアプランのどこに合わせるかだけを整理しました。計画書全体の総論は「訪問看護計画書の書き方と記入例」、評価欄の詳しい書き方は「訪問看護計画書の評価の書き方と記載例」をご覧ください。
以下の記載例は、すべて架空の利用者を想定して当社が作成した記載のイメージです。起き上がって過ごす時間、ベッドの背を上げる角度、歩く距離、運動の回数や負荷、血圧・脈拍などの中止の目安、関節を動かす範囲、荷重の制限、食事や水分の量、薬の量は、この記事には書いていません。これらは主治医の指示書や、理学療法士・作業療法士の評価、退院時の情報として一人ひとりに決められるものです。計画書には「指示書に記載の」「理学療法士の評価の内容を転記」の形で書き、実際の値と内容は元の書類から写してください。訪問で測った値を書く場所は「(記録した値)」と示しています。
様式の欄ごとに書くこと|記載要領の原文と廃用症候群の方の書き分け(欄別対照表3つ)
訪問看護計画書の各欄に何を書くかは、医療保険の訪問看護については「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日 保医発0327第10号)の第一の2(1)に、介護保険の訪問看護については「訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて」(平成12年3月30日 老企第55号)の2に定められています。下の表の左から2列目は保医発0327第10号の原文です。右の2列は、廃用症候群の方の計画書で書く中身と、貴事業所の様式・運用を書き込む欄です。
| 欄 | 記載要領の定め(保医発0327第10号 第一の2(1)) | 廃用症候群の方の計画書で書く中身 | 貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 看護・リハビリテーションの目標 | ②「主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて看護及びリハビリテーションの目標を設定し、記入すること」 | 「廃用を予防する」「筋力を維持する」で止めず、トイレ・食卓・玄関・庭・通所介護の送迎車など、ご本人が行きたい場所と動作に置いて書く。看護の目標とリハビリテーションの目標が別々の方向を向いていないかを確かめる | 目標の主語の決まり:( ) |
| 年月日 | ③「計画書の作成年月日及び計画の見直しを行った年月日を記入すること」 | 退院後の初回訪問、転倒や発熱で寝ている時間が長くなった日、指示書の安静度・活動の範囲が変わった日、福祉用具が替わった日など、見直しのきっかけになった日を残す | 見直しのきっかけの一覧:( ) |
| 療養上の課題・支援内容 | ④「看護及びリハビリテーションの目標を踏まえ、指定訪問看護を行う上での療養上の課題及び支援内容並びに評価を具体的に記入すること」 | 課題ごとに観察(O-P)・ケア(T-P)・指導(E-P)を分ける。課題の文には、そう考えた根拠(退院時の情報、理学療法士等の評価、記録書Ⅱに書いた一日の過ごし方)を添える | 課題の根拠の書き方:( ) |
| 評価 | ④(同上)。介護保険の老企第55号の記載要領では、評価の欄について「初回の訪問看護サービス開始時においては、空欄であっても差し支えない」とされています | 目標ごとに、記録書Ⅱに残した事実(起きて過ごした場面、トイレまで歩けた日、食事を食卓でとれたか、皮膚の赤み、ご本人の言葉)で書く。「維持」「著変なし」の一語で終わらせない | 評価を書く時期:( ) |
| 衛生材料等が必要な処置の有無・処置の内容・衛生材料等・必要量 | ⑤「衛生材料等が必要になる処置の有無について○をつけること」「『必要量』については1ヶ月間に必要となる量を記入すること」 | 寝ている時間が長く、褥瘡の処置の指示がある方などで衛生材料等を使う場合に、処置の内容・種類・サイズ・1か月の必要量を書く。処置がない方は「無」に○をつける | 衛生材料の確認先:( ) |
| 訪問予定の職種 | ⑥「訪問予定の職種及びその訪問日について、利用者に分かるように記載すること」。看護職員のみによる訪問の場合には記載しなくても差し支えないとされています | 理学療法士・作業療法士が訪問する方が多い分野なので、職種と曜日を書く。誰が何をしに来るのかが、ご本人・ご家族に分かる書き方にする | リハ職の訪問の有無:( ) |
| 備考 | ⑦「利用者に対する訪問の計画、特別な管理を要する内容、他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況、その他留意すべき事項等を記入すること」 | 指示書の安静度・活動の範囲と中止の目安の転記、通所介護・通所リハビリテーションの曜日、福祉用具(ベッド・車いす・歩行器・手すり)の種類と業者、ご家族が見守れる時間帯など | 備考に書く項目:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
老企第55号と保医発0327第10号で、理学療法士・作業療法士の訪問と記録の決まりを確かめる
廃用症候群の方は、看護職員と理学療法士・作業療法士が交代で訪問する形になりやすく、計画書・報告書・記録書のどこに誰が書くかで迷いが出ます。介護保険と医療保険のどちらの通知のどの番号を見て書いているかを、事業所の中でそろえておくと迷いが減ります。
| 確かめる点 | 介護保険(老企第55号) | 医療保険(保医発0327第10号) | 貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 計画書を作るときの前提 | 1(1)「主治の医師の指示、利用者の希望や心身の状況等を踏まえ、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載して作成すること」 | 第一の2(1)②「主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて」目標を設定する | 使っている様式の版:( ) |
| 居宅サービス計画との関係 | 1(1)「既に居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成するものであること」 | (記載要領の中に同旨の定めは見当たりません) | ケアプランの受け取り日:( ) |
| 理学療法士等が訪問するときの作成者の欄 | 2(2)⑦「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による指定訪問看護を提供する場合には、『作成者①②』の両方に記入すること」 | ⑥「訪問予定の職種」の欄に職種と訪問日を書く。記載例として「看護職員:週に2回、月・金曜日に訪問」「理学療法士:週に1回、木曜日に訪問」の形が示されています | リハ職の記名の手順:( ) |
| 予定の職種と実際の職種が違うとき | (老企第55号の記載要領では「作成者①②」の欄に職種を記入する形です。予定と違う職種が訪問したときの説明の手順は事業所で決めておく) | ⑥「訪問予定の職種と、実際に訪問を行う職種とが異なっても差し支えないが、利用者への十分な説明に努めること」 | 説明した記録の残し方:( ) |
| 報告書の訪問日の印 | 2(3)②ロで、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護を実施した場合は◇、特別訪問看護指示書の交付を受けて訪問した日は△、緊急時訪問を行った日は×印 | 第一の2(2)②ロで、看護職員の訪問日は○、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の訪問日は◇、特別訪問看護指示書に基づく訪問看護を実施した日は△、1日に2回以上訪問した日は◎ | 印の付け方の確認者:( ) |
| リハ職の訪問の詳細を書く欄 | 2(3)⑪ロ「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行った指定訪問看護、家族等への指導、リスク管理等の内容について具体的に記入すること」(報告書の別添) | (報告書の「看護・リハビリテーションの内容」の欄に、実施した内容を具体的に書く) | 別添を書く職種と時期:( ) |
| 初回訪問時に残す基本情報 | 2(4)②で、記録書Ⅰには訪問看護の依頼目的、主たる傷病名、現病歴、療養状況、介護状況、生活歴などを記入すること | 参考様式1(記録書Ⅰ)に「ADLの状況」(移動・食事・排泄・入浴・着替・整容・意思疎通)と「日常生活自立度」(寝たきり度・認知症の状況)の欄があります | 初回に記録する担当者:( ) |
| 記録書Ⅱに書くこと | 2(4)で記録書Ⅱには「訪問年月日、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーション内容等」を記入すること(制定時の本文) | 第一の2(3)②「訪問年月日、訪問時間(実際の指定訪問看護の開始時刻及び終了時刻)、訪問職種、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等」 | 一日の過ごし方の書き方:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
主治医の指示書・退院時の情報・リハ職の評価から計画書へ写す項目(内容は元の書類のとおり転記)
廃用症候群の方の計画書で崩れやすいのは、安静度や活動の範囲、運動を中止する目安、荷重の制限といった決まりが、指示書や退院時の情報、理学療法士等の評価の中にだけあり、計画書にもご家族・訪問介護の手元にも写されていないことです。次の表は、元の書類の記載を計画書のどの欄にどんな形で写すかの型です。「(書類の内容)」「(指示書の値)」の部分には、元の書類に書かれたとおりに写してください。
| 元の書類に書かれていること | 写す先の欄 | 計画書の書き方の型 | 貴事業所の記入欄 |
|---|---|---|---|
| 安静度・活動の範囲 | 目標・T-P・備考 | 「活動の範囲は主治医の指示書に記載の内容(指示書の内容)とし、その範囲の中で、トイレ・食卓・玄関までの移動を目標の場面にする」 | 指示書の日付:( ) |
| 運動や離床を中止・中断する目安 | O-P・備考 | 「訪問時に血圧・脈拍を測り(記録した値)、指示書に記載の中止の目安(指示書の値)にあたる場合は運動を見合わせ、主治医へ報告する」 | 報告の手段:( ) |
| 荷重の制限・してはいけない動き(骨折後・術後など) | T-P・E-P・備考 | 「荷重と動きの制限は退院時の情報(書類の内容)に従い、ご家族と訪問介護に同じ内容を絵や写真つきの紙で示す」 | 紙の掲示場所:( ) |
| 起き上がって過ごす時間の目安 | T-P・E-P | 「起きて過ごす時間は指示書・理学療法士の評価(書類の内容)に沿い、食事・テレビ・来客など、起きる理由のある場面に結びつけて一日の予定に入れる」 | 一日の予定表の版:( ) |
| 理学療法士・作業療法士の評価と練習の内容 | T-P・訪問予定の職種 | 「立ち上がり・歩行・着替えの練習は理学療法士等の評価(書類の内容)に沿い、看護職員の訪問日にも同じ手順で確かめる」 | 評価の更新日:( ) |
| 福祉用具の種類と使い方 | T-P・備考 | 「ベッド・車いす・歩行器・手すりの使い方は理学療法士等の助言と福祉用具専門相談員の説明(書類の内容)に沿い、置き場所と高さをご家族と確かめる」 | 福祉用具の業者:( ) |
| 褥瘡の処置の指示 | T-P・衛生材料等・備考 | 「褥瘡の処置は指示書に記載の内容(指示書の内容)で行い、使う衛生材料等と1か月の必要量を計画書の欄に書く」 | 処置の手順書の版:( ) |
| 食事・水分・栄養についての指示や助言 | O-P・E-P | 「食事と水分は指示書・管理栄養士の助言(書類の内容)に沿い、食べた量と飲んだ量を、ご本人が使う器の数で聞き取る」 | 助言の日付:( ) |
| 処方の内容(眠気・ふらつきに関わる薬を含む) | O-P・備考 | 「処方は指示書・お薬手帳に従い、ふらつき・日中の眠気の訴えがあれば主治医・薬剤師に相談する」 | お薬手帳の確認日:( ) |
| 指示の期間・特別訪問看護指示書の期間 | 年月日・管理表 | 「訪問看護指示書の指示期間(指示書の期間)と、特別訪問看護指示書が出た期間を、計画書の見直し日と並べて管理する」 | 期限の管理表:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
状態像別|廃用症候群の看護目標の記載例(10の状態像・長期と短期あわせて20例)
廃用症候群の方の目標は、「廃用症候群の進行を予防する」「ADLを維持する」の一文で止まりやすい欄です。予防や維持は看護の目的であって、ご本人の暮らしの目標にはなりにくく、評価のときに「進行しなかったかどうか」しか書けなくなります。下の表では、状態像ごとに長期目標と短期目標を分け、評価のときに記録書Ⅱのどの事実を見るかを右端に置きました。目標の中の動作の量や時間は、指示書と理学療法士等の評価の範囲で決めてください。
| 状態像 | 長期目標の記載例 | 短期目標の記載例 | 評価のときに見る事実 |
|---|---|---|---|
| 肺炎で入院し、退院後もほとんど横になっている方 | 日中は食卓で家族と食事をとり、入院前のように居間で過ごす時間を取り戻せる | 退院後の最初の見直しまでに、昼食をベッドの端に座って食べられるようになる | 座って食べた食事の場面、食事中の疲れの訴え(記録書Ⅱ) |
| 大腿骨の骨折の手術後、自宅に戻った方 | 指示書の荷重の範囲を守りながら、自宅のトイレまで自分で歩いて往復できる | 歩行器を使って、寝室からトイレの前まで見守りで移動できる | 理学療法士等の訓練記録、トイレまでの移動の場面、ふらつきの有無 |
| 転倒をきっかけに歩くのが怖くなり、外に出なくなった方 | 週に一度の通所介護と近所の商店への外出を、怖さを感じずに続けられる | 玄関の上がりかまちの昇り降りを、手すりを使って見守りで行える | 玄関での動作の観察、ご本人の「怖い」の言葉の変化 |
| 一日の大半をベッドで過ごし、寝たきりに近い方 | ベッドから車いすに移り、窓のある居間で家族と過ごす時間を持てる | ベッドの背を上げた姿勢で、テレビを見ながら過ごせる場面が日課に入る | 起きて過ごした場面の記録、皮膚の赤みの有無、ご家族の聞き取り |
| 認知症があり、日中うとうとして過ごす方 | 日中に起きて過ごす時間が増え、夜に眠れる生活の流れを保てる | 毎朝の着替えと洗面を、声かけを受けながら自分の手で行える | 着替え・洗面の場面の観察、夜間の睡眠の聞き取り |
| 一人暮らしで、食事の支度をしなくなった方 | 台所に立って簡単な食事の用意ができ、自宅での一人暮らしを続けられる | 訪問介護と一緒に、湯を沸かして飲み物を用意する動作を続けられる | 台所での動作の観察、訪問介護の連絡帳、食事量の聞き取り |
| 長く続いた発熱や体調不良のあとで、動く気持ちが出ない方 | 好きだった趣味(庭の手入れ・囲碁など)を再び楽しめる | 一日の中で、起きて座って過ごす楽しみの場面を本人と一つ決めて続けられる | ご本人の言葉、楽しみの場面が続いた日の記録 |
| 関節が硬くなり、着替えや入浴に時間がかかる方 | 着替えと入浴の介助を受けながら、痛みが少なく清潔を保てる | 入浴前に、作業療法士の助言に沿った手順で上着の袖を通せる | 着替えの場面の痛みの訴え、作業療法士の評価 |
| 主な介護者が高齢の配偶者で、介助の負担が大きい方 | 夫婦が無理のない介助の方法で、自宅での生活を続けられる | 妻がベッドから車いすへの移りの見守りを、理学療法士と同じ手順で行える | 妻の介助の場面の観察、妻の疲れの言葉、腰の痛みの訴え |
| 通所介護・通所リハビリテーションを再開したい方 | 通所の日に送迎車まで移動し、通所先で入浴と昼食を楽しめる | 送迎の時間に合わせて着替えを済ませ、玄関まで見守りで歩ける | 通所の日の朝の様子、通所先との連絡帳 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
聞き取った希望から目標欄の文をつくる(歩きたい・迷惑をかけたくない等8例)
老企第55号の1(1)は、計画書を「利用者の希望や心身の状況等を踏まえ」て作成することとしています。廃用症候群の方は、意欲が落ちて希望を言葉にしにくいことがあるため、初回訪問や退院前の面談で聞いた短い言葉を、目標欄に入る形に置き換えた例を並べました。
| 聞き取った言葉 | 目標欄の文 | 課題欄につなぐ視点 |
|---|---|---|
| ご本人「トイレだけは自分で行きたい」 | 指示書の活動の範囲の中で、昼間のトイレへの往復を自分で行える | トイレまでの動線、夜間の移動の方法、尿意を感じてから間に合うか |
| ご本人「もう歳だから、寝ていればいい」 | 起きて過ごす楽しみの場面を本人と一つ決め、続けられる | 意欲の低下の背景(痛み・眠気・気分の落ち込み・役割の喪失) |
| ご本人「家族に迷惑をかけたくない」 | 自分でできる身の回りの動作を本人と家族で確かめ、続けられる | 本人が自分でしている動作と、家族が先回りしている動作の区別 |
| ご本人「孫の運動会を見に行きたい」 | 当日の移動と休憩の段取りを決め、車いすで会場へ出かけられる | 車への乗り移り、外出先のトイレ、主治医への事前相談 |
| 妻「転ぶのが心配で、つい手を貸してしまう」 | 妻が見守りと手を貸す場面を分けて分かり、夫が自分で動く機会を保てる | 妻の不安の強さ、転倒の経験、見守りの方法の伝え方 |
| 長男「日中は仕事で誰もいない」 | 家族が不在の時間も、訪問介護・通所介護と組み合わせて起きて過ごす時間を保てる | 日中の一人の時間の過ごし方、緊急時の連絡の方法 |
| ご本人「畑の様子が気になる」 | 指示書の活動の範囲の中で、縁側から畑を見に出られる | 屋外への段差、天候と体調、屋外での見守りの担い手 |
| 娘「前のように一緒にご飯を食べたい」 | 週末は食卓で家族と一緒に食事をとれる | 食卓の椅子での座位の安定、食事中の疲れ、食べる量 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
療養上の課題・支援内容|廃用症候群のO-P・T-P・E-P記載例(12課題・48例)
記載要領の④は、療養上の課題と支援内容を「具体的に記入すること」としています。下の表は、在宅の廃用症候群の方でよく立てる12の課題について、課題欄の文と、観察(O-P)・ケア(T-P)・指導(E-P)の記載例を並べたものです。病院の看護計画のように観察項目を網羅するのではなく、訪問の時間の中で見ること・すること・伝えることに絞っています。運動の量や中止の目安は、すべて指示書・理学療法士等の評価を参照する形にしています。
| 療養上の課題(課題欄の文) | O-P(観察) | T-P(ケア) | E-P(指導) |
|---|---|---|---|
| 寝ている時間が長く、起きて過ごす場面が少ない(退院後、食事もベッドの上でとっている) | 一日の過ごし方を本人・家族から聞き取り、起きていた場面と、横になっていた理由(疲れ・痛み・眠気・することがない)を記録する | 指示書の活動の範囲の中で、食事・テレビ・来客など起きる理由のある場面を本人と選び、一日の予定表に書き込む | 起きて過ごすことが体を動かす機会になると伝え、予定表を本人と家族が見える場所に貼る |
| 立ち上がりと歩行が不安定で、転倒するおそれがある | 立ち上がりの動作、歩くときのふらつき、手すりや家具のつかまり方、靴や靴下の履き方を見る | 理学療法士等の評価に沿って、立ち上がりと歩行の練習を同じ手順で行い、動線上の物を本人と片づける | 急いで立たないこと、夜間のトイレで灯りをつけることを伝え、ご家族とつかまる場所を確かめる |
| 関節が硬くなり、着替えや入浴の動作がしにくい | 着替え・洗髪・足を洗う動作で手や足が届く範囲、動かしたときの痛みの訴え、表情を見る | 作業療法士等の評価に沿って、関節を動かす運動を指示書の範囲で行い、着替えの順番を組み替える | 痛みが強くなったときは無理に動かさず、次の訪問を待たずに連絡することを伝える |
| 同じ姿勢で過ごす時間が長く、褥瘡ができるおそれがある | 仙骨部・かかと・背中など圧がかかる部位の皮膚の赤み、湿り、マットレスや座面の状態を見る | 体の向きの変え方とクッションの当て方を家族と一緒に確かめる。処置の指示がある場合は指示書に沿って行う | 赤みが消えないときは連絡すること、シーツのしわと湿りを減らす工夫を伝える |
| 起き上がったときに、ふらつきや気分の悪さが出やすい | 起き上がった直後と座ってからの顔色、めまいの訴え、血圧・脈拍(記録した値)を見る | 起き上がりは段階を分けて行い、指示書に記載の中止の目安にあたる場合は見合わせて横になり、主治医へ報告する | ゆっくり起き上がる順番を本人と家族に伝え、気分が悪いときの対応を紙に書いて渡す |
| 食べる量と飲む量が減り、体力が落ちるおそれがある | 食事の量と時間帯、水分を飲む場面、体重(記録した値)の推移、口の中の状態を聞き取り、見る | 座って食べられる姿勢を整え、飲み物を手の届く場所に置く。食事の内容は管理栄養士・主治医の助言に沿う | 好みの物や食べやすい物の取り入れ方を家族と考え、食欲が続けて落ちるときは連絡するよう伝える |
| 動く量が減り、便秘が続いている | 排便の間隔と性状、腹部の張り、下剤の使い方、トイレに座る機会を聞き取る | 決まった時間にトイレに座る機会をつくり、腹部の温罨法やマッサージを行う。下剤は指示書・処方に沿う | 水分と食事のとり方、便意を我慢しないことを伝え、排便の記録用紙を一緒に書く |
| トイレまでの移動が間に合わず、おむつに頼る場面が増えている | 尿意の訴え、トイレまでの所要の様子、夜間の排尿の方法、失禁の場面を聞き取る | トイレまでの動線を整え、必要に応じてポータブルトイレの置き場所を理学療法士等・福祉用具専門相談員と決める | 尿意を感じたら早めに動くこと、おむつだけに頼らずトイレで排せつする機会を残すことを家族と確かめる |
| 息切れや疲れやすさのため、動作が続かない | 着替え・移動の途中の息切れ、会話の途切れ方、休むまでの動作の量、疲れが翌日まで残るかを見る | 動作の途中に休む場所を決め、理学療法士等と相談して動作の順番を組み替える | 休みながら動くことは悪いことではないと伝え、疲れが強い日の過ごし方を本人と決める |
| 意欲が低下し、自分から動こうとしない | 表情、会話の量、「どうせ」「もういい」などの言葉、楽しみにしていたことへの反応、睡眠の状態を見る | 本人ができること・したいことを一つ選んで一緒に行い、できたことを言葉にして返す | 家族に、先回りして手を貸さずに待つ場面と、手を貸す場面を分けて伝える |
| 家族が手を貸しすぎ、本人が動く機会が減っている | 家族が介助している動作のうち、本人が自分でできる部分を、訪問時の動作で確かめる | 理学療法士等と一緒に、本人ができる部分と家族が手を貸す部分を動作ごとに分け、紙に書く | 手を貸す前に一声かけて待つ方法と、転倒を心配するときの見守りの位置を家族に伝える |
| 通所や外出の機会が途絶え、人と会う場面が減っている | 外出の頻度、通所の利用状況、電話や来客の有無、外に出ない理由(段差・トイレ・疲れ・気持ち)を聞き取る | 玄関の段差の昇り降りを理学療法士等の評価に沿って確かめ、外出の段取りを介護支援専門員と相談する | 外出の前後の休憩の入れ方と、外出先のトイレの確かめ方を本人と家族に伝える |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
看護職員と理学療法士・作業療法士の役割を支援内容に書き分ける例(8例)
廃用症候群の方の計画書では、看護職員の行うことと、理学療法士・作業療法士の行うことが同じ一行に混ざりやすく、評価のときに誰の訪問で何が分かったのかが追えなくなります。支援内容の欄で職種ごとに書き分けた例です。
| 場面 | 看護職員の支援内容 | 理学療法士・作業療法士の支援内容 | 共有のしかた |
|---|---|---|---|
| 訪問の始まりの体調の確認 | 血圧・脈拍・体温(記録した値)、皮膚、排せつ、睡眠、食事の聞き取りを行い、指示書の中止の目安にあたるかを確かめる | 練習の前に体調の聞き取りを行い、看護職員の記録に書かれた変化を確かめてから練習の内容を決める | 記録書Ⅱの体調の欄を職種共通の項目にする |
| 立ち上がり・歩行の練習 | 理学療法士の練習と同じ手順で、看護職員の訪問日にも立ち上がりと歩行を確かめる | 評価にもとづいて練習の内容と手順を決め、看護職員とご家族に伝える | 手順を写真つきの紙にし、職種間で同じ物を使う |
| 着替え・整容・入浴の動作 | 入浴の可否を体調から判断し、皮膚の状態を見る | 着替え・洗面・浴槽をまたぐ動作の評価と練習、自助具や手すりの位置の助言を行う | 動作の手順を訪問介護にも伝える |
| 褥瘡の予防と処置 | 皮膚の観察と、指示書に沿った処置を行う | 座る姿勢と体の向きの変え方、クッションの当て方を評価し、助言する | 赤みの部位と姿勢の関係を記録書Ⅱで共有する |
| 栄養・排せつ | 食事と水分の量、排便の状況を聞き取り、主治医への報告の要否を判断する | 食卓での座る姿勢、トイレへの移動の方法を評価する | 食事とトイレの場面での疲れを互いの記録に残す |
| ご家族への介助の伝え方 | 家族の健康状態と介護の負担を聞き取り、相談先を伝える | 家族が行う移乗や歩行の見守りの方法を、実際の動作で伝える | 家族に伝えた内容を同じ紙にまとめる |
| 計画の見直し | 体調と生活の変化を踏まえて目標と課題を見直す | 動作の評価の結果を見直しの材料として出す | 見直しの会議の日を決め、作成者の欄に両方の職種を記入する |
| 報告書の作成 | 病状の経過と看護の内容を書く | 実施した訪問看護、家族等への指導、リスク管理等の内容を書く(老企第55号の別添の欄) | 報告書の評価と計画書の評価が食い違わないよう確かめる |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
ご家族・訪問介護・通所介護・福祉用具と分担するときの支援内容の記載例(9例)
廃用症候群は、訪問看護の時間よりも、看護師がいない時間の過ごし方で進み方が変わります。支援内容の欄に、誰が何を見て、どこへ伝えるかを書いておくと、計画書が実際の分担表になります。
| 担い手 | 計画書の支援内容に書く文 | 伝え先と記録先 |
|---|---|---|
| ご本人 | 一日の予定表に書いた起きて過ごす場面を行い、できた日に丸をつける。気分が悪いときは横になり、家族か当ステーションに伝える | 家族・当ステーション/予定表(訪問時に看護師が確認) |
| 同居の妻 | 夫が自分で立ち上がる場面では手を貸す前に一声かけて待ち、ふらついたときだけ見守りの位置から支える | 当ステーション/妻のメモ帳 |
| 別居の娘 | 来訪した日に、予定表の丸の数と、皮膚の赤みの有無を見て、気になることがあれば当ステーションへ伝える | 当ステーション/予定表の余白 |
| 訪問介護 | 着替えと洗面は本人が自分でできる部分を残して介助し、できた動作とできなかった動作を連絡帳に書く | 当ステーション・介護支援専門員/連絡帳 |
| 通所介護 | 通所の日の過ごし方(起きていた場面・食事・入浴・歩いた場面)を連絡帳に書き、疲れが強い日は家族と当ステーションへ伝える | 家族・当ステーション/通所介護の連絡帳 |
| 通所リハビリテーション | 練習の内容と自宅で続けてほしい動作を連絡帳に書き、訪問看護の理学療法士等と手順の食い違いがないかを確かめる | 当ステーション・介護支援専門員/連絡帳 |
| 福祉用具専門相談員 | ベッド・車いす・歩行器・手すりの点検日と、本人から聞いた使いにくさを当ステーションへ伝える | 当ステーション・介護支援専門員/点検票 |
| 薬局の薬剤師 | ふらつき・眠気の訴えや残薬を聞き取った場合は、主治医への報告とあわせて当ステーションにも共有してもらう | 主治医・当ステーション/お薬手帳 |
| 介護支援専門員 | 本人の動作の変化に合わせて、サービスの曜日と内容、福祉用具の見直しの要否を相談する | 当ステーション/サービス担当者会議の記録 |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
悪い例と良い例|廃用症候群の訪問看護計画書でありがちな一行の書き直し(20組)
左はよく見かける一行、中央はそのまま貼れる形に直した文です。良い例に入れた運動の量や中止の目安は、すべて「指示書に記載の」「理学療法士等の評価に沿って」の形にしています。実際の値と内容は元の書類から写してください。
| 欄 | 悪い例 | 良い例(そのまま使える文) | 直した点 |
|---|---|---|---|
| 目標 | 「廃用症候群の進行を予防する」 | 日中は食卓で家族と食事をとり、入院前のように居間で過ごす時間を取り戻せる | 看護の目的ではなく、本人の行き先と暮らしの言葉にした |
| 目標 | 「ADLを維持する」 | 指示書の活動の範囲の中で、昼間のトイレへの往復を自分で行える | 維持する動作と場面を名指しした |
| 目標 | 「離床を促進する」 | 昼食をベッドの端に座って食べられるようになる | 起きる理由のある場面に置いた |
| 目標 | 「筋力の低下を防ぐ」 | 歩行器を使って、寝室からトイレの前まで見守りで移動できる | 筋力を、使う動作に置き換えた |
| 課題 | 「廃用症候群」 | 寝ている時間が長く、起きて過ごす場面が少ない(退院後、食事もベッドの上でとっている) | 病名ではなく療養上の課題とその根拠を書いた |
| 課題 | 「意欲低下」 | 楽しみにしていた庭の手入れをやめてから、「どうせ」という言葉が増え、自分から動こうとしない | 評価の言葉を、聞き取った事実と言葉に分けた |
| 課題 | 「家族の過介助」 | 妻が転倒を心配して先に手を貸しているため、本人が自分で立ち上がる機会が減っている | 家族を責める言葉を避け、理由と結果に分けた |
| O-P | 「ADLの観察」 | 着替え・洗面・トイレの動作のうち、本人が自分でしている部分と手を借りている部分を、訪問時の動作で確かめる | 見る動作と見方を書いた |
| O-P | 「バイタルサインの観察」 | 訪問の始まりに血圧・脈拍を測り(記録した値)、指示書に記載の中止の目安にあたる場合は運動を見合わせて主治医へ報告する | 何を測り、どの基準で何をするかを書いた |
| O-P | 「皮膚の観察」 | 仙骨部・かかと・背中の皮膚の赤みと湿り、マットレスと座面の状態を訪問ごとに見る | 見る部位と、合わせて見る物を書いた |
| O-P | 「離床状況の観察」 | 一日の過ごし方を本人・家族から聞き取り、起きていた場面と横になっていた理由を記録する | 時間の数字ではなく、場面と理由を聞き取る形にした |
| T-P | 「リハビリを行う」 | 理学療法士等の評価に沿って、立ち上がりと歩行の練習を同じ手順で行い、動線上の物を本人と片づける | 誰の評価に沿って何をするかを書いた |
| T-P | 「ROM訓練」 | 作業療法士等の評価に沿って、関節を動かす運動を指示書の範囲で行い、着替えの順番を組み替える | 運動を、困っている動作につなげた |
| T-P | 「体位変換」 | 体の向きの変え方とクッションの当て方を家族と一緒に確かめ、手順を紙に書いてベッドの横に貼る | 看護師がいない時間の手順まで書いた |
| E-P | 「離床の必要性を指導する」 | 起きて過ごすことが体を動かす機会になると伝え、本人と選んだ場面を予定表に書き込んで見える場所に貼る | 伝える中身と方法を書いた |
| E-P | 「家族指導」 | 妻に、夫が立ち上がる場面では手を貸す前に一声かけて待つことと、ふらついたときの支え方を、実際の動作で伝える | 家族が行う動作と、理解の確かめ方を書いた |
| E-P | 「転倒に注意するよう指導」 | 急いで立たないこと、夜間のトイレで灯りをつけることを伝え、ご家族とつかまる場所を確かめる | 注意の中身を、行動に置き換えた |
| 評価 | 「著変なし。継続」 | 昼食はベッドの端に座って食べられる日が続いた。夕食は横になって食べている。目標は継続し、次期は夕食も座って食べることを短期目標に加える | 記録の事実と、次に変えることを書いた |
| 評価 | 「ADL維持」 | トイレへの往復は見守りで続けられている。妻は手を貸す前に一声かけて待てている。次期は玄関の段差の昇り降りを目標にする | 維持の中身を、動作と家族の変化で書いた |
| 備考 | 「他サービス利用あり」 | 通所介護(週に一度・入浴あり)、訪問介護(着替えの介助)、福祉用具貸与(ベッド・歩行器)。動作の手順は理学療法士の紙を各事業所で共有する | 記載要領の⑦にある「他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況」を具体的にした |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
評価から報告書・ケアプランへ|廃用症候群の方の評価文と報告書の欄別記載例
保医発0327第10号の第一の2(3)③は、「目標達成の程度及びその効果等について評価を行うとともに、評価に関する内容を訪問看護記録書に記録すること」とし、必要に応じて計画書を見直すこととしています。廃用症候群の方の評価は、筋力や関節の数値の良し悪しだけでなく、暮らしの中で動く場面が増えたか・残っているかを書くと、次の計画で何を変えるかが決まりやすくなります。評価欄の詳しい書き方は「訪問看護計画書の評価の書き方と記載例」で扱っているので、ここでは廃用症候群の方の場面に絞ります。
| 評価の結論 | 評価欄の記載例 | 次の計画で変える欄 |
|---|---|---|
| 継続(少しずつ増えている) | 昼食はベッドの端に座って食べられる日が続き、食後もしばらく座ってテレビを見ていると妻が話す。夕食は横になって食べている。目標と支援内容は継続し、夕食の場面を短期目標に加える | 短期目標 |
| 達成(行き先に届いた) | 歩行器を使って寝室からトイレまで見守りで往復できるようになった。本人は「トイレは自分で行ける」と話す。次期は玄関の段差の昇り降りを目標にする | 目標・課題 |
| 一部達成(家族のいない時間に戻る) | 妻がいる日は食卓で食事をとれているが、妻が外出する日は横になって過ごしている。家族が不在の日に訪問介護の時間を合わせられるか、介護支援専門員と相談する | 支援内容(担い手の分担) |
| 未達成(意欲が出ない) | 予定表の丸は訪問のある日だけについている。本人は「起きてもすることがない」と話す。楽しみの場面を本人と選び直し、庭を見る場面を予定表に入れる | 課題・T-P・E-P |
| 中断(転倒) | 夜間にトイレへ向かう途中で転倒し、主治医の判断で受診した。経過は報告書に記載した。指示書の活動の範囲を確かめ、夜間の移動の方法を理学療法士等と見直す | 課題・T-P・備考 |
| 中断(入院) | 発熱で受診し入院となった。入院までの経過は報告書に記載した。退院後は退院時の情報と新しい指示書を受けて、動作の評価からやり直して計画を作り直す | 全体(退院後に新たに作成) |
| 目標の変更(生活範囲の拡大) | 家の中の移動が安定し、本人から「通所に行きたい」との希望が出た。主治医に活動の範囲を確認したうえで、次期は送迎車までの移動を目標にする | 目標・T-P・訪問予定の職種 |
| 方針の変更(介護の負担) | 妻が腰の痛みを訴え、移乗の介助が難しくなっている。介護支援専門員・福祉用具専門相談員と移乗の方法を相談し、妻の負担を減らす支援を課題に加える | 課題・備考(他のサービスの利用状況) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
訪問看護報告書と別添の欄に、計画書の評価をどうつなぐか(廃用症候群の記載例)
計画書で決めた観察とケア・指導の結果は、主治医へ出す訪問看護報告書に書くことになります。左から2列目は保医発0327第10号 第一の2(2)の原文と、老企第55号の報告書の別添の定めです。
| 報告書の欄 | 記載要領の定め | 廃用症候群の方の記載例 |
|---|---|---|
| 病状の経過 | ③「利用者の病状、日常生活動作(ADL)の状況等について記入すること」 | 昼食はベッドの端に座って食べられるようになり、トイレへの往復は歩行器を使って見守りで行えている。仙骨部の皮膚に赤みは見られない。夜間はおむつを使っている |
| 看護・リハビリテーションの内容 | ④「実施した指定訪問看護の内容について具体的に記入すること」 | 体調の確認、皮膚の観察、体の向きの変え方の確認、一日の予定表の見直し、妻への見守りの方法の確認を行った。理学療法士は立ち上がりと歩行の練習、トイレまでの動線の確認を行った |
| 家庭での介護の状況 | ⑤「利用者の家族等の介護の実施状況、健康状態、療養環境等について必要に応じて記入すること」 | 妻が日中の見守りを行っている。妻は転倒を心配して手を貸しすぎることがあったが、待つ場面と支える場面を分けて行えるようになってきた。妻から腰の痛みの訴えがある |
| 特記すべき事項 | ⑨「前記の②から⑧までの各欄の事項以外に主治医に報告する必要のある事項を記入すること」 | 本人から「通所に行きたい」との希望がある。外出時の活動の範囲について、ご指示をいただけますでしょうか |
| 衛生材料等の使用量および使用状況 | ⑥「処置に使用した衛生材料等の名称、使用及び交換頻度、1ヶ月間における使用量を記入すること」 | 褥瘡の処置に使った衛生材料の名称・交換の頻度・その月の使用量を記入する(処置がない月は記入しない) |
| 理学療法士等による訪問看護の詳細(介護保険の別添) | 老企第55号2(3)⑪ロ「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行った指定訪問看護、家族等への指導、リスク管理等の内容について具体的に記入すること」 | 立ち上がりと歩行の練習を行い、トイレまでの動線上の敷物を家族と片づけた。妻に、立ち上がりの見守りの位置と支え方を実際の動作で伝えた。練習の前に体調を確かめ、指示書の中止の目安にあたる日はなかった |
| 報告書の簡略化 | ⑪継続して訪問している方で、その月に1回しか訪問しなかった場合は「記録書Ⅱの複写を報告書として差し支えない」 | 入院で月の途中から訪問がなかった月などに、該当の記録書Ⅱを報告書として扱うかを事業所の手順で決めておく |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
ケアプランの側とそろえる点(廃用症候群の第2表の文例は別記事で)
介護保険の訪問看護では、老企第55号の1(1)により、居宅サービス計画が作成されている場合は「当該計画の内容に沿って作成する」こととされています。廃用症候群の方のケアプランの文例(第1表・第2表)は当サイトの「廃用症候群の方のケアプラン文例」で扱っているので、ここでは訪問看護計画書の側で何をそろえるかだけを整理します。
| ケアプランの側 | 訪問看護計画書の側 | そろえ方 |
|---|---|---|
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 看護・リハビリテーションの目標 | ケアプランのニーズの言葉を受けて、看護とリハビリテーションの立場からの目標に言い換える。「トイレは自分で」など本人の希望が両方に残っているかを確かめる |
| 短期目標とその期間 | 短期目標と見直しの年月日 | 期間の終わりをそろえ、評価の結果を介護支援専門員へ伝える日を決める |
| サービス内容(訪問看護に期待される内容) | 療養上の課題・支援内容 | 動作の練習、皮膚の観察、家族への見守りの方法の伝え方など、ケアプランで訪問看護に期待されている内容が計画書のどの行に入っているかを確かめる |
| 訪問看護の頻度と職種 | 備考(訪問の計画)・訪問予定の職種 | 看護職員と理学療法士等の訪問の曜日が、ケアプランの頻度と食い違っていないかを確かめる |
| 通所介護・訪問介護・福祉用具貸与の位置づけ | 備考(他のサービスの利用状況) | 通所の曜日、訪問介護の介助の範囲、福祉用具の種類を写し、動作の手順を同じ紙でそろえる |
| 緊急時の対応 | 備考(連絡の順番) | 転倒したときや、急に動けなくなったときの連絡の順番が、ケアプランと計画書で同じになっているかを確かめる |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
運営指導で廃用症候群の方の計画書について見られる点と、手元に残す記録の一覧
厚生労働省の運営指導マニュアル別添1(確認項目及び確認文書)では、訪問看護の「訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成(第70条)」について次の確認項目が示されています。右の列は、廃用症候群の方の計画書で確かめる点の例です。
| 別添1の確認項目(訪問看護・第70条) | 廃用症候群の方の計画書で確かめる点 | 貴事業所の確認欄 |
|---|---|---|
| 居宅サービス計画に基づいて訪問看護計画が立てられているか | ケアプランの頻度・目標と、計画書の訪問の計画・目標・訪問予定の職種が食い違っていないか | 確認日:( ) |
| 主治の医師の指示及び利用者の心身の状況、希望および環境を踏まえて訪問看護計画が立てられているか | 指示書の活動の範囲・中止の目安が計画書に写されているか。本人の「トイレは自分で」などの言葉が目標に反映されているか | 確認日:( ) |
| サービスの具体的内容、時間、日程等が明らかになっているか | O-P・T-P・E-Pが「リハビリ」「離床促進」の一語で止まっていないか。看護職員と理学療法士等の訪問の曜日が分かるか | 確認日:( ) |
| 利用者又はその家族への説明・同意・交付は行われているか | 説明した相手・日付・同意の記録と、交付した控えが残っているか。理学療法士等の訪問についての説明が含まれているか | 確認日:( ) |
| 目標の達成状況は記録されているか | 評価欄と記録書Ⅱに、起きて過ごした場面やトイレまでの移動などの事実が書かれているか | 確認日:( ) |
| 達成状況に基づき、新たな訪問看護計画が立てられているか | 転倒・入院・退院・指示書の変更の後に、計画書が作り直されているか | 確認日:( ) |
| 訪問看護報告書は作成されているか | 計画書の評価と、報告書の病状の経過・別添の内容がつながっているか | 確認日:( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
自治体の公表資料にある訪問看護の計画書・指示書・リハ職の訪問の指摘(6件)
廃用症候群の方に限った指摘ではありませんが、計画書の書き方と、理学療法士等の訪問に関わる公表事例です。
| 自治体 | 公表されている指摘の内容 | 廃用症候群の方の計画書で見直す点 |
|---|---|---|
| 長野県(令和6年度運営指導結果の概要・訪問看護) | 居宅サービス計画の内容に沿った計画となっていない、利用者の同意を得たことが確認できない、具体的なサービス内容を記載していない事例等 | ケアプランとの対応、説明・同意の記録、O-P・T-P・E-Pの具体性 |
| 神戸市(介護保険サービス事業運営上の留意事項・令和7年3月) | 訪問看護指示書の有効期限切れ・受領遅れ、計画書に具体的なサービスの内容・利用者の希望・主治医の指示・看護目標等を記載していない等 | 指示書の期間の管理、活動の範囲の転記、本人の希望の反映 |
| 東京都(運営指導における主な指摘事項・訪問看護) | 計画書を作成していない、ケアプランの内容と相違している、内容が不十分 | 退院直後の訪問開始前に計画書があるか、ケアプランとの食い違い |
| 静岡市(運営指導における主な指摘・助言事項等一覧) | 理学療法士等による訪問について、看護職員の代わりに訪問させるものであること等を口頭で説明しているが、同意を得たことを確認できる記録がない | 理学療法士等が訪問する場合の説明・同意の記録 |
| 愛知県(主な指摘事項・令和7年度版) | 作業療法士による訪問看護を利用している者について、定期的に看護職員の訪問による評価を実施する必要があることに留意すること、と示されています | リハ職の訪問が中心の方で、看護職員の訪問による評価の日と記録が残っているか |
| 仙台市(令和5年度運営指導結果等) | 利用者の申し出等により、予定していた理学療法士等によるリハビリテーションを実施しなかったにもかかわらず、基本報酬を算定していた | 練習を見合わせた日に、見合わせた理由と実際に行った内容が記録書Ⅱに残っているか |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
廃用症候群の方の計画書について手元に残す記録(記入欄つき)
保存の年限は、介護保険では各自治体の条例で定められているため、ここでは記入欄にしています。
| 記録 | 何のために残すか | 保管場所 | 最終更新日 |
|---|---|---|---|
| 訪問看護指示書(特別訪問看護指示書を含む) | 活動の範囲・中止の目安・指示期間の根拠 | ( ) | ( ) |
| 退院時の情報(看護サマリー・リハビリテーションの情報等) | 課題欄の根拠、荷重の制限や動作の決まり | ( ) | ( ) |
| 居宅サービス計画の写し | 計画書がケアプランに沿っていることの確認 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護計画書(説明・同意・交付の記録つき) | 説明した相手と日付、同意と交付の事実 | ( ) | ( ) |
| 理学療法士等の訪問についての説明・同意の記録 | リハ職が訪問する場合の説明の事実 | ( ) | ( ) |
| 理学療法士等の評価の記録と動作の手順の紙 | T-Pの手順の出どころ、職種間で同じ手順を使っていることの確認 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護記録書Ⅰ(ADLの状況・日常生活自立度の欄を含む) | 初回訪問時の状態の記録、評価の比べる基準 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護記録書Ⅱ | 観察・ケア・指導の実施と、評価の内容。練習を見合わせた日の理由 | ( ) | ( ) |
| 訪問看護報告書と別添(主治医への提出の記録つき) | 評価と病状の経過を主治医へ伝えた事実 | ( ) | ( ) |
| 本人・家族の予定表と、他事業所との連絡帳の写し | 看護師がいない時間の過ごし方と、分担の実際 | ( ) | ( ) |
※上記は各自治体が公表している資料を当社が編集・加工したものであり、各自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な算定可否は保険者(指定権者)にご確認ください。
よくある質問
廃用症候群の看護計画に、起きて過ごす時間や運動の回数を書いてもよいですか?
起きて過ごす時間や運動の量、運動を見合わせる目安は、主治医の指示書や理学療法士等の評価として一人ひとりに決められるものです。計画書には元の書類に記載された内容を転記し、「指示書に記載の」「理学療法士の評価に沿って」と出どころが分かる形で書くと、指示や評価が変わったときに計画書の見直しにも気づきやすくなります。
看護学生の看護過程や病院の看護計画と、訪問看護計画書は何が違いますか?
訪問看護計画書は、主治医の指示書と訪問による療養状況を踏まえて目標を設定し、訪問の時間の中で行う観察・ケア・指導を書くものです。廃用症候群の方では、看護師やリハビリ職がいない時間に、ご本人・ご家族・他の事業所が動く機会をどう残すかまで書いておくと、在宅での計画として使いやすくなります。
理学療法士や作業療法士が訪問する場合、計画書のどこに書きますか?
医療保険の記載要領では、訪問予定の職種の欄に、訪問予定の職種とその訪問日を利用者に分かるように記載することとされています。介護保険の老企第55号の記載要領では、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護を提供する場合には作成者①②の両方に記入することとされています。
転倒や入院のあとは、計画書を作り直しますか?
計画書の年月日の欄には、作成年月日と計画の見直しを行った年月日を記入することとされています。廃用症候群の方では、退院後の初回訪問、転倒や発熱で寝ている時間が長くなったとき、指示書の活動の範囲が変わったとき、目標の達成状況を評価したときなどが見直しのきっかけになります。入院をはさんだ場合は、退院時の情報と新しい指示書の内容を確かめてから計画を見直します。
ケアプランの第2表に書く廃用症候群の文例も、この記事で扱っていますか?
この記事は訪問看護計画書に絞っており、ケアプランの第1表・第2表の文例は当サイトの「廃用症候群の方のケアプラン文例」で扱っています。介護保険の訪問看護では、居宅サービス計画が作成されている場合はその内容に沿って計画書を作成することとされているので、ニーズの言葉と期間をそろえておくと食い違いが起きにくくなります。
出典
出典:厚生労働省ウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001281524.pdf)/公共データ利用規約(第1.0版)
本ページは上記を当社が編集・加工したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。各自治体の公表資料についても同様に当社が編集・加工したものであり、当該自治体の公式見解ではありません。運営指導の観点・確認様式・判断は保険者(指定権者)により異なります。最終的な取り扱いは保険者(指定権者)にご確認ください。
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この記事の執筆・編集
介護のマナ編集部(株式会社ライフシフト)
介護記録AI「神マナ(介護のマナ)」を開発・提供する株式会社ライフシフトの編集部。訪問看護ステーションを運営する看護師(CSO)をはじめ、介護・看護の現場とともに、記録・書類・制度の実務情報を発信しています。
